JP4967640B2 - 電磁式アクチュエータ、同電磁式アクチュエータを構成機構とする電磁式クラッチ、および、同電磁式クラッチを構成機構とする車両用駆動力伝達装置 - Google Patents

電磁式アクチュエータ、同電磁式アクチュエータを構成機構とする電磁式クラッチ、および、同電磁式クラッチを構成機構とする車両用駆動力伝達装置 Download PDF

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Description

本発明は、電磁式アクチュエータ、当該電磁式アクチュエータを一構成機構とする電磁式クラッチ、および、当該電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置に関する。
電磁式アクチュエータの一形式として、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材(ヨーク)と、前記支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材(アーマチャ)と、前記移動部材の移動力を作動力として被アクチュエータに伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記被アクチュエータに作動力を付与する形式の電磁式アクチュエータがある。当該形式の電磁式アクチュエータは、各種の構成を採ることにより、ディフアレンシャル等各種の電磁式クラッチの一構成機構として採用され、また、当該電磁式クラッチは、各種の構成を採ることにより、車両用駆動力伝達装置の一構成機構として採用される。当該形式の電磁式アクチュエータを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置については、「駆動力伝達装置」なる名称にて提案されている(特許文献1を参照)。
ところで、当該形式の電磁式アクチュエータにおいては、被アクチュエータを的確に作動させるためには、被アクチュエータに対して大きな作動力を付与することが要請されるが、電磁式アクチュエータ自体で、例えば車両用駆動力伝達装置に採用できるような大きな作動力を発生させる構成は未だ提案されていない。このため、これに対処すべく、上記した特許文献1にて提案されている駆動力伝達装置においては、電磁式アクチュエータにて発生する作動力を増幅して被アクチュエータであるクラッチ機構に伝達するため、カム機構等の作動力増幅機構を採用しているのが一般である。
しかしながら、このような作動力増幅機構を採用して電磁式クラッチや車両用駆動力伝達装置を構成する場合には、作動力増幅機構との関連の下で、電磁式アクチュエータを、部品点数が多くて複雑な構成としなければならず、作動力増幅機構を付加することと相まって、電磁式クラッチや車両用駆動力伝達装置の構成が複雑になるとともに大型化するという問題がある。
また、作動力増幅機構を採用した電磁式クラッチや車両用駆動力伝達装置においては、電磁コイルに電流を印加することにより形成される磁路の長さ(磁路長)が必然的に長くなって磁気抵抗が大きくなり、磁束密度が低下して、移動部材(アーマチャ)に対する吸引力を低下させるという問題がある。さらには、作動力増幅機構およびその関連の下で構成される電磁式アクチュエータにおいては、これらの構成に起因して、作動力増幅機構および電磁式アクチュエータ内で発生する引き摺りトルクが作動力増幅機構によって増幅されて、被アクチュエータに伝達されるという問題もある。
一方、当該形式の電磁式アクチュエータとは形式を異にする電磁式アクチュエータではあるが、電磁式アクチュエータを十分な電磁力が発生するように構成して、電磁式アクチュエータを小型化することを意図した電磁式アクチュエータが、「電磁コイル装置」なる名称にて提案されている(特許文献2を参照)。当該電磁コイル装置では、電磁コイルを複数に小型に分割しているもので、電磁コイルを小型化することにより電磁コイルの電気抵抗を低減して、十分な電磁力を発揮させようとするものである。但し、当該電磁コイル装置は、電磁力の吸引作用にて移動部材を移動させ、その移動力を、作動力伝達部材を介して被アクチュエータに付与する形式のものではない。
特開2003−148517号公報 特開2005−188560号公報
本発明は、上記した問題点に鑑み、電磁式アクチュエータ自体が、被アクチュエータを的確に作動させる大きな作動力を発生すべく構成することを意図しているもので、本発明の目的は、このような大きな作動力を発生し得る電磁式アクチュエータを提供するとともに、当該電磁式アクチュエータを一構成機構とする電磁式クラッチ、および、当該電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置を提供することにある。
本発明は、電磁式アクチュエータ、当該電磁式アクチュエータを一構成機構とする電磁クラッチ、および、当該電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置に関する。
本発明に係る電磁式アクチュエータは、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、前記支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として被アクチュエータに伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記被アクチュエータに作動力を付与する形式の電磁式アクチュエータである。
しかして、本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、前記支持部材に複数個の電磁コイルを備えていることを特徴とするものであり、本発明に係る第1の電磁式アクチュエータにおいては、前記支持部材には前記移動部材が連結ピンを介して、回転を規制された状態で所定量進退可能に連結されているものである。また、本発明に係る第2の電磁式アクチュエータにおいては、前記作動力伝達部材は前記移動部材にて円周方向に間隔を保持して組付けられた複数のロッド状部材であって、これらロッド状部材は、前記支持部材を液密的かつ進退可能に貫通して前記被アクチュエータの一側に対向し、前記被アクチュエータを押圧して作動するものである。
本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、前記各電磁コイルを前記支持部材に、円周方向に間隔を保持して支持して、各電磁コイルを隣合う電磁コイルとは互いに磁性が同向きに配置することができるとともに、偶数個の電磁コイルを円周方向に等間隔を保持して支持して、各電磁コイルを隣合う電磁コイルとは互いに磁性が逆向きに配置するようにすることができる。
