JP4990714B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明はリチウムイオン二次電池に係り、特に、正極活物質を主体とする正極合剤が集電体に略均等に塗着された正極板と、負極活物質を主体とする負極合剤が集電体に略均等に塗着された負極板とがセパレータを介して配置された電極群を備え、正極板および負極板がそれぞれ集電体の一側の端部に正極合剤および負極合剤の未塗着部を有しており、正極板および負極板の未塗着部の一部または全部がセパレータの端縁から互いに反対方向に突出し該未塗着部の端部がそれぞれ集電部材に溶接により接合されたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウム二次電池を代表するリチウムイオン二次電池は、高容量、高エネルギー密度であることから、環境問題に対応した電気自動車、ハイブリッド自動車の電源用や電動工具用の電池として注目されている。電気自動車には加速性能や登坂性能等が要求されており、その電源用の電池には大電流充放電に対応した高率指向のリチウムイオン二次電池が求められている。このような高率指向の電池では、出力性能を向上させるために内部抵抗を低減することが重要視されている。
通常、リチウムイオン二次電池では、正負極板は活物質を含む合剤が集電体にそれぞれ塗着されており、活物質の反応で発生する電子が集電体から正極側、負極側それぞれの集電部材に集電され電池外部に取り出される。集電体には、導電性を有する金属等の箔体、膜や穿孔板等が使用されている。集電体から集電部材に電子を集電するために、集電体の端部に切り欠きを形成して短冊櫛歯状に加工し当該端部を集電部材に接続する技術や、集電体に取り付けた集電タブを集電部材に接続する技術が採用されている。通常、正極側、負極側の集電部材はそれぞれ直接的に、または、リード部材を介して外部端子に接続されている。例えば、集電体に複数の集電タブを取り付け、集電タブの端部をまとめて外部端子を兼ねる集電部材に接続する技術が開示されている(特許文献1参照)。
ところが、集電体に短冊櫛歯状の加工を施したり集電タブを取り付けたりする技術では、加工や取り付けの作業に時間を要するため、工業的量産時に製造効率(作業性)を低下させることがある。また、短冊櫛歯状に加工するため、集電体の捨て代が多くなり材料歩留が低くなる等の問題もある。このような集電体を用いた場合は、正負極板をセパレータを介して捲回し電極群を作製する際に、捲回の回転遠心力で短冊櫛歯状の端部や集電タブが放射状にひろがり電極群に咬み込まれることがある。この結果、正負極間の絶縁が損なわれて短絡が生じ、いわゆる工程不良へと繋がる。更に、集電タブ等が電極群の端面を覆うように曲げられて集電部材の側縁に接続されるため、電解液の浸透を妨げることとなる。この結果、電解液注液時の所要時間が長くなり(仕掛リードタイムが増加し)、コストアップに繋がる要因となる。これらを解決するために、両面に突状部を有する集電部材の一方の突状部を集電体の端縁に接触させ、他方の突状部にエネルギー線を照射することで集電部材と集電体とを溶接し、集電部材を外部端子と接続する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−283824号公報 特開2004−172038号公報
しかしながら、特許文献2の技術では、短冊櫛歯状の加工や集電タブが不要なため、集電体の加工等に要する時間等の問題は生じないものの、集電部材と外部端子との接続が必要である。また、集電部材の両面に突状部が形成されているため、溶接により形成される溶融部分が大きくなりすぎることがある。このため、接合部分が大きくなり内部抵抗の低減は期待されるが、溶融部分が大きくなることでセパレータの損傷や正負極間の短絡を招き電池性能が低下するおそれがある。一方、集電体と集電部材とでは、厚さの差が大きく溶接等により電気的低抵抗で接合するときに、溶接ないしは接合金属のスパッタ(飛散した溶融金属)発生や発塵を伴うことがある。スパッタ等が電極群の端部(セパレータ同士の間)に混入すると、高温のスパッタでセパレータが溶断され貫通穴が形成されるため、スパッタ金属を介して正負極間の微小短絡が生じる可能性があり電池不良を増大させることとなる。貫通穴が大きく形成された場合には、スパッタ等を介さなくとも微小短絡が生じる可能性がある。また、セパレータに貫通穴が形成されないまでも、混入したスパッタ等が電極電位により電気化学的に溶解し対極で電気化学的に析出することがある。析出した金属がデンドライト状に成長すると、成長先端がセパレータを貫通し微小短絡にいたる可能性がある。
本発明は上記事案に鑑み、電池不良を低減し電池性能を確保することができるリチウムイオン二次電池を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、正極活物質を主体とする正極合剤が集電体に略均等に塗着された正極板と、負極活物質を主体とする負極合剤が集電体に略均等に塗着された負極板とがセパレータを介して配置された電極群を備え、前記正極板および負極板がそれぞれ前記集電体の一側の端部に前記正極合剤および負極合剤の未塗着部を有しており、前記正極板および負極板の未塗着部の一部または全部が前記セパレータの端縁から互いに反対方向に突出し該未塗着部の端部がそれぞれ集電部材に溶接により接合されたリチウムイオン二次電池において、前記正極板および負極板のうち少なくとも正極板は、前記集電体の前記未塗着部と対向する他側の端部に、前記正極合剤ないし負極合剤の塗着厚さとほぼ同じ厚さの耐熱性絶縁層を有していることを特徴とする。
