JP4986369B2 - 粉末製剤の調製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、吸入用粉末製剤の新規な調製方法に関する。
【0002】
発明の背景
多くの病訴、特に呼吸器疾患を治療するために、活性物質を吸入により投与することが用いられる。定量エアゾル剤や吸入用液剤の形で治療的に活性な化合物を投与するほかに、活性物質を含有する吸入用粉末の使用が特に重要である。
効力の特に大きい活性物質においては、所望の治療効果を得るために1回の投与量に対してほんの少量の活性物質を必要とするだけである。そのような場合、吸入用粉末を調製するために活性物質を適切な賦形剤で希釈されなければならない。賦形剤が多量であることから、吸入用粉末の性質は賦形剤の選択により決定的に影響される。
粉末混合技術においては、希釈法に基づく混合法を用いることが普通である。活性物質がすべて用いられ、次に賦形剤が1:1、1:2又は1:4の割合で添加され、一緒に混合される。得られた混合物に同じような割合で賦形剤が更に添加される。この手順は、一般に、賦形剤がすべて添加されるまで繰り返される。この種の手順の欠点は、ときとして均一性に問題があることである。特に、物質の粒子径の範囲がいろいろである混合物で生じる。特に、粒度分布の狭い物質である活性物質が非常に少ない割合の粉末の全量を調製する粉末混合物において特に明らかである。
それ故、本発明の課題は、内容が一様であるという意味で高度の均一性を特徴とする吸入用粉末を製造するために使用し得る方法を提供することである。
【0003】
発明の詳細な説明
驚くべきことに、粒度分布の狭い物質を粒度分布の広い物質に加層混合法で添加し得る方法によって上記課題が解決され得ることがわかった。
吸入用粉末を調製する本発明の方法は、粒度分布の広い物質約N + m部と粒度分布の狭い物質N部を交互層として適切な混合容器に入れ、すべてが添加された後にその2つの成分の2N + m層を適切なミキサーを用いて一緒に混合し、粒子径の大きい物質の一部が最初に入れられ、Nが>0、好ましくは>5の整数であり、mが0又は1である、前記方法を特徴とする。
好ましくは、その個々の部分は層として適切なスクリーニング装置を通して添加される。所望される場合には、混合工程が終わると、全粉末混合物が更に1以上のスクリーニング工程に供され得る。本発明の方法においては、Nが製造されるべき粉末混合物の全量に特に基づくことは当然のことである。小さなバッチを製造する場合、内容が一様であることの意味で高均一性の所望の効果は小さなNで達成され得る。原則として、本発明によればNは好ましくは少なくとも10以上、更に好ましくは20以上であり、30以上がなお良い。Nが大きいほど、結果として、生成される粉末部分の層の全体数が大きいほど、内容が一様であるという意味で粉末混合物が均質になる。
【0004】
mの数は本発明の方法の範囲内で0か1であってもよい。mが0である場合には、層として混合装置に添加された、好ましくはスクリーニングされた最後の部分は粒度分布の狭い物質の最後の部分である。mが1である場合には、層として混合装置に添加された、好ましくはスクリーニングされた最後の部分は粒度分布の広い物質の最後の部分である。m = 1の場合、スクリーニングユニットにまだ残っている粒度分布の狭い物質の最後の部分の残りが賦形剤の最後の部分によって混合ユニットへ運ばれ得ることから有利であることがわかる。
特に定義されない限り、本発明の範囲内において非常に微細に粉砕されかつ得られた粉末製剤中に非常に小さな質量割合で存在する粒度分布の狭い物質は活性物質である。特に定義されない限り、本発明の範囲内において粗く粉砕されかつ得られた粉末製剤中に大きな質量割合で存在する粒度分布の広い物質は賦形剤である。
本発明は、特に、生理的に許容しうる賦形剤と混合した活性物質を5% 未満、好ましくは2% 未満、最も好ましくは1% 未満含有する吸入用粉末を調製する方法に関する。本発明の好ましい方法は、生理的に許容しうる賦形剤と混合した活性物質を0.04〜0.8%、最も好ましくは0.08〜0.64% 含有し、0.16〜0.4% がなお良い吸入用粉末を調製する方法である。
【0005】
本発明に用いられる活性物質の平均粒子径は、好ましくは0.5〜10μm、更に好ましくは1〜6μm、最も好ましくは2〜5μmである。本発明に従って用いることができる賦形剤の平均粒子径は、好ましくは10〜100μm、更に好ましくは15〜80μm、最も好ましくは17〜50μmである。本発明によれば賦形剤の平均粒子径が20〜30μmである吸入用粉末の調製方法が特に好ましい。
