JPWO2018123089A1 - 巻回型電池 - Google Patents

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Abstract

それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータを重ね合わせた状態で巻回してなる電極体を有し、前記負極がLiと合金化する金属を含む巻回型電池において、電池特性を低下させることなく、前記負極の膨張による電極体内部の損傷発生を抑制する。巻回型電池1は、正極31、負極32及びセパレータ33を重ね合わせた状態で巻回することにより、円柱状に形成された電極体30と、電極体30が内部に封入された電池ケース2とを備える。負極32は、Liと合金化可能な元素を含む負極電極部51と、負極端部52とを有する。電極体30は、電極体30の径方向に隣り合う負極端部52の間の少なくとも一部に位置し、且つ、正極31の厚みよりも大きい厚みを有するスペーサ部53を有する。

Description

本発明は、それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータを重ね合わせた状態で巻回してなる電極体を有する巻回型電池に関する。
従来より、それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータを重ね合わせた状態で巻回してなる電極体を有する巻回型電池が知られている。このような巻回型電池において、例えば特許文献1には、負極集電体の表面に負極活物質層が形成された負極と、正極集電体の表面に正極活物質層が形成された正極とを、セパレータを介して積層した状態で巻回することにより得られる円筒形の巻回体が開示されている。
また、特許文献1には、リチウムと他の金属との合金化反応を用いた二次電池も開示されている。このような二次電池では、負極にリチウムと合金化可能な金属が含まれている。
上述のような二次電池では、負極に含まれる金属は、比較的大きなリチウム吸蔵量を有する。そのため、電池の充放電に伴って、前記負極に大きな体積変化が生じる。正極と負極とを積層した状態で巻回した電池では、径方向外方への変形が規制されている。そのため、負極の体積変化によって生じた力は、巻回体の内部に圧縮力として伝わる一方、前記負極及びその負極よりも外周側に位置する正極及び負極に対して周方向に引張力として加わる。これにより、巻回体内では、正極活物質層及び負極活物質層が押し潰されて変形を生じたり、セパレータが押し潰されて目詰まりを生じたりする可能性がある。また、上述のように正極及び負極に生じる引張力によって、該正極及び負極が切断する可能性もある。巻回体の内部でこのような変形が生じた場合、巻回体内のリチウムイオン導電性等が低下する。よって、電池特性が低下する。
これに対し、上述の特許文献1では、負極集電体の両面に設けられた負極活物質層の電気容量の比を調整することにより、負極の切断やしわの発生を防止している。同様に、巻回体の内部での損傷発生を防止するために、例えば特許文献2、3に開示されるように、正極及び負極の少なくとも一方において、材料成分や材料特性に工夫を凝らした構成や、例えば特許文献4に開示されるように、伸縮を緩和する伸縮緩和機能として、正極板に、正極合剤層(正極活物質層)の長手方向に対して直交する露出部を、前記長手方向に所定の間隔で形成する構成などが検討されている。
特開2004−311331号公報 特開2008−243661号公報 特開2010−165563号公報 特開2011−23130号公報
ところで、上述の特許文献1から3に開示されている構成では、巻回体(電極体)の正極または負極の材料成分や材料特性を変更している。また、特許文献4に開示されている構成では、正極板の長手方向に所定の間隔で露出部を設ける必要がある。
このように、特許文献1から4の構成では、電極体において正極または負極の設計を大きく変える必要がある。そのため、電池特性に影響を与える可能性がある。また、前記特許文献4に開示されている構成の電池では、正極において、正極活物質層を設けない部分が存在する。そのため、同じサイズの電池に比べて電池特性が低下する。
本発明の目的は、それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータを重ね合わせた状態で巻回してなる電極体を有し、前記負極がLiと合金化する金属を含む巻回型電池において、電池特性を低下させることなく、前記負極の膨張による電極体内部の損傷発生を抑制することにある。
本発明の一実施形態に係る巻回型電池は、それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータが、前記正極と前記負極との間に前記セパレータが位置するように巻回され、軸線方向に延びる円柱状の電極体と、前記電極体が内部に封入された外装体とを備える。前記負極は、厚み方向から見て、前記セパレータを挟んで前記正極と重なるように配置された負極電極部と、前記負極電極部に対して前記負極の短手方向の少なくとも一方に設けられ、前記厚み方向から見て、前記正極とは重ならない負極端部とを有する。前記負極電極部は、Liと合金化可能な元素を含む。前記電極体は、前記電極体の前記軸線方向に直交する断面において、前記電極体の径方向に隣り合う前記負極端部の間の少なくとも一部に位置し、且つ、前記正極の厚みよりも大きい厚みを有するスペーサ部を有する。
本発明の一実施形態に係る巻回型電池によれば、負極は、厚み方向から見てセパレータを挟んで正極と重なるとともに、Liと合金化可能な元素を含む負極電極部と、前記正極とは重ならない負極端部とを有する。前記正極、前記負極及び前記セパレータが巻回された円柱状の電極体は、電極体の径方向に隣り合う前記負極端部の間の少なくとも一部に位置し、前記正極の厚みよりも大きい厚みを有するスペーサ部を有する。これにより、電池特性を低下させることなく、電池の充電によって負極電極部が膨張した場合に電極体の内部に損傷が生じることを抑制できる。
図1は、実施形態に係る巻回型電池の概略構成を示す斜視図である。 図2は、充電前の巻回型電池を図1のII−II線断面で示す断面図である。 図3は、正極、負極及びセパレータの配置を模式的に示す図である。 図4は、正極、負極及びセパレータを厚み方向に重ねた状態で巻回する様子を模式的に示す図である。 図5は、電極体の概略構成を示す斜視図である。 図6は、充電前の電極体の一部(図2におけるX部)を拡大して示す拡大断面図である。 図7は、充電後の電極体の一部を拡大して示す図6相当図である。 図8は、スペーサ部の厚みと電極体内の歪との関係を示す図である。 図9は、スペーサ部が負極の両面に設けられている場合の電極体の一部を拡大して示す図6相当図である。 図10は、負極端部に一体で凸部が設けられている場合の図4相当図である。
本発明の一実施形態に係る巻回型電池は、それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータが、前記正極と前記負極との間に前記セパレータが位置するように巻回され、軸線方向に延びる円柱状の電極体と、前記電極体が内部に封入された外装体とを備える。前記負極は、厚み方向から見て、前記セパレータを挟んで前記正極と重なるように配置された負極電極部と、前記負極電極部に対して前記負極の短手方向の少なくとも一方に設けられ、前記厚み方向から見て、前記正極とは重ならない負極端部とを有する。前記負極電極部は、Liと合金化可能な元素を含む。前記電極体は、前記電極体の前記軸線方向に直交する断面において、前記電極体の径方向に隣り合う前記負極端部の間の少なくとも一部に位置し、且つ、前記正極の厚みよりも大きい厚みを有するスペーサ部を有する(第1の構成)。
