上記の本発明について、図面等を用いて以下に説明する。図1は本発明にかかる詰め替え用パウチの一実施形態を示す正面図、図2は図1のY−Y線断面図、図4は図1の詰め替え用パウチの部分拡大図、図3は本発明に関連する詰め替え用パウチの他の参考形態を示す部分拡大図、図5は図4のX−X線断面の部分拡大図であり、図中の符号1は詰め替え用パウチ、2は側面シート、3は底面シート、3a、3bは切り欠き部、4はガセット部、5は底部シール部、6は側端縁シール部、7は上部シール部、8は注出口部、9a、9bは切り欠き部、10はノッチ、11は開封用切れ目線、12は摘み部、13は注出口部シール部、21はON、22は印刷層、23はVMPET、24はVM面、25はポリエステル面、26はLLDPE、27は凹状部分、28は凸状部分、29は表面が平らな面となった凸状部分、Sは膨らみ部、I、I’は識別情報部をそれぞれ示す。
図1は、本発明にかかる詰め替え用パウチ1の一実施形態を示す正面図である。図2は図1のY−Y線断面図である。図1、図2に示すように本発明にかかる詰め替え用パウチ1は、少なくとも片面に熱接着性樹脂層が積層された積層体からなる2枚の側面シート2の熱接着性樹脂層面同士を対向して配置し、側面シート2の下端部に少なくとも片面に熱接着性樹脂層が積層された積層体からなる底面シート3を熱接着性樹脂層面を外面にして中央で山折りして挿入し、ガセット部4を有する形式に形成されており、山折りされた底面シート3の両側下端近傍には、略半円形の底面シートの切り欠き部3a、3bが設けられ、ガセット部4が、周縁部を含む船底形の底部シール部5でヒートシールされ底部が形成されると共に、表裏の2枚の側面シート2の両側端縁部を側端縁シール部6、6でヒートシールして胴部が形成され、上端部を残して内容物の充填口とするスタンディングパウチ形式に製袋されたパウチ(包装袋)である。上端部の充填口に設けた上部シール部7は、この部分から内容物を充填した後、例えば、脱気シールなどによりヒートシールして密封するものである。
前記構成において、パウチ本体の形状は、スタンディングパウチ形式のパウチに限定されるものではなく、例えば三方シール形式、四方シール形式などの平パウチでもよいが、中でもスタンディングパウチ形式のパウチであると、自立性を備え、取り扱い易く、外観にも優れている点で好ましい。そして、詰め替え用パウチ1の上部のコーナー部には、両側のヒートシール部により形成される狭い幅の注出口部8を備えると共に、該注出口部8の両側が切り欠き部9a、9bで切り欠かれ、首状に突出した形状に形成されている。上記のような構成を採用することにより、パウチ上部のコーナー部には、狭い幅の注出口部8が設けられ、少なくともその一方の側部に切り欠き部が設けられているので、パウチに充填された内容物をボトルなど他の容器に移し替える際、注出口部8の先端部を切り取って開封し、注出口部8を例えばボトルの口部に差し込み、または、注出口部8の側部の切り欠き部9a、9bをボトルの口部にあてがいながら内容物を注出することができるので、注出中、注出口部8がボトルの口部に安定して固定され、安全に内容物を移し替えることができるものである。
図4は、図1の詰め替え用パウチの部分拡大図であり、本発明の主要部分を示す。図1、図4に示すように、注出口部8の先端部を切り取って開封するために、その開封予定位置には切り欠き部9b近傍にV型形状のノッチ10が設けられ、かつ、ノッチ10につながる開封用切れ目線11が設けられている。該開封用切れ目線11により、ノッチ10より注出口部8の先端部を切取るとき、切り取り方向を安定させると共に、切り取りを容易にする役目を果たすものである。
本発明において、この開封用切れ目線11は、積層体を貫通することなく設けられていればよいのであるが、好ましくは通常外層に配置される強度に優れた樹脂フィルムに形成されることが好ましい。これは、開封に際して切断する場合、この強度に優れた樹脂フィルムの切断が一番困難であるためであり、このフィルムに開封用切れ目線を形成することにより、容易に切断開封することが可能となるからである。また、側面シート2を構成する外層に配置された強度に優れた樹脂フィルムのみに開封用切れ目線を設けることにより、内側のヒートシール性を有する樹脂フィルム等の他のフィルムにより内容物の密封性を維持できるからである。
レーザー照射により切れ目を形成することによって、容易に所望の形状で切れ目を形成可能であり、切れ目形成時に削り屑を発生しないため、衛生性にも優れる。このようなレーザー加工に用いられるレーザーの種類としては、エキシマレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、He−Neレーザー、炭酸ガスレーザー等を挙げることができる。
このようにレーザー加工によれば、容易にかつ正確に開封用切れ目線を形成することができる。また、レーザー光を選択することにより、容易に一方の層にのみ開封用切れ目線を形成することができる点からもレーザー加工により開封用切れ目線を形成することが好ましい。