その2つの成分は、メッシュサイズが好ましくは0.1〜2 mm、最も好ましくは0.3〜1 mm、更に好ましくは0.3〜0.6 mmのスクリーニング造粒機を通して添加される。
好ましくは、N + m部の賦形剤の第1部分が混合容器に最初に入れられ、次にN部の活性物質の第1部分が入れられる。本発明の方法の範囲内においてその個々の成分は通常はほぼ等分で添加されるが、ときには混合装置に入れるN + m部の賦形剤の第1部分の体積が賦形剤の次の部分より多いことが有利である。その2つの成分は、スクリーニングユニットを通して、好ましくは20を超える層、更に好ましくは25を超える層、最も好ましくは30を超える層で交互に添加される。例えば、活性物質0.3〜0.5% を含有し一般的賦形剤を用いた30〜35 kgの所望の粉末全量においては、その2つの成分はそれぞれ約30〜60層(N=30〜60)でスクリーニングされ得る。上記60層の上限は、方法の経済上の観点から純粋に示されるものである。決して本発明の可能な層の数を限定するものとみなされるべきではない。当業者に明らかなように、粉末混合物の可能な最高の均一性の所望の効果を達成するためにN>60で等しく十分に方法が行われる。
【0006】
ときには、賦形剤は平均粒子径が15〜80μmの粗い賦形剤と平均粒子径が1〜9μmの細かい賦形剤の混合物からなってもよく、賦形剤の全量において細かい賦形剤の割合が1〜20% であってもよい。本発明の方法を用いて製造することができる吸入用粉末が粗い賦形剤の部分と細かい賦形剤の部分の混合物を含む場合には、本発明によれば粗い賦形剤の平均粒子径が17〜50μm、最も好ましくは20〜30μm、細かい賦形剤の平均粒子径が2〜8μm、最も好ましくは3〜7μmである吸入用粉末を調製することが好ましい。平均粒子径とは、乾燥分散法を用いてレーザ回折計で測定した体積分布の50% 値を意味する。粗い賦形剤部分と細かい賦形剤部分の賦形剤混合物の場合には、本発明の好ましい方法は細かい賦形剤が賦形剤の全量の3〜15%、最も好ましくは5〜10% を構成する吸入用粉末を製造するものである。
本発明の範囲内に示される% は常に重量% である。
用いられる賦形剤が粗い賦形剤と細かい賦形剤の上記混合物の1種である場合には、約N部の細かい賦形剤部分と約N + m部の粗い賦形剤部分から本発明の方法を用いて賦形剤混合物を製造することも本発明によれば都合がよい。その場合、まず上記賦形剤部分から上記賦形剤混合物を生成し、次に本発明の方法を用いて活性物質を含む全混合物を製造することが好ましい。
例えば、賦形剤混合物は本発明の方法を用いて次のように得ることができる。2つの成分は、メッシュサイズが好ましくは0.1〜2 mm、最も好ましくは0.3〜1 mm、更に好ましくは0.3〜0.6 mmのスクリーニング造粒機を通して添加される。好ましくは、N + m部の粗い賦形剤の第1部分が最初に入れられ、N部の細かい賦形剤部分の第1部分が混合容器に添加される。2つの成分は、層としてスクリーニングすることにより交互に添加される。
【0007】
賦形剤混合物の調製後、吸入用粉末は混合物と所望の活性物質から本発明の方法を用いて製造される。その2つの成分は、メッシュサイズが好ましくは0.1〜2 mm、最も好ましくは0.3〜1 mm、更に好ましくは0.3〜0.6 mmのスクリーニング造粒機を通して添加される。
好ましくは、N + m部の賦形剤混合物の第1部分を混合容器に入れてからN部の活性物質の第1部分が添加される。その2つの成分は交互層として20を超える層、好ましくは25を超える層、最も好ましくは30を超える層でスクリーニングユニットを通して添加される。例えば、0.3〜0.5% の活性物質を含有し、かつ一般的賦形剤を用いた30〜35 kgの所望の全量の粉末においては、その2つの成分はそれぞれ約30〜60層(N = 30〜60)でスクリーニングされ得る。当業者に明らかなように、粉末混合物の可能な最高均一性の所望の効果を達成するためにN>60で等しく十分に方法が行われ得る。
本発明の調製方法を用いて得ることができる吸入用粉末は、一般的には、治療のために吸入で合理的に投与することができる活性物質を含有することができる。好ましくは、用いられる活性物質は、例えば、β刺激剤、抗コリン作用剤、コルチコステロイド及びドーパミン作用剤より選ばれる。
【0008】
