JP4151521B2 - プロジェクタ - Google Patents
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Description
このようなプロジェクタは、光源と、この光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、光源および光変調装置の間に配置され、光源から射出された光束に種々の光学変換を施す光学変換素子、レンズ、ミラー等の光学部品とを備えて構成され、これらの光源、光変調装置、および光学部品は、外装ケースと呼ばれる2体または3体構成の筐体の内部に収納されている。
このような冷却機構は、軸流ファンまたはシロッコファン等が採用され、プロジェクタ内部に設けたファン回転制御装置にてファンの回転速度を制御し、プロジェクタ内部を効率的に冷却する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のプロジェクタでは、例えば光源装置近傍、または光変調装置近傍等に温度センサを設け、この温度センサによる検出温度に基づいて、例えば検出温度が所定の閾値を超えた場合にファン回転制御装置にてファンの回転速度を変更している。
特許文献1に記載された冷却ファンの駆動制御では、所定の温度が閾値として設定され
ているので、例えば検出温度が閾値を超えることでプロジェクタの使用環境が例えば低地から高地に変更されたことを認識できる。しかしながら、言い換えれば、検出温度が閾値を超えるまではプロジェクタの使用環境が変更されたことを認識できないこととなり、例えば、閾値を高く設定している場合には、検出温度が高い閾値を超え、すなわち、プロジェクタ内部が高温状態となってから、プロジェクタの使用環境が変更されたことを認識する。このため、例えば、プロジェクタの使用環境が高地に変更されている場合には、プロジェクタ内部が高温となった状態からプロジェクタ内部を冷却することとなり、ファンによる吸気量、排気量が充分に確保できない状態では、回転速度を高くしてもプロジェクタ内部を迅速に冷却することが難しい。したがって、特許文献1に記載された冷却ファンの駆動制御では、プロジェクタの使用環境に対応させることが難しく、その解決が望まれている。
そこで、プロジェクタ内部に温度センサおよび気圧センサの双方を設け、プロジェクタの使用環境に迅速に対応しかつ、高精度な冷却制御を実施する構成も考えられる。しかしながら、この構成では、温度センサおよび気圧センサの双方を設けるので、部品点数が増加し、プロジェクタの製造コストの高騰を招くこととなる。
ここで、冷却機構としては、例えばプロジェクタ外部から冷却空気を吸入してプロジェクタ内部に導入する吸気ファンや、プロジェクタ内部で温められた高温空気を吸入してプロジェクタ外部に排出する排気ファン等の冷却ファンを採用できる。また、冷却機構としては、冷却ファンに限らず、プロジェクタ内部を例えば冷却液を循環させることにより冷却する構成等のその他の冷却機構を採用してもよい。
また、閾値情報としては、例えば低地、標準高度、および高地などのプロジェクタの使用環境を識別可能に設定された温度勾配の閾値に関する情報を採用できる。
さらに、閾値情報格納手段は、例えば、MPUに接続される書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶装置の一部として構成できる。
本発明では、演算処理手段は、プロジェクタ内部の温度、および冷却機構の駆動時間に基づいて、プロジェクタ内部における所定時間内の温度勾配を算出する。そして、演算処理手段は、算出した温度勾配に基づいて、冷却機構駆動制御手段による冷却機構の駆動制御状態を変更させる。このことにより、温度勾配に基づいて冷却機構の駆動制御状態を変更するので、従来のようにプロジェクタ内部が所定の温度となってから冷却機構の駆動制御状態を変更する構成と比較して、使用環境の変更に迅速に対応させることができ、プロジェクタ内部の冷却制御を効率的に実施できる。
また、プロジェクタは、温度検出手段を備えているので、特許文献1に記載されたような実際に検出したプロジェクタ内部の温度に基づく冷却制御も実施可能となり、使用環境の変更に迅速に対応させることができるとともに、プロジェクタ内部の高精度な冷却制御も可能となる。
さらに、使用環境の変更に迅速に対応するために、気圧センサ等を別途設ける必要がないため、製品コストが高騰することもない。
さらにまた、冷却機構駆動制御手段、計時手段、および演算処理手段は、プロジェクタを制御するMPU(Micro Processing Unit)等で動作するプログラムとして組み込むことができ、プロジェクタの部品構成を変更することなく、使用環境の変更に迅速に対応した冷却制御を実施可能なプロジェクタとすることができる。
