JP4822647B2 - 電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は正極芯体に正極合剤が塗布された正極と、負極芯体に負極合剤が塗布された負極がセパレータを介して相対向するように積層あるいは巻回された電極群を備え、正極芯体あるいは負極芯体の少なくとも一方の端部は正極合剤あるいは負極合剤が未塗布の未塗布部が形成されていて、該未塗布部に正極集電体あるいは負極集電体が溶接された集電構造を有する電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、リチウムイオン電池などの非水電解質二次電池、あるいはニッケル−水素化物蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池は、正極および負極の間にセパレータを介在させ、これらを渦巻状に巻回した後、正極あるいは負極の端部に集電体を接続して電極体を形成する。ついで、この電極体を金属製電池ケースに収納して集電体から延伸するリード部を封口体に溶接した後、封口体を電池ケースの開口部に絶縁ガスケットを介在させて装着して密閉することにより製造するようになされている。
【0003】
このような非水電解質二次電池やアルカリ蓄電池が電動工具や電気自動車などの用途に使用される場合、高率での放電性能が要求されるため、内部抵抗の低減や電流分布の均一化を図る必要性が生じた。そこで、正極あるいは負極の少なくとも一方の電極の活物質が塗布されていない未塗布部側の芯体の端縁を他方の電極より突出させて、セパレータを介して積層あるいは巻回して電極群を形成した後、未塗布部側の芯体の端縁に集電体を溶接して集電を行う方法が提案されるようになった。
【0004】
この場合、未塗布部側の芯体の端縁と集電体が溶接不良を生じないように、特許文献1(特開平10−261441号公報)においては、集電体にスリットを形成し、このスリットに未塗布部側の芯体の端縁を差し込み、この部分にレーザを照射して未塗布部側の芯体の端縁と集電体とを溶接する方法が提案されている。これにより、信頼性良く未塗布部側の芯体の端縁と集電体とが溶接できるようになって、電池の内部抵抗が低減し、かつ抵抗のばらつきが少ない電池が得られるというものである。
【特許文献1】
特開平10−261441号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、金属板にレーザを照射する場合、例えば、図13(a)に示すように、平板の金属板MにレーザLを照射すると、レーザLの照射により溶融した金属が保持される部分がないため、図13(b)に示すように、溶融した金属Mmは飛散して金属板Mに穴あきHが生じるようになる。このため、上述した特開平10−261441号公報に記載の方法により集電体にレーザを照射すると、レーザが集電体を透過したり、あるいは透過しない場合でも溶融した金属は表面張力で保持されることなく飛散することとなる。このため、溶接不良が発生して、場合によっては飛散した金属により内部短絡も発生するという問題も生じた。
【0006】
一方、図14(a)に示すように、金属板20に凸部21を形成し、この凸部21の稜線に沿ってレーザLを照射すると、レーザLの照射により溶融した凸部21の稜線近傍の金属21aは表面張力により凸部21の稜線付近に保持されるため、図14(b)に示すように、凸部21の頂点に穴あきが生じることはない。そこで、図15(a)に示すような凸部21を備えた金属板を集電体20とし、この集電体20の凸部21内に電極11の芯体露出部(活物質の未塗布部)11aの端縁を収束して差し込み、凸部21の稜線に沿ってレーザLを照射して溶接することを試みた。
【0007】
この場合、集電体20の平板部に位置する電極11の芯体露出部11aの端縁は、集電体20の押圧力により押し潰されるために、集電体20の凸部21内に収束して差し込まれた芯体露出部11aの端縁は、凸部21内の先端部までは充分に差し込まれないこととなる。すると、凸部21の稜線に沿ってレーザLを照射すると、溶融した金属が芯体露出部11aの端縁から電極の中心部に向けて吸い込まれるので、図15(b)に示すように、集電体20の凸部21の稜線付近に穴あき22が生じるとともに、溶融して飛散した金属21bが電極間に落下して内部短絡が生じる原因ともなることが分かった。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点を解消するためになされたものであって、電極と集電体が容易に溶接でき、かつ電流分布が均一で集電抵抗を低減できる集電構造にして高率放電特性に優れた電池を提供できるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の電池は、正極芯体に正極合剤が塗布された正極と、負極芯体に負極合剤が塗布された負極がセパレータを介して相対向するように積層あるいは巻回された電極群を備え、正極芯体あるいは負極芯体の少なくとも一方の端部は正極合剤あるいは負極合剤が未塗布の未塗布部が形成されていて、該芯体の未塗布部に正極集電体あるいは負極集電体が溶接されている。そして、正極集電体あるいは負極集電体の少なくとも一方は略円板状の本体部と、該本体部より延出した略長方形状の集電タブ部とを備えているとともに、本体部は凹部と凸部とからなる接続部を備え、凸部は凹部内の底面から当該本体部の底面に向けて突出し、かつ該凸部の頂部の内底面が本体部の内底面より低位置になるように形成されていて、当該凸部内に電極群の芯体の未塗布部が収束して嵌入するようになされており、凸部内に収束して嵌入した芯体の未塗布部の一部と該凸部の一部とが該凸部の稜線に沿って溶接された集電構造を有している。
【0010】