本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、前記被アクチュエータとしてクラッチ機構を採用して、前記移動部材の前記支持部材側への移動によって生じる作動力にて、前記クラッチ機構を結合動作すべく機能せるようにすることができる。また、当該電磁式アクチュエータにおいては、前記支持部材と前記移動部材との間に常に隙間が確保されるように構成し、前記電磁コイルに対する電流の調整によって、前記クラッチ機構の結合力を制御可能とすることができる。また、当該電磁式アクチュエータにおいては、前記各電磁コイルを、前記支持部材に複数個配置された各突起部に嵌合して、1つのサークリップにて抜止めされた状態で、同支持部材に組付ける組付け構造を採ることができる。
また、本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、前記支持部材と前記移動部材との間のエアギャップを、前記移動部材と前記作動力伝達部材との間に介装するスペーサの厚みにより調整するようにすることができるとともに、前記支持部材に対する前記移動部材の移動量を規定する両部材間の隙間を確保するこれら両部材の互いに対向する対向面については、これをテーパ面に形成するようにすることができる。
また、本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、前記移動部材を前記支持部材に、連結ピンを介して、回転を規制された状態で所定量進退可能に連結される構成を採ることができる。この場合、前記移動部材を前記支持部材に連結する連結ピン、および、前記移動部材の移動力を被アクチュエータに作動力として伝達する作動力伝達部材は、いずれも非磁性体とすることができる。また、これらの場合、前記移動部材を前記支持部材に連結ピンを介して回転を規制しかつ抜止めされた状態で所定量進退可能に連結して、前記移動部材と前記支持部材を一体の組立体とし、当該組立体を、被アクチュエータを覆蓋するケースに前記支持部材を介して組付ける構成を採ることができる。
本発明に係る電磁式クラッチは、上記した各電磁式アクチュエータを一構成機構とする電磁式クラッチである。当該電磁式クラッチは、互いに同軸的かつ相対回転可能に位置する両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、同支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記クラッチ機構に作動力を付与する形式の電磁式クラッチである。
しかして、本発明に係る第1の電磁式クラッチにおいては、前記支持部材は複数個の電磁コイルを備えるとともに、前記作動力伝達部材は前記支持部材の中央部を移動可能に貫通した状態で前記クラッチ機構と前記移動部材間に位置し、前記作動力伝達部材は、前記クラッチ機構を押圧して作動させて、前記両回転部材間でトルク伝達すべく機能することを特徴とするものである(請求項9に係る発明)。
また、本発明に係る第2の電磁式クラッチにおいては、前記支持部材は複数個の電磁コイルを備え、前記作動力伝達部材は前記移動部材にて円周方向に間隔を保持して組付けられた複数のロッド状部材であって、これらロッド状部材は、前記支持部材を液密的かつ進退可能に貫通して前記クラッチ機構の一側に対向し、前記クラッチ機構を押圧して作動させて、前記両回転部材間でトルク伝達すべく機能することを特徴とするものである(請求項10に係る発明)。
本発明に係る車両用駆動力伝達装置は、上記した各電磁式クラッチを一構成機構とする駆動力伝達装置である。当該駆動力伝達装置は、互いに同軸的かつ相対回転可能に位置し一方が駆動軸側に連結されかつ他方が従動軸側に連結される内外両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、同支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記クラッチ機構に作動力を付与する形式の車両用駆動力伝達装置である。
しかして、本発明に係る第1の駆動力伝達装置においては、前記支持部材は複数個の電磁コイルを備え、前記作動力伝達部材は前記支持部材の中央部を移動可能に貫通した状態で前記クラッチ機構と前記移動部材間に位置し、前記作動力伝達部材は、前記クラッチ機構を作動して前記両回転部材間でトルク伝達して、前記駆動軸と前記従動軸とを互いに連結すべく機能することを特徴とするものである(請求項11に係る発明)。
本発明に係る第1の駆動力伝達装置においては、前記電磁式アクチュエータを構成する前記支持部材および前記移動部材を、これらを互いに連結する連結ピンを介して一体にした組立体に構成して、当該組立体を当該駆動力伝達装置を収容するケースに前記支持部材を介して組付ける組付け構造を採ることができる。
また、本発明に係る第1の車両用駆動力伝達装置においては、前記クラッチ機構は、複数のインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートを交互に有する多板式のクラッチであって、当該クラッチ機構を、前記両回転部材が構成するクラッチハウジング内に配置し、かつ、前記作動力伝達部材を前記クラッチハウジングに臨んで前記クラッチ機構の一端側に対向して配置して、前記作動力伝達部材と前記両回転部材の一方との間に、前記クラッチ機構を構成する各クラッチプレート間の隙間を確保すべく機能するスプリングを介装する構成を採ることができる。
また、本発明に係る第1の駆動力伝達装置においては、前記両回転部材が形成するクラッチハウジングと前記作動力伝達部材との間、前記移動部材および前記作動力伝達部材が形成する電磁式アクチュエータを収容する前記移動部材と前記作動力伝達部材との間、および、前記電磁式アクチュエータと当該駆動力伝達装置を収容するケースの装置収容部との間を、シール部材を介して液密的にシールする構成を採ることができる。
本発明に係る第2の駆動力伝達装置は、上記した形式の車両用駆動力伝達装置であり、第2に駆動力伝達装置においては、前記支持部材は複数個の電磁コイルを備え、前記作動力伝達部材は前記移動部材にて円周方向に間隔を保持して組付けられた複数のロッド状部材であって、これらロッド状部材は、前記支持部材を液密的かつ進退可能に貫通して前記クラッチ機構の一側に対向し、前記クラッチ機構を作動して前記両回転部材間でトルク伝達して、前記駆動軸と前記従動軸とを互いに連結すべく機能することを特徴とするものである(請求項14に記載の発明)。
本発明に係る第2の駆動力伝達装置においては、前記作動力伝達部材である前記各ロッド状部材の先端部にはニードルベアリングを配置して、同ニードルベアリングを前記クラッチ機構の一側に対向させるようにすることができる。また、本発明に係る第2の駆動力伝達装置においては、当該駆動力伝達装置を収容するケースの先端部を前記外側回転部材上に受承するベアリングとして、複列アンギュラ玉軸受を採用するようにすることができる。さらにまた、本発明に係る第2の駆動力伝達装置においては、前記電磁式クラッチを構成する各電磁コイルを、前記支持部材に支持された状態で、当該駆動力伝達装置を収容するケースの前側ケース部と後側ケース部との分割面間で固定するようにすることができる。
本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、支持部材に複数個の電磁コイルを配置していることから、総合的な起磁力が高くなり、かつ、支持部材(ヨーク)とこれに対向して隣り合う移動部材(アーマチャ)間に生じる磁路は短くて磁気抵抗が小さくなって磁束密度が高くなる。このため、当該電磁アクチュエータでは、移動部材(アーマチャ)に対する吸引力が高くなって、アクチュエータ自体が発生する吸引作用が高く、当該吸引作用に起因する被アクチュエータに対する作動力を、従来の電磁式アクチュエータが発生する作動力に比較して、大きく増大させることができる。