ここで、記憶手段は、上述した閾値情報格納手段と同様に、例えば、MPUに接続される書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶装置の一部として構成できる。
本発明では、冷却機構駆動制御手段は、プロジェクタの起動時に記憶手段に記憶された従前の状態情報に基づいて、冷却機構を駆動制御する。このことにより、プロジェクタの使用環境が従前の使用環境から変更されていない場合には、記憶手段に記憶された従前の状態情報に基づいて冷却機構を駆動制御でき、冷却制御を迅速に実施できる。また、プロジェクタの使用環境が従前の使用環境から変更されている場合には、上述したように、演算処理手段にて冷却機構駆動制御手段による冷却機構の駆動制御状態が変更されるので、プロジェクタの使用環境に応じた冷却制御を効率的に実施できる。
ここで、表示部は、例えば、光変調装置を表示部として採用し、光源装置から射出された光束を状態情報に応じて光変調装置に変調させて光学像を形成し、この光学像を拡大投写してプロジェクタの利用者に状態情報を認識可能に表示する構成を採用できる。また、この構成に限らず、プロジェクタの筐体にLED(Light Emitting Diode)、またはLCD(Liquid Crystal Display)等を設け、プロジェクタの利用者に状態情報を認識可能に表示する構成としてもよい。
本発明では、表示制御手段は、プロジェクタの起動時、および/または冷却機構の駆動制御状態が変更された時に、冷却機構の駆動制御状態に関する状態情報を表示部に表示させる。このことにより、プロジェクタを利用する利用者に対して、冷却機構の駆動制御状態を知らせ、適切に冷却制御が実施されていることを認識させることができる。
また、例えば、プロジェクタの使用環境が変更されていないにも拘らず、表示部にて冷却機構の駆動制御状態を変更したことを利用者に認識させた場合には、他の要因である、例えば、冷却機構としての冷却ファンの吸気口に設けられるフィルタにゴミが付着し、フィルタが目詰まりを起こしていることを利用者に認識させることもできる。
ここで、冷却ファンの回転制御は、例えば冷却ファンを構成する駆動モータに入力する電圧値を変化させることで実施できる。
本発明によれば、冷却機構駆動制御手段は、プロジェクタの使用環境に応じて冷却ファンの回転制御を実施するので、簡単な構造で容易に冷却制御を実施できる。
本発明によれば、冷却機構は、プロジェクタ内部で温まりやすい光源装置および/または光変調装置を冷却するので、プロジェクタ内部の冷却効率の向上を図れる。
(1)外観構成
図1および図2には、本発明の実施形態に係るプロジェクタ1が示されており、図1は上方前面側から見た斜視図であり、図2は下方背面側から見た斜視図である。
このプロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面上に拡大投写する光学機器であり、後述する光学ユニットを含む装置本体を内部に収納する外装ケース2および外装ケース2から露出する投写レンズ3を備えている。
投写レンズ3は、後述する光変調装置としての液晶パネルにより光源から射出された光束を画像情報に応じて変調形成された光学像を拡大投写する投写光学系としての機能を具備するものであり、筒状体内部に複数のレンズが収納された組レンズとして構成される。
上面部21Aの投写方向前側には、プロジェクタ1の起動・調整操作を行うための操作パネル24が設けられている。この操作パネル24は、起動スイッチ、画像・音声等の調整スイッチを含む複数のスイッチを備え、プロジェクタ1による投写時には、操作パネル24中の調整スイッチ等を操作することにより、画質・音量等の調整を行うことができる。
これら操作パネル24および前記スピーカは、後述する装置本体を構成する制御基板と電気的に接続され、操作パネル24による操作信号はこの制御基板で処理される。
背面部21Dには、略中央部分に上面部21A側に切り欠かれた凹部が形成され、この凹部には、後述する制御基板に接続されたインターフェース基板上に設けられたコネクタ群25が露出する。
この調整脚部27は、底面部22Aから面外方向に進退自在に突出する軸状部材から構成され、軸状部材自体は、外装ケース2の内部に収納されている。このような調整脚部27は、プロジェクタ1の側面部分に設けられる調整ボタン271を操作することにより、底面部22Aからの進退量を調整することができる。
これにより、プロジェクタ1から射出された投写画像の上下位置を調整し、適切な位置に投写画像を形成することができるようになる。
開口部28は、プロジェクタ1の光源を含む光源装置を着脱する部分であり、通常は、ランプカバー281によって塞がれている。
開口部29、30は、スリット状の開口部として構成される。
