以下、本発明の好ましい実施形態を図面を用いて説明する。
本発明に係る画像読取装置および画像形成装置をディジタル複写機に適用した実施の一形態を図1に示す。
図1において、ディジタル複写機1の本体1a上面には、コンタクトガラス18、104が装着されている。これらのコンタクトガラス18、104の表面には、例えば、コーティング剤としての界面活性剤(例えば、シリコン系界面活性剤など)によるコーティング処理が施されている。このコーティング処理は、コンタクトガラス表面に原稿から異物(例えば、原稿に付着している糊や修正液、インクなど)が転移して付着するのを防止するためである。同じく、本体1a上部(ここでは、コンタクトガラス18、104の上)には、自動原稿搬送装置(以下「ADF」ともいう)300が図示しないヒンジ機構を介して設けられ、ADF300は、コンタクトガラス18、104に対して開閉自在になっている。また、ADF300は、原稿テーブル20(図2に示す)に載置された複数のシート状の原稿からなる原稿束Sから取り出した原稿を1枚ずつ分離し、コンタクトガラス18、104上に搬送し、読み取り後の原稿を排紙トレイ29(図2に示す)に排紙するように構成されている。
一方、本体1aのコンタクトガラス18、104の下方には、図示しない露光ランプ、ミラー、レンズ、電荷結合素子(CCD)からなるイメージセンサ、などを有するスキャナ121が設けられ、コンタクトガラス18上に原稿を搬送しながら原稿の画情報を読み取る場合(いわゆる、シートスルー読み取り方式に相当する)には、スキャナ121は固定されて、コンタクトガラス18下方から読み取るように構成されている。
また、スキャナ121によって読み取られた原稿の画情報は、画像データとして本体制御部111(図5に示す)に出力され、本体制御部111は、入力された画像データを書き込み光学系200によって画像形成部401を構成する感光体ドラム402に書き込んで静電潜像を形成させ、画像形成部401を構成する帯電部403、露光部404、現像部405によって感光体ドラム402上に可視トナー像を形成させるようにしている。
一方、本体制御部111の制御で、転写給紙系406から給紙された転写紙が、画像形成動作に合わせて画像形成部401に搬送され、画像形成部401を構成する転写部407によって、転写紙の第1面にトナー(トナー像)が転写され、さらに定着系408によってトナーが定着された後、転写反転排紙部409に搬送されるように構成されている。
ここで、転写反転排紙部409における経路Aは、ディジタル複写機1外に転写紙を直ちに排紙するための経路であり、経路Bは、転写反転排紙部409内で転写紙を反転して機外に排紙するための経路である。さらに、経路Cは、転写反転排紙部409内で転写紙を反転し、両面トレイにおいてその転写紙を再給紙後、上述の画像形成プロセスを経てその転写紙の第2面にトナー像が転写、定着された後、その転写紙を経路Aにて機外に排紙するための経路である。
次に、上述したADF300の詳細な構成を図2に示す。
図2において、ADF300は、読み取り対象の原稿束Sをセットする原稿セット部P1と、セットされた原稿束Sから1枚ずつ原稿を分離して給送する分離給送部P2と、給送された原稿を1次突き当て整合するとともに、整合後の原稿を引き出して搬送するレジスト部P3と、搬送される原稿を反転させて、原稿面を読み取り側(ここでは、下方)に向けて搬送する反転部P4と、原稿を搬送し、コンタクトガラス18の下方より、その画像を読み取らせる読取搬送部P5と、読み取り後の原稿の表裏面を反転するための第1のスイッチバック部P6と、第1のスイッチバック部P6で反転された原稿をレジスト部に戻すための中間搬送部P7と、再読み取り後の原稿を一時待機させるための第2のスイッチバック部P8と、第2のスイッチバック部P8より再読み取り後の原稿を反転して機外に排紙する反転排紙部P9と、読み取り完了後の原稿を積載保持するスタック部P10と、これら搬送動作の駆動を行う駆動部(図5の301〜305に相当する)と、一連の搬送動作を制御するコントローラ100(図5に示す)と、を有する構成である。
