以下、実施形態に係る電線処理装置について説明する。図1は実施形態に係る電線処理装置によって製造される端子付電線10を示す説明図であり、図2は電線処理装置の全体構成を示す概略図である。
この電線処理装置20は、長尺な電線12を所定長に切断し、所定長に切断された電線12の両端部の被覆部を皮剥ぎし、その両端部に露出した各芯線に端子14を圧着して、端子付電線10を製造する装置である。なお、電線12の一方側の端部のみに端子が圧着されてもよい。また、後で説明するように、電線12をゴム栓に通す処理等、他の処理が行われてもよい。
電線処理装置20は、電線供給部22と、電線引出切断機構部24と、端部加工ユニット30、32、34と、電線搬送機構部50とを備える。
電線供給部22は、長尺な電線12を連続的に供給可能に構成されている。ここでは、長尺な電線12は、輪状に束ねられており、その束11より、長尺な電線12の一端部を引出すことで、長尺な電線12が連続的に供給されるようになっている。なお、長尺な電線12は、電線収容リール等に巻回収容されており、当該電線収容リールより供給されるものであってもよい。
電線引出切断機構部24は、電線供給部22からの電線12を引出して切断可能に構成されている。より具体的には、電線引出切断機構部24は、引出部25と、切断部26とを備えている。
引出部25は、例えば、電線12を挟込む一対のローラ25aと、当該ローラ25aの少なくとも一方を回転駆動するモータ等の回転駆動部25bとを含む。そして、回転駆動部25bによって、ローラ25aを回転させることで、電線供給部22から電線12が引出され、その前方に向けて送出される。本引出部25の動作は、後述する制御ユニット100によって制御される。
なお、引出部25には、引出された電線12の長さを計測する調尺部が組込まれている。調尺部としては、例えば、電線12を挟込む一対の調尺ローラと、当該調尺ローラの少なくとも一方の回転軸部に連結されたロータリーエンコーダ等の回転量検出部とを含む構成を採用することができる。そして、電線12が引出されて送出される際に、本調尺部によって引出された電線12の長さに応じた検出信号が出力され、当該検出信号が制御ユニット100に与えられる。また、本引出部25には、複数のローラが交互に配設されたストレーナが組込まれている。電線12が本ストレーナを通ることで、ある程度曲げ癖が除去される。
切断部26は、引出部25により引出されて送出された電線12を切断可能に構成されている。ここでは、切断部26は、引出部25より送出された電線12を挟込み可能な一対の切断刃26aと、当該一対の切断刃26aを接近及び遠ざける方向に移動させる進退駆動部とを含む。一対の切断刃26aの先端部は、V字状に切込む刃形状に形成されている。そして、制御ユニット100からの指令に応じて、上引出部25によって製造対象となる端子付電線10の長さに応じた長さの電線12が送出された時点で、一対の切断刃26aが接近移動することで、電線12が所定長に切断される。
端部加工ユニット30、32、34は、調尺の電線12より切断された所定長の電線12の端部に対して端部加工処理を施すユニットである。
ここでは、端部加工ユニット30が、ゴム栓挿入ユニット30であり、端部加工ユニット32が電線12の端部の皮剥を行う皮剥ユニット32であり、端部加工ユニット34が端子圧着ユニット34である場合を想定している。
ゴム栓挿入ユニット30は、電線12の端部にゴム栓を挿入するためのユニットであり、電線12の搬送方向Pにおいて、上記電線引出切断機構部24の下流側に設けられている。ゴム栓挿入ユニット30は、電線12の両端に対してゴム栓を挿入するものであっても、一端のみにゴム栓を挿入するものであってもよい。
皮剥ユニット32は、電線12の端部の被覆部を皮剥して、当該端部に芯線部を露出させる加工を行うユニットであり、電線12の搬送方向Pにおいて、上記ゴム栓挿入ユニット30の下流側に設けられている。かかる皮剥ユニット32としては、例えば、一対の皮剥刃の先端部を、電線12の被覆部のみに食込む程度に接近移動させ、この状態で、一対の皮剥刃を電線12の端部側に相対移動させることで、被覆部の皮剥がなされる。なお、この際、一対の皮剥刃を移動させてもよいし、電線を移動させてもよい。
端子圧着ユニット34は、電線12の端部に露出する芯線に端子14を圧着するためのユニットであり、電線12の搬送方向Pにおいて、上記皮剥ユニット32の下流側に設けられている。端子圧着ユニット34は、電線12の両端に対して端子を圧着するものであっても、一端のみに端子を圧着するものであってもよい。