開口部29は、光源ランプから射出された光束を画像情報に応じて変調する光変調装置としての液晶パネルを含む光学装置を冷却するための冷却空気取込用の吸気用開口部である。
開口部30は、プロジェクタ1の装置本体を構成する電源ユニット、光源駆動回路を冷却するための冷却空気取込用の吸気用開口部である。
なお、開口部29、30は、そのスリット状開口部分で常時プロジェクタ1内部と連通しているため、塵埃等が内部に侵入しないように、それぞれの内側に防塵フィルタが設けられている。ただし、開口部30は防塵フィルタを設けなくてもよい。
前面部23Aには、投写レンズ3を露出させるための略円形状の開口部34、およびその隣に形成された複数のスリットから構成される開口部35が形成されている。
開口部35は、装置本体を冷却した空気を排出する排気用開口部として構成され、後述するプロジェクタ1の構成部材である光学系、制御系、および電源ユニット・ランプ駆動ユニットを冷却した空気は、この開口部35からプロジェクタ1の投写方向に排出される。
このような外装ケース2の内部には、図3〜図5に示されるように、プロジェクタ1の装置本体が収納されており、この装置本体は、図3に示される光学ユニット4、制御基板5、および、図4に示される電源ブロック6を備えて構成される。
(2- 1)光学ユニット4の構造
光学エンジンとしての光学ユニット4は、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、投写レンズ3を介してスクリーン上に投写画像を形成するものであり、図4に示されるライトガイド40という光学部品用筐体内に、光源装置や、種々の光学部品等を組み込んだものとして構成される。
このライトガイド40は、下ライトガイド401、および図4では図示を略した上ライトガイドから構成され、それぞれは、射出成形等による合成樹脂製品である。
また、下ライトガイド401の底面部401Aの光束射出側端部には、円形状の開口部が形成された前面壁が設けられていて、この前面壁には、投写レンズ3の基端部分が接合固定される。
インテグレータ照明光学系41は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系であり、光源装置411、第1レンズアレイ412、第2レンズアレイ413、偏光変換素子414、および重畳レンズ415を備えて構成される。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様の構成であり、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を液晶パネル441上に結像させる機能を有する。
具体的に、偏光変換素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ415によって最終的に光学装置44の液晶パネル441上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441を用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ416からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子414を用いることにより、光源ランプ416から射出された光束を全て1種類の偏光光に変換し、光学装置44における光の利用効率を高めている。なお。このような偏光変換素子414は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
リレー光学系43は、入射側レンズ431と、リレーレンズ433と、反射ミラー432、434とを備え、色分離光学系42で分離された色光である赤色光を液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
なお、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ418に伝えるためである。なお、リレー光学系43には、3つの色光のうちの赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
光学装置44において、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441R,441G,441B、入射側偏光板442、および射出側偏光板443によって画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
射出側偏光板443も、入射側偏光板442と略同様に構成され、液晶パネル441(441R,441G,441B)から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。また、基板を用いずに、偏光膜をクロスダイクロイックプリズム444に貼り付けてもよい。
