以下、本発明の画像読取装置及び画像形成装置の実施の一形態としての複写機について、図面を用いて説明する。
以下、本発明の実施の一形態としての画像読取装置及び画像形成装置について、図面を用いて説明する。ここでは、前記の画像読取装置及び画像形成装置を複写機に適用した場合を示す。
図1は、本発明の第1の実施の形態としての複写機の構成を示す断面図である。
図1において、複写機300の本体300aの上面には透光性部材からなるコンタクトガラス21bが設けられており、このコンタクトガラス21bに隣接する本体の上面にはコンタクトガラス21bよりも小面積の透光性部材からなるスリットガラス21aが設けられている(図2参照)。
また、本体300aの上部には自動原稿搬送装置(以下、ADFともいう)400が設けられており、このADF400は図示しないヒンジ機構を介してコンタクトガラス21bを開放及び閉塞するように開閉自在になっている。
一方、複写機300の本体300a内には、第1読取部としての画像読取装置81が設けられており、この画像読取装置81によって読取られた画像情報は書込部82によって感光体ドラム83に照射されるようになっている。
画像読取装置81は、コンタクトガラス21b又はスリットガラス21a上の原稿(又は原稿束)1を照明する光源81aと、原稿1から反射された光をそれぞれ反射する第1ミラー81b、第2ミラー81c、第3ミラー81dと、第3ミラー81dから反射された光をCCDイメージセンサ81fに結像するレンズ81eと、レンズ81eによって結像された光を電気信号に変換するCCDイメージセンサ81fと、を備えている。
光源81a及び第1ミラー81bは図示していない第1走行体(第1キャリッジ)に取付けられているとともに、第2ミラー81c及び第3ミラー81dは図示していない第2走行体(第2キャリッジ)に取付けられている。第1キャリッジ及び第2キャリッジは、コンタクトガラス21b及びスリットガラス21a下方において、その両側部下方に配設されたガイドレール(不図示)に沿って図1中、左右に移動するようになっている。
そして、第1キャリッジ及び第2キャリッジは、コンタクトガラス21bに載置された原稿を読取るときには、コンタクトガラス21bの下方で図1中、左右方向に移動され、スリットガラス21aを通過する原稿を読取るときには、スリットガラス21aの下方で停止される。画像読取装置81は、原稿に表示された画像(文字(テキスト)、図形、写真等を含む)を読取ることができる。
書込部82は、画像読取装置81によって読取った画像情報に応じて光変調したレーザ光を照射し、帯電させた感光体ドラム83の表面をこのレーザ光で露光するようになっている。
感光体ドラム83の周囲には、感光体ドラム83と共に画像形成手段を構成する現像装置86、転写ベルト87、クリーニング装置88、図示しない帯電装置及び除電装置が設けられている。帯電装置は暗中にプラス電荷のコロナ放電をグリッドにより制御して感光体ドラムの表面を一定電位に帯電させるようになっている。
書込部82はこの一定電位に帯電された感光体ドラム83上に画像情報を含んだレーザ光を照射して感光体ドラム83上のマイナス電荷を除去して静電潜像を形成する。
現像装置86は感光体ドラム83上のマイナス電荷を除去された部分にマイナスに帯電されたトナーを付着させて可視像を形成する。転写ベルト87にはプラスのバイアスが印加されており、この転写ベルト87はマイナスに帯電された可視像を記録媒体としての転写紙(用紙)に転写して搬送するようになっている。
クリーニング装置88はクリーニングブレードを備えており、感光体ドラム83に残ったトナーを掻き落とすようになっている。除電装置はLEDを点灯させることにより感光体ドラム83の残留電荷を除去して次の転写紙に新たな画像を形成するための準備を行う。
このようにして画像が形成された転写紙は定着装置90に搬送され、定着装置90によりトナー画像が転写紙に定着される。
また、本体300a内にはそれぞれ異なるサイズの転写紙S1〜S5が収納された収納カセット91〜95が設けられており、この収納カセット91〜95に収納された転写紙は呼出しコロ91a〜95aによって給紙された後、搬送方向に回転する給紙ローラ91b〜95b及び給紙ローラ91b〜95bに摺接し、分離方向に回転するリバースローラ91c〜95cによって分離された後、中継ローラ対96、97を介してレジストローラ対98に搬送され、レジストローラ対98によってタイミングを取られて感光体ドラム83と転写ベルト87の間の搬送路に搬送される。
図2は、本発明の第1の実施の形態としてのADF400の構成を示す断面図である。
図2において、ADF400は、第1読取部としての画像読取装置81を固定して、読取対象の原稿1を所定の速度で搬送しながら、画像読取装置81、第2読取部25の一方又は両方で画像を読取るシートスルー方式(自動搬送モード)と、読取対象の原稿を固定して、画像読取装置81を移動させながら画像を読取る原稿固定読取方式(圧板モード)のいずれにも対応可能なものである。
一方、前述した複写機300の本体300aは、画像読取装置81、本体給紙装置、現像装置、定着装置等を備え、図示していないホスト装置と所定のインタフェースを介して接続されており、これらが通信システムを構成している。そして、操作部108(図3照)の操作に基づいて画像読取装置81と第2読取部25の一方又は両方で読取られた原稿1の画像形成要求が発生するか、あるいは前記ホスト装置で画像形成要求が発生すると、本体給紙ローラを駆動することにより、前記本体給紙装置に装備した転写紙を1枚ずつ搬送方向へ移動させ、レジストローラに到達すると前記転写紙を一時停止させる。この後、本体制御部111(図3参照)よりレジストローラ駆動開始要求が出されると、前記レジストローラが駆動し、転写紙を搬送方向へ移動させる。次いで、現像装置86においては、トナーを感光体に付着させて、感光体上に原稿のトナー像を形成させる。次いで、転写ベルト87により転写紙にトナーを付着させる。こうして、転写紙に付着したトナーを定着させるために、転写紙を定着装置90に移動させ、定着ローラで加熱・加圧処理を施すようになっている。