なお、ゴム栓挿入ユニット30が省略されてもよい。また、上記切断部26にて端部の皮剥を行い、皮剥ユニット32を省略してもよい。また、端部加工ユニットの例は上記に限られず、電線12の端部に対して加工を行う各種端部加工装置を用いることができる。
電線搬送機構部50は、電線引出切断機構部24より引出されて切断された電線12の両端部を把持して、電線引出切断機構部24による受取位置P1から上記端部加工ユニット30、32、34による加工位置P2、P3、P4を経て、電線取出位置P7に向けて停止及び移動を繰返して搬送可能に構成されている。ここでは、電線搬送機構部50は、電線12の両端部の搬送途中、特に、端部加工ユニット30、32、34による電線12の両端部の加工が終了した位置(ここでは位置P4)から電線取出位置P7に搬送する迄の間に、電線12の両端部の間隔を広げるように構成されている。
より具体的には、電線搬送機構部50は、第1電線搬送機構部52と、第2電線搬送機構部60と、一対の電線集合部70と、電線押込部80と、第3電線搬送機構部90とを備える。
電線搬送機構部50による電線12の端部の搬送動作を概略的に説明しておくと、電線12の両端部は、第1電線搬送機構部52によって把持されて、受取位置P1から加工位置P2、P3、P4を経て第1排出位置P5に搬送される。電線12の両端部が第1排出位置P5に搬送されると、第2電線搬送機構部60が電線12の両端部を把持して第2排出位置P6に搬送する。第2排出位置P6には、一対の電線集合部70が設けられており、第2電線搬送機構部60は、電線12の両端部を一対の電線集合部70に受渡す。一対の電線集合部70は、複数の電線12の端部を束ねた状態で保持可能に構成されている。そして、第2電線搬送機構部60から複数の電線12の端部が電線集合部70に受渡されることで、当該電線集合部70が複数の電線12の端部を束ねた状態で保持する。所定数の電線12の端部が一対の電線集合部70によって束ねた状態に保持されると、当該複数の電線12の端部が第3電線搬送機構部90によって束ねられた状態のまま把持され、第2排出位置P6から電線取出位置P7に向けて搬送される。そして、電線取出位置P7において、作業者によって束ねられた複数の電線12の端部が取出される。なお、電線搬送機構部50による各部の動作制御も、制御ユニット100からの指令に応じてなされる。
各部についてより具体的に説明する。
第1電線搬送機構部52は、複数の電線把持部54を備えている。複数の電線把持部54は、上記受取位置P1、加工位置P2、P3、P4及び第1排出位置P5を通るように配設された搬送用循環ベルトに間隔をあけて取付けられている。搬送用循環ベルトは、受取位置P1、加工位置P2、P3、P4及び第1排出位置P5を通る搬送方向Pの両端部に設けられた一対の回転用プーリー又は一対の歯車に巻掛けられており、当該回転用プーリー又は歯車をモータ等の回転駆動部によって回転させることで、搬送用循環ベルトが、受取位置P1、加工位置P2、P3、P4及び第1排出位置P5を通って循環回転する。各電線把持部54は、ソレノイドを利用した電磁チャック又はエアシリンダを利用したチャック等によって構成されており、一対の把持爪54aが開閉駆動されることで、電線12の端部を把持及び把持解除可能に構成されている。
そして、上記搬送用循環ベルトの循環回転によって複数の電線把持部54が、受取位置P1、加工位置P2、P3、P4及び第1排出位置P5で一旦停止しつつ通過移動すると共に、各位置P1、P2、P3,P4、P5で、各電線把持部54が適宜開閉して電線12の把持及び把持解除動作を行うことで、電線12の受取り、搬送、排出、さらに、電線12の端部に対する加工処理が施される。
ここでは、複数の電線把持部54のうち一対の電線把持部54の一方が、電線引出切断機構部24に対応する受取位置P1に位置すると共に、一対の電線把持部54の他方がその下流側に位置した状態で、電線引出切断機構部24から送出された電線12の端部が一方側の電線把持部54を通って他方側の電線把持部54に受渡される。