このように、少なくとも一方の集電体は略円板状の本体部と、該本体部より延出した略長方形状の集電タブ部とを備えているとともに、本体部に凹部と凸部とからなる接続部を備え、この接続部の凹部内の底面から本体部の底面に向けて突出し、かつ該凸部の頂部の内底面が本体部の内底面より低位置になるように形成された凸部を備えていると、集電体の接続部を芯体の未塗布部に嵌入させたときに、接続部の凸部内に芯体の未塗布部が適度に収束して進入するこことなる。これにより、芯体の未塗布部が過度に押し潰されることなく、凸部内に収束された芯体の未塗布部の一部と該凸部の一部を該凸部の稜線に沿って溶接することが可能となる。この場合、芯体の未塗布部が収束して進入した凸部の稜線に沿ってレーザなどのエネルギービームを照射することにより、集電体の溶融した金属が飛散することなく溶接できるようになる。これにより、正、負極間での短絡が防止できて内部抵抗が低減し、かつ電流分布が均一な集電構造が得られるようになる。この結果、高率放電特性に優れた電池を提供できるようになる。
【0011】
そして、正極と負極がセパレータを介して渦巻状に巻回された渦巻状電極群を電極群として用いる場合には、正極集電体あるいは負極集電体に備えられた接続部の底面から突出する凸部の稜線が渦巻状電極群の略巻回軌跡に沿うように連続してあるいは不連続に配設されていると、芯体の未塗布部と接続部の凸部との溶接が強固になるので望ましい。この場合、正極集電体あるいは負極集電体に備えられた接続部の凹部および凸部はこれらの集電体の半径方向に連続してあるいは不連続に配設されていると、さらに好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を非水電解質二次電池に適用した場合の一実施の形態について、図1〜図12に基づいて以下に説明するが、本発明はこの実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の目的を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。なお、図1は本発明の一実施の形態の非水電解質二次電池を模式的に示す電極群を除く部分の断面を示す一部未破断の断面図である。また、図2は図1の非水電解質二次電池に用いられる正極と負極をセパレータを介して重ね合わせた状態を模式的に示す正面図である。図3は図2の積層状態のものを渦巻状に巻回して形成した電極群を示す斜視図である。図4は実施例の集電体を示す図であり、図4(a)は斜視図を示し、図4(b)は図4(a)のA−A断面を示す図である。また、図5〜図7は本発明にかかる他の実施例の集電体を表わす図である。
【0013】
図8は比較例(従来例)の集電体を示す図であり、図8(a)は斜視図を示し、図8(b)は図8(a)のB−B断面を示す図である。また、図9は図3の電極群に図4の集電体を取り付けて形成した電極体を示す斜視図である。また、図10は図9の電極体の要部を示す断面図であり、図10(a)は図3の電極群の上部に図4の集電体を配置した状態を示す断面図であり、図10(b)は集電体にレーザを照射して電極群の一方の電極と集電体を溶接した状態を示す断面図である。図11は図3の電極群の上部および下部にそれぞれの集電体を溶接して形成した電極体を示す斜視図であり、図12は図11の電極体を外装缶内に収容する状態を示す斜視図である。
【0014】
1.非水電解質二次電池
図1に示す本実施の形態の非水電解質二次電池10は、図2に示すように、リチウム含有遷移金属複合酸化物を正極活物質として含有する正極11と、天然黒鉛を負極活物質として含有する負極13と、これらを隔離するセパレータ15とを備えている。そして、セパレータ15を間にして正極11と負極13を積層し、これを渦巻状に巻回した渦巻状電極群10a’(図3参照)を金属製外装缶16内に収容して備えている。この外装缶16の開口部には正極端子17aと正極カバー17bからなる封口蓋17が配設されていて、ガスケット18を介して外装缶16の開口部が気密に封止されている。
【0015】
この場合、後述するように渦巻状電極群10a’の正極11の上部には正極集電体12a(12b,12c,12d)が接続されていて、この正極集電体12a(12b,12c,12d)より延出する正極集電タブ12a−2(12b−2,12c−2,12d−2)が封口蓋17の正極カバー17bに溶接されている。そして、正極集電体12a(12b,12c,12d)の上部には絶縁板19が配置されている。
【0016】
また、後述するように渦巻状電極群10a’の負極13の下部には負極集電体14a(14b,14c,14d)が接続されていて、この負極集電体14a(14b,14c,14d)より延出する負極集電タブ14a−2(14b−2,14c−2,14d−2)が外装缶16の内底部に溶接されている。そして、封口蓋17の正極端子17aと正極カバー17bの間には図示しない圧力弁が配設されていて、電池内の圧力が上昇した際に、圧力弁が作動して電池内が所定の圧力以上にならないようになされている。
【0017】
ここで、正極集電体12aは、図4(a)に示すように、略円板状の本体部12a−1と、この本体部12a−1より延出する略長方形状の集電タブ部12a−2を備えている。本体部12a−1は直線形状の接続部12a−3を備えており、図4(b)に示すように、この接続部12a−3には、凹部12a−3bの底面から本体部12a−1の底面に向けて突出する凸部12a−3aが形成されている。同様に、負極集電体14aは、図4(a)に示すように、略円板状の本体部14a−1と、この本体部14a−1より延出する略長方形状の集電タブ部14a−2を備えている。本体部14a−1は直線形状の接続部14a−3を備えており、図4(b)に示すように、この接続部14a−3には、凹部14a−3bの底面から本体部14a−1の底面に向けて突出する凸部14a−3aが形成されている。
【0018】
また、正極集電体12bは、図5(a)に示すように、略円板状の本体部12b−1と、この本体部12b−1より延出する略長方形状の集電タブ部12b−2を備えている。本体部12b−1は円弧状の接続部12b−3を備えており、図5(b)に示すように、この接続部12b−3には、凹部12b−3bの底面から本体部12b−1の底面に向けて突出する凸部12b−3aが形成されている。同様に、負極集電体14bは、図5(a)に示すように、略円板状の本体部14b−1と、この本体部14b−1より延出する略長方形状の集電タブ部14b−2を備えている。本体部14b−1は円弧状の接続部14b−3を備えており、図5(b)に示すように、この接続部14b−3には、凹部14b−3bの底面から本体部14b−1の底面に向けて突出する凸部14b−3aが形成されている。
