JP2004138913A - 光学部品用筐体、光学ユニットおよびプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】高いコントラスト比を実現しつつ、色むらのない良好な投写画像を形成することができる光学部品用筐体、光学ユニットおよびプロジェクタを提供する。
【解決手段】光学部品用筐体としてのライトガイド40は、照明光軸上の所定位置に光学部品としての入射側偏光板442および視野角拡大板448を配置するために、照明光軸と直交する面内で上記光学部品を回動自在にする第1回動機構403および第2回動機構404を備えている。そして、第1回動機構403により調整された入射側偏光板442における偏光軸の角度に応じて、視野角拡大板448の視野角調整を実施でき、高いコントラスト比を実現するとともに、液晶パネル毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【選択図】 図9
【解決手段】光学部品用筐体としてのライトガイド40は、照明光軸上の所定位置に光学部品としての入射側偏光板442および視野角拡大板448を配置するために、照明光軸と直交する面内で上記光学部品を回動自在にする第1回動機構403および第2回動機構404を備えている。そして、第1回動機構403により調整された入射側偏光板442における偏光軸の角度に応じて、視野角拡大板448の視野角調整を実施でき、高いコントラスト比を実現するとともに、液晶パネル毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に光源から射出された光束の照明光軸が設定され、複数の光学部品を収納して前記照明光軸上の所定位置に配置する光学部品用筐体、光学ユニットおよびプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、会議、学会、展示会等でのプレゼンテーションにプロジェクタを用いることが知られている。このようなプロジェクタは、その内部に複数の光学部品を収容し、これらの光学部品を用いることにより、光源から射出された光束を変調した後に拡大投写して投写画像を形成している。
このような光学部品として、光源から射出された光束を変調する光変調素子と、この光変調素子を挟むように配置される入射側偏光板および射出側偏光板とが用いられている。
ここで、入射側偏光板および射出側偏光板は、光変調素子に入射する偏光方向を制御するとともに、光変調素子から射出される光束の偏光方向を制御するものであり、それぞれの偏光軸が直交するように配置される。このような構成により、投写画像の高いコントラストを実現している。
【0003】
このため、従来では、入射側偏光板および射出側偏光板の偏光軸同士のなす角度、入射側偏光板、射出側偏光板それぞれの偏光軸の角度を調整するための調整機構を備えたプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この調整機構は、光学部品を収容する光学部品用筐体とは独立して設けられ、光学部品用筐体の所定位置に設置される。そして、光学部品用筐体の上面に形成された孔を介してこの調整機構を操作することにより、入射側偏光板を照明光軸と直交する面内で位置調整が実施される。
また、近年において、三枚の光変調素子を用いた三板式のプロジェクタでは、光変調素子毎の視野角を調整し、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制して、色むらのない投写画像を形成するために、光学補償手段としての位相差板または視野角拡大板等を用いる構成も利用されている。この光学補償手段は、照明光軸上において、例えば、入射側偏光板または射出側偏光板と、光変調素子との間に配置され、光学部品用筐体に固定される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−259093号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような調整機構では、入射側偏光板の偏光軸の角度を調整する。これに対して光学補償手段は、光学部品用筐体に固定されているので、調整された偏光軸の角度に応じた視野角の調整を実施することができない。したがって、例えば、三板式のプロジェクタでは、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制できず、投写画像に色むらが生じるなどの問題が一例として挙げられる。
【0006】
本発明の目的は、このような問題点に鑑みて、高いコントラスト比を実現するとともに、色むらのない良好な投写画像を形成することができる光学部品用筐体、光学ユニットおよびプロジェクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学部品用筐体は、内部に光源から射出された光束の照明光軸が設定され、複数の光学部品を収納して前記照明光軸上の所定位置に配置する光学部品用筐体であって、前記照明光軸上の所定位置に前記光学部品を配置するために、前記照明光軸と直交する面内で前記光学部品を回動自在にする複数の回動機構を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、光学部品用筐体は、複数の回動機構を備えているので、従来の調整機構と比較して、これら回動機構により複数の光学部品の位置調整を実施できる。例えば、光学部品として、入射側偏光板、射出側偏光板、光学補償手段としての位相差板、視野角拡大板を採用すれば、偏光板における偏光軸の角度調整とともに、光学補償手段における視野角調整も実施できる。したがって、偏光板における偏光軸の角度に応じて、光学補償手段の視野角調整を実施でき、高コントラストかつ視野角の良好な投写画像を形成できる。また、例えば、三板式のプロジェクタにおいては、高いコントラスト比を実現しつつ、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【0008】
本発明の光学部品用筐体では、前記回動機構は、光学部品を保持する第1保持枠と、この第1保持枠を前記照明光軸と直交する面内で回動自在に軸支する支持部と、この支持部を中止として前記第1保持枠を回動させる調整部とを備えた第1回動機構と、他の光学部品を保持する略円形状の外形を有する第2保持枠と、この第2保持枠を回動自在に支持する支持溝とを備えた第2回動機構とを備えていることが好ましい。
本発明では、回動機構は、第1回動機構および第2回動機構を備えている。また、第1回動機構は、第1保持枠、支持部および調整部を備えている。さらに、第2回動機構は、第2保持枠および支持溝を備え、第2保持枠が支持溝内で回動自在に構成される。このことにより、回動機構を簡素化し、光学部品の位置調整を容易に実施できる。
【0009】
本発明の光学部品用筐体では、前記第2保持枠は、当該光学部品用筐体本体に対して着脱自在に設けられることが好ましい。
本発明では、第2保持枠は、光学部品用筐体本体に対して着脱自在に設けられている。このことにより、例えば、光学部品用筐体内部に光学部品が密接して設置される場合には、第1回動機構を操作して一方の光学部品における位置調整を実施した後に、第2保持枠を光学部品用筐体に装着して他方の光学部品における位置調整を実施できる。したがって、光学部品の位置調整を効率的かつ容易に実施できる。
【0010】
本発明の光学部品用筐体では、当該光学部品用筐体本体は、下面略法線方向に延びる螺合構造を備え、前記調整部は、前記第1保持枠を介して前記螺合構造と螺合する螺合部材と、前記螺合部材に対して前記第1保持枠を付勢する付勢部材とを備え、前記第1保持枠は、前記螺合部材の螺合状態を変更することにより前記支持部を中心として回動することが好ましい。
本発明によれば、調整部は、螺合部材および付勢部材を備え、第1保持枠は、螺合部材の螺合状態を変更することにより支持部を中心として回動するので、簡素な構造で光学部品の位置調整を適切に実施できる。
【0011】
本発明の光学部品用筐体では、前記螺合部材は、ねじであり、前記ねじの回転端は、当該光学部品用筐体に対して外部に露出していることが好ましい。
本発明によれば、螺合部材は、ねじであり、ねじの回転端が、光学部品用筐体に対して外部に露出しているので、光学部品用筐体の外部から、螺合部材における螺合状態の変更を実施できる。すなわち、光学部品用筐体の外部から螺合部材の螺合状態の変更を実施できるので、光学部品の位置調整をさらに容易に実施できる。
【0012】
本発明の光学部品用筐体では、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調素子と、入射する光束の偏光軸を変換する偏光板と、前記光変調素子から射出される光束の視野角を拡大する光学補償手段とを収納し、前記第1回動機構は、前記偏光板を保持し、前記第2回動機構は、前記光学補償手段を保持することが好ましい。
ここで、光学補償手段としては、例えば、位相差板、富士写真フィルムが販売する「Fuji WV Film ワイドビューA」(商品名)等の視野角拡大板等を採用できる。
本発明によれば、第1回動機構は偏光板を保持し、第2回動機構は光学補償手段を保持するので、従来の調整機構と比較して、偏光板および光学補償手段それぞれを独立して位置調整を実施できる。したがって、偏光板における偏光軸の角度に応じて、光学補償手段の視野角調整を実施でき、高コントラストかつ視野角の良好な投写画像を形成できる。また、例えば、三板式のプロジェクタにおいては、高いコントラスト比を実現するとともに、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【0013】
本発明の光学ユニットは、光源から射出された光束の光路上に配置される複数の光学部品と、上記光学部品用筐体とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、前述の光学部品用筐体を備えることで、前述したように本発明の目的が達成されるうえ、前述の他の作用効果をも同様に奏する。
また、前述した光学部品用筐体を用いれば、光学ユニット内部の種々の光学部品を容易に位置調整できる。
【0014】
本発明のプロジェクタは、上記光学ユニットを備えていることを特徴とする。本発明によれば、前述の光学ユニットを備えることで、前述したように本発明の目的が達成されるうえ、前述の他の作用効果をも同様に奏する。
また、前述した光学ユニットを用いれば、投写画像の高コントラスト化を図るとともに、良好な視野角を有する投写画像を形成できる。さらに、例えば、三板式のプロジェクタとすれば、投写画像の高コントラスト化を図るとともに、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)外観構成
図1および図2には、本発明の実施形態に係るプロジェクタ1が示されており、図1は上方前面側から見た斜視図であり、図2は下方背面側から見た斜視図である。
このプロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面上に拡大投写する光学機器であり、後述する光学エンジンを含む装置本体を内部に収納する外装ケース2および外装ケース2から露出する投写レンズ3を備えている。
投写レンズ3は、後述する光変調素子としての液晶パネルにより光源から射出された光束を画像情報に応じて変調形成された光学像を拡大投写する投写光学系としての機能を具備するものであり、筒状体内部に複数のレンズが収納された組レンズとして構成される。
【0016】
外装ケース2は、投写方向に直交する幅方向の寸法が投写方向寸法よりも大きい幅広の直方体形状をなし、装置本体の上部を覆うアッパーケース21と、装置本体の下部を覆うロアーケース22と、装置本体の前面部分を覆うフロントケース23とを備えている。これら各ケース21〜23は、射出成形等によって成形された合成樹脂製の一体成形品である。
【0017】
アッパーケース21は、装置本体の上部を覆う上面部21Aと、この上面部21Aの幅方向端部から略垂下する側面部21B、21Cと、上面部21Aの後端部から略垂下する背面部21Dとを備えている。
上面部21Aの投写方向前側には、プロジェクタ1の起動・調整操作を行うための操作パネル24が設けられている。この操作パネル24は、起動スイッチ、画像・音声等の調整スイッチを含む複数のスイッチを備え、プロジェクタ1による投写時には、操作パネル24中の調整スイッチ等を操作することにより、画質・音量等の調整を行うことができる。
