JP4970906B2 - レンジフード - Google Patents
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特に、近年ではオープンカウンタに組み込まれる加熱調理器具としてIHクッキングヒータを採用する傾向が多く、このIHクッキングヒータは、ガスコンロなどのように燃焼ガスを発生しないために上昇気流が非常に弱く、発生した汚染空気は微力な室内気流の変化でも乱れ易い特性がある。
そのために、ダイニングなどの隣室での人の活動や空調機器、そしてドアの開閉などの外的要因から発生する室内気流の変化、特に横風の影響を受け易く、調理鍋などから舞い上がる湯煙や油煙などの汚染空気がレンジフードの外側に拡散し、捕獲効率が悪くなるなどの問題がある。
特許文献1において開示されているレンジフードは、フード部の下向きに開口する開口縁部(エッジ)から鉛直方向に空気流を吹き出させることにより、レンジフードの周りにエアカーテン流(鉛直流)を生成し、このエアカーテン流によって、調理によって発生する汚染空気が、フード部の外側に拡散することを防ぐようにしている。
つまり、フード部の開口縁部から下向きに向けて生成されるエアカーテン流のダイニング側に面する一部が横風によってフード部の内側に押されてしまう傾向が見られ、横風の影響を防ぐためのエアカーテン流による遮蔽機能が低下する。これにより、フード部に向かって上昇する汚染空気の上昇気流が乱されて、汚染空気の一部がフード部の外側に拡散するおそれがあるなどの効果的な横風干渉防止策とは言い難く、改善すべき課題が残されていた。
また、他の目的としては、横風干渉防止流の吹き出しに伴うフード部へと上昇してきた汚染空気のフード部の外側への拡散や漏洩をも効果的な拡散・漏洩防止策で防ぐようにしたレンジフードを提供することにある。
ここで、前記横風干渉防止流の吹き出し角度とその風速としては特に限定されるものではないが、人の活動や空調機器などの外的要因から前記ダイニング側に発生する横風によって、前記横風干渉防止流が前記オープンカウンタ側に押されたときに、横風干渉防止流の、特に前記オープンカウンタを越えて前記ダイニング側に向けて吹き出す部分の気流、詳しくは、ダイニング側に面するカウンタ縁からフード部側に向けた垂直線上と交わる高さ方向途中部位からカウンタ面の高さ部位に至る範囲における気流が、前記カウンタ縁よりさらに前記加熱調理器が組み込まれているカウンタ面に達しないように、吹き出し角度とその風速に設定することが好適なものとなる。
例えば、ダイニング側からの横風の風速が0.6m/sの場合、フード部の下向き開口縁部の水平線上からの横風干渉防止流の下向き吹き出し角度を40〜45°の範囲とし、オープンカウンタのカウンタ面の高さに達する横風干渉防止流の先端気流の風速を0.5〜1.0m/sの範囲に設定することが好ましいものとなる。この場合、外向き吹き出し口またはその開口近傍における横風干渉防止流の風速は4.5〜6.0m/sの範囲に設定されるものである。
また、前記誘引抑止流のフード部の内側に向けた下向き傾斜での吹き出し角度とその風速としては特に限定されるものではないが、フード部へと上昇してきた汚染空気が、整流板に沿ってその周りの吸込み隙間からフード部内に吸い込まれるに際して、その障害とならない程度の下向き吹き出し角度に設定することが好適なものとなる。
例えば、前記したように、横風干渉防止流の下向き吹き出し角度が40〜45°の範囲で、外向き吹き出し口またはその開口近傍における横風干渉防止流の風速が4.5〜6.0m/sの範囲とした場合には、フード部の下向き開口縁部の水平線上からの誘引抑止流のフード部の内側に向けた下向き吹き出し角度を5〜45°の範囲に設定することが好ましく、その風速を1.0m/sに設定することが好ましい。