これにより、Liと合金化可能な元素を含む負極電極部が、電池の充電時にLiとの合金が生成される際に膨張した場合でも、電極体の内部で損傷が生じることを防止できる。すなわち、前記負極電極部が上述のように膨張した場合でも、前記電極体の径方向に隣り合う負極端部の間に位置し、前記正極の厚みよりも大きい厚みを有するスペーサ部によって、前記電極体の径方向に隣り合う負極電極部の間に空間が形成される。これにより、前記負極電極部が上述のように膨張した場合でも、前記空間によって、前記負極電極部の膨張による厚みの増加を吸収することができる。よって、電極体の外周側部分によって径方向外方への変形が規制された前記電極体において、上述のような負極電極部の膨張によって、前記電極体を構成する正極、負極及びセパレータに対して、周方向に引張力が加わることを抑制しつつ前記電極体の内方に変位させるような力が加わることを抑制できる。したがって、上述の構成により、電池特性を低下させることなく、前記電極体の内部で損傷が生じることを抑制できる。
特に、上述のように、負極電極部に、Liと、Liと合金化可能な元素との合金が形成される場合には、前記負極電極部が大きく膨張する。よって、上述のようなスペーサ部を設けることによって、前記電極体の内部に損傷が生じることを効果的に抑制できる。
しかも、上述の構成により、巻回型電池の電池特性を向上することができる。上述のようなスペーサ部が設けられていない電極体では、正極と負極とがセパレータを介してほとんど隙間なく重なっている。そのため、非水電解液が電極体の内部まで均一に浸潤した状態になるまで時間がかかる。一方、上述の構成のように電極体の径方向に隣り合う負極端部の間に正極の厚みよりも大きいスペーサ部を設けることにより、充電前の状態において、前記径方向に隣り合う負極電極部の間隔が前記正極の厚みよりも大きくなる。よって、正極と負極電極部との間に空隙が形成される。これにより、電極体内部まで非水電解液を容易に浸潤させることができる。したがって、巻回型電池の電池性能を向上することができる。
前記第1の構成において、前記スペーサ部は、前記正極の厚みと、前記負極電極部の厚み及び前記負極端部の厚みの差との合計以上の厚みを有する(第2の構成)。これにより、電池を充電した際に負極電極部が膨張した場合に、電極体の正極、負極及びセパレータに対して、周方向の引張力及び前記電極体の内方に変位させるような力が加わることを、スペーサ部によってより確実に抑制できる。したがって、巻回型電池が充放電を繰り返した場合でも、前記電極体の内部に損傷が生じることをより確実に抑制できる。
前記第1の構成において、前記スペーサ部は、前記正極の厚みと、前記負極電極部の厚み及び前記負極端部の厚みの差との合計未満の厚みを有する(第3の構成)。スペーサ部の厚みを大きくすると、正極と負極電極部との電極間距離が大きくなって、電池特性が低下する可能性がある。これに対し、前記スペーサ部の厚みを上述の厚みにすることで、電極体の内部で損傷が生じることを抑制しつつ、正極と負極電極部との電極間距離を適切な範囲にすることができる。すなわち、上述の構成により、電極体の内部での損傷発生の抑制と、巻回型電池の電池特性の低下防止との両立を図れる。
前記第1から第3の構成において、前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方に設けられている(第4の構成)。これにより、電極体の径方向に隣り合う負極端部の間に、スペーサ部を容易に設けることができる。
前記第4の構成において、前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方に、長手方向の一方の端部から他方の端部に亘って設けられている(第5の構成)。これにより、電極体の径方向に隣り合う負極電極部を、電極体の全体に亘って、スペーサ部によって、より確実に離間させることができる。
前記第4または第5の構成において、前記スペーサ部は、前記電極体において、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方の径方向外周側に設けられている(第6の構成)。
電極体において、負極端部及びセパレータの少なくとも一方の径方向内周側にスペーサ部を設けた場合、正極、負極及びセパレータを厚み方向に重ねた状態で巻回した際に、前記スペーサ部にたるみ及びしわ等の変形が生じる可能性がある。これに対し、上述のように、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方の径方向外周側にスペーサ部を設けることにより、該スペーサ部を前記電極体の周方向に伸ばしつつ、前記正極、前記負極及び前記セパレータを巻回することができる。よって、前記スペーサ部にたるみ及びしわ等の変形が生じることを防止できる。これにより、前記電極体の径方向に隣り合う負極電極部の間隔を、より確実に確保することができる。
前記第4または第5の構成において、前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方の両面に設けられていて、前記スペーサ部のうち前記電極体の径方向に隣り合うスペーサ部の厚みの合計は、前記正極の厚みよりも大きい(第7の構成)。
これにより、負極端部及びセパレータの少なくとも一方の片面にスペーサ部を設ける場合に比べて、各スペーサ部の厚みを小さくすることができる。よって、正極、負極及びセパレータを厚み方向に重ねた状態で巻回する際に、スペーサ部にたるみ及びしわが生じることをより確実に防止できる。
前記第4から第7の構成のうちいずれか一つの構成において、前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータとは別部材によって構成されている(第8の構成)。これにより、スペーサ部の厚みを容易に調整することができる。
前記第4から第7の構成のうちいずか一つの構成において、前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方に一体で設けられている(第9の構成)。このように、スペーサ部を負極端部及びセパレータの少なくとも一方に一体で設けることにより、別部材を用いることなく、本発明のスペーサ部を容易に得られる。よって、本発明の巻回型電池の構成を容易に得ることができる。
前記第1から第9の構成のうちいずれか一つの構成において、前記負極電極部は、電池の充電後に、負極活物質として、Li−Al合金を含む(第10の構成)。このように、負極電極部に、電池の充電によって、Al合金からLi−Al合金が生成される際に、前記負極電極部は厚み方向に膨張する。このような膨張が生じた場合でも、上述の第1から第9の構成を適用することにより、電極体の内部に損傷が生じることを効果的に抑制できる。
前記第10の構成において、前記負極は、Liと合金化しない金属基材層と、前記金属基材層の厚み方向の少なくとも一方に接合された金属表面層とを有する積層体である。前記負極電極部における前記金属表面層の少なくとも表面側は、電池の充電後に、前記Li−Al合金を含む(第11の構成)。
上述の構成においても、上述の第1から第9の構成を適用することにより、電池の充電によって金属表面層にLi−Al合金が生成される際に負極電極部に生じる膨張によって、電極体の内部に損傷が生じることを抑制できる。
前記第1から第11の構成のうちいずれか一つの構成において、前記スペーサ部は、電池反応に寄与しない樹脂材料によって構成されている(第12の構成)。これにより、電池特性に影響を与えることなく、電極体の径方向に隣り合う負極端部の間にスペーサ部を形成することができる。
前記第1から第12の構成のうちいずれか一つの構成において、前記外装体は、前記電極体を収納する有底円筒状の外装缶を備えている(第13の構成)。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る巻回型電池1の概略構成を示す斜視図である。この巻回型電池1は、有底筒状の外装缶10と、外装缶10の開口を覆う封口体20と、外装缶10内に収納される電極体30とを備えている。外装缶10にガスケット40を介して蓋板20を取り付けることによって、内部に空間を有する円柱状の電池ケース2(外装体)が構成される。なお、この電池ケース2内には、電極体30以外に、非水電解液も封入されている。