従って、本発明に係る電磁式アクチュエータは、大きな作動力を要求される被アクチュエータに対するアクチュエータとして有効に機能し、従来の電磁式アクチュエータにとって不可欠としていたカム機構等の作動力増幅手段を廃止することができるとともに、当該アクチュエータを被アクチュエータに一体に組込んでなる電磁式アクチュエータの大型化および構成の複雑化を大きく抑制することができる。当該電磁式アクチュエータは、クラッチ機構を主要構成部とする被アクチュエータに対するアクチュエータとして極めて有効であって、移動部材(アーマチャ)の支持部材(ヨーク)側への移動によって生じる作動力を、被アクチュエータを構成するクラッチ機構を結合動作すべく機能させることができる。
本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、支持部材(ヨーク)には、少なくとも3個の電磁コイルを一円周上に等間隔に配置することが好ましく、これにより、支持部材側から移動部材側への吸引力を、移動部材の全面に均等に付与することができて、移動部材を、支持部材に対して傾いたり、揺動、回動するようことのない安定した姿勢で支持部材側に移動させることができ、安定した作動力を発生させることができる。
また、本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、各電磁コイルを支持部材に、円周方向に間隔を保持して支持して、各電磁コイルを隣合う電磁コイルとは互いに磁性が同向きに配置することができるとともに、偶数個の電磁コイルを円周方向に間隔を保持して支持して、各電磁コイルを隣合う電磁コイルとは互いに磁性が逆向きに配置するようにすることができる。各電磁コイルの後者の配置関係を採れば、各電磁コイルの前者の配置関係を採る場合に比較して、電磁コイルにおける総合的な起磁力を一層高くすることができるという利点がある。
本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、各電磁コイルを、支持部材(ヨーク)の一円周上に等間隔に位置する各突起部に嵌合して、1つのサークリップにて抜止めした状態で支持部材に組付けるようにすることができる。これにより、支持部材と各電磁コイルとを、一体に組立てられたアッセンブリーとして取り扱うことができて、これらの被アクチュエータに対する組付性を向上させることができる。
本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、特に、移動部材(アーマチャ)を支持部材(ヨーク)に、連結ピンを介して、回転を規制された状態で所定量進退可能に連結する構成を採っている。このため、移動部材の支持部材側への移動時の揺動や回動を防止し得て移動部材を安定した姿勢で支持部材側に移動させることができ、安定した作動力を発生させることができるとともに、移動部材の揺動や回動等に起因する耐久性の低下を抑制することができる。さらには、当該連結構造を採ることにより、移動部材や支持部材の振動を防止することができるとともに、これらの振動に起因する異音の発生を防止することができる。
この場合、移動部材(アーマチャ)を、支持部材(ヨーク)に連結ピンを介して回転を規制しかつ抜止した状態で所定量進退可能に連結して支持部材と一体の組立体に構成すれば、当該組立体を被アクチュエータを覆蓋するケースに支持部材を介して組付けることができる。このような組付構造を採れば、当該電磁アクチュエータの被アクチュエータに対する組付性を向上させることができる。
また、本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、移動部材(アーマチャ)を支持部材(ヨーク)に連結ピンを介して連結する場合には、当該連結ピンを、移動部材の移動力を被アクチュエータに作動力として伝達する作動力伝達部材とともに、非磁性体とすることが好ましい。これにより、支持部材と移動部材間に形成される磁路からの磁束の漏洩を防止し得て、当該磁路を安定な状態にすることができて、安定な作動力を発生させることができる。
また、本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、移動部材(アーマチャ)を、支持部材(ヨーク)に連結ピンを介して回転を規制しかつ抜止した状態で所定量進退可能に連結して支持部材と一体の組立体に構成すれば、当該組立体を被アクチュエータを覆蓋するケースに支持部材を介して組付ることができる。このような組付構造を採れば、当該電磁アクチュエータの被アクチュエータに対する組付性を向上させることができる。
本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、支持部材(ヨーク)と移動部材(アーマチャ)との間のエアギャップを、移動部材と作動力伝達部材との間に介在するスペーサの厚みにより調整するようにすることができる。かかるエアギャップの調整手段を採れば、スペーサの厚みを適宜調整することによって、エアギャップを的確に設定することができて、作動力の発生初期の安定化を図ることができる。
また、本発明に係る電磁式アクチュエータにおいては、支持部材(ヨーク)と移動部材(アーマチャ)が互いに対向する対向面の隙間は、支持部材に対する移動部材の移動量を規定するものであるとともに、支持部材と移動部材での磁路の一部を形成する。当該電磁式アクチュエータにおいては、当該隙間を形成する両部材の互いに対向する対向面を、テーパ面に形成することができる。これにより、移動部材の支持部材に対する移動量を、磁路を長くすることなく大きくすることができ、作動力伝達部材の被アクチュエータに対する大きな作動力を的確に付与することができる。
本発明に係る第1の電磁式クラッチおよび第2の電磁式クラッチは、本発明に係る電磁式アクチュエータを一構成機構とするものであり、当該電磁式アクチュエータ自身で大きな作動力を発生させることができることから、アクチュエータにて発生する作動力を増幅してクラッチ機構に伝達するカム機構等の作動力増幅機構を廃止することができる。このため、当該電磁式クラッチを部品点数の少ない簡単な構成とすることができるとともに、当該電磁式クラッチの軽量かつ小型化を図ることができる。
本発明に係る第1の車両用駆動力伝達装置は、本発明に係る第1の電磁式クラッチを一構成機構とするものであり、また、本発明に係る第2の駆動力伝達装置は、本発明に係る第2の電磁クラッチを一構成機構とするものである。従って、第1の駆動力伝達装置は、第1の電磁式クラッチと同様の作用効果を奏することができ、かつ、第2の駆動力伝達装置は、第2の電磁式クラッチと同様の作用効果を奏することができる。このため、これらの各駆動力伝達装置を軽量かつ小型に構成することができることから、車両に対する搭載性を向上させることができる。