つまり、横風が、下向き水平に開口するフード部の開口面からオープンカウンタに組み込まれている調理加熱機器に至るその内側に流れ込まないように、オープンカウンタのカウンタ縁を越えてダイニング側に吹き出す横風干渉防止流によって阻止することができる。これにより、調理中に発生する汚染空気に対する横風の干渉を効果的に、かつ、確実に防ぐことができる。
また、外向き吹き出し口から吹き出す横風干渉防止流の流れに伴って、外向き吹き出し口またはその開口近傍に生じ易い外向きの誘引力は、外向き吹き出し口の内側において平行に開口する内向き吹き出し口から吹き出す誘引抑止流によって減勢される。これにより、フード部へと上昇してきた汚染空気が、横風干渉防止流の流れに誘引されてフード部の外側に拡散、そして漏洩することを防ぐことができる。
これにより、調理によって発生する汚染空気の上昇気流は、横風に干渉されて乱されることなく、フード部に向かって真っ直ぐに上昇し、フード部内に吸い込まれて捕獲される。よって、オープンキッチン用としての横風干渉防止策を期待することができることで、汚染空気の捕獲効率を効果的に高めることができる。
これにより、フード部に向かって上昇してきた汚染空気の効果的な漏洩防止策を期待することができる。よって、フード部に向かって上昇してきた汚染空気をフード部の外側に漏らさずに確実に捕獲することができる。
図1は、本実施形態に係るレンジフードをオープンカウンタの真上に取り付けた状態を示す縦断側面図である。
なお、レンジフードには、壁取り付けタイプと、天井取り付けタイプ(所謂アイランド)とがあるが、本実施形態では、壁取り付けタイプのレンジフードを一例に挙げて説明する。
また、本実施例では、図1において、オープンカウンタBを挟んで紙面の右側がキッチンK側、紙面の左側がダイニングD側を示す。
そして、レンジフードAの方向において、キッチンK側(使用側)がフード部1の前側、ダイニングD側がフード部1の後側、キッチンK側から見て室側壁Cに接する側がフード部1の右側、反対側がフード部1の左側となる。(図2参照)。
レンジフードAは、図1に示すように、オープンカウンタBに組み込まれる加熱調理器具bの略真上において設置され、調理中に発生する油煙、湯煙(水蒸気)、廃ガスなどの汚染空気Gを吸引捕獲して屋外に排気するように構成されている。
このレンジフードAは、図1に示すように、薄型のフード部1と、このフード部1の天板1aから立ち上げるように取り付けられる送風機ユニット2とを備えて構成されている。
図2は、本実施形態に係るレンジフードの底面図であり、図3は、同平面図である。ここでは、図1を適宜参照しながら説明する。
フード部1は、図2及び図3に示すように、キッチンK側とダイニングD側にそれぞれ面する前側と後側の二辺の開口縁部1−1,1−2側を幅広く、そして、キッチンK側から見て右側と左側の二辺の開口縁部1−3,1−4側を幅狭く開口させた下向きに開口する扁平箱型に形成されている(図1参照)。
そして、フード部1は、図1および図2に示すように、前後左右の開口縁部1−1〜1−4との間に吸込み隙間Sを囲繞状に確保するように整流板3を備えている。
なお、図示を省略しているが、グリスフィルタ5によって捕獲された油脂分や水分などは、整流板3の上に一旦滴下し、この整流板3の下に着脱可能に備えられているオイルパックなどに回収されるようになっている。
これにより、仕切り壁7と開口縁部2−2の側面部との間に、後記するクロスフロファン11,12をそれぞれ回転可能に支持させて内設させるための区画された収容部8を確保し、かつ、収容部8の下面に、図1及び図2に示すように、フード部1の幅方向に沿うように平行に開口させた二条の外向き吹き出し口9と内向き吹き出し口10とをそれぞれ開設するようにしている。
