JP4985413B2 - プロジェクタ - Google Patents
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Description
この問題を解決するため、所定のスペクトル成分を除去するキャップ形状の光学フィルタを、投写レンズ先端に被せる構成が知られている。ここで、光学フィルタは、基板と、この基板の光束入射面に積層された屈折率の異なる膜(ダイクロイック膜)とを有する反射型光学フィルタである。この構成によれば、投写レンズから射出された光学像を簡単かつ確実に光学フィルタを通過させることができ、コントラストの低下を防止できる。
本発明の目的は、投写画像のコントラストの低下を防止できるとともに、色むらを低減できるプロジェクタを提供することにある。
ここで、光源装置としては、例えば、超高圧水銀ランプ等の高圧放電ランプを採用できる。超高圧水銀ランプでは、一般的に、緑色光の強度(緑色光の波長域の光量)が最も高い。また、緑色光の強度(緑色光の波長域の光量)と青色光の強度(青色光の波長域の光量)とが高く、赤色光の強度(赤色光の波長域の光量)が低い傾向がある。通常、赤色光の強度は、緑色光の強度に対して約70%程度であり、青色光の強度は、緑色光の強度に対して90%程度である。
また、光学フィルタとしては、例えば、青板ガラスまたは白板ガラス等からなる基板と、この基板の表面に屈折率の異なる薄膜が交互に積層されたダイクロイック膜とを有するものを採用できる。
しかも、この光学フィルタを光束の拡がりが光路中心から20度以内に収まる位置に配置したので、投写画像の色むらを低減できる。
ここで、移動機構としては、照明光軸に対して略垂直に、もしくは照明光軸に対して垂直以外の角度で交わるように配置された光学フィルタを、その面内方向にスライド移動させる構成や、光学フィルタの姿勢(向き)を変えながらスライド移動させる構成や、光学フィルタを回転軸を中心に回転させて移動させる構成や、光学フィルタを2つに分割して、観音開き状に開閉する構成が考えられる。
特に、前記移動機構は、前記光学フィルタの前記第1、第2の辺とは異なる辺の、前記第1の辺の近傍を支持する第1の軸と、前記光学フィルタの前記第1、第2の辺とは異なる辺の、前記第1の軸よりも前記第2の辺側の位置を支持する第2の軸と、前記第1の軸を、前記照明光軸とほぼ平行な方向に沿って移動可能なように案内する第1の案内溝と、前記第2の軸を、前記照明光軸と非平行な方向に沿って移動可能なように案内する第2の案内溝と、を備えることが好ましい。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
(1.プロジェクタの主な構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタ1を上方から見た斜視図である。図2は、プロジェクタ1を下方から見た斜視図である。
同様に、ロアーケース22も、図1,2に示すように、プロジェクタ1の下面、側面、前面、および背面をそれぞれ構成する下面部22A、側面部22B、前面部22C、および背面部22Dを含んで構成される。
したがって、図1,2に示すように、直方体状の外装ケース2において、アッパーケース21およびロアーケース22の側面部21B,22B同士が連続的に接続されて直方体の側面部分210が構成され、同様に、前面部21C,22C同士の接続で前面部分220が、背面部21D,22D同士の接続で背面部分230が、上面部21Aにより上面部分240が、下面部22Aにより下面部分250がそれぞれ構成される。
前方から見て右側の側面部分210には、2つの側面部21B,22Bに跨る開口211が形成されている。ここで、外装ケース2内には、後述するメイン基板51と、インターフェース基板52とが設けられており、この開口211に取り付けられるインターフェースパネル53を介して、メイン基板51に実装された接続部51Bと、インターフェース基板52に実装された接続部52Aとが外部に露出している。これらの接続部51B,52Aにおいて、プロジェクタ1には外部の電子機器等が接続される。
図2に示すように、背面部分230において、背面から見た右側には矩形状の開口231が形成され、この開口231からインレットコネクタ24が露出するようになっている。