用いることができるβ刺激剤の例は、好ましくはバンブテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、サルメテロール、スルホンテロール、テルブタリン、ツロブテロール、マブテロール、4-ヒドロキシ-7-[2-{[2-{[3-(2-フェニルエトキシ)プロピル]スルホニル}エチル]アミノ}エチル]-2(3H)-ベンゾチアゾロン、1-(2-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル-2-ブチルアミノ]エタノール、1-[3-(4-メトキシベンジルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル-2-ブチルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-n-ブチルオキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジンー8-イル]-2-{4-[3-(4-メトキシフェニル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]-2-メチル-2-ブチルアミノ}エタノール、5-ヒドロキシ-8-(1-ヒドロキシ-2-イソプロピルアミノブチル)-2H-1,4-ベンゾキサジン-3-(4H)-オン、1-(4-アミノ-3-クロロ-5-トリフルオロメチルフェニル)-2-tert-ブチルアミノ)エタノール及び1-(4-エトキシカルボニルアミノ-3-シアノ-5-フルオロフェニル)-2-(tert-ブチルアミノ)エタノール、任意により、そのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び薬理学的に許容しうる酸付加塩及び水和物より選ばれる化合物である。
【0009】
β刺激剤としてフェノテロール、ホルモテロール、サルメテロール、マブテロール、1-[3-(4-メトキシベンジルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-[4-(1-ベンズイミダゾリル)-2-メチル-2-ブチルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-[3-(4-n-ブチルオキシフェニル)-2-メチル-2-プロピルアミノ]エタノール、1-[2H-5-ヒドロキシ-3-オキソ-4H-1,4-ベンゾキサジン-8-イル]-2-{4-[3-(4-メトキシフェニル)-1,2,4-トリアゾール-3-イル]-2-メチル-2-ブチルアミノ}エタノール、任意により、そのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び薬理学的に許容しうる酸付加塩及び水和物より選ばれたこの種の活性物質を用いることが特に好ましい。上記β刺激剤の中でホルモテロール又はサルメテロールの化合物、任意により、そのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又は薬理学的に許容しうる酸付加塩又は水和物が特に重要である。
【0010】
塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩及びキシナホ酸塩より選ばれたβ刺激剤の酸付加塩が本発明によれば好ましい。サルメテロールの場合には、塩酸塩、硫酸塩及びキシナホ酸塩より選ばれた塩が好ましく、特に硫酸塩又はキシナホ酸塩が好ましい。サルメテロール×1/2 H2SO4とキシナホ酸サルメテロールが本発明によれば最高に重要である。ホルモテロールの場合には、塩酸塩、硫酸塩及びフマル酸塩より選ばれた塩が好ましく、特に塩酸塩又はフマル酸塩が好ましい。フマル酸ホルモテロールが本発明によれば特に重要である。
本発明の方法に用いることができる抗コリン作用剤は、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩及びイプラトロピウム塩より選ばれた塩が好ましく、チオトロピウム塩又はイプラトロピウム塩が特に好ましい。上記塩ではチオトロピウムカチオン、オキシトロピウムカチオン又はイプラトロピウムカチオンが薬理学的有効成分である。本発明の範囲内に用いることができる塩とは、チオトロピウム、オキシトロピウム又はイプラトロピウムのほかに対イオン(アニオン)として塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、メタンスルホン酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩を含む化合物を意味する。本発明の範囲内において上記抗コリン作用剤のすべての塩の中でメタンスルホン酸塩、塩化物、臭化物又はヨウ化物が好ましく、メタンスルホン酸塩又は臭化物が特に好ましい。臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム及び臭化イプラトロピウムより選ばれた抗コリン作用剤が本発明によれば特に重要である。臭化チオトロピウムが特に好ましい。上記抗コリン作用剤は、任意により溶媒和物又は水和物の形で存在してもよい。臭化チオトロピウムの場合、例えば、臭化チオトロピウム1水和物が本発明によれば特に重要である。