また、図1において、ADF400は、画像形成装置の本体300aにヒンジ等の連結部材で連結され、コンタクトガラス21b上に開閉自在に搭載されている。ADF400を原稿搬送面に対して開放することで、原稿1をコンタクトガラス21b上に載置するか、あるいはコンタクトガラス21b上から取り除くことができ、原稿搬送面に対して閉じることで、原稿1をコンタクトガラス21b面に押圧できる。画像形成装置の本体300aは、前述の原稿固定読取方式及びシートスルー読取方式によって原稿を読取るように構成されている。なお、画像読取装置81は、副走査方向の読取りを行う際に、光源81a及び第1ミラー81bが図1中、右側に「1」だけ進む間に第2ミラー81c及び第3ミラー81dは「1/2」だけ進むことにより、レンズ81eの光路長を一定に保ちながら走査する構成になっている。一方、第2読取部25は等倍光学系の密着イメージセンサを有している。この第2読取部25に対向する第2読取搬送ローラ26は、シートスルー読取方式による両面読取り時に読取り面(密着イメージセンサの表面に装着されたコンタクトガラス21c(図8参照)に相当する)から離間するようになっている。また、画像形成装置の本体300aは、操作部108(図3参照)の操作により、前述した原稿固定読取方式で原稿を読取る自動搬送モード(ADFモード)、前述したシートスルー読取方式で原稿を読取る圧板モード(片面モード、両面モード)等の動作モードが任意に設定できるように構成されている。
また、図2において、ADF400は、読取対象の原稿束をセットする原稿セット部A、セットされた原稿束から一枚毎原稿を分離して給送する分離給紙部B、給送された原稿を一次突き当て整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部C、搬送される原稿を反転させて、原稿面を読取り側(下方)に向けて搬送する反転部D、原稿の表面画像を、コンタクトガラス21bの下方より読取らせる第1読取搬送部E、表面(第1面)読取り後の原稿の裏面(第2面)の画像を読取る第2読取搬送部F、表裏の読取りが完了した原稿を装置外に排出する排紙部G、読取り完了後の原稿を排紙トレイ29に積載保持するスタック部H、を含む機構部と、この機構部の搬送動作のための駆動を行う駆動部101〜105、301、403と、さらに、一連の動作を制御するコントローラ100と、から構成されている(図3参照)。
図3は、ADF400の制御部の構成を示すブロック図である。図4は、第2読取部25の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、コントローラ100は、ADF側に配設された第2読取部25に対して電源を供給するとともに、本体制御部111から送信される制御信号に基づいて、第2読取部25に対して読取タイミングを示すタイミング信号を送出し、露光のための光源を点灯/消灯させるようになっている。また、コントローラ100は、本体制御部111から送信される制御信号に基づいて、ローラ駆動モータ403を駆動して第2読取搬送ローラ26を回転させるとともに、両面読取り時にはローラ離間ソレノイド301を駆動して第2読取部25の読取り面と第2読取搬送ローラ26との間隔を変更(離間)するようになっている。
図4に示すように、第2読取部25は、原稿読取り時の露光のための光源部(LED)200、原稿の画像面を読取ってその情報を電気信号(アナログ信号)に光電変換するCCDセンサチップ201、そのアナログ信号を増幅する増幅器202、増幅されたアナログ信号をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ203、そのディジタル信号から画情報を生成する画処理部204、その画情報を展開して蓄積するためのフレームメモリ205、フレームメモリ205に蓄積された画情報をインタフェース回路207を介して本体制御部111に送出する出力制御回路206、を備え、ADF側からのタイミング信号に従って露光処理を行い、取得した画情報を本体側に送出するように構成されている。
前述した構成において、原稿固定読取方式により原稿画像を読取る場合に、原稿又は原稿束1をコンタクトガラス21b上にセットし、ADF400を閉状態にする。このADF400の底部には、原稿固定読取方式で原稿を読取るときに原稿をコンタクトガラス21bに圧接するための圧板(図示せず)が設けられている。前記閉状態で、操作部108のプリントキーが押下されると、画像読取装置81を左右方向に移動させながら原稿を読取ることになる。なお、原稿固定読取方式では、例えば、1枚のA4判原稿の読取りごとに、コントローラ100から画像読取装置81に対して後述のゲート信号が送信され、読取り制御が行われる。
また、シートスルー方式により原稿画像を読取る場合に、読取対象の原稿(原稿束)1をセットするときは、可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上で、原稿面を上向きにした状態でセットする。さらに、原稿束1の幅方向(主走査方向(搬送方向と直交する方向))をサイドガイド321によって規制し、幅方向の位置決めを行う。原稿がセットされたこと(セット状態)は、セットフィラー4、セットセンサ5により検知され、インタフェース(I/F)107により本体制御部111に送信される。さらに、原稿テーブル面に設けられた原稿長さセンサ30、31(反射型センサ又は、原稿1枚でも検知可能なアクチュエータ・タイプのセンサが用いられる)により原稿の搬送方向長さの概略が判定される。ここでは、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要となる。
可動原稿テーブル(底板)3は、底板上昇モータ105によりa、b方向(図2参照)に上下動可能になっている。コントローラ100は、原稿がセットされたことをセットフィラー4、セットセンサ5により検知すると、底板上昇モータ105を正転させて、原稿束の最上面がピックアップローラ7と接触するように可動テーブル3を上昇させる。ピックアップローラ7は、ピックアップモータ101の駆動でカム機構により、c、d方向(図2参照)に可動テーブル3と共に回動する。また、可動テーブル3は、可動テーブル3上の原稿上面により押されてc方向に回動して上昇し、給紙適正位置センサ8により回動の上限を検知される構成となっている。
この給紙適正位置センサ8は、可動原稿テーブル3が上昇し過ぎたことを検出して原稿束の上面が適正な給紙高さに保たれていることを検出するセンサである。給紙適正位置センサ8がONしたら底板上昇を停止し、給紙を繰り返すことで原稿上面位置が下がり給紙適正位置センサ8がOFFしたら、可動原稿テーブル3を上昇させて給紙適正位置センサ8が再びONするように制御を繰り返すことにより、常に原稿束の上面位置(最上位)が給紙に適した高さに維持される。
なお、セットされた原稿が全て給紙されると、底板上昇モータ105を正転させて次の原稿束をセットできるようにホームポジション位置へと可動原稿テーブル3を下降させる。底板ホームポジション(HP)センサ 6は、可動原稿テーブル3がホームポジション位置にあることを検出するようになっている。