原稿セット部P1において、原稿テーブル20(可動原稿テーブル3を含む)は、原稿束Sを原稿面が下向きになるように、所定位置に載置するためのものである。原稿長さセンサ30s、31sは、反射型センサ、又は原稿1枚にても検知可能なアクチェーター・タイプのセンサからなり、原稿テーブル面に少なくとも同一原稿サイズの縦か横かが判断可能なように配置されている。この配置により、原稿テーブル20の所定位置に載置された原稿束S又は原稿の搬送方向長さの概略を判定するようにしている。セットフィラー4は、原稿テーブル20に原稿束Sが載置されたとき、破線位置から実線位置に変位するものである。原稿セットセンサ5は、非原稿セット時にセットフィラー4によって遮光されており、原稿セット時には、セットフィラー4の変位によって遮光解除され、原稿セットを検知するものである。なお、原稿セット時には、原稿セットセンサ5からインタフェース107(図5に示す)を介してコントローラ100に対し、原稿セット信号が送信される。
分離給送部P2において、ピックアップローラ7は、非給紙動作時には破線位置にあり、給紙動作時には、ピックアップモータ301の逆転駆動で破線位置から実線位置に移動し、原稿束Sの上面に圧接するものである。また、ピックアップローラ7は、上述のように破線位置から実線位置に移動した後、給紙モータ302の駆動で原稿束Sの最上紙を取り出すものである。テーブル上昇センサ8は、ピックアップローラ7の状態を検知するものである。給紙ベルト9は、ベルトプーリに所定の張力で掛け渡され、対向配置されたリバースローラ10に巻き掛けられるように圧接している。リバースローラ10は、所定の大きさのトルクを有するトルクリミッタ(図示せず)を介して、フリクション駆動されており、給紙ベルト9との直接系合時又は原稿1枚を介して係合している状態では、給紙ベルト9の回転に連れて反時計方向に回転するようにしている。また、万が一、2枚以上の原稿が給紙ベルト9とリバースローラ10との間に進入した場合には、リバースローラ10が本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻して重送を防止するよう、リバースローラ10の連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されている。突き当てセンサ11は、1枚に分離された原稿が、給紙ベルト9の駆動で給紙路を進む過程で原稿先端を検知するものである。
レジスト部P3において、プルアウトローラ12は、1枚に分離された原稿が、突き当てセンサ11の先端検知から所定量搬送された後、停止状態から給紙モータ302の逆転で駆動され、原稿を反転部P4へと搬送するようにしている。なお、プルアウトローラ12は、停止時に、1枚に分離された原稿をニップに突き当てられることにより、原稿のスキューを補正するようにしている。原稿幅センサ13は、1枚に分離された原稿の幅サイズ(搬送方向と直交する方向のサイズ)を検知するものである。この検知により、原稿幅センサ13からコントローラ100に対して幅信号が送信されるようにしている。なお、原稿幅センサ13による幅信号と原稿長さセンサ30s、31sによる長さ信号との組み合わせによって、正確な原稿サイズが確定され、コントローラ100からインタフェース107を介して本体制御部111に対し、原稿サイズ信号が送信される。
反転部P4において、中間ローラ14は、プルアウトローラ12によって搬送されてきた原稿をさらに搬送方向下流へと搬送し、反転するものである。読取入口センサ15は、中間ローラ14によって搬送されてきた原稿を検知するものである。読取入口ローラ16は、反転搬送されてきた原稿をレジスト位置へと搬送するものである。レジストセンサ17は、読取入口ローラ16によって搬送されてきた原稿を検知するものである。この検知により、レジストセンサ17からコントローラ100に対してレジスト信号が送信される。なお、コントローラ100は、レジスト信号から所定時間経過した後(読取入口ローラ16により所定パルス搬送させた後)、搬送を停止させ、インタフェース107を介して本体制御部111に対し、レジスト停止信号を送信する。
読取搬送部P5において、読取ガイド203は、原稿をコンタクトガラス18上に案内するものである。読取ベルト204は、読取ベルト駆動ローラ205などに掛け渡され、コンタクトガラス18と対向し、0.5mm±0.2mm程度のギャップを有しながら所定の弾力で圧接され、読み取り深度方向の誤差を抑制するものである。また、読取ベルト204は、画像読み取りのための白色基準となるものである。スケールガイド103は、読み取り後の原稿を読取出口ローラ21に案内するものである。排紙センサ22は、読取出口ローラ21を通過して排紙方向へ搬送されてきた原稿を検知するものである。
第1のスイッチバック部P6において、上反転ローラ31は、読み取り後の原稿をスイッチバック搬送するとともに原稿端部(スイッチバック搬送方向の上流側端部)を保持するものである。切替爪30は、読み取り後の原稿を第1のスイッチバック経路へ搬送するか、スタック部P9へ排紙するかを切り替えるものである。また、切替爪30の上面は第1のスイッチバック経路の一部を形成している。