【0011】
本発明の範囲内においては、コルチコステロイドという用語は、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレソニド、ロフレポニド、GW215864、KSR592、ST-126及びデキサメタゾンより選ばれた化合物を示すものである。本発明の範囲内で好ましいコルチコステロイドは、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカソン、モメタゾン、シクレソイド及びデキサメタゾンより選ばれたものであり、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン又はシクロソニド、特にブデソニド又はフルチカゾンが特に重要である。ステロイドという用語は、コルチコステロイドという用語の代わりに本特許出願の範囲内でそれ自体に用いることができる。本発明の範囲内のステロイドの意味にはステロイドから生成することができる塩又は誘導体の意味が含まれる。可能な塩又は誘導体の例としては、ナトリウム塩、スルホ安息香酸塩、リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、二水素リン酸塩、パルミチン酸塩、ピバル酸塩又はフラン酸塩が挙げられる。コルチコステロイドは水和物の形であってもよい。
本発明の範囲内においては、ドーパミン作用剤は、ブロモクリプチン、カベルゴリン、α-ジヒドロエルゴクリプチン、リスリド、ペルゴリド、プラミペキソール、ロキシンドール、ロピニロール、タリペキソール、ターグリド及びビオザンより選ばれた化合物を示すものである。プラミペキソール、タリペキソール及びビオザンより選ばれたドーパミン作用剤を用いることが本発明の範囲内で好ましく、プラミペキソールが特に重要である。上記ドーパミン作用剤の意味には、本発明の範囲内で存在することができるその薬理学的に許容しうる酸付加塩又は水和物の意味が含まれる。上記ドーパミン作用剤によって形成することができる生理学的に許容しうる酸付加塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸及びマレイン酸の塩より選ばれた薬学的に許容しうる塩を意味する。
【0012】
吸入用粉末混合物を調製する本発明の方法は、上記有効成分の1種以上を含有する粉末を調製するために用いることができる。例えば、吸入用粉末が調製され、薬学的に許容しうる有効成分が2種類の異なる活性物質からなる場合、これは本発明の方法を用いて、例えば、約N + m部の賦形剤又は賦形剤混合物と、約O部の一方の活性物質成分と約P部のもう一方の活性物質成分とを交互層として混合装置へスクリーニングすることにより達成し得る。部分PとOの数は、例えば、P + O = Nであるように選択することができる。本発明の方法が2種の有効成分を含有する吸入用粉末を調製するために用いられる場合には、例えば、活性物質の好ましい可能な組合わせは上記抗コリン作用剤の1種と上記コルチコステロイドの1種との組合わせ又は上記抗コリン作用剤の1種と上記β刺激剤の1種との組合わせからなってもよい。
本発明の吸入用粉末を調製するために用いることができる生理学的に許容しうる賦形剤の例としては、例えば、単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖類又は多糖類(例えば、デキストラン)、ポリアルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)又はこれらの賦形剤ともう一方の賦形剤との混合物が挙げられる。好ましくは、単糖類又は二糖類が用いられるが、ラクトース又はグルコースの使用が、特にそれらの水和物の形を除くことなく好ましい。本発明のためには、ラクトースが特に好ましい賦形剤であり、ラクトース1水和物が最も好ましい。
【0013】
本発明の調製方法によって得ることができる吸入用粉末は、内容が一様であることの点で例外的な程度の均一性を特徴とする。これは、<8%、好ましくは<6%、最も好ましくは4% の範囲内にある。本発明に従って調製することができる吸入用粉末の均一性のレベルは、1回の投与精度の意味で、<3%、おそらく<2% でさえ起こり得る。従って、他の態様においては、本発明は本発明の調製方法によって得ることができるような吸入用粉末に関する。
