以下、実施形態に係る電線保持バー搬送装置及びその電線保持バー搬送装置を用いた電線セット製造方法について説明する。
<ワイヤーハーネス製造工程>
まず、自動車或は各種電気機器等に用いられる配線用のワイヤーハーネスの製造例について説明しておく。
すなわち、ワイヤーハーネスは、複数の電線を配線先となる自動車或は各種電気機器等の配線形態に合わせて、複数の電線を所定の布線形態で結束することにより製造される。
ワイヤーハーネスの製造工程は、例えば、切圧工程、サブアッシー製造工程及びワイヤーハーネス組立工程とを経て製造される。
切圧工程は、電線に対して切断処理及び端子圧着処理を施した端子付電線を製造する工程である。
サブアッシー製造工程は、ワイヤーハーネスを構成する部分的な形態を製造する工程である。すなわち、ワイヤーハーネスを製造するにあたっては、その完成品形態よりも小さい形態であるサブアッシーを製造し、このサブアッシーを複数組合わせてワイヤーハーネスの完成形態とする工法が採用されることがある。本工程は、そのようなサブアッシーを製造する工程である。
なお、必要に応じて、電線に対して中間処理が施されることがある。中間処理は、電線に対してゴム栓付等の特殊な端子を圧着する処理、複数の電線の端部等を溶接等により接続する処理、電線の中間部を皮剥ぎする処理、複数の電線をツイスト処理等である。これらの中間処理を施された電線は、上記サブアッシー形態に組込まれた最終的なワイヤーハーネス組立工程に供給されてもよいし、或は、中間処理を施された後、単独でワイヤーハーネス組立工程に供給されてもよい。
ワイヤーハーネス組立工程は、上記サブアッシー及びその他の各種電線を結束等して最終的なワイヤーハーネスを製造する工程である。
このようにして製造されたワイヤーハーネスは、検査工程等を経て、自動車等に組込まれる。
本電線保持バー搬送装置は、上記のようなワイヤーハーネス製造工程中、切圧された端子付電線を電線保持バーに保持する工程への適用に適している。
特に、上記サブアッシー工程を行うにあたっては、当該サブアッシーに組合わされる端子付電線が一つ或は複数の電線保持バーに保持された状態で供給されれば便利である。本電線保持バー搬送装置は、そのような場合において、複数種の端子付電線を一つの電線保持バーに保持させるのに適している。
以下、電線保持バー搬送装置について説明する。
<電線保持バー搬送装置の全体構成>
まず、電線保持バー搬送装置の全体構成について説明する。図1は電線保持バー搬送装置20を示す概略平面図であり、図2は同電線保持バー搬送装置20を示す概略側面図である。
この電線保持バー搬送装置20は、電線保持バー10を支持するバー支持部22複数と、循環回転駆動機構部30とを備えている。また、電線保持バー搬送装置20に隣接して端子付電線の供給機構部である端子圧着装置80が設けられている。さらに、この端子圧着装置80から供給される端子付電線を本電線保持バー搬送装置20の電線保持バー10に移載する端子付電線移載機構部60が設けられている。
上記端子圧着装置80は、電線供給リールに巻回された電線を引出して所定長に切断し、その切断端部の被覆を皮剥ぎして端子を圧着する装置である。この端子圧着装置80により、端子付電線が製造される。
端子付電線移載機構部60は、端子圧着装置80で製造された端子付電線の両端部を把持して、電線保持バー搬送装置20にて所定位置に搬送された電線保持バー10に移載する装置である。
電線保持バー搬送装置20は、電線保持バーを支持するバー支持部22複数が略長円状の循環経路に沿って移動可能に配設された構成とされている。そして、その複数のバー支持部22が前記循環経路に沿って断続的に循環回転駆動され、バー支持部22が循環経路の湾曲経路部分(図1のP1参照)に位置する状態で、当該バー支持部22により支持された電線保持バー10に対して端子付電線が移載される。これにより、循環回転移動する電線保持バー10に対して端子付電線が逐次保持されるようになっている。
なお、電線保持バー10を複数周回循環回転移動させ、電線保持バー10が前記湾曲経路部分に位置する毎に異なる種類の端子付電線を移載することで、複数種の端子付電線を同じ電線保持バー10に保持することができるようになっている。
また、バー支持部22が循環経路の直線経路部分(図1のP2参照)に位置する状態で、複数のバー支持部22に対する電線保持バー10の補充及び取出しが行われる。
これにより、複数の端子付電線の端部が保持された電線保持バー10を連続的に得ることができる。
以下、各部構成についてより具体的に説明する。
<電線保持バー>
電線保持バーについて説明する。図3は電線保持バー10を示す正面図であり、図4は電線保持バー10を示す平面図であり、図5は電線保持バー10を示す側面図である。
この電線保持バー10は、電線端部を保持可能な電線保持部12複数が直線状に並ぶように設けられ、電線Wの端部を並列状態で保持可能に構成されている。
より具体的には、電線保持バー10は、複数の電線保持部12と、バー本体部16とを備えている。
電線保持部12は、一対の弾性挟持片13と、挟持片固定基部14とを有している。
弾性挟持片13は、板状金属部材を打抜き及び屈曲加工等することにより形成された部材であり、基端部13a及び先端部13bを有している。
基端部13aは、平板な板状に形成されている。先端部13bは、基端部13aの一端部から外方(上方)に延出されるように形成された板状部材であり、ここでは、基端部13aの一端部から一方面側(一対の弾性挟持片13を突合わせた状態における外方)に突状に湾曲した後、反対側に突状に湾曲する形状、即ち、全体としてなだらかなS字状に湾曲する形状とされている。
挟持片固定基部14は、樹脂等で形成された部材であり、略直方体状の固定基部14aと、一対の側壁部14bとを有している。固定基部14aは、一対の弾性挟持片13の基端部13aを重ね合せた状態で挟持状に支持可能に構成されている。一対の側壁部14bは、固定基部14aにより支持された一対の弾性挟持片13を両側から挟む位置に突設されている。
