JP4989323B2 - メモリカードの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、IC等の電子回路を組み込んだ半導体チップを内蔵するメモリカードの製造方法に係り、特に、配線基板の表面側を樹脂モールド成形してパッケージングする製造方法に関する。
デジタルカメラや携帯電話といった小型の電子デバイス機器には、着脱可能な記録媒体としてフラッシュメモリ等の矩形状のメモリカードが内蔵されるものが多い。この種のメモリカードは、IC等の電子回路を組み込んだ半導体チップを配線基板に搭載して樹脂モールドしたものを、規格に適合した形状および寸法のカードキャップと呼ばれるケース内に収納してパッケージングされる。このようなメモリカードにあっては、昨今の軽薄短小化に伴ってさらに小型・薄型化されたものが提供されており、そのようなメモリカードは寸法が制限されることから、カードキャップを用いず、樹脂モールドの状態で製品形状に成形されるものがある。
樹脂モールドされたメモリカードは、複数のメモリカード領域が区画された配線基板の表面に、半導体チップをメモリカード領域ごとに実装して搭載し、次いで、配線基板の表面にエポキシ樹脂等のモールド樹脂を充填して各メモリカード領域の半導体チップを一括して封止し、この後、メモリカード領域の境界すなわち分割予定ラインに沿って、配線基板を固化したモールド樹脂とともに切断して個片化することにより製造される(特許文献1等参照)。
再公表 WO2002/069251
樹脂モールドされた配線基板を切断してメモリカードに個片化するには、高速回転させたディスク状のブレードをワークに切りませて切断するダイシング装置が一般に用いられる。ところが、このようなダイシング装置で切断されたメモリカードの周縁の断面は直角で鋭利な状態となっている。このため、機器のスロットに対して挿入したり、あるいはスロットから取り出す際にメモリカードの周縁が引っ掛かり、円滑に着脱しにくいといった不具合が起こる場合がある。また、周縁を面取り形状とした意匠を得ることができないといった不満がある。
そこで、ダイシング装置で切断する分割予定ラインを予めV字状の溝で形成しておけば、切断後は、斜めに面取りされた周縁を得ることができる。しかしながら、メモリカードは単純な矩形状ではなく切欠きが形成されるなどの異形状部があるものが多く、そのような異形状部はダイシング装置で直線的には切断できないので面取り形状とすることは難しく、このため、異形状部も面取り形状とすることができる有効な方法が望まれている。
よって本発明は、モールド成形された状態のメモリカードの、従来は断面直角となっていた周縁を容易に面取り形状とすることができ、スロットに対してより円滑な着脱が可能となったり、周縁が面取り形状となった意匠を得ることができたりするメモリカードの製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、格子状の分割予定ラインによって複数のメモリカード領域が区画されており、これらメモリカード領域に半導体チップが搭載された配線基板の表面に、モールド金型を用いて、各メモリカード領域に、異形状部を有するメモリカード部をモールド成形するモールド成形工程と、分割予定ラインに沿って、配線基板と、配線基板の表面にモールド成形されたモールド樹脂とを同時に切断して、複数の矩形状のメモリカード領域片に個片化する個片化工程と、個片化されたメモリカード領域片に対して、メモリカード部の異形状部およびコーナー部をプロファイル研削によって成形してメモリカードを得るプロファイル研削工程とを備える製造方法であって、モールド成形工程において、メモリカード部の、異形状部を含む表面側の周縁を面取り形状に成形することを特徴としている。
本発明の製造方法によれば、配線基板の表面に複数のメモリカード部をモールド成形するモールド成形工程で、該メモリカード部の表面側の周縁の全てを面取り形状に成形することにより、この後の個片化工程、プロファイル研削工程を経て得られた個々のメモリカードは、表面側の周縁が面取り形状となっている。個片化工程では直線状の分割予定ラインを切断して矩形状のメモリカード領域片に個片化するだけなので、例え分割予定ラインを断面V字状の溝で形成しても、異形状部は面取り形状にはならない。本発明ではメモリカード部のモールド成形時に周縁を面取り形状に成形するので、異形状部も容易に面取り形状に成形することができる。