中間搬送部P7において、中間搬送ローラ33は、読み取り完了後の原稿をレジスト部P3へ再搬送するものである。
第2のスイッチバック部P8において、反転切替爪23、24は、読み取り後の原稿を第2のスイッチバック経路へ搬送するか、スタック部P9へ排紙するかを切り替えるものである。また、反転切替爪23は、第2のスイッチバック経路上の原稿を反転してスタック部P9へ排紙するように切り替えるものである。下反転ローラ25は、読み取り後の原稿をスイッチバック搬送するとともに原稿端部(スイッチバック搬送方向の上流側端部)を保持するものである。下反転センサ26は、下反転ローラ25によって第2のスイッチバック経路へ搬送されてきた原稿を検知するものである。上反転センサ27は、第2のスイッチバック経路から反転して排紙される原稿の端部を検知するものである。
反転排紙部P9において、排紙センサ22は、排紙方向に搬送されてきた読み取り完了後の原稿を検知するものである。排紙ローラ28は、読み取り完了後の原稿をスタック部P10へ排紙するものである。
スタック部P10において、排紙トレイ29は、読み取り完了後の原稿を保持するためのものである。
次に、上述したコンタクトガラス54近傍の詳細な構成を図3、図4に示す。
図3において、コンタクトガラス54の上面には、段差部材201が装着されている。この段差部材201の搬送方向上流側の端面は、読取ガイド203に接し、同じく搬送方向下流側の端面は、搬送方向(副走査方向に相当する)と直交する幅方向にわたって段差を形成している。これら双方の端面は直線状に形成されており、段差部材装着時に幅方向と略平行になっている。また、スキャナ121がシートスルー読み取り方式で原稿を読み取るときの画像読取位置は、予め上記搬送方向下流側の端面に隣接する画像読取領域に複数、所定の間隔(距離D2に相当する)をもって設定されている。また、上記画像読取領域と段差部材201とが重畳しないように、上記画像読取領域と上記搬送方向下流側の端面とは、所定の間隔(距離D1に相当する)だけ離間して設定されている。ここでは、3箇所の画像読取位置を設定し、「3×D2+D1=D0」となるようにしている。これらの間隔は、画像読取位置を決定するときのスキャナ121の移動量に相当する。
図4において、矢印は原稿の搬送方向を示している。上述したように段差部材201の搬送方向下流側の端面は直線状に形成されているために、コンタクトガラス18との境界をスキャナ121で読み取って検出することが容易である。また、段差部材201の搬送方向下流側の端面における幅方向(図4中、左右方向)の両端を検出し、双方の位置を比較することで段差部材201の幅方向に対するずれ量(スキュー量)を計算し、計算した結果により、画像読取位置を決定するときのスキャナ121の移動量を補正できるようにしている。例えば、上記両端のうちの一端が他端よりも搬送方向下流にあるとき、その一端を段差部材201の搬送方向下流側の端面位置とし、この端面位置から距離D0だけ移動するようにしている。なお、段差部材201の幅方向に対する位置ずれは、例えばサービスマンによる取り付け誤差などに起因するものである。ここで、段差部材201は不透明材料としての着色樹脂材料(例えば、黒色など、濃い色の可塑性樹脂材料)により所定の厚さをもって形成されている。この構成に限らず、上記搬送方向下流側の端面を含む段差部材201の一部のみを不透明材料にて、例えば帯状に形成し、他の部分は透明材料又は半透明材料にて形成してもよい。このように段差部材201の一部のみを不透明材料にて形成することにより、段差部材201を画像読取領域と端面検知用領域とに分けることができ、原稿読み取り時の読み取り画像に影響を与えず、より確実に段差部材201を検出できるという効果も期待される。
次に、上述したディジタル複写機1の制御部の構成を図5に示す。