また、本発明に係る各電磁式クラッチおよび各車両用駆動力伝達装置においては、作動力増幅機構の使用を廃止していることから、当該作動力増幅機構との関連で形成される電磁式クラッチにおける磁路の長さを短くすることができる。これにより、磁路における磁気抵抗が低減されて磁束密度が増加し、クラッチ機構に付与する作動力を一層増大させることができ、さらには、作動力増幅機構とこれと一体の電磁式アクチュエータ内で発生する引き摺りトルクが、作動力増幅機構により増幅されてクラッチ機構に伝達されるようなことはない。
本発明に係る第1の駆動力伝達装置においては、電磁式アクチュエータを構成する支持部材(ヨーク)と移動部材(アーマチャ)を、これらを互いに連結する連結ピンを介して一体にした組立体に構成すれば、当該組立体を当該駆動力伝達装置を収容するケースに組付けることができて、当該電磁式アクチュエータの当該ケースに対する組付け性を向上させることができる。
また、本発明に係る第1の駆動力伝達装置においては、クラッチ機構を、複数のインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートを交互に有する多板式クラッチであって両回転部材が構成するクラッチハウジング内に配置し、かつ、作動力伝達部材をクラッチハウジングに臨んでクラッチ機構の一端側に対向して配置して、作動力伝達部材と両回転部材の一方との間に、クラッチ機構を構成する各クラッチプレート間の隙間を確保すべく機能するスプリングを介装する構成を採ることができる。これにより、両回転部材間に大きな差動回転が発生した場合、クラッチ機構を保護することができ、また、当該電磁式アクチュエータ間の残留磁気に起因する引き摺りトルクを低減させることができる。
また、本発明に係る第1の駆動力伝達装置においては、両回転部材が形成するクラッチハウジングと作動力伝達部材との間、移動部材(アーマチャ)および作動力伝達部材が形成する電磁式アクチュエータを収容する移動部材と作動力伝達部材との間、および、当該電磁式アクチュエータと当該駆動力伝達装置を収容するケースの装置収容部との間を、シール部材を介して液密的にシールする構成を採ることができる。これにより、クラッチ機構を収容する空間部、当該電磁式アクチュエータを収容する空間部、および、当該ケースの他の機構を収容する空間部を互いに液密的に区画することができ、各空間部には、収容する機構等を保護するに適した作動油やその他の保護媒体を使い分けすることにより、各機構の耐久性を向上させることができる。
また、本発明に係る第1の駆動力伝達装置においては、複数個の電磁コイルを備えたアクチュエータを採用していることから、当該駆動力伝達装置を作動させる際には、複数個の電磁コイルのうちの半数の電磁コイルに電流を印加する駆動態様を採ること、例えば、アクチュエータが6個の電磁コイルを有している場合には、等間隔に位置する半数の3個の電磁コイルに電流を印加する駆動態様を採ることができる。このため、両部材間で必要とするトルク伝達を、駆動する電磁コイルの数を切替えることにより、制御電流のバラツキによるトルク伝達のバラツキを小さく抑えることができる。また、この場合、駆動しない電磁コイルへ漏洩する磁束の変化によって起電力が生じ、当該起電力によって生じる電流を、電流センサにて検出することができる。検出される電流値からは、エアギャップを推定することができるため、検出される電流値を、当該駆動力伝達装置の保守・点検の一手段として利用することができる。
一方、本発明に係る第2の駆動力伝達装置においては、移動部材に円周方向に間隔を保持して組付けられた複数のロッド状部材を、支持部材を液密的かつ進退可能に貫通させてクラッチ機構の一側に対向させる構成を採して、これらのロッド状部材を作動力伝達部材としている。当該作動力伝達部材である各ロッド状部材は、第1の駆動力伝達装置で採用している作動力伝達部材に比較して小型であって、かつ、支持部材内に収容していることから、当該作動力伝達部材として、このような各ロッド状部材を採用している第2の駆動力伝達装置は、第1の駆動力伝達装置に比較して、一層小型化することができる。
また、本発明に係る第2の駆動力伝達装置においては、作動力伝達部材である各ロッド状部材の先端とクラッチ機構の一側間に介在させる各ニードルベアリングは、クラッチ室内に臨んでいることから、各ニードルベアリングをクラッチ室内の油中に位置させることができる。また、本発明に係る第2の駆動力伝達装置においては、当該駆動力伝達装置を収容するケースの先端部を外側回転部材上に受承するフロント側のベアリングとして、複列アンギュラ玉軸受を採用している。これにより、当該駆動力伝達装置においては、フロント側のベアルングの耐久性を向上させることができるとともに、リヤ側のニードルベアリングを省略することができる。また、本発明に係る第2の駆動力伝達装置においては、電磁式アクチュエータを構成する各電磁コイルを支持部材と一体に、当該駆動力伝達装置を収容するケースの前側ケース部と後側ケース部の分割面間で固定する固定構造を採っている。これにより、当該駆動力伝達装置においては、各電磁コイルを支持部材に固定するためのスナップリングを省略することができる。
本発明は、電磁式アクチュエータ、当該電磁式アクチュエータを一構成機構とする電磁式クラッチ、および、当該電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置に関する。図1には、本発明の一実施形態に係る電磁式アクチュエータを一構成機構とする電磁式クラッチを示している。当該電磁式クラッチAは、本発明に係る第1の電磁式クラッチであって、例えば、前後輪駆動車の駆動軸と従動軸間に配設する実施形態を採れば、作動時には、駆動軸と従動軸をトルク伝達可能に連結し、非作動時には、駆動軸と従動軸とのトルク伝達可能な連結を遮断すべく機能させることができるものである。当該電磁クラッチAは、電磁式アクチュエータ10aと、アクチュエータ10aにて作動を制御される被アクチュエータであるクラッチ機構10bを備えている。
当該電磁式クラッチAは、外側回転部材であるアウタハウジング11a、内側回転部材であるインナシャフト11b、インナシャフト11bの外周上に組付けられた電磁式アクチュエータ10a、これら3者11a,11b,10aにて形成されるクラッチハウジング内に収容されているクラッチ機構10bからなる。インナシャフト11bは、アクチュエータ10aの中央部を液密的かつ回転可能に貫通した状態でアウタハウジング11a内に同軸的に挿入されていて、この状態で、アウタハウジング11a内にて回転可能に支持されている。
クラッチ機構10bは、多数のアウタクラッチプレート12a、および、多数のインナクラッチプレート12bからなる多板式のクラッチ機構であって、各アウタクラッチプレート12aはその外周縁にて、アウタハウジング11aの内周にスプライン嵌合して、軸方向には移動可能に組付けられ、また、各インナクラッチプレート12bは各アウタクラッチプレート12aとは交互に位置し、その内周縁にて、インナシャフト12bの外周にスプライン嵌合して、軸方向には移動可能に組付けられている。