【0019】
また、正極集電体12cは、図6(a)に示すように、略円板状の本体部12c−1と、この本体部12c−1より延出する略長方形状の集電タブ部12c−2を備えている。本体部12c−1は円弧状の接続部12c−3を備えており、図6(b)に示すように、この接続部12c−3には、凹部12c−3bの底面から本体部12c−1の底面に向けて突出する凸部12c−3aが形成されている。同様に、負極集電体14cは、図6(a)に示すように、略円板状の本体部14c−1と、この本体部14c−1より延出する略長方形状の集電タブ部14c−2を備えている。本体部14c−1は円弧状の接続部14c−3を備えており、図6(b)に示すように、この接続部14c−3には、凹部14c−3bの底面から本体部14c−1の底面に向けて突出する凸部14c−3aが形成されている。
【0020】
また、正極集電体12dは、図7(a)に示すように、略円板状の本体部12d−1と、この本体部12d−1より延出する略長方形状の集電タブ部12d−2を備えている。本体部12d−1は円弧状の接続部12d−3を備えており、図7(b)に示すように、この接続部12d−3には、凹部12d−3bの底面から本体部12d−1の底面に向けて突出する凸部12d−3aが形成されている。同様に、負極集電体14dは、図7(a)に示すように、略円板状の本体部14d−1と、この本体部14d−1より延出する略長方形状の集電タブ部14d−2を備えている。本体部14d−1は円弧状の接続部14d−3を備えており、図7(b)に示すように、この接続部14d−3には、凹部14d−3bの底面から本体部14d−1の底面に向けて突出する凸部14d−3aが形成されている。
【0021】
そして、正極集電体12aと渦巻状電極群10a’の正極11との接続(この場合、負極集電体14aと渦巻状電極群10a’の負極13との接続も同様であるので、その説明は省略する)は以下のようにしてなされている。即ち、図10に示すように、凸部12a−3a内に正極11の上部に延出する芯体露出部(活物質の未塗布部)11aの一部が進入し、凸部12a−3aの稜線に沿って照射されたレーザ光により、凸部12a−3aの一部が溶融して該凸部12a−3a内に進入した芯体露出部11aに溶着している。なお、他の正極集電体12b,12c,12dを用いる場合も、正極集電体12aを用いた場合と同様である。
【0022】
この場合、正極11はアルミニウム箔(厚み:15μm)からなる正極芯体11aの上端から4.0mm幅の部分を除く両面に正極活物質が塗布されて形成されている。また、正極集電体12aは厚みが0.3mmのアルミニウム板をプレス加工により成形して形成されている。そして、正極芯体11aの4.0mm幅の未塗布部の一部が正極集電体12aの凸部12a−3a内に進入して、溶着されている。なお、他の正極集電体12b,12c,12dを用いる場合も、正極集電体12aを用いた場合とほぼ同様である。
【0023】
また、負極13は銅箔(厚み:10μm)からなる負極芯体13aの下端から3.0mm幅の部分を除く両面に負極活物質が塗布されて形成されている。また、負極集電体14aは、厚みが0.3mmのニッケル板あるいは銅板の表面にニッケルメッキを施したものをプレス加工により成形して形成されている。そして、負極芯体13aの3.0mm幅の未塗布部の一部が負極集電体14aの凸部14a−3a内に進入して、溶着されている。なお、他の負極集電体14b,14c,14dを用いる場合も、負極集電体14aを用いた場合とほぼ同様である。
【0024】
2.非水電解質二次電池の作製工程
ついで、上述のように構成される非水電解質二次電池の作製工程について、正極の作製工程、負極の作製工程、集電体の作製工程、電池の組立工程の順で、以下に具体的に説明する。
【0025】
(1)正極の作製
まず、正極合剤として、コバルト酸リチウム(LiCoO2)85質量部と、導電剤としての黒鉛粉末5質量部とカーボンブラック5質量部とを充分に混合した。この後、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶かした結着剤としてのフッ化ビニリデン系重合体を固形分として5質量部となるように混合して、正極合剤スラリーを作製した。ついで、得られた正極合剤スラリーを厚みが15μmの正極芯体(アルミニウム箔)11aの両面にドクターブレード法により塗布して、正極芯体11aの両面に正極合剤層11bを形成した。
【0026】
ついで、正極合剤層11bを乾燥させた後、所定の厚み(例えば、厚みが120μm)になるまでローラプレス機により圧延した。この後、所定の寸法(例えば、幅が32.5mmで、長さが1155mm)になるように切断して正極11を作製した。この場合、正極芯体11aの上端から4.0mmまでは、正極芯体11aの両面に正極合剤層11bが存在せずに、正極芯体11aの露出部分(未塗布部分)となるように正極合剤スラリーを塗布するようにしている。
【0027】
(2)負極の作製
一方、天然黒鉛(Lc値が150Å以上で、d値が3.38Å以下のもの)粉末95質量部に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶かした結着剤としてのフッ化ビニリデン系重合体を固形分として5質量部となるように混合して、負極合剤スラリーを調製した。この後、得られた負極合剤スラリーを厚みが10μmの負極芯体(銅箔)13aの両面にドクターブレード法により塗布して、負極芯体13aの両面に負極合剤層13bを形成した。
【0028】
ついで、負極合剤層13bを乾燥させた後、所定の厚み(例えば、厚みが95μm)になるまでローラプレス機により圧延した。この後、所定の寸法(例えば、幅が33.5mmで、長さが1220mm)になるように切断して負極13を作製した。この場合、負極芯体13aの下端から3.0mmまでは、負極芯体13aの両面に負極合剤層13bが存在せずに、負極芯体13aの露出部分(未塗布部分)となるように負極合剤スラリーを塗布するようにしている。