【0018】
また、上面部21Aの操作パネル24の隣には、複数の孔241が形成されていて、この内部には、図示を略したが、音声出力用のスピーカが収納されている。
これら操作パネル24およびスピーカは、後述する装置本体を構成する制御基板と電気的に接続され、操作パネル24による操作信号はこの制御基板で処理される。
背面部21Dには、略中央部分に上面部21A側に切り欠かれた凹部が形成され、この凹部には、後述する制御基板に接続されたインターフェース基板上に設けられたコネクタ群25が露出する。
【0019】
ロアーケース22は、アッパーケース21との係合面を中心として略対称に構成され、底面部22A、側面部22B、22C、および背面部22Dを備えている。そして、側面部22B、22C、および背面部22Dは、その上端部分でアッパーケース21の側面部21B、21C、および背面部21Dの下端部分と係合し、外装ケース2の側面部分および背面部分を構成する。
【0020】
底面部22Aには、プロジェクタ1の後端側略中央に固定脚部26が設けられているとともに、先端側幅方向両端に調整脚部27が設けられている。
この調整脚部27は、底面部22Aから面外方向に進退自在に突出する軸状部材から構成され、軸状部材自体は、外装ケース2の内部に収納されている。このような調整脚部27は、プロジェクタ1の側面部分に設けられる調整ボタン271を操作することにより、底面部22Aからの進退量を調整することができる。これにより、プロジェクタ1から射出された投写画像の上下位置を調整し、適切な位置に投写画像を形成することができるようになる。
【0021】
また、底面部22Aには、外装ケース2の内部と連通する開口部28、29、30が形成されている。
開口部28は、プロジェクタ1の光源を含む光源装置を着脱する部分であり、通常は、ランプカバー281によって塞がれている。
開口部29、30は、スリット状の開口部として構成される。
開口部29は、光源ランプから射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置としての液晶パネルを含む光学装置を冷却するための冷却空気取込用の吸気用開口部である。
開口部30は、プロジェクタ1の装置本体を構成する電源ユニット、光源駆動回路を冷却するための冷却空気取込用の吸気用開口部である。
尚、開口部29、30は、そのスリット状開口部分で常時プロジェクタ1内部と連通しているため、塵埃等が内部に侵入しないように、それぞれの内側に防塵フィルタが設けられている。ただし、開口部30は防塵フィルタを設けなくてもよい。
【0022】
さらに、底面部22Aには、底面部22Aに回転自在に取り付けられた蓋部材31が設けられていて、この蓋部材31の内部には、プロジェクタ1を遠隔操作するためのリモートコントローラが収納されるようになっている。尚、図示しないリモートコントローラには、前述した操作パネル24に設けられる起動スイッチ、調整スイッチ等と同様のものが設けられていて、リモートコントローラを操作すると、この操作に応じた赤外線信号がリモートコントローラから出力され、赤外線信号は、外装ケース前面および背面に設けられる受光部311を介して制御基板で処理される。
【0023】
背面部22Dには、アッパーケース21の場合と同様に、略中央部分に底面部22A側に切り欠かれた凹部が形成され、前記インターフェース基板上に設けられたコネクタ群25が露出するとともに、端部近傍にもさらに開口部32が形成されていて、この開口部32からインレットコネクタ33が露出している。インレットコネクタ33は、外部電源からプロジェクタ1に電力を供給する端子であり、後述する電源ユニットと電気的に接続される。
【0024】
フロントケース23は、前面部23Aおよび上面部23Bを備えて構成され、上面部23Bの投写方向後端側で前述したアッパーケース21およびロアーケース22の投写方向先端部分と係合する。
前面部23Aには、投写レンズ3を露出させるための略円形状の開口部34、およびその隣に形成された複数のスリットから構成される開口部35が形成されている。
【0025】
開口部34は、その上面側がさらに開口され、投写レンズ3の鏡筒の一部が露出していて、鏡筒周囲に設けられたズーム・フォーカス調整用のつまみ3A、3Bを外部から操作することができるようになっている。
開口部35は、装置本体を冷却した空気を排出する排気用開口部として構成され、後述するプロジェクタ1の構成部材である光学系、制御系、および電源ユニット・ランプ駆動ユニットを冷却した空気は、この開口部35からプロジェクタ1の投写方向に排出される。
【0026】
(2)内部構成
このような外装ケース2の内部には、図3〜図5に示されるように、プロジェクタ1の装置本体が収納されており、この装置本体は、図3に示される光学ユニット4、制御基板5、および、図4に示される電源ブロック6を備えて構成される。
(2−1)光学ユニット4の構造
光学エンジンとしての光学ユニット4は、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、投写レンズ3を介してスクリーン上に投写画像を形成するものであり、図4に示される光学部品用筐体としてのライトガイド40内に、光源装置や、種々の光学部品等を組み込んだものとして構成される。
このライトガイド40は、下ライトガイド401、および図4では図示を略した上ライトガイドから構成され、それぞれは、射出成形等による合成樹脂製品である。
【0027】
下ライトガイド401は、光学部品を収納する底面部401A及び側壁部401Bからなる上部が開口された容器状に形成され、側壁部401Bには、複数の溝部401Cが設けられている。この溝部401Cには、光学ユニット4を構成する種々の光学部品が装着され、これにより各光学部品は、ライトガイド40内に設定された照明光軸上に精度よく配置される。上ライトガイドは、この下ライトガイド401に応じた平面形状を有し、下ライトガイド401の上面を塞ぐ蓋状部材として構成される。
また、下ライトガイド401の底面部401Aの光束射出側端部には、円形状の開口部が形成された前面壁が設けられていて、この前面壁には、投写レンズ3の基端部分が接合固定される。
【0028】
このようなライトガイド40内は、図5に示されるように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光変調光学系および色合成光学系を一体化した光学装置44とに機能的に大別される。尚、本例における光学ユニット4は、三板式のプロジェクタに採用されるものであり、ライトガイド40内で光源から射出された白色光を三色の色光に分離する空間色分離型の光学ユニットとして構成されている。
インテグレータ照明光学系41は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系であり、光源装置411、第1レンズアレイ412、第2レンズアレイ413、偏光変換素子414、および重畳レンズ415を備えて構成される。
【0029】
光源装置411は、放射光源としての光源ランプ416およびリフレクタ417を備え、光源ランプ416から射出された放射状の光線をリフレクタ417で反射して略平行光線とし、外部へと射出する。本例では、光源ランプ416として高圧水銀ランプを採用しているが、これ以外にメタルハライドランプやハロゲンランプを採用することもある。また、本例では、リフレクタ417として放物面鏡を採用しているが、楕円面鏡からなるリフレクタの射出面に平行化凹レンズを配置した構成も採用することもできる。
【0030】
第1レンズアレイ412は、照明光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備している。各小レンズは、光源ランプ416から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸方向に射出する。各小レンズの輪郭形状は、後述する液晶パネル441の画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定される。例えば、液晶パネル441の画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定される。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様の構成であり、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を液晶パネル441上に結像させる機能を有する。
【0031】
偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413からの光を1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置44での光の利用率が高められている。
具体的に、偏光変換素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の液晶パネル441上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441を用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ416からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子414を用いることにより、光源ランプ416から射出された光束を略1種類の偏光光に変換し、光学装置44における光の利用効率を高めている。なお。このような偏光変換素子414は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0032】
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421、422によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を有している。
リレー光学系43は、入射側レンズ431と、リレーレンズ433と、反射ミラー432、434とを備え、色分離光学系42で分離された色光である赤色光を液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
【0033】
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束のうち、赤色光成分と緑色光成分とは透過し、青色光成分は反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ418を通って、青色用の液晶パネル441Bに到達する。このフィールドレンズ418は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G、441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ418も同様である。
【0034】
また、ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ418を通って、緑色用の液晶パネル441Gに到達する。一方、赤色光は、ダイクロイックミラー422を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ418を通って、赤色光用の液晶パネル441Rに到達する。
なお、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ418に伝えるためである。なお、リレー光学系43には、3つの色光のうちの赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0035】
光学装置44は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、色分離光学系42で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板442と、各入射側偏光板442の後段に配置される光変調素子としての液晶パネル441R、441G、441Bと、各液晶パネル441R、441G、441Bの後段に配置される射出側偏光板443と、色合成光学素子としてのクロスダイクロイックプリズム444とを備える。
【0036】