本発明では、正極板および負極板のうち少なくとも正極板が集電体の未塗着部と対向する他側の端部に、正極合剤ないし負極合剤の塗着厚さとほぼ同じ厚さの耐熱性絶縁層を有しているため、集電体の未塗着部の端部と集電部材との溶接時に生じた溶融金属や発塵金属がセパレータ同士の間に混入したときに、セパレータの損傷や混入金属の充放電による電気化学的な溶解析出が生じても、正負極間の微小短絡が抑制されるので、製造時の電池不良を低減し使用時の電池性能を確保することができる。
この場合において、耐熱性絶縁層がセラミクス粉末を主体とすることが好ましい。また、耐熱性絶縁層の空隙率を集電体に塗着された正極合剤ないし負極合剤の空隙率以上とすることが好ましい。正極板および負極板を、耐熱性絶縁層の塗着端がセパレータを介して対向する負極合剤ないし正極合剤の塗着端からはみ出して位置するように配置してもよい。
本発明によれば、正極板および負極板のうち少なくとも正極板が集電体の未塗着部と対向する他側の端部に、正極合剤ないし負極合剤の塗着厚さとほぼ同じ厚さの耐熱性絶縁層を有しているため、集電体の未塗着部の端部と集電部材との溶接時に生じた溶融金属や発塵金属のセパレータ同士の間への混入に伴いセパレータの損傷、充放電による混入金属の電気化学的な溶解析出が生じても、正負極間の微小短絡が抑制されるので、製造時の電池不良を低減し使用時の電池性能を確保することができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明を適用した円筒型リチウムイオン二次電池の実施の形態について説明する。
(構成)
図1に示すように、本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池20は、正極板および負極板がセパレータを介して対向するように断面渦巻状に捲回された電極群としての捲回群6を備えている。捲回群6は、上部に開口部が形成された電池容器10に収容されている。
捲回群6の捲回中心には、ポリプロピレン樹脂製で中空円筒状の軸芯12が使用されている。図4に示すように、捲回群6は、正極板2と負極板4とが、これら両極板が直接接触しないようにポリエチレン製等のセパレータ5を介して重ねられ、軸芯12の周囲に捲回されている(図4では、軸芯12を捨象している)。セパレータ5は、本例では、厚さが20μm、幅(軸芯12の長手方向の長さ)が91mmに設定されている。正極板2、負極板4およびセパレータ5は、正極板2に形成された正極未塗着部1と負極板4に形成された負極未塗着部3とが、それぞれ捲回群6の互いに反対側の両端面に位置するように重ねられている。正極未塗着部1および負極未塗着部3は、それぞれセパレータ5の両端縁から2mmはみ出した位置に配置されている。
捲回群6では、正極未塗着部1および負極未塗着部3のそれぞれ一部がセパレータ5の両端縁から互いに反対方向に突出しており、突出した端部がそれぞれ捲回群6の両端面に位置している。すなわち、捲回群6の上部には正極未塗着部1(アルミニウム箔)が層状に突出したアルミニウム箔露出部15が形成されており、下部には負極未塗着部3(圧延銅箔)が層状に突出した銅箔露出部14が形成されている。正極板2、負極板4およびセパレータ5の長さを調整することで、捲回群6の外径(直径として)が38±0.1mmに調整されている。捲回群6の内径(直径として)は軸芯12の外径と同じ9mmとなる。捲回群6の周面全周には、捲回群6が巻き解けないように、ポリイミド製基材の片面にヘキサメタアクリレート等の粘着剤が塗着された粘着テープが貼り付けられており、捲回群6の巻き終わりの終端部分が固定されている。この捲回群6では、正極板2、負極板4ともに層状に50回捲回されており、すなわち、50層の積層体が形成されている。
図1に示すように、捲回群6の上方には正極板からの電位を集電するアルミニウム製の集電部材としての集電円盤7が配置されており、下方には負極板からの電位を集電する銅製の集電部材としての集電円盤7が配置されている。すなわち、集電円盤7は捲回群6の両端面にそれぞれ対向して配置されており、集電円盤7の材質にはそれぞれ正極集電体および負極集電体と同じ材質が使用されている。正極側、負極側のいずれの集電円盤7も同じ形状に形成されている。
図5に示すように、集電円盤7は、中央部の捲回群6側に軸芯12に固定するための円筒状の突部が形成されている(図1も参照。)。集電円盤7の直径は、本例では、38.5mmに設定されている。集電円盤7は、捲回群6と反対側の面に断面略台形の連続した突状部8を有しており、捲回群6と対向し突状部8に対応する位置に平面部を有している。突状部8は、集電円盤7の半径方向に沿う放射状に4箇所に形成されている。すなわち、突状部8は、集電円盤7の中央部から外縁部に向けて延設されている。突状部8の寸法は、図6(A)に示すように、集電円盤7の厚さ0.2mmに対し、上底幅(台形の先端部の幅)0.2mm、下底幅(台形の基部の幅)0.6mm、突出高さ0.8mmに設定されている。突状部8の長さ(集電円盤7の半径方向の長さ)は、捲回群6の上部に突出したアルミニウム箔(負極側では、捲回群6の下部に突出した圧延銅箔)の中心側の位置から外周側の位置までに対応するように設定されている。換言すれば、突状部8は、捲回群6の(軸芯12を除く)最内周から最外周までの位置に対応し、各周のアルミニウム箔および圧延銅箔がそれぞれの集電円盤7の平面部に位置するように形成されている。