この受渡は、例えば、次の受渡機構部58によって行うことができる。すなわち、図2及び図3に示すように、受渡機構部58は、旋回駆動部58aと、旋回アーム部58bと、受渡用把持部58cとを備えている。受渡用把持部58cは、ソレノイドを利用した電磁チャック又はエアシリンダを利用した電磁チャック等によって構成されており、一対の把持爪が開閉駆動されることで、電線12の端部を把持及び把持解除可能に構成されている。旋回駆動部58aは、モータ等によって構成されており、図示省略の装置フレームによって、上記電線引出切断機構部24に対応する位置に配設された前記一方の電線把持部54の位置と、その下流側の前記他方側の電線把持部54の中間位置に配設されている。旋回アーム部58bは、各電線把持部54を結ぶ距離の半分程度の長さ寸法の調尺部材に形成されている。旋回アーム部58bが水平となる姿勢で、旋回アーム部58bの一端部が上記旋回駆動部58aの回転軸部に連結されている。この旋回アーム部58bの他端部に上記受渡用把持部58cが設けられている。そして、旋回アーム部58bの他端部の受渡用把持部58cを上記電線引出切断機構部24に対応する位置に配設された前記一方の電線把持部54に対向させる第1姿勢と、その下流側の前記他方側の電線把持部54に対向させる第2姿勢との間で、旋回アーム部58bが上記回転軸部回りに旋回(ここでは180度旋回)されるようになっている。
上記受渡機構部58は、次のようにして電線12の端部の受渡しを行う。すなわち、受渡用把持部58cを電線引出切断機構部24に対応する位置に配設した状態で、電線引出切断機構部24から電線12が送出される。そして、電線12の端部が受渡用把持部58cに達する又はこれを越えるまで電線12が送出されると、電線12の送出しが停止される。この状態で、受渡用把持部58cによりでんせん12の端部が把持される。
この後、旋回駆動部58aの駆動によって旋回アーム部58bを第1姿勢から第2姿勢に回転させると、受渡用把持部58cが、下流側にある他方側の電線把持部54に対向する位置に移動し、電線12の端部が当該他方側の電線把持部54により把持可能な位置に配設される。なお、旋回アーム部58bの旋回中、電線引出切断機構部24は、電線12を引出自在な状態、または、その旋回による電線の引出速度及び引出量に合わせて電線12を送出す状態となる。この後、他方側の電線把持部54が電線12の端部を把持して、受渡用把持部58cが電線12の端部の把持を解除される。また、電線引出切断機構部24において所定長の電線12が送りされた後、電線12が切断される。すると、所定長の電線12の両端部が当該一対の電線把持部54により把持される。この状態では、所定長の電線12の中間部は、電線引出切断機構部24の反対側にU字状に垂下がっている。所定長の電線12は、両端部が一対の電線把持部54により把持されてその中間部がU字状に垂下がった状態で搬送される。
図4は第2電線搬送機構部60を示す概略平面図であり、図5は第2電線搬送機構部60を示す概略正面図である。第2電線搬送機構部60は、電線12の両端部を、第1排出位置P5から第2排出位置P6に向けて搬送すると共に、その搬送途中で電線12の両端部の間隔を広げるように構成されている。
より具体的には、第2電線搬送機構部60は、搬送用水平駆動機構部62と、昇降駆動機構部64と、幅広駆動機構部66と、一対の搬送把持部68a、68bとを備えている。
搬送用水平駆動機構部62は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、水平駆動本体部62aと水平可動部62bとを含む。前記水平駆動本体部62aは、第1排出位置P5と第2排出位置P6とを結ぶラインに沿って配設されている。ここでは、水平駆動本体部62aは、第1排出位置P5と第2排出位置P6とを結ぶラインの上方位置に、図示省略の装置フレーム等によって支持されている。水平駆動本体部62aは、水平可動部62bの下側位置で、水平可動部62bを第1排出位置P5と第2排出位置P6との間で往復駆動可能に支持している。
また、水平可動部62bに昇降駆動機構部64が支持されている。昇降駆動機構部64は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、昇降駆動本体部64aと昇降可動部64bとを含んでいる。昇降駆動本体部64aは、水平可動部62bに対して本装置の正面側の位置に取付固定されている。この昇降駆動本体部64aは、その正面側位置で、昇降可動部64bを昇降駆動可能に支持する。この昇降駆動本体部64aの駆動によって、搬送把持部68a、68bによる電線12の端部の受取り及び受渡の際に相手側に近づくように、搬送把持部68a、68bが昇降移動される。
昇降可動部64bは、ここでは、平板状に形成されており、その正面の一側部よりの位置に一方の搬送把持部68aが取付けられている。この搬送把持部68aは、昇降可動部64bに対しては一定位置に取付固定されている。