【0029】
ついで、上述のようにして作製した正極11と負極13とを用い、これらの正極11と負極13が厚みが25〜30μmのポリエチレン製のセパレータ15を介して相対向するように配置した。この場合、図2に示すように、正極11の正極芯体11aの露出部(活物質未塗布部)が上方に突出するとともに、負極13の負極芯体13aの露出部(活物質未塗布部)が下方に突出するように配置した。この後、これらの積層状態で渦巻状に巻回して、図3に示すような渦巻状電極群10a’とした。
【0030】
(3)集電体の作製
a.実施例1
まず、所定の厚み(例えば、0.30mm)のアルミニウム板を用意し、このアルミニウム板をプレス成形により、図4(a),(b)に示すように、略円板状の本体部12a−1と、この本体部12a−1より延出する略長方形状の集電タブ部12a−2とを備えるように正極集電体12aを成形した。なお、本体部12a−1の4箇所(上述した渦巻状電極群10a’の渦巻の軌跡に沿う4箇所)に直線形状の接続部12a−3を形成するとともに、この接続部12a−3に凹部12a−3bの底面から本体部12a−1の底面に向けて突出する凸部12a−3aを形成するようにした。この場合、凸部12a−3aの頂部(稜線部)は本体部12a−1の底面と略同一平面になるように形成している。これを実施例1の正極集電体12aとした。なお、本体部12a−1の中心部には注液用の開口部12a−4を形成している。この場合、本体部12a−1の厚みt1と、凹部12a−3bの厚みt2と、凸部12a−3aの厚みt3とが等しく(t1=t2=t3=0.30mm)なるように形成されている。
【0031】
同様に、所定の厚み(例えば、0.30mm)のニッケル板あるいは銅板の表面にニッケルメッキを施したものを用意し、このニッケル板をプレス成形により、図4(a),(b)に示すように、略円板状の本体部14a−1と、この本体部14a−1より延出する略長方形状の集電タブ部14a−2とを備えるように負極集電体14aを成形した。この場合も、本体部14a−1の厚みt1と、凹部14a−3bの厚みt2と、凸部14a−3aの厚みt3とが等しく(t1=t2=t3=0.30mm)なるように形成されている。
【0032】
b.実施例2
同様に、所定の厚み(例えば、0.40mm)のアルミニウム板を用意し、このアルミニウム板をプレス成形により、図5(a),(b)に示すように、略円板状の本体部12b−1と、この本体部12b−1より延出する略長方形状の集電タブ部12b−2とを備えるように正極集電体12bを成形した。なお、本体部12b−1の4箇所(上述した渦巻状電極群10a’の渦巻の軌跡に沿う4箇所)に渦巻の軌跡に沿う円弧状の接続部12b−3を形成するとともに、この接続部12b−3に凹部12b−3bの底面から本体部12b−1の底面に向けて突出する凸部12b−3aを形成するようにした。この場合、凸部12b−3aの頂部(稜線部)は本体部12b−1の底面から若干突出するように形成している。これを実施例2の正極集電体12bとした。なお、本体部12b−1の中心部には注液用の開口部12b−4を形成している。この場合、本体部12b−1の厚みt1は0.40mm(t1=0.40mm)で、凹部12b−3bの厚みt2は0.21mm(t2=0.21mm)で、凸部12b−3aの厚みt3は0.33mm(t3=0.33mm:t3>t2)になるように形成されている。
【0033】
同様に、所定の厚み(例えば、0.40mm)のニッケル板あるいは銅板の表面にニッケルメッキを施したものを用意し、このニッケル板をプレス成形により、図5(a),(b)に示すように、略円板状の本体部14b−1と、この本体部14b−1より延出する略長方形状の集電タブ部14b−2とを備えるように負極集電体14bを成形した。この場合も、本体部14b−1の厚みt1は0.40mm(t1=0.40mm)で、凹部14b−3bの厚みt2は0.21mm(t2=0.21mm)で、凸部14b−3aの厚みt3は0.33mm(t3=0.33mm:t3>t2)になるように形成されている。
【0034】
c.実施例3
同様に、所定の厚み(例えば、0.30mm)のアルミニウム板を用意し、このアルミニウム板をプレス成形により、図6(a),(b)に示すように、略円板状の本体部12c−1と、この本体部12c−1より延出する略長方形状の集電タブ部12c−2とを備えるように正極集電体12cを成形した。なお、本体部12c−1の4箇所(上述した渦巻状電極群10a’の渦巻の軌跡に沿う4箇所)に渦巻の軌跡に沿う円弧状の接続部12c−3を形成するとともに、この接続部12c−3に凹部12c−3bの底面から本体部12c−1の底面に向けて突出する凸部12c−3aを形成するようにした。この場合、凸部12c−3aの頂部(稜線部)は本体部12c−1の底面から若干突出するように形成している。これを実施例3の正極集電体12cとした。なお、本体部12c−1の中心部には注液用の開口部12c−4を形成している。この場合、本体部12c−1の厚みt1は0.30mm(t1=0.30mm)で、凹部12c−3bの厚みt2は0.21mm(t2=0.21mm)で、凸部12b−3aの厚みt3は0.33mm(t3=0.33mm:t3>t2,t1)になるように形成されている。
【0035】
同様に、所定の厚み(例えば、0.30mm)のニッケル板あるいは銅板の表面にニッケルメッキを施したものを用意し、このニッケル板をプレス成形により、図6(a),(b)に示すように、略円板状の本体部14c−1と、この本体部14c−1より延出する略長方形状の集電タブ部14c−2とを備えるように負極集電体14cを成形した。この場合も、本体部14c−1の厚みt1は0.30mm(t1=0.30mm)で、凹部14c−3bの厚みt2は0.21mm(t2=0.21mm)で、凸部14c−3aの厚みt3は0.33mm(t3=0.33mm:t3>t2,t1)になるように形成されている。
【0036】
d.実施例4