液晶パネル441R、441G、441Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、図示を略したが、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されたパネル本体を、保持枠内に収納して構成される。
光学装置44において、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441R,441G,441B、入射側偏光板442、および射出側偏光板443によって画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
【0037】
入射側偏光板442は、色分離光学系42で分離された各色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、サファイアガラス等の基板に偏光膜が貼付されたものである。また、基板を用いずに、偏光膜をフィールドレンズ418に貼り付けてもよい。
射出側偏光板443も、入射側偏光板442と略同様に構成され、液晶パネル441(441R,441G,441B)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。また、基板を用いずに、偏光膜をクロスダイクロイックプリズム444に貼り付けてもよい。
これらの入射側偏光板442および射出側偏光板443は、互いの偏光軸の方向が直交するように設定されている。
【0038】
クロスダイクロイックプリズム444は、射出側偏光板443から射出され、色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成するものである。
クロスダイクロイックプリズム444には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
このような光学装置44は、クロスダイクロイックプリズム444の各光束入射端面に、矩形板状体の四隅部分に面外方向に突出するピンを備えた保持部材としてのパネル固定板を貼り付け、各ピンに液晶パネル441R、441G、441Bの保持枠に形成された孔を挿入することにより一体化されている。
そして、一体化された光学装置44は、前述したライトガイド40の投写レンズ3の光路前段に配置され、下ライトガイド401の底面部にねじ止め固定される。
【0039】
(2−2)制御基板5の構造
制御基板5は、図3に示すように、光学ユニット4の上側を覆うように配置され、演算処理装置、液晶パネル441駆動用ICが実装されたメイン基板51と、このメイン基板51の後端側で接続され、外装ケース2の背面部21D、22Dに起立するインターフェース基板52とを備えている。
インターフェース基板52の背面側には、前述したコネクタ群25が実装されていて、コネクタ群25から入力する画像情報は、このインターフェース基板52を介してメイン基板51に出力される。
【0040】
メイン基板51上の演算処理装置は、入力した画像情報を演算処理した後、液晶パネル駆動用ICに制御指令を出力する。駆動用ICは、この制御指令に基づいて駆動信号を生成出力して液晶パネル441を駆動させ、これにより、画像情報に応じて光変調を行って光学像が形成される。
このようなメイン基板51は、パンチングメタルを折り曲げ加工した板金53によって覆われ、この板金53は、メイン基板51上の回路素子等によるEMI(電磁障害)を防止するために設けられている。
【0041】
(2−3)電源ブロック6の構造
電源ブロック6は、図6に示される電源回路を備えた電源ユニット61と、この電源ユニット61の下方に配置される図7に示される光源駆動回路を備えたランプ駆動ユニット62とを備えている。
電源ユニット61は、前述したインレットコネクタ33に接続された図示しない電源ケーブルを通して外部から供給された電力を、前記ランプ駆動ユニット62や制御基板5等に供給するものである。
【0042】
この電源ユニット61は、内部に配置される図示しない本体基板と、この本体基板を囲む金属製の筒状体612とを備えて構成されている。この筒状体612は、冷却空気を流す導風部材としての機能の他、制御基板5における板金53と同様にEMIを防止する。
また、この筒状体612の基端部分には、図示しない吸気ファンが取り付けられ、外部から開口部30(図2、図7参照)を介して冷却空気を取り込み、取り込んだ冷却空気を電源ブロック6内部に供給する。
【0043】
ランプ駆動ユニット62は、前述した光源装置411に安定した電圧で電力を供給するための変換回路であり、電源ユニット61から入力した商用交流電流は、このランプ駆動ユニット62によって整流、変換されて、直流電流や交流矩形波電流となって光源装置411に供給される。
このランプ駆動ユニット62は、図7に示すように、ロアーケース22の底面部22Aに樹脂リベットまたはねじにより固定される基板621と、基板621の上面部分に種々の回路素子622とを備えて構成され、基板621は、前述した電源ユニット61の延出方向と直交する方向に延出している。
【0044】
また、ランプ駆動ユニット62は、ロアーケース22の底面部22A内面に立設された複数の板状体64によって囲まれているとともに、複数の板状体64は、底面部22Aに形成された吸気用の開口部30をも囲むように設けられていて、開口部30近傍の空間およびランプ駆動ユニット62が配置された空間は、これら複数の板状体64によってロアーケース22内で他の空間から独立している。
尚、複数の板状体64は、ロアーケース22の射出成形時に同時に一体的に成形して構成されたものである。
このような電源ユニット61は、ロアーケース22に樹脂リベットまたはねじにより固定される。
【0045】
(2−4)冷却構造
前述したプロジェクタ1には、図8に示されるように、内部に光学装置44の冷却系Aと、電源ブロック6の冷却系Bとが設定されている。
冷却系Aは、吸気ダクトユニット7によって開口部29から吸気された冷却空気の流れである。
吸気ダクトユニット7は、投写レンズ3を挟んで対向配置される一対のシロッコファン71と、これら一対のシロッコファン71の吸気面を開口部29に連通させるダクトと(図示略)を含んで構成される。
【0046】
吸気ダクトユニット7から取り込まれた冷却空気は、シロッコファン71を介して、液晶パネル441R、441G、441Bの下方に供給され、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面に沿って下方から上方に流れ、液晶パネル441R、441G、441B、射出側偏光板443、入射側偏光板442を冷却する。
ここで、図8のプロジェクタ1の前面から見て、投写レンズ3左側に配置されるシロッコファン71は、液晶パネル441R,441Bに冷却空気を供給するが、その内の一部は、偏光変換素子414および光源ランプ416の冷却空気として使用される。
【0047】
すなわち、この冷却空気の一部は、ロアーケース22の底面部22Aと、下ライトガイド401の下面との間に形成された隙間を流れ、その途中でさらに、2方向に分岐する。一方の分岐した冷却空気は、偏光変換素子414に応じた位置の下ライトガイド401の下面に形成されたスリット孔から、ライトガイド40内部に供給されて偏光変換素子414を冷却した後、光源装置411に供給されて光源ランプ416を冷却する。他方の分岐した冷却空気は、直接光源装置411に供給され、光源ランプ416を冷却する。
そして、光源ランプ416を冷却した空気は、排気ファン81および排気ダクト82を備えた排気ダクトユニット8によって集荷され、フロントケース23の開口部35からプロジェクタ1の外部に排出される。
光学装置44の上方に流れた冷却空気は、制御基板5を構成するメイン基板51にあたってその流れ方向が直角に曲折され、メイン基板51に実装された種々の回路素子を冷却する。
メイン基板51を冷却した冷却空気は、排気ファン81および排気ダクト82を備えた排気ダクトユニット8によって集荷され、フロントケース23の開口部35からプロジェクタ1の外部から排出される。
【0048】
一方、冷却系Bは、電源ユニット61に設けられた図示しない吸気ファンによって開口部30から取り込まれた冷却空気の流れであり、電源ユニット61およびランプ駆動ユニット62を冷却する系である。
そして、吸気ファンによって開口部30から取り込まれた冷却空気は、一部が電源ユニット61の筒状体612の内部に供給され、本体基板に実装された回路素子を冷却する、また、他の一部が、筒状体612の下面を流れ、ランプ駆動ユニット62に供給され、ランプ駆動ユニット62の基板621上に実装された回路素子を冷却する。
この後、電源ブロック6を冷却した空気は、開口部35を介して外部に排出される。
【0049】
(3)光学部品の保持構造
ここで、光学ユニット4において、ライトガイド40における光学部品としての入射側偏光板442および光学補償手段としての視野角拡大板448の保持構造を詳細に説明する。
また、ライトガイド40の構成についても説明する。
ライトガイド40は、図9に示すように、下ライトガイド401と、この下ライトガイド401を閉塞する上ライトガイド402とを備えている。
上ライトガイド402は、下ライトガイド401の開口部分に対応した形状を有して略板状に形成され、下ライトガイド401に設置される光学装置44の位置に対応するように切り欠き部402Aが形成されている。そして、この上ライトガイド402は、この切り欠き部402Aに沿って、かつ、下ライトガイド401に設置される光学装置44の各液晶パネル441に対応して、3つの第1回動機構403を備えている。なお、図9では、液晶パネル441Bに対応する第1回動機構403のみを示し、液晶パネル441R,441Gに対応する第1回動機構403を省略している。
【0050】
第1回動機構403は、入射側偏光板442を保持し、ライトガイド40内に形成される照明光軸と直交する面内で回動自在に構成される。この第1回動機構403は、図10に示すように、第1保持枠403Aと、支持部403Bと、調整部403Cとを備えている。
第1保持枠403Aは、図9または図10に示すように、略矩形枠状に形成され、入射側偏光板442を保持する。この第1保持枠403Aは、長辺側辺縁の一端から短辺に沿って上方に延出し、さらに、長辺方向に離間するように腕部403A1が形成されている。そして、この腕部403A1の先端には、調整部403Cと遊嵌する孔403A2が形成されている。
また、この第1保持枠403Aの長辺側辺縁の他端には、支持部403Bと係合する孔403A3が形成されている。
さらに、この第1保持枠403Aの開口部周縁近傍には、入射側偏光板442の外形位置を規定する外形位置規定部403A4が形成されている。そして、第1保持枠403Aには、外形位置規定部403A4にて入射側偏光板442の外形位置を規定しつつ、接着剤または両面テープまたは熱カシメ等により、入射側偏光板442を固定する。
【0051】
支持部403Bは、図9または図10に示すように、切り欠き部402Aから照明光軸に平行に突出する突出部であり、第1保持枠403Aの孔403A3と係合し、第1保持枠403Aを回動自在に軸支する。
調整部403Cは、図10に示すように、支持部403Bを中心として第1保持枠403Aを回動する。ここで、上ライトガイド402の切り欠き部402Aの近傍には、図9または図10に示すように、表面側に径の大きな穴402B1、内部に径の小さな穴402B2を持った段付き穴402Bが形成されている。そして、穴402B2は、雌ねじ孔である。すなわち、この穴402B2が、本発明に係る螺合構造に相当する。そして、調整部403Cは、この穴402B2と螺合する螺合部材としてのねじ403C1と、ねじ403C1に対して第1保持枠403Aを付勢する付勢部材としてのコイルバネ403C2とを備えている。
【0052】
ねじ403C1は、回転端が鍔状に形成され、この回転端がライトガイド40に対して外部に露出する。
コイルバネ403C2は、腕部403A1と穴402B1の底面との間に、ねじ403C1に遊嵌して配置される。
コイルバネ403C2は、その一端が腕部403A1の下面に当接し、他端が穴402B1の底面に当接する。このため、下方に配置されたコイルバネ403C2は、第1保持枠403Aの腕部403A1の下方への移動を規制する。
第1保持枠403Aの腕部403A1の上方への規制は、ねじ403C1の回転端の下面によって規制され、腕部403A1の上下の移動は、調整部403Cのねじ403C1の螺合状態を変更することで実施される。
【0053】
