JP3772848B2 - プロジェクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来から、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、拡大投写するプロジェクタがプレゼンテーションやホームシアターの分野で利用されている。
このようなプロジェクタには、画質向上を目的として光源から射出された光束を複数の色光に分離し、各色光毎に変調を行う多板式のプロジェクタが知られている。
【0003】
例えば、三板式のプロジェクタは、光源を含む照明光学系、ダイクロイックミラーを含む色分離光学系、複数の光変調装置、プリズム等の色合成光学系、及び投写光学系を備えている。
【0004】
照明光学系は光源、インテグレータレンズ等の光束分割光学素子、及び集光素子を備え、光源から射出された光束を光束分割光学素子で複数の部分光束に分割し、集光素子により各部分光束を光変調装置の画像形成領域に重畳させる。
色分離光学系は、青色光、緑色光を透過し、赤色光を反射するダイクロイックミラー、青色光を透過し、緑色光を反射するダイクロイックミラーを備え、照明光学系から射出された光束を赤色光、緑色光、青色光に分離する。
光変調装置は、液晶等の光変調素子を有し、画像情報に基づいて、入射する色光について画像情報に応じた光変調を行い、光学像を形成する。
【0005】
色合成光学系は、各色光に応じた光変調装置が対向配置される光束入射端面と、合成後の光束を射出する光束射出端面とを備え、各光束装置で形成された各色光毎の光学像を合成し、カラー画像を形成する。
投写光学系は、色合成光学系から射出された光束を拡大投写してスクリーン上に大画面の投写画像を形成する。
【0006】
このようなプロジェクタは、たとえば机や台の上に載置して使用する場合に、観察しやすいように、投写領域を投写光学系の光軸よりもやや上方にずらしたいわゆるあおり投写を行うように構成されている。
このあおり投写は、図8に示すように、投写光学系46の光軸Aに対して投写領域500の中心軸DをY(+)方向(あおり方向)にずらすために、投写光学系46の光軸Aを光変調装置441の画像形成領域の中心軸Cに対してY(+)方向(あおり方向)にずらすことにより実現できる。
そして、従来は、光変調装置441の画像形成領域の中心軸Cと、色合成光学系544の光束入射端面の中心軸Bとを一致させた構成が採用され、色合成光学系544の高さ方向の寸法は、光変調装置441から射出される変調光束の高さ方向の広がりに合わせて設定されていた(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−64787号公報(図6)
【0008】
【特許文献2】
特開平5−5963号公報(図6(b))
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示すように、このような従来の構成では、あおり投写を行う投写光学系46の光軸Aが色合成光学系544の光束射出端面の中心軸BからY(+)方向にずれた位置にあるため、色合成光学系544のY(−)方向の端部分では、投写光学系46に取り込むことはできない光束が光束射出端面から出射していた。
このように色合成光学系544は、投写光学系46に取り込まれない光束も光束射出端面から出射させるような高さ寸法となっているため、材料コストが高騰してしまうという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、色合成光学系の材料コストの低減を図ることができる光学装置を有するプロジェクタを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のプロジェクタは、複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記各光変調装置が対向配置される複数の光束入射端面を有し前記各光変調装置で変調された色光を合成して射出する色合成光学系と、前記色合成光学系で形成された光学像を拡大投写する投写光学系とを備えたプロジェクタであって、前記投写光学系の光軸は、前記光変調装置へ入射する光束の中心軸に対してほぼ平行にずれた位置に配置されており、前記色合成光学系の光束入射端面の中心軸は、前記投写光学系の光軸と前記光変調装置へ入射する光束の中心軸との間になるように、前記光変調装置へ入射する光束の中心軸に対してほぼ平行にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、色合成光学系の光束入射端面の中心軸を、投写光学系の光軸と光変調装置の画像形成領域の中心軸との間になるように、光変調装置の画像形成領域の中心軸に対してずれた位置に配置することで、色合成光学系の光束出射端面の高さ寸法を、光学変調装置から射出された光束のうち投写光学系に取り込まれない光束が出射されないような高さ寸法とすることが可能となる。そのため、色合成光学系の光束出射端面の高さ寸法を最低限の高さ寸法とすることができ、色合成光学系の小型化を図ることができる。従って、色合成光学系の材料コストを低減できるので、材料コストのかからないかからないプロジェクタを提供することができる。
【0013】