同様に、所定の厚み(例えば、0.30mm)のアルミニウム板を用意し、このアルミニウム板をプレス成形により、図7(a),(b)に示すように、略円板状の本体部12d−1と、この本体部12d−1より延出する略長方形状の集電タブ部12d−2とを備えるように正極集電体12dを成形した。なお、本体部12d−1の4箇所(上述した渦巻状電極群10a’の渦巻の軌跡に沿う4箇所)に渦巻の軌跡に沿う円弧状の接続部12d−3を形成するとともに、この接続部12d−3に凹部12d−3bの底面から本体部12d−1の底面に向けて突出する凸部12d−3aを形成するようにした。この場合、凸部12d−3aの頂部(稜線部)は本体部12d−1の底面と略同一平面になるように形成している。これを実施例4の正極集電体12dとした。なお、本体部12d−1の中心部には注液用の開口部12d−4を形成している。この場合、本体部12d−1の厚みt1と、凹部12d−3bの厚みt2と、凸部12d−3aの厚みt3とが等しく(t1=t2=t3=0.30mm)なるように形成されている。
【0037】
同様に、所定の厚み(例えば、0.30mm)のニッケル板あるいは銅板の表面にニッケルメッキを施したものを用意し、このニッケル板をプレス成形により、図7(a),(b)に示すように、略円板状の本体部14d−1と、この本体部14d−1より延出する略長方形状の集電タブ部14d−2とを備えるように負極集電体14dを成形した。この場合も、本体部14d−1の厚みt1と、凹部14d−3bの厚みt2と、凸部14d−3aの厚みt3とが等しく(t1=t2=t3=0.30mm)なるように形成されている。
【0038】
e.比較例(従来例)
一方、所定の厚み(例えば、0.30mm)のアルミニウム板を用意し、このアルミニウム板をプレス成形により、図8に示すように、略円板状の本体部20aと、この本体部20aより延出する略長方形状の集電タブ部20bとを備え、かつ本体部20aの4箇所(上述した渦巻状電極群10a’の渦巻の軌跡に沿う4箇所)に凸部21を備えるとともに、この凸部21の底部が本体部20aと略同一平面になるように正極集電体20を成形した。これを比較例の正極集電体とした。なお、本体部20aの中心部には注液用の開口部20dを形成している。
【0039】
同様に、所定の厚み(例えば、0.30mm)のニッケル板あるいは銅板の表面にニッケルメッキを施したものを用意し、このニッケル板をプレス成形により、図8に示すように、略円板状の本体部22aと、この本体部22aより延出する略長方形状の集電タブ部22bとを備え、かつ本体部22aの4箇所(上述した渦巻状電極群10a’の渦巻の軌跡に沿う4箇所)に凸部23を備えるとともに、この凸部23の底部が本体部20aと略同一平面になるように負極集電体22を成形した。これを比較例の負極集電体とした。なお、本体部22aの中心部には注液用の開口部22dを形成している。
【0040】
(4)電池の組み立て工程
ついで、上述のようにして作製した正極集電体12a〜12dおよび20を用い、これを上述のように作製した渦巻状電極群10a’の上面に図9(なお、図9においては正極集電体12aを配置した場合のみ示しているが、正極集電体12b,12c,12d,20においても同様である)に示すようにそれぞれ配置した。
このとき、正極集電体12a(12b,12c,12d)においては、図10(a)に示すように、凸部12a−3a(12b−3a,12c−3a,12d−3a)内に正極11の上部に延出する芯体露出部(活物質の未塗布部)11aの一部が進入するようになるとともに、本体部12a−1(12b−1,12c−1,12d−1)の底面に芯体露出部11aが接触するようになる。
一方、正極集電体20においては、図15(a)に示すように、集電体20の平板部に位置する電極11の芯体露出部11aの端縁は、集電体20の押圧力により押し潰されるために、集電体20の凸部21内に差し込まれた芯体露出部11aの端縁は凸部21内の先端部までは充分に差し込まれないこととなる。
【0041】
この後、正極集電体12a(12b,12c,12d)においては、凸部12a−3a(12b−3a,12c−3a,12d−3a)の稜線に沿ってレーザを照射して凸部12a−3a(12b−3a,12c−3a,12d−3a)の一部を溶融させた。これにより、図10(b)に示すように、凸部12a−3a(12b−3a,12c−3a,12d−3a)内に進入した芯体露出部11aと凸部12a−3a(12b−3a,12c−3a,12d−3a)の一部とを溶着させた。また、正極集電体20においては、凸部21の頂点にレーザを照射して凸部21の一部を溶融させて、凸部21内に進入した芯体露出部11aと凸部21の一部とを溶着させた。
【0042】
同様に、上述のようにして作製した負極集電体14a〜14dおよび22を用い、これを渦巻状電極群10a’の下面にそれぞれ配置した。この後、正極集電体12a(あるいは正極集電体12b,12c,12d,20)と同様に、レーザを照射して、渦巻状電極群10a’の下面にそれぞれ負極集電体14a(14b,14c,14d)および22を溶接した。
これにより、図11に示すように、渦巻状電極群10a’の上下面に、それぞれ正極集電体12a(12b,12c,12d)と負極集電体14a(14b,14c,14d)が溶接された渦巻状電極体10aを作製した。なお、図11には、渦巻状電極群10a’の上下面にそれぞれ正極集電体20と負極集電体22を溶接した渦巻状電極体を示していないが、この渦巻状電極体は渦巻状電極体10aとほぼ同様(以下においても、同様である)である。
【0043】
ついで、図1に示すように、渦巻状電極体10aの正極集電体12a(12b,12c,12d)の上部に絶縁板19を配置するとともに、渦巻状電極体10aの外周部にポリプロピレン(PP)製の絶縁テープを巻き付けて、渦巻状電極体10aを固定した。ついで、正極集電体12a(12b,12c,12d)(20)の集電タブ部12a−2(12b−2,12c−2,12d−2)(20b)を所定形状に折り曲げるとともに、負極集電体14a(14b,14c,14d)(22)の集電タブ部14a−2(14b−2,14c−2,14d−2)(22b)も所定形状に折り曲げた。この後、図12に示すように、円筒状の金属製(鉄にニッケルメッキを施したもの)外装缶16を用意し、この外装缶16内に上述のようにして作製した渦巻状電極体10aをそれぞれ挿入した。