そして、一対の弾性挟持片13の先端部13bの先端側の湾曲部分を突合わせるようにして、一対の基端部が重ね合された状態で固定基部14aに支持されることで、一対の弾性挟持片13が固定基部14aから突出状態で支持固定されている。また、この状態では、一対の弾性挟持片13の先端部は、一対の側壁部14bから上方に突出している。
そして、一対の弾性挟持片13の先端側から一対の弾性挟持片13の先端部13b間に端子付電線WTの端部を押込み、当該端子付電線WTの端部を一対の先端部13bの突き合せ部分よりも基端側の部分に配設すると、端子付電線WTの端部が一対の側壁部14bと先端部13bとで囲まれる空間内に保持されるようになっている。
なお、端子付電線WTの端部を保持する構成は上記例に限られない。例えば、櫛歯状の部材によって端子付電線WTの端部を引っかけて保持する構成等であってもよい。
バー本体部16は、フレーム部材17と、2つの端部フレーム部材18とを有している。フレーム部材17は、棒状(ここでは角柱棒状)に形成されており、その一側面(図3の上側の面)に上記複数の電線保持部12が直線状に並ぶように支持されている。電線保持部12はフレーム部材17に対して個別にねじ止或は凹凸嵌め込み構造等で支持される構成であってもよいし、或は、電線保持部12がフレーム部材17の上記一側面に形成されたガイド溝内によってフレーム部材17の長手方向に沿って移動可能に支持される構成であってもよい。
また、2つの端部フレーム部材18は、それぞれフレーム部材17の端部にねじ止等によって固定されており、直線状に並ぶ複数の電線保持部12をその両側から挟込むように固定している。
また、端部フレーム部材18のうち端子付電線WTを保持する側の一主面(図3の上側の面)には、係止凹部18hが形成されている。この係止凹部18hを利用して、後述するようにバー支持部22において電線保持バー10の抜止め保持がなされる。
なお、ここでは、バー本体部16に直線状に支持される複数の電線保持部12のうち各端部側のもの(ここでは、端部側に存在する4つのもの)については、一対の弾性挟持片13が省略されている。これにより、電線保持バー10の両端側では、電線保持部12の一対の側壁部14b及び端部フレーム部材18によって囲まれた凹状部分19が形成されている。そして、この凹状部分19を利用して後述するようにして複数の電線保持バー10の一括取出し等がなされるようになっている。
<端子圧着装置>
図6は端子圧着装置80を示す概略図である。端子圧着装置80は、電線調尺切断部82と、電線皮剥部84と、端子圧着部86とを備えると共に、電線端部を搬送する電線端部搬送機構部88とを備えている。
電線調尺切断部82は、電線を所定長に切断可能に構成されたものであり、例えば、電線を巻回収納した電線供給リールと、前記電線供給リールから電線を測長しつつ引出す電線測長引出部と、引出された電線を切断する電線切断部と、引出された電線をU字状に降り帰る折返し部とを有する構成を採用することができる。そして、電線測長引出部の駆動により電線供給リールから電線を所定長引出して、電線切断部により電線を切断する。また、引出された電線を折返し部により略U字状に折返し、その両端部を上記電線端部搬送機構部88にセットする。これにより、所定長に切断された電線の両端部が、略U字状に折返された電線形態のままで、電線端部搬送機構部88により所定搬送ラインに沿って搬送されるようになる。
なお、上記電線供給リールを複数準備し、当該複数の電線供給リールから選択的に電線を供給可能に構成することで、複数種類の電線を適宜切替えて所定長に切断する構成とすることができる。これにより、電線の種類が異なる端子付電線WTを複数種類製造することができる。
上記のような電線調尺切断部82自体の構成は、例えば、特開平9−306257号公報等に開示された周知構成を含む種々構成を採用することができる。
電線皮剥部84は、電線Wの端部を皮剥ぎするものであり、例えば、接近離隔駆動可能な一対の皮剥刃と、当該皮剥刃を電線Wの長手方向に沿って進退駆動させる進退駆動部とを有する構成を採用することができる。つまり、上記電線端部搬送機構部88により本電線皮剥部84に搬送された電線W端部に向けて一対の皮剥刃を接近移動させて、一対の皮剥刃を電線Wの被覆部に切込ませた状態で、一対の皮剥刃を電線Wの長手方向に沿って電線Wの端部側に移動させることにより、電線Wの端部の被覆部を皮剥する構成を採用することができる。
また、端子圧着部86は、電線Wの端部に対して端子を圧着可能に構成されており、例えば、複数の端子が連結された連鎖端子を巻回収容した端子収容リールと、この端子収容リールから連鎖端子を引出しつつ電線Wの端部の露出芯線に端子を圧着する圧着部とを有する構成を採用することができる。そして、端子収容リールから連鎖端子を引出し、上記電線端部搬送機構部88により本端子圧着部86に搬送された電線W端部の露出芯線に対して、連鎖端子の端子を切断しつつ圧着することができるようになっている。
このように電線端部の皮剥を行う構成及び端子圧着を行う構成自体は、周知であるため、詳細な説明は省略する。
電線端部搬送機構部88は、電線Wの端部を保持して、電線調尺切断部82から電線皮剥部84及び端子圧着部86を経由して、電線保持バー搬送装置20側の受渡し位置WPに向けて搬送可能に構成されている。
より具体的には、電線端部搬送機構部88は、電線Wの両端部を把持及び把持解除可能な一対の電線端部保持部88aと、一対の電線端部保持部88aを電線調尺切断部82から受渡し位置WPに向けて移動させる電線端部移動駆動部88bとを有している。
電線端部保持部88aとしては、例えば、一対の把持片を、エアシリンダ或は電磁アクチュエータ等の駆動によって開閉駆動し、閉じた状態で一対の把持片により電線Wの端部を把持し、開いた状態で電線Wの端部の把持を解除する構成を採用することができる。一対の電線端部保持部88aは、所定間隔あけた状態で、電線端部移動駆動部88bにより移動可能とされている。