図5において、画像読取装置の本体1aは、装置全体を制御する本体制御部111を備え、この本体制御部111は、インタフェース106を介して、操作表示部108から送信された信号を受信し、こうして受信、入力された信号が示す情報に基づいて、操作表示部108の表示制御、スキャナ121を駆動する読取駆動部109の駆動制御などを行う。また、本体制御部111は、インタフェース107を介してADF300のコントローラ100から送信された信号を受信し、こうして受信、入力された信号が示す情報に基づいて、スキャナ121の読取制御や操作表示部108における表示制御などを行うと共に、コントローラ100に対し、モード信号や給紙開始信号(読み取りスタート信号)を含む各種制御信号を送信し、コントローラ100に指示してADF300の搬送動作を制御する。特に、原稿読み取り動作前に、スキャナ121からの読み取り情報(コンタクトガラス18を読み取ったときの画像データ)に基づいて、段差部材201の搬送方向下流側の端面を検出し、この端面の位置により、読取駆動部109を駆動制御してスキャナ121を上述した画像読取領域に移動させ、この画像読取領域におけるスキャナ121からの読み取り情報に基づいて画像読取位置を設定する。なお、段差部材201の搬送方向下流側の端面を検出するとき、少なくも端面の2箇所(例えば、幅方向の両端)を検出し、さらに双方の位置のずれによって段差部材201のスキューを検出して、スキャナ121の移動量を補正する。ここで、本体制御部111のRAM(図示せず)の所定領域には、操作表示部108から入力、設定された動作モードなどを更新可能に記憶し、その内容が変更される度に記憶内容が更新されることとなる。また、上記RAMの所定領域には、上述した距離D0、D1、D2、上記端面の位置などのデータを記憶するようにしている。
また、操作表示部108には、スタートボタンやテンキーなどの各種ボタンキーおよびLCD表示器など(図示せず)を有し、モードの設定や動作開始/停止指示がユーザの操作で可能なように構成されている。なお、本実施形態では、少なくとも、ADF300を閉じて原稿テーブル20上の原稿束Sを自動搬送するADFモード、このADFモードで、原稿の片面を読み取り、複写する片面モード、原稿の両面を読み取り、複写する両面モード、混載された異なるサイズの原稿を読み取り、複写する混載モードを設定できるものとする。
また、ADF300の動作を制御するコントローラ100は、レジストセンサ17、原稿セットセンサ5、排紙センサ22を含む各センサからの信号、ピックアップモータ301、給紙モータ302、読取モータ303、排紙モータ304、底板上昇モータ305を含む各駆動モータ、反転ソレノイドからの状態信号、インタフェース107を介して本体制御部111から送信された制御信号(給紙開始信号など)などを入力する。また、コントローラ100は、上記各センサの検知情報などを本体制御部111に送信すると共に、本体制御部111から送信される制御信号に基づいて、上述した駆動モータ301〜305などの駆動を制御する。
また、駆動モータ301〜305、読取駆動部109の駆動モータはいずれもステッピングモータから構成されているので、例えばパルス数をカウントし、1パルス当たりの駆動量を乗じることによって駆動量が容易に得られ、その駆動量と各センサの検出情報に基づき、原稿長さの検出を行うとともに、先行原稿と次原稿の搬送間隔(紙間)制御、レジスト検知後の読取位置到達タイミング制御、読取動作終了タイミング制御、スキャナ121の移動量制御などを行うことができる。
以上のように構成されたディジタル複写機1について、図6を用いてシートスルー読み取り時の画像読取位置決定動作を説明する。ここで、読取部はスキャナ121に相当する。
まず、コンタクトガラス上面に原稿を通紙する前に、本体制御部111は、スキャナ121によって読取ベルト204に対向しているコンタクトガラス18を読み取らせ、読み取られた画像データにより、段差部材201が検出されたか否かを判断する(S101)。この判断がYESの場合はS102に移り、NOの場合には処理を行わない。
S102において、本体制御部111は、段差部材201の搬送方向下流側の端面に相当する位置から、読取駆動部109の駆動によってスキャナ121を所定量(距離D0に相当する)、搬送方向下流に移動させ、スキャナ121によって読取ベルト204に対向しているコンタクトガラス18を読み取らせる。
次いで、本体制御部111は、S102で読み取られた画像データにより、コンタクトガラス18上に異物が検出されたか否かを判断する(S103)。この判断がYESの場合はS104に移り、NOの場合にはS108に移る。
S104において、本体制御部111は、S102の画像読取位置から、読取駆動部109の駆動によってスキャナ121を所定量(距離D2に相当する)、搬送方向上流に移動させ、スキャナ121によって読取ベルト204に対向しているコンタクトガラス18を読み取らせる。
次いで、本体制御部111は、S104で読み取られた画像データにより、コンタクトガラス18上に異物が検出されたか否かを判断する(S105)。この判断がYESの場合はS106に移り、NOの場合にはS108に移る。