吸入用粉末は、計量チャンバ(例えば、米国出願第4570630A号による)或いは他の手段(例えば、ドイツ出願第36 25 685号による)によってレザバーから1回の投与量を定量する吸入器を用いて投与することができる。しかしながら、好ましくは本発明に従って得ることができる吸入用粉末はカプセルに充填され(いわゆるインハレット(inhallette)を製造する)、国際出願第94/28958号に記載されるような吸入器で用いられる。本発明に従って得られた吸入用粉末が上記好適用途に従ってカプセル(インハレット)に充填される場合には、カプセルを3〜10 mg、好ましくは4〜6 mgの吸入用粉末/カプセルの量で充填することが好ましく、この量は用いられる活性物質の選択の程度に左右される。活性物質臭化チオトロピウムの場合には、カプセルは上記充填の量として1.2〜80μgのチオトロピウムカチオンを含有する。4〜6 mgの吸入用粉末/カプセルにおいては、好ましい臭化チオトロピウムの好ましい量、チオトロピウム/カプセルの含量は1.6〜48μg、好ましくは3.2〜38.4μg、最も好ましくは6.4〜24μgである。例えば、18μgのチオトロピウムの含量は約21.7μgの臭化チオトロピウムの含量に相当する。
【0014】
従って、吸入用粉末3〜10 mgを含有するカプセルは、本発明に従って1.4〜96.3μgの臭化チオトロピウムを保持している。充填が好ましくは4〜6 mgの吸入用粉末/カプセルである場合、各カプセルは1.9〜57.8μg、好ましくは3.9〜46.2μg、最も好ましくは7.7〜28.9μgの臭化チオトロピウムを含有している。例えば、21.7μgの臭化チオトロピウムの含量は約22.5μgの臭化チオトロピウム1水和物の含量に対応する。
従って、吸入用粉末3〜10 mgを含有するカプセルは、1.5〜100μgの臭化チオトロピウム1水和物を保持している。充填が好ましくは4〜6 mgの吸入用粉末/カプセルである場合、各カプセルは2〜60μg、好ましくは4〜48μg、最も好ましくは8〜30μgの臭化チオトロピウム1水和物を含有している。
次の実施例は、本発明の方法を行う可能な方法を記載するものであり、例として臭化チオトロピウム1水和物を含有する粉末混合物を用いる。例として記載されるその方法がもう一方の上記物質の1種以上を含有する吸入用粉末を直接調製するために使用し得るという事実は、当業者に明らかである。従って、次の実施例は本発明を具体的に示すためだけのものであり、その範囲を例によって示される実施態様に限定するものではない。
【0015】
出発物質
次の実施例においては、粗い賦形剤としてラクトース1水和物(200M)が用いられる。例えば、製品名ファルマトース200MとしてDMV International社、5460フェーヘル/オランダから入手できる。
次の実施例においては、ラクトース1水和物(5μg)が細かい賦形剤として用いられる。慣用の方法(微粉化)でラクトース1水和物200Mから入手できる。ラクロース1水和物200Mは、例えば、製品名ファルマトース200MとしてDMV International社、5460フェーヘル/オランダから入手できる。
【0016】
臭化チオトロピウム 1 水和物の調製
欧州特許第418716 A1号に開示されるように調製することができる15.0 kgの臭化チオトロピウムを適切な反応容器内の25.7 kgの水に添加する。その混合液を80〜90℃に加熱し、透明な溶液が生じるまで一定の温度で撹拌する。水で湿らせた活性炭(0.8 kg)を4.4 kgの水に懸濁し、この混合液を臭化チオトロピウムを含有する溶液に添加し、4.3 kgの水で洗浄する。このようにして得られた混合液を80〜90℃で少なくとも15分間撹拌し、加熱したフィルターを通して外部温度を70℃に予熱した装置へろ過する。フィルターを8.6 kgの水で洗浄する。装置の内容物を20分毎に3〜5℃で20〜25℃の温度に冷却する。装置を冷水を用いて10〜15℃に更に冷却し、少なくとも1時間撹拌することにより結晶化を完了させる。吸引乾燥機を用いて結晶を分離し、分離した結晶スラリーを9リットルの冷水(10〜15℃)と冷アセトン(10〜15℃)で洗浄する。得られた結晶を窒素流れにおいて25℃で2時間乾燥する。
収量: 13.4 kgの臭化チオトロピウム1水和物(理論値の86%)
このようにして得られた結晶臭化チオトロピウム1水和物を既知の方法で微粉化して活性物質を本発明の規格に適合する平均粒子径にする。
本発明のための平均粒子径は体積分布からの粒子の50% の粒子径が指定した値より小さいか或いは等しいμm値である。レーザ回折/乾燥分散法の測定を用いて粒度分布の全分布を求める。
本発明の製剤の種々の成分の平均粒子径を求める方法を次に記載する。
【0017】
A)微細ラクトースの粒子径を求める:
測定装置と設定 :