また、昇降可動部64bの正面の他側部よりの位置に幅広駆動機構部66が設けられている。幅広駆動機構部66は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、幅広駆動本体部66aと、幅広可動部66bとを含む。幅広駆動本体部66aは、幅広可動部66bを、上記一方の搬送把持部68aに対して遠近移動させる方向(水平方向)に駆動可能に支持している。この幅広可動部66bに、他方の搬送把持部68bが取付けられている。そして、幅広駆動本体部66aの駆動によって、両搬送把持部68a、68bの間隔が電線把持部54の間隔と同程度になるまで、上記他方の搬送把持部68bを一方の搬送把持部68aに近づけた状態(受取状態)と、両搬送把持部68a、68bの間隔が電線把持部54の間隔よりも広くなるまで広げるまで、上記他方の搬送把持部68bを一方の搬送把持部68aから遠ざけた状態(受渡状態)との間で、他方側の電線把持部54を往復駆動できる。
搬送把持部68a、68bは、ソレノイドを利用した電磁チャック又はエアシリンダを利用したチャック等によって構成されており、一対の把持爪68pが開閉駆動されることで、電線12の端部を把持及び把持解除可能に構成されている。一対の把持爪68pは、下向き姿勢で配設されており、搬送把持部68a、68bは、電線把持部54によって把持された電線12の端部を、当該電線把持部54に対して電線12の端部の長手方向にずれた位置で、上方から把持できるようになっている。また、搬送把持部68a、68bは、把持した電線12の端部を、電線集合部70に対して電線12の端部の長手方向にずれた位置で、上方から当該電線集合部70に受渡す。
図6は一対の電線集合部70を示す概略正面図であり、図7は一対の電線集合部70及び電線押込部80を示す概略正面図である。
一対の電線集合部70は、上記第2排出位置P6に間隔をあけて設けられている。一対の電線集合部70の間隔は、上記受渡状態における一対の搬送把持部68a、68bの間隔と同じである。
電線集合部70は、複数の電線12の端部を束ねた状態で保持可能に構成されている。ここでは、電線集合部70は、一対の保持片71と、当該一対の保持片71を開閉駆動させる開閉駆動部72とを備える。開閉駆動部72は、ソレノイドを利用した電磁チャック又はエアシリンダを利用したチャック等によって構成されており、上記一対の保持片71を開閉駆動させる。一対の保持片71が閉じられた状態で、一対の保持片71の内側縁部のうち先端部71aは互いの対向方向に向けて突出しており、両先端部71a間には、単一の電線12の端部を挿通可能な程度の隙間が設けられている。また、一対の保持片71が閉じられた状態で、一対の保持片71の内側縁部のうち上記先端部71aよりも基端側の部分71bは、互いの対向方向とは反対側に凹んでおり、当該部分71b間に、複数の電線12の端部を配設可能な隙間が設けられている。また、一対の保持片71間の基端部には、電線12の端部を受止める弾性受片71uが設けられている。そして、複数の電線12の端部が上記先端部71a間の隙間を通って、一対の保持片71の前記部分71b間の隙間に配設されることで、前記一対の保持片71の前記部分71b間の隙間に、複数の電線12の端部が束ねた状態で保持される。
なお、ここでは、一対の電線集合部70は、昇降支持部74によって昇降可能に支持されている。より具体的には、昇降支持部74は、昇降駆動部75と、中間支持フレーム76とを備える。昇降駆動部75は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されており、昇降駆動本体部75aと、昇降駆動本体部75aに対して進退可能なロッド部75bとを含む。昇降駆動本体部75aは、第2排出位置P6の下方の装置フレーム等によって立設状態で支持されており、この昇降駆動本体部75aからロッド部75bが進退駆動可能とされている。中間支持フレーム76は、長尺部材、ここでは、水平方向に長い板状部材に形成されている。この中間支持フレーム76の長手方向中間部に上記ロッド部75bの端部が連結されている。この中間支持フレーム76の両端部に、一対の電線集合部70が上向き姿勢で取付固定されている。そして、昇降駆動部75の駆動によって、一対の電線集合部70が一括して昇降駆動されるようになっている。
なお、一対の電線集合部70が上昇した状態で、一対の保持片71よりも下方部分は、カバー78によって覆われていることが好ましい。電線12と上記昇降支持部74等との干渉を抑制するためである。
