JP4023314B2 - 光学部品用筐体、光学装置、およびプロジェクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射ミラーの姿勢を調整することができる光学部品用筐体、光学装置、およびプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来、プロジェクタとしては、光源から射出された光束を、ダイクロイックミラーによってRGBの3色の色光に分離し、3枚の液晶パネルにより各色光毎に、画像データに応じて変調し、変調後の光束をクロスダイクロイックプリズムで合成し、投写レンズを介してカラー画像をスクリーンに拡大投写する、いわゆる三板式のものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
このようなプロジェクタには、光源ランプから射出された光束およびダイクロイックミラーによって分離された色光の光束を反射し液晶パネルに導くための複数の反射ミラーが設けられている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−287252号公報([0026]〜[0040]、図4、図7)
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、反射ミラーの取付位置が、予め設定された位置からずれてしまうと、この反射ミラーから射出された光束の照明光軸が規定された位置からずれてしまう場合がある。
そのような場合には、各色光の光束が液晶パネルに有効に導かれないために、照度の低下が引き起こされたり影が出るという問題がある。
また、各色光が有効に合成される有効照射領域が小さくなることにより色むらが生じたり、入射光の一部が画像の投写に利用されず無駄になるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、反射ミラーから射出された光束の照明光軸を、容易にかつ精密に調整できる、光学部品用筐体、光学装置、およびプロジェクタを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学部品用筐体は、反射ミラーを含む複数の光学部品を収納し、これら複数の光学部品を、平面的に規定された照明光軸上に配置する光学部品用筐体であって、前記反射ミラーを保持する保持部材と、他の光学部品を収納する筐体本体とを備え、前記保持部材の裏面には、前記反射ミラーの面外方向に膨出する膨出部が形成され、この膨出部が前記筐体本体の内面上を摺動することにより、前記保持部材は、前記筐体本体に対して回動し、この保持部材の回動中心と、前記規定された照明光軸及び前記反射ミラーの反射面との交点とが略一致し、前記照明光軸を含む平面と直交する前記保持部材の端部には、前記反射ミラーの面に沿って突出する突起が一対設けられ、この一対の突起は、両者の中心軸を結ぶ線が前記保持部材の回動中心を通る位置に設けられ、前記筐体本体内面には、前記保持部材の回動中心を、前記照明光軸を含む平面上に位置するように前記一対の突起を支持する平面状の支持面が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、保持部材の裏面に反射ミラーの面外方向に膨出する膨出部を形成し、この膨出部が筐体本体の内面上で摺動することで、保持部材が回動する構成とし、さらにこの保持部材の回動中心と、規定された照明光軸及び反射ミラーの反射面との交点とを略一致させたので、光束を規定された照明光軸に沿って反射ミラーに入射させた状態で、保持部材を任意の量だけ回動させたときの、反射ミラーから射出された光束の照明光軸(以下、射出光束照明光軸、と略す)の変位量を、保持部材の回動中心と、照明光軸と反射面との交点とを略一致させない構成と比べて小さくすることができる。
したがって、射出光束照明光軸を容易にかつ精密に調整することができる。
また、この発明によれば、照明光軸を含む平面と直交する保持部材の端部に、反射ミラーの面に沿って突出するように、かつ、それぞれの中心軸を結ぶ線が保持部材の回動中心を通るように形成した一対の突起を設け、筐体本体内面に、保持部材の回動中心を規定された照明光軸を含む平面上に位置するように突起を支持する支持面を形成したので、保持部材を左右方向に回動させると、突起は支持面上で回動中心を中心として摺動し、保持部材を上下方向に回動させると、突起は支持面上で中心軸を中心として回転する。
したがって、突起および支持面を備えることにより、これらを備えない構成と比べて、保持部材の自重による下方向への回動中心のずれを抑えることができる。
また、突起を支持面で支持させることにより、保持部材を筐体本体内部に仮設置することができる。したがって、保持部材の設置工程と姿勢調整工程を別々に設けることができるので、反射ミラーの姿勢調整作業を効率よく行うことができる。
【0008】
本発明では、前記膨出部は、球面の一部として構成され、前記保持部材の回動中心及びこの膨出部の球面の中心とが略一致することが望ましい。
この発明によれば、膨出部を球面の一部で形成し、さらにその球面の中心と保持部材の回動中心を略一致させたので、膨出部を筐体本体の内面上で滑らかに摺動させることができる。
したがって、保持部材を滑らかに回動させることができるので、射出光束照明光軸をより精密に調整する事ができる。
【0009】
本発明では、前記筐体本体の内面には、前記膨出部の摺動面に応じた位置に凹部が形成されていることことが望ましい。
この発明によれば、筐体本体の内面の、膨出部の摺動面に応じた位置に凹部を形成したので、膨出部をこの凹部に係合させる事により筺体本体の内面に対して位置決めすることができる。
したがって、凹部を設けない構成と比べて、保持部材を回動させたときの回動中心の位置ずれを抑える事ができる。
【0010】
本発明では、前記膨出部の頂部には、前記保持部材の面外方向に突出する腕部が設けられ、前記筐体本体には、この腕部を突出させる孔が形成されていることが望ましい。
