JP4988119B2 - 車両操舵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、車両操舵装置と、車両操舵装置のための車軸操舵モジュールに関する。
【0002】
今日の車両、特に乗用車は一般的に、油圧サーボ式操舵装置を備えている。この操舵装置の場合、ステアリングホイールが操舵可能な車輪に機械的に強制連結されている。
【0003】
操舵可能な車輪をサーボモータに駆動連結することが知られている。このサーボモータは、操舵操作装置のその都度の操舵操作のために必要な手動の力を最小限に抑えるために、ステアリングホイールと操舵される車輪の間で伝達される力またはトクルに依存して制御される。
【0004】
更に、操舵操作装置と操舵される車輪が制御系によってのみ連結されている車両操舵装置が知られている。この場合、ステアリングホイールと車輪はもはや機械的に連結されない。
【0005】
しかし、往々にして、ステアリングホイールハブと操舵される車輪の間の機械的な直結装置は完全に省略されない。その場合、制御系が故障しないで作動する場合、機械的な直結装置が分離され、それによって働かなくなる。しかし、常時故障を自己監視する制御系で機能不良が検出されると、機械的な直結装置が自動的に作用するように切換えられる。従って、この機械的な直結装置は制御系の機能不良時に“機械的な緊急時モード”を生じる。
【0006】
本発明の課題は、ステアリングホイールと車輪の間の機械的な連結装置を備えておらず、安全で確実な操舵機能を保証する、車両操舵装置と操舵可能な車軸のための有利な実施形を提供することである。
【0007】
この課題は独立請求項記載の特徴によって解決される。本発明による操舵装置の特に有利な実施形は従属請求項に記載されている。
【0008】
課題は、運転者によって操作可能である操舵操作装置、特にステアリングホイールと、少なくとも1個の操作力シミュレータと、車体に設けられた、操舵可能な車軸の車輪対の操舵可能な各々1個の右側と左側の車輪を制御するための各々1個の電気機械式アクチュエータと、操舵可能な車軸に付設された両アクチュエータの一方が故障したときまたは異常があるとき、正常に機能しているその都度他方のアクチュエータによって、この車軸の両車輪の制御を保証するための手段と、操舵操作装置によって操作可能である、調節すべき操舵角のための少なくとも1個の目標値トランスデューサと、車輪の操舵角を感知する少なくとも1個の実際値トランスデューサと、実際値トランスデューサの信号(実際値)と目標値トランスデューサの信号(目標値)の比較に依存して電気機械式アクチュエータを制御する中央制御ユニットとを備えた車両操舵装置によって解決される。本発明による車両操舵装置によって、比較的に短い調節変位と、高い調節速度が達成可能である。
【0009】
この車両操舵装置の場合、操舵操作装置と電気機械式アクチュエータが機械的に直接連結されていないので、その都度の操舵状態に関する、従来は運転者に付与されたフィードバックが生じなくなる。従って、操舵操作装置自体を積極的に動かすことができるように形成された少なくとも1個の操作力シミュレータが設けられている。操舵操作装置に作用する操作力が操舵角目標値設定に影響を及ぼし、1個または複数のドライビングダイナミックス変数の直感的なフィードバックを行うことができる。
【0010】
本発明の有利な実施形では、各電気機械式アクチュエータにそれぞれ、独立したエネルギー供給源からエネルギーが供給される。独立したエネルギー源は好ましくは独立した2個の車両バッテリである。この車両バッテリは好ましくは慣用のバッテリ回路よりも高い電圧、特に約36〜42Vを有する。
【0011】
本発明の有利な実施形では、中央制御ユニットが“フェイル−サイレント”に従って形成され、かつ冗長プロセッサユニットを備えている。
【0012】
用語“冗長プロセッサユニット”はここでは、冗長的なアーキテクチャ、従って2個のプロセッサを有するプロセッサユニットであると理解される。用語“フェイル−サイレント”はここでは、欠陥がある場合中央制御ユニットが静か(サイレント)であり、他のシステム構成要素に制御機能を及ぼさないことを意味する。その際、機能不良(欠陥)は中央制御ユニットの自動検査によって、特に欠陥検出回路、例えばコンパレータによって検出される。このコンパレータは冗長プロセッサユニットの両プロセッサから出力された値または信号を比較する。一方のプロセッサが機能不良である場合、両値または信号の所定の偏差を生じることになり、その場合中央制御ユニットが自動的に遮断される(フェイル−サイレント)。
【0013】
中央制御ユニットは、少なくとも目標値と実際値の比較と、場合によっては他の変数に依存してアクチュエータを制御する。そのために、一方のアクチュエータが車輪の操舵調節のために調節ストローク運動を行うように、中央制御ユニットがアクチュエータを制御する。この場合、実際値トランスデューサによって感知された操舵角の実際値が、操舵操作装置の操作によって設定された目標値トランスデューサによって設定された操舵角目標値に調節される。場合によっては、この目標値は、例えば車両に作用する外乱力を少なくとも部分的に相殺するために、他の変数によって変更することができる。他の変数は好ましくは車両の速度、ドライビングスタビリティ、特に車両のヨートルクまたは横滑り角度、道路の状態およびまたは例えば横風のような他の影響要因である。更に、適当な制御機能によって、運転者による操舵操作装置の激しすぎる操作を補償するための緩衝機能が統合される。
【0014】
しかし、速度に依存する操舵ギヤレシオおよび操舵アシストを達成するために、アクチュエータのための操舵角目標値は好ましくは少なくとも、操舵操作装置に加えられる操作力と、瞬時の車両縦方向速度に依存して可変に設定される。そのために、中央制御ユニットは入力側がセンサに接続される。このセンサの信号は操舵可能な車輪に発生する操舵力によって補正されている。例えばセンサはアクチュエータの力を検出することができる。更に、中央制御ユニットは入力側を、設定すべきパラメータ、例えば車両の横方向加速度およびまたはヨー速度を検出するセンサに接続可能である。
【0015】
本発明の有利な実施形によれば、アクチュエータが“フェイル−サイレント”に従って形成され、かつ少なくとも各々1個の電気機械式アクチュエータ要素と各々1個の冗長電子モジュールユニットを備えている。
【0016】
用語“冗長電子モジュールユニット”はここでは、冗長的なアーキテクチャ、特に2個のプロセッサを備えたモジュールユニットであると理解される。用語“フェイル−サイレント”はここでは、欠陥がある場合電子モジュールユニットが静か(サイレント)であり、他のシステム構成要素に制御機能を及ぼさないことを意味する。その際、機能不良(欠陥)は電子モジュールユニットの自動検査によって検出される。この場合、欠陥検出回路、例えばコンパレータによって、冗長プロセッサユニットの両プロセッサから出力された値または信号の間の偏差が検出される。この偏差は電子モジュールユニットを自動的に遮断することになる(フェイル−サイレント)。
【0017】
従って、本発明による車両操舵装置は好ましくは、アクチュエータに付設された少なくとも4個のプロセッサと、中央制御ユニットに付設された2個のプロセッサを備えている。
【0018】
本発明の有利な実施形によれば、アクチュエータの電子モジュールユニット、特にプロセッサユニットがアクチュエータ要素電流またはアクチュエータ要素位置のようなアクチュエータ要素特有のローカル信号に基づいて欠陥を認識し、欠陥が認識されたときに、車両操舵装置のシステムにメッセージを出力し、欠陥のあるアクチュエータを遮断する。従って、アクチュエータは通電しないときに開放している。これは、遮断されたアクチュエータがまだ正常に機能しているアクチュエータによって操舵操作時に受動的に“連動する”ことを意味する。
【0019】
本発明の有利な実施形では、車両操舵装置が調節すべき操舵角のための2つの目標値トランスデューサと、車輪の操舵角を感知する2個の実際値トランスデューサを備えている。それによって、一方の目標値トランスデューサおよびまたは実際値トランスデューサの故障時に、まだ正常に機能している他方の目標値トランスデューサおよびまたは実際値トランスデューサによって、操舵装置を制御するための信号を発生することができる。
【0020】
本発明の有利な実施形では、調節すべき操舵角のための目標値トランスデューサと、車両の操舵角を感知する実際値トランスデューサが冗長的に形成されている。