すなわち、例えば炭酸ガスレーザーを用い、炭酸ガスレーザー光の波長を10.6ミクロンとした場合、このレーザー光はナイロンフィルムに選択的に吸収され、線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とするフィルムではほとんど透過されてしまう。したがって、例えば熱接着性樹脂層に線状低密度ポリエチレンまたはエチレン−酢酸ビニル共重合体を主体とするフィルムを用い、外層として強度に優れた樹脂フィルムである二軸延伸ナイロンフィルムを用いて積層し側面シート2の積層体とし、これに上記10.6ミクロンの波長の炭酸ガスレーザーを用いてレーザー加工を行えば、上記二軸延伸ナイロンフィルムのみに開封用切れ目線を形成することが可能である。
このように、本発明においては、開封用切れ目線11を形成するに際しては、炭酸ガスレーザーを用いて加工することが好ましく、さらに好ましくは波長が10.6ミクロンである炭酸ガスレーザー光を用いて加工を行うことである。
レーザー光を用いて開封用切れ目線11を形成する場合、注出口部8においてのみ加工する必要があり、この注出口部8が斜め上方に向く形状で、さらに複数本のレーザー加工が必要な場合があることから、レーザー光を走査させて加工することが好ましい。このレーザー光の走査については、複数のミラーにレーザー光を照射してその光路を調整するものであり、ミラーは外部制御により駆動し、レーザー光はXY軸方向に任意に走査されるガルバノスキャニングモジュールを用いることにより行うことが好ましい。
レーザー光の走査に際しては、レーザーの出力、および加工速度(走査速度)は任意に設定することができる。また、走査時にレーザー光の焦点は詰め替え用パウチ1の表面上に保持されるように調整される。なお、後述するように側面シート2に用いる積層体に膨らみ部Sが設けられた場合は、この膨らみ部Sに対しては焦点調整がなされない。したがって、膨らみ部Sが形成されている場合は、焦点距離の長い集光レンズを用いることが好ましい。注出口部8の先端部近傍に形成される開封用切れ目線11は、注出口部8の開封位置に後述する膨らみ部Sが設けられている場合、引き裂きの方向性が不安定になり易いため、複数の直線と曲線を組合わせた開封用切れ目線11を用いることが好ましい。
本発明において、当該開封用切れ目線11としては、ノッチ10につながっておれば、一本の直線でも曲線でもよく、あるいは複数の平行な直線群、曲線群又はその組合せでもよい。さらに、直線、曲線は線状でも破線状でもよい。なお、引き裂き方向がずれた場合を想定して、複数の直線、曲線又はその組合せで開封用切れ目線11を形成することが好ましい。また、切れ目の形状が、平行な複数の直線状または破線状の切れ目の間にあって、当該切れ目と交差しない、曲線が形成されている場合、手指で開封する際に、引き裂き方向と、切れ目(ハーフカット線)方向とのずれが多少生じても、当該平行な複数の直線状または破線状の切れ目の間に形成された曲線状の切れ目に突き当たることにより、大きくずれることなく、切れ目(ハーフカット線)方向に沿って、スムーズで確実に手指による引き裂きを誘導することが可能であり、また、引き裂いた部分から糸状の切り屑が発生せず、衛生性にも優れるという利点がある。
さらに、前記注出口部8にレーザー光照射により形成された開封用切れ目線11の近傍の領域に膨らみ部Sの長手方向に、識別情報部Iがレーザー光照射により形成されている。識別情報部Iは、側面シート2に用いられる積層体の外層に視認できる程度に形成すればよく、必ずしも外層のみを貫通していなくてもよい。また、識別情報部Iを形成する部分には詰め替え用パウチ1に充填される内容物の色を隠蔽するための印刷が施されていることが好ましく、そうすることにより識別情報部Iがそのコントラストにより一層明確となる。あるいは、積層体にアルミニウム等の金属が蒸着された層を積層することが好ましく、識別情報部Iで光が乱反射され、識別情報部I以外は正反射されるのでその反射率の顕著な差により、一層、識別情報部Iの視認が容易となる。識別情報部Iは、上記位置に限定されるものではなく、開封用切れ目線11を形成するレーザー光の照射可能範囲である照射領域内であれば任意に形成することができる。ここでいう識別情報部Iの識別情報とは本発明にかかる詰め替え用パウチ1に関する積層体に用いられたフィルム、インキ、接着剤等の材料及び印刷、ラミネーション、製袋等の加工等の経歴に関する情報やロット番号、品番、数量等の受注者情報等を指し、これらを数字・アルファベット・記号等の文字情報、暗号化された情報、図形情報、もしくはバーコード、QRコード(登録商標)等の2次元コード等で形成したものである。