S106において、本体制御部111は、S104の移動により、スキャナ121の画像読取位置が段差部材201の搬送方向下流側端面に相当する位置からさらに下流に所定の距離D1だけ離れた位置よりも、段差部材201に向けて近づいたか否かを判断する。具体的には、スキャナ121が予め設定されたn箇所(ここでは、3箇所に相当する)の画像読取位置に移動し、全ての画像読取位置で異物が検出されたか否かを判断する。この判断がYESの場合はS107に移り、NOの場合にはS104に移る。
S107において、本体制御部111は、操作表示部108によって「コンタクトガラス18が汚れているために清掃が必要である旨」の警告画面を表示させ、使用者に対して清掃を促す。なお、同時に警告音を発するようにしてもよい。ここで、警告音を発するための音響出力装置を具備していない場合には、新たに設ける必要がある。
S108において、本体制御部111は、異物が付着していない当該位置を画像読取位置として決定し、後述の画像読み取り動作を行うように制御する。
さらに、以上のように構成されたADF300について、シートスルー方式による読み取り搬送動作を説明する。
読み取りを行う原稿束Sをセットするのは、可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上で、原稿面を上向きの状態でセットする。さらに、原稿束Sの巾方向を図示しないサイドガイドによって搬送方向と直交する方向の位置決めを行う。原稿のセットはセットフィラー4、原稿セットセンサ5により検知され、インタフェース107により本体制御部111に送信される。さらに原稿テーブル面に設けられた原稿長さセンサ30s又は31sにより原稿の搬送方向長さの概略が判定される。可動原稿テーブル3は、底板上昇モータ305により図に示すa、b方向に上下動可能で、原稿がセットされたことがセットフィラー4、原稿セットセンサ5により検知されると、底板上昇モータ305を正転させて原稿束Sの最上面がピックアップローラ7と接触するように可動原稿テーブル3を上昇させる。ピックアップローラ7は、ピックアップモータ301によりカム機構で図2に示すc、d方向に動作すると共に、可動テーブル3が上昇し、可動原稿テーブル3上の原稿上面により押されてc方向に上昇し、テーブル上昇センサ8により上限を検知可能としている。操作表示部108のプリントキーが押下され、本体制御部111からインタフェース107を介してコントローラ100に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ7は給紙モータ302の正転により回転駆動し、原稿テーブル20上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップして、給紙口に搬送する。給紙ベルト9は、給紙モータ302の正転により搬送方向に駆動され、リバースローラ10は、給紙モータ302の正転により搬送方向と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿を分離して、最上位の原稿のみを給紙できる構成となっている。さらに詳しく説明すると、リバースローラ10は給紙ベルト9と所定圧で接し、給紙ベルト9との直接接しているとき、又は原稿1枚を介して接している状態では、給紙ベルト9の回転に従って反時計方向に連れ回りし、原稿が万が一、2枚以上給紙ベルト9とリバースローラ10の間に進入したときには、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも低くなるように設定されており、リバースローラ10は本来の駆動方向である、時計方向に回転して余分な原稿を押し戻し、重送が防止される。給紙ベルト9とリバースローラ10との作用により、1枚に分離された原稿は給紙ベルト9によってさらに送られ、突き当てセンサ11によって先端が検知され、さらに進んで停止しているプルアウトローラ12に突き当たる。その後、分離後の原稿は、上述した突き当てセンサ11の検知から所定量定められた距離搬送され、結果的には、プルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられた状態となる。この状態で給紙モータ302を停止させることにより、給紙ベルト9の駆動が停止する。