さらに、前記光変調装置の画像形成領域の中心軸と、前記色合成光学系の光束入射端面の中心軸との距離は、前記投写光学系の周辺光量比に基づいて定められることが好ましく、光変調装置の画像形成領域の中心軸と、色合成光学系の光束入射端面の中心軸との距離をδ、前記投写光学系の周辺光量比をR、前記投写光学系の中心付近の開口数をNA、前記色合成光学系の屈折率をn、前記色合成光学系の入射光束中心軸に沿った長さ寸法をdp、前記光変調装置と前記色合成光学系との距離をdとした場合、前記距離は以下の式(1)で表される。
【0014】
【数2】
【0015】
この式は次のようにして求められる。
投写光学系の光軸が光変調装置の画像形成領域の中心軸からずれている方向をY(+)方向とすると、光変調装置のY(+)方向側から射出された光が投写光学系に入射される範囲の半径をP0、光変調装置のY(+)方向と反対側から射出された光が投写光学系に入射される範囲の半径をP1とすると、投写光学系の周辺光量比Rは次の式(2)で示される。
【0016】
【数3】
【0017】
投写光学系の中心付近の開口数をNAとすると以下の式(3)のようになる。
【0018】
【数4】
【0019】
また、光変調装置の画像形成領域の中心軸と、色合成光学系の光束入射端面の中心軸との距離δは式(4)のようになる。
【0020】
【数5】
【0021】
そして、式(2)及び式(3)を式(4)に代入することで式(1)が得られる。
このように、光変調装置の画像形成領域の中心軸と、色合成光学系の光束入射端面の中心軸との距離は、投写光学系の周辺光量比に基づいて決定され、幾何学的に示されるため、光変調装置の画像形成領域の中心軸と、色合成光学系の光束入射端面の中心軸とのずれ量を決定することが容易となる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔1.プロジェクタの主な構成〕
図1は、本発明に係るプロジェクタ1を上方前面側から見た斜視図である。図2は、プロジェクタ1を下方背面側から見た斜視図である。
図1または図2に示すように、プロジェクタ1は、射出成形によって成形された略直方体状の外装ケース2を備える。この外装ケース2は、プロジェクタ1の本体部分を収納する合成樹脂製の筐体であり、アッパーケース21と、ロアーケース22とを備え、これらのケース21,22は、互いに着脱自在に構成されている。
【0024】
アッパーケース21は、図1,2に示すように、プロジェクタ1の上面、側面、前面、および背面をそれぞれ構成する上面部21A、側面部21B、前面部21Cおよび背面部21Dを含んで構成される。
同様に、ロアーケース22も、図1,2に示すように、プロジェクタ1の下面、側面、前面、および背面をそれぞれ構成する下面部22A、側面部22B、前面部22C、および背面部22Dを含んで構成される。
【0025】
従って、図1,2に示すように、直方体状の外装ケース2において、アッパーケース21およびロアーケース22の側面部21B,22B同士が連続的に接続されて直方体の側面部分210が構成され、同様に、前面部21C,22C同士の接続で前面部分220が、背面部21D,22D同士の接続で背面部分230が、上面部21Aにより上面部分240が、下面部22Aにより下面部分250がそれぞれ構成される。
【0026】
図1に示すように、上面部分240において、その前方側には操作パネル23が設けられ、この操作パネル23の近傍には音声出力用のスピーカ孔240Aが形成されている。
【0027】
前方から見て右側の側面部分210には、2つの側面部21B,22Bを跨る開口211が形成されている。ここで、外装ケース2内には、後述するメイン基板51と、インターフェース基板52とが設けられており、この開口211に取り付けられるインターフェースパネル53を介して、メイン基板51に実装された接続部51Bと、インターフェース基板52に実装された接続部52Aとが外部に露出している。これらの接続部51B,52Aにおいて、プロジェクタ1には外部の電子機器等が接続される。
【0028】
前面部分220において、前方から見て右側で、前記操作パネル23の近傍には、2つの前面部21C,22Cを跨ぐ円形状の開口221が形成されている。この開口221に対応するように、外装ケース2内部には、投写光学系としての投写レンズ46が配置されている。この際、開口221から投写レンズ46の先端部分が外部に露出しており、この露出部分の一部であるレバー46Aを介して、投写レンズ46のフォーカス操作が手動で行えるようになっている。
【0029】
前面部分220において、前記開口221の反対側の位置には、排気口222が形成されている。この排気口222には、安全カバー222Aが形成されている。
【0030】
図2に示すように、背面部分230において、背面から見た右側には矩形状の開口231が形成され、この開口231からインレットコネクタ24が露出するようになっている。
【0031】
下面部分250において、下方から見て右端側の中央位置には矩形状の開口251が形成されている。開口251には、この開口251を覆うランプカバー25が着脱自在に設けられている。このランプカバー25を取り外すことにより、図示しない光源ランプの交換が容易に行えるようになっている。
【0032】
また、下面部分250において、下方から見て左側で背面側の隅部には、一段内側に凹んだ矩形面252が形成されている。この矩形面252には、外部から冷却空気を吸入するための吸気口252Aが形成されている。矩形面252には、この矩形面252を覆う吸気口カバー26が着脱自在に設けられている。吸気口カバー26には、吸気口252Aに対応する開口26Aが形成されている。開口26Aには、図示しないエアフィルタが設けられており、内部への塵埃の侵入が防止されている。