本発明では、配線基板の裏面側の分割予定ラインを断面V字状の溝で形成することにより、少なくとも裏面側の周縁のうちの異形状部以外の分割予定ラインで切断された周縁を面取り形状として得ることができる。
本発明によれば、モールド成形された状態のメモリカードの、従来は断面直角であったメモリカード周縁を容易に面取り形状とすることができる。その結果、スロットに対してより円滑な着脱が可能となったり、周縁が面取り形状となった意匠を容易に得ることができたりするといった効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
[1]メモリカード
図1は、一実施形態で製造するメモリカードを示している。このメモリカード1は「マイクロSDカード」という記録媒体であり、所定の規格に適合した形状および寸法に成形されている。すなわちこのメモリカード1は、15×11×1(mm)の略長方形状であって、長手方向に延びる互いに平行な辺部のうちの一方は直線状であるが、他方には、連続する台形状の凹部2aおよび凸部2bによって異形状部2が形成されており、さらに、凸部2bから一端部までの幅を他端側の幅より小さくする切欠き部3が形成されている。また、他端部の表面には、縁部が一端側に向かって緩やかに凸に湾曲する肉厚部4が形成されている。
肉厚部4はメモリカード1の表裏面を区別するために形成されるものである。また、異形状部2および切欠き部3は、メモリカード1の挿入方向を判別するために形成されており、特に異形状部2は、記録の可否を設定するロック機能も兼ねている。
図1(a)に示すように、メモリカード1は、図示せぬ半導体チップが実装されたガラスエポキシ等からなる配線基板10の表面にエポキシ等の樹脂によりメモリカード部20がモールド成形されて半導体チップが封止された構成となっている。メモリカード部20は、配線基板10の表面に積層された第1の層21と、第1の層21に積層される第2の層22とに分けられる。これら層21,22は同じ樹脂で一体であり、実際には図示のように境界線は見られないが、ここでは成形時での機能および構成の相違から2つの層21,22に分けている。メモリカード1の表面側の周縁の、異形状部2を含む全周は面取りされ、面取り部8が形成されており、また、四隅のコーナー部9もR状に面取りされている。
メモリカード1は、図2に示す長方形状の配線基板(以下、個々のメモリカード1の配線基板10と区別するため親基板11と称する)を基にして複数が製造される。図2(a)に示すように、親基板11の表面には、複数(この場合、3つ)のブロック12が、所定数のメモリカード1を形成する領域として長手方向に区画されている。各ブロック12は、長辺が親基板11の長手方向に平行な長方形状であり、さらにこれらブロック12内には、図2(b)に示すように、1つのメモリカード1の形成領域であるメモリカード領域13が、格子状の分割予定ライン14によって複数区画されている。親基板11の裏面側の分割予定ライン14には、断面V字状の溝15が形成されている。各メモリカード領域13は、長辺がブロック12の長手方向に平行な長方形状であり、この場合、縦3列×横3列の配列で、計9つが1つのブロック12に区画されている。各メモリカード領域13の表面には、図示せぬ半導体チップがそれぞれ実装されている。
図1で示したメモリカード1は、図2で示した親基板11が、モールド成形工程、個片化工程、プロファイル研削工程を経ることにより得られる。以下、これら工程を順に行ってメモリカード1を得る方法を説明していく。
[2]メモリカードの製造方法
[2−1]モールド成形工程
モールド成形工程では、図2〜図4に示すように、各メモリカード領域13の表面に、メモリカード部20をモールド成形する。モールド成形するには、ブロック12に対応して形成されたモールド金型30を各ブロック12に配置して親基板11に被せ、モールド金型30内に液状のモールド樹脂を充填し、固化させる。
モールド金型30は、外形がブロック12に対応した長方形を呈する薄いケース状のもので、図4に示すように、内面には、ブロック12のほぼ全体を覆って上記第1の層21を形成するための第1の凹部31と、この第1の凹部31内に、メモリカード領域13に対応して形成され、製造すべきメモリカード1に近似した形状の上記第2の層22を形成するための複数(9つ)の第2の凹部32とが形成されている。第2の凹部32は、略長方形状であって、メモリカード1に形成される上記した異形状部2(凹部2a,凸部2b)、切欠き部3および肉厚部4が形成され得る雌型形状に形成されている。