製造業者の説明書に従って装置を作動させる。
測定装置: HELOSレーザ-回折分光計(SympaTec)
分散ユニット: 吸引漏斗付きRODOS乾燥ディスパーサー
(SympaTec)
試料の量: 100 mgから
製品送り: Vibri振動チャネル、Sympatec社
振動チャネルの振動数: 40% から100% まで上げる
試料供給時間: 1〜15秒(100 mgの場合)
焦点距離: 100 mm(測定範囲: 0.9〜175μm)
測定時間: 約15秒(100 mgの場合)
サイクル時間: 20分間
開始/停止: 1% /チャネル28
分散ガス: 圧縮空気
圧力: 3 bar
真空: 最高
評価法: HRLD

【0018】
試料の調製 / 製品送り
少なくとも100 mgの試験物質の重さを1枚のカードで量った。もう1枚のカードを用いて大きな塊りをばらばらにする。次に粉末を振動チャネルの前半分に細かく注ぐ(先端の約1 cmから始める)。測定の開始後、振動チャネルの振動数を約40% から100% まで変える(測定の終わりに)。全試料の供給にかかる時間は10〜15秒である。
【0019】
B) 微粉化臭化チオトロピウム1水和物の粒子径を求める:
測定装置と設定 :
製造業者の説明書に従って装置を作動させる。
測定装置: レーザ-回折分光計(HELOS)、SympaTec
分散ユニット: 吸引漏斗付きRODOS乾燥ディスパーサー、SympaTec
試料の量: 50 mg〜400 mg
製品送り: Vibri振動チャネル、Sympatec社
振動チャネルの振動数: 40% から100% まで上げる
試料供給時間: 15〜25秒(200 mgの場合)
焦点距離: 100 mm(測定範囲: 0.9〜175μm)
測定時間: 約15秒(200 mgの場合)
サイクル時間: 20分間
開始/停止: 1% /チャネル28
分散ガス: 圧縮空気
圧力: 3 bar
真空: 最高
評価法: HRLD

【0020】
試料の調製 / 製品送り
少なくとも200 mgの試験物質の重さを1枚のカードで量った。もう1枚のカードを用いて大きな塊りをばらばらにする。次に粉末を振動チャネルの前半分に細かく注ぐ(先端の約1 cmから始める)。試料は可能な限り連続して供給しなければならない。しかしながら、製品の量は十分な分散を得ることができないほど多くてはならない。測定の開始後、振動チャネルの振動数を約40% から100% まで変える(測定の終わりに)。全試料を供給する時間は、例えば、200 mgに対して約15〜25秒である。
【0021】
C) ラクトース200Mの粒子径を求める:
測定装置と設定 :
製造業者の説明書に従って装置を作動させる。
測定装置: レーザ-回折分光計(HELOS)、SympaTec
分散ユニット: 吸引漏斗付きRODOS乾燥ディスパーサー、SympaTec
試料の量: 500 mg
製品送り: VIBRI振動チャネル、Sympatec社
振動チャネルの振動数: 18% から100% まで上げる
焦点距離(1): 200 mm(測定範囲: 1.8〜350μm)
焦点距離(2): 500 mm(測定範囲: 4.5〜875μm)
測定時間: 10秒
サイクル時間: 10分間
開始/停止: 1% /チャネル19
圧力: 3 bar
真空: 最高
評価法: HRLD

【0022】
試料の調製 / 製品送り
約500 mgの試験物質の重さを1枚のカードで量った。もう1枚のカードを用いて大きな塊りの全部をばらばらにする。次に粉末を振動チャネルの漏斗に移す。1.2〜1.4 mmの隙間を振動チャネルルと漏斗との間に設定する。測定の開始後、振動チャネルの振幅設定を製品の連続流れが得られるまで0から40% に上げる。次に約18% の振幅に下げる。測定の終わりに振幅を100% まで上げる。
【0023】
装置
次の機械と器具は、例えば、本発明の吸入用粉末を調製するのに用いることができる。
混合容器又は粉末ミキサー: Gyrowheelミキサー200 l; 型式: DFW80N-4; Messrs Engelsmann製、D-67059ルートウィヒスハーフェン。
造粒篩 : Quadro Comil; 型式: 197-S; Messrs Joisten & Kettenbaum製、D-51429ベルギッシュ・グラドバッハ。
【0024】
実施例 1
活性物質の選択によっては、賦形剤混合物を調製する次の工程1.1を必要としなくてもよい。所望の粉末混合物が活性物質のほかに一様な広い粒度分布の賦形剤のみを含む場合には、手順は直接工程1.2に続けてもよい。
1.1: 賦形剤混合物 :