電磁式アクチュエータ10aは、本発明に係る電磁式アクチュエータの一実施形態であり、電磁コイルを支持する支持部材であるヨーク13、移動部材であるアーマチャ14、ヨーク13の一円周上に配置されている6個の電磁コイル15、および、作動力伝達部材である作動ピストン16にて構成されている。ヨーク13は、肉厚で中心部に円形状の貫通孔を有する円盤であって、円盤状のヨーク本体13aには、その一側に突出する楕円状の突起部13bが6個形成されている。各突起部13bは、ヨーク本体13aの一円周上に等間隔に位置していて、各電磁コイル15を嵌合して組付けるべく機能する。各電磁コイル15は、導線を所定回数巻回してなる楕円状の筒体であり、ヨーク本体13aの各突起部13bに嵌合した状態で、サークリップ13cを介してヨーク本体13aに組付けられている。
電磁式アクチュエータ10aを構成する移動部材であるアーマチャ14は、ヨーク13より肉薄で中心部に円形状の貫通孔を有する円板であり、組付け用のピン17aを介してヨーク13の一側に組付けられて、ヨーク13の一側に対して進退可能に対向して位置している。各ピン17aは、アーマチャ14に設けた組付け孔を貫通した状態で、その脚部の先端部を、ヨーク13の各突起部13bの略中央部に設けた圧入孔に圧入嵌合されている。これにより、各ピン17aは、アーマチャ14を抜止めした状態で、ヨーク13に対して進退可能に支持している。また、各ピン17aは、ヨーク13とアーマチャ14を一体に組付けた組立体10cを構成している。当該組立体10cは、インナシャフト11b上に回転可能にはめ込まれている。なお、以下では、当該組立体10cをアクチュエータ組立体と称する。
電磁式アクチュエータ10aを構成する作動ピストン16は、円筒体16aの先端に大径の円板状押圧体16bを一体に備えるもので、ヨーク13、アーマチャ14および電磁コイル15の一体のアクチュエータ組立体10cをインナシャフト11b上へ組付ける前に、インナシャフト11bの一端側からその外周に挿入した状態で、インナシャフト11bの外周に液密的かつ回転可能に配設され、アウタハウジング11aに対しては、その一端開口部内に液密的かつ一体回転可能に組付けられている。当該作動ピストン16は、このように組付けられた状態では、アウタハウジング11aおよびインナシャフト11bとともにクラッチハウジングを形成し、かつ、インナシャフト11bの段部に介装されているスプリング17bを介して対向している。スプリング17bは、作動ピストン16の円板状押圧体16bと、クラッチ機構10bを構成する一端側のクラッチプレートとを所定の間隔に保持し、結果として、クラッチ機構10bを構成する多数のクラッチプレート12a,12b間を所定の隙間に保持すべく機能する。
電磁式アクチュエータ10aを構成するアクチュエータ組立体10cは、インナシャフト11bの一端部上にて、このように組付けられた作動ピストン16の円筒体16aの後端側にスペーサ17cおよびニードルベアルング17dを介して位置し、当該電磁式クラッチAを覆蓋する図示しないケースにヨーク13の外周縁を介して組付けられている。これにより、アクチュエータ組立体10cは、作動ピストン16の抜止めを図り、また、スペーサ17cは、ヨーク13とアーマチャ14間の隙間、換言すれば、電磁式アクチュエータ10aのエアギャップを、ゼロではない設定された所定の幅に維持している。
電磁式アクチュエータ10aと被アクチュエータであるクラッチ機構10bを構成機構とする当該電磁式クラッチAにおいては、アクチュエータ組立体10cが有する各電磁コイル15に所定の電圧の電流を印加することにより、クラッチ機構10bを作動して結合させて、アウタハウジング11aとインナシャフト11bをトルク伝達可能に連結することができる。クラッチ機構10bが結合した状態では、アウタハウジング11aおよびインナシャフト11bの一方から入力されたトルクは、アウタハウジング11aおよびインナシャフト11の他方へ出力される。
当該電磁式クラッチAにおいては、電磁式アクチュエータ10aを構成する各電磁コイル15に電流が印加されると、各電磁コイル15の配設部位では、図1の実線矢印で示すように、ヨーク13とアーマチャ14間を循環する磁路Lが形成される。各電磁コイル15の配設部位に形成される磁路Lに起因する磁力は総合して、アーマチャ14を吸引する吸引力としてアーマチャ14に作用する。この結果、アーマチャ14は、ヨーク13側に移動して、当該吸引力に見合った力で作動ピストン16を押動し、作動ピストン16は、スプリング17bを介して、クラッチ機構10bを構成する全てのクラッチプレート12a,12bを均等に押圧する。これにより、当該クラッチ機構10bは結合し、アウタハウジング11aとインナシャフト11bとをトルク伝達可能に連結する。当該電磁式クラッチAが、このように連結すると、アウタハウジング11aおよびインナシャフト11bの一方から入力されたトルクを、アウタハウジング11aおよびインナシャフト11bの他方へ出力させることができる。
また、アーマチャ14に対する吸引力は、電磁コイル15に印加する電流によって変化するので、電磁コイル15に対する印加電流を制御することで、クラッチ機構10bの結合力を制御することができる。電磁コイル15に対する印加電流の調整は、例えば、電源電圧をPWM制御することによって行うことができる。なお、ヨーク13とアーマチャ14の間の隙間は、前述しているように、スペーサ17cによって確保されているので、ヨーク13とアーマチャ14が当接してクラッチ機構10bの結合力の制御が不能になるようなことはない。
当該電磁式クラッチAにおいては、各電磁コイル15への電流の印加が停止されると、各電磁コイル15にて形成される磁路Lが消失してアーマチャ14に対する吸引力が消失する。この結果、アーマチャ14の作動ピストン16に対する押動力は消失し、作動ピストン16は、スプリング17bのバネ力により元の設置位置に復帰し、同時に、アーマチャ14を元の設置位置に復帰させる。これにより、当該電磁式クラッチAは、その結合状態を解除される。
このように、当該電磁式クラッチAにおいては、電磁式アクチュエータ10aにて発生する磁力に起因するアーマチャ14に対する移動力を、作動ピストン16を介して、被アクチュエータであるクラッチ機構10bに作動力として伝達して、クラッチ機構10bを作動(結合)させるものであるが、電磁式アクチュエータ10aは、複数個の電磁コイル15を一円周上に均等に備えていて、各電磁コイル15の各配設部位にて磁路Lが形成されるようになっている。かかる構成の電磁アクチュエータ10aにおいては、発生する起磁力が高く、このため、アーマチャ14に対しては、各電磁コイル15が形成する磁路Lに起因する磁力が総合して作用し、この結果、アーマチャ14は大きな吸引作用にて移動し、クラッチ機構10bに対して、作動ピストン16を介して、クラッチ機構10bに対して大きな作動力を付与する。
従って、当該電磁式クラッチAを構成する電磁式アクチュエータ10aは、大きな作動力を要求されるクラッチ機構10bに対するアクチュエータとして有効に機能し、従来の電磁式クラッチにとって不可欠としていたカム機構等の作動力増幅手段を廃止することができるとともに、電磁式アクチュエータ10aとクラッチ機構10bを一体に組込んで形成される電磁式クラッチの大型化および構成の複雑化を大きく抑制することができる。