この発明によれば、膨出部の頂部に、保持部材の面外方向に突出する腕部を設け、筐体本体に、この腕部を突出させる孔を形成したので、筐体本体に蓋をした後でも、外部から膨出部を摺動させることができる。すなわち、保持部材を回動させることができる。
したがって、筐体本体に収納された光学部品への特別な防塵対策を施すことなく、保持部材を回動させることができる。
【0013】
本発明の光源から射出された光束を複数の色光に分離する光学装置は、前記光学部品用筐体と、この光学部品用筐体内に収納される複数のミラーとを備え、前記複数のミラーは、全ての光を反射する全反射ミラーと、一定波長の光を透過して他を反射する波長選択ミラーとを備え、前記保持部材には、全反射ミラーまたは波長選択ミラーが取り付けられていることが望ましい。
この発明によれば、前述した光学部品用筐体と同様の作用・効果を奏することができ、光源から射出された光束を、確実に複数の色光に分離することができる。
【0014】
本発明の光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、この光学像を拡大投射するプロジェクタは、前記光学装置を備えていることが望ましい。
この発明によれば、前述した光学装置と同様の作用・効果を奏することができ、高輝度で高品質な光学像の拡大投射が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
(1)外観構成
図1および図2には、本発明の実施形態に係るプロジェクタ1が示されており、図1は上方前面側から見た斜視図であり、図2は下方背面側から見た斜視図である。
このプロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面上に拡大投写する光学機器であり、後述する光学ユニットを含む装置本体を内部に収納する外装ケース2および外装ケース2から露出する投写レンズ3を備えている。このプロジェクタ1は、大型店舗内や、パブリックスペース等に設置され、投写画像を大画面表示することによって、多数の観察者に映像情報を提供するものである。
投写レンズ3は、後述する光変調装置としての液晶パネルにより光源から射出された光束を画像情報に応じて変調形成された光学像を拡大投写する投写光学系としての機能を具備するものであり、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成される。
【0016】
筐体としての外装ケース2は、投写方向に沿った奥行き寸法がこれに直交する幅方向寸法よりも大きな直方体形状をなし、装置本体を覆う面状体10と、ケース強度を負担する不図示のフレーム体とを備えて構成されている。
面状体10は、装置本体の上部を覆うアッパーケース11と、装置本体の下部を覆うロアーケース12と、装置本体の前面部分を覆うフロントケース13とを備えている。これら各ケース11〜13は、射出成形等によって成形された合成樹脂製の一体成形品である。
【0017】
アッパーケース11は、装置本体の上部を覆う筐体上面部11Aと、この筐体上面部11Aの幅方向端部から略垂下する筐体側面部11B、11Cと、筐体上面部11Aの後端部から略垂下する筐体背面部11Dとを備えている。
このアッパーケース11の筐体上面部11Aと、筐体側面部11B、11Cとが交差する稜線部分には、プロジェクタ1の投写方向略中央から後端側に向かって面取加工が施され、稜線に沿って凹状にへこんだ凹部111が形成されている。この凹部111は、プロジェクタ1を2台スタックさせた際に、2台のプロジェクタ1を連結するパイプ状の支持部材を挿入するために形成されている。
また、筐体側面部11Bには、冷却空気導入用のスリット状の開口部112が形成されている。
【0018】
筐体上面部11Aの略中央部分には、プロジェクタ1の起動・調整操作を行うための操作パネル14が設けられている。この操作パネル14は、起動スイッチ、画像・音声等の調整スイッチを含む複数のスイッチを備え、プロジェクタ1による投写時には、操作パネル14中の調整スイッチ等を操作することにより、画質・音量等の調整を行うことができる。
また、筐体上面部11Aの投写方向前方には、複数の孔141が形成されていて、この内部には、音声出力用のスピーカが収納されている。
これら操作パネル14およびスピーカは、後述する装置本体を構成する制御基板と電気的に接続され、操作パネル14による操作信号はこの制御基板で処理される。
【0019】
筐体背面部11Dは、ほぼ全面が開口された枠状に構成され、この開口部分には、画像信号等を入力するためのコネクタ群15が露出するとともに、その隣は、光源装置を収納する開口部とされ、通常は、光源装置収納用の蓋部材16によって覆われている。尚、コネクタ群15は、後述する制御基板と電気的に接続され、コネクタ群15を介して入力した画像信号は、制御基板によって処理される。
また、筐体上面部11Aの後端部及び筐体背面部11Dの上端部分は、アッパーケース11から脱着可能な蓋部材113が取り付けられていて、この蓋部材113内部には、LANボード等の拡張基板を挿入することができるようになっている。
【0020】
ロアーケース12は、アッパーケース11との係合面を中心としてアッパーケース11と略対称に構成され、筐体底面部12A、筐体側面部12B、12C、および筐体背面部12Dを備えている。
そして、筐体側面部12B、12C、および筐体背面部12Dは、その上端部分でアッパーケース11の筐体側面部11B、11C、及び筐体背面部11Dの下端部分と係合する。尚、筐体背面部12Dは、アッパーケース11の筐体背面部11Dと同様に、ほぼ全面が開口され、係合後の開口部分から前述したコネクタ群15が露出するとともに、両開口部分に跨って蓋部材16が取り付けられる。
また、筐体背面部12Dの角隅部には、さらに開口部が形成されており、この開口部からインレットコネクタ17が露出している。さらに、筐体側面部12Bには、アッパーケース11の筐体側面部11Bに形成された開口部112に応じた位置に開口部122が形成されている。
【0021】