31.82 kgの吸入用ラクトース1水和物(200M)を粗い賦形剤成分として用いる。1.68 kgのラクトース1水和物(5μm)を細かい賦形剤成分として用いる。得られた33.5 kgの賦形剤混合物において細かい賦形剤成分の割合は5% である。
約0.8〜1.2 kgの吸入用ラクトース1水和物(200M)をメッシュサイズが0.5 mmの適切な造粒篩を通して適切な混合容器に添加する。次に約0.05〜0.07 kgのバッチのラクトース1水和物(5μm)と0.8〜1.2 kgのバッチ吸入用ラクトース1水和物(200M)の交互層を篩にかける。吸入用ラクトース1水和物(200M)とラクトース1水和物(5μm)をそれぞれ31層と30層として添加する(許容量: ±6層)。
次に篩にかけた成分を重力ミキサーで一緒に混合する(900 rpmで混合)。
【0025】
1.2: 活性物質を含有する粉末混合物
最終混合物を調製するために、32.87 kgの賦形剤混合物(1.1)と0.13 kgの微粉化臭化チオトロピウム1水和物を用いる。得られた33.0 kgの吸入用粉末の活性物質の含量は0.4% である。
約1.1〜1.7 kgの賦形剤混合物(1.1)をメッシュサイズが0.5 mmの適切な造粒篩を通して適切な混合容器に添加する。次に約0.003 kgのバッチの臭化チオトロピウム1水和物と0.6〜0.8 kgのバッチの賦形剤混合物(1.1)の交互層を篩にかける。賦形剤混合物と活性物質をそれぞれ46層又は45層として添加する(許容量: ±9層)。
次に篩にかけた成分を重力ミキサーで一緒に混合する(900 rpmで混合)。最終混合物を造粒篩に2回以上通過させてから混合する(900 rpmで混合)。
【0026】
実施例 2:
次の組成を有する吸入用カプセル(インハレット)を実施例1に従って得られた混合物を用いて製造した。
臭化チオトロピウム1水和物 0.0225 mg
ラクトース1水和物(200M) 5.2025 mg
ラクトース1水和物(5μm) 0.2750 mg
硬ゼラチンカプセル 49.0 mg
全量 54.5 mg

【0027】
実施例 3:
下記組成を有する吸入カプセル:
臭化チオトロピウム1水和物 0.0225 mg
ラクトース1水和物(200M) 4.9275 mg
ラクトース1水和物(5μm) 0.5500 mg
硬ゼラチンカプセル 49.0 mg
全量 54.5 mg
カプセルを調製するために必要とされる吸入用粉末を実施例と同じように得た。
【0028】
実施例 4:
下記組成を有する吸入カプセル:
臭化チオトロピウム1水和物 0.0225 mg
ラクトース1水和物(200M) 5.2025 mg
ラクトース1水和物(5μm) 0.2750 mg
ポリエチレンカプセル 100.0 mg
全量 105.50 mg
カプセルを調製するために必要とされる吸入用粉末を実施例と同じように得た。

Claims (8)

  1. 吸入用粉末の調製方法であって、平均粒子径が10〜100μmの物質(賦形剤)N+m部と粒子径が0.5〜10μmの物質(活性物質)N部を交互層として適切な混合容器に入れ、すべて添加された後にその2つの成分の2N+m層を適切なミキサーを用いて一緒に混合し、粒子径の大きい該物質の一部が最初に入れられ、Nが5より大きい整数であり、mが0又は1である、前記方法。
  2. その個々の部分が適切なスクリーニング装置を通して層として添加されることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. mが1であることを特徴とする、請求項1又は2記載の方法。
  4. 5%未満の活性物質を含有する吸入用粉末が得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 用いられる該活性物質の粒子径が1〜6μmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 用いられる該賦形剤の平均粒子径が15〜80μmであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 該賦形剤が平均粒子径15〜80μmの粗い賦形剤と平均粒子径1〜9μmの細かい賦形剤の混合物からなり、細かい賦形剤の割合が賦形剤の全量の1〜20% を構成していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 存在する該活性物質がβ刺激剤、抗コリン作用剤、コルチコステロイド及びドーパミン作用剤より選ばれる1種以上の化合物からなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
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