【0021】
用語“冗長目標値トランスデューサ”はここでは、回転角度のための少なくとも2個の測定プローブと、少なくとも1個のアナログ−デジタル−変換器(A/Dコンバータ)と、コンパレータを備えた目標値トランスデューサ、好ましくはステアリングホイールの回転角度用センサであると理解される。冗長目標値トランスデューサは好ましくは“フェイル−サイレント”に従って形成されている。これは、欠陥がある場合目標値トランスデューサが静か(サイレント)であり、他のシステム構成要素に制御機能を及ぼさないことを意味する。その際、機能不良(欠陥)は目標値トランスデューサの自動検査によって検出される。この場合、コンパレータによって、測定プローブによって検出された値または信号の間の偏差が確認される。この偏差は目標値トランスデューサを自動的に遮断することになる(フェイル−サイレント)。まだ正常に機能している他方の目標値トランスデューサの信号は、操舵装置の制御のために使用される。
【0022】
用語“冗長実際値トランスデューサ”はここでは、操舵可能な車輪の位置、特に操舵装置のタイロッドの変位のためのセンサを意味する。この冗長的なセンサは同様に、調節変位、特にタイロッド変位のための少なくとも2個の測定プローブと、少なくとも1個のアナログ−デジタル−変換器(A/Dコンバータ)と、コンパレータを備えている。冗長実際値トランスデューサは好ましくは“フェイル−サイレント”に従って形成され、欠陥がある場合静か(サイレント)であり、他のシステム構成要素に制御機能を及ぼさない。機能不良(欠陥)は実際値トランスデューサの自動検査によって検出される。この場合、コンパレータによって、測定プローブによって検出された値または信号の間の偏差が確認される。この偏差は目標値トランスデューサを自動的に遮断することになる(フェイル−サイレント)。まだ正常に機能している他方の実際値トランスデューサの信号は、操舵装置の制御のために使用される。
【0023】
本発明の有利な実施形では、少なくともアクチュエータと中央制御ユニットの間に二重に形成されたデータバスが、データ伝送ユニットとして設けられている。これは、各々のアクチュエータが2個のデータバスラインに接続され、それによって一方のバスに欠陥がある場合、他方のデータバスが操舵装置の制御のために供されることを意味する。
【0024】
本発明の他の有利な実施形では、データ伝送ユニットとして、アクチュエータと中央制御ユニットの間にそれぞれ1つのデータバスが設けられている。それぞれ1個のアクチュエータがそれぞれ1個のバスに接続されるので、両アクチュエータは基本的に他のバスに依存しない各々1個のデータバスを介して制御される。両データバスは好ましくは、空間的に分離されて形成される。それによって例えば、(共通の)1個のプラグ、例えば中央制御ユニットの入出力部の共通の1個のプラグにおいて、電気的な短絡が生じない。この短絡はシステム全体の機能を危険にさらす。この実施形の場合、両バスは好ましくは冗長的な別個の1つの車両プロセッサ内で接続されている。これは、ブレーキシステムまたはエンジン管理のような他の車両機能を制御することができるこの中央の車両プロセッサ内で、操舵装置の両バスがまとめられ、両バスを経て供給される情報が評価および交換されることを意味する。それによって、どの接続ユニットが存在し、場合によってこの接続ユニットがどのような状態にあるかが、バスに接続された各々の接続ユニットに伝送される。それによって、接続ユニットの異常または故障の際に、他の接続ユニットが応答可能である。
【0025】
本発明の有利な実施形では、データバスが車両バスシステム、特にCANの一部である。
【0026】
本発明の有利な実施形では、特に現在の車両状態に関する情報を受信するために、中央制御ユニットが車両バスシステム、特にCANに接続されている。
【0027】
本発明の有利な実施形では、設定された所定の操作抵抗をシミュレートするために、操舵操作装置が機械式または機械油圧式の第1の操作力シミュレータに駆動連結されていることと、操舵操作装置が電気的に操作可能で、特にパラメータに依存する第2の操作力シミュレータに作用連結され、操舵操作装置が、少なくとも実際値およびまたは場合によっては他の信号、特に車速、車両ヨー角度、車両縦補講加速度、車両横方向加速度または現在の静止摩擦のような道路状態信号のごときダイナミックな車両状態信号に応じて、第2の操作力シミュレータを制御する。それによって、操舵力シミュレータは“フェイル−セーフ”に従って形成されている。第1の操作力シミュレータは第2の操作力シミュレータの故障時のフォールバックとしての働きをする。第1の操作力シミュレータは好ましくは、運転者にとってほぼ普通の操作力を操舵操作装置に加えるために、弾性手段を備えている。第1の操作力シミュレータは、操舵操作装置が中央位置から離れる、特に回転するにつれて、弾性的な抵抗が累進的に増大するように設計されていると有利である。
【0028】
本発明の有利な実施形では、中央制御ユニットが電子式車両ブレーキシステム、特に電気機械式ブレーキシステム(EMB)に接続されている。
【0029】
本発明の有利な実施形では、それぞれ2個の電気機械式アクチュエータが車両の右側と左側にある、操舵可能な車軸の車輪対の操舵可能な車輪を制御するために、少なくとも1本の操舵ロッド(タイロッド)と関連して、車軸操舵モジュールとして形成されている。
【0030】
本発明の有利な実施形では、車両操舵装置の中央制御ユニットと、電子式車両ブレーキシステムの中央制御ユニットが、個々のモジュールとして共通の1個のケーシング内に配置されている。
【0031】
本発明の有利な実施形では、車両操舵装置と電子式車両ブレーキシステムのために、共通の1個の中央制御ユニットが設けられている。
【0032】
本発明の有利な実施形では、車体に設けられた、操舵可能な車軸の車輪対の操舵可能な各々1個の右側と左側の車輪を制御するためのそれぞれ2個の電気機械式アクチュエータが、少なくとも1個の操舵ロッドと関連して、車軸操舵モジュールとして形成されている。
【0033】
課題は更に、2個の電気機械式アクチュエータを備え、このアクチュエータがそれぞれ1個の電動機を備え、アクチュエータがそれぞれ、車体に設けられた、操舵可能な車軸の車輪対の操舵可能な右側と左側の車輪に付設され、かつ連結装置によって互いに連結可能であり、それによって操舵可能な両車輪が1個のアクチュエータによって揺動可能である、車軸操舵モジュールによって解決される。
【0034】
本発明の有利な実施形では、車両操舵装置がスラストロッドとして形成された少なくとも1本の操舵ロッドを備え、この操舵ロッドの延長部が操舵可能な両車輪のためのタイロッドに連結可能であり、2個の電動機が操舵ロッド軸線と同軸に設けられ、この電動機がそれぞれ1個のロータを備え、電動機トルクを少なくとも1本の操舵ロッドに伝達するために、ロータが伝達装置を介して回転−並進変換装置に連結され、それによって少なくとも1個の電動機の操作時に少なくとも1本の操舵ロッドを摺動させることにより、車軸操舵モジュールの操舵機能が保証される。
【0035】
本発明の有利な実施形では、伝達装置が回転−並進変換装置に直接的に連結するための手段を備えている。
【0036】
本発明の有利な実施形では、伝達装置が回転−並進変換装置に直接的に連結するための手段を備えている。
【0037】
本発明の有利な実施形では、回転−並進変換装置がねじ伝動装置、特にボールねじ装置である。
【0038】
本発明の有利な実施形では、回転−並進変換装置が車軸操舵モジュールの範囲または部分範囲にねじ付きロッド状に形成された少なくとも1本の操舵ロッド(ねじ付きロッド)に駆動連結され、この操舵ロッドが少なくとも1個のねじ付きナットによって取り囲まれ、かつその間に配置された転動体によって前記ねじ付きナットに連結され、この転動体が少なくとも1本のねじ付きロッドのねじに嵌まる成形部を備えている。
【0039】
本発明の有利な実施形では、伝達装置が歯車装置またはクラッチ、特に遊星歯車装置である。
【0040】
本発明の有利な実施形では、電動機が操舵ロッドと同軸のコイルを有するステータと、このステータの周りに回転支承されたロータを備え、このロータが永久磁石、特に希土類磁石、特にサマリウムコバルト磁石またはネオジウム磁石を備えている。
【0041】
本発明の有利な実施形では、電動機が、特にトランスバースフラックスモータとして形成された電子的に整流される直流モータである。