外装缶10は、表面にニッケルメッキが施された鋼板やステンレス鋼などの金属材料からなり、プレス成形によって有底円筒状に形成されている。すなわち、外装缶10は、円形状の底部11と、円筒状の周壁部12とが一体形成されている。この外装缶10の底部11には、電極体30から延びる負極リード(図示省略)が接続されている。すなわち、本実施形態において、この外装缶10は、巻回型電池1の負極端子として機能している。なお、この限りではなく、外装缶10を正極端子として用いてもよい。
図2に示すように、外装缶10の周壁部12の開口端部12aは、ガスケット40を介して封口体20にかしめられている。すなわち、封口体20及びガスケット40を外装缶10の内方に配置した状態で、外装缶10の開口端部12aは、外装缶内方に向かって折り曲げられている。これにより、外装缶10の開口側に、封口体20が固定される。
封口体20は、正極端子としての端子板21と、電池内部の圧力上昇に応じて変形し開裂する開裂ベント22と、該開裂ベント22とともに電流遮断機構として機能する遮断ベント25と、を備えている。この実施形態における封口体20では、端子板21と開裂ベント22との間に、温度に応じて抵抗が変化する抵抗板23が配置されている。なお、本実施形態では、端子板21は正極端子として機能しているが、外装缶10が正極端子として機能している場合には、端子板21は、負極端子として機能する。
端子板21は、圧延鋼板の表面にニッケルメッキが施された材料からなり、外周側に円環状の鍔部21aを有する略ハット状に形成されている。すなわち、端子板21の中央部分には、外装缶10の外方に向かって有底円筒状に膨出する凸部21bが形成されている。この凸部21bの外周側には、複数のガス排出孔21cが設けられている。本実施形態では、ガス排出孔21cは、図1に示すように、凸部21bの外周側に、周方向に90度の間隔で合計4箇所に設けられている。
開裂ベント22は、アルミニウム製の部材であり、図2に示すように、端子板21と同様、略ハット状に形成されている。すなわち、開裂ベント22は、有底円筒状に膨出する開裂部22aと、該開裂部22aの外周側に位置する鍔部22bと、を有する。開裂ベント22は、開裂部22aが外装缶10の底部側に向かって膨出するように、端子板21とは逆ハット状に外装缶10内に配置されている。
詳しい説明は省略するが、開裂ベント22は、巻回型電池1の内部の圧力が所定の圧力まで上昇した際に破断する溝部が形成されている。これにより、外装缶10が電池内部の圧力上昇によって損傷を受けることを防止できる。
抵抗板23は、例えば2枚の金属電極箔によって導電性ポリマーのシートを挟み込んでなるもので、電池内部の温度が上昇すると抵抗が大きくなるように構成されている。抵抗板23は、端子板21の鍔部21aと開裂ベント22の鍔部22bとの間に挟み込まれるように円環状に形成されている。これにより、巻回型電池1内の温度が所定値以上になると、抵抗板23は開裂ベント22と端子板21との間で電流が流れるのを抑制する。一方、温度が低下すると、抵抗板23は、抵抗値が下がって元の導通状態に復帰する。
端子板21の鍔部21aと開裂ベント22の鍔部22bとの間に抵抗板23を挟み込んだ状態で、鍔部21a,22b及び抵抗板23には、ガスケット40を介して外装缶10の周壁部12の開口端部12aがかしめられている。これにより、抵抗板23を端子板21と開裂ベント22との間に保持した状態で、外装缶10の開口側に固定することができる。
遮断ベント25は、アルミニウム製の部材であり、開裂ベント22の開裂部22aを覆うように有底円筒状に形成されている。遮断ベント25は、保持部材24によって、開裂ベント22の開裂部22aに保持されている。
遮断ベント25には、外装缶10内で過充電等によって発生したガスが通過するためのガス通気孔として、複数の貫通孔25aが周方向に等間隔で形成されている。これらの貫通孔25aを設けることにより、遮断ベント25をガスが通過して、開裂ベント22の開裂部22aに圧力が付与される。
また、遮断ベント25には、電極体30から延びる正極リード(図示省略)が接続されている。すなわち、電極体30、遮断ベント25及び開裂ベント22は、電気的に接続されている。なお、詳しい説明は省略するが、遮断ベント25と開裂ベント22は、電気的に接続されていて、電池内部でガスが発生した際に、遮断ベント25と開裂ベント22とが電気的に切断される。
(電極体)
電極体30は、それぞれ帯状に形成された正極31及び負極32を、両者の間及び該正極31の下側にセパレータ33がそれぞれ位置するように重ね合わせた状態(図3参照)で、図3における白抜き矢印の方向に、正極31、負極32及びセパレータ33を巻回することによって形成された巻回電極体である。正極31、負極32及びセパレータ33を巻回することによって電極体30を構成する様子を、図4に模式的に示す。電極体30は、正極31、負極32及びセパレータ33を重ね合わせた状態で巻回することにより、軸線Lに沿って延びる円柱状に形成される(図5参照)。図2に示すように、円柱状の電極体30は、電池ケース2内に収容される。
なお、図2に示す電極体30は、外周側の数層分しか図示されていない。しかしながら、この図2では電極体30の内周側部分の図示を省略しているだけであり、当然のことながら、電極体30の内周側にも正極31、負極32及びセパレータ33が存在する。
また、図3では、正極31、負極32及びセパレータ33を重ね合わせた状態を図示するために、正極31、負極32及びセパレータ33の位置を実際の配置から移動させて斜視で示している。また、図3では、正極31、負極32及びセパレータ33を区別するために、断面ではないが、正極31及び負極32にハッチングを付している。
以下の説明において、電極体30の軸方向とは、軸線Lに沿った方向を意味している。また、電極体30の径方向とは、電極体30を構成する正極31、負極32及びセパレータ33の厚み方向に沿った方向を意味する。
正極31は、図6に示すように、正極活物質を含有する正極活物質層42を、アルミニウム等の金属箔製の正極集電体41の片面または両面に設けたものである(図6に示す例では、正極活物質層42が正極集電体41の両面に設けられている)。詳しくは、正極31は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム含有酸化物である正極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む正極合剤を、アルミニウム箔などからなる正極集電体41上に塗布して乾燥させることによって形成される。
正極活物質であるリチウム含有酸化物としては、例えば、Li1+x(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mg、Ti、Zrなどより選択される1種以上の元素)で表される層状構造のリチウム含有複合酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物、Li4/3Ti5/3やその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムチタン複合酸化物、LiMnなどの組成で表される、低温で合成されるリチウムマンガン複合酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなどより選択される1種以上の元素)で表されるオリビン型化合物などが挙げられる。前記層状構造のリチウム含有複合酸化物としては、LiCoOなどのコバルト酸リチウムや、LiNi1−aCoa−bAl(0.1≦a≦0.3、0.01≦b≦0.2)、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5など)などのリチウム含有ニッケル複合酸化物、などを例示することができる。なお、正極活物質として、1種類の物質のみを用いてもよいし、2種類以上の物質を用いてもよい。また、正極活物質は、上述の物質に限られない。