また、下面部分250において、下方から見て左側で背面側の隅部には、一段内側に凹んだ矩形面252が形成されている。この矩形面252には、外部から冷却空気を吸入するための吸気口252Aが形成されている。矩形面252には、この矩形面252を覆う吸気口カバー26が着脱自在に設けられている。吸気口カバー26には、吸気口252Aに対応する開口26Aが形成されている。開口26Aには、図示しないエア光学フィルタが設けられており、内部への塵埃の侵入が防止されている。
2つの前脚2Fは、それぞれ上下方向に進退可能に構成されており、プロジェクタ1の前後方向および左右方向の傾き(姿勢)を調整して、投写画像の位置調整ができるようになっている。
外装ケース2には、図3,4に示すように、背面部分に沿って配置され、左右方向に延びる電源ユニット3と、この電源ユニット3の前側に配置された平面視略L字状で光学ユニット4と、これらのユニット3,4の上方および右側に配置される制御基板5とを備える。これらの各装置3〜5によりプロジェクタ1の本体が構成されている。
電源31は、前記インレットコネクタに接続された図示しない電源ケーブルを通して外部から供給された電力を、前記ランプ駆動回路や制御基板5等に供給するものである。
前記ランプ駆動回路は、光学ユニット4を構成する図3,4では図示しない光源ランプに、電源31から供給された電力を供給するものであり、前記光源ランプと電気的に接続されている。このようなランプ駆動回路は、例えば、基板に配線することにより構成できる。
また、電源31および前記ランプ駆動回路は、左右側が開口されたアルミニウム等の金属製のシールド部材31Aによって周囲を覆われている。
この制御基板5では、接続部51B,52Aを介して入力された画像情報に応じて、メイン基板51のCPU等が、後述する光学装置を構成する液晶パネルの制御を行う。メイン基板51は、金属製のシールド部材51Aによって周囲を覆われている。
ここで、図5は、光学ユニット4を模式的に示す図である。
光学ユニット4は、図5に示すように、光源装置411を構成する光源ランプ416から射出された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成し、この光学像を拡大して投写するユニットであり、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、変調・合成光学系44と、投写光学系としての投写レンズ46と、光学系41〜44を構成する光学部品を収納する光学部品用筐体としての合成樹脂製のライトガイド47(図4参照)とを備える。投写レンズ46は、ライトガイド47の面に固定されている。なお、変調・合成光学系44と投写レンズ46は、画像を形成する要となる部分であるため、これらをライトガイド47ではなく、ライトガイド47とは別に設けた構造体に固定する場合もある。
色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束のうち、緑色光成分と青色光成分とは透過し、赤色光成分を反射することにより、赤色光を分離する。ダイクロイックミラー421によって反射された赤色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ418を通って、赤色用の液晶パネル441Rに到達する。このフィールドレンズ418は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441R,441Gの光入射側に設けられたフィールドレンズ418も同様である。
これらの入射側偏光板442および射出側偏光板443は、互いの偏光軸の方向が直交するように設定されている。
クロスダイクロイックプリズム444には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
クロスダイクロイックプリズム444の光束射出側端面から射出された合成光は、投写レンズ46に飲み込まれ、この投写レンズ46からスクリーン600に向かって拡大投写される。
図6の実線は、光源ランプ416のスペクトル特性を示す図である。
光源ランプ416において、波長440nm近傍(420nm〜460nm)に青色光を示すスペクトルのピークが現れ、波長550nm近傍(500nm〜570nm)に緑色光を示すスペクトルのピークが現れ、赤色光は、600nm〜680nmに、青色光や緑色光のようなピークがない。また、図6には、各色光の波長域BB,BG,BRの例を示している。青色光の波長域BBを430〜500nm付近、緑色光の波長域BGを500〜580nm付近、赤色光の波長域BRを590〜700nm付近としている。このとき、赤色光の強度(赤色光の波長域BRの光量)は、緑色光の強度(緑色光の波長域BGの光量)に対して約60%程度である。青色光の強度(青色光の波長域BBの光量)は、緑色光の強度(緑色光の波長域BGの光量)に対して約90%程度である。