【0042】
本発明の有利な実施形では、電動機のロータが伝達装置を介してねじ伝動装置のねじ付きナットに、遊びのないようにかつ形状拘束的に回転するように連結されている。
【0043】
本発明の有利な実施形では、電動機のロータの少なくとも一部範囲が、伝達装置の一部として、特に遊星歯車装置の太陽歯車として形成されている。
【0044】
本発明の有利な実施形では、各々のアクチュエータに少なくとも2個の電子ユニットが付設され、電子ユニットの1個に欠陥がある場合に、正常に機能する他方の電子ユニットがアクチュエータの制御を行う。
【0045】
本発明の有利な実施形では、アクチュエータまたは電動機に欠陥がある場合に、まだ正常に機能するアクチュエータまたは電動機によって、車輪の揺動運動が行われ、この場合欠陥のあるアクチュエータのモジュールユニットが、連結装置、特に少なくとも1個のねじ付きナットと少なくとも1個のねじ装置を介して、機械的なクラッチによって純機械的に連動させられる。
【0046】
本発明の有利な実施形では、少なくとも1本の操舵ロッドに作用する調節力を受け止めるために、少なくとも1個の軸受、特にアキシャルアンギュラ玉軸受が設けられ、この軸受が、ねじ付きナットと伝達装置またはクラッチの少なくとも1個の部品、特に遊星歯車装置の遊星キャリヤの部品を収容するために内側リングを備え、かつ調節力をケーシングまたはこのケーシングに摩擦連結された車軸操舵モジュールの部品に伝えるために外側リングを備えている。
【0047】
本発明の有利な実施形では、作用する調節力を検出し、この検出された調節力を手動操作装置、特に車両操舵装置のステアリングホイールにフィードバックするために、軸受の外側リングに少なくとも1個の力センサが付設されている。
【0048】
本発明の有利な実施形では、電動機のステータがケーシングに配置されているかあるいはこのケーシングに摩擦連結された車軸操舵モジュールの部品に配置され、電動機のロータが、固定の軸受と可動の軸受を介してケーシングに連結された車軸操舵モジュールの部品またはケーシングに摩擦連結された車軸操舵モジュールの部品に回転可能に支承されている。
【0049】
本発明の有利な実施形では、各々のアクチュエータが伝達装置として遊星歯車装置を備え、この遊星歯車装置の太陽歯車がロータの部品として形成され、かつ調節力を受け止めるための軸受の外側リングの一部である内歯歯車に支持されている。
【0050】
本発明の有利な実施形では、少なくとも1個のアクチュエータの操作時に、操舵ロッドを摺動させることによって車軸操舵モジュールの操舵機能を保証するために、スラストロッドとして形成された共通の1本の操舵ロッド、特に共通の1本のねじ付きロッドと、共通の1個の回転−並進変換装置、特に共通の1個のねじ付きナットとその間に配置された共通の転動体とが、2個のアクチュエータに付設されている。
【0051】
本発明の有利な実施形では、両アクチュエータを連結し、1個のアクチュエータを操作する際に、連結された2本の操舵ロッドを摺動させることによって車軸操舵モジュールの操舵機能を保証するために、スラストロッドとして形成された各々1本の操舵ロッド、特に各々1本のねじ付きロッドと、各々1個の回転−並進変換装置、特に各々1個のねじ付きナットとその間に配置された共通の転動体とが、両アクチュエータの各々に付設されている。
【0052】
本発明の有利な実施形では、連結装置が電気機械式クラッチを備え、このクラッチがクラッチディスクを備え、このクラッチディスクが2個の軸受、特にアキシャルアンギュラ玉軸受の内側リングに摩擦的に連結され、この軸受が2本の操舵ロッドで発生する調節力を受け止める働きをすることと、通電していない状態で両クラッチディスクが弾性的な手段、特に圧縮ばねによって互いに押し付けられ、アクチュエータの2個の回転−並進変換装置を摩擦的に連結する。
【0053】
本発明の有利な実施形では、2本の操舵ロッドの相互の所定の最大調節範囲が機械的なストッパーによって設定され、このストッパーが2本の操舵ロッドの相対的な所定の変位の差だけを許容する。
【0054】
本発明の有利な実施形では、両操舵ロッドの一方の少なくとも一部範囲が中空軸として形成され、この中空軸が2個のストッパーを備え、他方の操舵ロッドに連結された連結棒が中空軸の中空室に挿入され、連結棒が中空軸側の端片を備え、この端片が2個の内側のストッパーと2個の外側のストッパーを備え、このストッパーが、それに支持可能な2個の連動ディスクおよび連動ディスクに支持された圧縮ばねと協働して、2本の操舵ロッドの相対的な所定の変位の差だけを許容する。
【0055】
本発明の有利な実施形では、電気機械式クラッチの閉鎖時に、連結棒が出発位置を定め、この出発位置で圧縮ばねが最大長さを有し、かつ両連動ディスクによって連結棒の2個の外側ストッパーと中空軸の両ストッパーに支持されていることと、電気機械式クラッチの開放時に、第1と第2の端位置が定められ、この端位置が操舵ロッドの変位の最大の差を決定し、この場合第1の端位置において圧縮ばねが最小の長さを有し、両連動ディスクによって一方では中空軸の第1のストッパーに支持され、他方では連結棒の第2の外側のストッパーに支持され、第2の端位置において圧縮ばねが最小長さを有し、両連動ディスクによって一方では中空軸の第2のストッパーに支持され、他方では連結棒の第1の外側のストッパーに支持されている。
【0056】
実施の形態と4つの図(図1〜3)に基づいて本発明による車両操舵装置を詳しく説明する。
【0057】
図1は本発明による車両操舵装置を概略的に示している。運転者はステアリングホイール1または運転者の意図する走行方向を設定可能である類似の操作要素、例えばサイドスティックを操作する。この場合、運転者の意図する走行方向は、ステアリングホイール1の回転角度として、2個のセンサ2,3によって冗長的に検出され、データ伝送線5,6によって中央制御ユニット4に電子的に伝えられる。運転者は操舵操作時に、第1の受動式操作力シミュレータ7によって触覚的なリアクションを受ける。このリアクションは第2の電気機械式操作力シミュレータ8によって、必要時に強められるかまたは弱められる。この第2の電気機械式操作力シミュレータ8はデータ伝送線9を介して中央制御ユニット4によって制御される。中央制御ユニット4には好ましくは、車速検出装置10の信号がデータ伝送線11を経て送られる。そして、中央制御ユニット4において、速度に依存して操舵トルクを変更するアルゴリズムが実行される。運転者の意図は中央制御ユニット4で評価され、2個のアクチュエータ12,13のための操舵角(目標値)に換算され、データ伝送線14,15を経てアクチュエータ12,13に供給される。操舵可能な車軸18の操舵可能な車輪16,17につき、各々1個のアクチュエータ12,13が設けられているので、基本的には右側の車輪16と左側の車輪17の独立した制御が可能である。操舵可能な車輪16,17の車輪位置の現在の実際値は、適切なセンサ19,20から各々1本のデータ伝送線21,22を経て中央制御ユニット4に送られる。
【0058】
従って、ステアリングホイール1と操舵可能な車輪16,17の間には、直接的な機械的連結部材は設けられていない。操舵可能な車軸18からのステアリングホイール1の本発明によるこの機械的な切離しにより、ステアリングコラムを省略することができる。それによって、車両前部の組み込み状況と車両のクラッシュ状態が改善される。運転者と車輪16,17の間の切離しによって、運転者は車輪16,17によって励起されるステアリングホイール振動によってもはや刺激されない。更に、この操舵装置は、操舵操作時の運転者による過剰リアクションを補償するために、操舵アシスト機能を統合することを可能にする。アクチュエータ16,17の電子的な制御により、ドライビングスタビリティコントロール(ESP)を適当に設計して関連づけると、複合制御をきわめて有利に実現することができる。そして、ドライビングスタビリティを高めるために操舵角を変更可能である。本発明による操舵装置は更に、操舵可能な車軸18の右側と左側の車輪16,17の間の切離しに基づいて、車両の比較的に小さな旋回半径が達成され、同時に車両の比較的に高い方向安定性が達成されるという利点がある。更に、本発明による操舵装置の組立ては公知の操舵装置と比べて簡単である。というのは、操舵可能な車軸18とステアリングホイール1とを機械的に連結する必要がないからである。
【0059】