電線端部移動駆動部88bは、一対の電線端部保持部88aを、電線皮剥部84及び端子圧着部86に対応する各位置で停止させつつ、電線調尺切断部82から受渡し位置WPに向けて移動駆動可能に構成されている。かかる電線端部移動駆動部88bとしては、リニアモータ等のリニアアクチュエータによって一対の電線端部保持部88aを往復移動させる構成を採用してもよいし、或は、一対のプーリーに巻掛けられた循環ベルトに一対の電線端部保持部88aを複数組取付固定し当該循環ベルトをモータによって回転させて、一対の電線端部保持部88aを循環回転させるように移動させる構成であってもよい。
このように構成された端子圧着装置80によって、端子付電線WTが製造され、かつ、その端子付電線WTの両端部が所定の受渡し位置WPに向けて搬送される。そして、端子付電線WTの両端部が所定の受渡し位置WPに向けて搬送されると、端子付電線WTの両端部が端子付電線移載機構部60の一対の移載用把持部70A,70Bにより把持され、電線保持バー搬送装置20側の電線保持バー10に移載されるようになっている。
なお、上記端子圧着部86は、特開2005−135822号公報に開示のように、複数種類の端子を選択的に圧着可能に構成されていてもよい。
端子圧着装置として、複数種類の電線を調尺切断可能な構成及び複数種類の端子を選択的に圧着可能な構成のうち少なくとも一方の構成を採用することで、複数種類の端子付電線WTを電線保持バー搬送装置20に供給することができる。
また、端子圧着装置は、電線保持バー搬送装置20及び端子付電線移載機構部60に対して交換可能に配設されていてもよい。そして、端子圧着装置を交換することで、複数種の端子付電線WTを電線保持バー搬送装置20及び端子付電線移載機構部60に対して供給できるようになっていてもよい。
また、電線保持バー搬送装置20及び端子付電線移載機構部60に対して端子付電線WTを供給する構成は、上記のように端子圧着装置を用いた構成に限られない。
例えば、別箇所において、端子圧着装置によって製造された端子付電線WTが電線保持バー10等の別の保持部材によって保持され、端子付電線WTが当該保持部材によって保持された状態で供給されてもよい。
つまり、電線保持バー搬送装置20に対して、複数の端子付電線WT(好ましくは複数種類の端子付電線WT)を所定位置に順次供給可能な端子付電線供給部が設けられていればよい。
なお、上記端子圧着装置80の動作制御は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成される端子圧着制御ユニット80Uによってなされる。特に、端子圧着制御ユニット80Uは、端子付電線WTを受渡し位置WPに搬送すると、当該受渡し位置WPに端子付電線WTが存在する旨の信号を出力する。
<端子付電線移載機構部>
図7は端子付電線移載機構部60を示す側面図であり、図8は端子付電線移載機構部60を示す平面図であり、図9は一対の移載用把持部70A,70Bを示す側面図である。
この端子付電線移載機構部60は、端子圧着装置80から電線保持バー搬送装置20側の電線保持バー10に向けて端子付電線WTを移載する装置であり、端子付電線WTの端部を把持及び把持解除可能な一対の移載用把持部70A,70Bと、一対の移載用把持部70A,70Bを移動駆動する移載用把持部移動駆動部62とを有している。
移載用把持部移動駆動部62は、上記一対の移載用把持部70A,70Bを、電線保持バー搬送装置20により所定位置に支持された電線保持バー搬送装置20の各電線保持部12と、電線受渡し位置WPとの間で往復移動させるように構成されている。
より具体的には、移載用把持部移動駆動部62は、水平支持部材63と、水平ガイド64と、一方の移載用把持部70Aを移動駆動する第1移載用駆動部65Aと、他方の移載用把持部70Bを移動駆動する第2移載用駆動部65Bとを有している。
上記水平支持部材63は、電線保持バー搬送装置20の略中央部から上記電線受渡し位置WPに向けて略水平姿勢で支持されている。ここでは、水平支持部材63の一端部が支柱部21の上端部片持ち状に支持されていることで、上記姿勢で支持されている。
水平ガイド64は、リニアガイド等により構成されており、上記水平支持部材63に当該水平支持部材63の延在方向に沿って配設されている。この水平ガイド64により、2つのベースプレート71A,71Bが電線保持バー搬送装置20側の電線保持バー10と電線受渡し位置WPとの間で水平移動可能に支持されている。なお、2つのベースプレート71A,71Bのうち一方のベースプレート71Aが電線保持バー搬送装置20側を移動し、他方のベースプレート71Bが電線受渡し位置WP側を移動する。
第1移載用駆動部65Aは、一対のプーリー体66Aと、一方側のプーリー体66Aを正逆両方向に回転駆動可能なモータ67Aと、一対のプーリー体66Aに巻掛けられた無端環状の駆動ベルト68Aとを有している。
一対のプーリー体66Aは水平支持部材63の両端部に設けられており、そのうち電線保持バー搬送装置20側のプーリー体66Aが上記モータ67Aによって回転駆動可能とされている。また、上記ベースプレート71Aが連結片71Apを介して駆動ベルト68Aの途中に連結されている。そして、モータ67Aの正逆両方向への回転駆動によって、ベースプレート71Aが電線保持バー搬送装置20側の電線保持バー10側と電線受渡し位置WP側の位置との間で往復移動可能に構成されている。
第2移載用駆動部65Bは、上記第1移載用駆動部65Aと同様に、一対のプーリー体66Bと、一方側のプーリー体66Bを正逆両方向に回転駆動可能なモータ67Bと、一対のプーリー体66Bに巻掛けられた無端環状の駆動ベルト68Bとを有している。
一対のプーリー体66Bのうち一方は、水平支持部材63のうち電線受渡し位置WP側に設けられ、他方は水平支持部材63の長手方向中間部に設けられている。一対のプーリー体66Bのうち電線受渡し位置WP側のプーリー体66Bが上記モータ67Bによって回転駆動可能とされている。また、上記ベースプレート71Bが連結片71Bpを介して駆動ベルト68Bの途中に連結されている。そして、モータ67Bの正逆両方向への回転駆動によって、ベースプレート71Bが、ベースプレート71Aよりも電線受渡し位置WP側で、電線保持バー搬送装置20側の電線保持バー10側と電線受渡し位置WP側の位置との間で往復移動可能に構成されている。
一方側の移載用把持部70Aは、上記ベースプレート71A側に設けられており、移載用昇降駆動部72Aと、開閉駆動部73Aと、一対の移載用把持部74Ap,74Aqとを有している。