前述したように、可動原稿テーブル3上の原稿束の上面が適正な給紙高さに保たれた状態で、操作部108のプリントキーが押下され、本体制御部111からインタフェース107を介して、コントローラ100に原稿給紙信号(給紙スタート信号)が送信されると、給紙動作を開始する。ここで、ピックアップローラ7は、給紙モータ102の正転により回転駆動し、原稿テーブル2上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。このときの回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。給紙ベルト9は、給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動される。この給紙ベルト9と対向するリバースローラ10は、給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿を分離して、最上位の原稿のみを給紙する構成となっている。
さらに詳しく説明すると、リバースローラ10は給紙ベルト9と所定圧で接し、給紙ベルト9と直接接しているとき、又は原稿1枚を介して接している状態では、給紙ベルト9の回転に連れて反時計方向に連れ回りし、原稿が2枚以上給紙ベルト9とリバースローラ10との間に進入したときには、連れ回り力がトルクリミッタ(例えば、リバースローラ10のローラ軸に設けられている)のトルクよりも低くなるように設定されている。従って、原稿が2枚以上進入したときには、リバースローラ10は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをするために、重送が防止される。
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用により、1枚に分離された原稿は、給紙ベルト9によってさらに搬送され、突当センサ11によって先端が検知され、さらに進んで停止しているプルアウトローラ12に突き当たる。その後、前記原稿は、突当センサ11の検知情報により予め定められた距離だけ搬送され、結果的には、プルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられる。この状態で、給紙モータ102を停止させることにより、給紙ベルト9の回転が停止する。ここで、コントローラ100は、原稿先端が突当センサ11により検知されると、ピックアップモータ101を駆動させ、ピックアップローラ7を原稿上面から退避させる。従って、前記原稿は、給紙ベルト9の搬送力のみで搬送されることになる。このような動作により、原稿先端は、プルアウトローラ12の上下ローラ対のニップ部に進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。プルアウトローラ12は、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのローラで、給紙モータ102の逆転により駆動される。また、給紙モータ102の逆転時には、プルアウトローラ12と中間ローラ14とは駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9とは駆動されていない。
原稿幅センサ13は、奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿の幅方向(搬送方向に直交する方向)のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端、後端を突当センサ11で検知することにより、モータパルスから検出されるように構成されている。プルアウトローラ12及び中間ローラ14の駆動により、レジスト部Cから反転部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cにおける搬送速度が、読取搬送部Eにおける搬送速度よりも高速になるように設定することで、原稿を読取位置20へ送り込む処理時間の短縮が図られている。原稿先端が読取入口センサ15により検出されると、読取入口ローラ16の上下ローラ対のニップ部に原稿先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ16、読取出口ローラ23(読取出口駆動ローラ23a、読取出口従動ローラ23b)、CIS出口ローラ27(CIS出口駆動ローラ27a、CIS出口従動ローラ27b)を駆動する。
前記原稿の先端をレジストセンサ17にて検知すると、コントローラ100は所定の搬送距離で減速し、前記原稿を読取位置20の手前で一時停止させると共に、インタフェース107を介して本体制御部111にレジスト停止信号を送信する。次いで、コントローラ100は、本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿の先端が読取位置に到達するまでに、所定の搬送速度に立ち上がるように増速して搬送させる。コントローラ100は、読取モータ103のパルスカウントにより検出された原稿先端が画像読取装置81上方の読取位置20に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号を送信する。このゲート信号は、画像読取装置81上方の読取位置20を原稿後端が抜けるまで送信される。片面読取りの場合には、読取搬送部Eを通過した原稿は、第2読取部25を経て排紙部Gへ搬送される。この際、コントローラ100は、排紙センサ24が原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を反時計方向に回転させる。
また、コントローラ100は、排紙センサ24により原稿の先端が検知されてから、排紙モータ104のパルスをカウントし、原稿後端が排紙ローラ28の上下ローラ対のニップ部から抜ける直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させて、排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないように制御する。両面読取りの場合には、コントローラ100は、排紙センサ24にて原稿先端を検知してから読取モータ103のパルスをカウントする。次いで、コントローラ100は、第2読取部25に原稿先端が到達するタイミングで第2読取部25に対し、副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号を送信する。このゲート信号は、第2読取部25を原稿後端が抜けるまで送信される。第2読取搬送ローラ26は、第2読取部25における原稿の浮きを抑えて搬送すると同時に、第2読取部25におけるシェーディングデータを取得するための基準白部(白色基準)を兼ねるものである。