図2には、冗長センサ装置と冗長評価回路を備えた、本発明による車両操舵装置のシステム設計が示してある。この場合、この図と後続の図において、図1と同じ操舵装置部品には同じ参照符号が付けられている。運転者はその意図する走行方向を設定するためにステアリングホイール1を操作する。運転者のこの意図は、それぞれ1個のA/Dコンバータ30,31と出力部32,33を有する2個の冗長センサ2,3によって、冗長的に検出される。センサ2,3の信号は電子的な方法で、特に冗長バスシステム34,35(2本のデータライン)を介して中央制御ユニット4に伝えられる。第2の電気機械式操作力シミュレータ8の制御も行う中央制御ユニット4では、速度(パラメータステアリング)に依存して操舵トルクを変更するアルゴリズムが実行される。更に、運転者の強力な操舵リアクションを強く緩衝することができる(操舵アシスト)。横風に基づくヨーリアクションも、付加的な操舵角によって相殺することができる。というのは、車両バスシステム、特にCAN36を介して、現在のドライビング状態に関する情報を読み取ることができるからである。
【0060】
操舵角範囲全体にわたってやや増大する戻しトルクと、急速な操舵運動の際の運動を緩衝するトルクが、第1の受動式操作力シミュレータ7によって発生させられる。このリアクションは必要時に、第2の電気機械式操作力シミュレータ8によって強めたり弱めたりすることができる。そのために、モータ37は伝動装置38を経て、ステアリングホイール1に連結された軸39にトルクを発生する。それによって、システムは、ハイドロプレーニング、縁石、低摩擦係数のような道路の状況を運転者にフィードバックすることができる。
【0061】
運転者の意図は中央制御ユニット4で評価され、アクチュエータ12,13のための制御信号に換算される。本発明に従って基本的に独立しているアクチュエータ12,13により、操舵可能な車軸18、特に前車軸18の右側と左側の車輪16,17の間の操舵角度は少なくとも所定の限度内で互いに独立して調節可能である。それによって、旋回半径、タイヤ摩耗および直進安定性を最適に実現することができる。
【0062】
中央制御ユニット4は好ましくは“フェイル−サイレント−アーキテクチャ”に従って構成され、2個の冗長プロセッサ40,41を備えている。操作ユニットは好ましくは“フェイル−セーフ−アーキテクチャ”を有する。これは、第2の電気機械式操作力シミュレータ8が通電していないときに開放し、スイッチ42によって遮断可能であり、電気的なエネルギー源43の故障時にトルクを発生しないことを意味する。故障の場合、運転者は第1の操作力シミュレータ7によって触覚的なリアクションを受ける。故障していないと、アクチュエータ12,13によって供給される力が検出される。これは好ましくはアクチュエータ12,13のモータ44,45の電流とアクチュエータ12,13の調節変位を測定することによって行われる。中央制御ユニットは検出された力から、第2の電気機械式操作力シミュレータ8のための制御信号を発生する。それによって、運転者は、第1の受動式操作力シミュレータ7に重畳された、道路に作用する摩擦係数に関する触覚的なフィードバックを得る。
【0063】
アクチュエータ12,13はそれぞれ電動機44,45を備えている。この電動機は好ましくは1個のケーシング内に、冗長電子ユニット57,58を備えている。この電子ユニットは特にパワー出力段とロジックユニットを備えている。この場合、各々の電子ユニット57,58のためにそれぞれ2個のプロセッサ46〜49が設けられている。電子ユニット57,58はアクチュエータを駆動する。動力取り出しはギヤユニット50,51を介して行われる。このギヤユニットは必要な変速に応じて、回転/回転ギヤと回転/並進ギヤを含むことができる(図示していない)。両アクチュエータ、すなわち電動機44,45とギヤユニット50,51は、共通の1個のケーシング内に配置可能である。この場合、ケーシング半部の間に隔壁を配置することができる。それによって、漏れるシールを通って侵入する水が両アクチュエータを破壊することがない。アクチュエータの間にはクラッチ52が設けられている。このクラッチは被駆動側で両ギヤ44,45を接続し、個々のアクチュエータ間の所定のねじれ角を許容する。ねじれ角は右側と左側のタイロッド53,54のために異なる調節変位を生じる。その際、ねじれ角は機械的に制限される。というのは、故障時に、一方のアクチュエータ12または13が両アクチュエータ12,13の操舵の役目をするからである。
【0064】
アクチュエータ12,13の電子機器46,47,48,49と中央制御ユニット4の電子機器40,41はそれぞれ、操舵バスシステムの2本のデータ伝送線34,35のための入出力部55〜58を備えている。中央制御ユニット4は更に、CANのような車両バスシステムのデータ伝送線のための入出力部59を備えることができる。操舵バスシステムのデータ伝送線34,35は、エネルギー源43,60に付設された電子モジュールユニット61,62に接続されている。この電子モジュールユニットは特に電圧コンバータおよびコントローラと入出力部63,64を備えている。独立した2個のエネルギー源、特に2個の車両バッテリ65,66がそれぞれ、ライン67,68を経て、各々1個のアクチュエータ12,13と中央制御ユニット4の各々1個の電子ユニット40,41に電気エネルギーを供給するので、故障時に少なくとも1個のアクチュエータ12または13の制御と機能が保証される。好ましくは通電していないときに開放するクラッチ52によって、1個のアクチュエータ12または13の故障時にも、その都度他方のアクチュエータ12または13が操舵の機能を保証し、その都度機能しないアクチュエータ12または13が通電していないときに開放するスイッチ69,70によって遮断される。2個の車両バッテリ63,64は車両ジェネレータ71を介して充電される。
【0065】
図2aには、冗長制御要素と中央車両プロセッサ119を備えた本発明による車両操舵装置の他の実施の形態が示してある。図2に示した実施の形態と異なり、アクチュエータ12,13は1個ずつのバス34,35に接続されている。アクチュエータの入出力部での短絡が、全体システムの機能の損失を生じないという利点がある。バス34,35はここでも空間的に分離されている。更に、好ましくは中央の車両プロセッサ119が設けられている。それによって、基本的に独立したバス34,35の情報が互いに伝えられる。それによって、バスシステムの各々の接続ユニットは、どの接続ユニットがまだ使用可能であるかという情報を得ることができる。例えば接続ユニットが他の接続ユニットの故障に適切に応答し、例えばその機能を代わりに発揮することができる。ここでも同様に、機械式操作力シミュレータ7が設けられている。このシミュレータは電気機械式操作力シミュレータ7の故障時に“フォールバックモード”としての働きをする(“フェイル−セーフ”)。この電気機械式操作力シミュレータは、同様に冗長的におよび“フェイル−サイレント”として形成された中央制御ユニット4によって制御される。
【0066】
図3には、本発明による操舵システムと電気機械式ブレーキシステム(EMB)が接続されているシステムが示してある。車両操舵装置のシステムは図2に示したシステムとほぼ同じである。この場合、中央制御兼調整ユニット(中央ユニット)80は車両操舵装置と車両ブレーキ装置の制御と調整を行う。
【0067】
車輪ブレーキモジュール81〜84はアクチュエータ85〜88として特に電動機を備えている。この電動機は伝動装置89〜92を介して所定のブレーキ力を発生し、特にブレーキパッドを介してブレーキディスクに伝達する。車輪ブレーキモジュール81〜84はそれぞれ2個のプロセッサ93〜100を備えている。このプロセッサの入出力部101〜104は組み合わせられたブレーキ兼操舵バスシステム105,106に接続されている。運転者のブレーキングの意図はブレーキペダルと操作装置変位シミュレータ109を備えたブレーキ操作装置107によって伝達され、冗長変位センサおよびまたは力センサ110,111によって検出され、出力部112,113からバスシステム105,106を経て中央制御兼調整ユニット80の2個の冗長中央プロセッサ114,115に伝えられる。更に、駐車ブレーキ操作装置116が設けられている。この駐車ブレーキ操作装置によって同様に、2個の冗長変位センサおよびまたは力センサ110,111を経て運転者のブレーキング意図を伝えることができる。
【0068】