また、集電円盤7の突状部8を有していない部分、すなわち、突状部8同士の間の扇状の部分には、電池作製における非水電解液注液時に非水電解液の通液経路となる複数のスリット9が形成されている。スリット9は、集電円盤7の半径方向を長径とする長円状で4箇所に形成されている。
図1に示すように、正極側および負極側の集電円盤7は、中央部に形成された円筒状の突部で軸芯12の上端部および下端部にそれぞれ固定されている。正極側では、集電円盤7の下面に、捲回群6の上部に形成されたアルミニウム箔露出部15の上端面(正極未塗着部1の端部)を当接させてレーザ溶接により突状部8を溶融し平面部から突出させることで複数の接合部で接合されている。一方、負極側では、集電円盤7の上面に、捲回群6の下部に形成された銅箔露出部15の下端面(負極未塗着部3の端部)を当接させてレーザ溶接により突状部8を溶融し平面部から突出させることで複数の接合部で接合されている。正極側、負極側ともに、正極未塗着部1、負極未塗着部3と集電円盤7との接合部は、集電円盤7の捲回群6と対向する面側から突出するように形成されている。
正極側の集電円盤7の上方には、正極外部端子を兼ねる円盤状の上蓋11が配置されている。集電円盤7の中央部上面には、厚さ0.3mm、幅16mmのアルミニウム製の正極リード14の一端が溶接されている。正極リード14の他端は、上蓋11を構成する円盤16の下面にレーザ溶接で接合されている。一方、負極側の集電円盤7の下方には、厚さ0.5mmのニッケル製で中央部が捲回群6と反対側に突出した円板状の負極リード13が配置されている。負極リード13の外周部上面は、集電円盤7の下面に超音波溶接で接合されている。負極リード13の中央部下面は、負極外部端子を兼ねる電池容器10の内底面に抵抗溶接で接合されている。電池容器10には、ニッケルめっきが施された鉄製の有底円筒状容器が用いられており、本例では、厚さが0.5mmに設定されている。なお、電池容器10には、底面の外側からレーザ光が照射され、負極リード13と電池容器10との溶接箇所が増やされている。
上蓋11は、図7に示すように、アルミニウム製のキャップ17、アルミニウム製の円盤16で形成されている。キャップ17は、中央部が捲回群6と反対側(電池外部側)に突出しており、キャップ17の厚さは、本例では、1mmに設定されている。円盤16は、電池容器10の開口部を覆うように、円盤状で中央部が捲回群6側に突出した皿状の形状を呈している。円盤16の厚さは、本例では、0.5mmに設定されている。円盤16の外周部は、全周にわたってキャップ17の外周部上面側に折り返されている。外周部の全周にわたって、キャップ17の上方から円盤16の折り返された部分に向けて(図7の黒矢印A方向)レーザ溶接が施されている。
図1に示すように、上蓋11は、電池容器10の上部の開口部にポリプロピレン樹脂製のガスケット15を介してカシメ固定されている。このため、電池容器10は上蓋11で封口密閉されている。また、電池容器7内には、非水電解液が注液されている。非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとの体積比2:3の混合溶媒中へ6フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットル溶解させたものが用いられている。
捲回群6を構成する正極板2は、図2に示すように、正極板2を構成する正極集電体としてアルミニウム箔を有している。アルミニウム箔の厚さは、本例では、20μmに設定されている。アルミニウム箔の両面には、正極活物質を含む正極合剤が略均等に塗着され正極合剤層が形成されている。正極活物質には、例えば、化学式LiMnで表されるマンガン酸リチウム等のリチウム遷移金属複酸化物の粉末が用いられている。正極合剤には、正極活物質、主たる導電材として黒鉛粉末、副たる導電材としてアセチレンブラックおよびバインダ(結着剤)としてポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFと略記する。)が、例えば、質量比85:8:2:5となるように配合されている。アルミニウム箔への正極合剤の塗着時には、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する。)等の分散溶媒で粘度調整されスラリが調製される。アルミニウム箔の長寸方向一側の側縁には、両面共に正極合剤が塗着されない幅6mmの正極未塗着部1が形成されている。