この時、ピックアップモータ301を回転させることで、ピックアップローラ7を原稿上面から退避させ、原稿を給紙ベルト9の搬送力のみで送ることにより、原稿先端は、プルアウトローラ12のニップに進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。プルアウトローラ12は、前記スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのローラで、給紙モータ302の逆転により駆動される。また、給紙モータ302の逆転時、プルアウトローラ12と中間ローラ14は駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9は駆動されない。原稿幅センサ13は、奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿の、搬送方向に直交する幅方向のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端後端を突き当てセンサ11で読み取ることによりモータパルスから検知する。プルアウトローラ12および中間ローラ14の駆動により、レジスト部P3から反転部P4に原稿が搬送されるときは、レジスト部P3での搬送速度を、読取搬送部P5での搬送速度よりも高速に設定して原稿を画像読取位置へ送り込み、処理時間の短縮を図っている。原稿先端が読取入口センサ15により検出されると、読取入口ローラ16のニップに原稿先端が進入する前に、、原稿搬送速度を読み取り搬送速度と同速にするために、減速を開始すると同時に、読取モータ303を正転駆動して読取入口ローラ16、読取ベルト駆動ローラ205、読取出口ローラ21を駆動する。
次いで、原稿の先端をレジストセンサ17にて検知すると、所定の搬送距離をかけて減速し、画像読取位置の手前で一時停止すると共に、本体制御部111にインタフェース107を介してレジスト停止信号を送信する。次いで、本体制御部111より読み取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、画像読取位置に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立上がるように増速されて搬送される。ここで、読取モータ303のパルスカウントにより検出された原稿先端が、画像読取位置に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が送信され、このゲート信号は画像読取位置を原稿後端が抜けるまで継続して送信される。片面モードの場合には、読取搬送部P5を通過した原稿は、反転排紙部P9を経てスタック部P10への搬送される。この際、排紙センサ22により原稿の先端を検知すると、排紙モータ304を正転駆動して排紙ローラ28を反時計方向に回転させる。また、排紙センサ22による原稿の先端検知から排紙モータ304のパルスをカウントし、原稿後端が排紙ローラ28のニップから抜ける直前に排紙モータ304の駆動速度を減速させて、排紙される原稿が排紙トレイ29から飛び出さないように制御する。
両面モードの場合には、排紙センサ22にて原稿先端を検知してから読取モータ303のパルスをカウントし、切替爪30を反転ソレノイドの駆動で下降させ(矢印jで示す)、排紙ローラ28から排出された原稿を掬い上げ、上反転ローラ31を上反転モータ(図示せず)によって反時計回りに回転させる。原稿後端が、排紙センサ22を抜けてから所定のパルスカウントにより排紙ローラ28を抜けるタイミングで、切替爪30を上昇させ(矢印iで示す)、上反転ローラ31を時計回りに回転させ、中間搬送部P7に搬送する。中間搬送ローラ33は、給紙モータ302の逆転にて時計回りに駆動する。原稿先端が、プルアウトローラ12に達しても突き当て補正は行わず、プルアウトローラ12、中間ローラ14の駆動にて読取入口ローラ16まで搬送する。ここでは、処理時間の短縮のために表面と同様に搬送速度を、読取搬送部P5での搬送速度よりも高速に設定して送り込んでいる。裏面の場合には、先端の整合(スキュー補正)は、読取入口ローラ16のニップにて行うために、原稿先端が読取入口センサ15により検出されると、原稿搬送速度を減速し、原稿先端がニップに到達後、所定のパルスカウント数搬送し、スキュー補正を行う。このスキュー補正を行った後、読取モータ303を正転駆動して読取入口ローラ16、読取ベルト駆動ローラ205、読取出口ローラ21を駆動する。原稿の先端をレジストセンサ17にて検知すると、所定の搬送距離をかけて減速し、画像読取位置の手前で一時停止すると共に、本体制御部111にインタフェース107を介してレジスト停止信号を送信する。