これらの入射側偏光板442および射出側偏光板443は、互いの偏光軸の方向が直交するように設定されている。
クロスダイクロイックプリズム444には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
このような光学装置44は、クロスダイクロイックプリズム444の各光束入射端面に、矩形板状体の四隅部分に面外方向に突出するピンを備えたパネル固定板を貼り付け、各ピンに液晶パネル441R、441G、441Bの保持枠に形成された孔を挿入することにより一体化されている。
そして、一体化された光学装置44は、前述したライトガイド40の投写レンズ3の光路前段に配置され、下ライトガイド401の底面部にねじ止め固定される。
前述したプロジェクタ1には、図6に示されるように、内部に光学装置44の冷却系Aと、電源ブロック6の冷却系Bとが設定されている。
冷却系Aは、吸気ダクトユニット7によって開口部29から吸気された冷却空気の流れである。
吸気ダクトユニット7は、投写レンズ3を挟んで対向配置されるシロッコファンからなる一対の吸気ファン71と、これら一対の吸気ファン71の吸気面を開口部29に連通させるダクトと(図示略)を含んで構成される。
ここで、図6のプロジェクタ1の前面から見て、投写レンズ3の左側に配置される吸気ファン71は、液晶パネル441R、441Bに冷却空気を供給するが、その内の一部は、偏光変換素子414および光源ランプ416の冷却空気として使用される。
そして、光源ランプ416を冷却した空気は、排気ファン81および排気ダクト82を備えた排気ダクトユニット8によって集荷され、フロントケース23の開口部35からプロジェクタ1の外部に排出される。
メイン基板51を冷却した冷却空気は、排気ファン81および排気ダクト82を備えた排気ダクトユニット8によって集荷され、フロントケース23の開口部35からプロジェクタ1の外部から排出される。
本例では、基本的にこの2箇所に温度検出センサを設けているが、もちろん、温度検出センサを設ける位置はこれに限らず、プロジェクタ1の内部で過熱すると問題のある光学部品の近傍や、過熱しやすい場所等適宜の位置に適宜の数だけ設けることが可能である。
制御基板5は、図3に示すように、光学ユニット4の上側を覆うように配置され、演算処理装置、液晶パネル441駆動用ICが実装されたメイン基板51と、このメイン基板51の後端側で接続され、外装ケース2の背面部21D,22Dに起立するインターフェース基板52とを備えている。
インターフェース基板52の背面側には、前述したコネクタ群25が実装されていて、コネクタ群25から入力する画像情報は、このインターフェース基板52を介してメイン基板51に出力される。
このようなメイン基板51は、パンチングメタルを折り曲げ加工した板金53によって覆われ、この板金53は、メイン基板51上の回路素子等によるEMI(電磁障害)を防止するために設けられている。
このようなメイン基板51に実装される演算処理装置500は、図7に示されるように、操作信号受付部501、センサ信号受付部502、音声制御部503、表示制御部504、冷却機構駆動制御部505、計時部506、および演算処理部507を備え、この演算処理装置500には、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ510が設けられている。
操作信号受付部501は、操作パネル24上の操作スイッチやリモートコントローラ24Aを操作することにより、送られる操作信号を受け付ける部分である。なお、リモートコントローラ24Aの操作信号は、一旦赤外線信号に変換され、信号受光部311で受信され再び電気信号に変換され、さらにデジタル信号に変換されて操作信号受付部501で受け付けられる。この操作信号受付部501で受け付けられた操作信号は、後述する演算処理部507に出力される。
受け付けられた温度センサ信号は、前記と同様に後述する演算処理部507に出力される。
表示制御部504は、光変調装置となる液晶パネル441(441R、441G、441B)で形成される光学像を制御する部分であり、操作パネル24やリモートコントローラ24Aの画質調整ボタンを操作することによる画質調整信号や、インターフェース基板52を介して入力される画像信号に基づいて、液晶パネル441上で表示させる画像表示制御を行う。
計時部506は、例えば内部クロックなどの基準パルスに基づいて吸気ファン71、排気ファン81の駆動開始時からの経過時間を認識する。
また、このメモリ510には、図8および図9に示されるように、吸気ファン71、排気ファン81の冷却制御設定に関する情報がテーブルT1,T2上に記憶されている。