移載用昇降駆動部72Aは、エアシリンダ等のリニアアクチュエータにより構成されており、昇降駆動本体部72Aaと、昇降可動部72Abとを有している。昇降駆動本体部72Aaは、ベースプレート71Aに取付固定されており、昇降可動部72Abを昇降駆動可能に支持している。昇降可動部72Abの下端部は他方側の移載用把持部70B側に向けて略水平姿勢で延出しており、その延出部分に開閉駆動部73Aが垂下状に支持されている。
開閉駆動部73Aは、エアシリンダ或は電磁アクチュエータ等のアクチュエータにより構成されており、上記のようにして昇降可動部72Abの下端部に垂下状に支持されている。また、開閉駆動部73Aの下端部に上記一対の移載用把持部74Ap,74Aqが開閉駆動可能に支持されている。ここでは、一対の移載用把持部74Ap,74Aqのうち他方側の移載用把持部70B側の移載用把持部74Apを固定側とし、その反対側の移載用把持部74Aqを移載用把持部74Apに対して接近離隔駆動する構成としている。
他方側の移載用把持部70Bは、上記ベースプレート71B側に設けられており、上記移載用把持部70Aと同様に、移載用昇降駆動部72Aに対応する移載用昇降駆動部72Bと、開閉駆動部73Aに対応する開閉駆動部73Bと、一対の移載用把持部74Ap,74Aqに対応する一対の移載用把持部74Bp,74Bqとを有している。
この移載用把持部70Bが上記移載用把持部70Aと異なる点は、昇降駆動本体部72Baに設けられた昇降可動部72Bbの下端部が一方側の移載用把持部70B側に向けて延出しておらず、当該昇降可動部72Bbの下端部のうち一方側の移載用把持部70Bよりの位置に開閉駆動部73Bが垂下状に支持されている点である。
また、一対の移載用把持部74Ap,74Aqは、その先端部が他方側の移載用把持部70Bよりの位置に配設されるように略L字状に屈曲されており、一対の移載用把持部74Bp,74Bqは、その先端部が一方側の移載用把持部70Aよりの位置に配設されるように上記とは逆の略L字状に屈曲されている。そして、2つの移載用把持部70A,70Bを近接させた状態で、一対の移載用把持部74Ap,74Aqの先端部間及び一対の移載用把持部74Bp,74Bqの先端部間が比較的近接した位置に配設され、これにより、端子付電線WTの両端部を比較的近接した位置で把持及び把持解除可能な構成とされている。
この端子付電線移載機構部60による端子付電線WTの移載動作は次のようにしてなされる。
すなわち、電線端部移動駆動部88bの駆動により、端子付電線WTの両端部を把持した一対の電線端部保持部88aを電線受渡し位置WPに移動させる。この状態で、移載用把持部移動駆動部62の駆動により上記一対の移載用把持部70A,70Bを電線受渡し位置WP上に配設する。この後、一対の移載用把持部74Ap,74Aq及び一対の移載用把持部74Bp,74Bqを開いた状態で、移載用昇降駆動部72A,72Bの駆動により一対の移載用把持部74Ap,74Aq及び一対の移載用把持部74Bp,74Bqを下降させる。この後、開閉駆動部73A,73Bの駆動により一対の移載用把持部74Ap,74Aq及び一対の移載用把持部74Bp,74Bqを閉じると、一対の電線端部保持部88aにより把持された端子付電線WTの両端部がそれぞれ一対の移載用把持部74Ap,74Aq及び一対の移載用把持部74Bp,74Bqにより把持される。この後、一対の電線端部保持部88aによる把持を解除した状態で、移載用昇降駆動部72A,72Bの駆動により一対の移載用把持部74Ap,74Aq及び一対の移載用把持部74Bp,74Bqを上昇させる。上昇後、移載用把持部移動駆動部62の駆動により上記一対の移載用把持部70A,70Bを電線保持バー搬送装置20側の所定位置に支持された電線保持バー10であって複数の電線保持部12のいずれかの上方位置に移動させる。そして、移載用昇降駆動部72A,72Bの駆動により一対の移載用把持部74Ap,74Aq及び一対の移載用把持部74Bp,74Bqを下降させると、端子付電線WTの端部が電線保持部12の一対の弾性挟持片13間に挟持される。この後、開閉駆動部73A,73Bの駆動により一対の移載用把持部74Ap,74Aq及び一対の移載用把持部74Bp,74Bqを開き、さらに、移載用昇降駆動部72A,72Bの駆動により一対の移載用把持部74Ap,74Aq及び一対の移載用把持部74Bp,74Bqを上昇させると、端子付電線WTの両端部を移載する一回分の動作が終了する。移載先となる電線保持部12を変更して上記を繰返し行うことで、複数の端子付電線WTの両端部が電線保持バー10に順次移載されることになる。また、移載元の電線受渡し位置WPにある端子付電線WTの種類を変更することで、異なる種類の端子付電線WTの両端部を電線保持バー10に移載することができる。異なる種類の端子付電線WTは、電線保持バー10を一定位置に配設した状態で行ってもよいし、或は、後述するように、電線保持バー10が電線保持バー搬送装置20によって周回された後に行ってもよい。
もっとも、端子付電線WTを移載する構成は上記例に限られない。端子付電線WTの両端部を順次リレー方式で移載することで、電線保持バー10に向けて移載するようにしてもよいし、また、端子付電線WTの端部を一つずつ移載するようにしてもよい。
なお、この端子付電線移載機構部60の動作制御は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成される搬送制御ユニット20Uによってなされる。特に、この搬送制御ユニット20Uは、上記端子圧着制御ユニット80Uから、端子付電線WTが受渡し位置WPに搬送された旨の信号が入力されると、そのタイミングで端子付電線WTの移載を行わせるように、端子付電線移載機構部60の動作制御を行う。
<電線保持バー搬送装置>
電線保持バー搬送装置20について説明する。図10は電線保持バー搬送装置20の湾曲経路P1部分を示す概略平面図であり、図11は電線保持バー搬送装置20の湾曲経路P1部分を示す概略側面図である。