二次電池の正極活物質が不可逆容量の大きな材料である場合には、負極集電体とAl層との積層体を負極前駆体として用いて電池を組み立てて、組み立てた電池を充電して負極のLi−Al合金を生成するようにすれば、正極の不可逆容量の一部または全部を負極で相殺することができるので好ましい。
正極合剤に係るバインダには、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などや、イミド系バインダ(ポリアミドイミド、ポリイミドなど)、アミド系バインダ(ポリアミド、アラミドなど)などを用いることができる。
また、正極合剤に係る導電助剤には、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料などを用いることができる。
また、正極活物質層42と正極集電体41とを有する正極31は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを正極集電体41上に塗布して乾燥させ、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経ることにより、製造することができる。
正極合剤における正極活物質の含有量は、80〜98.8質量%であることが好ましい。また、正極合剤における導電助剤の含有量は、1.5〜10質量%であることが好ましい。さらに、正極合剤におけるバインダの含有量は、0.3〜10質量%であることが好ましい。正極活物質層42の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30〜300μmであることが好ましい。
正極集電体41としては、Al及びAl合金などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、Al箔が好適に用いられる。正極集電体41の厚みは、10〜30μmであることが好ましい。
特に図示しないが、正極31には、正極集電体41のうち正極合剤が塗布されていない部分、すなわち、正極集電体41が露出した部分に、正極リードが接続されている。
負極32は、図6に示すように、銅合金を含む金属基材層45と、金属基材層45の両面上にそれぞれ位置し且つアルミニウム合金を含む金属表面層46とを有する。負極32は、例えば、銅合金を含む層と、その層の両面上にそれぞれ位置するアルミニウム合金を含む層とからなるクラッド材によって構成される。負極32は、平面視で、正極31よりも長手方向及び短手方向の寸法がそれぞれ大きい。
負極32は、負極電極部51と、負極端部52とを有する。負極電極部51は、電極体30において、正極31の正極活物質層42に対して厚み方向に重なる位置に設けられている。負極電極部51は、正極31に対して負極32の電極として機能する。
負極端部52は、負極32において、負極電極部51の短手方向の両側に設けられている。すなわち、負極端部52は、負極32の短手方向の両端部に位置し、且つ、電極体30において正極31の正極活物質層42に対して前記厚み方向に重ならない位置に設けられている。
負極電極部51は、巻回型電池1の充電後に、金属表面層46のうち正極31の正極活物質層42と厚み方向に重なる部分の少なくとも表面側に、Li−Al合金を含む。すなわち、金属基材層45及び金属表面層46を有する含む負極32を前駆体として、上述の正極31とともに組み立てられた巻回型電池1を充電することにより、金属表面層46のうち正極31の正極活物質層42と厚み方向に重なる部分を、非水電解液中のLiイオンと電気化学的に反応させる。これにより、負極電極部51の金属表面層46のうち正極31の正極活物質層42と厚み方向に重なる部分の少なくとも表面側にLi−Al合金が生成される。該Li−Al合金が生成された部分がAl活性層になる。
金属基材層45は、ニッケルなどによって構成されていてもよい。金属基材層45は、金属表面層46と圧着などによって積層されていてもよい。金属表面層46は、金属基材層45の片面のみに設けられていてもよい。また、金属表面層46の代わりに、Liと合金化可能な元素(例えばSiやSnなど)を含む金属層を、金属基材層45の片面または両面に設けてもよい。
金属表面層46は、金属基材層45の一方の面上に設けられる層の厚みが、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることがさらに好ましい。また、金属表面層46は、金属基材層45の一方の面上に設けられる層の厚みが、150μm以下であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
負極32には、負極端部52に、充電によって負極電極部51にLi−Al合金を生成する際に電極体30内の損傷発生を抑制するためのスペーサ部53が設けられている。スペーサ部53の詳しい構成については後述する。
セパレータ33は、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有することが好ましい。また、セパレータ33は、通常の非水電解質二次電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータ33を構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。セパレータ33の厚みは、例えば、10〜30μmであることが好ましい。
また、耐熱性を高めるために、上述のようなポリオレフィン製の微多孔膜の表面に、無機フィラーなどを含有する耐熱性の多孔質層を設けた積層型のセパレータや、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン、セルロース、アラミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの耐熱樹脂製の不織布セパレータなどを使用することもできる。
次に、本実施形態に係る巻回型電池1で用いられる非水電解液中の非水電解質について説明する。
以下の一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物は、炭素材料を負極活物質に使用した非水電解質電池において、非水電解質に添加されることで、その安全性を高める作用を有することが知られている。
Figure 2018123089
一方、Li(金属Li)、Li合金、Liと合金化可能な元素および前記元素を含む化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の負極活物質を用いた電池において、前記リン酸化合物を添加した非水電解質を使用した場合には、高温での貯蔵を経た後の低温環境下での負荷特性を高く維持できることがわかった。
また、前記負極活物質を用いた二次電池において、前記リン酸化合物を添加した非水電解質を使用した場合には、初期充放電効率の向上が可能となることが明らかとなった。
前記リン酸化合物は、炭素材料を負極活物質とする非水電解質電池において、正極表面でSEI(Solid Electrolyte Interface)被膜を形成することが知られている。前記のような負極活物質を用いた非水電解質電池では、前記リン酸化合物は、負極にも作用するものと考えられる。ただし、前記リン酸化合物は、ビニレンカーボネートなどのように負極表面に被膜を形成することが知られている化合物とは異なり、前記負極活物質の表面に、薄くかつ良質な被膜を形成すると考えられる。したがって、高温貯蔵での負極の劣化が抑制されると共に、表面被膜形成による負荷特性の低下を抑制することが可能になると考えられる。よって、高温貯蔵後においても、低温環境下で負荷特性に優れた電池を構成することができるものと推測される。