ここで、調整部403Cのねじ403C1を右方向に回転させることにより、ねじ403C1は、螺合状態を変更して穴402B2を下方に移動する。これに伴いねじ403C1の回転端に当接する第1保持枠403Aの腕部403A1を下方に押圧し、コイルバネ403C2が撓み、第1保持枠403Aの腕部403A1が下方に移動する。すなわち、第1保持枠403Aは、照明光軸に直交した面内において、支持部403Bを中心として時計回りに回転し、入射側偏光板442の偏光軸もまた時計回りに回転する。
また、調整部403Cのねじ403C2を左方向に回転させることにより、ねじ403C1は、螺合状態を変更して穴402B2を上方に移動する。これに伴いコイルバネ403C2は、第1保持枠403Aの腕部403A1を上方に押圧し、第1保持枠403Aの腕部403A1が上方に移動する。すなわち、第1保持枠403Aは、照明光軸に直交した面内において、支持部403Bを中心として反時計回りに回転し、入射側偏光板442の偏光軸もまた反時計回りに回転する。
そして、上述した調整は、下ライトガイド401に上ライトガイド402を閉塞した状態で実施し、調整が終了した際には、調整部403Cのねじ403C2を、例えば、第1保持枠403Aまたは穴402B1と接着剤により固定して、第1保持枠403Aの回動を不可能にする。
【0054】
下ライトガイド401は、図9に示すように、収納された光学装置44の液晶パネル441近傍に位置する上述した溝部401Cに挿入され、該溝部401Cで回動自在に構成される第2回動機構404を備えている。
第2回動機構404は、視野角拡大板448を保持する略円形状の外形を有する第2保持枠404A(図9または図11参照)と、この第2保持枠404Aを回動自在に支持する支持溝404Bとを備えている。
第2回動機構404は、図11に示すように、視野角拡大板448を保持して、回動することにより、視野角拡大板448の面内方向の角度を変更して視野角を調整する。
ここで、視野角拡大板448は、該視野角拡大板448の強度を維持するために、例えば、ガラス基板上に視野角拡大フィルムが貼り付けられた構成となっている(例えば、富士写真フィルムが販売する「Fuji WV Film ワイドビューA」(商品名)等の視野角拡大板)。そして、この視野角拡大板448は、第2回動機構404に接着剤または両面テープまたは、熱カシメ等により固定される。
【0055】
第2保持枠404Aは、板状部材から構成され、その上部には、上方へ突出する突出部404A1が所定の間隔で2つ形成されている。これらの突出部404A1は、それぞれ互いに対向する側面の上側の角部分が面取りされている。そして、これらの2つの突出部404A1の隙間には、図示しない調整治具が係合し、第2保持枠404Aが支持溝404Bに沿って姿勢調整できるようになっている。
この第2保持枠404Aは、上ライトガイド402に形成された切り欠き部402Aに対応した位置に配置され、ライトガイド40に対して着脱自在に構成されている。このため、上述した第2回動機構404による視野角拡大板448の調整は、下ライトガイド401に上ライトガイド402が閉塞した状態で実施でき、調整が終了した際には、例えば、支持溝404Bとこの支持溝404Bと係合する第2保持枠404Aの外周縁とを接着剤等により接着固定する。
支持溝404Bは、下ライトガイド401に形成された溝部401Cと同様に形成されたものであり、照明光軸と直交する面内に形成されている。そして、この支持溝404Bは、図9に示すように、下ライトガイド401に光学装置44およびフィールドレンズ418が設置された状態で液晶パネル441およびフィールドレンズ418の間に位置している。
【0056】
なお、第1回動機構403および第2回動機構404における入射側偏光板442および視野角拡大板448の位置調整は、どちらから実施してもよい。例えば、以下のように実施してもよい。
すなわち、第2回動機構404をライトガイド40から外した状態で、第1回動機構403により入射側偏光板442の位置調整を実施する。そして、入射側偏光板442の位置調整を終了した後、第2回動機構404をライトガイド40の溝部401Cに挿入し、第2回動機構404により視野角拡大板448の位置調整を実施する。
そして、下ライトガイド401に上ライトガイド402が閉塞した状態で、光束入射側の第1回動機構403、第2回動機構404、液晶パネル441の順に配置されている。
【0057】
(4)実施形態の効果
前述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(4−1)ライトガイド40は、第1回動機構403および第2回動機構404を備えているので、従来の調整機構と比較して、これら回動機構403,404により入射側偏光板442および視野角拡大板448の位置調整を実施できる。したがって、入射側偏光板442における偏光軸の角度に応じて、視野角拡大板448の視野角調整を実施でき、高いコントラスト比を実現しつつ、液晶パネル441毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【0058】
(4−2)第1回動機構403は、第1保持枠403A、支持部403Bおよび調整部403Cを備えている。さらに、第2回動機構404は、下ライドガイド401に形成された溝部401C内で回動自在に構成される。このことにより、回動機構を簡素化し、入射側偏光板442および視野角拡大板448の位置調整を容易に実施できる。
【0059】
(4−3)上ライトガイド402には、切り欠き部402Aが形成され、第2回動機構404は、この切り欠き部402Aを介してライトガイド40に対して着脱自在に設けられている。このことにより、第1回動機構403を操作して入射側偏光板442における位置調整を実施した後に、第2回動機構404をライトガイド40に装着して視野角拡大板448における位置調整を実施すれば、ライトガイド40内部に光学部品が密接した場合であっても、これら光学部品の位置調整を効率的かつ容易に実施できる。
【0060】
(4−4)調整部403Cは、ねじ403C1およびコイルバネ403C2を備え、第1保持枠403Aは、ねじ403C1の穴402B2に対する螺合状態を変更することにより支持部403Bを中心として回動するので、入射側偏光板442の位置を微小に変更でき、簡素な構造で位置調整を適切に実施できる。
(4−5)ねじ403C1の回転端は、ライトガイド40に対して外部に露出しているので、ライトガイド40の外部から、ねじ403C1の螺合状態を変更できる。すなわち、下ライトガイド401に上ライトガイド402を閉塞した状態で入射側偏光板442の位置を変更でき、入射側偏光板442の位置調整をさらに容易に実施できる。
【0061】
(5)実施形態の変形
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前記実施形態では、第1回動機構403および第2回動機構404は、それぞれ光学部品としての入射側偏光板442および視野角拡大板448を保持して、これら光学部品の位置調整を実施していたが、これに限らない。例えば、その他の光学部品として、射出側偏光板443、第1レンズアレイ412、第2レンズアレイ413、フィールドレンズ418、その他の光学部品を保持して、位置調整を実施するような構成を採用してもよい。
【0062】
前記実施形態では、視野角拡大板448は、入射側偏光板442と液晶パネル441との間に配置されていたが、これに限らない。例えば、液晶パネル441と射出側偏光板443との間に配置してもよい。すなわち、下ライトガイド401を上ライトガイド402が閉塞した状態で、第2回動機構404が液晶パネル441と射出側偏光板443との間に配置されるように構成してもよい。
【0063】
前記実施形態では、第1回動機構403の調整部403Cには、1つのコイルバネ403C2を備えていたが、これに限らない。例えば、コイルバネ403C2を、腕部403A1と穴402B1の底面との間の他に、ねじ403C1の回転端と該ねじ403C1に遊嵌した第1保持枠403Aの腕部403A1との間に設ける構成としてもよい。すなわち、2つのコイルバネ403C2にてねじ403C1に対して第1保持枠403Aを付勢する。
前記実施形態では、回動機構として第1回動機構403および第2回動機構404の2つで構成されていたが、これに限らない。2つ以上で構成してもよい。前記実施形態では、螺合構造を、段付き穴402B内の穴402B2とする構成を説明したが、これに限らない。例えば、段付き穴としないで、切り欠き部402A近傍に形成された穴402B2のみとしてもよい。
前記実施形態では、付勢部材としてコイルバネ403C2を採用して説明したが、これに限らず、弾性を有する弾性部材で構成してもよい。
【0064】
前記実施形態では、三つの液晶パネル441を用いたプロジェクタ1を説明したが、これに限らない。例えば、一つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、二つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、あるいは、四つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタのも適用可能である。
前記実施形態では、平面視略L字状の光学ユニット4に本発明を採用していたが、これに限らず、平面視略U字状の光学ユニット4に本発明を採用してもよい。
前記実施形態では、光変調素子として液晶パネルを用いたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調素子を用いてもよい。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の光変調素子を用いたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の光変調素子を用いてもよい。前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行うフロントタイプのプロジェクタの例のみを説明したが、本発明では、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタの外観構成を表す概要斜視図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの外観構成を表す概要斜視図。
【図3】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図4】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図5】前記実施形態におけるプロジェクタの光学系の構造を表す模式図。
【図6】前記実施形態における電源回路の配置を表す概要斜視図。
【図7】前記実施形態における光源駆動回路の配置を表す概要斜視図。
【図8】前記実施形態におけるプロジェクタの冷却系を表す概要斜視図。
【図9】前記実施形態における光学部品の保持構造を説明する図。
【図10】前記実施形態における第1回動機構を表す図。
【図11】前記実施形態における第2回動機構を表す図。
【符号の説明】
1・・・プロジェクタ、4・・・光学ユニット、40・・・ライトガイド(光学部品用筐体)、401C・・・溝部、402B2・・・穴(螺合構造)、403・・・第1回動機構、403A・・・第1保持枠、403B・・・支持部、403C・・・調整部、403C1・・・ねじ(螺合部材)、403C2・・・コイルバネ(付勢部材)、404・・・第2回動機構、411・・・光源、442・・・入射側偏光板(偏光光学素子)、448・・・視野角拡大板(視野角拡大光学素子)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に光源から射出された光束の照明光軸が設定され、複数の光学部品を収納して前記照明光軸上の所定位置に配置する光学部品用筐体、光学ユニットおよびプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、会議、学会、展示会等でのプレゼンテーションにプロジェクタを用いることが知られている。このようなプロジェクタは、その内部に複数の光学部品を収容し、これらの光学部品を用いることにより、光源から射出された光束を変調した後に拡大投写して投写画像を形成している。
このような光学部品として、光源から射出された光束を変調する光変調素子と、この光変調素子を挟むように配置される入射側偏光板および射出側偏光板とが用いられている。