さらに、第2の凹部32の底部外形を形成する内隅周縁は、断面直角ではなく、面取り形状に形成されている。この面取り形状は、第2の凹部32の内隅周縁の、メモリカード1の異形状部2の成形部分を含む全周にわたって形成されている。面取り形状は、例えばR形状や45°程度の適度な傾斜面などが挙げられる。このように第2の凹部32の内隅周縁が面取り形状に形成されていることによって、モールド成形されるメモリカード部20の表面側の全周縁(第2の層22の全周縁)は、第2の凹部32側の雌型の面取り形状が転写された面取り形状(図1で示した面取り部8)に成形される。
なお、図示はしないが、モールド金型30の、例えば対角部分などの適宜な2箇所には、第1の凹部31に通じる孔がそれぞれ形成される。これら孔は、一方が樹脂充填口、他方が排気口とされる。
モールド成形工程は、まず、半導体チップが搭載された表面側を上にして親基板11を水平に設置し、この親基板11の表面に、モールド金型30を各ブロック12に配置して被せ、この状態を適宜な手段で固定する。次に、樹脂充填口として設定した一方の孔からモールド金型30内に液状のモールド樹脂を充填する。充填される樹脂は、はじめに第1の凹部31を満たし、続いて、第1の凹部31から各第2の凹部32に入り込んでいく。充填した樹脂が排気口として設定された孔から排出されてきたら、モールド金型30内、すなわち第1の凹部31および第2の凹部32に樹脂が充満したと判断し、樹脂の充填を停止する。
所定の樹脂固化プロセスが経過したら、モールド金型30を樹脂から剥離して取り外す。これにより、親基板11の各ブロック12の表面に、第1の凹部31による第1の層21と、この第1の層21の上に第2の凹部32による第2の層22とが一体に積層されてなるメモリカード部20がモールド成形された樹脂モールド親基板16を得る(図2および図3参照)。各メモリカード部20の第1の層21は共通しており、この第1の層21の上に、メモリカード1の形状に近似した複数(9つ)の第2の層22が一体に積層されていると言える。すなわち各メモリカード部20の第2の層22には、上記した異形状部2(凹部2a,凸部2b)、切欠き部3および肉厚部4が形成されている。
上記モールド成形により、第2の層22における異形状部2を含む表面側の全周縁は、モールド金型30の第2の凹部32の内隅周縁の面取り形状が転写されることにより、面取り形状に成形される。この面取り部8は、第2の層22の表面から側面に移行する外隅角部に形成される。
[2−2]個片化工程
次に、上記モールド成形工程で得られた樹脂モールド親基板16を、分割予定ライン14に沿って切断して、図5に示すメモリカード領域片6に個片化する。樹脂モールド親基板16を切断するには、図6に示すダイシング装置40が好適に用いられる。以下、該装置40の構成ならびに樹脂モールド親基板16を切断して複数のメモリカード領域片6に個片化する動作を説明する。
[2−2−1]ダイシング装置の構成
図6に示すダイシング装置40は、略直方体状の基台51を有している。この基台51の水平な上面には位置決め機構52が設けられ、この位置決め機構52の周囲には、時計回りにカセット53、ダイシング機構54、洗浄ユニット55が配置されている。さらに、位置決め機構52の上方には、樹脂モールド親基板16の表面を撮影して、切断すべき分割予定ライン14(隣接するメモリカード領域13の境界)を認識するための画像認識カメラ56が設置されている。カセット53内には、樹脂モールド親基板16を保持した複数のダイシング用治具90が、メモリカード部20を上にした状態で積層して収容される。
ダイシング用治具90は、図7に示すように、中央に長方形状の開口部91aが形成されたダイシングフレーム91と、このダイシングフレーム91の片面(図7(b)で下面)に開口部91aを覆って貼着されるダイシングテープ92とから構成される。樹脂モールド親基板16は、メモリカード部20を上にして、親基板11がダイシングテープ92の表面の粘着材層に貼着されてダイシング用治具90に保持される。ダイシングフレーム91の外形は、ダイシング装置40においてワーク(この場合、樹脂モールド親基板16)を工程順に移送させるための規格に適合した形状および寸法を有している。
なお、樹脂モールド親基板16を保持するダイシング用治具としては、図8に示す孔無しタイプの治具ボード95を用いてもよい。この治具ボード95は、図7のダイシングフレーム91に開口部91aが形成されていない形態であり、寸法および外形はダイシングフレーム91と同一のものである。樹脂モールド親基板16は、この治具ボード95の表面の中央に、両面粘着テープ96によって貼着されて保持される。