また、正極板2は、アルミニウム箔の長寸方向他側の側縁に、正極未塗着部1と対向するように、両面に耐熱性絶縁材を主体とする耐熱絶縁層18を有している。耐熱性絶縁材にはアルミナ粉末やジルコニウム粉末等のセラミクス粉末が用いられている。耐熱絶縁層18は、セラミクス粉末とバインダのPVDFとが、例えば、質量比90:10に配合されている。耐熱絶縁層18の形成時には、NMPで粘度調整されスラリが調製される。このスラリがアルミニウム箔に塗布され乾燥することで耐熱性絶縁材が塗着されている。耐熱絶縁層18の幅は、本例では、10mm以下に設定されている。正極板2は、乾燥後プレスされている。このとき、耐熱絶縁層18の厚さが正極合剤層の厚さと同じになるように、正極合剤層のプレスと同時に同一のプレスロールでプレスされる。その後、裁断され幅88mmの帯状の正極板2が形成されている。正極合剤層の空隙率は、30%に設定されている。耐熱絶縁層18の空隙率は、正極合剤層の空隙率以上となるように調整されている。セラミクス粉末の粒度や配合割合を変えることで、耐熱絶縁層18の空隙率を調整することができる。上述したように、捲回群6の作製時には正極未塗着部1がセパレータ5の端縁から2mmはみ出した位置に配置されるため、正極未塗着部1の一部が捲回群6の端面から突出しアルミニウム箔露出部15を形成していることとなる。
一方、負極板4は、図3に示すように、負極板4を構成する負極集電体として圧延銅箔を有している。圧延銅箔の厚さは、本例では、20μmに設定されている。圧延銅箔の両面には、負極活物質としてリチウムイオンを可逆に吸蔵、放出可能な易黒鉛化性炭素等の炭素材料の粉末を含む負極合剤が略均等に塗着されている。負極合剤には、例えば、易黒鉛化性炭素粉末の92質量部に8質量部のPVDFが配合されている。圧延銅箔への負極合剤の塗着時には、NMP等の分散溶媒で粘度調整されスラリが調製される。負極板4は、乾燥後プレスされ、幅89mmの帯状に形成されている。圧延銅箔の長寸方向一側の側縁には、正極板2と同様に、幅3mmの負極未塗着部3が形成されている。上述したように、捲回群6の作製時には負極未塗着部3がセパレータ5の端縁から2mmはみ出した位置に配置されるため、負極未塗着部3の一部が捲回群6の端面から突出し銅箔露出部14を形成していることとなる。なお、負極活物質の圧延銅箔への塗着量は、初充電時に正極板2から放出されるリチウムイオン量と初充電時に負極板4に吸蔵されるリチウムイオン量とが1:1となるように調整されている。
ここで、負極側の集電円盤7の近傍における、正極板2、負極板4、セパレータ5の位置関係について詳述する。図8に示すように、正極板2および負極板4は互いに接触しないようにセパレータ5を介して配置されている。負極未塗着部3の端部は一部がセパレータ5の端縁から突出して配置されている。負極未塗着部3の端部が集電円盤7の下面(平面部)にレーザ溶接で接合されている。正極板2は、アルミニウム箔の端部の両面に耐熱絶縁層18を有している。負極板4の負極合剤の塗着端は、対向する正極板2の正極合剤の塗着端からはみ出して位置するように配置されている。すなわち、負極合剤の塗着端は、正極合剤の塗着端より集電円盤7側に位置している。また、耐熱絶縁層18の塗着端は、負極合剤の塗着端からはみ出して位置するように配置されている。すなわち、耐熱絶縁層18の塗着端は、負極合剤の塗着端より集電円盤7側に位置している。
(電池組立)
リチウムイオン二次電池20は、次のようにして組み立てられる。まず、捲回群6の上側に集電円盤7を載置し、捲回群6の上部に形成されたアルミニウム箔露出部15の上端面(正極未塗着部1の端部)に集電円盤7の平面部を当接させる。突状部8の上方(集電円盤7の上方)から、突状部8の上面に、長手方向(集電円盤7の半径方向)に沿ってレーザ光を照射する。レーザ光の照射により突状部8および集電円盤7の一部を溶融させることで、レーザ光照射面の背面(集電円盤7の平面部)と、該背面に当接した各周(50層)の正極未塗着部1の端部とを接合する。すなわち、レーザ光照射により突状部8および集電円盤7の一部が溶融すると、重力で溶融部分が集電円盤7の平面部から垂下(突出)する。溶融部分は、レーザ光の照射による溶接軌跡を形成する。レーザ光照射後は、この垂下した部分が溶融痕跡として残り、集電円盤7と正極未塗着部1の端部とが複数箇所で接合される。接合後は、突状部8が形成されていた部分が略平坦となる。4つの突状部8について、順次突状部8の上方からレーザ光を照射することで、正極未塗着部1の端部と集電円盤7の平面部とを溶接する。次に、負極未塗着部3の端部(50層)と集電円盤7とについても、正極未塗着部1の端部と集電円盤7との溶接と同様にして溶接する。このとき、正極側の集電円盤7を溶接した捲回群6の上下を反対にして銅箔露出部14を上側にして行う。
ここで、レーザ溶接について詳述する。正極側、負極側で同じように溶接されるため、正極側についてのみ説明する。レーザ光は、突状部8の上底面にジャスト・フォーカスとし、送り速度を5m/分に設定した。また、レーザ光の出力条件は、集電円盤7の突状部8が溶融して下方に垂下し、突状部8の上底面が実質的に周囲面と同じか少なくとも突状部8の突出高さの20%程度になるように策定した。この条件は、突状部8の溶融部分が集電円盤7の下方に垂下し、アルミニウム箔との溶接に適切であることを実験的に求めたものである。レーザ光の出力が強すぎると、レーザ光が集電円盤7を貫通し、アルミニウム箔を溶断させてしまうし、出力が弱すぎると、十分な垂下が得られず、溶接確率が低下するためである。突状部8にレーザ光を照射すると、突状部8および集電円盤7の一部が溶融し、重力で溶融部分が集電円盤7の下面の平面部から下方に断面半円状に垂下する。溶融部分は突状部8に対応するように形成され、この溶融部分が捲回群6の正極未塗着部1同士の間に入り込む。溶融部分が正極未塗着部1の端部の両面を濡らすように垂れ下がり、正極未塗着部1の端部が溶融部分に溶かし込まれて一体化される。レーザ光照射後は、垂下した溶融部分が冷却固化し溶融痕跡として残る。このため、突状部8の長手方向に沿う複数箇所で正極未塗着部1の端部が集電円盤7に接合される。また、正極未塗着部1の端部と集電円盤7との接合部は、集電円盤7の捲回群6と対向する面側から突出するように形成される。