ここで、入射側偏光板および射出側偏光板は、光変調素子に入射する偏光方向を制御するとともに、光変調素子から射出される光束の偏光方向を制御するものであり、それぞれの偏光軸が直交するように配置される。このような構成により、投写画像の高いコントラストを実現している。
【0003】
このため、従来では、入射側偏光板および射出側偏光板の偏光軸同士のなす角度、入射側偏光板、射出側偏光板それぞれの偏光軸の角度を調整するための調整機構を備えたプロジェクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この調整機構は、光学部品を収容する光学部品用筐体とは独立して設けられ、光学部品用筐体の所定位置に設置される。そして、光学部品用筐体の上面に形成された孔を介してこの調整機構を操作することにより、入射側偏光板を照明光軸と直交する面内で位置調整が実施される。
また、近年において、三枚の光変調素子を用いた三板式のプロジェクタでは、光変調素子毎の視野角を調整し、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制して、色むらのない投写画像を形成するために、光学補償手段としての位相差板または視野角拡大板等を用いる構成も利用されている。この光学補償手段は、照明光軸上において、例えば、入射側偏光板または射出側偏光板と、光変調素子との間に配置され、光学部品用筐体に固定される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−259093号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような調整機構では、入射側偏光板の偏光軸の角度を調整する。これに対して光学補償手段は、光学部品用筐体に固定されているので、調整された偏光軸の角度に応じた視野角の調整を実施することができない。したがって、例えば、三板式のプロジェクタでは、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制できず、投写画像に色むらが生じるなどの問題が一例として挙げられる。
【0006】
本発明の目的は、このような問題点に鑑みて、高いコントラスト比を実現するとともに、色むらのない良好な投写画像を形成することができる光学部品用筐体、光学ユニットおよびプロジェクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の光学部品用筐体は、内部に光源から射出された光束の照明光軸が設定され、複数の光学部品を収納して前記照明光軸上の所定位置に配置する光学部品用筐体であって、前記照明光軸上の所定位置に前記光学部品を配置するために、前記照明光軸と直交する面内で前記光学部品を回動自在にする複数の回動機構を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、光学部品用筐体は、複数の回動機構を備えているので、従来の調整機構と比較して、これら回動機構により複数の光学部品の位置調整を実施できる。例えば、光学部品として、入射側偏光板、射出側偏光板、光学補償手段としての位相差板、視野角拡大板を採用すれば、偏光板における偏光軸の角度調整とともに、光学補償手段における視野角調整も実施できる。したがって、偏光板における偏光軸の角度に応じて、光学補償手段の視野角調整を実施でき、高コントラストかつ視野角の良好な投写画像を形成できる。また、例えば、三板式のプロジェクタにおいては、高いコントラスト比を実現しつつ、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【0008】
本発明の光学部品用筐体では、前記回動機構は、光学部品を保持する第1保持枠と、この第1保持枠を前記照明光軸と直交する面内で回動自在に軸支する支持部と、この支持部を中止として前記第1保持枠を回動させる調整部とを備えた第1回動機構と、他の光学部品を保持する略円形状の外形を有する第2保持枠と、この第2保持枠を回動自在に支持する支持溝とを備えた第2回動機構とを備えていることが好ましい。
本発明では、回動機構は、第1回動機構および第2回動機構を備えている。また、第1回動機構は、第1保持枠、支持部および調整部を備えている。さらに、第2回動機構は、第2保持枠および支持溝を備え、第2保持枠が支持溝内で回動自在に構成される。このことにより、回動機構を簡素化し、光学部品の位置調整を容易に実施できる。
【0009】
本発明の光学部品用筐体では、前記第2保持枠は、当該光学部品用筐体本体に対して着脱自在に設けられることが好ましい。
本発明では、第2保持枠は、光学部品用筐体本体に対して着脱自在に設けられている。このことにより、例えば、光学部品用筐体内部に光学部品が密接して設置される場合には、第1回動機構を操作して一方の光学部品における位置調整を実施した後に、第2保持枠を光学部品用筐体に装着して他方の光学部品における位置調整を実施できる。したがって、光学部品の位置調整を効率的かつ容易に実施できる。
【0010】
本発明の光学部品用筐体では、当該光学部品用筐体本体は、下面略法線方向に延びる螺合構造を備え、前記調整部は、前記第1保持枠を介して前記螺合構造と螺合する螺合部材と、前記螺合部材に対して前記第1保持枠を付勢する付勢部材とを備え、前記第1保持枠は、前記螺合部材の螺合状態を変更することにより前記支持部を中心として回動することが好ましい。
本発明によれば、調整部は、螺合部材および付勢部材を備え、第1保持枠は、螺合部材の螺合状態を変更することにより支持部を中心として回動するので、簡素な構造で光学部品の位置調整を適切に実施できる。
【0011】
本発明の光学部品用筐体では、前記螺合部材は、ねじであり、前記ねじの回転端は、当該光学部品用筐体に対して外部に露出していることが好ましい。
本発明によれば、螺合部材は、ねじであり、ねじの回転端が、光学部品用筐体に対して外部に露出しているので、光学部品用筐体の外部から、螺合部材における螺合状態の変更を実施できる。すなわち、光学部品用筐体の外部から螺合部材の螺合状態の変更を実施できるので、光学部品の位置調整をさらに容易に実施できる。
【0012】
本発明の光学部品用筐体では、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調素子と、入射する光束の偏光軸を変換する偏光板と、前記光変調素子から射出される光束の視野角を拡大する光学補償手段とを収納し、前記第1回動機構は、前記偏光板を保持し、前記第2回動機構は、前記光学補償手段を保持することが好ましい。
ここで、光学補償手段としては、例えば、位相差板、富士写真フィルムが販売する「Fuji WV Film ワイドビューA」(商品名)等の視野角拡大板等を採用できる。
本発明によれば、第1回動機構は偏光板を保持し、第2回動機構は光学補償手段を保持するので、従来の調整機構と比較して、偏光板および光学補償手段それぞれを独立して位置調整を実施できる。したがって、偏光板における偏光軸の角度に応じて、光学補償手段の視野角調整を実施でき、高コントラストかつ視野角の良好な投写画像を形成できる。また、例えば、三板式のプロジェクタにおいては、高いコントラスト比を実現するとともに、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【0013】
本発明の光学ユニットは、光源から射出された光束の光路上に配置される複数の光学部品と、上記光学部品用筐体とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、前述の光学部品用筐体を備えることで、前述したように本発明の目的が達成されるうえ、前述の他の作用効果をも同様に奏する。
また、前述した光学部品用筐体を用いれば、光学ユニット内部の種々の光学部品を容易に位置調整できる。
【0014】
本発明のプロジェクタは、上記光学ユニットを備えていることを特徴とする。本発明によれば、前述の光学ユニットを備えることで、前述したように本発明の目的が達成されるうえ、前述の他の作用効果をも同様に奏する。
また、前述した光学ユニットを用いれば、投写画像の高コントラスト化を図るとともに、良好な視野角を有する投写画像を形成できる。さらに、例えば、三板式のプロジェクタとすれば、投写画像の高コントラスト化を図るとともに、光変調素子毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)外観構成
図1および図2には、本発明の実施形態に係るプロジェクタ1が示されており、図1は上方前面側から見た斜視図であり、図2は下方背面側から見た斜視図である。
このプロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面上に拡大投写する光学機器であり、後述する光学エンジンを含む装置本体を内部に収納する外装ケース2および外装ケース2から露出する投写レンズ3を備えている。
投写レンズ3は、後述する光変調素子としての液晶パネルにより光源から射出された光束を画像情報に応じて変調形成された光学像を拡大投写する投写光学系としての機能を具備するものであり、筒状体内部に複数のレンズが収納された組レンズとして構成される。
【0016】
外装ケース2は、投写方向に直交する幅方向の寸法が投写方向寸法よりも大きい幅広の直方体形状をなし、装置本体の上部を覆うアッパーケース21と、装置本体の下部を覆うロアーケース22と、装置本体の前面部分を覆うフロントケース23とを備えている。これら各ケース21〜23は、射出成形等によって成形された合成樹脂製の一体成形品である。
【0017】
アッパーケース21は、装置本体の上部を覆う上面部21Aと、この上面部21Aの幅方向端部から略垂下する側面部21B、21Cと、上面部21Aの後端部から略垂下する背面部21Dとを備えている。
上面部21Aの投写方向前側には、プロジェクタ1の起動・調整操作を行うための操作パネル24が設けられている。この操作パネル24は、起動スイッチ、画像・音声等の調整スイッチを含む複数のスイッチを備え、プロジェクタ1による投写時には、操作パネル24中の調整スイッチ等を操作することにより、画質・音量等の調整を行うことができる。
【0018】
また、上面部21Aの操作パネル24の隣には、複数の孔241が形成されていて、この内部には、図示を略したが、音声出力用のスピーカが収納されている。
これら操作パネル24およびスピーカは、後述する装置本体を構成する制御基板と電気的に接続され、操作パネル24による操作信号はこの制御基板で処理される。
背面部21Dには、略中央部分に上面部21A側に切り欠かれた凹部が形成され、この凹部には、後述する制御基板に接続されたインターフェース基板上に設けられたコネクタ群25が露出する。
【0019】
ロアーケース22は、アッパーケース21との係合面を中心として略対称に構成され、底面部22A、側面部22B、22C、および背面部22Dを備えている。そして、側面部22B、22C、および背面部22Dは、その上端部分でアッパーケース21の側面部21B、21C、および背面部21Dの下端部分と係合し、外装ケース2の側面部分および背面部分を構成する。
【0020】
底面部22Aには、プロジェクタ1の後端側略中央に固定脚部26が設けられているとともに、先端側幅方向両端に調整脚部27が設けられている。
この調整脚部27は、底面部22Aから面外方向に進退自在に突出する軸状部材から構成され、軸状部材自体は、外装ケース2の内部に収納されている。このような調整脚部27は、プロジェクタ1の側面部分に設けられる調整ボタン271を操作することにより、底面部22Aからの進退量を調整することができる。これにより、プロジェクタ1から射出された投写画像の上下位置を調整し、適切な位置に投写画像を形成することができるようになる。
【0021】
また、底面部22Aには、外装ケース2の内部と連通する開口部28、29、30が形成されている。
開口部28は、プロジェクタ1の光源を含む光源装置を着脱する部分であり、通常は、ランプカバー281によって塞がれている。
開口部29、30は、スリット状の開口部として構成される。
開口部29は、光源ランプから射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置としての液晶パネルを含む光学装置を冷却するための冷却空気取込用の吸気用開口部である。