例えば、閾値1は、所定の高度を有する低地の環境下において、プロジェクタ1を駆動し、吸気ファン71および排気ファン81を基準とする所定の回転数で駆動させた場合における光学装置44近傍の所定時間内の温度勾配、および光源装置411近傍の所定時間内の温度勾配に設定されている。また、閾値2は、所定の高度を有する高地の環境下において、プロジェクタ1を駆動し、吸気ファン71および排気ファン81を基準とする所定の回転数で駆動させた場合における光学装置44近傍の所定時間内の温度勾配、および光源装置411近傍の所定時間内の温度勾配に設定されている。すなわち、閾値1および閾値2と、算出した光学装置44近傍の温度勾配、および光源装置411近傍の温度勾配とを比較することで、プロジェクタ1が設置された環境下が高地であるか、低地であるか、あるいは標準の高度を有する環境下であるかを認識できる。
次に、前述した構造のプロジェクタ1の冷却機構の制御方法を図10に示されるフローチャートに基づいて説明する。
(3-1)先ず、利用者が操作パネル24により電源ボタンをONしてプロジェクタ1が起動すると(処理S1)、演算処理装置500の演算処理部507は、メモリ510に記録された従前の状態情報としての使用環境(低地、標準、高地)に関する情報を読み込む(処理S2)。
具体的に、図11は、処理S3における表示画面の一例を示す図である。
図11に示すように、表示画面F1には、従前に使用された環境下での設定を本実施でも採用する旨の情報として、例えば「冷却条件を高地モードに設定しています。」というメッセージM1が表示される。なお、このメッセージM1は、所定時間のみ表示画面F1上に表示される。
(3-6)演算処理部507は、処理S6において計測している経過時間を監視し、所定時間経過したか否かを判定する(処理S7)。ここで、「N」と判定した場合、すなわち、駆動時間が所定時間を経過していない場合には、計時部506による経過時間の計測を継続させる。
(3-9)処理S9において温度勾配を算出すると、演算処理部507は、メモリ510のテーブルT1上に記憶された閾値1を呼び出し、算出した温度勾配と閾値1とを比較し、算出した温度勾配が閾値1以下であるか否かを判定する(処理S10)。
(3-11)一方、処理S10において、「N」であると判定した場合、すなわち、算出した温度勾配が閾値2を超えると判定した場合、演算処理部507は、メモリ510のテーブルT1上に記憶された閾値2を呼び出し、算出した温度勾配と閾値2とを比較し、算出した温度勾配が閾値2を超えるか否かを判定する(処理S12)。
(3-13)一方、処理S12において、「Y」であると判定した場合、すなわち、算出した温度勾配が閾値2を超えると判定した場合、演算処理部507は、プロジェクタ1の使用環境が高地であると認識する(処理S14)。
(3-16)そして、演算処理部507は、処理S16においてメモリ510に記録された状態情報としてのプロジェクタ1の使用環境に関する情報に基づいて、ファン駆動制御を切り替える旨の情報を表示させるための制御指令を生成し、生成した制御指令を表示制御部504に出力する。そして、表示制御部504は、入力した制御指令に基づいて、駆動用ICを介して液晶パネル441を駆動させ、表示画面上に所定の情報を表示させる(処理S17)。
図12に示すように、表示画面F2には、ファン駆動制御を切り替える旨の情報として、例えば、「冷却条件を高地モードに設定しました。」というメッセージM2が表示される。なお、このメッセージM2は、所定時間のみ表示画面F2上に表示される。
なお、上述した従前に使用された環境下での設定を本実施でも採用する旨の情報、または、ファン駆動制御を切り替える旨の情報としては、表示画面上に表示する構成に限らず、例えば、プロジェクタ1の外装ケース2にLED(Light Emitting Diode)等の図示しない発光部を設け、前記発光部を点灯または点滅させるなどして上記情報を利用者に対して認識させる構成としてもよい。また、プロジェクタ1の筐体にLCDを設け、上記情報を利用者に対して認識させる構成としてもよい。
前述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(4-1)演算処理部507は、プロジェクタ1内部における所定時間内の温度勾配を算出し、この算出した温度勾配に基づいて、冷却機構駆動制御部505によるファン71,81の駆動制御状態を変更させる。このことにより、温度勾配に基づいてファン71,81の駆動制御状態を変更するので、従来のようにプロジェクタ1内部が所定の温度となってからファンの駆動制御状態を変更する構成と比較して、プロジェクタ1の使用環境の変更に迅速に対応させることができ、プロジェクタ1内部の冷却制御を効率的に実施できる。