送風機ユニット2は、図1および図3に示すように、排気ダクト13が接続される排気装置2−1と、この排気装置2−1と排気ダクト13とを隠蔽するための上下伸縮可能なダクトカバー2−2とを備えて構成されている。
ちなみに、排気ファン16は、排気能力が高い遠心ファン(通称:シロッコファンと称されている)である。
ダクトカバー2−2は、上下面と一側面とを開口させた平面視で略コの字形状に形成され、その一側開口側がキッチンKの室側壁Cに取り付けられ(図3参照)、下端開口にはフード部1の天板1aが、連絡口6を連通させた状態で取り付けられるようにしている(図1参照)。
図4は、本実施形態に係るレンジフードの要部を拡大して示す断面図である。ここでは、図1〜図3を適宜参照しながら説明する。
収容部8は、図4に示すように、前記した仕切り板7と、この仕切り板7の下端と後側の開口縁部1−2の下端との間を塞ぐように取り付けられる口構成部材17とによって、開口縁部1−2の内側に、整流板2を備えているフード部1の下向き開口側と区画された状態で形成されるものである。
そして、この収容部8内に位置するフード部1の天板1aには、口構成部材17の後記する区画壁18によって区画分離される外向き吹き出し口9側と内向き吹き出し口10側とにそれぞれ室内空気が取り込まれるように、無数の点在させた空気取入れ孔19,20が開設されている(図3参照)。
そして、口構成部材17は、図4に示すように、フード部1の右側の開口縁部1−3から左側の開口縁部1−4に至るように形成されている収容部8内を、前後に分離するための区画壁18を備えている。これにより、収容部8内の前後に、前記したクロスフロファン11,12を区画分離させた状態でそれぞれ回転可能に支持するように形成されている。つまり、口構成部材17は、クロスフロファン11,12それぞれのファンケーシング部を兼ねて、クロスフロファン11,12を収容部8内に収容する。
この外向き吹き出し口9は、図2及び図4に示すように、フード部1の後側の開口縁部1−2に沿って幅方向の略全幅に至る開口幅L1にてダイニングD側に向けた下向き傾斜の吹き出し角度(θ1)で形成される(後記の図5参照)。
この内向き吹き出し口10は、図2および図4に示すように、外向き吹き出し口9と平行で、この外向き吹き出し口9の開口幅L1と同じ開口幅L2にてフード部1の内側に向けた下向き傾斜の吹き出し角度(θ2)にて形成される(図5参照)。
次に、外向き吹き出し口9及び内向き吹き出し口10からそれぞれ吹き出される横風干渉防止流Mの吹き出し角度(θ1)、誘引抑止流Nの吹き出し角度(θ2)とそれらの風速(m/s)について簡単に説明する。
特に、図5に示すように、ダイニングD側に面するカウンタ縁からフード部1側に向けた垂直線上X2と交わる高さ方向途中部位からカウンタ面の高さ部位に至る範囲における気横風干渉防止流Mの一部気流が、カウンタ縁を越えてさらに加熱調理器bが組み込まれているカウンタ面に達しないように、横風干渉防止流Mの吹き出し角度(θ1)とその風速(m/s)を設定することが好適なものとなる。つまり、図5に一点鎖線で示したように、横風干渉防止流Mが横風Wによって押されてもカウンタ縁に達しないようにすることが好適なものとなる。
例えば、図5に示すように、ダイニングD側からの横風Wの風速が0.6m/sの場合、フード部1の下向き開口縁部の水平線上X1からの横風干渉防止流Mの下向き吹き出し角度(θ1)を40〜45°の範囲とする。そして、オープンカウンタBのカウンタ面の高さに達する横風干渉防止流Mの先端気流の風速を0.5〜1.0m/sの範囲に設定することが好ましいものとなる。この場合、外向き吹き出し口またはその開口近傍における横風干渉防止流の風速は4.5〜6.0m/sの範囲に設定されるが好適なものとなる。