このような識別情報を詰め替え用パウチ1に形成することにより、例えば、パウチ自体の欠点(不良品)が存在することが判明した場合には、該パウチに形成された識別情報を見たり、あるいは、スキャナで読み取ることにより、材料、加工に関する経歴を瞬時に把握することができ不良品範囲が特定できるものである。したがって、近年、特に商品の製造者責任はますます、強くなっており商品の品質管理について高度な管理が要求されるようになっている中、この識別情報によりトレーサビリティを付与することができ、パウチ製造メーカー、商品の製造メーカー、流通メーカー等にとって、不良品の市場への流出が防止でき、顧客に対する信頼が増すものである。さらに、合理的な動きと迅速な処置対応が可能となると共に、不良品の範囲を最小限に絞ることができ、経済的効果も得られるものである。
また、識別情報部Iをレーザー光照射により形成することにより、積層体に識別情報部Iが形成され、スタンプ、転写、インクジェット方式で見受けられた問題、すなわちパウチの表面に印字されているためにパウチの取扱い時や商品の輸送等の振動や衝撃で擦れて印字に傷が入ったり、印字が脱落したりして、判読できなくなるということを防止できる。また、注出口部8にレーザー光照射により開封用切れ目線11を形成する際に同時に識別情報部Iが形成され、新規に設備投資する必要がなく、しかも、識別情報部Iを形成する工程を別に増やすことがなく、生産性の優れたものとなる。
本発明の詰め替え用パウチ1においては、注出口部8の少なくとも一方側の側面シート2に、上記開封用切れ目線11で切断した際に形成される注出口を自然に開口させるための膨らみ部Sが形成されていることが好ましい。
このように注出口部8の少なくとも一方の側面シート2に用いる積層体に膨らみ部Sを設けることにより、開封用切れ目線11を切断した場合に注出口が自然に開口する自然開口性を有するため、密封された内容物をボトル等に移し替える際に注出口の開口を確保する手間がなく好ましい。
また、この膨らみ部Sは、注出口部8から内容物が密封包装されて収納される収納部に伸びていることが好ましい。このように、膨らみ部Sが注出口部8から収納部に伸びていることにより、開封後、内容物がこの膨らみ部Sに沿ってスムースに注出口に流動させることができ、最後まで安全かつ容易に内容物をボトル等の容器に移し替えることができる。また、この膨らみ部Sの断面形状は、特に限定されるものではないが、圧縮に対する抵抗力が強く、保形性に優れている点等から台形であることが好ましい。また、前記膨らみ部Sは、高さの異なる段を有する形状としてもよい。この構成を採用することにより、膨らみ部Sの圧縮に対する抵抗力、復元力が増加し、注出口の自然開口性と共に、その保形性が一層向上する。
また、図3に示すように、本発明にかかる詰め替え用パウチ1において、上記の膨らみ部Sは、当該パウチの少なくとも一方の側面シート2に、該注出口部8から詰め替え用パウチ1の幅方向の中心線を超えるまでの上部では、斜め下方に向かい、そこから先の中間部で曲線状に下方に曲がり、下部では垂直に下がる形状の膨らみ部Sが、注出口部8ではその幅と高さが大きく、斜め下方に向かって徐々に幅と高さが小さくなり、曲線状の中間部から下では幅と高さが一定となるように設けることができる。上記のような構成を採ることにより、詰め替え用パウチ1の側面シート2に設けた膨らみ部Sは、その上部、即ち、注出口部8の近辺では、主に注出口部8の自然開口性とその保形性を向上させることが可能であり、そこから中間部にかけては、内容物を注出口部8にスムーズに流動させる誘導部の作用をもち、下部は、パウチの形態安定性および自立性を向上させる作用効果を有するものである。
また、このような膨らみ部Sは、詰め替え用パウチ1の一方の側面シート2のみに設けてもよいが、両面の側面シート2、2に対称形に設けることにより、注出口部8の先端部を切り取って開封するだけで、両面の膨らみ部Sにより、自動的に一層大きく開口した注出口部8が保形性のよい状態で形成できる。前記の膨らみ部Sは、熱エンボス法、真空成形法、圧空・真空成形法などにより設けることができるが、中でも、熱エンボス法は、細かいパターンの再現性およびその生産性に優れるので好ましい。
前記側面シート2に設けられる膨らみ部Sの膨らみ高さは、特に限定するものではないが、その注出口部8においては、最高部で1〜7mm程度が好ましく、2〜5mm程度がより好ましい。最高部の高さが1mm未満の場合は、自然開口性に対する効果が薄くなり、また、7mmを超える高さは、その必要性がなく、加工自体が難しくなると同時に、注出口部が嵩張るようになり、空袋の取り扱い性、充填シール機におけるスタッキング適性などが低下するため好ましくない。膨らみ部Sの注出口部8以外の部分の高さは、例えば注出口部8から斜め下方に向かって幅が徐々に先細りとなる中間部で傾斜を付けて、1.8〜0.5mm程度まで低くすることができる。さらに、膨らみ部Sの注出口部8における幅は、内容物を移し替えるボトルの口の幅より小さい幅であれば特に限定されるものではないが、通常5mm〜20mm程度である。