さて、図6に戻ってダイシング装置40の説明を続けると、カセット53からは樹脂モールド親基板16を保持した1枚のダイシング用治具90がクランプ57によって取り出され、そのダイシング用治具90は位置決め機構52を経由してダイシング機構54に移される。そして、このダイシング機構54によって樹脂モールド親基板16が切断、分割され、複数のメモリカード領域片6に個片化される。カセット53から位置決め機構52に移されたダイシング用治具90は、位置決め機構52が具備する一対のガイドバー52aに挟まれて定位置に保持され、さらにチャックテーブル42上に移載された後に、画像認識カメラ56により分割予定ライン14の位置確認がなされる。この画像認識カメラ56で撮影された画像データに基づき、分割予定ライン14の切断動作が制御されるようになっている。
ダイシング機構54で個片化された複数のメモリカード領域片6は、ダイシングテープ92に粘着したままの状態でダイシング用治具90に保持されており、この後、該治具90が位置決め機構52を経由して洗浄ユニット55に移され、この洗浄ユニット55で、複数のメモリカード領域片6およびダイシング用治具90が洗浄される。この後、複数のメモリカード領域片6を保持するダイシング用治具90はもう一度位置決め機構52を経由してカセット53に戻される。基台51上には、このようにダイシング用治具90を移送する図示せぬ移送ロボットが設けられている。
ダイシング機構54は、矩形状のテーブルベース41上に回転自在に設けられた円盤状のチャックテーブル42と、このチャックテーブル42の上方に、X方向に並列状態に配された2つのダイシングユニット45とを備えている。テーブルベース41は、基台51上に図示せぬガイドレールを介してX方向に移動自在に設けられ、図示せぬ駆動機構によって往復移動させられる。
チャックテーブル42は、上面が水平で、Z方向(鉛直方向)を軸線として回転自在にテーブルベース41上に支持されており、図示せぬ駆動機構によって時計方向または反時計方向に回転させられる。チャックテーブル42は周知の真空チャック式であり、上面側の空気を吸引する真空運転が行われると、樹脂モールド親基板16を保持したダイシング用治具90を上面に吸着する。ダイシング用治具90のダイシングフレーム91は、クランプ43によって周縁部が保持される。テーブルベース41の移動方向の両端部には、テーブルベース41の移動路を覆って切削屑等が侵入することを防ぐための蛇腹状のカバー44が伸縮自在に設けられている。
ダイシングユニット45は、軸方向がY方向と平行な状態に保持された円筒状のスピンドルハウジング46と、このスピンドルハウジング46内に設けられた図示せぬスピンドルに取り付けられたディスク状のブレード47とを備えている。スピンドルハウジング46はスピンドルを回転駆動するモータを内蔵しており(図示略)、基台51上に設けられた図示せぬフレームに、軸方向がY方向と平行な状態を保持したままで、Y方向に往復移動し、かつZ方向に上下動するように支持されている。そのフレームには、ダイシングユニット45をそれらの方向に移動させる図示せぬ駆動機構が設けられている。スピンドルハウジング46のブレード47が装着された側の端部には、ブレードカバー48が取り付けられている。このブレードカバー48には、切断時の潤滑、冷却、清浄化等のための加工水をブレード47による加工点に向けて供給する加工水ノズル49A,49Bが取り付けられている。
[2−2−2]ダイシング装置の動作
続いて、上記ダイシング装置40によって樹脂モールド親基板16を切断、分割して複数のメモリカード領域片6に個片化する動作を説明する。
まず、樹脂モールド親基板16を保持する1つのダイシング用治具90が、クランプ57によってカセット53内から位置決め機構52側に引き出され、2つのガイドバー52aの間に置かれる。そして、2つのガイドバー52aが互いに近付く方向にリンクして移動し、ダイシング用治具90を挟んだ時点で移動を停止する。これによってダイシング用治具90がチャックテーブル42への移送開始位置に位置決めされる。
次に、予め真空運転されているチャックテーブル42上に、移送ロボットによって樹脂モールド親基板16を保持するダイシング用治具90が移され、載置される。樹脂モールド親基板16は、ダイシング用治具90ごとチャックテーブル42に吸引されて、該チャックテーブル42に吸着、保持される。そして、画像認識カメラ56により分割予定ライン14の位置確認がなされるとともに、分割予定ライン14の切断動作を制御するための画像データが取得される。