また、コントローラ100は、第2読取部25に原稿先端が到達する前に、ローラ駆動モータ403を駆動して第2読取搬送ローラ26を回転させる。さらに、コントローラ100は、両面読取り時にローラ離間ソレノイド301を駆動し、第2読取搬送ローラ26と第2読取部25の読取り面との間隔が片面読取り時よりも狭いようにする。なお、第2読取搬送ローラ26と第2読取部25の読取り面との最小間隔はスペーサ320a(図8参照)によって保持される。したがって、片面読取り時、第2読取部25におけるセルフクリーニングは行われず、原稿は第2読取搬送ローラ26によって下流へガイドされる。一方、両面読取り時、原稿は第2読取部25の読取り面に圧接した状態で第2読取搬送ローラ26に搬送され、セルフクリーニングが行われる。
ここで、第2読取搬送ローラ26を含む第2読取ユニット800の開閉機能について説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態としての第2読取ユニット800の開状態を示す断面図である。
図5において、第2読取ユニット800は、ローラ離間ソレノイド301、読取出口従動ローラ23b、第2読取搬送ローラ26、CIS出口従動ローラ27b、上流ガイド421、下流ガイド422、レバー303、304、ギヤ410、引張スプリング302及びL字部材305を含む伝動部材を有し、軸420を中心として回動可能な構成である。なお、ローラ駆動モータ403及びローラ駆動モータ403の軸502に装着されたギヤ411は第2読取ユニット800に含まれない。
前述した第2読取ユニット800の開閉に伴って第2読取搬送ローラ26は円弧を描いて回動する(図中、矢印で示す)。第2読取ユニット800を開閉可能とすることにより、駆動伝達機構700等のメンテナンス時や原稿ジャムが発生した場合の作業が容易になる。
図6は、本発明の第1の実施の形態としての第2読取搬送ローラ26の駆動伝達機構の構成を示す斜視図である。なお、後述するスペーサ320aは軸419に1対装着され、レバー303の外側(ADF400のフレーム側)、及びL字状のレバー304とギヤ410との間に配されているが、ここでは図示を省略している。同じく、下流ガイド422は、に軸401に回動自在に装着されているが、ここでは図示を省略している。
図6において、駆動伝達機構700は、第2読取搬送ローラ26を回転駆動するためのローラ駆動モータ403(図3参照)と、ローラ駆動モータ403の駆動を第2読取搬送ローラ26に伝達するギヤ410、411と、第2読取搬送ローラ26を軸401中心に回動するためのローラ離間ソレノイド301と、ローラ離間ソレノイド301の駆動(例えば、吸引駆動)を第2読取搬送ローラ26に伝達する引張スプリング302、L字部材305及びレバー303、304と、を有する構成である。
ギヤ411は、ローラ駆動モータ403の軸502に装着されてギヤ410に駆動を伝達する伝動部材である。ギヤ410は、第2読取搬送ローラ26の軸419に装着され、ギヤ411と噛合してローラ駆動モータ403の駆動を第2読取搬送ローラ26に伝達する伝動部材である。
レバー303は、一端が軸419と連結(係合)されるとともに他の一端が軸401に回動自在に装着され、レバー304と連動してローラ離間ソレノイド301の駆動を第2読取搬送ローラ26に伝達する伝動部材である。レバー304は、一端が軸419に連結(係合)され、前記一端と曲折部304aとの中間部が軸401に回動自在に装着されるとともに他の一端(曲折部304aの一端)がL字部材305の一端に連結(係合)され、引張スプリング302及びL字部材305を介して前記他の一端に伝動された駆動を第2読取搬送ローラ26に伝達する伝動部材である。
L字部材305は、軸305aに支持されて軸中心に回動自在であって、一端がレバー304に連結(係合)されるとともに他の一端が引張スプリング302に接続され、引張スプリング302を介して伝動されたローラ離間ソレノイド301の駆動をレバー304に伝達する伝動部材である。引張スプリング302は、一端がL字部材305に接続されるとともに他の一端がローラ離間ソレノイド301の可動部に接続され、ローラ離間ソレノイド301の駆動をL字部材305に伝達する伝動部材として機能する。また、引張スプリング302は、ローラ離間ソレノイド301が解除状態にあるとき、第2読取搬送ローラ26が第2読取部25の読取り面から所定距離、離間するように(セルフクリーニングを行わないように)L字部材305及びレバー304を介して付勢する付勢部材として機能する。前記所定距離は、少なくとも、スペーサ320aによって保持される最小間隔より大きいものとする。
本実施の形態では、第2読取搬送ローラ26の軸419にはレバー303、304が連結され、第2読取搬送ローラ26は、通常は引張スプリング302の作用で第2読取部25から離れた位置(離間位置)にある。これに対し、例えば、両面読取り時においては、ローラ離間ソレノイド301の吸引駆動により、軸305aを中心にL字部材305が反時計廻り方向へ回動することでレバー303、304も軸401を中心に回動し、この回動に応じて第2読取搬送ローラ26は第2読取部25表面から適正な距離を保った位置(近接位置)に移動する。本実施形態によれば、第2読取搬送ローラ26をレバー303、304で支持し、第2読取搬送ローラ26の離間動作ではレバー303、304をローラ離間ソレノイド301やローラ駆動モータ403にて駆動させる方式をとることにより、離間動作の負荷を軽減して装置の重量アップや大型化を抑制するようにしている。
なお、軸502と軸401の軸心は略同一となる(同一軸線上にある)ように配されている。また、軸401の軸線l1と、支点420と軸502と軸419とを結ぶ線分l2と、は略垂直となっている。また、ギヤ410、411は所謂「はすば歯車」で構成されている。はすば歯車を用いることにより、ギヤ410とギヤ411とが確実に噛合するようにしている。
図7は、本発明の第1の実施の形態としての第2読取ユニット800の開閉に伴う伝動部材の位置関係を示す図である。
図7(a)に示すように、ギヤ411の回転中心(ローラ駆動モータ403の軸502(図6参照))と第2読取搬送ローラ26の回動(上下移動)の中心(軸401)とは略同一軸線上に配置されている。よって、第2読取搬送ローラ26の回転中心(軸419)と軸401との距離aと、軸502と軸419との距離bと、は略同一である(a≒b)。この関係により、第2読取搬送ローラ26は第2読取部25に対して非垂直方向に移動する(円弧状の軌跡を描いて移動する)ことになる。ギヤ411が装着された軸401と、第2読取搬送ローラ26の回動の軸401と、を略同一軸線上に配置することにより、伝動部品の点数を増やすことなく、第2読取搬送ローラ26と第2読取部25の読取り面とが近接又は離間している状態で、第2読取搬送ローラ26に対して駆動を伝達することかできる。