【0033】
さらに、下面部分250において、後方側の略中央位置にはプロジェクタ1の脚部を構成する後脚2Rが形成されている。また、下面部22Aにおける前方側の左右の隅部には、同じくプロジェクタ1の脚部を構成する前脚2Fがそれぞれ設けられている。つまり、プロジェクタ1は、後脚2Rおよび2つ前脚2Fにより3点で支持されている。
2つの前脚2Fは、それぞれ上下方向に進退可能に構成されており、プロジェクタ1の前後方向および左右方向の傾き(姿勢)を調整して、投写画像の位置調整ができるようになっている。
【0034】
また、図1,2に示すように、下面部分250と前面部分220とを跨るように、外装ケース2における前方側の略中央位置には、直方体状の凹部253が形成されている。この凹部253には、該凹部253の下側および前側を覆う前後方向にスライド自在なカバー部材27が設けられている。このカバー部材27により、凹部253には、プロジェクタ1の遠隔操作を行うための図示しないリモートコントローラ(リモコン)が収納される。
【0035】
ここで、図3,4は、プロジェクタ1の内部を示す斜視図である。具体的には、図3は、図1の状態からプロジェクタ1のアッパーケース21を外した図である。図4は、図3の状態から制御基板5を外した図である。
【0036】
外装ケース2には、図3,4に示すように、背面部分に沿って配置され、左右方向に延びる電源ユニット3と、この電源ユニット3の前側に配置された平面視略L字状で光学系としての光学ユニット4と、これらのユニット3,4の上方および右側に配置される制御部としての制御基板5とを備える。これらの各装置3〜5によりプロジェクタ1の本体が構成されている。
【0037】
電源ユニット3は、電源31と、この電源31の下方に配置された図示しないランプ駆動回路(バラスト)とを含んで構成される。
電源31は、前記インレットコネクタに接続された図示しない電源ケーブルを通して外部から供給された電力を、前記ランプ駆動回路や制御基板5等に供給するものである。
前記ランプ駆動回路は、光学ユニット4を構成する図3,4では図示しない光源ランプに、電源31から供給された電力を供給するものであり、前記光源ランプと電気的に接続されている。このようなランプ駆動回路は、例えば、基板に配線することにより構成できる。
【0038】
電源31および前記ランプ駆動回路は、略平行に上下に並んで配置されており、これらの占有空間は、プロジェクタ1の背面側で左右方向に延びている。
また、電源31および前記ランプ駆動回路は、左右側が開口されたアルミニウム等の金属製のシールド部材31Aによって周囲を覆われている。
シールド部材31Aは、冷却空気を誘導するダクトとしての機能に加えて、電源31や前記ランプ駆動回路で発生する電磁ノイズが、外部へ漏れないようにする機能も有している。
【0039】
制御基板5は、図3に示すように、ユニット3,4の上側を覆うように配置されCPUや接続部51B等を含むメイン基板51と、このメイン基板51の下側に配置され接続部52Aを含むインターフェース基板52とを備える。
この制御基板5では、接続部51B,52Aを介して入力された画像情報に応じて、メイン基板51のCPU等が、後述する光学装置を構成する液晶パネルの制御を行う。
メイン基板51は、金属製のシールド部材51Aによって周囲を覆われている。
【0040】
〔2.光学ユニットの詳細な構成〕
ここで、図5は、光学ユニット4を示す分解斜視図である。図6は、光学ユニット4を模式的に示す図である。
光学ユニット4は、図6に示すように、光源装置411を構成する光源ランプ416から射出された光束を光学的に処理して画像情報に対応した光学像を形成し、この光学像を拡大して投射するユニットであり、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光学装置44と、この光学装置44に予め取り付けられた投写レンズ46と、これらの光学部品41〜44,46を収納する合成樹脂製のライトガイド47(図5)とを備える。
【0041】
インテグレータ照明光学系41は、光学装置44を構成する3枚の液晶パネル441(赤、緑、青の色光毎にそれぞれ液晶パネル441R,441G,441Bとする)の画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系であり、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備える。
【0042】
光源装置411は、放射光源としての光源ランプ416と、リフレクタ417とを備え、光源ランプ416から射出された放射状の光線をリフレクタ417で反射して平行光線とし、この平行光線を外部へと射出する。光源ランプ416には、高圧水銀ランプを採用している。なお、高圧水銀ランプ以外に、メタルハライドランプやハロゲンランプ等も採用できる。また、リフレクタ417には、放物面鏡を採用している。なお、放物面鏡の代わりに、平行化凹レンズおよび楕円面鏡を組み合わせたものを採用してもよい。
【0043】
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源ランプ416から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。各小レンズの輪郭形状は、液晶パネル441の画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。たとえば、液晶パネル441の画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定する。