開口部30は、プロジェクタ1の装置本体を構成する電源ユニット、光源駆動回路を冷却するための冷却空気取込用の吸気用開口部である。
尚、開口部29、30は、そのスリット状開口部分で常時プロジェクタ1内部と連通しているため、塵埃等が内部に侵入しないように、それぞれの内側に防塵フィルタが設けられている。ただし、開口部30は防塵フィルタを設けなくてもよい。
【0022】
さらに、底面部22Aには、底面部22Aに回転自在に取り付けられた蓋部材31が設けられていて、この蓋部材31の内部には、プロジェクタ1を遠隔操作するためのリモートコントローラが収納されるようになっている。尚、図示しないリモートコントローラには、前述した操作パネル24に設けられる起動スイッチ、調整スイッチ等と同様のものが設けられていて、リモートコントローラを操作すると、この操作に応じた赤外線信号がリモートコントローラから出力され、赤外線信号は、外装ケース前面および背面に設けられる受光部311を介して制御基板で処理される。
【0023】
背面部22Dには、アッパーケース21の場合と同様に、略中央部分に底面部22A側に切り欠かれた凹部が形成され、前記インターフェース基板上に設けられたコネクタ群25が露出するとともに、端部近傍にもさらに開口部32が形成されていて、この開口部32からインレットコネクタ33が露出している。インレットコネクタ33は、外部電源からプロジェクタ1に電力を供給する端子であり、後述する電源ユニットと電気的に接続される。
【0024】
フロントケース23は、前面部23Aおよび上面部23Bを備えて構成され、上面部23Bの投写方向後端側で前述したアッパーケース21およびロアーケース22の投写方向先端部分と係合する。
前面部23Aには、投写レンズ3を露出させるための略円形状の開口部34、およびその隣に形成された複数のスリットから構成される開口部35が形成されている。
【0025】
開口部34は、その上面側がさらに開口され、投写レンズ3の鏡筒の一部が露出していて、鏡筒周囲に設けられたズーム・フォーカス調整用のつまみ3A、3Bを外部から操作することができるようになっている。
開口部35は、装置本体を冷却した空気を排出する排気用開口部として構成され、後述するプロジェクタ1の構成部材である光学系、制御系、および電源ユニット・ランプ駆動ユニットを冷却した空気は、この開口部35からプロジェクタ1の投写方向に排出される。
【0026】
(2)内部構成
このような外装ケース2の内部には、図3〜図5に示されるように、プロジェクタ1の装置本体が収納されており、この装置本体は、図3に示される光学ユニット4、制御基板5、および、図4に示される電源ブロック6を備えて構成される。
(2−1)光学ユニット4の構造
光学エンジンとしての光学ユニット4は、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、投写レンズ3を介してスクリーン上に投写画像を形成するものであり、図4に示される光学部品用筐体としてのライトガイド40内に、光源装置や、種々の光学部品等を組み込んだものとして構成される。
このライトガイド40は、下ライトガイド401、および図4では図示を略した上ライトガイドから構成され、それぞれは、射出成形等による合成樹脂製品である。
【0027】
下ライトガイド401は、光学部品を収納する底面部401A及び側壁部401Bからなる上部が開口された容器状に形成され、側壁部401Bには、複数の溝部401Cが設けられている。この溝部401Cには、光学ユニット4を構成する種々の光学部品が装着され、これにより各光学部品は、ライトガイド40内に設定された照明光軸上に精度よく配置される。上ライトガイドは、この下ライトガイド401に応じた平面形状を有し、下ライトガイド401の上面を塞ぐ蓋状部材として構成される。
また、下ライトガイド401の底面部401Aの光束射出側端部には、円形状の開口部が形成された前面壁が設けられていて、この前面壁には、投写レンズ3の基端部分が接合固定される。
【0028】
このようなライトガイド40内は、図5に示されるように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光変調光学系および色合成光学系を一体化した光学装置44とに機能的に大別される。尚、本例における光学ユニット4は、三板式のプロジェクタに採用されるものであり、ライトガイド40内で光源から射出された白色光を三色の色光に分離する空間色分離型の光学ユニットとして構成されている。
インテグレータ照明光学系41は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系であり、光源装置411、第1レンズアレイ412、第2レンズアレイ413、偏光変換素子414、および重畳レンズ415を備えて構成される。
【0029】
光源装置411は、放射光源としての光源ランプ416およびリフレクタ417を備え、光源ランプ416から射出された放射状の光線をリフレクタ417で反射して略平行光線とし、外部へと射出する。本例では、光源ランプ416として高圧水銀ランプを採用しているが、これ以外にメタルハライドランプやハロゲンランプを採用することもある。また、本例では、リフレクタ417として放物面鏡を採用しているが、楕円面鏡からなるリフレクタの射出面に平行化凹レンズを配置した構成も採用することもできる。
【0030】
第1レンズアレイ412は、照明光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備している。各小レンズは、光源ランプ416から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸方向に射出する。各小レンズの輪郭形状は、後述する液晶パネル441の画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定される。例えば、液晶パネル441の画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定される。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様の構成であり、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を液晶パネル441上に結像させる機能を有する。
【0031】
偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413からの光を1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置44での光の利用率が高められている。
具体的に、偏光変換素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の液晶パネル441上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441を用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ416からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子414を用いることにより、光源ランプ416から射出された光束を略1種類の偏光光に変換し、光学装置44における光の利用効率を高めている。なお。このような偏光変換素子414は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0032】
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421、422によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を有している。
リレー光学系43は、入射側レンズ431と、リレーレンズ433と、反射ミラー432、434とを備え、色分離光学系42で分離された色光である赤色光を液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
【0033】
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束のうち、赤色光成分と緑色光成分とは透過し、青色光成分は反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した青色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ418を通って、青色用の液晶パネル441Bに到達する。このフィールドレンズ418は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G、441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ418も同様である。
【0034】
また、ダイクロイックミラー421を透過した赤色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ418を通って、緑色用の液晶パネル441Gに到達する。一方、赤色光は、ダイクロイックミラー422を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ418を通って、赤色光用の液晶パネル441Rに到達する。
なお、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ418に伝えるためである。なお、リレー光学系43には、3つの色光のうちの赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0035】
光学装置44は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、色分離光学系42で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板442と、各入射側偏光板442の後段に配置される光変調素子としての液晶パネル441R、441G、441Bと、各液晶パネル441R、441G、441Bの後段に配置される射出側偏光板443と、色合成光学素子としてのクロスダイクロイックプリズム444とを備える。
【0036】
液晶パネル441R、441G、441Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、図示を略したが、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されたパネル本体を、保持枠内に収納して構成される。
光学装置44において、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441R,441G,441B、入射側偏光板442、および射出側偏光板443によって画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
【0037】
入射側偏光板442は、色分離光学系42で分離された各色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、サファイアガラス等の基板に偏光膜が貼付されたものである。また、基板を用いずに、偏光膜をフィールドレンズ418に貼り付けてもよい。
射出側偏光板443も、入射側偏光板442と略同様に構成され、液晶パネル441(441R,441G,441B)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。また、基板を用いずに、偏光膜をクロスダイクロイックプリズム444に貼り付けてもよい。
これらの入射側偏光板442および射出側偏光板443は、互いの偏光軸の方向が直交するように設定されている。
【0038】
クロスダイクロイックプリズム444は、射出側偏光板443から射出され、色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成するものである。
クロスダイクロイックプリズム444には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
このような光学装置44は、クロスダイクロイックプリズム444の各光束入射端面に、矩形板状体の四隅部分に面外方向に突出するピンを備えた保持部材としてのパネル固定板を貼り付け、各ピンに液晶パネル441R、441G、441Bの保持枠に形成された孔を挿入することにより一体化されている。