【0044】
ついで、正極集電体12a(12b,12c,12d)(20)の注液用の開口部12a−4(12b−4,12c−4,12d−4)(20d)より溶接電極を挿入して、負極集電体14a(14b,14c,14d)(22)の集電タブ部14a−2(14b−2,14c−2,14d−2)(22b)と外装缶16の内底部とを抵抗溶接した。この後、外装缶16の上部外周部の所定位置に溝入れ加工を施して、外装缶16の上部外周部に凹部16aを形成した後、この凹部16a上に絶縁ガスケット18を装着した。ついで、正極端子17aと正極カバー17bからなる封口蓋17を用意した後、正極集電体12a(12b,12c,12d)(20)より延出する集電タブ部12a−2(12b−2,12c−2,12d−2)(20b)の先端部を正極カバー17b底面に超音波溶接した。
【0045】
この後、80〜110℃に加熱された真空雰囲気中に配置して乾燥処理を行った後、外装缶16の内部に非水電解液を注液し、封口蓋17を絶縁ガスケット18に装着して、外装缶16の開口部をカシメて密封した。これにより、実施例1の非水電解質二次電池Aと、実施例2の非水電解質二次電池Bと、実施例3の非水電解質二次電池Cと、実施例4の非水電解質二次電池Dと、比較例の非水電解質二次電池Xをそれぞれ作製した。なお、正極集電体12aおよび負極集電体14aを用いたものを非水電解質二次電池Aとし、正極集電体12bおよび負極集電体14bを用いたものを非水電解質二次電池Bとし、正極集電体12cおよび負極集電体14cを用いたものを非水電解質二次電池Cとし、正極集電体12dおよび負極集電体14dを用いたものを非水電解質二次電池Dとし、正極集電体20および負極集電体22を用いたものを非水電解質二次電池Xとした。
【0046】
ここで、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との等体積混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットル溶解した非水電解液を注入した。なお、溶媒に溶解される溶質としては、LiPF6以外に、LiBF4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiCF3(CF23SO3等を用いてもよい。さらに、ポリマー電解質、ポリマーに非水電解液を含浸させたようなゲル状電解質、固体電解質なども使用できる。
【0047】
また、混合溶媒としては、上述したエチレンカーボネート(EC)にジエチルカーボネート(DEC)を混合したもの以外に、水素イオンを供給する能力のない非プロトン性溶媒を使用し、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、ブチレンカーボネート(BC)、γ−ブチロラクトン(GBL)等の有機溶媒や、これらとジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,2−ジメトキシ工タン(DME)、エトキシメトキシエタン(EME)などの低沸点溶媒との混合溶媒を用いてもよい。
【0048】
3.試験
(1)溶接不良
上述のようにして非水電解質二次電池A,B,C,D,Xをそれぞれ100個ずつ作製する過程において、まず、渦巻状電極群10a’の上下面に、それぞれ正極集電体12a(12b,12c,12d)(20)と負極集電体14a(14b,14c,14d)(22)を溶接して渦巻状電極体10aを作製する際に、正極集電体12a(12b,12c,12d)(20)あるいは負極集電体14a(14b,14c,14d)(22)に穴空きが生じたか否かを目視により観測して、いずれかの集電体に穴空きが生じた個数を求めた。
すると、非水電解質二次電池A,B,C,Dにおいては、穴空きが生じた個数は0個であったのに対して、非水電解質二次電池Xにおいては、穴空きが生じた個数は27個であった。そして、穴空きが生じた27個(27%)の非水電解質二次電池Xにおいては、穴空きが生じた位置に対応するセパレータが溶融して、正極11と負極13が短絡した状態であることが分かった。
【0049】
(2)短絡不良
ついで、各集電体12a(12b,12c,12d)(20)および14a(14b,14c,14d)(22)の溶接時に穴空きが生じなかった各100個の渦巻状電極体10aを用い、これの正、負極間にそれぞれ300Vの交流電圧を印加して、10mA以上の電流が流れた場合には短絡不良と判定する短絡試験を行って、短絡不良の個数を求めた。すると、非水電解質二次電池Aにおいては、短絡不良が生じた個数は3個であった。そして、短絡不良が生じた3個の電池Aにおいては、全てが活物質粉末や異物に起因する短絡で、集電体12a(14a)の溶接とは関係のない部分の短絡であることが分かった。また、非水電解質二次電池B,Cにおいては、短絡不良が生じた個数は0個であり、非水電解質二次電池Dにおいては、短絡不良が生じた個数は2個であった。この場合も、全てが活物質粉末や異物に起因する短絡で、集電体12d(14d)の溶接とは関係のない部分の短絡であることが分かった。
【0050】
これに対して、非水電解質二次電池Xにおいては、短絡不良が生じた個数は11個であった。そして、短絡不良が生じた11個の内、5個は集電体の溶融時の流れ込みに起因して生じたセパレータ溶融による正、負極間の短絡であることが分かった。また、3個は、芯体11a(13a)の未塗布部が過度に押し潰されたことにより生じた芯体11a(13a)のエッジによるセパレータ貫通に起因する正、負極間の短絡であることが分かった。更に、3個は、活物質粉末や異物に起因する短絡であることが分かった。
【0051】
(3)電圧不良
ついで、上述のようにして作製した非水電解質二次電池A,B,C,D,Xにおいて、上述の溶接不良および短絡不良が生じなかった各100個の電池A,B,C,D,Xを用い、これらの各電池A,B,C,D,Xの定格容量の30%を充電した後、室温で6日間放置した。ここで、6日間の放置により、0.1V以上の電圧降下が生じた電池を電圧不良と判定する放置試験を行って、電圧不良の個数を求めた。すると、非水電解質二次電池A,B,C,Dにおいては、電圧不良が生じた個数は0個であった。