本発明のこの実施の形態において、中央ユニット80はアクチュエータ12,13と車輪ブレーキモジュール81〜84の制御と操作力シミュレータ8の制御のほかに、操舵装置、ブレーキおよび駐車ブレーキのための操作センサ装置の評価を行う。信号に対応して、操作命令が車輪ブレーキモジュール81〜84およびまたはアクチュエータ12,13に供給される。中央ユニット80が故障すると、操作センサ装置の情報は両バスシステムでも入手可能である。なぜなら、各々のアクチュエータ12,13と車輪ブレーキモジュール81〜84がそれらのための情報を有し、この情報から自動的に操作量を発生するからである。更に、エネルギー源43または60の故障時にも、操舵装置とブレーキの機能が保証される。なぜなら、各々1個のエネルギー源が分離され独立した2本の給電線117,118を経て、各々1個のアクチュエータと、2個の車輪ブレーキモジュールと、操舵およびブレーキングのための操作センサ装置の各々1個の冗長ユニットにエネルギーを供給するからである。それによって、システムは全体として、故障に対する大きな安全性と、欠陥がある場合の充分な“緊急時機能”を有する。
【0069】
更に、中央ユニット80によって、運転者の意図に依存するブレーキと操舵装置の制御または調整への積極的な介入が可能である。その際、本発明では、例えばドライビングダイナミクスコントロール(ESP)またはトラクションスリップコントロール(TCS)の場合に既に実施可能であるようなエンジン管理への付加的な介入も行われる。本発明によるシステムは全体として運転者を補助し、最大限の安全性および走行快適性の観点から車両を操舵し、車輪毎に制動または加速する。従って、システムは自動速度コントロール(クルーズコントロール、CC)または衝突回避および車間コントロール(ACC、AICC)のような運転者アシストシステムのために適している。
【0070】
本発明による車両操舵装置用車軸操舵モジュールを、実施の形態と図(図4〜14)に基づいて詳しく説明する。
【0071】
図4には、車軸操舵モジュール201を備えた本発明による車両操舵装置が示してある。この場合、2個のアクチュエータ12,13が配置されている。このアクチュエータは中央制御ユニット4によって制御される。所定の調節変位204だけ操舵ロッドを調節することによって、所定の操舵角205が生じる。
【0072】
2個のアクチュエータ12,13と、連続する1本の操舵ロッドを備えた車軸操舵モジュール201は図5,6に横断面が示してある。
【0073】
アクチュエータ12,13は操舵ロッド203の周りに同心的に配置された2個の電動機44,45を備えている。この2個の電動機44,45によって冗長的な駆動装置設計が実現される。両電動機44,45は伝達ユニット、ここでは特に2個の遊星歯車装置50,51と、中央に装着されたナット206とによって、ボールねじ装置207と、少なくとも伝動装置または電動機モジュールの範囲にボールねじロッドとして形成された操舵ロッド203を駆動する。操舵ロッド203はここでは連続して延びるように形成されている。それによって、車輪16,17は運動力学的に互いに直接連結されている。駆動トルクを調節力と、2本のタイロッド53,54を介して連結される車輪16,17の操舵運動とに変換するのに適した伝達ユニットのために、他の伝動構造形態を使用可能である。同様に本発明では、伝動装置50,51を、伝達ユニットとしての2個のクラッチによって置き換えることができる。
【0074】
操舵ロッド変位204は2個の冗長変位センサ208,209によって冗長的に検出可能である。妥当性チェックの後で、操舵ロッド203の検出された変位(実際値)に応じて、調節する操舵角(目標値)のための目標値が中央制御ユニット4によって決定される。中央制御ユニット4は好ましくはステアリグホイール1の範囲に配置されている(図4参照)。その代わりに、中央制御ユニットを車軸操舵モジュール1に統合してもよい。要求される目標値、すなわち調節すべき車輪16,17の操舵角205が達成されると、作用するタイロッド力に応じて、車輪を安定させる保持トルクが電動機44,45で生じる。
【0075】
上記の作用の場合、電動機44,45に付設された2個のロータ210,211が、ボールねじ装置207のねじ付きナット206を備えた両遊星歯車装置50,51を介して、遊びのないようにかつ形状拘束的に回転するように互いに連結されている。すなわち、上記の作用では、両電動機44,45は互いに連結され、操舵ロッド203を平行に連結駆動する(普通操舵機能)。
【0076】
欠陥がある場合、すなわち1個の電動機44または45が故障すると、まだ正常に機能している電動機が駆動を行う。そのために、電動機制御装置272,273を介して電動機44,45を制御するアクチュエータ12,13の電子ユニット46〜49も冗長的に形成されている。まだ正常に機能している電動機によって、ボールねじ装置207はボール274を介して操舵ロッド203の調節運動を行うことができる。そして、欠陥のあるアクチュエータのアセンブリはねじ付きナット206とボールねじ装置207を介して機械的なクラッチによって純機械的に一緒に移動させられる。
【0077】
その結果、本発明による車軸操舵モジュール201と本発明による車両操舵装置の重要な利点として、例えば電気的なエネルギー供給部の故障または中央制御ユニット4またはアクチュエータの電子アセンブリの故障による電動機、例えば電動機44の故障の際、運転者が操舵するときに、まだ正常に機能しているアクチュエータが、正常に機能している他の電動機、この例では電動機45と共に、冗長的に形成した電動機制御装置と関連して、車軸操舵モジュール201の操舵機能全体を実施する。他の利点は、ボールねじ装置207の駆動されるナット206によって両車輪が操舵ロッド203を介して遊びのないように互いに直接連結されることによって得られる。力の伝達は操舵ロッド203とタイロッド53,54を経て車輪16,17に直接的に行われる。従って、両車輪16,17は遊びのないように互いに連結されている。
【0078】
ボールねじ装置207のねじ付きナットの収容部として、および遊星歯車装置44,45の遊星キャリヤ212,213の収容部としてあるいはクラッチ(図7参照)を備えた実施の形態の場合クラッチの収容部として、アキシャルアンギュラ玉軸受215の内側リング214が設けられている。それによって、アキシャルアンギュラ玉軸受がねじ付きナット206と遊星キャリヤ212,213またはクラッチ(図7参照)の収容部として、ボールねじ装置207と伝動装置44,45と共に機能的なアセンブリを形成する。その際、アキシャルアンギュラ玉軸受215は操舵ロッド203の発生する調節力を受け止め、アキシャルアンギュラ玉軸受215の外側リング218を経て車軸操舵モジュール201のケーシング219に案内する。
【0079】
アキシャルアンギュラ玉軸受215の外側リング218内には、作用する調節力を検出するための少なくとも1個の力センサ220を配置することができる。測定された力に応じて、運転者のために、ステアリングホイール1の所定の手動の力が第2の電気機械式操作力シミュレータ8を介して調節可能である(力のフィードバック)。同時に、力センサ220は妥当性チェックおよびシステム検査のために利用可能である。
【0080】
ロータ210,211は好ましくは固定の軸受221,222と可動の軸受223,224を介してケーシング219に支承されている。それによって、横方向力を生じないロータ210,211の支承が達成可能である。電動機44,45に付設されたステータ225,226はケーシング219内に保持される。それによって更に、ロータ210,211とステータ225,226の間の小さな空隙を実現することができる。これは全体効率を高めることになる。同時に、遊星歯車装置50,51の太陽歯車227,228はロータ210,211の部品として形成されている。太陽歯車227,228は遊星歯車229,230を介して遊星キャリヤ212,213を駆動する。太陽歯車227,228はアキシャルアンギュラ玉軸受215の外側リング218に一体化された内歯歯車231,232に支持されている。ボールねじ装置207と操舵ロッド203の駆動トルクは、ケーシング219に一体化された2個の回転防止機構233,234を介して行われる。この場合、回転防止機構233,234は操舵ロッド203の直線軸受機能を有する。片側の回転防止機構233または234が省略可能であると有利である。
【0081】