また、当該電磁式クラッチAを構成する電磁式アクチュエータ10aにおいては、ヨーク13には、少なくとも3個の電磁コイル15、本実施形態では6個の電磁コイル15を一円周上に等間隔に配置する構成を採っている。これにより、各電磁コイル15が形成する磁路Lの磁力に起因する吸引作用力は、アーマチャ14の全面に均等に作用して、アーマチャ14を吸引することになり、このため、アーマチャ14がヨーク13側に移動する際には、アーマチャ14がヨーク13に対して傾いたり、揺動や回動するようなことがない安定した姿勢でヨーク13側に移動することになり、安定した作動力を発生させることができる。
また、当該電磁式クラッチAを構成する電磁式アクチュエータ10aにおいては、各電磁コイル15を、ヨーク13の一円周上に等間隔に位置する各突起部13bに嵌合してサークリップ13cにて抜止めした状態でヨーク13に組付ける構成を採っている。これにより、ヨーク13と各電磁コイル15は、互いに一体に組立てられたアッセンブリーとして取り扱うことができて、被アクチュエータであるクラッチ機構10bに対する組付性を向上させることができる。
また、当該電磁式クラッチAを構成する電磁式アクチュエータ10aにおいては、アーマチャ14をヨーク13に、連結ピン17aを介して、回転を規制された状態で所定量進退可能に連結する構成を採っている。このため、アーマチャ14のヨーク13側への移動時の揺動や回動を防止し得て、アーマチャ14を安定した姿勢でヨーク13側に移動させることができ、この結果、安定した作動力を発生させることができるとともに、アーマチャ14の揺動や回動等に起因する耐久性の低下を抑制することができる。さらには、当該連結構造を採ることにより、アーマチャ14やヨーク13の振動を防止することができるとともに、これらの振動に起因する異音の発生を防止することができる。
この場合、アーマチャ14を、ヨーク13に連結ピン17aを介して回転を規制しかつ抜止した状態で所定量進退可能に連結してヨーク13と一体の組立体に構成していることから、当該組立体(アクチュエータ組立体10c)を、クラッチ機構10bを覆蓋するケースにヨーク13を介して組付けることができる。このような組付構造を採れば、当該アクチュエータ組立体10cの被アクチュエータであるクラッチ機構10bに対する組付性を向上させることができる。
また、当該電磁式クラッチAを構成する電磁式アクチュエータ10aにおいては、アーマチャ14をヨーク13に連結している連結ピン17aを非磁性体として、かつ、アーマチャ14の移動力をクラッチ機構10bに作動力として伝達する作動ピストン16を非磁性体としている。このため、ヨーク13とアーマチャ14間に形成される循環磁路Lからの磁束の漏洩を防止し得て、当該磁路Lを安定した状態に維持することができ、これにより、クラッチ機構10bに対する作動力を安定させることができる。
また、当該電磁式クラッチAを構成する電磁アクチュエータ10aにおいては、ヨーク13とアーマチャ14との間のエアギャップを、アーマチャ14と作動ピストン16との間に介在するスペーサ17cの厚みにより調整するようにしている。このため、適宜の厚みのスペーサ17cを選択して、選択したスペーサ17cをアーマチャ14と作動ピストン16との間に介装することにより、各構成部材の加工誤差や組付誤差にかかわらず、エアギャップを的確に設定することができて、作動力の発生初期の安定化を図ることができる。
本発明に係る車両用駆動力伝達装置は、本発明に係る電磁式クラッチを一構成機構とするものである。図2および図3には、本発明に係る第1の電磁式クラッチを採用した第1の駆動力伝達装置Bを示し、図4および図5には、本発明に係る第2の電磁式クラッチを採用した第2の駆動力伝達装置Cを示している。これらの各駆動力伝達装置B,Cは、図6に示すように、車両を構成する駆動軸とリヤディファレンシャル間に介装されて、車両を前後輪駆動車に構成する。当該前後輪駆動車は、エンジン21、トランスファ22、トランスファ22にて分配された駆動力が出力される前輪側の一対の駆動軸23、トランスファ22にて分配された駆動力が出力される駆動軸であるプロペラシャフト24、プロペラシャフト24から入力される駆動力を後輪側の一対の駆動軸25に分配するリヤディファレンシャル26を備えていて、当該駆動力伝達装置B,Cは、プロペラシャフト24とリヤディファレンシャル26間に配設されている。
このように、車両の駆動力伝達系に搭載されてる当該駆動力伝達装置B,Cは、プロペラシャフト24とリヤディファレンシャル26の入力軸26aとのトルク伝達可能な連結を断続するべく機能するもので、プロペラシャフト24とリヤディファレンシャル26の入力軸26aを互いにトルク伝達可能に連結した場合には、車両を前後輪が共に駆動する四輪駆動走行状態を構成し、プロペラシャフト24とリヤディファレンシャル26の入力軸26aとのトルク伝達可能な連結を遮断した場合には、車両を前輪が駆動する2輪駆動走行状態を構成する。
第1の駆動力伝達装置Bは、基本的には、本発明に係る第1の電磁クラッチである電磁式クラッチAと同じ構成を採っている。当該駆動力伝達装置Bは、電磁式アクチュエータ10aおよび被アクチュエータであるクラッチ機構10bを主要な構成機構とするものであって、ディファレンシャル26に連結された状態で、ディファレンシャル26のケース26b内に収容されている。
しかして、第1の駆動力伝達装置Bは、外側回転部材であるアウタハウジング11a、内側回転部材であるインナシャフト11b、インナシャフト11bの外周上に組付けられた電磁式アクチュエータ10a、これら3者11a,11b,10aにて形成されるクラッチハウジング内に収容されているクラッチ機構10bにて構成されている。インナシャフト11bは、アクチュエータ10aの中央部を液密的かつ回転可能に貫通した状態でアウタハウジング11a内に同軸的に挿入されていて、この状態で、アウタハウジング11a内にて回転可能に支持されている。
クラッチ機構10bは、多数のアウタクラッチプレート12a、および、多数のインナクラッチプレート12bからなる湿式の多板式クラッチ機構であって、各アウタクラッチプレート12aはその外周縁にて、アウタハウジング11aの内周にスプライン嵌合して、軸方向には移動可能に組付けられ、また、各インナクラッチプレート12bは各アウタクラッチプレート12aとは交互に位置し、その内周縁にて、インナシャフト11bの外周にスプライン嵌合して、軸方向には移動可能に組付けられている。
電磁式アクチュエータ10aは、電磁式クラッチAと同様、電磁コイルを支持するヨーク13、アーマチャ14、ヨーク13の一円周上に配置されている6個の電磁コイル15、および、作動ピストン16にて構成されている。ヨーク13は、肉厚で中心部に円形孔を有する円盤状のもので、図3に示すように、ヨーク本体13aの一側に突出する楕円状の突起部13bが6個形成されている。各突起部13bは、ヨーク本体13aの一円周上に等間隔に位置していて、各電磁コイル15を嵌合して組付けるべく機能する。各電磁コイル15は、導線を所定回数巻回してなる楕円状の筒体であり、ヨーク本体13aの各突起部13bに嵌合した状態で、サークリップ13cを介してヨーク本体13aに組付けられている。