次いで、本体制御部111より読み取り開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿は、画像読取位置に原稿先端が到達するまでに所定の搬送速度に立上がるように増速されて搬送される。読取モータ303のパルスカウントにより検出された、原稿の先端が読み取り部に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号が、読取搬送部P5を原稿後端が抜けるまで送信される。両面原稿読み取りの場合には、原稿先端がレジストセンサ17を通過して所定のパルスカウント経過後に、反転切替爪23、24を切り替え(矢印f、gで示す)、下反転ローラ25を下反転モータ(図示せず)により反時計回りに回転させ、読取搬送部P5を通過した原稿を第2のスイッチバック部P8へと搬送開始する。この原稿の後端を排紙センサ22が検知してから所定のパルスカウント経過後に、反転切替爪23、24を反転ソレノイドにより切り替え(矢印e、hで示す)、次原稿(表面読取原稿)を反転排紙部P9に搬送する。排紙センサ22にて次原稿先端を検知してから、読取モータ303のパルスカウントにより、切替爪30を反転ソレノイドにより下降させ(矢印jで示す)、排紙ローラ28から排出された原稿を掬い上げ、上反転ローラ31を上反転モータ(図示せず)によって反時計回りに回転させ、第1のスイッチバック部P6に搬送する。この際、表面画像の読み取りが完了した、次原稿の後端が排紙センサ22を抜けてから所定のパルスカウント経過後、排紙ローラ28を抜けるタイミングで、切替爪30を上昇させ、同じタイミングで下反転ローラ25を時計回りに駆動し、スタック部P10へ排紙する。
このような本発明の実施の一形態に係る画像読取装置としてのディジタル複写機1によれば、原稿が上面を通るようにしたコンタクトガラス18と、このコンタクトガラス18の下方から原稿の画像を読み取る読取手段としてのスキャナ121と、このスキャナ121を搬送方向上流および下流に移動する移動手段としての読取駆動部109と、コンタクトガラス18の上面と対向する搬送ベルトとしての読取ベルト204によって原稿を搬送する搬送手段としての読取搬送部P5と、を備え、コンタクトガラス18の上面には、少なくとも搬送方向と直交する幅方向にわたって搬送方向下流側端面が形成された段差部材201を備えて、スキャナ121を固定し、コンタクトガラス18上の原稿を搬送しながら原稿の画像を読み取るようにした構成において、段差部材201の搬送方向下流側端面の搬送方向下流側に、複数の画像読取位置を所定間隔D2で設定し、コンタクトガラス18上面に原稿を通紙する前に、読取駆動部109がスキャナ121を複数の画像読取位置のいずれかに移動し、当該画像読取位置でスキャナ121がコンタクトガラス18上面を読み取り、異物を検出した場合には、読取駆動部109がスキャナ121を当該画像読取位置以外の画像読取位置に移動し、異物を検出しなかった場合には、当該画像読取位置でスキャナ121が原稿の画像を読み取るように制御する制御手段としての本体制御部111を設けることにより、スキャナ121とADF300の位置関係に影響を受けることなく、段差部材201の端面を基準としてより確実に適正な画像読取位置を決定することができる。また、段差部材201を設けることにより、原稿とコンタクトガラス18の接触圧力を低減し、原稿に付着している粘着性異物が付着しにくい範囲を形成することができる。また、段差部材201端面と幅方向の読み取りラインとが平行となるように構成することにより、読み取り可能な範囲をより広くすることができる。また、異物の検知と画像読取位置の移動を組合わせているために、異常画像の発生を効率的に低減することができる。よって、搬送ベルトを用いて原稿を読み取り搬送するとき、特に粘着系異物の付着による影響を抑えて異常画像の発生を減少させることができる。この構成は、請求項1に係る発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、制御手段としての本体制御部111は、コンタクトガラス18上面に原稿を通紙する前に、読取駆動部109がスキャナ121を段差部材201の搬送方向下流側端面より離間する方向に距離D0(第1の移動量に相当する)、移動し、次いで段差部材201の搬送方向下流側端面に接近する方向に距離D2(第2の移動量に相当する)ずつ、順次移動するように制御し、移動位置でスキャナ121がコンタクトガラス18上面を読み取り、異物を検出した場合には、読取駆動部109がスキャナ121を移動し、異物を検出しなかった場合には、スキャナ121が原稿の画像を読み取るように制御することにより、原稿に付着している粘着性異物が付着しにくく、かつ読み取り可能な範囲で、より確実に適正な画像読取位置を決定することができるという効果も得られる。