図7には、図5,6に示した車軸操舵モジュール201の実施の形態が示してある。この場合、伝動装置50,51は伝達要素としてのクラッチ235,236によって置き換えられている。すなわち、タイロッドはここでは2個のクラッチ235,236を介して直接駆動される(直接駆動装置)。この“直接駆動装置”は特に、前車軸の荷重が小さい、比較的に軽量で小型の車両のために設けられる。この場合、車輪を操舵するために比較的に小さな操作力しか必要としない。従って、構造的コストが低減されるという利点がある。これは信頼性を高め、製作コストを低減することになる。
【0082】
上記の車軸操舵モジュール210の場合、操舵ロッド203は分割されていない。それによって、車輪16,17はタイロッド112,113を介して直接的に連結されている。しかし本発明では同様に、ドライビングダイナミクス的な制御介入のための片側の操舵角調節を可能にするために、少なくとも部分連結された特に電気機械式タイロッド112,113を備えた電気機械式車軸操舵モジュール210が設けられている。
【0083】
部分連結されたタイロッド112,113のための車軸操舵モジュールの好ましい実施の形態の一例が図8,9に示してある。
【0084】
車軸操舵モジュール201は両操舵ロッド237,238の周りに同心的に配置された2個の電動機44,45を備えている。操舵ロッド237,238はボールねじロッドとして形成されている。両電動機44,45によって冗長的な駆動装置設計が実現される。両電動機44,45は2個の遊星歯車装置50,51を介して、2個のボールねじ装置241,242の2個のナット239,240を駆動し、駆動トルクを、操作力と、両タイロッド53,54を介して連結された車輪16,17の操舵運動に変換する。
【0085】
両操舵ロッド237,238の変位を検出するために、それぞれ1個の冗長変位センサ243,244がそれぞれ1個のアクチュエータ12,13に設けられている。検出された操舵ロッド変位に応じて、操舵角205と第2の操作力シミュレータ8の調整のための目標値が中央制御ユニット4によって求められる。中央制御ユニット4はステアリングホイール1の範囲または車軸操舵モジュール210内に一体化可能である。要求された目標値が達成されると、すなわち車輪16,17の操舵角205が達成されると、作用するタイロッド力に応じて、車輪安定保持トルクが電動機44,45で生じる。
【0086】
操舵ロッド237,238は好ましくは、車軸操舵モジュール201の中央に設けられた分離範囲245を備えている。操舵ロッド237,238は1本の連結棒246によって連結されている。この連結棒は両操舵ロッドの一方(ここでは操舵ロッド237)に固定連結され、そして予圧縮され変位を制限される圧縮ばね247を介して他方の操舵ロッド(ここでは操舵ロッド238)内に部分弾性的に配置されている。従って、他方の操舵ロッド238は少なくとも連結棒246の運動の区間において、中空シリンダとして形成されている。両操舵ロッド237,238は調節されたばね圧縮の下方で、操舵ロッド変位204の移動方向において(並進的に)、連続する1本の剛性操舵ロッドのように作用する。
【0087】
両ボールねじ装置241,242の両ねじ付きナット239,240は2個のアキシャルアンギュラ玉軸受250,251の2個の内側リング248,249と、通電していないときに閉じる電気機械式クラッチ254の2個のクラッチディスク252,253を介して、遊びのないようにかつ形状拘束的に回転するように互いに連結されている。普通の操舵機能では、両電動機44,45はクラッチ254を介して互いに連結され、それによって操舵ロッド237,238を平行に駆動することができる。欠陥がある場合、すなわち1個の電動機44,45の故障時に、正常な電動機は冗長的に形成された電動機制御装置によって、両操舵ロッド237,238の全体の調節運動を行う(冗長的な駆動装置設計)。そして、欠陥のあるアクチュエータ12,13は純機械的に一緒に動かされる。
【0088】
アキシャルアンギュラ玉軸受250,251の内側リング248,249は好ましくは、ねじ付きナット239,240の収容部として、両遊星キャリヤ212,216の収容部としておよび両クラッチディスク252,253の収容部として形成され、一緒に機能的な1個のアセンブリを形成する。その際、アキシャルアンギュラ玉軸受250,251は操舵ロッド237,238の発生する調節力を受け止め、両アキシャルアンギュラ玉軸受250,251の2個の外側リング255,256を経てケーシング219に導く。外側リング255,256には、調節力を検出するためおよび第2の操作力シミュレータ8で作用する調節力をフィードバックするための2個の力センサ357,358を統合することができる。同時に、力センサ357,358を妥当性チェックおよびシステム検査のために使用することができる。
【0089】
遊星歯車装置50,51の場合、ロータ210,211が固定の軸受221,222と可動の軸受223,224を介して、横方向力を生じないようにケーシング219に支承されている。このケーシングは同時にステータ225,226を収容する働きをする。それによって、ロータとステータの間の小さな空隙が達成される。これは全体効率を高めるように作用する。同時に、遊星歯車装置50,51の太陽歯車227,228はロータ210,211の構成要素であり、遊星歯車229,230によって遊星キャリヤ212,213を駆動する。この遊星歯車はアキシャルアンギュラ玉軸受250,251の外側リング139,140内にある内歯歯車231,232に支持されている。操舵ロッド237,238のスピンドル状範囲における、発生する駆動トルクの支持は、ケーシング219に統合された両回転防止機構233,234を介して行われる。この回転防止機構は操舵ロッド237,238の直線軸受機能を発揮する。
【0090】
例えばダイナミックな操舵介入のために、基本的に独立して操作可能な操舵ロッド237,238に基づいて、その都度他方の車輪に依存してないで片側の操舵角調節を行うことができる。これは図10に示してある。左側の車輪16は右側の車輪17に対して角度の差259だけ揺動している。
【0091】
同様に、図11に示したボールねじ装置の回転するナット239,240の代わりに、回転するボールねじ装置ロッドを設けることができる(図示していない)。この場合、力は例えば1個の遊星歯車装置150,151とプロペラシャフトとを介して、タイロッド53,54に連結されたボールねじ装置ロッドに伝達される。その際、ケーシングも二分割可能であるので、各アクチュエータ12,13がケーシング部分に付設されている。両アクチュエータは好ましくはクラッチ52によって連結されている。このクラッチは少なくとも所定の範囲において車輪16,17を個別的に調節することができる。
【0092】
電気機械式クラッチ254が図11に詳しく示してある。両操舵ロッド237,238の直線運動を互いに分離し、片側の車輪の操舵角調節を実現するために、クラッチ254が設けられている。これは電気機械式クラッチ254の開放、すなわち通電によって行われる。クラッチ254が開放すると、両ナット239,240は回転運動的に互いに分離され、各々の電動機44,45は要求される操舵角の差359を、機械的に制限された許容される調節範囲260に調節することができる。この場合、調節は力センサと冗長的な変位センサによって検出された値に応じて行われる。クラッチ254はクラッチディスク252,253のほかに、極要素261、圧縮ばね262、クラッチセンサ263およびコイル264を備えている。両クラッチディスク252,253は確実で大きなトルクの伝達のために、好ましくはそのクラッチ面265で互いに形状拘束的に連結可能である。更に、クラッチ面265は所定の形状付与によって、1カ所で、特に両操舵ロッド237,238の普通の位置でのみロックされるように形成可能である。ケーシング219に固定連結された極261のコイル264に通電すると、一方のクラッチディスク253は圧縮ばね262に抗して引っ張られ、クラッチ254を開放する。クラッチの切離しと接続はクラッチセンサ263によって感知および監視される。クラッチディスク252はアーマチュアとして形成され、一方のアキシャルアンギュラ玉軸受250の内側リング248上に軸方向に摺動可能である。トルクの伝達はクラッチディスク252とアキシャルアンギュラ玉軸受250との成形部によって行われる。操舵角の差の操舵調整が終了すると、両電動機44,45によって操舵ロッド237,238がその普通位置または出発位置に戻され、コイル電流が低下し、両クラッチディスク252,253が圧縮ばね262によってその普通位置または出発位置にロックされる。このクラッチ接続はクラッチセンサ263によって感知される。そして、操舵角205の他の調整は普通操舵機能によって行われる。