図6の点線は、光学フィルタ500に光が0度で入射、つまり、光学フィルタ500の法線方向に光が入射した場合の、光学フィルタ500の選択特性を示したものである。光学フィルタ500は、図6の点線に示すように、入射光束の所定のスペクトル、つまり緑色光の波長帯BGおよび青色光の波長帯BBの光のうち所定割合を反射し、残りをそのまま透過する。赤色光の波長帯BRの光はすべて反射する。この光学フィルタ500は、その構成についての図示を省略するが、青板ガラスまたは白板ガラス等からなるガラス基板と、このガラス基板の表面に屈折率の異なる2種類の薄膜が交互に積層されたダイクロイック膜とを含んで構成される。なお、光学フィルタ500の基板はガラスである必要は無く、プラスティックなど他の材料であっても良い。また、ダイクロイック膜を構成する薄膜の種類は、2種類以上であっても良い。
本実施形態では、このように、所定のスペクトル成分を反射する光学フィルタ500を設けている。そして、光学フィルタ500によって、光源ランプから射出される3つの色光の成分のうち、強度が比較的高い色光の成分の一部を除去するようにしている。よって、投写画像のコントラストの低下を防止できる。
光学フィルタ500は、照明光軸Lに対して略垂直になるように照明光軸L上に配置されている。この状態から、移動機構510は、図5中矢印Aで示すように、照明光軸Lによって形成される面(図5の構成では紙面に相当)と直交する光学フィルタ500の2辺のうち、光学フィルタ500よりも光路下流側の光学部品422に近く、かつ、光学フィルタ500よりも光路上流側の光学部品421に遠い側の辺502を光路上流側へ移動させ、反対側の辺504が光路下流側に位置するようにして、光学フィルタ500を光路外にスライド移動させる。一方、移動機構510は、照明光軸Lによって形成される面(図5の構成では紙面に相当)と直交する光学フィルタ500の2辺のうち、光学フィルタ500よりも光路下流側の光学部品422に近く、かつ、光学フィルタ500よりも光路上流側の光学部品421に遠い側の辺502の近傍を軸として、反対側の辺504を図5中矢印Bで示すように、回転させるような機構であっても良い。
本発明の第2実施形態に係るプロジェクタは、前記第1実施形態に係るプロジェクタ1とは、光学フィルタ500Aの配置と選択特性のみが相違し、その他の構成については、第1実施形態と略同一である。このため、第1実施形態と同一または相当構成品については同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
本発明の第3実施形態に係るプロジェクタは、前記第1実施形態に係るプロジェクタ1とは、光学フィルタ500Bおよび移動機構510Bの配置、選択特性、および構成のみが相違し、その他の構成については、第1実施形態と略同一である。このため、第1実施形態と同一または相当構成品については同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
本発明の第4実施形態に係るプロジェクタは、前記第1実施形態に係るプロジェクタ1とは、光学フィルタ500Cおよび移動機構510Cの配置、選択特性、および構成のみが相違し、その他の構成については、第1実施形態と略同一である。このため、第1実施形態と同一または相当構成品については同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
本発明の第5実施形態は、前記第1実施形態で述べた光学フィルタの回動軌跡のうち、図5に矢印Aで示した回動軌跡を具体化する移動機構を開示するものである。従って、プロジェクタの光学系における移動機構510Dの位置および、その他の構成については、第1実施形態と略同一である。このため、以下の説明では、第1実施形態と同一または相当構成品については同じ符号を付し、説明を省略または簡略する。
この駆動モータ512の回転を開始させるタイミングとしては、たとえば、光学フィルタ500の位置を切り替えるスイッチの操作や、投写画像の画質モード選択信号など、プロジェクタの所定の操作信号を受けた時が考える。
図示を略したが、駆動モータ512の電源回路においては、回動端検出部516または517の検知部分に回動部511が接すると、電流が切断されて、モータ512が停止する回路構成となっている。