電線押込部80は、上記搬送把持部68a、68bによって搬送された電線12の端部を、上記一対の電線集合部70内に押込み可能に構成されている。
すなわち、搬送把持部68a、68bによって搬送された電線12の端部は、一対の電線集合部70上に配設され、当該上方位置で搬送把持部68a、68bによる電線12の端部の把持が解除される。本電線押込部80は、電線集合部70上に載置された電線12の端部を、一対の電線集合部70の先端部71a間の隙間を通って一対の保持片71の前記部分71b間の隙間に押込む。
より具体的には、電線押込部80は、昇降駆動部82と、中間支持フレーム84と、押込接触部86とを備える。昇降駆動部82は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されており、昇降駆動本体部82aと、昇降駆動本体部82aに対して進退可能なロッド部82bとを含む。昇降駆動本体部82aは、第2排出位置P6の上方の装置フレーム等によって垂下状態で支持されており、この昇降駆動本体部82aからロッド部82bが進退駆動可能とされている。中間支持フレーム84は、長尺部材、ここでは、水平方向に長い棒状部材に形成されている。この中間支持フレーム84の長手方向中間部に上記ロッド部82bの端部が連結されている。この中間支持フレーム84の両端部に、一対の押込接触部86が下向き姿勢で支持されている。
押込接触部86は、一対の押込片86aと、押込棒86bとを備えている。一対の押込片86aは、一対の保持片71を、電線12の端部の長手方向において挟込み可能な間隔をあけて垂下状に支持されている。また、押込棒86bは、一対の保持片71の前記先端部71a間に挿入可能な棒状部材であり、一対の押込片86a間に垂下状に支持されている。そして、上記昇降駆動部82の駆動によって、一対の押込接触部86を、一対の電線集合部70にそれぞれ押込むように下降させると、押込棒86bが一対の保持片71の前記先端部71a間に挿入されると共に、当該隙間に対して電線12の端部の長手方向に沿って両側で、一対の保持片71が下降する。これにより、電線集合部70上に載置された電線12の端部が、押込棒86b及び一対の押込片86aによって押され、一対の保持片71の前記先端部71a間を通って前記部分71b間の隙間に押込まれる。
第3電線搬送機構部90は、上記第2排出位置P6に排出されて束ねられた電線12の端部を、電線取出位置P7に向けて搬送可能に構成されている。
図8は第3電線搬送機構部90を示す概略平面図であり、図9は第3電線搬送機構部90を示す概略正面図である。第3電線搬送機構部90は、第2排出位置P6において、複数の電線12の端部が一対の電線集合部70によって束ねた状態で保持されると、これらを束ねた状態のまま電線取出位置P7に向けて搬送するように構成されている。
より具体的には、第3電線搬送機構部90は、取出搬送用水平駆動機構部92と、昇降駆動機構部94と、一対の取出用保持部96とを備える。
取出搬送用水平駆動機構部92は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、水平駆動本体部92aと水平可動部92bとを含む。前記水平駆動本体部92aは、第2排出位置P6と電線取出位置P7とを結ぶラインに沿って配設されている。ここでは、水平駆動本体部92aは、第2排出位置P6と電線取出位置P7とを結ぶラインの下方位置であって上記電線集合部70の後方側に、図示省略の装置フレーム等によって支持されている。水平駆動本体部92aは、水平可動部92bの下側位置で、水平可動部92bを第2排出位置P6と電線取出位置P7との間で往復駆動可能に支持している。
また、水平可動部92bに昇降駆動機構部94が支持されている。昇降駆動機構部94は、エアシリンダ、油圧シリンダ或はリニアモータ等のリニアアクチュエータにより構成されるものであり、昇降駆動本体部94aと昇降可動部94bとを含んでいる。昇降駆動本体部94aは、水平可動部92bに対して本装置の正面側の位置に取付固定されている。この昇降駆動本体部94aは、その正面側位置で、昇降可動部94bを昇降駆動可能に支持する。
昇降可動部94bは、ここでは、水平方向に長い部材に形成されており、その両端部に一対の取出用保持部96が取付けられている。