本発明にかかる詰め替え用パウチ1において、注出口部8の先端部近傍には、切り欠き部9bのトリミングの際、摘み部12と、V字形のノッチ10とが同時に設けられている。なお、前記の摘み部12とノッチ10は、切り欠き部9a側に設けてもよく、また、注出口部8の両側に設けることもできる。また、前記のノッチ10の形状は、V型形状に限定されるものではなく、I型、U型、亀甲型等の形状のノッチを使用することができる。このことによって、注出口部を開封する際、摘み部12を指で摘んで注出口部8の先端部を開封用切れ目線11により切り取り、開封することができるので、開封の操作を一層容易に行えるようになる。
以下に本発明の詰め替え用パウチ1の製造に用いる側面シート2、底面シート3の積層体、およびパウチの製造方法の一例について説明する。本発明の詰め替え用パウチ1の製造に用いる積層体は、主にプラスチックを主体とするフィルムを積層して用いることができ、特に限定されるものでなく、いずれも使用できる。詰め替え用パウチ1に充填する内容物の種類、容量、充填温度等の充填条件、充填後の殺菌等の後処理条件、梱包方法、輸送条件により、適宜選択して積層体に使用することができる。
上記の本発明において、本発明の詰め替え用パウチ1の製造に用いる積層体は、外層、中間層、最内層に熱接着性樹脂層とを順次積層して側面シート2、底面シート3に使用することができる。上記の熱接着性樹脂層として使用するヒートシール性を有する熱接着性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸メチル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンープロピレン共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化したシートを使用することができ、その厚さとしては13〜150μm、好ましくは15〜100μmが適当である。
また、本発明の詰め替え用パウチ1の製造に用いる積層体を構成する外層として使用する合成樹脂製のフィルムとしては、詰め替え用パウチ1を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂を用いることができ、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系、出発原料が植物由来であるポリ乳酸系等のバイオマスを利用した素材等の樹脂を用いることができる。また、前記外層として使用する合成樹脂製のフィルムは、前記合成樹脂製フィルムの熱接着性樹脂層側に一般的には印刷が施されることが多いために、前記外層として使用する合成樹脂製フィルムは印刷適性が求められ、2軸方向に延伸した延伸フィルムが好適である。このフィルムの厚さとしては基本素材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよく、9〜25μm程度が適当である。また、前記の合成樹脂フィルムは、必要に応じてポリ塩化ビニリデンが塗工されたフィルムやアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層が形成されたフィルムとしてバリアー性を有する構成としてもよい。また、詰め替え用パウチに要求される性能により合成紙、不織布、紙、セロハン等も適宜使用できる。
絵柄層は、文字、図形、記号、模様、その他等からなる所望の印刷模様を任意の色数のカラーインキによって外層のいずれかの面に多色印刷されて形成される。
印刷絵柄層を形成する面は、包装袋の最外面に形成されることもあるが、裏刷りと称して最外面に使用される外層の裏面に印刷される方が、好ましい。これは、裏刷りの方が、絵柄層を保護し、かつ表面から見た絵柄の印刷を美しく、光沢のあるものとする効果を有しているためである。
絵柄層は、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式を使用し、上記の外層のいずれかの面に印刷して形成することができる。
さらに、本発明において、詰め替え用パウチの前記の熱接着性樹脂層と前記の外層の間に中間層を設けてもよく、前記の中間層は通常前記の熱接着性樹脂層と前記の外層だけでは詰め替え用パウチとしての機能を十分に果たすことができない場合等に設けられる。前記の中間層の機能としては、気体遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等であり、詰め替え用パウチとして要求されるこれらの最終的な機能を中間層を設けることで達成するものである。該中間層として用いられる基材としては、たとえば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレンープロピレン共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルムあるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしはアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムあるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルム、あるいは、紙、セロハン、合成紙などを用いることができる。また、これら基材の一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。尚、上記基材の厚さとしては、詰め替え用パウチとして要求される機能を満たすことができればよいのであって、要求性能により適宜に選ぶことができる。