電磁式アクチュエータ10aを構成するアーマチャ14は、ヨーク13より肉薄で中心部に円形孔を有する円板状のもので、組付け用の連結ピン17aを介してヨーク13に組付けられて、ヨーク13の一側に対して進退可能に対向して位置している。各連結ピン17aは、アーマチャ14に設けた組付け孔を貫通した状態で、その脚部の先端部を、ヨーク13の各突起部13bの略中央部に設けた圧入孔に圧入嵌合されている。
これにより、各連結ピン17aは、アーマチャ14を抜止めした状態で、ヨーク13に対して進退可能に支持している。また、各連結ピン17aは、ヨーク13とアーマチャ14を一体に組付けた組立体10cを構成している。当該組立体10cは、インナシャフト11b上に回転可能にはめ込まれている。なお、以下では、当該組立体10cをアクチュエータ組立体10cと称する。当該アクチュエータ組立体10cにあっては、ヨーク本体13aとアーマチャ14とが互いに対向する周縁部の対向面13d,14aがテーパ状に形成されている。当該対向面13d,14a間は、エアギャップとして機能するとともに、アーマチャ14の移動距離、換言すれば、作動ピストン16のストローク量と設定する隙間として機能する。
電磁式アクチュエータ10aを構成する作動ピストン16は、円筒体16aの先端に大径の円板状押圧体16bを一体に備えるもので、ヨーク13、アーマチャ14および電磁コイル15の一体のアクチュエータ組立体10cをインナシャフト11b上へ組付ける前に、インナシャフト11bに一端側からその外周に挿入した状態で、インナシャフト11bの外周に液密的かつ回転可能に、アウタハウジング11aに対しては、その一端開口部内に液密的かつ一体回転可能に組付けられている。
当該作動ピストン16は、このように組付けられた状態では、アウタハウジング11aおよびインナシャフト11bとともにクラッチハウジングを形成し、かつ、インナシャフト11bの段部に介装されているスプリング17bを介して対向している。スプリング17bは、作動ピストン16の円板状押圧体16bと、クラッチ機構10bを構成する一端側のクラッチプレートとを所定の間隔に保持し、結果として、クラッチ機構10bを構成する多数のクラッチプレート12a,12b間を所定の隙間に保持する。
電磁式アクチュエータ10aを構成するアクチュエータ組立体10cは、インナシャフト11bの一端部上にて、このように組付けられた作動ピストン16の円筒体16aの後端側にスペーサ17cおよびニードルベアルング17dを介して位置し、当該駆動力伝達装置Bを収容するディファレンシャル26のケース26bの前側ケース部26b1の開口部に、ヨーク13の外周縁13eを嵌合されていて、ケース26bの後側ケース部26b2を前側ケース部26b1に取付けることによって、ケース部26bに組付けられている。これにより、アクチュエータ組立体10cは、作動ピストン16の抜止めを図り、また、スペーサ17cは、ヨーク13とアーマチャ14間の隙間、換言すれば、電磁式アクチュエータ10aのエアギャップを設定された所定の幅に維持している。
電磁式アクチュエータ10aと被アクチュエータであるクラッチ機構10bを構成機構とする当該駆動力伝達装置Bは、ディファレンシャル26のケース26bの前側ケース部26b1内に収容された状態で、アウタハウジング11aの先端側ボス部にて前側ケース部26b1に液密的かつ回転可能に支持されていて、アウタハウジング11aの先端側ボス部には、プロペラシャフト24の後端部がトルク伝達可能に連結され、かつ、インナシャフト11b内には、ディファレンシャル26を構成する入力軸26aの先端が挿入されて、入力軸26aがインナシャフト11bにトルク伝達可能に連結している。当該駆動力伝達装置Bを、このようにディファレンシャル26のケース26b内に収容した状態では、後側ケース部26b2の内周面と入力軸26aの外周面間に介装したシール部材26cにより、前側ケース部26b1の内部と後側ケース部26b2の内部とが液密的に区画され、かつ、作動ピストン16の円板状押圧体16bの内外周に設けたシール部材16b1,16b2にて、クラッチハウジング内と電磁式アクチュエータ10aの配設空間とが液密的に区画されている。
このように、プロペラシャフト24とディファレンシャル26の入力軸26a間に介装した当該駆動力伝達装置Bにおいては、アクチュエータ組立体10cが有する各電磁コイル15に所定の電圧の電流を印加することにより、クラッチ機構10bを作動して結合させ、アウタハウジング11aとインナシャフト11bをトルク伝達可能に連結することができ、プロペラシャフト24からアウタハウジング11aに入力されたトルクを、クラッチ機構10bを介してインナシャフト11bに出力し、かつ、インナシャフト11bを介してディファレンシャル26の入力軸26aに出力することができる。この結果、当該駆動力伝達装置Bは、車両を前後輪が同時に駆動する四輪駆動走行状態を構成する。
当該駆動力伝達装置Bにおいては、電磁式クラッチAと同様、電磁式アクチュエータ10aを構成する各電磁コイル15に電流が印加されると、各電磁コイル15の配設部位では、図2の実線矢印で示すように、ヨーク13とアーマチャ14間を循環する磁路Lが形成される。各電磁コイル15の配設部位に形成される磁路Lに起因する磁力は総合して、アーマチャ14を吸引する吸引力としてアーマチャ14に作用する。この結果、アーマチャ14は、ヨーク13側に移動して、当該吸引力に見合った力で作動ピストン16を押動し、作動ピストン16は、スプリング17bを介して、クラッチ機構10bを構成する全てのクラッチプレート12a,12bを均等に押圧する。
これにより、当該クラッチ機構10bは結合し、アウタハウジング11aとインナシャフト11bとをトルク伝達可能に連結する。クラッチ機構10bがこのように連結すると、プロペラシャフト24からアウタハウジング11aに入力したトルクは、インナシャフト11bからディファレンシャル26の入力軸26aに伝達され、ディファレンシャル26を介して、後輪側の各駆動軸に伝達される。なお、各電磁コイル15に印加される電流は、車速や前後輪の差動回転数等の車両走行状態に応じて調整される。
当該駆動力伝達装置Bにおいては、各電磁コイル15への電流の印加が停止されると、各電磁コイル15にて形成される磁路Lが消失して、アーマチャ14に対する吸引力が消失する。この結果、アーマチャ14の作動ピストン16に対する押動力は消失し、作動ピストン16は、スプリング17bのバネ力により元の設置位置に復帰し、同時に、アーマチャ14を元の設置位置に復帰させる。これにより、当該駆動力伝達装置Bにおいては、クラッチ機構10bの結合状態を解除され、車両を前輪のみが駆動する二輪駆動走行状態を構成する。
このように、当該駆動力伝達装置Bにおいては、電磁式アクチュエータ10aにて発生する磁力に起因するアーマチャ14に対する移動力を、作動ピストン16を介して、被アクチュエータであるクラッチ機構10bに作動力として伝達して、クラッチ機構10bを作動(結合)させるものであるが、電磁式アクチュエータ10aは、複数個(6個)の電磁コイル15を一円周上に均等に備えていて、各電磁コイル15の各配設部位にて磁路Lが形成されるようになっている。このため、アーマチャ14に対しては、各電磁コイル15が形成する磁路Lに起因する磁力が総合して作用することになって、アーマチャ14は大きな吸引力で移動し、クラッチ機構10bに対して大きな作動力を付与する。