また、取出用保持部96は、ソレノイドを利用した電磁チャック又はエアシリンダを利用したチャック等によって構成されており、一対の保持爪97が開閉駆動されることで、束ねられた電線12の端部を保持及び保持解除可能に構成されている。ここでは、一対の保持爪97のうち互いに対向する内側縁部が、外向きに円弧状に凹む形状に形成されている。そして、一対の保持爪97を閉じると、間に円状の隙間が形成され、当該円状の隙間内に束ねられた電線12の端部が保持される。また、一対の保持爪97を開けると、それらの先端部間に、束ねられた電線12の端部が通過可能な隙間が形成される。この取出用保持部96は、上向き姿勢で配設されており、次の動作によって、電線集合部70によって保持された、束ねられた電線12の端部を受取る。すなわち、一対の保持爪97を開いた状態で、昇降駆動機構部94の駆動によって、取出用保持部96を電線集合部70と同じ高さ位置まで上昇させる。なお、ここでは、取出用保持部96は、電線集合部70の背面側で昇降される。すると、一対の保持爪97の間に、電線集合部70によって保持された、束ねられた電線12の端部が配設される。この状態で、一対の保持爪97を閉じると、それらの間に束ねられた電線12が保持される。そして、電線集合部70の一対の保持片71が開いた後、昇降支持部74の駆動によって電線集合部70が下降する。これにより、束ねられた電線12の端部が、電線集合部70から取出用保持部96に受渡される。
上記の後、取出搬送用水平駆動機構部92の駆動によって、一対の取出用保持部96が電線取出位置P7に移動する。この状態で、作業者が束ねられた電線12の端部を掴んだ状態で、作業者が図示省略の取出しスイッチを押すと、一対の取出用保持部96のそれぞれの一対の保持爪97が開かれると共に、昇降駆動機構部94の駆動によって、一対の取出用保持部が下降する。これにより、一対の取出用保持部96による、電線12の端部の保持が解除され、作業者は、複数の電線12の端部を束ねた状態をまま取出すことができる。
なお、第3電線搬送機構部90は必須ではなく、省略されてもよい。この場合、第2排出位置P6を電線取出位置とすればよい。
本電線処理装置20の動作制御を行う制御ユニット100は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、予め格納されたソフトウェアプログラム及び所定の設定値に従って電線処理装置20の動作制御を行う。制御ユニット100は、電線搬送機構部50による電線の搬送動作制御として、第2電線搬送機構部60が、電線12の両端部の幅を広げつつ、当該電線12の両端部のそれぞれを一対の電線集合部70に保持させるように受渡す第1受渡動作と、電線12の一方側の端部を、一対の電線集合部70の一方に保持させるように受渡す第2受渡動作とを実行可能なように制御を行う。なお、第2電線搬送機構部60が第1受渡動作を行うか第2受渡動作を行うかについては、作業者による直接的な事前設定によって設定されてもよい。または、加工対象となる電線長を、予め設定された閾値と比較し、当該電線長が前記閾値よりも大きい場合に第1受渡動作を行い、電線長が前記閾値よりも小さい場合に第2受渡動作を行うようにしてもよい。後者の場合、電線長が前記閾値と同じである場合には、いずれの動作を行ってもよい。上記第1電線搬送機構部52における各電線把持部54のピッチが80mmで、第2電線搬送機構部60で電線12の両端部の幅を広げた後のピッチが180mmである場合には、第1受渡動作と第2受渡動作との境界は450mmにするとよい。なお、制御ユニット100が行う処理の一部或は全部の機能が、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
電線搬送機構部50による全体的な搬送動作について説明する。
まず、第1受渡動作について説明する。
まず、図10に示すように、第1電線搬送機構部52の複数の電線把持部54のうちの一対の電線把持部54が、端部加工処理が施された電線12の両端部を把持して第1排出位置P5に移動させる。すると、第2電線搬送機構部60の一対の搬送把持部68a、68bが、一対の電線把持部54から電線12の両端部を受取って把持する。
次に、図11に示すように、搬送用水平駆動機構部62の駆動によって、一対の搬送把持部68a、68bが第1排出位置P5から第2排出位置P6に向けて移動する。この移動中に、幅広駆動機構部66の駆動によって、一対の搬送把持部68a、68bの間隔が広げられる。
図12に示すように、間隔が広げられた一対の搬送把持部68a、68bが第2排出位置P6に達すると、電線12の両端部の幅が広げられた状態のままで、電線12の両端部が一対の搬送把持部68a、68bから一対の電線集合部70に受渡される。なお、この状態では、第3電線搬送機構部90の一対の取出用保持部96は、一対の搬送把持部68a、68bと干渉しないように、下降している。