【0044】
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を液晶パネル441上に結像させる機能を有する。
【0045】
偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413と重畳レンズ415との間に配置される。このような偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413からの光を1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置44での光の利用効率が高められている。
【0046】
具体的に、偏光変換素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の液晶パネル441上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441を用いたプロジェクタ1では、1種類の偏光光しか利用できないため、他種類のランダムな偏光光を発する光源ランプ416からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子414を用いることにより、光源ランプ416から射出された光束を全て1種類の偏光光に変換し、光学装置44での光の利用効率を高めている。なお、このような偏光変換素子414は、たとえば特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0047】
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421、422によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を有している。
【0048】
リレー光学系43は、入射側レンズ431と、リレーレンズ433と、反射ミラー432、434とを備え、色分離光学系42で分離された色光である赤色光を液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
【0049】
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束のうち、赤色光成分と緑色光成分とは透過し、青色光成分は反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ418を通って、青色用の液晶パネル441Bに到達する。このフィールドレンズ418は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G、441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ418も同様である。
【0050】
また、ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ418を通って、緑色用の液晶パネル441Gに到達する。一方、赤色光は、ダイクロイックミラー422を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ418を通って、赤色光用の液晶パネル441Rに到達する。
なお、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ418に伝えるためである。なお、リレー光学系43には、3つの色光のうちの赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0051】
光学装置44は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、色分離光学系42で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板442と、各入射側偏光板442の後段に配置される光変調装置としての液晶パネル441R,441G,441Bと、各液晶パネル441R,441G,441Bの後段に配置される射出側偏光板443と、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム444とを備える。
【0052】
液晶パネル441R,441G,441Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものである。
光学装置44において、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441R,441G,441B、入射側偏光板442、および射出側偏光板443によって画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
【0053】
入射側偏光板442は、色分離光学系42で分離された各色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、サファイアガラス等の基板に偏光膜が貼付されたものである。また、基板を用いずに、偏光膜をフィールドレンズ418に貼り付けてもよい。