筐体底面部12Aには、プロジェクタ1の後端側略中央に固定脚部18が設けられているとともに、先端側幅方向両端に調整脚部19が設けられている。
調整脚部19は、筐体底面部12Aから面外方向に進退自在に突出する軸状部材から構成され、軸状部材自体は、外装ケース2の内部に収納されている。このような調整脚部19は、プロジェクタ1の側面部分に設けられる調整ボタン191を操作することにより、筐体底面部12Aからの進退量を調整することができる。
これにより、プロジェクタ1から射出された投写画像の上下位置を調整し、適切な位置に投写画像を形成することができるようになる。
【0022】
また、筐体底面部12Aには、筐体底面部12Aの略中央に投写方向に沿って延びる凸条のリブ状部20と、このリブ状部20と直交するようにプロジェクタ1の幅方向に沿って延びる複数のリブ状部21、22とが形成されている。そして、中間部分の2本のリブ状部21の間には、詳しくは後述するが、外部から冷却空気を取り込むための吸気用開口部が形成されていて、フィルタ23によって覆われている。このフィルタ23で塞がれた吸気用開口部の後端側には、やはり冷却空気取り込み用の吸気用開口部24が形成されているが、フィルタで覆われる構成とはなっていない。
プロジェクタ1の幅方向に沿って延びるリブ状部21、22の端部には、ねじ孔21Aが4箇所形成されている。このねじ孔21Aには、プロジェクタ1を天井吊り下げとした場合の天井吊り下げ用の金具が装着される。
さらに、筐体底面部12Aの装置後端側端縁には、係合部26が形成されており、この係合部26には、前述したコネクタ群15を覆って塵埃等がこれらに付着することを防止するためのカバー部材が取り付けられるようになっている。
【0023】
フロントケース13は、前面部13Aおよび上面部13Bを備えて構成され、前面部13Aの外周部分には、面外方向に延びるリブ13Cが形成されており、アッパーケース11、ロアーケース12の投写方向先端側とこのリブ13Cが係合する。
前面部13Aは、ロアーケース12の筐体底面部12Aからアッパーケース11の筐体上面部11Aに向かって装置後端側に傾斜しており、その方向は投写面から遠ざかるように傾斜している。このようにしたのは、プロジェクタ1を天井吊り下げにした際に、フロントケース13の前面部13Aが下面を向くので、フロントケース13に塵埃が付着しにくくなるためであり、通常設置の状態よりもメンテナンスしにくい天井吊り下げの場合を考慮したためである。
【0024】
このような前面部13Aの略中央部分には開口部27が形成されており、この開口部27からは投写レンズ3が露出する。
この開口部27には、隣接してスリット状の開口部28が形成されており、プロジェクタ1の装置本体内部を冷却した空気は、この開口部28から排出される。
さらに、前面部13Aの角隅部近傍には、孔29が形成されており、この孔29からは、不図示のリモートコントローラの操作信号を受信するための受光部30がある。
尚、本例においては、プロジェクタ1の背面側にも受光部30が設けられており、図2に示されるようにアッパーケース11の筐体背面部11Dの角隅部に受光部30がある。これにより、リモートコントローラを使用する場合、装置前面側、装置背面側のいずれの方向からもリモートコントローラの操作信号を受信することができるようになっている。
【0025】
上面部13Bは、アッパーケース11の筐体上面部11Aの略中央まで延出し、具体的には図示を略したが、投写レンズ3の基端部近傍まで達している。このようにしたのは、投写レンズ3を変更する際に、フロントケース13を取り外すだけで投写レンズ3を交換できるようにするためであり、アッパーケース11およびロアーケース12からフロントケース13を取り外すと、上面部13Bが外れて開口され、投写レンズ3の基端部取付部分が露出するようになっている。
【0026】
(2)内部構成
このような外装ケース2の内部には、図3〜図5に示されるように、プロジェクタ1の装置本体が収納されており、この装置本体は、光学ユニット4、制御基板5、および電源ブロック6を備えて構成される。
(2-1)光学ユニット4の構造
光学エンジンとしての光学ユニット4は、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、投写レンズ3を介してスクリーン上に投写画像を形成するものであり、図5に示されるように、ライトガイド40という光学部品用筐体内に、光源装置や、種々の光学部品等を組み込んだものとして構成される。
このライトガイド40は、下ライトガイド401という筐体本体と、上ライトガイド402から構成され、それぞれは、射出成形等による合成樹脂製品である。
【0027】
下ライトガイド401は、図6に示されるように、後述する光源装置が収納される光源収納部401A及び光学部品を収納する部品収納部401Bを備え、この部品収納部401Bは、底面部401C及び側壁部401Dからなる上部が開口された容器状に形成され、側壁部401Dには、複数の溝部401Eが設けられている。この溝部401Eには、光学ユニット4を構成する種々の光学部品が装着され、これにより各光学部品は、ライトガイド40内に規定された照明光軸上に精度よく配置される。上ライトガイド402は、この下ライトガイド401に応じた平面形状を有し、下ライトガイド401の上面を塞ぐ蓋状部材として構成される。
また、下ライトガイド401の光束射出側端部には、金属製の側面略L字状のヘッド体403が配置され、このヘッド体403のL字水平部分には、後述する光学装置44が取り付けられるとともに、L字垂直部分には、投写レンズ3の基端部分が接合固定される。
【0028】
このようなライトガイド40内は、図7に示されるように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光変調光学系および色合成光学系を一体化した光学装置44とに機能的に大別される。尚、本例における光学ユニット4は、三板式のプロジェクタに採用されるものであり、ライトガイド40内で光源から射出された白色光を三色の色光に分離する空間色分離型の光学ユニットとして構成されている。