そして、一体化された光学装置44は、前述したライトガイド40の投写レンズ3の光路前段に配置され、下ライトガイド401の底面部にねじ止め固定される。
【0039】
(2−2)制御基板5の構造
制御基板5は、図3に示すように、光学ユニット4の上側を覆うように配置され、演算処理装置、液晶パネル441駆動用ICが実装されたメイン基板51と、このメイン基板51の後端側で接続され、外装ケース2の背面部21D、22Dに起立するインターフェース基板52とを備えている。
インターフェース基板52の背面側には、前述したコネクタ群25が実装されていて、コネクタ群25から入力する画像情報は、このインターフェース基板52を介してメイン基板51に出力される。
【0040】
メイン基板51上の演算処理装置は、入力した画像情報を演算処理した後、液晶パネル駆動用ICに制御指令を出力する。駆動用ICは、この制御指令に基づいて駆動信号を生成出力して液晶パネル441を駆動させ、これにより、画像情報に応じて光変調を行って光学像が形成される。
このようなメイン基板51は、パンチングメタルを折り曲げ加工した板金53によって覆われ、この板金53は、メイン基板51上の回路素子等によるEMI(電磁障害)を防止するために設けられている。
【0041】
(2−3)電源ブロック6の構造
電源ブロック6は、図6に示される電源回路を備えた電源ユニット61と、この電源ユニット61の下方に配置される図7に示される光源駆動回路を備えたランプ駆動ユニット62とを備えている。
電源ユニット61は、前述したインレットコネクタ33に接続された図示しない電源ケーブルを通して外部から供給された電力を、前記ランプ駆動ユニット62や制御基板5等に供給するものである。
【0042】
この電源ユニット61は、内部に配置される図示しない本体基板と、この本体基板を囲む金属製の筒状体612とを備えて構成されている。この筒状体612は、冷却空気を流す導風部材としての機能の他、制御基板5における板金53と同様にEMIを防止する。
また、この筒状体612の基端部分には、図示しない吸気ファンが取り付けられ、外部から開口部30(図2、図7参照)を介して冷却空気を取り込み、取り込んだ冷却空気を電源ブロック6内部に供給する。
【0043】
ランプ駆動ユニット62は、前述した光源装置411に安定した電圧で電力を供給するための変換回路であり、電源ユニット61から入力した商用交流電流は、このランプ駆動ユニット62によって整流、変換されて、直流電流や交流矩形波電流となって光源装置411に供給される。
このランプ駆動ユニット62は、図7に示すように、ロアーケース22の底面部22Aに樹脂リベットまたはねじにより固定される基板621と、基板621の上面部分に種々の回路素子622とを備えて構成され、基板621は、前述した電源ユニット61の延出方向と直交する方向に延出している。
【0044】
また、ランプ駆動ユニット62は、ロアーケース22の底面部22A内面に立設された複数の板状体64によって囲まれているとともに、複数の板状体64は、底面部22Aに形成された吸気用の開口部30をも囲むように設けられていて、開口部30近傍の空間およびランプ駆動ユニット62が配置された空間は、これら複数の板状体64によってロアーケース22内で他の空間から独立している。
尚、複数の板状体64は、ロアーケース22の射出成形時に同時に一体的に成形して構成されたものである。
このような電源ユニット61は、ロアーケース22に樹脂リベットまたはねじにより固定される。
【0045】
(2−4)冷却構造
前述したプロジェクタ1には、図8に示されるように、内部に光学装置44の冷却系Aと、電源ブロック6の冷却系Bとが設定されている。
冷却系Aは、吸気ダクトユニット7によって開口部29から吸気された冷却空気の流れである。
吸気ダクトユニット7は、投写レンズ3を挟んで対向配置される一対のシロッコファン71と、これら一対のシロッコファン71の吸気面を開口部29に連通させるダクトと(図示略)を含んで構成される。
【0046】
吸気ダクトユニット7から取り込まれた冷却空気は、シロッコファン71を介して、液晶パネル441R、441G、441Bの下方に供給され、クロスダイクロイックプリズム444の光束入射端面に沿って下方から上方に流れ、液晶パネル441R、441G、441B、射出側偏光板443、入射側偏光板442を冷却する。
ここで、図8のプロジェクタ1の前面から見て、投写レンズ3左側に配置されるシロッコファン71は、液晶パネル441R,441Bに冷却空気を供給するが、その内の一部は、偏光変換素子414および光源ランプ416の冷却空気として使用される。
【0047】
すなわち、この冷却空気の一部は、ロアーケース22の底面部22Aと、下ライトガイド401の下面との間に形成された隙間を流れ、その途中でさらに、2方向に分岐する。一方の分岐した冷却空気は、偏光変換素子414に応じた位置の下ライトガイド401の下面に形成されたスリット孔から、ライトガイド40内部に供給されて偏光変換素子414を冷却した後、光源装置411に供給されて光源ランプ416を冷却する。他方の分岐した冷却空気は、直接光源装置411に供給され、光源ランプ416を冷却する。
そして、光源ランプ416を冷却した空気は、排気ファン81および排気ダクト82を備えた排気ダクトユニット8によって集荷され、フロントケース23の開口部35からプロジェクタ1の外部に排出される。
光学装置44の上方に流れた冷却空気は、制御基板5を構成するメイン基板51にあたってその流れ方向が直角に曲折され、メイン基板51に実装された種々の回路素子を冷却する。
メイン基板51を冷却した冷却空気は、排気ファン81および排気ダクト82を備えた排気ダクトユニット8によって集荷され、フロントケース23の開口部35からプロジェクタ1の外部から排出される。
【0048】
一方、冷却系Bは、電源ユニット61に設けられた図示しない吸気ファンによって開口部30から取り込まれた冷却空気の流れであり、電源ユニット61およびランプ駆動ユニット62を冷却する系である。
そして、吸気ファンによって開口部30から取り込まれた冷却空気は、一部が電源ユニット61の筒状体612の内部に供給され、本体基板に実装された回路素子を冷却する、また、他の一部が、筒状体612の下面を流れ、ランプ駆動ユニット62に供給され、ランプ駆動ユニット62の基板621上に実装された回路素子を冷却する。
この後、電源ブロック6を冷却した空気は、開口部35を介して外部に排出される。
【0049】
(3)光学部品の保持構造
ここで、光学ユニット4において、ライトガイド40における光学部品としての入射側偏光板442および光学補償手段としての視野角拡大板448の保持構造を詳細に説明する。
また、ライトガイド40の構成についても説明する。
ライトガイド40は、図9に示すように、下ライトガイド401と、この下ライトガイド401を閉塞する上ライトガイド402とを備えている。
上ライトガイド402は、下ライトガイド401の開口部分に対応した形状を有して略板状に形成され、下ライトガイド401に設置される光学装置44の位置に対応するように切り欠き部402Aが形成されている。そして、この上ライトガイド402は、この切り欠き部402Aに沿って、かつ、下ライトガイド401に設置される光学装置44の各液晶パネル441に対応して、3つの第1回動機構403を備えている。なお、図9では、液晶パネル441Bに対応する第1回動機構403のみを示し、液晶パネル441R,441Gに対応する第1回動機構403を省略している。
【0050】
第1回動機構403は、入射側偏光板442を保持し、ライトガイド40内に形成される照明光軸と直交する面内で回動自在に構成される。この第1回動機構403は、図10に示すように、第1保持枠403Aと、支持部403Bと、調整部403Cとを備えている。
第1保持枠403Aは、図9または図10に示すように、略矩形枠状に形成され、入射側偏光板442を保持する。この第1保持枠403Aは、長辺側辺縁の一端から短辺に沿って上方に延出し、さらに、長辺方向に離間するように腕部403A1が形成されている。そして、この腕部403A1の先端には、調整部403Cと遊嵌する孔403A2が形成されている。
また、この第1保持枠403Aの長辺側辺縁の他端には、支持部403Bと係合する孔403A3が形成されている。
さらに、この第1保持枠403Aの開口部周縁近傍には、入射側偏光板442の外形位置を規定する外形位置規定部403A4が形成されている。そして、第1保持枠403Aには、外形位置規定部403A4にて入射側偏光板442の外形位置を規定しつつ、接着剤または両面テープまたは熱カシメ等により、入射側偏光板442を固定する。
【0051】
支持部403Bは、図9または図10に示すように、切り欠き部402Aから照明光軸に平行に突出する突出部であり、第1保持枠403Aの孔403A3と係合し、第1保持枠403Aを回動自在に軸支する。
調整部403Cは、図10に示すように、支持部403Bを中心として第1保持枠403Aを回動する。ここで、上ライトガイド402の切り欠き部402Aの近傍には、図9または図10に示すように、表面側に径の大きな穴402B1、内部に径の小さな穴402B2を持った段付き穴402Bが形成されている。そして、穴402B2は、雌ねじ孔である。すなわち、この穴402B2が、本発明に係る螺合構造に相当する。そして、調整部403Cは、この穴402B2と螺合する螺合部材としてのねじ403C1と、ねじ403C1に対して第1保持枠403Aを付勢する付勢部材としてのコイルバネ403C2とを備えている。
【0052】
ねじ403C1は、回転端が鍔状に形成され、この回転端がライトガイド40に対して外部に露出する。
コイルバネ403C2は、腕部403A1と穴402B1の底面との間に、ねじ403C1に遊嵌して配置される。
コイルバネ403C2は、その一端が腕部403A1の下面に当接し、他端が穴402B1の底面に当接する。このため、下方に配置されたコイルバネ403C2は、第1保持枠403Aの腕部403A1の下方への移動を規制する。
第1保持枠403Aの腕部403A1の上方への規制は、ねじ403C1の回転端の下面によって規制され、腕部403A1の上下の移動は、調整部403Cのねじ403C1の螺合状態を変更することで実施される。
【0053】
ここで、調整部403Cのねじ403C1を右方向に回転させることにより、ねじ403C1は、螺合状態を変更して穴402B2を下方に移動する。これに伴いねじ403C1の回転端に当接する第1保持枠403Aの腕部403A1を下方に押圧し、コイルバネ403C2が撓み、第1保持枠403Aの腕部403A1が下方に移動する。すなわち、第1保持枠403Aは、照明光軸に直交した面内において、支持部403Bを中心として時計回りに回転し、入射側偏光板442の偏光軸もまた時計回りに回転する。
また、調整部403Cのねじ403C2を左方向に回転させることにより、ねじ403C1は、螺合状態を変更して穴402B2を上方に移動する。これに伴いコイルバネ403C2は、第1保持枠403Aの腕部403A1を上方に押圧し、第1保持枠403Aの腕部403A1が上方に移動する。すなわち、第1保持枠403Aは、照明光軸に直交した面内において、支持部403Bを中心として反時計回りに回転し、入射側偏光板442の偏光軸もまた反時計回りに回転する。
そして、上述した調整は、下ライトガイド401に上ライトガイド402を閉塞した状態で実施し、調整が終了した際には、調整部403Cのねじ403C2を、例えば、第1保持枠403Aまたは穴402B1と接着剤により固定して、第1保持枠403Aの回動を不可能にする。
【0054】
下ライトガイド401は、図9に示すように、収納された光学装置44の液晶パネル441近傍に位置する上述した溝部401Cに挿入され、該溝部401Cで回動自在に構成される第2回動機構404を備えている。
第2回動機構404は、視野角拡大板448を保持する略円形状の外形を有する第2保持枠404A(図9または図11参照)と、この第2保持枠404Aを回動自在に支持する支持溝404Bとを備えている。
第2回動機構404は、図11に示すように、視野角拡大板448を保持して、回動することにより、視野角拡大板448の面内方向の角度を変更して視野角を調整する。