【0093】
図8,9に示した車軸操舵モジュールの作用が図12〜14に詳しく説明してある。モータモジュールが故障すると、安全設計により、車輪16,17の両操舵ロッド237,238が補助作用するばね力272によって出発位置に機械的に戻され、両ねじ付きナット239,240は好ましくは形状拘束的に形成されたクラッチ254によてその普通位置でロックされる(図12,12a参照)。圧縮ばね247は最大長さを有し、両連動ディスク266,267によって連結棒270,271の外側の2つのストッパーと中空軸275,276の両ストッパーに支持される。正常なアクチュエータは電動機が正常に機能する普通操舵機能を発揮する。
【0094】
操舵ロッドの独立した調節範囲は基本的には、2個の操舵ロッド237,238を連結する構成要素の形状および構造、特に連結棒246と圧縮ばね247とそれらに隣接する部品によって設定される(図13,14a参照)。操舵角の差の調整中の両操舵ロッド237,238の許容される機械的調節範囲260は、2個の連動ディスクに関連しておよび連結棒の内側のストッパー268,269および外側のストッパー270,271と操舵ロッド中空軸238のストッパー275,276を介して、統合、拘束および予圧縮された圧縮ばね247によって実現される。ストッパーによるこの制限によって、操舵角の差は純機械的に調節不可能である。これは、両車輪16,17がこの範囲の上方で互いに固定連結されることを意味する(安全設計)。操舵角の差の調整の際、両操舵ロッド237,238は互いに摺動する。この場合、圧縮ばね247は連結棒246またはその端片277と2個の連動ディスク266,267によって機械的なストッパー270,271まで更に予圧縮可能である。この機能は操舵ロッド238内の圧縮ばね247の外側の拘束部と、連結棒246による圧縮ばね247の内側の拘束部とによって、両方向で保証される。操舵角の差の機械的な制限は第1の端位置(図13,13a参照)と第2の端位置(図14,14a参照)によって与えられる。
【0095】
図12,12aに示した操舵ロッド238が右側に(矢印278方向に)移動し、操舵ロッド246が移動しないと、中空軸238の第1のストッパー275によって、左側の連動ディスク266が右側に摺動し、ばねが、図13,13aに示した第1の端位置に達するまでばね力に抗して圧縮される。このばねはその右側で右側の連動ディスク267を介して、連結棒246の定置された端片277の第2の外側のストッパー271によって定置保持される。第1の端位置(図13,13a)において、圧縮ばね247は最小の長さを有し、両連動ディスク266,267によって一方では中空軸238の第1のストッパー275に支持され、他方では連結棒246の端片277の第2の外側のストッパー271に支持される。
【0096】
図12,12aに示した操舵ロッド238が左側に(矢印279方向に)移動し、操舵ロッド246が移動しないと、中空軸238の第2のストッパー276によって、右側の連動ディスク267が左側に摺動し、ばね247が、図14,14aに示した第2の端位置に達するまでばね力に抗して圧縮される。このばねはその左側で左側の連動ディスク266を介して、連結棒246の定置された端片277の第1の外側のストッパー270によって定置保持される。第2の端位置(図14,14a)において、圧縮ばね247は同様に最小の長さを有し、両連動ディスク266,267によって一方では中空軸276の第2のストッパーに支持され、他方では連結棒246の端片277の第1の外側のストッパー270に支持される。これは、操舵角の差の調整のために、圧縮ばね247による既存の増大するばね力によって、電動機44,45の追加モータトルクを加えなければならないことを意味する。
【0097】
この実施の形態は特に、ボールねじ装置241,242のねじ付きナット239,240が直接駆動可能であり、それによって両車輪16,17が操舵ロッド237,238に統合された連結棒246と、統合され予圧縮された圧縮ばね247によって遊びのないように互いに連結可能であるという利点がある。これにより、ばね予圧縮の下方では両操舵ロッド237,238が機能的には一体であると見なすことができる。このシステムは更に、1つの位置に形状拘束的にロックされたクラッチ254と、機械的に制限された調節範囲260と、連結棒246によって作用する予圧縮された圧縮ばね247とによって、操舵角の差の調整のための安全なクラッチ設計を有する。
【0098】
図15には、2個のアクチュエータ12,13を介して調節可能な2個の操舵ロッド237,238を備えた車軸操舵モジュールが示してある。両アクチュエータ12,13が共通の1個のケーシング219内に配置された前述の実施形と異なり、ここでは両アクチュエータがそれぞれ1個のケーシング280,281内に配置され、クラッチ282を介して互いに連結されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による車両操舵装置の概略図である。
【図2】 図2は冗長制御要素を備えた本発明による車両操舵装置の回路図である。
図2aは冗長制御要素を備えた本発明による車両操舵装置の他の実施の形態の回路図である。
【図3】 電気機械式ブレーキと関連して本発明による車両操舵装置を示す回路図である。
【図4】 2個のアクチュエータを有する車軸操舵モジュールを備えた本発明による車両操舵装置を示す図である。
【図5】 連続する操舵タイロッドとボールねじ装置と遊星歯車装置を備えた本発明による車軸操舵モジュールの断面図である。
【図6】 本発明による車軸操舵モジュールの、図5に示した断面の一部の拡大図である。
【図7】 連続する操舵タイロッドと、ボールねじ装置と、遊星歯車装置の代わりにクラッチを備えた本発明による車軸操舵モジュールの断面図である。
【図8】 分割された操舵タイロッドとボールねじ装置と遊星歯車装置を備えた本発明による車軸操舵モジュールの断面図である。
【図9】 本発明による車軸操舵モジュールの、図8に示した断面の一部の拡大図である。
【図10】 車輪毎に車輪を調節するための2個のアクチュエータを有する車軸操舵モジュールを備えた本発明による車両操舵装置を示す図である。
【図11】 図9,10に示した、右側と左側のアクチュエータの間のクラッチの拡大図である。
【図12】 図12は図9,10に示した車軸操舵モジュールの第1の位置を示す図である。
図12aは図12に示した車軸操舵モジュールの拡大図である。
【図13】 図13は図9,10に示した車軸操舵モジュールの第2の位置を示す図である。
図13aは図13に示した車軸操舵モジュールの拡大図である。
【図14】 図14は図9,10に示した車軸操舵モジュールの第3の位置を示す図である。
図14aは図13に示した車軸操舵モジュールの拡大図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2,3 ステアリングホイールの冗長的なセンサ
4 中央制御ユニット
5,6 ステアリングホイール
7 受動式操作力シミュレータ
8 電気機械式操作力シミュレータ
9 電気機械式操作力シミュレータへのデータ伝送線
10 車速検出装置
11 中央制御ユニットへのデータ伝送線
12,13 アクチュエータ
14,15 アクチュエータへのデータ伝送線
16,17 操舵可能な車輪
18 操舵可能な車軸
19,20 アクチュエータの冗長変位センサ
21,22 アクチュエータからのデータ伝送線
30,31 ステアリングホイールのセンサのA/Dコンバータ
32,33 ステアリングホイールのセンサのA/Dコンバータの
出力部
34,35 操舵システムのバスシステム
36 車両バスシステム(CAN)
37 電気機械式シミュレータのモータ
38 電気機械式シミュレータの伝動装置
39 ステアリングホイールの軸
40,41 中央制御ユニットのプロセッサ
42 電気機械式シミュレータのスイッチ
43 第1の電気エネルギー源
44,45 アクチュエータのモータ
46〜49 アクチュエータのプロセッサ
50,51 アクチュエータのギヤユニット
52 アクチュエータのクラッチ