図1、図2、図10及び図11に示すように、電線保持バー搬送装置20は、複数のバー支持部22と、循環回転駆動機構部30とを備えている。
循環回転駆動機構部30は、一対のプーリー体32と、一対のプーリー体32に巻掛けられた循環回転駆動ベルト34と、循環回転駆動部36とを有している。
一対のプーリー体32は、所定距離離れた位置で、ブラケットを介して支柱部21に回転自在に支持されている。それぞれのプーリー体32は、所定高さ位置で略水平姿勢で回転自在とされている。また、循環回転駆動機構部30は、サーボモータ等、回転量を調整可能な回転駆動部によって構成されており、その回転駆動軸が一方のプーリー体32の回転軸に連結されている。循環回転駆動機構部30の回転駆動軸と一方のプーリー体32の回転軸とは、回転駆動力を伝達可能な態様で連結されていればよく、伝達ベルト、ギヤ等を介して連結されていてもよい。
また、一対のプーリー体32に循環回転駆動ベルト34が巻掛けられている。そして、循環回転駆動機構部30の回転駆動によって、循環回転駆動ベルト34が略長円状の循環経路Pに沿って循環回転するようになっている。
複数のバー支持部22は、上記循環回転駆動ベルト34に略等間隔で固定されている。それぞれのバー支持部22は、循環回転駆動ベルト34の外向き面に固定されており、それぞれ電線保持バー10を循環経路Pから外方に向けて延在する姿勢で支持可能に構成されている。
より具体的には、バー支持部22は、電線保持バー10よりも短い寸法でかつ電線保持バー10の幅寸法よりも大きな略棒状部材に形成されている。このバー支持部22の一端部は循環回転駆動ベルト34の外向き面に固定されており、当該循環回転駆動ベルト34の外向き面から外方に向けて延在する姿勢とされている。また、バー支持部22には、その長手方向に沿って電線保持バー10を配設可能な保持溝22gが形成されている。保持溝22gは、上方に開口する溝形状であり、バー支持部22の基端側では閉塞しており、バー支持部22の先端側では開口している。そして、電線保持バー10の一端部を保持溝22gの基端部側に当接させると共に、電線保持バー10の他端部を保持溝22gの先端側開口より延出させた状態で、電線保持バー10が保持溝22g内に保持されるようになっている。また、保持溝22gの基端部の上方には抜止めピン22pが垂下状に突設されており、電線保持バー10を保持溝22g内に配設した状態で、当該抜止めピン22pが電線保持バー10の係止凹部18hに嵌り込むようになっている。これにより、保持溝22g内から先端側への電線保持バー10の脱落が防止されている。なお、電線保持バー10を斜め姿勢にしつつ保持溝22g内に嵌め込んだ後、電線保持バー10を略水平姿勢で保持溝22g内に配設することで、抜止めピン22pを係止凹部18hに嵌め込むことができる。
そして、循環回転駆動機構部30の回転駆動によって、複数のバー支持部22が上記循環経路のうち湾曲経路P1部分に沿って循環回転駆動される構成とされている。
この電線保持バー搬送装置20では、前記循環経路のうち一の湾曲経路P1部分で端子付電線WTの移載を行い、一の直線経路P2部分で電線保持バー10の補充取出しを行う。
すなわち、電線保持バー10がいずれか一方側(ここでは右側)のプーリー体32の外周に沿った湾曲経路P1部分に搬送されると、電線保持バー10はその湾曲経路P1部分の接線に略直交する方向(径方向)に沿って延在する姿勢となる。このため、湾曲経路P1部分において複数の電線保持バー10は放射状に拡がるように延在し、隣合う電線保持バー10間に外側に向って順次間隔が大きくなる隙間が形成される。従って、この部分では、上記のような端子付電線移載機構部60及び移載対象となる端子付電線WT自体が隣の電線保持バー10等に干渉し難い。そこで、湾曲経路P1部分においては、電線保持バー10に対して端子付電線WTの移載を行うのに適する。
ここでは、湾曲経路P1部分に搬送された電線保持バー10のう、一対のプーリー体32を結ぶ直線方向に沿った位置(以下、移載受位置WQという)に搬送されたものに対して、端子付電線WTの移載を行うようにしている。つまり、複数の電線保持バー10を循環経路Pに沿って搬送し、電線保持バー10が前記移載受位置WQに達する毎に、電線保持バー10の搬送を停止して端子付電線WTの移載を行う。そして、所定の端子付電線WTの移載が終了すると、再度複数の電線保持バー10を循環搬送して、次順の電線保持バー10を移載受位置に配設して、端子付電線WTの移載を行う。これを繰返すことで、複数の電線保持バー10に対して順次端子付電線WTの移載が行われる。
なお、電線保持バー10に対する移載を行う位置は、上記例に限られず、外側に凸となる湾曲経路部分で行われればよい。
また、上記移載受位置WQに位置する電線保持バー10と、その電線保持バー10に対して搬送方向下流側に位置する電線保持バー10との間であって、電線保持バー10の搬送移動軌跡の上方位置に、干渉規制バー23が設けられている。干渉規制バー23は、それらの電線保持バー10の隙間間に沿って略水平方向に延びる部分と、その両端部から上方に延びる部分とを有する約U字状部材に形成されており、本電線保持バー搬送装置20或はその他の支持部分に固定支持されている。そして、移載受位置WQに位置する電線保持バー10に対して端子付電線WTを移載する際に、その端子付電線WTが前記搬送方向下流側の電線保持バー10等に干渉しないように、端子付電線WTの移動を規制する役割を有している。
また、上記移載受位置WQに位置する電線保持バー10の自由端部に対応する位置には、当該自由端部を一時的に保持可能なバー自由端部保持部24が設けられている。
図12はバー自由端部保持部24を示す側面図であり、図13はバー自由端部保持部24を示す背面図である。
バー自由端部保持部24は、挟込保持部25と、底受部26と、端面受部27とを有している。