この場合、後述するが本移動機構510Dをライトガイド47に組み込んだ際に、光学フィルタ500は、光源装置の光束が通過する位置から光束が通過しない位置までの移動において、ライトガイド47内の各構成要素と干渉することなく、かつ、ライトガイド47から光学フィルタ500が突出しないよう移動可能に設計されている。
この状態から、光学フィルタ500を光束が通過しない状態の位置まで光学フィルタ500を移動させる場合、まず、光学フィルタ500の位置を切り替えるスイッチの操作や、投写画像の画質モード選択信号など、プロジェクタの所定の操作信号を受けて、図示しない制御回路によってモータ512に通電が行われ、駆動モータ512の回転が開始する。これによって、光学フィルタ500は、回動部511の回動運動に従って、光路外部に移動していく。
ライトガイド47内で光学フィルタ500が回動することで、光束の光路内外に移動する移動機構510Dを設けたことにより、光学フィルタ500がライトガイド47から突出しないため、ライトガイド47の小型化が可能となり、また、ライトガイド47からの光漏れ等を考慮する必要もない。
移動機構510Dのベース部515が金属板で構成されているために、放熱効果に優れることから、ライトガイド47内部の熱による変形等の影響を排除することが可能になる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記第1実施形態では、ダイクロイックミラー421によって赤色光が除かれた光(緑色光と青色光が混ざった光)の光路中に光学フィルタ500が配置されており、光学フィルタ500によって緑色光および青色光のスペクトルを補正するようにしていた。その代わりに、ダイクロイックミラー421で青色光を分離するようにして、青色光が除かれた光(赤色光と緑色光が混ざった光)の光路中に光学フィルタ500を配置することによって、赤色光および緑色光のスペクトルを補正するようにしてもよい。あるいは、ダイクロイックミラー421で緑色光を分離するようにして、緑色光が除かれた光(赤色光と青色光が混ざった光)の光路中に光学フィルタを配置することによって、赤色光および青色光のスペクトルを補正するようにしてもよい。
Claims (6)
- 光源装置と、前記光源装置から射出された光束を複数の色光に分離する色分離光学系と、前記色分離光学系によって分離された色光をそれぞれ画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記複数の光変調装置で変調された光学像を合成する色合成光学系と、前記色合成光学系によって合成された光学像を拡大投写する投写光学系と、を備えたプロジェクタであって、
前記色分離光学系は、前記光源装置から射出された光を、第1の色光、第2の色光及び第3の色光に分離し、
前記光源装置と前記色分離光学系との間に、前記第2の色光及び第3の色光の所定割合を反射する光学フィルタが配置されていることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記光源装置と前記色分離光学系との間には、前記光源装置から射出された光束を複数の部分光束に分割し、各部分光束を前記光変調装置の画像形成領域上で重畳させる均一照明光学系が設けられ、
前記光学フィルタは、前記均一照明光学系に配置されることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1〜2のいずれか一項に記載のプロジェクタにおいて、
前記光学フィルタは、照明光軸に対して略垂直に配置されることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロジェクタにおいて、
前記光学フィルタは、照明光軸に対して垂直以外の角度で交わるように配置されることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロジェクタにおいて、
前記光束の光路上に配置される複数の光学部品を収納する光学部品用筐体を備え、
前記光学部品用筐体には、前記光学フィルタを前記光路内外に移動させる移動機構が設けられていることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項5に記載のプロジェクタにおいて、
前記移動機構は、前記光学フィルタをその面内方向にスライド移動させることを特徴とするプロジェクタ。
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