53,54 タイロッド
55,56 アクチュエータの入出力部
57,58 アクチュエータの電子ユニット
59 車両バスシステム(CAN)に至る入出力部
60 第2の電気エネルギー源
61,62 電気エネルギー源の電子モジュールユニット
63,64 電気エネルギー源の入出力部
65,66 車両バッテリ
67,68 構成要素の給電線
69,70 アクチュエータのスイッチ
71 車両ジェネレータ
80 中央制御兼調整ユニット(中央ユニット)
81〜84 車輪ブレーキモジュール
85〜88 車輪ブレーキモジュールのアクチュエータ
89〜92 車輪ブレーキモジュールの伝動装置
93〜100 車輪ブレーキモジュールのプロセッサ
101〜104 車輪ブレーキモジュールの入出力部
105,106 ブレーキおよび操舵装置バスシステム
107 ブレーキ操作装置
108 ブレーキペダル
109 ブレーキ操作装置の操作変位シミュレータ
110,111 ブレーキ操作装置のセンサ
112,113 ブレーキ操作装置の出力部
114,115 中央制御兼調整ユニット(中央ユニット)の中央プロ
セッサ
116 駐車ブレーキ操作装置
117,118 構成要素の給電線
119 中央の車両プロセッサ
150,151 アクチュエータの回転/回転式伝動装置
201 車軸操舵モジュール
202 操作力シミュレータ(操舵シミュレータ)
203 操舵ロッド
204 操舵ロッド変位
205 操舵角
206 ボールねじ装置のナット
207 ボールねじ装置
208,209 操舵ロッドの変位センサ
210,211 モータのロータ
212,213 遊星キャリヤ
214 内側リング
215 アキシャルアンギュラ玉軸受
218 外側リング
219 ケーシング
220 力センサ
221,222 固定の軸受
223,224 可動の軸受
225,226 ステータ
227,228 太陽歯車
229,230 遊星歯車
231,232 内歯歯車
233,234 ねじれ防止機構
235,236 クラッチ
237,238 操舵ロッド
239,240 ボールねじ装置のナット
241,242 ボールねじ装置
243,244 変位センサ
245 操舵ロッドの分離範囲
246 連結棒
247 連結棒の圧縮ばね
248,249 アキシャルアンギュラ玉軸受の内側リング
250,251 アキシャルアンギュラ玉軸受
252,253 クラッチディスク
254 電気機械式クラッチ
255,256 アキシャルアンギュラ玉軸受の外側リング
257,258 力センサ
259 操舵角の差
260 機械的に制限された調節範囲
261 極要素
262 電気機械式クラッチの圧縮ばね
263 クラッチセンサ
264 コイル
265 クラッチ面
266,267 連動回転ディスク
268,269 連結棒の内側ストッパー
270,271 連結棒の外側ストッパー
272,273 モータ制御装置
274 ボールねじ装置のボール
275,276 操舵ロッド中空軸の機械式ストッパー
277 連結棒の端片
278,279 操舵ロッドの移動方向
280,281 アクチュエータのケーシング
282 アクチュエータ間のクラッチ

Claims (13)

  1. 運転者によって操作可能である操舵操作装置と、
    設定された所定の操作抵抗を発生するための、少なくとも1個の操作力シミュレータと、
    車体に設けられた、操舵可能な車軸の車輪対の操舵可能な各々1個の右側と左側の車輪を制御するための各々1個の電気機械式アクチュエータと、
    操舵可能な車軸に付設された両アクチュエータの一方が故障したときまたは異常があるとき、正常に機能しているその都度他方のアクチュエータによって、この車軸の両車輪の制御を行うための手段と、
    操舵操作装置によって操作可能である、アクチュエータのための操舵角目標値のための少なくとも1個の目標値設定装置と、
    車輪の操舵角を感知する少なくとも1個の実際値感知装置と、
    実際値感知装置の信号(実際値)と目標値設定装置の信号(目標値)の比較に依存して電気機械式アクチュエータを制御し、実際値感知装置によって感知された操舵角の実際値が、操舵操作装置の操作によって設定された目標値設定装置によって設定された操舵角目標値に調節される中央制御ユニットと、
    中央制御ユニットと電気機械式アクチュエータとの間でデータ通信を行うデータ伝送ユニットとを備えている車両操舵装置であって、
    中央制御ユニットが、欠陥がある場合に中央制御ユニットが、他のシステム構成要素に制御機能を及さないよう、“フェイル−サイレント”に従って形成され、かつ2個のプロセッサ(40,41)を有する冗長プロセッサユニットを備えていること、および、
    アクチュエータ(12,13)が、欠陥がある場合に電子モジュールユニットが、他のシステム構成要素に制御機能を及ぼさないよう、“フェイル−サイレント”に従って形成され、かつ少なくとも各々1個の電気機械式アクチュエータ要素(44,45)と、2個のプロセッサ(46〜49)を有する各々1個の冗長電子モジュールユニットを備えていることを特徴とする車両操舵装置。
  2. 各電気機械式アクチュエータにそれぞれ、独立したエネルギー供給源からエネルギーが供給されることを特徴とする請求項1記載の車両操舵装置。
  3. アクチュエータの電子モジュールユニットが欠陥を認識し、欠陥が認識されたときに、車両操舵装置のシステムにメッセージを出力し、欠陥のあるアクチュエータを遮断することを特徴とする請求項1または2記載の車両操舵装置。
  4. 車両操舵装置が、アクチュエータのための操舵角目標値のための2つの目標値設定装置と、車輪の操舵角を検知する2個の実際値感知装置を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両操舵装置。
  5. アクチュエータのための操舵角目標値のための目標値設定装置と、車両の操舵角を感知する実際値感知装置が冗長的に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両操舵装置。
  6. 少なくともアクチュエータと中央制御ユニットの間に二重に形成されたデータバスが、データ伝送ユニットとして設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の車両操舵装置。
  7. データ伝送ユニットとして、アクチュエータと中央制御ユニットの間にそれぞれ1つのデータバスが設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の車両操舵装置。
  8. 現在の車両状態に関する情報を受信するために、中央制御ユニットが車両バスシステムに接続されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の車両操舵装置。
  9. 設定された所定の操作抵抗を発生するために、操舵操作装置が機械式または機械油圧式の第1の操作力シミュレータに駆動連結されていることと、操舵操作装置が電気的に操作可能な第2の操作力シミュレータに作用連結され、操舵操作装置が、少なくとも実際値に応じて、第2の操作力シミュレータを制御することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の車両操舵装置。
  10. 中央制御ユニットが車両の電子式ブレーキシステムに接続されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の車両操舵装置。
  11. 車両操舵装置の中央制御ユニットと、車両の電子式ブレーキシステムの中央制御ユニットが、個々のモジュールとして共通の1個のケーシング内に配置されていることを特徴とする請求項10記載の車両操舵装置。
  12. 車両操舵装置と車両の電子式ブレーキシステムのために、共通の1個の中央制御ユニットが設けられていることを特徴とする請求項11記載の車両操舵装置。
  13. 車体に設けられた、操舵可能な車軸の車輪対の操舵可能な各々1個の右側と左側の車輪を制御するためのそれぞれ2個の電気機械式アクチュエータが、少なくとも1個の操舵ロッドと関連して、車軸操舵モジュールとして形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の車両操舵装置。
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