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いることができる。
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することができる。
上記の外層、中間層、および熱接着性樹脂層の各層を積層させる方法として、例えば、ウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤ラミネーション法、押し出しラミネーション法、共押し出しラミネーション法、インフレーション法、その他の方法等で行うことができる。具体的には、本発明においては、ラミネート用接着剤層等を介して積層するドライラミネート方式、あるいは、アンカーコート剤層、溶融押出樹脂層等を介して積層する押し出しラミネーション方式等を用いて積層体を製造することができる。
上記のドライラミネート方式において、ラミネート用接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカ リ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することができる。上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。そして、上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施すことができ、そのコ−ティング量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)位が望ましい。なお、本発明において、ドライラミネート方式による積層を行う場合には、その積層表面に、予め、コロナ放電処理、オゾン処理、あるいは、プラズマ放電処理等の表面改質前処理を任意に施すことがてきる。
また、上記の押し出しラミネーション方式における溶融押出樹脂層としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、酸変性ポリエチレン系樹脂、酸変性ポリプロピレン系樹脂、エチレンーアクリル酸またはメタクリル酸共重合体、サーリン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他等の熱可塑性樹脂の1種ないし2種以上を使用することができる。なお、上記の押し出しラミネーション方式において、より強固な接着強度を得るために、例えば、アンカーコート剤等のアンカーコート剤層を介して、積層することができる。上記のアンカーコート剤としては、例えば、アルキルチタネート等の有機チタン系、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、その他等の水性ないし油性の各種のアンカーコート剤を使用することができる。上記のアンカーコート剤は、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート、その他等のコーティング法を用いてコーティングすることができ、そのコーティング量としては、0.1〜5g/m2(乾燥状態)位が望ましい。而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、その積層する基材の表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を任意に施すことができる。
本発明においては、上記のように各層を接着層を介して積層して製造した積層フィルムを使用し、その熱接着性樹脂層の面を内面にして配置し、次いでその重なり部分の両側端部、下端部等において、熱接着性樹脂層を介してヒートシールして、側端縁シール部、底部シール部を形成すると共にその上端部に充填口となる開口部を形成して、本発明にかかる詰替え用パウチを製造することができる。そして、その製袋方法において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の方法で行うことができる。