次いで、負極側の集電円盤7の捲回群6と反対側の面に負極リード13を超音波接合法で取り付ける。負極リード13を取り付けた捲回群6を電池容器10に負極リード13が電池容器10の底面側となるように収容する。負極リード13の下面と電池容器10の内底面とを抵抗溶接で接合する。接合後、電池容器10の底面の外側からレーザ光を照射し、負極リード13と電池容器10との溶接箇所を増加させる。
続いて、正極側の集電円盤7の上面に正極リード14の一端を溶接で接合し、他端を上蓋11を構成する円盤16の下面に溶接で接合する。次に、電池容器10内に非水電解液を注液する。非水電解液の注液量は、本例では、50gに設定されている。非水電解液注液後、ガスケット15を介して上蓋11を電池容器10の開口部にカシメ固定して封口密閉し、リチウムイオン二次電池20を完成させた。
(作用等)
次に、本実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池20の作用等について説明する。
本実施形態では、正極未塗着部1の端部、負極未塗着部3の端部がそれぞれ捲回群6の両端面に対向するように配置された集電円盤7にレーザ溶接により複数箇所で接合されている。このため、集電経路が確保されるので、内部抵抗の低減を図ることができる。正極未塗着部1、負極未塗着部3と集電円盤7との厚さの違いから電気的低抵抗で溶接ないし接合を仕上げるためには、溶接時に接合金属(アルミニウムや銅)のスパッタ発生や発塵を伴うことがある。スパッタ等が正極板2や負極板4の端面に混入すると、例えば、スパッタが高温のため、セパレータ5を溶断し、貫通穴を形成することでスパッタ等を介して正極板2および負極板4間の微小短絡を引き起こす可能性がある。また、貫通穴が大きく形成されるとスパッタ等を介さなくとも微小短絡を引き起こす可能性がある。更に、セパレータ5に貫通穴が形成されないまでも、混入したスパッタ等が電極電位により電気化学的に溶解し、セパレータ中をイオンとして拡散移動する。対極に到達したイオンが電気化学的に金属として析出しデンドライト状に成長すると、成長先端がセパレータ5を貫通し、微小短絡にいたる可能性もある。
これらを回避するために、本実施形態では、正極板2が負極側に位置するアルミニウム箔の端部に耐熱絶縁層18を有している。このため、負極未塗着部3の端部と集電円盤7との溶接時に生じたスパッタ等でセパレータ5の端部が溶断しても、負極合剤の塗着端部が耐熱絶縁層18と対向しており、正極合剤の塗着端部と対向していないので、微小短絡の発生を防止することができる。また、混入したスパッタ等が電気化学的に溶解析出しデンドライト状に成長しても負極合剤の塗着端部には耐熱絶縁層18が対向して存在しているので、微小短絡を抑制することができる。従って、電池製造時にはセパレータの損傷による電池不良を低減することができ、電池使用時にはデンドライト成長による微小短絡を抑制し電池性能を確保することができる。
また、本実施形態では、正極板2の作製時に耐熱絶縁層18が正極合剤層のプレスと同時にプレスされ、耐熱絶縁層18の厚さが正極合剤層の厚さとほぼ同じに設定されている。このため、耐熱絶縁層18の表面および正極合剤層の表面が共に段差を生じることなくセパレータ5に接触するので、捲回群6の作製(捲回)時や電池組立時に耐熱絶縁層18の剥離や脱落を抑制することができる。
更に、本実施形態では、耐熱絶縁層18の空隙率が正極合剤層の空隙率以上に設定されている。このため、非水電解液の注液時に、耐熱絶縁層18に対する非水電解液の浸透性が確保されるので、耐熱絶縁層18が非水電解液の正極板2に対する浸透を阻害することを抑制することができる。これにより、正極板2に非水電解液が十分かつ速やかに浸透するので、電池製造の効率を向上させることができ、電極反応を阻害することなく電池性能の低下を抑制することができる。
また更に、本実施形態では、耐熱絶縁層18の塗着端が負極合剤の塗着端からはみ出して配置されている(図8参照)。このため、集電円盤7との溶接時に生じた銅スパッタ等が正極板2のアルミニウム箔の裁断端部に付着したときに、電気化学的に溶解析出しデンドライト状に成長しても、成長先端がアルミニウム箔の裁断端部に付着した銅スパッタや正極合剤に接触することがない。これにより、微小短絡の発生が抑制されるので、電池性能を確保することができる。