挟込保持部25は、ブラケットにより移載受位置WQに位置する電線保持バー10の自由端部の下方に配設されている。この挟込保持部25は、一対の挟込片25aと、挟込片25aを開閉駆動する挟込開閉駆動部25bとを有している。挟込開閉駆動部25bは、エアシリンダ等のアクチュエータ及び挟込片25aを開閉駆動するリンク部材等により構成されている。一対の挟込片25aは、先端部内側に略L字状の切欠部分を有する調尺部材に形成されており、その基端部が挟込開閉駆動部25bに所定の軸部を介して開閉駆動可能に支持されている。そして、一対の挟込片25aを開いた状態では、循環経路Pに沿って搬送される電線保持バー10は、一対の挟込片25aに干渉せず、挟込開閉駆動部25b上方位置に配設及び当該上方位置から側方に移動可能とされる。また、電線保持バー10が挟込開閉駆動部25b上方位置に配設された状態で、一対の挟込片25aを閉じると、挟込片25aの先端部間で、電線保持バー10の自由端部が挟込まれるようになっている。
また、底受部26は、移載受位置WQに位置する電線保持バー10の自由端部の下方に配設されており、ここでは、挟込開閉駆動部25bに固定されることで当該位置に配設されている。底受部26は、移載受位置WQに位置する電線保持バー10の自由端部底面に接触可能な底受主面26aと、その底受主面26aから外方に向けて下方に傾斜する底受補助ガイド面26bとを有している。
端面受部27は、移載受位置WQに位置する電線保持バー10の自由端部の外方延長上配設されている。この端面受部27は、端面当接部27bと、端面当接部27bを進退駆動させる端面当接駆動部27aとを有している。端面当接駆動部27aは、エアシリンダ等のリニアアクチュエータにより構成されており、ブラケット等を介して固定されている。端面当接部27bは、電線保持バー10の自由端部の端面に当接可能な平面を有しており、上記端面当接駆動部27aの自由端部の端面に対して進退駆動可能に支持されている。そして、端面当接部27bを退避させた状態では、移載受位置WQに位置する電線保持バー10の自由端部の端面と端面当接部27bとは非接触状態となり、端面当接部27bを進出させた状態では、移載受位置WQに位置する電線保持バー10の自由端部の端面と端面当接部27bとが当接状態となるように構成されている。
そして、電線保持バー10が循環経路Pに沿って移載受位置WQに移動する際、電線保持バー10の自由端部の底部が一方側の底受補助ガイド面26bに摺接してガイドされつつ底受主面26a上に載置される。また、この状態で、一対の挟込片25aを閉じると、挟込片25aの先端部間で、電線保持バー10の自由端部が挟込まれるようになっている。さらに、端面当接部27bを進出させると、端面当接部27bが電線保持バー10の自由端部端面に当接するようになる。
これにより、電線保持バー10の自由端部が、幅方向、下方向、及び当該端部の外方向へはより確実に位置決めされるようになる。従って、端子付電線WTを電線保持バー10に移載する際において、電線保持バー10の揺れを抑制することができ、より確実に移載を行うことができる。
バー自由端部保持部24は、電線保持バー10の自由端部を少なくとも一方向において位置決めしていればよく、例えば、挟込保持部25と、底受部26と、端面受部27とのうち少なくとも一つを採用した構成であってもよい。もっとも、端子付電線WTを移載する際における電線保持バー10の揺れを防止するという点からすると、底側への位置決めを図ることが好ましい。
なお、この電線保持バー搬送装置20の動作制御は、上記搬送制御ユニット20Uによってなされる。特に、上記端子圧着制御ユニット80U等と連携して、予め設定された数或は種類の端子付電線WTが各電線保持バー10に移載されるように、また、複数の電線保持バー10の一括出し入れを行う場合には、その作業に必要な時間停止させるように、電線保持バー10の搬送タイミングを制御する。
<動作>
上記電線保持バー搬送装置20の動作について、その使用方法を含めて説明する。
まず、初期状態では、各バー支持部22には電線保持バー10が支持されているとする。この状態で、循環回転駆動機構部30の駆動により電線保持バー10が循環経路Pに沿って搬送される。そして、いずれかの電線保持バー10が移載受位置WQに配設されると、搬送が一旦停止する。この状態で、端子圧着装置80で製造された端子付電線WTが端子付電線移載機構部60により1つ以上、移載受位置WQの電線保持バー10に移載される。そして、予め設定された数及び種類の端子付電線WTが電線保持バー10に移載されると、次順の電線保持バー10が移載受位置WQに配設されるように、各電線保持バー10を搬送する。そして、次順の電線保持バー10に対して上記と同様にして端子付電線WTの移載が行われる。
なお、電線保持バー10に対する端子付電線WTの移載は、移載受位置WQに一回停止させるだけで終了してもよいし、或は複数周回させて移載受位置WQに複数回停止させて複数回の移載を行うようにしてもよい。後者の場合、移載受位置WQに複数回停止させる毎に異なる種類の端子付電線WTを移載するとよい。
所定数の電線保持バー10に対する端子付電線WTの移載が終了し、移載終了済の電線保持バー10が直線経路P2部分に搬送されると、当該直線経路P2部分において電線保持バー10の取出しが行われる。
この場合、移載終了済の電線保持バー10複数が直線経路P2部分で並列状に配設された状態で、当該複数の電線保持バー10の一括取出しを行うことができる。
また、電線保持バー10を補充する場合には、空きのバー支持部22複数を、直線経路P2部分外方に隣接した配設した状態で、複数の電線保持バー10を一括して空きのバー支持部22に支持させることができる。
上記のようにして、端子付電線WTが少なくとも一種類、好ましくは、複数種類セットされた端子付電線WTを得ることができる。
以上のように構成された電線保持バー搬送装置20によると、複数のバー支持部22のそれぞれに電線保持バー10を支持させた状態で、当該バー支持部22を循環回転駆動することで、循環経路Pの途中の移載受位置WQに対して複数の電線保持バー10を順次搬送することができる。また、湾曲経路P1部分を通過中の電線保持バー10は、外方に放射状に拡がるように配設され、隣合う電線保持バー10間に比較的広い隙間が形成される。このため、端子付電線WTを移載するための機構を容易に組込むことができ、また、端子付電線WTを移載する際に当該端子付電線WTが隣の電線保持バー10等に干渉し難い。このため、端子付電線WTを容易に移載することができる。