本発明において、上記のように製袋して製造した本発明にかかる詰め替え用パウチについて、その上端部に設けた開口部から内容物を充填し、次いで、その上端部の開口部をヒートシール等により密閉することによって、本発明にかかる詰め替え用パウチを使用した包装製品を製造することができるものである。そして、本発明にかかる詰め替え用パウチを使用して例えば、飲食品、医薬品、試薬品、化成品、化粧品、雑貨品、その他等の種々の物品を充填包装する製造した包装製品は、保香性、酸素ガス、水蒸気等のバリア性、印刷適性、強度、剛性、耐衝撃性、耐突き刺し性、ヒートシール性、その内容物の充填包装適性、保存適性等に優れ、特に、当該パウチを開封する際、ハーフカット線方向に沿って、スムーズで確実に手指で開封することが可能であり、また、レーザー光照射により側面シートに識別情報が形成されており詰め替え用パウチの経歴把握が容易であり、更に、粘度の高い内容物でも注出口部への流動および注出口からの注出を容易に行える保形性に優れた注出口であり、口径の小さなボトルなどに対しても、安全かつ容易に最後まで移し替えることができるという使用適性、パウチのトレーサビリティ性、生産性に優れる詰め替え用のパウチを製造できる。
図4は、本発明にかかる詰め替え用パウチの他の実施形態を示す部分拡大図であり、図1の詰め替えパウチの部分拡大図である。図5は図4のX−X線断面の部分拡大図であって、識別情報部I’の部分を説明する図である。図4に示すように、前記識別情報部I’が前記側面シート2の側端縁シール部6の形成予定部分にレーザー光照射して形成された後、形成された識別情報部I’の上から加熱されたヒートシールバーを圧着して側端縁シール部6が設けられている。その他は上記の一実施形態と同じである。このような構成にすることにより、レーザー光照射により形成された識別情報部I’の盛り上がった凸状部分をヒートシール時の熱と圧力により押し潰されて表面が平らな面となった凸状部分になるものである。
図5を参照しながら、さらに詳しく説明する。図5の(イ)に側端縁シール部6の形成予定部分にレーザー光照射して識別情報部I’を形成した状態を示す。図5の(ロ)に該識別情報部I’の上からヒートシールバーで加熱圧着して側端縁シール部6を設けた状態を示す。さらに側面シート2に用いる積層体として外層に二軸延伸ナイロンフィルム(ON)、中間層に片面アルミニウム蒸着(VM)した二軸延伸ポリエステルフィルム(VMPET)、熱接着性樹脂層に線状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)を用いて積層した構成を一例として示した。側面シート2の積層体はON21の片面に印刷層22を形成し、印刷層22の面にVMPET23のVM面24を積層し、VMPET23のポリエステル(PET)面25にLLDPE26を接着剤(図示しない)を介して積層されている。
図5の(イ)に示すように側面シート2の側端縁シール部6の形成予定部分にレーザー光照射すると必要な識別情報部I’が外層であるON21に形成され、レーザー光照射に対応した部分に凹状部分27が形成され、その周辺に盛り上がった凸状部分28が形成されて構成されている。その後、図5の(ロ)に示すように、形成された識別情報部I’の上から加熱されたヒートシールバーを圧着して側端縁シール部6を形成すると凸状部分28が熱で軟化し圧で押し潰されて、表面が平らな面となった凸状部分29になるものである。一方、ヒートシール後にヒートシールされた面にレーザー光照射により識別情報部I’を形成することもできるが、その周辺部分は、盛り上がりが発生することとなる。更にその盛り上がりを平らにするために、該部分を再度ヒートシールすると平らにすることはできるが、ヒートシールの熱と圧力によりヒートシールバーの痕跡が残る。つまり、図5に示すような構成にすることにより、ヒートシール後に識別情報部I’を形成するとその部分の盛り上がりが発生し、その後、再度ヒートシールするとその痕跡が残ることになり、改竄防止効果を奏するものである。また、識別情報部I’に社名、マーク、品番、図形等やこれらを組合わせたものを盛り込むことにより偽造防止効果が得られるものである。
なお、ここで示した側面シート2の構成は一例であり、上記の一実施例で説明した積層体を用いることができる。また、周縁部とは、詰め替え用パウチの周縁をヒートシールする部分のことであり、識別情報部I’は上記の位置に限定されるものではなく、両側の側端縁シール部6、6や底部シール部5や注出口部8の周縁の注出口部シール部13や上部シール部7に設けることができるが、上部シール部7以外に設けるほうが改竄防止効果が大きく好ましい。つまり、上部シール部7以外は製袋時に識別情報部I’を形成し、その後、ヒートシールされるが、上部シール部7は製袋時に識別情報部I’を形成するが、該部分をヒートシールされるのは内容物の充填時となるためにその時期的なズレの間に改竄される恐れがある。さらには識別情報部I’は開封用切れ目線11の近傍の周縁部に形成するほうが、レーザー光照射時間が短くてすみ生産性が向上するためにより好ましい。