【0052】
これに対して、非水電解質二次電池Xにおいては、電圧不良が生じた個数は3個であった。そして、電圧不良が生じた全ての電池Xにおいては、芯体11a(13a)の未塗布部が過度に押し潰されたことにより生じた芯体11a(13a)のエッジによるセパレータ貫通に起因する正、負極間の短絡であることが分かった。そして、上述の各試験結果をまとめて表にすると、下記の表1に示すような結果となった。
【0053】
(4)注液不良
ついで、上述のようにして作製した非水電解質二次電池A,B,C,D,Xにおいて、上述の溶接不良、短絡不良および電圧不良が生じなかった各100個の電池A,B,C,D,Xを用い、これらの各電池A,B,C,D,Xに電解液を注液した際に、300秒以内に電解液の注液が完了しなかったものを注液不良と判定する注液試験を行った。この結果、下記の表1に示すような結果が得られた。
【0054】
【表1】
Figure 0004822647
【0055】
上記表1の結果から明らかなように、比較例の電池Xは溶接不良、短絡不良、電圧不良、注液不良の発生が大きいのに対して、実施例の各電池A,B,C,Dはこれらの不良の発生が少ないことが分かる。これは、実施例の電池A,B,C,Dにおいては、各正極集電体12a(12b,12c,12d)の本体部12a−1(12b−1,12c−1,12d−1)に接続部12a−3(12b−3,12c−3,12d−3)が形成されているとともに、この接続部12a−3(12b−3,12c−3,12d−3)に凹部12a−3b(12b−3b,12c−3b,12d−3b)の底面から本体部12a−1(12b−1,12c−1,12d−1)の底面に向けて突出する凸部12a−3a(12b−3a,12c−3a,12d−3a)が形成されている。そして、芯体露出部11aを凸部12a−3a(12b−3a,12c−3a,12d−3a)内に進入させた後、凸部12a−3a(12b−3a,12c−3a,12d−3a)の稜線に沿ってレーザを照射して、凸部12a−3a(12b−3a,12c−3a,12d−3a)の一部を溶融させている。
【0056】
また、負極集電体14a(14b,14c,14d)の本体部14a−1(14b−1,14c−1,14d−1)接続部14a−3(14b−3,14c−3,14d−3)が形成されているとともに、この接続部14a−3(14b−3,14c−3,14d−3)に凹部14a−3b(14b−3b,14c−3b,14d−3b)の底面から本体部14a−1(14b−1,14c−1,14d−1)の底面に向けて突出する凸部14a−3a(14b−3a,14c−3a,14d−3a)が形成されている。そして、芯体露出部13aを凸部14a−3a(14b−3a,14c−3a,14d−3a)内に進入させた後、凸部14a−3a(14b−3a,14c−3a,14d−3a)の稜線に沿ってレーザを照射して、凸部14a−3a(14b−3a,14c−3a,14d−3a)の一部を溶融させている。
【0057】
このため、比較例の電池Xのように、集電体20(22)の溶融金属の飛散によるセパレータ15の溶融や、集電体20(22)の圧接時の芯体11a(13a)の未塗布部が過度に押し潰されたことにより生じた芯体11a(13a)のエッジによるセパレータ貫通に起因する正、負極間の短絡が生じなかったためと考えられる。
【0058】
また、電池B,C,Dは電池Aに比較して、溶接不良、短絡不良、電圧不良、注液不良の発生が少ないことが分かる。これは、電池B,C,Dにおいては、接続部14b−3(14c−3,14d−3)は直線形状ではなく、渦巻の軌跡に沿う円弧状に形成されているため、芯体露出部11a(13a)が凸部12b−3a(12c−3a,12d−3a)(14b−3a(14c−3a,14d−3a))内に進入するのが容易になる。これにより、溶接不良、短絡不良、電圧不良、注液不良の発生が減少したと考えられる。さらに、電池B,Cにおいては、凸部12b−3a,12c−3aの厚みが凹部12b−3b,12c−3bの厚みよりも肉厚に形成されている。このため、電池Dのように、凸部12d−3aの厚みと凹部12d−3bの厚みが等しい場合に比べて溶接強度が向上して、溶接不良が生じないこととなる。
【0059】
なお、上述した実施の形態においては、正極集電体および負極集電体に形成した凹部と凸部からなる接続部を、これらの集電体の本体部の渦巻状電極群の略巻回軌跡に沿う4箇所に不連続に形成する例について説明したが、接続部の配設箇所についてはこれに限らず、渦巻状電極群の略巻回軌跡に沿う適宜の数カ所に形成するようにしても良いし、あるいは略巻回軌跡に沿うように連続して形成するようにしてもよい。
【0060】
また、上述した実施の形態においては、正極集電体および負極集電体に形成した凹部と凸部からなる接続部を集電体の半径方向の4箇所に不連続に配設する例について説明したが、これらの接続部を集電体の半径方向に連続して配設するようにしてもよく、その配設方向も集電体の半径方向の数カ所にしてもよい。また、上述した実施の形態においては、レーザを照射して各集電体と各電極を溶接する例について説明したが、レーザに代えて電子ビーム、イオンビームなどの他のエネルギービームを用いるようにしてもよい。
【0061】
また、上述した実施の形態においては、本発明を非水電解質二次電池に適用する例について説明したが、本発明は非水電解質二次電池に限らず、ニッケル−水素化物蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池などのアルカリ蓄電池、あるいは他の種類の電池に適用できることは明らかである。この場合、電極芯体として金属箔を用いた電極を使用した電池に適用すると特に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の非水電解質二次電池を模式的に示す電極群を除く部分の断面を示す一部破断の断面図である。
【図2】 図1の非水電解質二次電池に用いられる正極と負極をセパレータを介して重ね合わせた状態を示す正面図である。
【図3】 図2の積層状態のものを渦巻状に巻回して形成した電極群を示す斜視図である。