インテグレータ照明光学系41は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系であり、光源装置411、平行化凹レンズ412、第1レンズアレイ413、第2レンズアレイ414、偏光変換素子415、および重畳レンズ416を備えて構成される。
【0029】
光源装置411は、放射光源としての光源ランプ417、リフレクタ418、およびリフレクタ418の光束射出面を覆うフロントガラス419を備え、光源ランプ417から射出された放射状の光線を、平行化凹レンズ412及びリフレクタ418で反射して略平行光線とし、外部へと射出する。本例では、光源ランプ417として高圧水銀ランプを採用しているが、これ以外にメタルハライドランプやハロゲンランプを採用することもある。また、本例では、楕円面鏡からなるリフレクタ418の射出面に平行化凹レンズ412を配置した構成を採用しているが、リフレクタ418として放物面鏡を採用することもできる
【0030】
第1レンズアレイ413は、照明光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備している。各小レンズは、光源ランプ417から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸方向に射出する。各小レンズの輪郭形状は、後述する液晶パネル441R、441G、441Bの画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定される。例えば、液晶パネル441R、441G、441Bの画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定される。
第2レンズアレイ414は、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ414は、重畳レンズ416とともに、第1レンズアレイ413の各小レンズの像を液晶パネル441R、441G、441B上に結像させる機能を有する。
【0031】
偏光変換素子415は、第2レンズアレイ414からの光を一定方向の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置44での光の利用率が高められている。
具体的に、偏光変換素子415によって1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ416によって最終的に光学装置44の液晶パネル441R、441G、441B上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441R、441G、441Bを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ417からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子415を用いることにより、光源ランプ417から射出された光束を全て1種類の偏光光に変換し、光学装置44における光の利用効率を高めている。なお。このような偏光変換素子415は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0032】
色分離光学系42は、インテグレータ照明光学系41から射出された光束を曲折する反射ミラー421と、2枚のダイクロイックミラー422,423と、反射ミラー424とを備え、ダイクロイックミラー422、423によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を有している。反射ミラー424は、詳しくは後述するが、下ライトガイド401に対して姿勢を調整できるようになっている。
リレー光学系43は、入射側レンズ431と、リレーレンズ433と、反射ミラー432、434とを備え、色分離光学系42で分離された色光である赤色光を液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
【0033】
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー422では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束のうち、赤色光成分と緑色光成分とは反射し、青色光成分は透過する。ダイクロイックミラー422によって透過した青色光は、反射ミラー424で反射し、フィールドレンズ425を通って、青色用の液晶パネル441Bに到達する。このフィールドレンズ425は、第2レンズアレイ414から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G、441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ425も同様である。
【0034】
また、ダイクロイックミラー422を反射した赤色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー423によって反射し、フィールドレンズ425を通って、緑色用の液晶パネル441Gに到達する。一方、赤色光は、ダイクロイックミラー423を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ425を通って、赤色光用の液晶パネル441Rに到達する。
なお、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ425に伝えるためである。なお、リレー光学系43には、3つの色光のうちの赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0035】