更にまた、本実施形態では、正極未塗着部1の端部、負極未塗着部3の端部がそれぞれ集電円盤7にレーザ溶接で接合される。このため、正極未塗着部1や負極未塗着部3を、例えば、短冊櫛歯状に加工したり集電タブを取り付けたりすることを要せず、集電円盤7と低インピーダンスで溶接することができる。これにより、加工や取り付けの時間が不要となり製造時の作業性を向上させることができ、アルミニウム箔や圧延銅箔の捨て代が多いことによる材料歩留まりの低下を解消することができる。また、短冊櫛歯状に加工した正極板、負極板では、捲回時の回転遠心力で短冊櫛歯状の部分が放射状にひろがり捲回群に咬み込まれた状態でまき取られることがあり、正負極間の絶縁が損なわれるのに対して、本実施形態では、短冊櫛歯状に加工しないので、所謂工程不良へのポテンシャルを完全に排除することができる。さらに、短冊櫛歯状に加工した正極板、負極板では、加工部分が捲回群等の端部を覆うように集合され集電円盤等に接合されるのに対して、本実施形態では、正極未塗着部1の端部や負極未塗着部3の端部が捲回群6の端面を覆うことがなく、また、集電円盤7にスリット9が形成されている。このため、非水電解液の注液や含浸が妨げられることがないので、非水電解液が捲回群6内に浸透する時間を短縮することができ、仕掛リードタイムの増加に繋がるような要因も完全に排除可能である。従って、非水電解液の注液、含浸の所要時間の増加がなく、内部短絡、電圧低下を引き起こすポテンシャルをも排除可能となるので、高性能、高信頼性のリチウムイオン二次電池を得ることができる。
なお、本実施形態では、正極板2が耐熱絶縁層18を有する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、正極板2、負極板4の両極板が耐熱絶縁層18を有するようにしてもよい。このようにすれば、微小短絡の発生を更に抑制することができる。正極集電体の材質のアルミニウムが負極集電体の材質の銅より電気化学的に溶解析出しやすいことから、正極側の溶接時に発生するアルミニウムのスパッタが負極板4に混入する場合と比較して、負極側の溶接時に発生する銅のスパッタが正極板2に混入する場合の方が影響が大きくなると考えられる。このため、正極板2および負極板4のうち少なくとも正極板2が耐熱絶縁層18を有していることが好ましい。また、本実施形態では、耐熱性絶縁材としてセラミクス粉末を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、耐熱性および絶縁性を有しており、アルミニウム箔や圧延銅箔等の正負極集電体に塗着することができる材料であればよい。
また、本実施形態では、正極合剤層の空隙率を30%に設定する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、通常用いられる程度の空隙率に設定すればよい。耐熱絶縁層18の空隙率についても、正極合剤層の空隙率以上であれば特に制限されるものではない。更に、本実施形態では、耐熱絶縁層18の幅を10mm以下に設定する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。耐熱絶縁層18の幅を大きくすると相対的に正極合剤の塗着面積が小さくなり電池性能を低下させることを考慮すれば、耐熱絶縁層18の幅を10mm以下程度に設定することが好ましい。
更に、本実施形態では、集電円盤7の4箇所に放射状の突状部8を形成する例を示したが、本発明はこれに制限されるものではない。突状部8を複数の放射直線状とする以外に、例えば、インボリュート曲線等の複数の曲線状や、直線状および曲線状を含むように形成してもよく、突状部の数についても特に制限されない。また、全ての突状部8が集電円盤7の中心側から周縁側にわたって形成される必要はなく、例えば、一部の突状部が半径方向の中途から周縁部にわたっていてもよい。更に、本実施形態では、突状部8の断面形状として略台形を例示し、寸法の一例を示した(図6(A)参照)が、断面の形状、寸法についても特に制限されるものではない。例えば、図6(B)に示すように、集電円盤7の厚さ0.2mmに対し、上底幅を0.4mm、下底幅を1.0mm、突出高さを1.2mmに設定してもよい。
また更に、本実施形態では、アルミニウム箔の両面に正極合剤が塗着された正極板2、圧延銅箔の両面に負極合剤が塗着された負極板4を捲回し捲回群6を構成する例を示したが、正極合剤の塗着面と負極合剤の塗着面とが(セパレータ5を介して)対向しない積層構造部分においては、部分的に片面のみの塗着部分があってもかまわない。
更にまた、本実施形態では、正極板2、負極板4をそれぞれ帯状に形成し両極板をセパレータ5を介して捲回した捲回群6を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、矩形状や円形状等の正極板、負極板をセパレータを介して積層した積層電極群としてもよい。また、本実施形態では、電池容器10が負極外部端子を兼ねる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電池容器10を正極外部端子としてもよい。
また、本実施形態では、電池容器10に円筒状の有底容器を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、積層電極群を用いる場合には、直方体状の容器を用いるようにしてもよい。更に、本実施形態では、集電部材として集電円盤7を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、レーザ溶接に要する突状部8が形成されていればよい。例えば、積層電極群を用いる場合には、矩形状の集電部材としてもよく、形状に制限されるものではない。