また、表面被膜が薄くなることにより、被膜形成の際に必要とされるLiの量が少なくなる。よって、前記負極活物質を有する二次電池(非水電解質二次電池)においては、負極の不可逆容量が減少するため、充放電効率の向上を図れると推測される。
以上より、本実施形態に係る巻回型電池1では、下記の非水系溶媒中に、リチウム塩を溶解させることにより調製した溶液(非水電解液)を用いる。そして、非水電解質には、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物を含有させて使用する。
前記リン酸化合物は、リン酸が有する水素原子のうちの少なくとも1つが、前記一般式(1)で表される基で置換された構造を有する。
前記一般式(1)において、XはSi、GeまたはSnであるが、Siがより好ましい。すなわち、前記リン酸化合物は、リン酸シリルエステルであることがより好ましい。また、前記一般式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基であり、中でも、メチル基またはエチル基であることがより好ましい。また、R、RおよびRが有する水素原子は、その一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。そして、前記一般式(1)で表される基としては、トリメチルシリル基が特に好ましい。
また、前記リン酸化合物においては、リン酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよい。リン酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよい。リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていてもよい。、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(1)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
このような前記リン酸化合物としては、例えば、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸ジフェニル(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(ビニルジメチルシリル)などを挙げることができる。これらの中でも、前記リン酸化合物は、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)が好ましい。さらに、前記リン酸化合物は、リン酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましいものとして挙げられる。
電池に使用する非水電解質中の、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物の含有量は、その使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、0.7質量%以上であることが最も好ましい。前記含有量が多くなりすぎると、電極界面に形成され得るSEI被膜の厚みが増大し、これにより抵抗が大きくなって負荷特性が低下する可能性がある。そのため、電池に使用する非水電解質中の、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物の含有量は、8質量%以下であることが好ましく、7質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましく、3質量%以下であることが最も好ましい。
非水電解質の溶媒には、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ラクトン環を有する化合物、1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、燐酸トリエステル(燐酸トリメチル、燐酸トリエチルなど)、トリメトキシメタン、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、ジエチルエーテルなどの非プロトン性有機溶媒もしくはその誘導体(2−メチルテトラヒドロフランなど)などを1種単独で、または2種以上を混合した混合溶媒として用いることができる。前記リン酸化合物の効果をより生じやすくするために、プロピレンカーボネートを全溶媒中で10体積%以上含有させることが好ましく、20体積%以上含有させることがより好ましい。
非水電解質に係るリチウム塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF4、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(FSO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらのリチウム塩の非水電解質の濃度は、0.6〜1.8mol/lであることが好ましく、0.9〜1.6mol/lであることがより好ましい。2種以上のリチウム塩を併用することも可能である。その場合は、それぞれのリチウム塩の濃度の合計が前記範囲になるように調整すればよい。
なお、電池の低温での放電特性を高め得ることから、非水電解質は、ラクトン環を有する化合物を含有していることが好ましい。ラクトン環を有する化合物としては、γ−ブチロラクトン及びα位に置換基を有するラクトン類などが挙げられる。
また、α位に置換基を有するラクトン類は、例えば5員環のもの(環を構成する炭素数が4つのもの)が好ましい。前記ラクトン類のα位の置換基は、1つであってもよく、2つであってもよい。
前記置換基としては、炭化水素基、ハロゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基)などが挙げられる。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが好ましく、その炭素数は1以上15以下(より好ましくは6以下)であることが好ましく、炭化水素基の有する水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。前記置換基が炭化水素基の場合、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基などがさらに好ましい。
α位に置換基を有するラクトン類の具体例としては、α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−エチル−γ−ブチロラクトン、α−プロピル−γ−ブチロラクトン、α−ブチル−γ−ブチロラクトン、α−フェニル−γ−ブチロラクトン、α−フルオロ−γ−ブチロラクトン、α−クロロ−γ−ブチロラクトン、α−ブロモ−γ−ブチロラクトン、α−ヨード−γ−ブチロラクトン、α,α−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α,α−ジエチル−γ−ブチロラクトン、α,α−ジフェニル−γ−ブチロラクトン、α−エチル−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メチル−α−フェニル−γ−ブチロラクトン、α,α−ジフルオロ−γ−ブチロラクトン、α,α−ジクロロ−γ−ブチロラクトン、α,α−ジブロモ−γ−ブチロラクトン、α,α−ジヨード−γ−ブチロラクトンなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、α−メチル−γ−ブチロラクトンがより好ましい。