例えば、前記したように、横風干渉防止流Mの下向き吹き出し角度が40〜45°の範囲で、外向き吹き出し口9またはその開口近傍における横風干渉防止流Mの風速が4.5〜6.0m/sの範囲に設定されている場合には、フード部1の下向き開口縁部1−3,1−4の水平線上X1からのフード部1の内側に向けた下向き吹き出し角度を5〜45°の範囲に設定し、この5〜45°の吹き出し角度(θ2)で誘引抑止流Nが内向き吹き出し孔10からフード部1の内側に向かって吹き出すようにすることが好適なものとなる。
そして、このときの誘引抑止流Nの風速は、1.0m/sに設定することが好適なものとなる。つまり、風速が4.5〜6.0m/sの範囲で外向き吹き出し口9からダイニングD側に吹き出される横風干渉防止流Mの流れによって、図1に示すように、フード部1へと上昇してきた汚染空気Gが誘引されることを確実に抑止することができる。
これにより、調理中に発生する汚染空気Gに対する横風Wの干渉を確実に防いで、フード部1の外側への汚染空気Gの拡散や漏洩を防ぐことができる。
これにより、フード部1へと上昇してきた汚染空気Gが、横風干渉防止流Mの流れに誘引されてフード部1の外側に拡散、そして漏洩することを防ぐことができる。
例えば、外向き吹き出し口9の開口幅L1よりも内向き吹き出し口10の開口幅L2を広くまたは狭くすることができる。また、内向き吹き出し口10は、外向き吹き出し口9の内側に底面視で内向き湾曲形状などの曲面形状やその他の形状にて開口することができる。
また、外向き吹き出し口9は、フード部1の下向き開口縁部のダイニングD側に面する一辺縁部のみならず、キッチンK側を除く、他の開放する縁部に開口することができる。
例えば、前記した実施形態の壁取り付けタイプの場合には、キッチンK側と室側壁Cを除く、ダイニングD側の縁部と、この縁部に直角に連設する一方の縁部との二辺縁部にそれぞれ開口することができる。また、天井取り付けタイプの場合には、キッチンK側を除く、ダイニングD側を含む三辺縁部にそれぞれ開口することができる。この場合、外向き吹き出し口9に合わせて内向き吹き出し口10もそれぞれ開口するものである。
B オープンカウンタ
b 加熱調理器
D ダイニング
K キッチン
1 フード部
1−1〜1−4 開口縁部
2 送風機ユニット
3 整流板
9 外向き吹き出し口
10 内向き吹き出し口
M 横風干渉防止流
N 誘引抑止流
S 吸込み隙間
W 横風
Claims (1)
- キッチンとダイニングとの間のオープンカウンタに組み込まれている加熱調理機器の略真上に設置されるフード部と、このフード部が取り付けられる送風機ユニットと、を備え、
前記フード部は、下向きに開口する開口縁部との間に吸込み隙間を確保するように整流板を備え、調理によって発生する汚染空気を、前記吸込み隙間からフード部内に吸い込み、前記送風機ユニットに接続される排気ダクトから屋外に排気するように構成されているレンジフードであって、
前記ダイニング側に面する前記フード部の下向き開口縁部の少なくとも1つの一辺縁部に、この一辺縁部の幅方向に沿うように開口される外向き吹き出し口を備え、前記外向き吹き出し口は、下向き傾斜角度で前記汚染空気に対する横風の干渉を防ぐための横風干渉防止流を吹き出すように形成され、
前記外向き吹き出し口が開口する前記フード部の下向き開口縁部の一辺縁部に、前記吸込み隙間よりも外側において前記外向き吹き出し口の内側に開口される内向き吹き出し口を備え、前記内向き吹き出し口は、前記横風干渉防止流に誘引される前記汚染空気を、前記フード部の内側方向に向けて押し込むための誘引抑止流を下向きの傾斜で吹き出すように形成されていることを特徴とするレンジフード。
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