射出側偏光板443も、入射側偏光板442と略同様に構成され、液晶パネル441(441R,441G,441B)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。また、基板を用いずに、偏光膜をクロスダイクロイックプリズム444に貼り付けてもよい。
これらの入射側偏光板442および射出側偏光板443は、互いの偏光軸の方向が直交するように設定されている。
【0054】
クロスダイクロイックプリズム444は、射出側偏光板443から射出され、各色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成するものである。
クロスダイクロイックプリズム444には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
【0055】
[3.光学装置の構成]
図7において、液晶パネル441、クロスダイクロイックプリズム444、このクロスダイクロイックプリズム444で合成されたカラー画像を拡大して投写する投写レンズ46との配置を模式的に示す。
図7に示すように、本実施形態の光学装置44は、投写光学系46の光軸Aに対して投写領域500の中心軸DをY(+)方向(あおり方向)にずらして投写(あおり投写)するために、投写レンズ46の光軸Aが、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cに対してY(+)方向にずれて配置されている。また、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bは、投写レンズ46の光軸Aと液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cとの間になるように、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cに対して、Y(+)方向にずれた位置に配置されている。
【0056】
このずれ量、すなわちクロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bと液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cとの距離は、投写レンズ46の周辺光量比に基づいて定められる。液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cと、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bとのずれ量をδ、投写レンズ46の周辺光量比をR、投写レンズ46の中心付近の開口数をNA、クロスダイクロイックプリズム444の屈折率をn、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bに沿った長さ寸法をdp、液晶パネル441とクロスダイクロイックプリズム444との距離をdとした場合、以下の式(5)で表される。
【0057】
【数6】
【0058】
この式は次のようにして求められる。
液晶パネル441のあおり方向(図7のY(+)方向)側から射出された光束が投写レンズ46に入射される範囲の半径をP0、液晶パネル441のあおり方向と反対側(図7のY(−)方向)から射出された光が投写レンズ46に入射される範囲の半径をP1とすると、投写レンズ46の周辺光量比Rは一般に次の式(6)で示される。
【0059】
【数7】
【0060】
投写レンズ46の中心付近の開口数をNAとするとNAは次の式(7)で示され、さらに、式(8)及び式(9)を導き出せる。
【0061】
【数8】
【0062】
【数9】
【0063】
【数10】
【0064】
クロスダイクロイックプリズム444の屈折の式は式(10)で示される。
【0065】
【数11】
【0066】
この式(10)に式(9)を代入すると以下の式(11)になる。
【0067】
【数12】
【0068】
さらに、この式(11)から次の式(12)が導き出される。
【数13】
【0069】
ここで、P0は次の式(13)で示される。
【数14】
【0070】
また、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cと、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bとの距離δは式(14)のようになる。
【0071】
【数15】
【0072】
そして、式(6)、式(13)、式(14)より式(5)が得られる。
【0073】
また、クロスダイクロイックプリズム444の光束出射端面の高さ寸法は、液晶パネル441から射出される光束のうち、投写レンズ46に取り込まれない光束は、出射されないような高さ寸法となっている。
【0074】
投写レンズ46の光軸Aが、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cに対してY(+)方向にずれて配置されている。また、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bは、投写レンズ46の光軸Aと液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cとの間になるように、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cに対して、Y(+)方向にずれた位置に配置されている。