ここで、視野角拡大板448は、該視野角拡大板448の強度を維持するために、例えば、ガラス基板上に視野角拡大フィルムが貼り付けられた構成となっている(例えば、富士写真フィルムが販売する「Fuji WV Film ワイドビューA」(商品名)等の視野角拡大板)。そして、この視野角拡大板448は、第2回動機構404に接着剤または両面テープまたは、熱カシメ等により固定される。
【0055】
第2保持枠404Aは、板状部材から構成され、その上部には、上方へ突出する突出部404A1が所定の間隔で2つ形成されている。これらの突出部404A1は、それぞれ互いに対向する側面の上側の角部分が面取りされている。そして、これらの2つの突出部404A1の隙間には、図示しない調整治具が係合し、第2保持枠404Aが支持溝404Bに沿って姿勢調整できるようになっている。
この第2保持枠404Aは、上ライトガイド402に形成された切り欠き部402Aに対応した位置に配置され、ライトガイド40に対して着脱自在に構成されている。このため、上述した第2回動機構404による視野角拡大板448の調整は、下ライトガイド401に上ライトガイド402が閉塞した状態で実施でき、調整が終了した際には、例えば、支持溝404Bとこの支持溝404Bと係合する第2保持枠404Aの外周縁とを接着剤等により接着固定する。
支持溝404Bは、下ライトガイド401に形成された溝部401Cと同様に形成されたものであり、照明光軸と直交する面内に形成されている。そして、この支持溝404Bは、図9に示すように、下ライトガイド401に光学装置44およびフィールドレンズ418が設置された状態で液晶パネル441およびフィールドレンズ418の間に位置している。
【0056】
なお、第1回動機構403および第2回動機構404における入射側偏光板442および視野角拡大板448の位置調整は、どちらから実施してもよい。例えば、以下のように実施してもよい。
すなわち、第2回動機構404をライトガイド40から外した状態で、第1回動機構403により入射側偏光板442の位置調整を実施する。そして、入射側偏光板442の位置調整を終了した後、第2回動機構404をライトガイド40の溝部401Cに挿入し、第2回動機構404により視野角拡大板448の位置調整を実施する。
そして、下ライトガイド401に上ライトガイド402が閉塞した状態で、光束入射側の第1回動機構403、第2回動機構404、液晶パネル441の順に配置されている。
【0057】
(4)実施形態の効果
前述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(4−1)ライトガイド40は、第1回動機構403および第2回動機構404を備えているので、従来の調整機構と比較して、これら回動機構403,404により入射側偏光板442および視野角拡大板448の位置調整を実施できる。したがって、入射側偏光板442における偏光軸の角度に応じて、視野角拡大板448の視野角調整を実施でき、高いコントラスト比を実現しつつ、液晶パネル441毎に生じる視野角依存性による画面ムラを抑制し、色むらのない投写画像を形成できる。
【0058】
(4−2)第1回動機構403は、第1保持枠403A、支持部403Bおよび調整部403Cを備えている。さらに、第2回動機構404は、下ライドガイド401に形成された溝部401C内で回動自在に構成される。このことにより、回動機構を簡素化し、入射側偏光板442および視野角拡大板448の位置調整を容易に実施できる。
【0059】
(4−3)上ライトガイド402には、切り欠き部402Aが形成され、第2回動機構404は、この切り欠き部402Aを介してライトガイド40に対して着脱自在に設けられている。このことにより、第1回動機構403を操作して入射側偏光板442における位置調整を実施した後に、第2回動機構404をライトガイド40に装着して視野角拡大板448における位置調整を実施すれば、ライトガイド40内部に光学部品が密接した場合であっても、これら光学部品の位置調整を効率的かつ容易に実施できる。
【0060】
(4−4)調整部403Cは、ねじ403C1およびコイルバネ403C2を備え、第1保持枠403Aは、ねじ403C1の穴402B2に対する螺合状態を変更することにより支持部403Bを中心として回動するので、入射側偏光板442の位置を微小に変更でき、簡素な構造で位置調整を適切に実施できる。
(4−5)ねじ403C1の回転端は、ライトガイド40に対して外部に露出しているので、ライトガイド40の外部から、ねじ403C1の螺合状態を変更できる。すなわち、下ライトガイド401に上ライトガイド402を閉塞した状態で入射側偏光板442の位置を変更でき、入射側偏光板442の位置調整をさらに容易に実施できる。
【0061】
(5)実施形態の変形
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前記実施形態では、第1回動機構403および第2回動機構404は、それぞれ光学部品としての入射側偏光板442および視野角拡大板448を保持して、これら光学部品の位置調整を実施していたが、これに限らない。例えば、その他の光学部品として、射出側偏光板443、第1レンズアレイ412、第2レンズアレイ413、フィールドレンズ418、その他の光学部品を保持して、位置調整を実施するような構成を採用してもよい。
【0062】
前記実施形態では、視野角拡大板448は、入射側偏光板442と液晶パネル441との間に配置されていたが、これに限らない。例えば、液晶パネル441と射出側偏光板443との間に配置してもよい。すなわち、下ライトガイド401を上ライトガイド402が閉塞した状態で、第2回動機構404が液晶パネル441と射出側偏光板443との間に配置されるように構成してもよい。
【0063】
前記実施形態では、第1回動機構403の調整部403Cには、1つのコイルバネ403C2を備えていたが、これに限らない。例えば、コイルバネ403C2を、腕部403A1と穴402B1の底面との間の他に、ねじ403C1の回転端と該ねじ403C1に遊嵌した第1保持枠403Aの腕部403A1との間に設ける構成としてもよい。すなわち、2つのコイルバネ403C2にてねじ403C1に対して第1保持枠403Aを付勢する。
前記実施形態では、回動機構として第1回動機構403および第2回動機構404の2つで構成されていたが、これに限らない。2つ以上で構成してもよい。前記実施形態では、螺合構造を、段付き穴402B内の穴402B2とする構成を説明したが、これに限らない。例えば、段付き穴としないで、切り欠き部402A近傍に形成された穴402B2のみとしてもよい。
前記実施形態では、付勢部材としてコイルバネ403C2を採用して説明したが、これに限らず、弾性を有する弾性部材で構成してもよい。
【0064】
前記実施形態では、三つの液晶パネル441を用いたプロジェクタ1を説明したが、これに限らない。例えば、一つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、二つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、あるいは、四つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタのも適用可能である。
前記実施形態では、平面視略L字状の光学ユニット4に本発明を採用していたが、これに限らず、平面視略U字状の光学ユニット4に本発明を採用してもよい。
前記実施形態では、光変調素子として液晶パネルを用いたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調素子を用いてもよい。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の光変調素子を用いたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の光変調素子を用いてもよい。前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行うフロントタイプのプロジェクタの例のみを説明したが、本発明では、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタの外観構成を表す概要斜視図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの外観構成を表す概要斜視図。
【図3】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図4】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図5】前記実施形態におけるプロジェクタの光学系の構造を表す模式図。
【図6】前記実施形態における電源回路の配置を表す概要斜視図。
【図7】前記実施形態における光源駆動回路の配置を表す概要斜視図。
【図8】前記実施形態におけるプロジェクタの冷却系を表す概要斜視図。
【図9】前記実施形態における光学部品の保持構造を説明する図。
【図10】前記実施形態における第1回動機構を表す図。
【図11】前記実施形態における第2回動機構を表す図。
【符号の説明】
1・・・プロジェクタ、4・・・光学ユニット、40・・・ライトガイド(光学部品用筐体)、401C・・・溝部、402B2・・・穴(螺合構造)、403・・・第1回動機構、403A・・・第1保持枠、403B・・・支持部、403C・・・調整部、403C1・・・ねじ(螺合部材)、403C2・・・コイルバネ(付勢部材)、404・・・第2回動機構、411・・・光源、442・・・入射側偏光板(偏光光学素子)、448・・・視野角拡大板(視野角拡大光学素子)。
Claims (8)
- 内部に光源から射出された光束の照明光軸が設定され、複数の光学部品を収納して前記照明光軸上の所定位置に配置する光学部品用筐体であって、
前記照明光軸上の所定位置に前記光学部品を配置するために、前記照明光軸と直交する面内で前記光学部品を回動自在にする複数の回動機構を備えていることを特徴とする光学部品用筐体。 - 請求項1に記載の光学部品用筐体において、
前記回動機構は、光学部品を保持する第1保持枠と、この第1保持枠を前記照明光軸と直交する面内で回動自在に軸支する支持部と、この支持部を中心として前記第1保持枠を回動させる調整部とを備えた第1回動機構と、
他の光学部品を保持する略円形状の外形を有する第2保持枠と、この第2保持枠を回動自在に支持する支持溝とを備えた第2回動機構とを備えていることを特徴とする光学部品用筐体。 - 請求項2に記載の光学部品用筐体において、
前記第2保持枠は、当該光学部品用筐体本体に対して着脱自在に設けられることを特徴とする光学部品用筐体。 - 請求項2または請求項3に記載の光学部品用筐体において、
当該光学部品用筐体本体は、下面略法線方向に延びる螺合構造を備え、
前記調整部は、前記第1保持枠を介して前記螺合構造と螺合する螺合部材と、前記螺合部材に対して前記第1保持枠を付勢する付勢部材とを備え、
前記第1保持枠は、前記螺合部材の螺合状態を変更することにより前記支持部を中心として回動することを特徴とする光学部品用筐体。 - 請求項4に記載の光学部品用筐体において、
前記螺合部材は、ねじであり、
前記ねじの回転端は、当該光学部品用筐体に対して外部に露出していることを特徴とする光学部品用筐体。 - 請求項2から請求項5のいずれかに記載の光学部品用筐体において、
光源から射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調素子と、入射する光束の偏光軸を変換する偏光板と、前記光変調素子から射出される光束の視野角を拡大する光学補償手段とを収納し、
前記第1回動機構は、前記偏光板を保持し、
前記第2回動機構は、前記光学補償手段を保持することを特徴とする光学部品用筐体。 - 光源から射出された光束の光路上に配置される複数の光学部品と、前記請求項1から前記請求項6のいずれかに記載の光学部品用筐体とを備えていることを特徴とする光学ユニット。
- 前記請求項7に記載の光学ユニットを備えていることを特徴とするプロジェクタ。
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-
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- 2002-10-18 JP JP2002304916A patent/JP2004138913A/ja not_active Withdrawn
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