また、循環経路Pは、直線経路P2を有しているため、当該直線経路P2部分を通過中の電線保持バー10複数は略並列状に並ぶ。このため、当該部分で、複数の電線保持バー10を一括して出し入れし易く、効率的かつ迅速な出し入れを行うことができる。もっとも、直線経路P2は必須ではなく、例えば、電線保持部22の移動経路が略円形状とされていてもよい。
また、上記電線保持バー搬送装置20は、サブアッシー等を製造するために、複数種類の端子付電線WTが電線保持バー10にセットされた電線セットを製造するのにも適している。
すなわち、電線保持バー10が循環経路Pに沿って周回し、湾曲経路P1部分を通過する毎に、その電線保持バー10に対して異なる種類の端子付電線WTを移載する。異なる種類の端子付電線WTの移載は、端子圧着装置として異なる種類の端子付電線を製造可能なもの、或は、端子圧着電線を交換することで実現できる。これにより、電線保持バー10に異なる種類の端子付電線WTを混在して保持させた電線セット(図1参照)を製造することができる。
これにより、比較的簡易な設備で電線セットを製造することができる。
特に、端子圧着電線を交換することで異なる種類の端子付電線を供給可能な構成にあっては、次のメリットを奏する。
すなわち、単一種類の端子を圧着可能な端子圧着装置を用いて電線セット或はサブアッシーを製造しようとする場合、通常、種類毎に端子付電線WTを製造してまとめ、その種類毎にまとめられた中から適宜所定種類の端子付電線を取出して、電線セット或はサブアッシーを製造することになる。ところが、この場合、その製造作業が非常に面倒である。
これを回避するためには、複数種類の端子を圧着可能な端子圧着装置を用い、電線セット或はサブアッシーに必要な複数種類の端子付電線を混在させつつ製造すればよい。しかしながら、複数種類の端子を圧着可能な端子圧着装置は、端子毎に圧着金型を交換する必要があり、高価かつ複雑な装置構成となってしまう。
ところが、上記のように、端子圧着電線を交換することで異なる種類の端子付電線を供給し、電線保持バー10を複数回周回させ、周回の毎に異なる種類の端子付電線WTを移載するようにすれば、端子圧着装置としては比較的簡易な構成のものを用いつつ、製造された端子付電線WTを直接的に電線保持バー10に移載して電線セットを製造することができる。これにより、比較的簡易な設備で電線セットを製造することができ、サブアッシーの製造工程が簡易化されることになる。
<変形例>
以下、上記実施形態を前提にして各種変形例について説明する。
図14及び図15は第1変形例を示す図である。第1変形例では、移載受位置WQに配設された電線保持バー10とその隣の電線保持バー10との間に仕切部材を進退駆動可能に配設している。
すなわち、移載受位置WQに配設された電線保持バー10と、搬送方向下流側で隣合う電線保持バー10との間に仕切機構部110が設けられている。
仕切機構部110は、仕切部材112と仕切駆動部114とを有している。
仕切駆動部114は、エアシリンダ等により構成されており、仕切駆動本体部114aと、仕切駆動本体部114aから進退駆動可能なロッド部114bとを有している。仕切駆動本体部114aは、前記2つの電線保持バー10間であって電線保持バー10よりも上方位置に配設され、ロッド部114bを下方に向けて突出させた姿勢で、所定のブラケットに固定されている。
仕切部材112は、電線保持バー10と略同じ長さ寸法を有する略長方形状の部材であり、上記2つの電線保持バー10の隙間に沿って延在している。仕切部材112は、上記ロッド部114bに先端部に連結されている。
そして、ロッド部114bが進出駆動された状態では、端子付電線WTの端部が保持される電線保持部12間を仕切るようにして、2つの電線保持バー10間に介在配置される(図15の2点鎖線参照)。また、ロッド部114bが退避駆動された状態では、電線保持バー10の移動規制よりも上方位置に移動し、前記介在位置から退避する(図15の実線参照)。
そして、端子付電線WTを移載受位置WQの電線保持バー10に移載する際には、仕切駆動部114の駆動により仕切部材112を上記介在位置に配置する。これにより、移載される端子付電線WTが隣の電線保持バー10及び当該電線保持バー10に保持された端子付電線WTと干渉したり、当該電線保持バー10に乗りあげたりすることが抑制される。特に、仕切部材112は、電線保持バー10間に介在配置されているため、上記干渉規制バー23よりもより確実に端子付電線WTの干渉を抑制することができる。
また、電線保持バー10を搬送する際には、仕切駆動部114の駆動により仕切部材112を介在位置から上方に退避させる。これにより、仕切部材112と干渉させることなく、電線保持バー10を搬送移動することができる。
図16及び図17は第2変形例を示す図である。第2変形例では、直線経路P2部分にある複数の電線保持バー10を一括して容易に取出すことができるようにするための例を説明する。
すなわち、上記実施形態では、それぞれのバー支持部22において、抜止めピン22pが個別に電線保持バー10に嵌め込まれているため、電線保持バー10の一括取出しが困難であった。本変形例では、そのような抜止めを一括して解除するための構成に関する。
すなわち、バー支持部22に対応するバー支持部222には、それぞれ抜止めピン230が設けられている。抜止めピン230は、棒状のピン本体部231と、ピン本体部231の基端部に設けられたつば部232とを有している。ピン本体部231の先端側は、その基端部よりも細径に形成されており、その中間部に段部が形成されている。
また、バー支持部222の基端部上部は、上下方向に隙間を隔てて2つの天井壁を有しており、下側の天井壁に先端側細径部分を挿通可能な挿通孔222aが形成され、上側の天井壁に基端側太径部分を挿通可能な挿通孔222bが形成されている。