(4-3)プロジェクタ1では、使用環境の変更に迅速に対応させるために、気圧センサ等を別途設ける必要がないため、製品コストの低減を図れる。
(4-9)ファン71,81は、プロジェクタ1内部で温まりやすい光源装置411および液晶パネル441を主に冷却するので、プロジェクタ1内部の冷却効率の向上を図れる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
前記実施形態では、冷却機構として、吸気ファン71および排気ファン81にて構成したが、これに限らない。例えば、プロジェクタ1内部を例えば冷却液などを循環させることにより冷却する構成等の冷却機構を採用してもよい。低地、標準高度、高地に応じて、空気の密度が異なるため、冷却液による熱伝達効率も異なる。そこで、冷却液の循環速度を変更するなどで駆動制御状態を変更し、プロジェクタ1の使用環境に対応させる構成としてもよい。
前記実施形態では、メモリ510のテーブルT1上に記憶される閾値は、閾値1および閾値2の2つで構成されていたが、これに限らず、閾値を1つで構成してもよく、3つ以上で構成してもよい。
前記実施形態では、3つの光変調装置を用いたプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、1つの光変調装置のみを用いたプロジェクタ、2つの光変調装置を用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の光変調装置を用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光変調装置として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の光変調装置を用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の光変調装置を用いてもよい。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (5)
- 光源装置と、この光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置とを備え、前記光変調装置で形成された光学像を拡大投写するプロジェクタであって、
当該プロジェクタ内部の温度を検出する温度検出手段と、
当該プロジェクタ内部を冷却する冷却機構と、
前記冷却機構を駆動制御する冷却機構駆動制御手段と、
前記冷却機構の駆動時間を計測する計時手段と、
当該プロジェクタの起動直後において、前記冷却機構駆動制御手段にて前記冷却機構が駆動制御され、前記温度検出手段にて検出された温度、および前記計時手段にて計測された駆動時間に基づいて、当該プロジェクタ内部における所定時間内の温度勾配を一度、算出する演算処理手段と、
使用される場所の高度に応じて設定された前記温度勾配の閾値に関する閾値情報を格納する閾値情報格納手段とを備え、
前記演算処理手段は、前記算出した温度勾配と前記閾値情報格納手段に格納された閾値情報に基づく閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、前記冷却機構駆動制御手段による前記冷却機構の駆動制御状態を変更させることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1に記載のプロジェクタにおいて、
前記冷却機構の駆動制御状態に関する状態情報を記憶する記憶手段を具備し、
前記冷却機構駆動制御手段は、当該プロジェクタの起動時に前記記憶手段に記憶された従前の状態情報に基づいて、前記冷却機構を駆動制御することを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
前記冷却機構の駆動制御状態に関する状態情報を表示部に表示させる表示制御手段を具備し、
前記表示制御手段は、当該プロジェクタの起動時、および/または前記演算処理手段にて前記冷却機構駆動制御手段による前記冷却機構の駆動制御状態が変更された時に前記状態情報を前記表示部に表示させることを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記冷却機構は、当該プロジェクタ内部を冷却する冷却ファンであり、
前記冷却機構駆動制御手段は、前記冷却ファンの回転制御を実施することを特徴とするプロジェクタ。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
前記冷却機構は、前記光源装置および/または前記光変調装置を冷却することを特徴とするプロジェクタ。
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