なお、図7(c)に示すように、第2読取搬送ローラ26と第2読取部25の読取り面とが近接又は離間する際、第2読取搬送ローラ26が第2読取部25に対して略垂直方向に移動するようにした場合には、近接時(非離間時)と離間時で異なる伝動部材(例えば、固定ギヤ411a、411b)を用いる構成となる。ここでは、ガイド表面への汚れ付着防止及び適切なシェーディングデータの取得のために離間時、非離間時に関わらず、原稿搬送時には常に回転体を駆動させる必要があるために、駆動部材(第2読取搬送ローラ26)を直線的に移動させると伝動部材が複数必要となるという問題が生じる。
また、本実施の形態では、第2読取搬送ローラ26と第2読取部25の読取り面とが離間しているとき、ギヤ411の回転中心(軸419)とギヤ410の回転中心(軸401)とを結ぶ線と、第2読取ユニット800の回動中心(軸420)とギヤ411の回転中心(軸419)とを結ぶ線と、のなす角は、非直角(例えば、鈍角)となるようにしている。この構成は、第2読取ユニット800を閉じるとき、ギヤ410の軸線がギヤ411の軸線に対向するように回動することにより、双方のギヤが噛合の衝撃によって損傷するのを回避するものである。また、離間時に第2読取搬送ローラ26の軸419が支点420とギヤ411の軸502とを結ぶ線上又は延長線上にあると、ギヤ410、411が回転しやすい方向に噛合するような力がかかるため、ギヤの破損が起こり難い。
なお、図7(b)に示すように、第2読取搬送ローラ26と第2読取部25の読取り面とが離間しているとき、第2読取搬送ローラ26の回転中心(軸419)と第2読取搬送ローラ26の回動中心(軸401)とを結ぶ線l3と、第2読取ユニット800の回動中心(軸420)と第2読取搬送ローラ26の回動中心(軸401)とを結ぶ線l4と、のなす角θを直角とした場合には、第2読取ユニット800を閉じるとき、ギヤ410の回動方向でギヤ410の軸線とギヤ411の軸線とが重なることにより、噛合の衝撃によって双方のギヤか損傷することが懸念される。
図8は、本発明の第1の実施の形態としての第2読取搬送部Fの構成を示す断面図である。ここで、(a)はスペーサ320aがコンタクトガラス21cの副走査方向の中央部でかつ主走査方向の両端部に当接した場合を示し、(b)は他の実施の形態としてのスペーサ320bがコンタクトガラス21cの副走査方向及び主走査方向の両端部に当接した場合を示している。
図8(a)において、第2読取搬送部Fは、第2読取部25と、第2読取部25と対向する第2読取搬送ローラ26と、第2読取部25のコンタクトガラス21c(読取り面に相当する)と第2読取搬送ローラ26とのニップ部に原稿を案内する上流ガイド421と、前記ニップ部に対して搬送方向の下流に原稿を案内する下流ガイド422と、を有する構成である。
第2読取部25は、搬送されてくる原稿と接して画像を読取るためのコンタクトガラス21c(読取り面)を有する。コンタクトガラス21cの表面には、原稿に紙粉や糊上の物質が付着するのを防止するため、コーティング処理(例えば、低摩擦化処理)が施されている。このコーティング処理により、コンタクトガラス21cの表面に付着した紙粉やインク等が読取ライン上に転写して発生する縦スジ等の不具合を防止している。また、第2読取搬送ローラ26は、第2読取り部25の読取り面における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取り部25におけるシェーディング補正用のデータ(シェーディングデータ)を取得するための基準白部を兼ねるものである。そして、第2読取搬送ローラ26は、原稿との接触(セルフクリーニングに相当する)によりローラ表面の汚れ防止し、適切なシェーディングデータを取得するために、搬送速度と同速で回転するようになっている。
上流ガイド421は、剛性材料(例えば、金属、樹脂)で構成され、第2読取搬送部Fに対して搬送方向上流のガイド板424の下流側で、支点421a中心に上下方向に回動し、図示しない弾性付勢部材により図中、反時計廻り方向へ付勢されている。
第2読取搬送ローラ26は、軸419に回転自在に支持されており、前述したようにローラ駆動モータ403の駆動で図中、時計廻り方向に回転する。また、軸419の両端側にはスペーサ320aが装着されている。
スペーサ320aは、読取搬送時(ローラ離間ソレノイド301の吸引駆動時)にコンタクトガラス21cの下面両端部の非読取り領域に当接し、上流ガイド421をコンタクトガラス21cから一定距離離間させるものである。スペーサ320aによって、上流ガイド421の先端部で決定される原稿の進入点と、コンタクトガラス21cとの間隔を常に一定に保つことができる。なお、上流ガイド421及び前記進入点については、前述した特許文献1に詳細に記載されている。
下流ガイド422は、軸401に装着され、レバー303、304と連動し、かつ第2読取搬送ローラ26に連動するようになっている。また、下流ガイド422は、第2読取搬送ローラ26と所定間隔を保ちながら、引張スプリング423によって図中、反時計廻り方向へ付勢されている。前記所定間隔は、前記ニップ部を通過した原稿が進入しないように設定され、第2読取搬送ローラ26の変位に関らず、一定に保たれる。
なお、図8(a)は、第2読取部25においてコンタクトガラス21cが副走査方向の中央部で支持され、スペーサ320aの当接位置も前記中央部とした場合を示しているが、例えば、第2読取部25においてコンタクトガラス21cが副走査方向及び主走査方向の両端部で支持された場合には、図8(b)に示すようにスペーサ320bの当接位置も副走査方向及び主走査方向の両端部としてもよい。コンタクトガラス21cの支持状態に応じてスペーサ320bの当接位置を設定することにより、当接による衝撃を緩和してコンタクトガラス21cのコーティング効果を継続させることが期待される。
ここで、スペーサ320a、320bの材料及び形状についてより具体的に述べる。第2読取部25は原稿の搬送によって発生する静電気により異常画像が発生し易い。例えば、除電ブラシをローラ軸に当て静電気を除去する場合、第2読取搬送ローラ26が離間動作をするために、除電ブラシでは離間時と近接時(非離間時)とで接し方が異なり、除電性能も異なることになる。これに対し、離間時と非離間時のいずれにおいても軸受(スペーサ320に相当する)が導電性を有し、さらに第2読取ユニット800のフレームが導電性を有していれば除電性能は変化しないため、導電性の軸受にて第2読取搬送ローラ26を支持することが好ましい。また、第2読取部25と第2読取搬送ローラ26との隙間(最小間隔)は、第2読取搬送ローラ26の軸419に装着され、第2読取搬送ローラ26の両端近傍に配置されたスペーサ320を第2読取部25に突当てることで決めているため、コンタクトガラス21cの破損防止にはスペーサ320aを導電性樹脂にて形成することが好ましい。しかし、導電性樹脂は軟質であるため、一般的な円弧形状(多少傾いても軸419との距離が出る形状)の場合、1点に繰り返し荷重を受けることによって変形が発生することが想定される。そこで、スペーサ320aの変形を防止するために、スペーサを円弧形状でなくその突当部を面形状にしてコンタクトガラス21cの端部付近(非読取領域)を加圧するようにしてもよい(図8(b)参照)。この構成によれば、スペーサ320bに加わる圧力を分散し、スペーサ320bの変形防止及びコンタクトガラス21cの損傷の防止が可能となる。