次いで、チャックテーブル42を回転させて分割予定ライン14をダイシングユニット45のブレード47に合わせてから、ブレード47を下降させ、次いでテーブルベース41をX方向に移動させることにより、高速回転するブレード47を分割予定ライン14に沿って切り込ませ、その分割予定ライン14を切断する。この動作がダイシング機構54の基本動作であり、2つのダイシングユニット45のY方向およびZ方向の移動と、テーブルベース41のX方向の移動が適宜に組み合わされて、全ての分割予定ライン14が切断される。
ブレード47の切り込み深さは、モールド樹脂で成形されたメモリカード部20と親基板11を貫通し、かつ、ダイシングテープ92の厚さの途中まで刃先が到達し、刃先がチャックテーブル41の表面には接触しない程度に調整される。この場合、ダイシングユニット45を2つ具備することにより、例えばこれらダイシングユニット45のY方向の間隔を適宜ずらして配置することにより、樹脂モールド親基板16の1回のX方向への移動で2本の分割予定ライン14を切断することができるといったように、効率的に切断することができる。
上記の切断動作によって全ての分割予定ライン14が切断されると、樹脂モールド親基板16は、複数のメモリカード領域片6に個片化される。これらメモリカード領域片6はまだダイシングテープ92に貼り付いたままで樹脂モールド親基板16の形が保たれており、この後、ダイシング用治具90は位置決め機構52を経由して洗浄ユニット55に移され、この洗浄ユニット55によって洗浄される。洗浄されたダイシング用治具90は、もう一度位置決め機構52を経由してカセット53に戻される。
以上のようにして多数の樹脂モールド親基板16が個片化処理され、処理された樹脂モールド親基板16を保持するダイシング用治具90がカセット53に所定数貯まると、カセット53は、次のメモリカード領域片6のピックアップ工程に搬送される。ピックアップ工程では、ダイシングテープ92からメモリカード領域片6がピックアップされ、図5に示したメモリカード領域片6を複数得る。メモリカード領域片6は、親基板11が個片化された配線基板10の表面に、第1の層21と第2の層22からなるメモリカード部20が成形されたものである。
このメモリカード領域片6の表面側のメモリカード部20の周縁は、第1の層21の周縁と第2の層22の周縁が段差を形成して混在しているが、第2の層22の周縁には、モールド成形によって面取り部8が形成されており、これ以外の第1の層21の周縁は、切断されたままの断面直角の状態となっている。一方、裏面側(配線基板10側)の周縁は、裏面側の分割予定ライン14に沿って断面V字状の溝15が形成されていてこの溝15が半分に分割されることにより、面取り形状となっている。
[2−3]プロファイル研削工程
次に、個片化されたメモリカード領域片6に対して、長辺側の両側面を研削加工して最終的なメモリカード1の形状および寸法に成形するプロファイル研削工程を行う。プロファイル研削は、図9に示す一対の円筒砥石工具61,71と、複数のメモリカード領域片6を固定治具82に固定して円筒砥石工具61,71の間に送り込む送り手段81とを備えたプロファイル研削装置60が、好適に用いられる。
円筒砥石工具61,71は、この場合、メモリカード1の直線状の側面における両端のコーナー部9を面取りするのみの直線部砥石工具61と、異形状部2が形成された側面を研削して異形状部2および切欠き部3に形成する異形状部砥石工具71に分けられる。
図10に示すように、直線部砥石工具61は、鉛直方向(図9でZ方向)に延びる駆動軸62の下端部に、円筒状の直線部砥石63が同軸的、かつ着脱自在に固定される構成である。駆動軸62は図示せぬモータ等の駆動源によって回転駆動する。直線部砥石63は、円筒状のベース69の外周面に、電着や電鋳法などの手段で固着されており、軸方向両端部の外周面には、周方向に延びる環状凸部64が全周にわたって形成されている。これら環状凸部64の内側の側面には、メモリカード領域片6の直線部のコーナー部9をR状に面取り加工するR状加工部64aがそれぞれ形成されている。直線部砥石63は、ベース69が、駆動軸62に下方から嵌め込まれ、駆動軸62に固定されている上方のフランジ68と、駆動軸62の下端に形成されたねじ部62aにねじ込まれるロックナット67に挟み込まれることにより、駆動軸62に固定される。