光学装置44は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、色分離光学系42で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板442と、各入射側偏光板442の後段に配置される光変調装置としての液晶パネル441R、441G、441Bと、各液晶パネル441R、441G、441Bの後段に配置される視野角補正板443および射出側偏光板444と、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム445とを備える。
【0036】
液晶パネル441R、441G、441Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、図8に示されるように、液晶パネル441Gを例に取れば、パネル本体4411と、このパネル本体4411を収納する保持枠4412とを備えている。尚、以下の説明では、液晶パネル441R、441Bについては特段言及しないが、液晶パネル441Gと略同様の構成である。
パネル本体4411は、図示を略したが、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されたものであり、一対の透明基板の入射側及び射出側には防塵ガラスが貼り付けられている。
保持枠4412は、パネル本体4411を収納する凹部を有する部材であり、その四隅部分には、孔4413が形成されている。
【0037】
このような液晶パネル441R、441G、441Bの前段に配置される入射側偏光板442(図7参照)は、色分離光学系42で分離された各色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、サファイアガラス等の基板に偏光膜が貼付されたものである。また、基板を用いずに、偏光膜をフィールドレンズ425に貼り付けてもよい。
視野角補正板443は、基板上に液晶パネル441Gで形成された光学像の視野角を補正する機能を有する光学変換膜が形成されたものであり、このような視野角補正板443を配置することにより、黒画面時の光漏れを低減し投写画像のコントラストが大幅に向上する。
【0038】
射出側偏光板444は、液晶パネル441Gで光変調された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、本例では、2枚の第1偏光板(プリポラライザ)444P及び第2偏光板(アナライザ)444Aから構成されている。このように射出側偏光板444を2枚構成としたのは、入射する偏光光を、第1偏光板444P、第2偏光板444Aのそれぞれで按分させて吸収することにより、偏光光で発生する熱を両偏光板444P、444Aで按分させ、それぞれの過熱を抑えるためである。
【0039】
クロスダイクロイックプリズム445は、射出側偏光板444から射出され、各色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成するものである。
クロスダイクロイックプリズム445には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
このクロスダイクロイックプリズム445の下面には、プリズム固定板4451が紫外線硬化型接着剤により固着されている。このプリズム固定板4451は、クロスダイクロイックプリズム445の対角線に沿って伸びる脚部4452を備え、各脚部4452の先端部分には孔4453が形成されている。
そして、光学装置44は、この孔4453部分に挿入される不図示のねじ等によって前述したヘッド体403のL字水平分に接合固定される。
【0040】
前述した液晶パネル441G、視野角補正板443、第1偏光板444P及び第2偏光板444Aは、パネル固定板446を介してクロスダイクロイックプリズム445の光束入射端面に固定される。
パネル固定板446は、平面視略C字形状の固定部本体4461と、この固定部本体4461の先端側に腕部4462を介して突設されるピン4463とを備える。このうち、固定部本体4461のC字先端には、視野角補正板443が固定される台座4464と、C字先端側縁に沿って延出し、視野角補正板443の外形位置基準となる位置決め部4464Aが形成されている。
そして、液晶パネル441G、視野角補正板443、第1偏光板444P及び第2偏光板444Aを、パネル固定板446によってクロスダイクロイックプリズム445の光束入射端面に固定する場合、まず、固定部本体4461のC字内側の空間に第1偏光板444P、第2偏光板444Aを挿入し、バネ部材4465によって該空間内に、これら偏光板444P、444Aが一定距離離間配置するように付勢しながら固定する。
【0041】
次に、視野角補正板443の外形位置を位置決め部4464Aにて合わせながら、視野角補正板443の端面を台座4464に熱伝導性テープまたは接着剤等で貼り付けた後、クロスダイクロイックプリズム445の光束入射端面にパネル固定板446を固定する。
そして、パネル固定板446のピン4463に紫外線硬化型接着剤を塗布した後、未硬化の状態で液晶パネル441Gの孔4413を挿通する。
同様の手順で液晶パネル441R、441Bも、紫外線硬化型接着剤が未硬化の状態でパネル固定板446に仮止めしておき、各液晶パネル441R、441G、441Bに赤、緑、青の各色光を導入し、クロスダイクロイックプリズム445の光束射出端面から射出された各色光を観察しながら、液晶パネル441R、441G、441B相互の位置調整を行い、位置調整が終了したら、紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して、液晶パネル441R、441G、441Bの位置決め固定を行う。
【0042】
(2-2)制御基板5の構造
制御基板5は、図4及び図5に示すように、光学ユニット4の上側を覆うように配置され、2段に積層配置されるメイン基板51を備え、上段側基板511には、演算処理装置等の制御部本体が実装され、下側基板512には、各液晶パネル441R、441G、441Bの駆動用ICが実装されている。また、この制御基板5は、図示を略したが、このメイン基板51の後端側で接続され、外装ケース2の筐体背面部11D、12Dに起立するインターフェース基板を備えている。