そして、上記抜止めピン230が上方から挿通孔222b、222aに挿通され、上下方向に進退移動可能に挿通支持されている。抜止めピン230が最下方に位置する状態(抜止め位置)では、ピン本体部231の段部が下側の挿通孔222aの上側開口縁部に当接すると共に、ピン本体部231の先端部がバー支持部222内の保持溝222g(保持溝22gに対応)内に突出している。これにより、保持溝222g内に配設された電線保持バー10の係止凹部18hに嵌り込んで、当該電線保持バー10を抜止め保持するようになっている。なお、この状態では、上記つば部232は、上側の天井壁の上面よりも上方位置にあり、従って、つば部232と上側の天井壁との間に隙間が形成されている。この抜止めピン230は、自重により或はコイルバネ等により下方に力が作用しており、従って、通常時には、抜止め位置に位置している。
そして、抜止めピン230を抜止め位置から上方の抜止め解除位置に持上げると、ピン本体部231の先端部が保持溝222gから上方に退避移動し、係止凹部18hへの嵌り込みが解除される。これにより、当該電線保持バー10の保持が解除され、電線保持バー10を水平方向に沿って外方に抜くようにして取出すことができるようになっている。
また、循環経路Pの直線経路P2部分のうち取出し作業位置となる部分には、当該直線部分を通過する複数のバー支持部222の抜止めピン230を一括して抜止め解除位置に移動駆動するピン一括駆動部240が設けられている。
ピン一括駆動部240は、押上げ片242を押上げ片駆動部244とを有している。
押上げ片242は、直線経路P2部分を通るバー支持部22複数(ここでは5つ)分に対応する長さ寸法の板状当接部分242aを有している。そして、この板状当接部分242aが、バー支持部222とつば部232との間の高さ位置で、直線経路P2部分に沿った略水平姿勢で配設されている。そして、循環回転駆動されるバー支持部222が当該板状当接部分242aの配設部分に搬送されると、板状当接部分242aが順次バー支持部222とつば部232との間に配設されるようになっている。
また、押上げ片駆動部244等により構成されており、上記板状当接部分242aを、バー支持部222とつば部232との間の高さ位置と、当該位置から上方の解除高さ位置との間で昇降駆動するように構成されている。
そして、複数(ここでは5つ)のバー支持部222が直線経路P2部分に搬送されて、板状当接部分242aに対応する位置に配設された状態で、押上げ片駆動部244の駆動により押上げ片242を押上げると、対応する複数の抜止めピン230が抜止め位置から抜止め解除位置に押上げられる。これにより、当該複数のバー支持部222の抜止め保持が一括して解除され、対応する複数の電線保持バー10を略水平方向外側に引出すようにして容易に取出すことができるようになっている。
図18及び図19は電線保持バー10の一括取出しをより容易にするための取出搬送用台車310を示す図である。
この取出搬送用台車310は、取出用バー支持部312と、支持台車320とを有している。
取出用バー支持部312は、複数のバー支持部313を有しており、それぞれのバー支持部313は、電線保持バー10に対応する長さ寸法の長尺板状の底板部315とその底板部315の両側部に設けられた一対の壁部314とを有している。壁部314間には、電線保持バー10の幅寸法に対応する隙間が形成され、底板部315上であって壁部314間に電線保持バー10を保持できるようになっている。また、壁部314の内面は、先端側に向けて外方に傾斜する傾斜面314aに形成されている。そして、電線保持バー10を壁部314間に向けてその先端側から挿入する際に、電線保持バー10が傾斜面314aに摺接することで、当該壁部314間に案内されるようになっている。
また、複数のバー支持部313は、それぞれの壁部314間に支持された電線保持バー10が直線経路P2における電線保持バー10の間隔に対応する間隔で略並列姿勢で保持可能なように、並列状態に支持されている。
また、支持台車320は、上記取出用バー支持部312を直線経路P2部分における電線保持バー10の高さ位置と略同じ高さ寸法に支持している。ここでは、支持台車320は、棒状部材で枠を構成するように組立てたフレーム構成とされ、その下端部にキャスタ320aが設けられている。
そして、本取出搬送用台車310を直線経路P2の外側位置に配設し、各バー支持部313の先端部を各電線保持バー10の自由端部に対向させた状態で、バー支持部22,222から電線保持バー10を引抜くようにすると、当該電線保持バー10がバー支持部313上に移載される。そして、取出搬送用台車310を移動させることで、その複数の電線保持バー10が次の作業場所に向けて運ばれる。
本取出搬送用台車310は、特に、上記第2変形例に係る構成と共に用いられるのが効果的である。抜止めピン230を一括解除した状態で複数の電線保持バー10を一括して外方に引出せば、当該複数の電線保持バー10を一括して取出搬送用台車310に移載することができるからである。
特に、複数の電線保持バー10を一括して移載する場合には、図20〜図22に示すような一括取出具350を用いるとよい。
この一括取出具350は、掴み部352と横棒部354とが略T字状に連結されており、横棒部354に電線保持バー10の端部を引っかけて引張り可能な引っかけ部360を複数設けた構成とされている。
複数の引っかけ部360は、電線保持バー10の間隔に応じて間隔を有して設けられており、それぞれの引っかけ部360は、引っかけピン部362と、幅方向規制部364とを有している。引っかけピン部362は、横棒部354に突設されたピン状の部材であり、電線保持バー10の端部の凹状部分19(図3及び図4参照)に嵌め込み可能に構成されている。幅方向規制部364は、横棒部354の一側面に引っかけピン部362に対応して設けられている。幅方向規制部364の先端部には、電線保持バー10の幅寸法に応じた凹部364gが形成されており、上記引っかけピン部362を電線保持バー10の凹状部分19に嵌め込んだ状態で、電線保持バー10の端部が凹部364g内に嵌め込まれ、側方への移動が規制されるようになっている。
そして、作業者が掴み部352を持って、複数の引っかけ部360を直線経路P2に配設された複数の電線保持バー10の端部に引っかけるようにし、その状態で、掴み部352を取出搬送用台車310側に引張ると、複数の電線保持バー10を一括して取出搬送用台車310に移載することができる。