なお、ラクトン環を有する化合物を使用する場合には、その使用による効果を良好に確保する観点から、非水電解質に使用する全有機溶媒中におけるラクトン環を有する化合物の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。一方、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物の作用を阻害しないために、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
また、非水電解質は、ニトリル化合物を含有していることが好ましい。非水電解質中のニトリル化合物は、電池内において、主に正極表面で被膜を形成し、正極活物質中の遷移金属(Co、Mnなど)の溶出を抑制する。そのため、ニトリル化合物を、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物と共に用いることにより、電池の高温貯蔵特性などをより一層向上させることができる。
ニトリル化合物の具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリルなどのモノニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4−ジシアノヘプタン、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、2,6−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、2,7−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、2,8−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,6−ジシアノデカン、2,4−ジメチルグルタロニトリルなどのジニトリル;ベンゾニトリルなどの環状ニトリル;メトキシアセトニトリルなどのアルコキシ置換ニトリル;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのニトリル化合物の中でも、アジポニトリルがより好ましい。
電池に使用する非水電解質中のニトリル化合物の含有量は、前記の効果をより良好に確保する観点から、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。ただし、ニトリル化合物は、負極(リチウム)との反応性が高いため、ニトリル化合物の使用量をある程度制限して、これらの間での過剰な反応を抑制することが好ましい。よって、電池に使用する非水電解質中のニトリル化合物の含有量は、8質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
また、これらの非水電解質に、電池の各種特性をさらに向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンスルトン、1,3−プロペンスルトンなどの環状スルトン化合物、ジフェニルジスルフィドなどのジスルフィド化合物、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどのベンゼン類化合物、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)などのフッ素置換された環状カーボネート、リチウムテトラキス(アセテート)ボレートやリチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)などの有機ホウ酸リチウム塩、などの添加剤を適宜加えることもできる。特に、環状スルトン化合物または有機ホウ酸リチウム塩を前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物と共に用いることにより、正極あるいは負極に、より好適な表面被膜が形成されると考えられる。これにより、電池の高温貯蔵特性などをより一層向上させることができるものと考えられる。
さらに、非水電解質には、前記の溶液(非水電解液)に、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としたものを用いてもよい。
(スペーサ部)
既述のように、巻回型電池1を充電することにより、負極電極部51の金属表面層46のうちセパレータ33を挟んで正極活物質層42と対向する部分の少なくとも表面側には、Li−Al合金が生成される。このように、負極電極部51の金属表面層46にLi−Al合金が生成される際に、Li−Al合金が生成される部分は厚み方向に膨張する。よって、充電後の負極電極部51の厚みは、Li−Al合金が生成されていない負極端部52よりも大きい。
巻回型電池1の充電は、正極31、負極32及びセパレータ33を巻回することによって電極体30を形成して、電極体30を電池ケース2内に収容した後に行われる。この場合、電極体30は、電池ケース2によって外側を拘束されているとともに、円柱状の電極体30の外周側によって径方向外方への変形が規制されている。そのため、巻回型電池1の充電によって、上述のように負極電極部51が厚み方向に膨張しても、電極体30の径方向外方への変形が規制される。
よって、電極体30の内部における負極電極部51の膨張は、電極体30の内部に影響を与える。すなわち、負極電極部51の膨張による変形は、電極体30の内部に向かって正極31、負極32及びセパレータ33を押すことになるため、従来の電極体の構成では電極体の内部で圧力が高くなる。このように、電極体の内部で圧力が高くなると、該内部に位置する正極、負極及びセパレータが損傷して、十分な電池特性が得られない。
これに対し、本実施形態では、図2から図7に示すように、負極32の負極端部52に、電極体30の径方向に隣り合う負極端部52の間に位置するようにスペーサ部53が設けられている。スペーサ部53は、後述するようにテープや樹脂によって成形されていて、負極32とは別の部材である。これにより、スペーサ部53の厚みを容易に調整することができる。
スペーサ部53は、負極端部52に、負極32の長手方向に延びるように設けられている。スペーサ部53は、負極電極部51の短手方向の両側に位置する負極端部52に、すなわち、負極電極部51を短手方向に挟み込むように、一対、設けられている。スペーサ部53は、図2から図4、図6及び図7に示すように、負極32の短手方向の端部に設けられていることが好ましいが、この限りではなく、負極端部52に設けられていればよい。
スペーサ部53は、樹脂製のテープ(ポリエチレンテレフタラート(PET)テープ、ポリプロピレン(PP)テープ、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)テープ、ポリイミドテープ等)、または、各種樹脂や紫外線によって硬化する紫外線硬化樹脂によって成形された部材、各種樹脂によって構成された粘着剤など、電池反応に寄与しない材料によって構成されている。これにより、巻回型電池1の電池特性に、スペーサ部53が影響を与えることを防止できる。
スペーサ部53は、正極31の厚みよりも大きい厚みXを有する。これにより、充電前の電極体30において、径方向に隣り合う負極電極部51の間隔を、正極31の厚みよりも大きい間隔にすることができる。よって、巻回型電池1の充電によって負極電極部51が厚み方向に膨張した場合でも、電極体30の内部での損傷発生を抑制することができる。
なお、スペーサ部53は、正極31の厚みと、負極電極部51の膨張分の厚み(負極電極部51の厚みと負極端部52の厚みとの差)との合計以上の厚みを有することが好ましい。これにより、充電前の電極体30において径方向に隣り合う負極電極部51の間隔を、正極31の厚みと負極電極部51の膨張分の厚みとの合計以上の間隔にすることができる。よって、巻回型電池1の充電によって負極電極部51が厚み方向に膨張した場合でも、電極体30の内部での損傷発生をより確実に抑制することができる。