更に、本実施形態で例示した正負極活物質の種類、正負極合剤の組成や配合比率は、本発明を制限するものではない。また、本発明は、本実施形態の正負極板に用いた金属箔集電体の種類やグレード、正負極板の厚さや作製法等によっても制限されるものではなく、非水電解液の組成や注液量にも制限のないことはもちろんである。
次に、本実施形態に従い作製したリチウムイオン二次電池20の実施例について説明する。なお、比較のために作製した比較例についても併記する。
(実施例1)
実施例1では、正極板2の耐熱絶縁層18を構成する耐熱絶縁材にアルミナ粉末を用い、耐熱絶縁層18の幅を2mmに設定した。この耐熱絶縁層18の空隙率は、正極合剤層の空隙率(30%)より小さい26%であった。負極側の集電円盤7近傍における、正極板2、負極板4、セパレータ5の位置関係は、図9に示すように、負極板4の負極合剤の塗着端が対向する正極板2の正極合剤の塗着端および耐熱絶縁層18の塗着端からはみ出して位置するように配置されている。すなわち、耐熱絶縁層18の塗着端は、負極合剤の塗着端からはみ出さず、捲回群6の内側になる位置に配置されている。なお、正極未塗着部1の端部、負極未塗着部3の端部をそれぞれ集電円盤7にレーザ溶接するときのレーザ光の出力条件は、アルミニウム箔、圧延銅箔の溶断の起こらない範囲で意図的に出力を強め、差が顕在化しやすいように、スパッタの発生しやすい条件で実施した(実際の工業的生産においては、レーザ条件でスパッタ発生を抑制することが望ましい。)。
(実施例2)
実施例2では、耐熱絶縁層18を構成する耐熱絶縁材にジルコニア粉末を用いる以外は実施例1と同様にした。この耐熱絶縁層18の空隙率は、正極合剤層の空隙率より小さい28%であった。また、耐熱絶縁層18の塗着端は、負極合剤の塗着端からはみ出さず、捲回群6の内側になる位置に配置されている。
(実施例3)
実施例3では、耐熱絶縁層18を構成する耐熱絶縁材にジルコニア粉末を用いる以外は実施例1と同様にした。この耐熱絶縁層18の空隙率は、正極合剤層の空隙率と同じ30%であった。また、耐熱絶縁層18の塗着端は、負極合剤の塗着端からはみ出さず、捲回群6の内側になる位置に配置されている。
(実施例4)
実施例4では、耐熱絶縁層18を構成する耐熱絶縁材にジルコニア粉末を用いる以外は実施例1と同様にした。この耐熱絶縁層18の空隙率は、正極合剤層の空隙率以上の34%であった。また、耐熱絶縁層18の塗着端は、負極合剤の塗着端からはみ出さず、捲回群6の内側になる位置に配置されている。
(実施例5)
実施例5では、耐熱絶縁層18を構成する耐熱絶縁材にアルミナ粉末を用い、耐熱絶縁層18の幅を5mmに設定する以外は実施例1と同様にした。この耐熱絶縁層18の空隙率は、正極合剤層の空隙率以上の34%であった。また、耐熱絶縁層18の塗着端は、負極合剤の塗着端からはみ出して位置するように配置されている(図8参照)。
(比較例1)
比較例1では、正極板2に耐熱絶縁層18を形成しない以外は実施例1と同様にした。また、負極板4の負極合剤の塗着端は、対向する正極板2の正極合剤の塗着端からはみ出して位置するように配置されている。
(評価)
実施例1〜実施例4および比較例1について、電池組立時の非水電解液注液後における正極板2に対する非水電解液の含浸状況を調査、比較した。すなわち、非水電解液注液後、一定時間毎に捲回群6を分解し、正極板2を外観目視にて観察することで、正極板2の全体に対する非水電解液の含浸に所要する時間を調べた。この結果、実施例3、実施例4のリチウムイオン二次電池では、比較例1のリチウムイオン二次電池とほぼ同じ含浸所要時間であった。これに対し、実施例2のリチウムイオン二次電池では約1.2倍、実施例1のリチウムイオン二次電池では約1.44倍の時間を所要することが判った。この観察結果から、耐熱絶縁層18の空隙率が正極合剤層の空隙率より小さいほど、含浸に所要する時間が長くなることが明らかとなった。従って、非水電解液の含浸時間を考慮すれば、耐熱絶縁層18の空隙率を正極合剤層の空隙率以上とすることが好ましい。
次に、実施例4、実施例5および比較例1のリチウムイオン二次電池のそれぞれ300個について、不良率を調べた。すなわち、電池作製後、室温にて2A定電流で4.2Vまで充電し、引続き4.2V定電圧で電流が0.1A以下に垂下するまで充電した。その後、電池を周囲環境温度45℃で放置し定期的に電池電圧を測定した。測定と測定との間ごとの各区間の電圧変化速度を統計処理し、電圧変化速度の大きい分布離散のある電池を不良と判断した。
比較例1のリチウムイオン二次電池では、不良率が12/300であった。不良と判断されたリチウムイオン二次電池を分解調査し、症状、原因を確認した。この結果、不良12個のうち8個について、負極側の集電円盤7と負極未塗着部3の端部との溶接時に生じた銅スパッタによるセパレータ5の貫通が認められ、微小短絡の生じていることが判った。残り4個については、正極板2の正極合剤の塗着端部と負極板4の負極合剤の塗着端部との間のセパレータ5を貫通する銅のデンドライトによる微小短絡が認められた。