一方、異形状部砥石工具71も、図10に示すように、基本構成は直線部砥石工具61と同様であり、鉛直方向に延びる駆動軸72の下端部に、ベース79の外周面に固着された円筒状の異形状部砥石73が嵌め込まれてフランジ78に当接され、ロックナット77をねじ部72aにねじ込んで固定される構成である。異形状部砥石73の軸方向両端部の外周面には、直線部砥石63と同様の環状凸部74が形成されている。これら環状凸部74の内側の側面には、メモリカード領域片6の異形状部のコーナー部9をR状に面取り加工するR状加工部74aがそれぞれ形成されている。また、異形状部砥石73の外周面の環状凸部74の間には、異形状部2の凹部2aおよび凸部2bを形成する環状凸部75aと環状凹部75bが形成され、さらに、環状凹部75bから一方のR状加工部74aにわたる部分に、切欠き部3を形成する環状膨出部76が形成されている。
このような直線部砥石工具61および異形状部砥石工具71は、Z方向の高さ位置が一致する状態に配列される。また、互いの間隔であるX方向の距離は、各砥石63,73の間に水平に送り込まれてくるメモリカード領域片6の側面を、面取り部8を研削することなく、かつ、4箇所のコーナー部9をR形状に面取りし、かつ、異形状部砥石74によって異形状部2(凹部2a,凸部2b)および切欠き部3が適確に形成される所定間隔をおいて、位置決めされる。
図9に示す送り手段81の固定治具82は、長方形状のベース83の両端に端板部84a、84bが立設され、これら端板部84a,84bの間に、複数の板状のスペーサ85が一列に配列されたものである。ベース83の上には、該ベース83の長手方向に延びるスペーサガイド84cが一体に設けられており、各スペーサ85は、このスペーサガイド84cに摺動自在、かつ上下方向への移動が規制された状態に嵌合されている。メモリカード領域片6は、異形状部2側を一側方(図9では左側)に揃え、かつ、面の向きを揃えて、隣接するスペーサ85の間に1つずつ挿入される。スペーサ85間に挿入されたメモリカード領域片6は、スペーサガイド84cの上に載せられてベース83から一定の高さ位置に配置され、さらに、幅方向の位置を揃えて配置される。そして、一方の端板部(図9で手前側)84aに外側からボルト86をねじ込んで、該端板部84cに隣接するスペーサ85を他方の端板部84b方向に押し込むことにより、各メモリカード領域片6は、各スペーサ85と重畳する状態に締め付け固定される。
このようにして複数のメモリカード領域片6を保持した固定治具82は、長方形状の真空チャック式吸着テーブル87の上に吸着、保持される。吸着テーブル87は長手方向をY方向に沿って配置され、複数のメモリカード領域片6を保持した固定治具82は、メモリカード領域片6の配列方向がY方向と平行になる状態に、吸着テーブル87上に載置されて保持される。吸着テーブル87は、直線部砥石63と異形状部砥石73との間の適正な加工領域に向かって、図示せぬガイドに沿ってY方向に進退自在に設けられている。吸着テーブル87の進退動作は、図示せぬ駆動機構によってなされる。
上記プロファイル研削装置60によれば、送り機構81の吸着テーブル87上に複数のメモリカード領域片6を固定して保持し、その吸着テーブル87をY方向に沿って移動させ、駆動軸62,72を回転させた直線部砥石工具61と異形状部砥石工具71との間に送り込む。メモリカード領域片6は、これら工具61,71の回転する各砥石63,73の間を通過し、その通過中において、直線部側および異形状部側の側面が同時に研削される。直線部砥石63で研削されるメモリカード領域片6の直線部側の側面は、上下のコーナー部9がR状加工部64aによってR状に面取りされる。一方、異形状部砥石73で研削されるメモリカード領域片6の異形状部側の側面は、上下のコーナー部9がR状加工部74aによってR状に面取りされ、また、異形状部2(凹部2aと凸部2b)が環状凸部75aと環状凹部75bにより形成され、さらに切欠き部3が環状膨出部76によって形成される。
吸着テーブル87が各工具63,73の間を通過すると、固定治具82に保持された複数のメモリカード領域片6は、図1に示した、四隅のコーナー部9がR状に面取りされ、異形状部側の側面には異形状部2(凹部2aと凸部2b)および切欠き部3が形成されたメモリカード1に成形される。これらメモリカード1は、固定治具82から外されて得られ、この後は、洗浄など次の工程に移される。