インターフェース基板の背面側には、前述したコネクタ群15が実装されていて、コネクタ群15から入力する画像情報は、このインターフェース基板を介してメイン基板51に出力される。
メイン基板51上の演算処理装置は、入力した画像情報を演算処理した後、液晶パネル駆動用ICに制御指令を出力する。駆動用ICは、この制御指令に基づいて駆動信号を生成出力して液晶パネル441を駆動させ、これにより、画像情報に応じて光変調を行って光学像が形成される。
【0043】
(2-3)電源ブロック6の構造
電源ブロック6は、光学ユニット4に隣接して、プロジェクタ1の外装ケース2の投写方向に沿って延出して設けられ、図示を略したが、電源ユニット及びランプ駆動ユニットを備えている。
電源ユニットは、前述したインレットコネクタ17に接続された電源ケーブルを通して外部から供給された電力をランプ駆動ユニットや制御基板5等に供給するものである。
ランプ駆動ユニットは、前述した光源装置411に安定した電圧で電力を供給するための変換回路であり、電源ユニットから入力した商用交流電流は、このランプ駆動ユニットによって整流、変換されて、直流電流や交流矩形波電流となって光源装置411に供給される。
このような電源ブロック6の前方には、図3に示すように、排気ファン61が設けられており、プロジェクタ1内部の各構成部材を冷却した空気は、この排気ファン61によって集められ、外装ケース2の開口部28から装置外部に排出される。
【0044】
(2-4)冷却構造
このようなプロジェクタ1内部は、光源装置411や電源ブロック6の発熱により加熱されるため、内部に冷却空気を循環させて、光源装置411、光学装置44、電源ブロック6を効率的に冷却させる必要がある。このため、本例では、図9に示されるように3つの冷却流路C1、C2、C3が設定されている。
冷却流路C1は、インテグレータ照明光学系41を構成する光源装置411及び偏光変換素子415を冷却する流路であり、図2における吸気用開口部24の装置内部に設けられるシロッコファン71で吸引した冷却空気を、ダクト72によってライトガイド40の光源収納部401Aの側方から光源装置411、偏光変換素子415に供給し、これらを冷却する。冷却後の空気は、排気ファン61によって吸引され、プロジェクタ1の外部に排出される。
【0045】
冷却流路C2は、光変調及び色合成を行う光学装置44を冷却する流路であり、図2におけるフィルタ23が設けられた位置に形成される吸気用開口部の装置内側に設けられるシロッコファン(後述)で吸引した冷却空気を、光学装置44の下方から上方に向かって供給して、前記の液晶パネル441R、441G、441Bや、入射側偏光板442、視野角補正板443、射出側偏光板444を冷却する。冷却後の空気は、メイン基板51の下面及びアッパーケース11の筐体上面部11Aに沿って流れ、メイン基板51に実装された回路素子を冷却しながら、排気ファン61によって外部に排出される。
【0046】
冷却流路C3は、電源ブロック6を冷却する流路であり、電源ブロック6の後端側に設けられる吸気ファン62により、アッパーケース11の筐体側面部11Bに形成された開口部112、ロアーケース12の筐体側面部12Bに形成された開口部122から冷却空気を取り込み、取り込まれた冷却空気の一部は、電源ユニット及びランプ駆動ユニットに供給され、これらを冷却した後、排気ファン61によって外部に排出される。
【0047】
(2-5)反射ミラー424の姿勢調整構造
反射ミラー424は、図10に示されるように、保持部材81により保持されており、この保持部材81は、下ライトガイド401の側壁部401Dに対して回動中心Pを中心に回動するように設けられている。また、この回動中心Pは、規定された照明光軸L1及び反射ミラー424の反射面424Aとの交点Qと略一致するように設けられている。なお、ここでL2は射出光束照明光軸(反射面424Aから射出された光束の照明光軸)を示している。
【0048】
保持部材81は、図11及び図12(A)〜(C)に示されるように、反射ミラー424を覆うように形成されており、背面部811、側面部812,813、上面部814、および下面部815を備えている。
背面部811の正面には、反射ミラー424が、上面部814および下面部815に設けられた、かしめ部814Aにより熱かしめされることにより保持されている。保持部材81の開口部の深さは、反射ミラー424の厚さよりも深く形成されているので、反射ミラー424の反射面424Aは、保持部材81の開口部の面位置よりも内側に位置している。
背面部811の裏面略中央には、膨出部816が形成されており、この膨出部816は回動中心Pを中心とする仮想球面Sの一部として構成されている。
膨出部816の頂部には、背面部811の面外方向に突出する腕部としてのミラー位置調整レバー817が備えられ、このミラー位置調整レバー817の先端には、不図示の調整用治具体からの調整用アームに接続される半球状のミラーノブ818が熱かしめにより固定されている。
【0049】
側面部812,813には、反射ミラー424の面に沿って突出するように円柱状の突起819が設けられ、これら突起819は、それぞれの中心軸を結んだ仮想線Tが、回動中心Pを通るように形成されている。
側面部812の下方には、切欠き812Aが形成されている。これにより、反射ミラー424を保持部材81に取り付けた後でも、切欠き812Aから、背面部811と反射ミラー424との間に先端が薄板状等に形成された治具を挿入する事により、反射ミラー424を容易に取り外す事ができる。
【0050】
側壁部401Dには、図11に示されるように、膨出部816が係合する凹部82と、回動中心Pを規定された照明光軸L1を含む平面上に位置するように突起819を支持する支持面83が設けられている。
凹部82は、膨出部816の球面に対応した形状に形成されており、これにより、膨出部816を滑らかに摺動させる事ができる。凹部82の頂部には、ミラー位置調整レバー817を下ライトガイド401の外部に露出するための孔821が形成されている。