【図4】 実施例1の集電体を示す図であり、図4(a)は斜視図を示し、図4(b)は図4(a)のA−A断面を示す図である。
【図5】 実施例2の集電体を示す図であり、図5(a)は斜視図を示し、図5(b)は図5(a)のB−B断面を示す図である。
【図6】 実施例3の集電体を示す図であり、図6(a)は斜視図を示し、図6(b)は図6(a)のC−C断面を示す図である。
【図7】 実施例4の集電体を示す図であり、図7(a)は斜視図を示し、図7(b)は図7(a)のD−D断面を示す図である。
【図8】 比較例(従来例)の集電体を示す図であり、図8(a)は斜視図を示し、図8(b)は図8(a)のE−E断面を示す図である。
【図9】 図3の電極群に図4の集電体を取り付けて形成した電極体を示す斜視図である。
【図10】 図9の電極体の要部を示す断面図であり、図10(a)は図3の電極群の上部に図4の集電体を配置した状態を示す断面図であり、図10(b)は集電体にレーザを照射して電極群の一方の電極と集電体を溶接した状態を示す断面図である。
【図11】 図3の電極群の上部および下部にそれぞれの集電体を溶接して形成した電極体を示す斜視図である。
【図12】 図11の電極体を外装缶内に収容する状態を示す斜視図である。
【図13】 平板の金属板にレーザを照射して金属を溶融させる例を模式的に示す図であり、図13(a)はレーザを照射する状態を模式的に示す断面図であり、図13(b)はレーザ照射後の状態を模式的に示す断面図である。
【図14】 凸部を形成した金属板の凸部にレーザを照射して金属を溶融させる例を模式的に示す図であり、図14(a)はレーザを照射する状態を模式的に示す断面図であり、図14(b)はレーザ照射後の状態を模式的に示す断面図である。
【図15】 凸部を形成した金属板の凸部内に差し込まれた電極の芯体と凸部とをレーザにより溶融接合する例を模式的に示す図であり、図15(a)はレーザを照射する状態を模式的に示す断面図であり、図15(b)はレーザ照射後の状態を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
10…非水電解質二次電池、10a…渦巻状電極体、10a’…渦巻状電極群、11…正極、11a…正極芯体、11b…正極合剤層、12a,12b,12c,12d…正極集電体、12a−1,12b−1,12c−1,12d−1…本体部、12a−2,12b−2,12c−2,12d−2…正極集電タブ、12a−3,12b−3,12c−3,12d−3…接続部、12a−3a,12b−3a,12c−3a,12d−3a…凸部、12a−3b,12b−3b,12c−3b,12d−3b…凹部、12a−4,12b−4,12c−4,12d−4…開口部、13…負極、13a…負極芯体、13b…負極合剤層、14a,14b,14c,14d…負極集電体、14a−1,14b−1,14c−1,14d−1…本体部、14a−2,14b−2,14c−2,14d−2…負極集電タブ、14a−3,14b−3,14c−3,14d−3…接続部、14a−3a,14b−3a,14c−3a,14d−3a…凸部、14a−3b,14b−3b,14c−3b,14d−3b…凹部、14a−4,14b−4,14c−4,14d−4…注液用の開口部、15…セパレータ、16…金属製外装缶、16a…凹部、17…封口蓋、17a…正極端子、17b…正極カバー、18…絶縁ガスケット、19…絶縁板

Claims (7)

  1. 正極芯体に正極合剤が塗布された正極と、負極芯体に負極合剤が塗布された負極がセパレータを介して相対向するように積層あるいは巻回された電極群を備え、前記正極芯体あるいは負極芯体の少なくとも一方の端部は前記正極合剤あるいは負極合剤が未塗布の未塗布部が形成されていて、該芯体の未塗布部に正極集電体あるいは負極集電体が溶接された集電構造を有する電池であって、
    前記正極集電体あるいは負極集電体の少なくとも一方は略円板状の本体部と、該本体部より延出した略長方形状の集電タブ部とを備えているとともに、前記本体部は凹部と凸部とからなる接続部を備え、前記凸部は前記凹部内の底面から当該本体部の底面に向けて突出し、かつ該凸部の頂部の内底面が前記本体部の内底面より低位置になるように形成されていて、当該凸部内に前記電極群の前記芯体の未塗布部が収束して嵌入するようになされており
    前記凸部内に収束して嵌入した前記芯体の未塗布部の一部と該凸部の一部とが該凸部の稜線に沿って溶接されていることを特徴とする電池。
  2. 前記凸部に照射されたエネルギービームにより前記芯体の未塗布部の一部と該凸部の一部とが該凸部の稜線に沿って溶接されていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
  3. 前記電極群は正極と負極がセパレータを介して渦巻状に巻回された渦巻状電極群であって、
    前記正極集電体あるいは負極集電体に備えられた前記接続部は前記渦巻状電極群の略巻回軌跡に沿って連続してあるいは不連続に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池。
  4. 前記正極集電体あるいは負極集電体に備えられた前記接続部は前記渦巻状電極群の略巻回軌跡に沿うように円弧状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電池。
  5. 前記凸部の肉厚は前記凹部の肉厚よりも厚いことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電池。
  6. 前記正極集電体あるいは負極集電体に備えられた前記接続部は当該集電体の半径方向に連続してあるいは不連続に配設されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の電池。
  7. 前記エネルギービームはレーザ光であることを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の電池。
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