[3]実施形態の製造方法の作用効果
上記実施形態のメモリカードの製造方法によれば、親基板11の表面に複数のメモリカード部20をモールド成形する工程において、メモリカード部20における第2の層22の、異形状部2を含む全ての周縁(第2の層22の周縁)を面取り形状に成形して面取り部8を形成している。このようにして面取り部8をメモリカード部20を成形する段階で成形することにより、最終的に得られるメモリカード1の表面の周縁全周を面取り形状として得ることができる。
一般に、メモリカードの表面側の周縁全周を面取り形状とするには、上記プロファイル研削を行って得たメモリカードの周縁に対して面取り加工を施す方法が考えられるが、この方法では、複雑に入り組んだ異形状部2を面取りすることが困難である。ところが、本実施形態のようにモールド成形の段階で面取り部8を成形することは、モールド金型30をそのような形状にするだけで可能あるからきわめて容易であり、形状の一定化も図られるといった利点もある。
また、メモリカード1の裏面側の周縁は、親基板11の裏面側の分割予定ライン14がV字状の溝15に形成され、この溝15が個片化工程で半分に分割されたことにより、面取り形状となっている。なお、プロファイル研削によって新たに研削された周縁の裏面側は断面直角状になっているが、ここは、凹部2aおよび切欠き部3の周縁であって、全体の概略外形から内側にえぐれた接触しにくい部分である。
以上のように、本実施形態の製造方法で得られたメモリカード1は、表面側の異形状部2を含む周縁全周がモールド成形時に面取り形状に成形されており、また、裏面側の周縁は、個片化工程で切断され、かつプロファイル研削によって除去されなかった多くの部分が、面取り形状となっている。このようなメモリカード1によれば、デジタルカメラや携帯電話等の機器のスロットに対して円滑な着脱が可能となったり、周縁が面取り形状となった意匠を得ることができたりするなど、様々な効果が発揮される。
本発明の一実施形態の製造方法によって製造されるメモリカードの(a)斜視図、(b)平面図である。 配線基板(親基板)の表面にメモリカード部がモールド成形された樹脂モールド親基板の(a)平面図、(b)裏面図である。 樹脂モールド親基板の一部を示す斜視図である。 モールド金型によって親基板の表面にメモリカード部をモールド成形した状態を示す断面図である。 樹脂モールド親基板を個片化して得たメモリカード領域片の斜視図である。 樹脂モールド親基板を個片化するダイシング装置の斜視図である。 ダイシング用治具で樹脂モールド親基板を保持した状態を示す(a)平面図、(b)断面図である。 図7のものとは異なる形式のダイシング用治具で樹脂モールド親基板を保持した状態を示す(a)平面図、(b)断面図である。 メモリカード領域片の両側面を研削加工するプロファイル研削装置を示す斜視図である。 プロファイル研削装置の直線部砥石工具および異形状部砥石工具を示す正面断面図である。
符号の説明
1…メモリカード
2…異形状部
6…メモリカード領域片
8…面取り部
9…コーナー部
10…配線基板
11…親基板
13…メモリカード領域
14…分割予定ライン
15…溝
16…樹脂モールド親基板
20…メモリカード部
30…モールド金型

Claims (2)

  1. 格子状の分割予定ラインによって複数のメモリカード領域が区画されており、これらメモリカード領域に半導体チップが搭載された配線基板の表面に、モールド金型を用いて、各メモリカード領域に、異形状部を有するメモリカード部をモールド成形するモールド成形工程と、
    前記分割予定ラインに沿って、前記配線基板と、前記配線基板の表面にモールド成形されたモールド樹脂とを同時に切断して、複数の矩形状のメモリカード領域片に個片化する個片化工程と、
    個片化された前記メモリカード領域片に対して、前記メモリカード部の前記異形状部およびコーナー部をプロファイル研削によって成形してメモリカードを得るプロファイル研削工程とを備え、
    前記モールド成形工程においては、前記メモリカード部の、前記異形状部を含む表面側の周縁を面取り形状に成形すること
    を特徴とするメモリカードの製造方法。
  2. 前記配線基板の裏面側の前記分割予定ラインが、断面V字状の溝で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメモリカードの製造方法。
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