また、本実施の形態においては、第2読取部25の焦点深度が非常に狭いので、第2読取搬送搬送ローラ26を回転させながらシェーディングを行う場合には、第2読取部25の読取り面と第2読取搬送ローラ26との距離を所定範囲に維持する必要がある。このため、ローラの外径、振れ、色、ローラ表面の汚れ難さについて高い精度及び性能が要求される。
例えば、第2読取搬送ローラ26を樹脂一体成型した場合、一般的に色、汚れ難さは安定するが、ローラの外径や振れは成型条件や使用環境によって影響を受け易く、コスト的にメリットがあるものの要求仕様を満たすことが難しい。なお、要求される精度を実現するためにガラス入り樹脂を採用することが考えられるが、ガラス入りであるため色味のバラツキが大きいという難点がある。
また、芯材を金属にし、その回りに樹脂層を形成した場合、樹脂の厚みが5mm程度あると、成形時の圧力と成形後の樹脂の冷却によって軸に曲がりが発生し易く安定した精度を得ることが難しい。さらに、樹脂の厚みを薄くするために芯材を太くすると、第2読取搬送ローラ26の重量が増えて離間動作の負荷が増える。
そこで、本実施の形態では、樹脂の厚みを薄くして第2読取搬送ローラ26の増量を抑制するために、アルミニウム製の中空の押し出し材又は引き抜き材に樹脂を成形する方法を採用している。これにより樹脂の厚みを押さえて成形時の変形を少なくすることができ、また、比重が低く、中空の形状とすることが可能なアルミニウム製の芯材を採用することで第2読取搬送ローラ26の軽量化が可能となる。
以上のように構成された複写機300について、図9を用いて第2読取搬送ローラ26の離間動作を説明する。図9は、本発明の第1の実施の形態の第2読取搬送ローラの離間制御を示すフローチャートである。
まず、コントローラ100は、原稿テーブル2に載置された原稿が取出されて1枚ずつ分離され、レジスト位置まで搬送されると、本体制御部111からの制御信号に基づいて片面読取り又は両面読取りの自動搬送モードが設定されているか否か判断する(ステップS101)。この判断が片面読取りの場合はステップS102に移り、両面読取りの場合にはステップS105に移る。
ステップS102において、コントローラ100はローラ離間ソレノイド301をオフ(解除)に保つ。次いで、原稿が読取位置20に到達すると、画像読取装置81により前述したように原稿の表面(第1面)が読取られ(ステップS103)、原稿テーブル2上の原稿がなくなると(ステップS104)、処理を終了する。
前述した片面読取りの場合には、ローラ離間ソレノイド301を解除状態とすることにより、第2読取搬送ローラ26と第2読取部25の読取り面とが離間するので、画像読取装置81によって片面が読取られた原稿は第2読取搬送ローラ26のみによって搬送される。ここでは、第2読取部25による裏面(第2面)の読取り及びセルフクリーニングが行われないので、前記読取り面に施されたコーティングの効果を延長することが期待される。
一方、ステップS105において、コントローラ100はローラ離間ソレノイド301をオン(吸引駆動)にする。次いで、原稿が読取位置20に到達すると、画像読取装置81により前述したように原稿の表面(第1面)が読取られ(ステップS106)、第2読取部25により前述したように原稿の裏面(第2面)が読取られる(ステップS107)。
この後、原稿テーブル2上の原稿がなくなるまで(ステップS108)、ステップS106からステップS108の処理を繰返し、原稿テーブル2上の原稿がなくなると、ローラ離間ソレノイド301をオフ(解除)に戻し(ステップS109)、処理を終了する。
前述した両面読取りの場合には、ローラ離間ソレノイド301を吸引状態とすることにより、第2読取搬送ローラ26と第2読取部25の読取り面とが近接し、第2読取部25による裏面(第2面)の読取り中にセルフクリーニングが行われるので、前記読取り面に付着した紙粉等を除去して画像品質を維持することが期待される。
本実施の形態によれば、シートスルー方式で両面読取りを行う場合以外(例えば、片面読取りを行う場合、あるいは頁順を揃えるための通紙を行う場合)に、第2読取搬送ローラ26は第2読取部25の読取り面から所定距離、離間した状態で回転して原稿を搬送するが、ここで第2読取搬送ローラ26と前記読取り面との隙間は原稿の厚みよりも広いために、双方で原稿を挟持して搬送する搬送力は殆ど作用せず、第2読取搬送ローラ26によるガイド機能が作用することになる。また、この場合、原稿は第2読取搬送ローラ26と前記読取り面との隙間を非接触で単に通過するため、前記読取り面に施されたコーティングの劣化を遅延させることができる。これに対し、シートスルー方式で両面読取りを行う場合は、第2読取搬送ローラ26が前記読取り面に向けて回動して近接することにより、双方の隙間が原稿の厚みよりも狭いために、原稿が前記読取り面に押し付けられた状態で搬送され、セルフクリーニングが行われる。このセルフクリーニングにより、紙粉等のゴミを原稿の端面で前記読取り面から押し出して除去し、縦スジの発生を防ぐことができる。
本実施の形態によれば、第2読取搬送ローラ26の軸419と軸401との距離aは、軸419と軸502との距離bと略同一であるために、第2読取搬送ローラ26が軸401を中心として回動することにより、第2読取部25の読取り面と第2読取搬送ローラ26との間隔が変わってもギヤ410とギヤ411との距離は変化せず、ギヤ411を介してギヤ410に駆動を伝達することができる。
本実施の形態によれば、第2読取搬送ローラ26は両面読取り時以外に原稿に押圧されることがないため、原稿からローラ表面に汚れが移るのを抑えることができる。よって、シェーディング用の白色基準としての使用時間の延長(長寿命化)が期待される。
本実施の形態では、第2読取部25の読取り面に対向した第2読取搬送ローラ26を有する第2読取ユニット800はユニットのメンテナンスや原稿詰まりの処理のために、開閉自在となっているが、前述した構成とすることにより、伝動部材の接離に起因する伝動部材(例えば、ギヤ410、411)の破損を防止し、離間時と非離間時とで伝動部材(例えば、ギヤ410、411)と第2読取搬送ローラ26の駆動部材(例えば、ローラ駆動モータ403)との位置関係、あるいは第2読取搬送ローラ26と近接するガイド部材(例えば、下流ガイド422)との位置関係が崩れることを防止している。