また、スペーサ部53は、正極31の厚みと、負極電極部51の膨張分の厚み(負極電極部51の厚みと負極端部52の厚みとの差)との合計未満の厚みを有していてもよい。スペーサ部53の厚みを大きくした場合、正極31と負極電極部52との電極間距離が大きくなって、電池特性が低下する可能性がある。これに対し、スペーサ部53の厚みを上述の厚みにすることで、電極体30の内部で損傷が生じることを抑制しつつ、正極31と負極電極部52との電極間距離を適切な範囲にすることができる。すなわち、上述の構成により、電極体30の内部での損傷発生の抑制と、巻回型電池1の電池特性の低下防止との両立を図れる。
上述のようなスペーサ部53を設けることにより、図7に示すように負極電極部51が充電によって膨張した場合でも、その膨張によって、正極31、負極32及びセパレータ33が電極体30の径方向内方に押されることを防止できる。よって、電極体30において隣り合う負極32の間隔Tは、図6及び図7でほとんど変わらない。これにより、電極体30の内部が損傷を受けることを抑制できる。
スペーサ部53は、電極体30において、負極32の外周側に設けられている。すなわち、図4に示すように、スペーサ部53は、負極32、正極31及びセパレータ33を厚み方向に重ねた状態で巻回する際に、電極体30の径方向において、負極32の外側の面(セパレータ33及び正極31側に位置する面)に設けられている。これにより、負極32、正極31及びセパレータ33を厚み方向に重ねた状態で巻回する際に、スペーサ部53には、負極32の長手方向に引張力が作用する。よって、スペーサ部53がたわむことなく、電極体30を形成することができる。なお、スペーサ部53をテープではなく樹脂等によって形成した場合には、スペーサ部53の剥がれを防止する観点から、電極体30の径方向において、負極32の内周側に設けることが好ましい。
スペーサ部53は、厚み方向に分割されていて、負極32の両側の面にそれぞれ設けられていてもよい。すなわち、図9に示すように、負極32の両側の面にそれぞれスペーサ部53a,53bを設けてもよい。図9に示す構成の場合、スペーサ部53a,53bによって、本発明のスペーサ部が構成される。スペーサ部53a,53bは、それぞれスペーサ部53の厚みの半分であってもよいし、スペーサ部53a,53bの厚みの合計がスペーサ部53と同じ厚みであれば、スペーサ部53a,53bの厚みは異なっていてもよい。電極体30の径方向に隣り合うスペーサ部53a,53bの厚みの合計は、正極31の厚みよりも大きい。これにより、負極32の一方側の面にスペーサ部53を設ける場合に比べて、スペーサ部53a,53bの厚みをそれぞれ小さくすることができるため、負極32、正極31及びセパレータ33を厚み方向に重ねた状態で巻回する際に、スペーサ部53a,53bにたるみ及びしわが生じることをより確実に防止できる。
また、スペーサ部は、図10に示すように、負極端部252に一体に形成された凸部252aによって構成されていてもよい。このように、負極端部252の一部に厚み方向に突出する凸部252aを一体で設けることにより、別部材によってスペーサ部を構成することなく、スペーサ部を容易に構成することができる。よって、本実施形態の電極体を容易に得ることができる。なお、図10において、符号232は負極を、符号251は負極電極部を、符号252は負極端部を、それぞれ示す。
図8に、スペーサ部53の厚みを変えた場合において、充電後(化成後)の巻回型電池1内の電極体30における箔切れの有無(正極31または負極32におけるクラックの発生や破断の有無)を示す。図8では、正極31の厚みをA、充電による負極32の膨張分の厚みをBとしている。なお、充電による負極32の膨張分の厚みBは、正極31の厚みAの0.1倍よりも大きい。また、電極体30内の損傷の有無は、巻回型電池1の状態、すなわち電極体30が電池ケース2内に配置された状態で充電した後、電池を分解して展開した電極体30を目視によって確認した結果である。
図8に示すように、スペーサ部53の厚みが正極31の厚みと同じ場合(スペーサ部53の厚みがAの場合)には、充電後の電極体30の内部で箔切れが生じ、巻回型電池1で短絡が生じた。これに対し、スペーサ部53の厚みが正極31の厚みよりも大きい場合(スペーサ部53の厚みが1.1A、A+Bの場合)には、充電後の電極体30の内部で箔切れは生じず、巻回型電池1の短絡も生じなかった。
これにより、スペーサ部53の厚みは、正極31の厚みよりも大きいことが好ましい。
本実施形態では、スペーサ部53は、負極32に設けられているが、この限りではなく、セパレータ33に設けられていてもよい。セパレータ33にスペーサ部53を設ける場合も、負極32にスペーサ部53を設ける場合と同様、セパレータ33に別部材を形成してもよいし、セパレータ33に一体に凸部を設けてもよい。
本実施形態に係る巻回型電池1では、金属表面層46を有する負極32の負極電極部51に、電池の充電によって、Li−Al合金を含むAl活性層を形成することができる。これにより、耐熱性の高い巻回型電池1が得られる。
しかも、円柱状の電極体30において、正極31と厚み方向に重ならない負極端部52にスペーサ部53を設けることにより、電池の充電によって、正極31と厚み方向に重なる負極電極部51にLi−Al合金が生成される際に負極電極部51が膨張した場合でも、電極体30の内部が損傷を受けることを抑制できる。
すなわち、スペーサ部53によって電極体30の径方向に隣り合う負極の間に形成された空間により、負極32の負極電極部51における上述の膨張を吸収することができる。よって、負極電極部51の上述の膨張によって、正極32、負極31及びセパレータ33に対して、周方向の引張力や電極体30の径方向内方に変位させるような力が加わることを抑制できる。これにより、電極体30の内部で正極31、負極32及びセパレータ33が損傷することを抑制できる。したがって、上述のように電池の充電によって負極32にLi−Al合金が生成される巻回型電池1において、電池特性の低下を防止することができる。
しかも、負極32にスペーサ部53を設けることによって、上述の作用効果が得られる。よって、電池特性を低下させることなく、簡単な構成によって、電極体30の内部の損傷発生を防止できる。
また、上述の構成により、巻回型電池1の電池特性を向上することができる。すなわち、上述の構成のように電極体30の径方向に隣り合う負極端部52の間に正極31の厚みよりも大きいスペーサ部53を設けることにより、充電前の状態において、前記径方向に隣り合う負極電極部51の間隔が正極31の厚みよりも大きくなる。よって、正極31と負極電極部51との間に空隙が形成される。これにより、電極体30の内部まで非水電解液を容易に浸潤させることができる。
さらに、スペーサ部53の厚みを、正極31の厚みと負極電極部51における膨張分の厚みとの合計以上の厚みにすることで、負極電極部51の膨張分をより確実に吸収できる。したがって、電極体30の内部での損傷発生をより確実に抑制することができ、巻回型電池1の電池特性の低下をより確実に防止することができる。
また、スペーサ部53を、負極32の長手方向に一方の端部から他方の端部まで設けることにより、電極体30の内部で損傷が生じることをより確実に抑制できる。
しかも、巻回型電池1の非水電解液として、下記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物を8質量%以下の範囲で含有する非水電解液を用いることにより、高温貯蔵を経た後の低温での負荷特性が良好な電池が得られる。しかも、本実施形態のように、電極体30内での損傷発生を抑制可能な構成において、電解液を上述のような非水電解液とすることにより、電極体30内での反応が均一に進むとともに、巻回型電池1内でのガス発生を効果的に抑制することができる。したがって、高耐熱で且つ電池特性を向上可能な巻回型電池1が得られる。