これに対して、実施例4、実施例5のリチウムイオン二次電池では、不良率が、実施例4で1/300、実施例5で0/300であった。実施例4の不良と判断された1個のリチウムイオン二次電池について分解調査した結果、正極板2の端部でアルミニウム箔の裁断露出部に比較的大きな銅スパッタが付着存在しており、この銅スパッタ粒子と負極板4との間のセパレータ5を貫通する銅のデンドライトによる微小短絡であることが判った。実施例4では、正極板2の端部に耐熱絶縁層18が形成されているので、負極側集電円盤7が負極未塗着部3の端部に溶接されるときに銅スパッタが発生して正極板2、負極板4の端部付近のセパレータ5を溶融貫通しても、内部短絡にいたることはない。ところが、300個のうち1個について不良と判断されデンドライトによる微小短絡が認められたことから、次のことが考えられる。すなわち、アルミニウム箔の裁断露出部に比較的大きなサイズの銅スパッタが付着すると、銅が電気化学的に溶解し、銅イオンとなってセパレータ5中を拡散移動し、負極合剤層表面で析出する。析出した銅が成長し、成長先端が(セパレータ5を貫通し)正極側に付着している銅スパッタに接触することで内部微小短絡が発生したものと考えられる。従って、実施例4では、耐熱絶縁層18の塗着端が負極合剤の塗着端からはみ出さず、捲回群6の内側になる位置に配置されているため、微小短絡を発生するポテンシャルを有していることが判った。
一方、実施例5では、耐熱絶縁層18の塗着端が負極合剤の塗着端からはみ出した位置に配置されているため、調べた300個のリチウムイオン二次電池のすべてについて不良が認められなかった。このことから、耐熱絶縁層18の塗着端部にはセパレータを介して対向する負極合剤層が存在しないので、正極板2の端部に銅スパッタが付着しても、実施例4のようなデンドライトによる微小短絡は極めて発生しにくいことが判明した。
本発明は電池不良を低減し電池性能を確保することができるリチウムイオン二次電池を提供するため、リチウムイオン二次電池の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
本発明を適用した実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池の概略を示す断面図である。 実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池を構成する正極板を模式的に示す平面図である。 実施形態の円筒型リチウムイオン二次電池を構成する負極板を模式的に示す平面図である。 円筒型リチウムイオン二次電池の捲回群を構成する正極板、負極板およびセパレータの位置関係を模式的に示す説明図である。 円筒型リチウムイオン二次電池に用いられた集電円盤の概略を示す斜視図である。 集電円盤に形成された突状部8の寸法を示す断面図である。 円筒型リチウムイオン二次電池を構成する上蓋の概略を示す断面図である。 負極側の集電円盤の近傍における、正極板、負極板およびセパレータの位置関係を示し、耐熱絶縁層の塗着端が負極合剤の塗着端からはみ出して配置された状態を示す断面図である。 負極側の集電円盤の近傍における、正極板、負極板およびセパレータの位置関係を示し、耐熱絶縁層の塗着端が負極合剤の塗着端からはみ出さずに配置された状態を示す断面図である。
符号の説明
1 正極未塗着部
2 正極板
3 負極未塗着部
4 負極板
5 セパレータ
6 捲回群(電極群)
7 集電円盤(集電部材)
18 耐熱絶縁層(耐熱性絶縁層)
20 円筒型リチウムイオン二次電池(リチウムイオン二次電池)

Claims (4)

  1. 正極活物質を主体とする正極合剤が集電体に略均等に塗着された正極板と、負極活物質を主体とする負極合剤が集電体に略均等に塗着された負極板とがセパレータを介して配置された電極群を備え、前記正極板および負極板がそれぞれ前記集電体の一側の端部に前記正極合剤および負極合剤の未塗着部を有しており、前記正極板および負極板の未塗着部の一部または全部が前記セパレータの端縁から互いに反対方向に突出し該未塗着部の端部がそれぞれ集電部材に溶接により接合されたリチウムイオン二次電池において、前記正極板および負極板のうち少なくとも正極板は、前記集電体の前記未塗着部と対向する他側の端部に、前記正極合剤ないし負極合剤の塗着厚さとほぼ同じ厚さの耐熱性絶縁層を有していることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. 前記耐熱性絶縁層はセラミクス粉末を主体とすることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記耐熱性絶縁層は、空隙率が前記集電体に塗着された前記正極合剤ないし負極合剤の空隙率以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記正極板および負極板は、前記耐熱性絶縁層の塗着端が前記セパレータを介して対向する負極合剤ないし正極合剤の塗着端からはみ出して位置するように配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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