上記第2電線搬送機構部60による動作が繰返されることで、複数の電線12の両端部が一対の電線集合部70に受渡される。これにより、一対の電線集合部70により、複数の電線12の端部が束ねた状態で保持される。
図13に示すように、予め設定された本数の電線12の両端部が一対の電線集合部70に保持されると、昇降駆動機構部94の駆動によって一対の取出用保持部96が上昇移動して、一対の電線集合部70で保持された複数の電線12の両端部を受取る。この後、昇降駆動部82の駆動によって一対の電線集合部70が下降する。
この後、図14に示すように、取出搬送用水平駆動機構部92の駆動によって、一対の取出用保持部96が第2排出位置P6から電線取出位置P7に向けて移動する。そして、作業者による図示省略のフットスイッチ等に対する操作に応じて、一対の保持爪97を開くことによって、作業者は、複数の電線12を束ねた状態で取出すことができる。
第2受渡動作について、第1受渡動作との差異を中心に説明する。
この場合、図15に示すように、第2電線搬送機構部60の一対の搬送把持部68a、68bが、一対の電線把持部54から電線12の両端部を受取って把持する。
次に、図16に示すように、搬送用水平駆動機構部62の駆動によって、一対の搬送把持部68a、68bが第1排出位置P5から第2排出位置P6に向けて移動する。但し、上記第1受渡動作とは異なり、電線12の両端部のうち一対の電線集合部70に近い側の端部(つまり、図16では左側にある搬送把持部68b)を、一対の電線集合部70のうち第2電線搬送機構部60に近い側(図16では右側)のものに対向させる位置に移動させる。そして、電線12の前記一端部を、搬送把持部68bから一方の電線集合部70に受渡す。電線12の他方の端部については、搬送把持部68aによる把持を解除する。すると、電線12の一端部が一方の電線集合部70によって把持され、電線12の他端部については比較的短い電線12が直線状に復帰しようとする力によって電線12の他端部から垂下がった状態となる。
この後、上記第1受渡動作と同様に、複数の電線12の一端部が束ねられ、第2排出位置P6から電線取出位置P7に向けて搬送され、上記と同様にして取出される。
以上のように構成された電線処理装置20によると、電線12の両端部の搬送途中で、電線12の両端部の間隔が広げられるため、電線12の捩れが解消され易い。電線12の捩れが解消されると、電線12の中間部8の字状に捩れてしまうといった事態を抑制でき、電線12の絡み等が抑制され、その後のワイヤーハーネスの製造作業等を円滑に行える。
また、電線12の両端部の間隔が広げられる前の状態、即ち、端部加工ユニット30、32、34による加工のための搬送構成である第1電線搬送機構部52では、電線12の両端部を狭い間隔で保ったまま搬送できる。このため、第1電線搬送機構部52及び端部加工箇所では、電線12を省スペースで搬送でき、本電線処理装置20の省スペース化を図ることができる。特に、電線12の端部加工後に電線12の両端部の幅を広げているため、電線処理装置20のうち端部加工に係る部分で有効に省スペース化を図ることができる。
また、電線12の両端部を循環搬送する第1電線搬送機構部52ではなく、繰返し動作によって電線12の両端部を受渡す第2電線搬送機構部60に、電線の両端部を広げるための幅広駆動機構部66等を組込んでいるため、電線の両端部を広げるための構成数を少なくでき、電線処理装置20の構成の簡易化が可能となる。
また、複数の電線12の端部を、一対の電線集合部70において複数束ねた状態で保持できるため、その後の取出作業をまとめて行える。また、複数の電線12の端部が束ねられる前に電線12の両端部の間隔が広げられるため、電線12の両端部の間隔を広げる際に電線12の捩れが解消されやすい。
また、第2電線搬送機構部60は、電線12の長さが短く、電線12の両端部の幅を広げることが難しいとき等には、上記第2受渡動作を行うため、同じ電線処理装置20によって、短い電線12等に対する端部加工も加工となる。
特に、第2受渡動作では、電線12の両端部のうち前記一対の電線集合部70に近い側の端部を、一対の電線集合部70のうち第2電線搬送機構部60に近い側の物に受渡すため、電線12の両端部のうち受渡対象とならない端部が、他と干渉し難く、円滑な受渡動作を行える。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。