孔821は上部が欠けた円形状に形成されており、この欠けた位置には、側壁部401Dの上辺に向かって開口された切欠き822が形成されている。これにより、ミラー位置調整レバー817を側壁部401Dの上方向から挿通させて、膨出部816を凹部82に係合させることができるので、その作業性を良くすることができる。
【0051】
孔821と切欠き822の結合部分には、くびれ部823が設けられている。これにより、切欠き822を形成したことにより生じる、膨出部816を摺動させるときの膨出部816の上方向への位置ずれを抑えることができる。
支持面83は、肩部831の上面に設けられ、摩擦係数が小さい平面状に形成されている。これにより、突起819を滑らかに回転、摺動させることができる。
【0052】
下ライトガイド401に対する反射ミラー424の姿勢調整、すなわち、射出光束照明光軸L2の調整は、ライトガイド40内に光束を導入し、投写レンズ3から出た光束を確認しながら行われる。
具体的には、下ライトガイド401に、光源装置411および各光学部品を配置した後、膨出部816または凹部82に瞬間接着剤主剤を塗布し、未硬化の状態でミラー位置調整レバー817を切欠き822の上方から挿通する。図12(A)〜(C)に示されるように、膨出部816を凹部82に係合し、突起819を支持面83に支持させた後、上ライトガイド402で蓋をし、光束を規定された照明光軸L1に沿って反射面424Aに入射する。
この状態で、ミラーノブ818に調整用治具体からの調整用アームを張力をかけて接続した後、この調整用治具体でミラー位置調整レバー817を操作し、膨出部816を凹部82に倣って上下左右方向に摺動させるとともに、突起819を支持面83上で摺動または回転させることにより、保持部材81を回動させ、反射ミラー424の姿勢調整を行う。
【0053】
たとえば、ミラー位置調整レバー817を、図12(A)に示されるように、X11方向に動かすと、膨出部816は凹部82に倣って摺動し、突起819は、支持面83上で仮想線T上の回動中心Pを中心としてX12方向に摺動する。したがって、保持部材81は、回動中心Pを中心として左方向に回動する。
また、ミラー位置調整レバー817を、図12(B)に示されるように、Z11方向に回動させると、膨出部816は凹部82に倣って摺動し、突起819は、支持面83上で回動中心Pを通る仮想線Tを中心としてZ12方向に回転する。したがって、保持部材81は、回動中心Pを中心として上方向に回動する。
ミラー位置調整レバー817をX21方向またはZ21方向に動かしたときにも上述した原理により、保持部材81は、回動中心Pを中心として右方向または下方向に回動する。
【0054】
投写レンズ3から出た光束を確認しながら、上述した方法で、保持部材81を回動させて反射ミラー424の姿勢調整、すなわち、射出光束照明光軸L2の調整をし終えたら、瞬間接着剤主剤を塗布した部分に硬化促進剤を塗布し膨出部816と凹部82とを接着するとともに、上ライトガイド402に設けられた孔(図示を略す)から突起819と支持面83との接触部分に接着剤を塗布し両者を接着することにより、反射ミラー424を位置決め固定する。
【0055】
前述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
反射ミラー424を保持する保持部材81の裏面に膨出部816を形成し、この膨出部816が側壁部401Dの内面上を摺動することにより、保持部材81が回動する構成とし、さらにこの保持部材81の回動中心Pと規定された照明光軸L1及び反射ミラー424の反射面424Aとの交点Qとを略一致させたので、光束を規定された照明光軸L1に沿って反射ミラー424に入射させた状態で、保持部材81を任意の量だけ回動させたときの、射出光束照明光軸L2の変位量を、回動中心Pと交点Qとを略一致させない構成と比べて小さくすることができる。
したがって、射出光束照明光軸L2を容易にかつ精密に調整することができる。
【0056】
膨出部816を仮想球面Sの一部で形成し、さらにその仮想球面Sの中心と保持部材81の回動中心Pを略一致させたので、膨出部816を側壁部401Dの内面上で滑らかに摺動させることができる。
したがって、保持部材81を滑らかに回動させることができるので、射出光束照明光軸L2をより精密に調整する事ができる。
【0057】
側壁部401Dの内面の、膨出部816の摺動面に応じた位置に凹部82を形成したので、膨出部816をこの凹部82に係合させることにより側壁部401Dに対して位置決めする事ができる。
したがって、凹部82を設けない構成と比べて、保持部材81を回動させたときの回動中心Pの位置ずれを抑えることができる。
【0058】
膨出部816の頂部に、背面部811の面外方向に突出するミラー位置調整レバー817を設け、側壁部401Dに、このミラー位置調整レバー817を突出させる孔821を形成したので、下ライトガイド401に蓋をした後でも、外部から膨出部816を摺動させることができる。すなわち、保持部材81を回動させることができる。
したがって、ライトガイド40に収納された光学部品への特別な防塵対策を施すことなく、保持部材81を回動させることができる。
特に、膨出部816の頂部に、ミラー位置調整レバー817を介して調整用治具体からの調整用アームに接続されるミラーノブ818を設けたので、調整用アームを用いることにより、保持部材81の回動をより精密に制御することができる。すなわち、射出光束照明光軸L2をより精密に調整することができるので、照明の有効範囲に対する余裕量を少なくできるため、有効照明が増し明るさを向上できる。
【0059】
保持部材81の側面部812,813に、反射ミラー424の面に沿って突出するように、かつ、それぞれの中心軸を結ぶ仮想線Tが保持部材81の回動中心Pを通るように形成した一対の突起819を設け、側壁部401Dに、保持部材81の回動中心Pを規定された照明光軸L1を含む平面上に位置するように突起819を支持する支持面83を形成したので、保持部材81を左右方向に回動させると、突起819は、支持面83上で仮想線T上の回動中心Pを中心として摺動し、保持部材81を上下方向に回動させると、突起819は、支持面83上で回動中心Pを通る仮想線Tを中心として回転する。