この構成は、請求項2に係る発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、段差部材201を透明材料又は半透明材料で形成したことにより、読み取り画像に影響を与えずに段差部材201を検知できるとともに、段差部材201の材料の選択範囲が広がるという効果も得られる。この構成は、請求項3に係る発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、段差部材201を不透明材料で形成したことにより、確実に段差部材を検知できるとともに、段差部材201の材料の選択範囲が広がるという効果も得られる。この構成は、請求項4に係る発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、スキャナ121がコンタクトガラス18上面を読み取り、段差部材201の搬送方向下流側端面の位置を検出するようにしたことにより、段差部材201を検出するために新たな構成を設ける必要がないという効果も得られる。また、段差部材201によって読取範囲(画像読取領域)と検知範囲(段差部材における搬送方向下流側の端面よりも搬送方向上流側)とを分けているために、確実に段差部材201を検知することができるという効果も得られる。この構成は、請求項5に係る発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、スキャナ121によって取得された段差部材201の搬送方向下流側端面の位置情報により、本体制御部111が段差部材201の搬送方向下流側端面の幅方向に対するずれを演算し、読取駆動部109がスキャナ121を移動するとき、段差部材201の搬送方向下流先端から所定量、移動するようにしたことにより、画像読み取りの禁止範囲(図3の段差部材201における搬送方向下流端面から距離D1の範囲に相当する)を正確に設定することができるという効果も得られる。例えば、2箇所にて段差部材201の搬送方向下流端面を検出することで、幅方向に対する段差部材201の傾きを検出することができる。この構成は、請求項6に係る発明の実施の一形態に相当する。
また、本実施形態によれば、複数の画像読取位置を含む画像読取領域と、段差部材201とが離間するようにしたことにより、画像読取位置と段差位置とが重畳して異常画像が発生するのを防止できるという効果も得られる。この構成は、請求項7に係る発明の実施の一形態に相当する。
さらに、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置としてのディジタル複写機1によれば、画像読取手段としてのADF300、スキャナ121、読取駆動部109、コンタクトガラス18などを設けることにより、上述したように異物の付着による影響を低減して画像品質の低下を防止することができる。この構成は、請求項8に係る発明の実施の一形態に相当する。
なお、上述した実施形態では、段差部材201として不透明材料を用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、透明材料又は半透明材料などを用い、位置検出用のマークを記すようにしても同様の効果が得られるものである。例えば、図7に示すように、透明な段差部材201′の搬送方向下流側の端面における、幅方向(図7中、左右方向)の両端にそれぞれ位置検出用のマーク201a′を記してもよい。この場合、スキャナ121によって双方のマーク201a′を読み取り、幅方向における双方の位置のずれにより、スキャナ121が画像読取位置を決定するときの移動量を補正することができる。なお、図7中、矢印は原稿の搬送方向を示している。
また、上述した実施形態では、段差部材201として不透明材料を用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、透明材料又は半透明材料としての可塑性樹脂材料などを用いても同様の効果が得られるものである。なお、段差部材201によりコンタクトガラス18との間に段差が形成されるために、透明材料又は半透明材料を用いてもスキャナ121によって段差部材201の端面を検出できることが確認されている。この構成は、請求項3に係る発明の実施の一形態である。