Figure 2018123089
なお、前記一般式(1)中、XはSi、GeまたはSnであり、R、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基または炭素数6〜10のアリール基を表し、水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
前記実施形態では、電極体30は、直方体状の電池ケース2内に収容されている。しかしながら、電極体30は、他の構成を有する外装体内に収容されていてもよい。例えば、ラミネートフィルム外装体内に電極体30が収容されていてもよいし、他の缶構造を有する電池ケース内に収容されていてもよい。また、電池ケース2の封口体20の構成は、前記実施形態とは異なる構成であってもよい。
前記実施形態では、スペーサ部53は、負極32の長手方向の一方の端部から他方の端部まで設けられている。しかしながら、スペーサ部53は、負極32の長手方向の一部のみに設けられていてもよい。例えば、スペーサ部53は、負極32の長手方向に所定の間隔で設けられていてもよい。
前記実施形態では、スペーサ部53は、負極電極部51の短手方向の両側に、すなわち、負極電極部51を短手方向に挟み込むように、負極端部52にそれぞれ設けられている。しかしながら、スペーサ部53は、負極電極部32の短手方向の片側、すなわち負極電極部51の短手方向の両側に位置する負極端部52のうち一方のみに設けられていてもよい。また、負極端部52は、負極電極部51の短手方向の一方側のみに設けられていてもよい。なお、スペーサ部53は、負極電極部51の短手方向の両側、すなわち各負極端部52に、それぞれ設けることが好ましい。これにより、電極体30において径方向に隣り合う負極電極部51の間隔をより確実に確保することができる。
前記実施形態では、負極32は、金属基材層45と金属表面層46とからなるクラッド材によって構成されている。しかしながら、負極32は、金属基材層及び金属表面層を有する構成であれば、クラッド材以外の構成であってもよい。また、負極32は、Liと合金化可能な元素を含む粉末をバインダなどと共に合剤化して、これを集電体となる金属箔(金属基材層)の表面に塗布することによって形成されてもよい。このような構成において、Liと合金化可能な元素を含む粉末を、Liイオンを吸蔵・脱離可能な負極活物質(たとえば黒鉛等の炭素材料)と併用してもよい。
前記実施形態では、負極32は、金属基材層45の両面に金属表面層46を有する。しかしながら、金属表面層46は、金属基材層45の片側の面のみに設けられていてもよい。この場合、正極は、金属表面層46に対して、セパレータ33を挟んで対向する位置に正極活物質層が位置付けられるように、配置すればよい。
前記実施形態では、それぞれ帯状に形成された正極31及び負極32を、例えば両者の間及び正極31の下側にセパレータ33がそれぞれ位置するように、セパレータ33に重ね合わせている。しかしながら、正極31、負極32及びセパレータ33を重ねる順番は、二次電池を構成可能な順番であれば、どのような順番であってもよい。
前記実施形態では、外装缶10に電極体30の正極31を電気的に接続しているが、この限りではなく、外装缶10に負極32を電気的に接続してもよい。
前記実施形態では、非水電解質に、前記一般式(1)で表される基を分子内に有するリン酸化合物を含有させて使用している。しかしながら、負極でリチウムを合金化して電池反応を生じさせることが可能な非水電解液であれば、どのような成分の非水電解液であってもよい。
本発明は、外装体内に、正極、負極及びセパレータを巻回してなる電極体が収納された巻回型電池に利用可能である。

Claims (13)

  1. それぞれ帯状に形成された正極、負極及びセパレータが、前記正極と前記負極との間に前記セパレータが位置するように巻回され、軸線方向に延びる円柱状の電極体と、
    前記電極体が内部に封入された外装体とを備え、
    前記負極は、
    厚み方向から見て、前記セパレータを挟んで前記正極と重なるように配置された負極電極部と、
    前記負極電極部に対して前記負極の短手方向の少なくとも一方に設けられ、前記厚み方向から見て、前記正極とは重ならない負極端部とを有し、
    前記負極電極部は、Liと合金化可能な元素を含み、
    前記電極体は、前記電極体の前記軸線方向に直交する断面において、前記電極体の径方向に隣り合う前記負極端部の間の少なくとも一部に位置し、且つ、前記正極の厚みよりも大きい厚みを有するスペーサ部を有する、巻回型電池。
  2. 請求項1に記載の巻回型電池において、
    前記スペーサ部は、前記正極の厚みと、前記負極電極部の厚み及び前記負極端部の厚みの差との合計以上の厚みを有する、巻回型電池。
  3. 請求項1に記載の巻回型電池において、
    前記スペーサ部は、前記正極の厚みと、前記負極電極部の厚み及び前記負極端部の厚みの差との合計未満の厚みを有する、巻回型電池。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載の巻回型電池において、
    前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方に設けられている、巻回型電池。
  5. 請求項4に記載の巻回型電池において、
    前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方に、長手方向の一方の端部から他方の端部に亘って設けられている、巻回型電池。
  6. 請求項4または5に記載の巻回型電池において、
    前記スペーサ部は、前記電極体において、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方の径方向外周側に設けられている、巻回型電池。
  7. 請求項4または5に記載の巻回型電池において、
    前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方の両面に設けられていて、前記スペーサ部のうち前記電極体の径方向に隣り合うスペーサ部の厚みの合計は、前記正極の厚みよりも大きい、巻回型電池。
  8. 請求項4から7のいずれか一つに記載の巻回型電池において、
    前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータとは別部材によって構成されている、巻回型電池。
  9. 請求項4から7のいずか一つに記載の巻回型電池において、
    前記スペーサ部は、前記負極端部及び前記セパレータの少なくとも一方に一体で設けられている、巻回型電池。
  10. 請求項1から9のいずれか一つに記載の巻回型電池において、
    前記負極電極部は、電池の充電後に、負極活物質として、Li−Al合金を含む、巻回型電池。
  11. 請求項10に記載の巻回型電池において、
    前記負極は、Liと合金化しない金属基材層と、前記金属基材層の厚み方向の少なくとも一方に接合された金属表面層とを有する積層体であり、
    前記負極電極部における前記金属表面層の少なくとも表面側は、電池の充電後に、前記Li−Al合金を含む、巻回型電池。
  12. 請求項1から11のいずれか一つに記載の巻回型電池において、
    前記スペーサ部は、電池反応に寄与しない樹脂材料によって構成されている、巻回型電池。
  13. 請求項1から12のいずれか一つに記載の巻回型電池において、
    前記外装体は、前記電極体を収納する有底円筒状の外装缶を備えている、巻回型電池。
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