したがって、突起819および支持面83を備えることにより、これらを備えない構成と比べて、保持部材81の自重による下方向への回動中心Pのずれを抑えることができる。
【0060】
特に、突起819を円柱状としているので、突起819は支持面83上で滑らかに回転するので、保持部材81の上下方向への回動をより滑らかに行うことができる。
また、突起819を支持面83で支持させることにより、保持部材81を下ライトガイド401に仮設置することができる。したがって、保持部材81の設置工程と姿勢調整工程を別々に設けることができるので、効率良く姿勢調整作業を行うことができる。
【0061】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、膨出部816および凹部82の両方を球面状としたが、いずれかの一方が球面状であれば、同様の作用・効果を奏する事ができる。
前記実施形態では、反射ミラー424の姿勢調整できるようにしたが、反射ミラー421,432,434の姿勢調整をできるようにしても良い。
前記実施形態では、反射ミラー421,424,432,434に全反射ミラーを採用したが、波長選択ミラーを採用しても良い。
前記実施形態では、プロジェクタ1に設けられた反射ミラー424の姿勢調整を行ったが、同様の構成を、その他の光学機器や電子機器に備えられた反射ミラーまたは波長選択ミラーにも採用することができる。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成する上で他の構造等としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタの外観構成を表す概要斜視図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの外観構成を表す概要斜視図。
【図3】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図4】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図5】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図6】前記実施形態における光学ユニットを収納するライトガイドの構造を表す概要斜視図。
【図7】前記実施形態における光学ユニット構造を表す模式図。
【図8】前記実施形態における光学装置の構造を表す概要斜視図。
【図9】前記実施形態における冷却流路を表す概要斜視図。
【図10】前記実施形態における光学ユニットを収納するライトガイドの構造を表す概要斜視図。
【図11】前記実施形態における光学ユニットを収納するライトガイドの構造を表す概要分解斜視図。
【図12】前記実施形態における反射ミラーの姿勢調整構造を表す概要三面図。
【符号の説明】
1…プロジェクタ、40…ライトガイド(光学部品用筐体)、81…保持部材、82…凹部、83…支持面、401…下ライトガイド(筐体本体)、424…反射ミラー、424A…反射面、816…膨出部、819…突起、821…孔、L1…規定された照明光軸、P…回動中心、Q…交点、S…仮想球面(球面)、T…仮想線(突起の中心軸を結ぶ線)
Claims (6)
- 反射ミラーを含む複数の光学部品を収納し、これら複数の光学部品を、平面的に規定された照明光軸上に配置する光学部品用筐体であって、
前記反射ミラーを保持する保持部材と、他の光学部品を収納する筐体本体とを備え、
前記保持部材の裏面には、前記反射ミラーの面外方向に膨出する膨出部が形成され、
この膨出部が前記筐体本体の内面上を摺動することにより、前記保持部材は、前記筐体本体に対して回動し、
この保持部材の回動中心と、前記規定された照明光軸及び前記反射ミラーの反射面との交点とが略一致し、
前記照明光軸を含む平面と直交する前記保持部材の端部には、前記反射ミラーの面に沿って突出する突起が一対設けられ、
この一対の突起は、両者の中心軸を結ぶ線が前記保持部材の回動中心を通る位置に設けられ、
前記筐体本体内面には、前記保持部材の回動中心を、前記照明光軸を含む平面上に位置するように前記一対の突起を支持する平面状の支持面が形成されていることを特徴とする光学部品用筐体。 - 請求項1に記載の光学部品用筐体において、
前記膨出部は、球面の一部として構成され、前記保持部材の回動中心及びこの膨出部の球面の中心とが略一致することを特徴とする光学部品用筐体。 - 請求項1又は請求項2に記載の光学部品用筐体において、
前記筐体本体の内面には、前記膨出部の摺動面に応じた位置に凹部が形成されていることを特徴とする光学部品用筐体。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光学部品用筐体において、
前記膨出部の頂部には、前記保持部材の面外方向に突出する腕部が設けられ、 前記筐体本体には、この腕部を突出させる孔が形成されていることを特徴とする光学部品用筐体。 - 光源から射出された光束を複数の色光に分離する光学装置であって、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の光学部品用筐体と、
この光学部品用筐体内に収納される複数のミラーとを備え、
前記複数のミラーは、全ての光を反射する全反射ミラーと、一定波長の光を透過して他を反射する波長選択ミラーとを備え、
前記保持部材には、全反射ミラーまたは波長選択ミラーが取り付けられていることを特徴とする光学装置。 - 光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、この光学像を拡大投射するプロジェクタであって、
請求項5に記載の光学装置を備えていることを特徴とするプロジェクタ。
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