従って、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
投写光学系46の光軸Aに対して投写領域500の中心軸DをY(+)方向(あおり方向)にずらして投写(あおり投写)を行う光学装置44では、投写レンズ46の光軸Aが、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cに対してY(+)方向にずれて配置され、クロスダイクロイックプリズム444の光束射出端面の中心軸Bは、投写レンズ46の光軸Aと液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cとの間になるように、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cに対して、Y(+)方向にずらして配置される。従来は、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cを、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bと一致させており、クロスダイクロイックプリズム444の光束出射端面の高さ寸法は、液晶パネル441から射出される光束の高さ方向の広がりに合わせて設定されていた。そのため、クロスダイクロイックプリズム444の光束出射端面は、投写レンズ46に取り込まれない光束も出射させるような高さ寸法となっていた。
【0075】
これに対し、本実施形態では、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bを、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cからあおり方向側(図7のY(+)方向)にずれた位置に配置し、クロスダイクロイックプリズム444の光束出射端面の高さ寸法を、液晶パネル441から射出された光束のうち、投写レンズ46に取り込まれない光束が光束出射端面から出射されないような高さ寸法としている。このように、クロスダイクロイックプリズム444の高さ寸法を最低限の高さ寸法とすることで、クロスダイクロイックプリズム444を小型化でき、材料コストの低減を図ることができる。
さらに、このような光学装置44を有するプロジェクタ1のコストも低減できる。
【0076】
また、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cと、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bとの距離は、投写レンズ46の周辺光量比に基づいて決定され、幾何学的に示されるため、液晶パネル441の画像形成領域の中心軸Cと、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面の中心軸Bとのずれ量を決定することが容易となる。
【0077】
なお、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
画像信号に応じて光変調を行う光変調装置として液晶パネル441を採用したが、これに限られない。すなわち、光変調を行う光変調装置として、マイクロミラーを用いたデバイスなどを採用してもよい。
さらに、前記実施形態において、光学装置44をプロジェクタ1に組み込んだが、これには限らず、その他の光学機器に組み込んでもよい。
【0078】
【発明の効果】
このような本発明によれば色合成光学系の材料コストの低減を図ることができる光学装置及びこの光学装置を有するプロジェクタを提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るプロジェクタを上方から見た全体斜視図である。
【図2】前記プロジェクタを下方から見た全体斜視図である。
【図3】図1の状態からアッパーケースを外した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の状態から制御基板を外した斜視図である。
【図5】前記プロジェクタの光学ユニットを示す分解斜視図である。
【図6】前記光学ユニットを模式的に示す図である。
【図7】液晶パネル、クロスダイクロイックプリズム、投写レンズの配置を模式的に示した図である。
【図8】液晶パネル、クロスダイクロイックプリズム、投写レンズの従来技術の配置を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ
44 光学装置
46 投写レンズ(投写光学系)
444 クロスダイクロイックプリズム(色合成光学系)
441 液晶パネル(光変調装置)
Claims (2)
- 複数の色光を各色光毎に画像情報に応じて変調する複数の光変調装置と、前記各光変調装置が対向配置される複数の光束入射端面を有し前記各光変調装置で変調された色光を合成して射出する色合成光学系と、前記色合成光学系で形成された光学像を拡大投写する投写光学系とを備えたプロジェクタであって、
前記投写光学系の光軸は、前記光変調装置へ入射する光束の中心軸に対してほぼ平行にずれた位置に配置されており、
前記色合成光学系の光束入射端面の中心軸は、前記投写光学系の光軸と前記光変調装置へ入射する光束の中心軸との間になるように、前記光変調装置へ入射する光束の中心軸に対してほぼ平行にずれた位置に配置されていることを特徴とするプロジェクタ。
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