なお、本実施の形態では、両面読取り時は原稿を第2読取部25へ押し付け、読取り面の紙粉等の汚れを除去し、片面読取り時は押し付けずにコーティングの劣化を防ぐ動作を説明したが、仮に片面読取り動作のみが連続的に行われた場合、紙粉等が第2読取部25の読取り面に蓄積し続け、この状態で両面読取り動作が行なわれると、1回の原稿搬送によるセルフクリーニングでは紙粉等の除去が完了しない場合があり得る。この場合に対する他の実施の形態を図10、図11に示す。
図10は、本発明の第2の実施の形態の第2読取搬送ローラの離間制御を示すフローチャートである。なお、構成については第1の実施の形態と概ね同様であるため、同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
まず、コントローラ100は、原稿テーブル2に載置された原稿が取出されて1枚ずつ分離され、レジスト位置まで搬送されると、ローラ離間ソレノイド301をオン(吸引駆動)にする(ステップS201)。
次いで、コントローラ100は、本体制御部111からの制御信号に基づいて片面読取り又は両面読取りの自動搬送モードが設定されているか否か判断する(ステップS202)。この判断が片面読取りの場合はステップS203に移り、両面読取りの場合にはステップS208に移る。
片面読取りの場合に原稿が読取位置20に到達すると、ステップS203において、画像読取装置81により前述したように原稿の表面(第1面)が読取られる。1枚目の原稿の表面が読取られた後、コントローラ100はローラ離間ソレノイド301をオフ(解除)に戻し(ステップS204)、次原稿があれば、画像読取装置81により前述したように原稿の表面が読取られ(ステップS206)、原稿テーブル2上の原稿がなくなると(ステップS207)、処理を終了する。
一方、両面読取りの場合に原稿が読取位置20に到達すると、ステップS208において、画像読取装置81により前述したように原稿の表面が読取られ、次いで、第2読取部25により前述したように原稿の裏面が読取られる(ステップS209)。
この後、原稿テーブル2上の原稿がなくなるまで(ステップS210)、ステップS208からステップS210の処理を繰返し、原稿テーブル2上の原稿がなくなると、ローラ離間ソレノイド301をオフ(解除)に戻し(ステップS211)、処理を終了する。
本実施の形態によれば、例えば、ジョブの1枚目のみは片面読取りか両面読取りかに関らず、原稿を第2読取部25へ押し付けるようにしたので、仮に1回のジョブの最大枚数(セットできる最大積載枚数)が100枚である場合、100枚に1回は必ず、セルフクリーニングが行われることになる。よって、片面読取り動作のみが連続的に行われた場合でもコーティングの劣化を防ぐことが期待される。
図11は、本発明の第3の実施の形態の第2読取搬送ローラの離間制御を示すフローチャートである。なお、構成については第1の実施の形態と概ね同様であるため、同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
まず、コントローラ100は、本体制御部111からの制御信号に基づいて片面読取り又は両面読取りの自動搬送モードが設定されているか否か判断する(ステップS301)。この判断が片面読取りの場合はステップS302に移り、両面読取りの場合にはステップS307に移る。
片面読取りの場合、ステップS302において、コントローラ100はローラ離間ソレノイド301をオフ(解除)に保つ。次いで、原稿テーブル2に載置された原稿が取出されて1枚ずつ分離搬送され、読取位置20に到達すると、画像読取装置81により前述したように原稿の表面(第1面)が読取られる(ステップS303)。さらに、所定枚数(X枚)に達するまで原稿の表面の読取りが継続される(ステップS304、S305、S303)。そして、所定枚数に達すると、コントローラ100はローラ離間ソレノイド301をオン(吸引駆動)にする(ステップS306)。この吸引状態で、原稿の表面の読取りが継続され、原稿テーブル2上の原稿がなくなると処理が終了する。
一方、両面読取りの場合、原稿テーブル2に載置された原稿が取出されて1枚ずつ分離され、レジスト位置まで搬送されると、ステップS307において、コントローラ100はローラ離間ソレノイド301をオン(吸引駆動)にする。次いで、原稿が読取位置20に到達すると、画像読取装置81により前述したように原稿の表面(第1面)が読取られ(ステップS308)、第2読取部25により前述したように原稿の裏面(第2面)が読取られる(ステップS309)。
この後、原稿テーブル2上の原稿がなくなるまで(ステップS310)、ステップS308からステップS310の処理を繰返し、原稿テーブル2上の原稿がなくなると、ローラ離間ソレノイド301をオフ(解除)に戻し(ステップS311)、処理を終了する。
本実施の形態によれば、片面読取りの場合、所定枚数に1回(例えば、20枚原稿を通紙すると1回は必ず)のセルフクリーニングを行うことにより、片面読取り動作のみが連続的に行なわれた場合でもコーティングの劣化を防ぐことが期待される。
図12は、本発明の第4の実施の形態の第2読取搬送ローラの離間制御を示すフローチャートである。なお、構成については第1の実施の形態と概ね同様であるため、同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
まず、コントローラ100は、本体制御部111からの制御信号に基づいて片面読取り又は両面読取りの自動搬送モードが設定されているか否か判断する(ステップS401)。この判断が片面読取りの場合はステップS402に移り、両面読取りの場合にはステップS406に移る。
片面読取りの場合、ステップS402において、コントローラ100はローラ離間ソレノイド301をオフ(解除)に保つ。次いで、コントローラ100は原稿ジャムが発生したか否か判断し(ステップS403)、原稿ジャムが発生したものと判断した場合は処理を終了する。また、原稿ジャムが発生していないと判断した場合には、画像読取装置81により前述したように原稿の表面(第1面)が読取られ(ステップS404)、原稿テーブル2上の原稿がなくなると(ステップS405)、処理が終了する。
一方、両面読取りの場合、原稿テーブル2に載置された原稿が取出されて1枚ずつ分離され、レジスト位置まで搬送されると、ステップS406において、コントローラ100はローラ離間ソレノイド301をオン(吸引駆動)にする。次いで、コントローラ100は原稿ジャムが発生したか否か判断し(ステップS407)、原稿ジャムが発生したものと判断した場合はローラ離間ソレノイド301をオフ(解除)にし(ステップS411)、処理を終了する。
また、原稿ジャムが発生していないと判断した場合には(ステップS407)、原稿が読取位置20に到達すると、画像読取装置81により前述したように原稿の表面(第1面)が読取られ(ステップS408)、第2読取部25により前述したように原稿の裏面(第2面)が読取られる(ステップS409)。
この後、原稿テーブル2上の原稿がなくなるまで(ステップS410)、ステップS407からステップS410の処理を繰返し、原稿テーブル2上の原稿がなくなると、ローラ離間ソレノイド301をオフ(解除)に戻し(ステップS411)、処理を終了する。
本実施の形態によれば、両面読取り時に原稿ジャムが発生した場合、ローラ離間ソレノイド301がオフ(解除)となり、第2読取搬送ローラ26と第2読取部25の読取り面との間隔が拡がる(搬送路が拡がる)ので、ジャム処理が容易になる。
さらに、第2読取搬送ローラ26に代えて、搬送ベルトを用いた場合を示す。図13は、本発明の第5の実施の形態としての第2読取搬送ベルトの駆動伝達機構の構成を示す斜視図である。なお、前述したスペーサ320aはレバー303の外側(ADF400のフレーム側)、及びレバー304とギヤ410との間に配され、軸423に装着されているが、ここでは図示を省略している。
図13において、駆動伝達機構700は、第2読取搬送ベルト500(図14参照)が架け渡される3本の第2読取搬送ローラ26a、26b、26cと、第2読取搬送ローラ26cを回転駆動するためのローラ駆動モータ403(図3参照)と、ローラ駆動モータ403の駆動を第2読取搬送ローラ26cに伝達するギヤ410、411と、第2読取搬送ローラ26aを軸419中心に回動するためのローラ離間ソレノイド301と、ローラ離間ソレノイド301の駆動(例えば、吸引駆動)を第2読取搬送ローラ26aに伝達する引張スプリング302及びレバー303、304と、を有する構成である。
第2読取搬送ローラ26aは、3本のローラ26a、26b、26cの中央に配され、ローラ離間ソレノイド301の吸引駆動に応じて第2読取搬送ベルト500と第2読取部25の読取り面とを近接、離間する従動ローラである。第2読取搬送ローラ26bは、3本のローラ26a、26b、26cの最も搬送方向上流側に配され、回転自在に支持された従動ローラである。第2読取搬送ローラ26cは、3本のローラ26a、26b、26cの最も搬送方向下流側に配され、第2読取搬送ベルト500にローラ駆動モータ403の駆動を伝達する駆動ローラである。なお、第2読取搬送ベルト500は、シェーディング補正時に白色基準として使用される無端ベルトである。
ギヤ411は、ローラ駆動モータ403の軸502に装着されてギヤ410に駆動を伝達する伝動部材である。ギヤ410は、第2読取搬送ローラ26cの軸419に装着され、ギヤ411と噛合してローラ駆動モータ403の駆動を第2読取搬送ローラ26cに伝達する伝動部材である。
レバー303は、一端が軸423と連結(係合)されるとともに他の一端が軸419に回動自在に装着され、レバー304と連動してローラ離間ソレノイド301の駆動を第2読取搬送ローラ26aに伝達する伝動部材である。L字状のレバー304は、一端が軸423に連結(係合)され、前記一端と曲折部304aとの中間部が軸419に回動自在に装着されるとともに他の一端がL字部材305の一端に連結(係合)され、引張スプリング302及びL字部材305を介して前記他の一端に伝動された駆動を第2読取搬送ローラ26aに伝達する伝動部材である。
L字部材305は、軸305aに支持されて軸中心に回動自在であって、一端がレバー304に連結(係合)されるとともに他の一端が引張スプリング302に接続され、引張スプリング302を介して伝動されたローラ離間ソレノイド301の駆動をレバー304に伝達する伝動部材である。引張スプリング302は、一端がL字部材305に接続されるとともに他の一端がローラ離間ソレノイド301の可動部に接続され、ローラ離間ソレノイド301の駆動をL字部材305に伝達する伝動部材として機能する。また、引張スプリング302は、ローラ離間ソレノイド301が解除状態にあるとき、第2読取搬送ベルト500が第2読取部25の読取り面から所定距離、離間するように(セルフクリーニングを行わないように)L字部材305及びレバー304を介して第2読取搬送ローラ26aを付勢する付勢部材として機能する。
本実施の形態では、第2読取搬送ベルト500に架け渡され3本のローラ26a、26b、26cのうち中央の第2読取搬送ローラ26aの回動(上下移動)を可能とし、下流側の第2読取搬送ローラ26cを駆動することにより、第2読取部25の読取り面に近接した第2読取搬送ローラ26a及び第2読取搬送ベルト500と、第2読取搬送ベルト500に対して搬送方向上流及び下流にあるガイド部材(例えば、上流ガイド421及び下流ガイド422(図8参照))と、の位置関係は第2読取搬送ローラ26aの位置により決まるため、機械差の少ない構成となり、搬送経路のバラツキが少なく、原稿の挙動をコントロールし易くなる。また、図14に示すように、第2読取搬送ベルト500を駆動回転するための第2読取搬送ローラ26cを搬送方向下流側に配し、第2読取部25の読取り面(コンタクトガラス21cの表面)に対向して中央の第2読取搬送ローラ26aが近接(非離間)又は離間するようにしたので、第2読取搬送ローラ26cを搬送方向上流側に配した場合に比べ、前記読取り面において第2読取搬送ベルト500の緩みによる不安定さを解消することができる。
また、本実施の形態では、図15に示すように、第2読取ユニット800の閉時(第2読取搬送ベルト500と第2読取部25の読取り面とが離間しているとき)に、ギヤ411の回転中心(軸502)とギヤ410の回転中心(軸419)と第2読取ユニット800の回動中心(軸420)とが略一直線上にあるようにしている。なお、ギヤ411は第2読取ユニット800に含まれないため、第2読取ユニット800の開時(第2読取搬送ベルト500と第2読取部25の読取り面とが離間しているとき)に、ギヤ411の回転中心(軸502)とギヤ410の回転中心(軸419)と第2読取ユニット800の回動中心(軸420)とが略一直線上にあるという位置関係は保持されない。
ここで、搬送方向下流側の第2読取搬送ローラ26cに代えて上流側の第2読取搬送ローラ26bを駆動するようにした場合には、第2読取搬送ベルト500が緩んだ状態で第2読取部25の読取り面に接触するため、原稿の厚みに応じて第2読取搬送ベルト500と前記読取り面との間隔が拡がり、厚み分の逃げが確保される。よって、画像品質が安定する。なお、第2読取部25の対向部材を単にローラで構成した場合、このローラと前記読取り面との間が原稿の厚みに対して過度に狭いと、原稿の進入が円滑に行われずにジター等が生じて画像劣化が懸念される。
また、第2読取搬送ベルト500の周長はローラよりも長いため、前述したように第2読取搬送ベルト500をシェーディング補正時の白色基準として用いることにより、汚れていない部分を容易に確保することができる。