従って、当該駆動力伝達装置Bは、大きな作動力を要求されるクラッチ機構10bに対するアクチュエータとして有効に機能し、従来の駆動力伝達装置にとって不可欠としていたカム機構等の作動力増幅手段を廃止することができるとともに、電磁式アクチュエータ10aとクラッチ機構10bを一体に組込んで形成されて構成される駆動力伝達装置Bの大型化および構成の複雑化を大きく抑制することができる。なお、当該駆動力伝達装置Bは、すでに詳述している電磁式クラッチAが奏する多くの作用効果を全く同様に奏することができるとともに、駆動力伝達装置Bの特有の構成に起因して、下記の作用効果を奏するものである。
駆動力伝達装置Bが採用している固有の構成の第1は、電磁式アクチュエータ10aを構成する各電磁コイル15を有するヨーク13とアーマチャ14を、これらを互いに連結する連結ピン17aを介して一体にした組立体(アクチュエータ組立体10c)に構成して、当該アクチュエータ組立体10cを当該駆動力伝達装置Bを収容するディファレンシャル26のケース26bの前側ケース26b1に組付けている点にある。かかる組付構造と採ることにより、当該駆動力伝達装置Bのディファレンシャル26のケース26bに対する組付け性を向上することができるという効果を奏する。
また、当該駆動力伝達装置Bが採用している固有の構成の第2は、クラッチ機構10bをクラッチハウジング内に配置し、かつ、作動ピストン16の円板状押圧体16bをクラッチハウジングに臨ませてクラッチ機構10bの一端側に対向して配置して、作動ピストン16とインナシャフト11b間に、クラッチ機構10bを構成する各クラッチプレート12a,12b間の隙間を確保すべく機能するスプリング17bを介装して、クラッチ機構10bの各クラッチプレート12a,12b間の隙間を的確に確保している点にある。かかる構成を採ることにより、車両の前後輪に大きな差動回転が生じて、アウタハウジング11aとインナシャフト11b間に大きな差動回転が発生した場合にも、クラッチ機構10bを十分に保護することができるとともに、電磁式アクチュエータ10a間の残留磁気があったとしても、これに起因する引き摺りトルクを低減させることができるという効果を奏する。
また、当該駆動力伝達装置Bが採用している固有の構成の第3は、クラッチ機構10bを収容するクラッチハウジング内、電磁式アクチュエータ10aを収容する空間、および、ディファレンシャル26のケース26bの後側ケース部2ba2内を、各シール部材16b1,16b2、26cにて液密的に区画する構成を採っている点にある。かかる構成を採ることにより、各空間部には、収容する機構等を保護するに適した作動油や、その他の保護媒体を使い分けすることができて、各機構の耐久性を向上させることができるという効果を奏する。
また、当該駆動力伝達装置Bが採用している固有の構成の第4は、6個の電磁コイル15を備えた電磁式アクチュエータ10aを採用して、当該駆動力伝達装置Bを作動させる際には、例えば、6個の電磁コイル15のうちの等間隔に位置する半数の3個の電磁コイルに電流を印加する駆動態様を採ることができる点にある。各電磁コイル15のこのような駆動態様を採ることにより、アウタハウジング11aとインナシャフト11b間、換言すれば、プロペラシャフト24とディファレンシャル26間で必要とする伝達トルクを、駆動する各電磁コイル15の数を切替えることにより、制御電流のバラツキによるトルク伝達のバラツキを小さく抑えることができるという効果を奏する。また、この場合、駆動しない各電磁コイル15へ漏洩する磁束の変化によって起電力が生じ、当該起電力によって生じる電流を、電流センサにて検出することができ、検出される電流値から、エアギャップを推定することができるため、検出される電流値を、当該駆動力伝達装置Bの保守・点検の一手段として利用することができるという効果を奏する。
また、当該駆動力伝達装置Bが採用している固有の構成の第5は、当該アクチュエータ組立体10cを構成するヨーク13のヨーク本体13aとアーマチャ14とが互いに対向する周縁部の対向面13d,14aを、テーパ状に形成している点にある。当該対向面13d,14a間は、エアギャップとして機能するとともに、アーマチャ14の移動距離、換言すれば、作動ピストン16のストローク量と設定する隙間として機能する。当該構成を採れば、作動ピストン16のストローク量を、磁路長を長くすることなく大きくすることができて、作動ピストン16のクラッチ機構10bに対する大きな作動力を的確に付与することができるという効果を奏する。
一方、本発明に係る第2の駆動力伝達装置Cは、基本的には、本発明に係る第2の電磁式クラッチを採用している。当該駆動力伝達装置Cは、電磁式アクチュエータ30aおよび被アクチュエータであるクラッチ機構30bを主要な構成機構とするものであって、ディファレンシャル26に連結された状態で、ディファレンシャル26のケース26b内に収容されている。
しかして、第2の駆動力伝達装置Cは、外側回転部材であるアウタハウジング31a、内側回転部材であるインナシャフト31b、インナシャフト31bの外周上に組付けられた電磁式アクチュエータ30a、これら3者31a,31b,30aにて形成されるクラッチハウジング内に収容されているクラッチ機構30bにて構成されている。インナシャフト31bは、電磁式アクチュエータ30aの中央部を液密的かつ回転可能に貫通した状態でアウタハウジング31a内に同軸的に挿入されていて、この状態で、アウタハウジング31a内にて回転可能に支持されている。
クラッチ機構30bは、多数のアウタクラッチプレート32a、および、多数のインナクラッチプレート32bからなる湿式の多板式クラッチ機構であって、各アウタクラッチプレート32aはその外周縁にて、アウタハウジング31aの内周にスプライン嵌合して、軸方向には移動可能に組付けられ、また、各インナクラッチプレート32bは各アウタクラッチプレート32aとは交互に位置し、その内周縁にて、インナシャフト31bの外周にスプライン嵌合して、軸方向には移動可能に組付けられている。
電磁式アクチュエータ30aは、電磁コイルを支持するヨーク33と、アーマチャ34と、ヨーク33の一円周上に配置されている6個の電磁コイル35と、ロッド状の6本の作動ピストン36を備えている。
ヨーク33は、肉厚で中心部に円形孔を有する円盤状のもので、図5に示すように、ヨーク本体33aの一側に突出する楕円状の突起部33bが6個形成されている。各突起部33bは、ヨーク本体33aの一円周上に間隔に位置していて、各電磁コイル35を嵌合して組付けるべく機能する。各電磁コイル35は、導線を所定回数巻回してなる楕円状の筒体であり、ヨーク本体33aの各突起部33bに嵌合した状態でヨーク本体33aに組付けられている。ヨーク本体33aに組付けられている各電磁コイル35は、隣合う電磁コイル35とは互いに磁性が逆向きに配置されている。
各電磁コイル35は、ヨーク本体33aに組付けられた状態では、当該駆動力伝達装置Cを収容するディファレンシャル26のケース26bにおける前側ケース部26b1と後側ケース部26b2の分割面間で、ヨーク本体33aと一体に固定されている。なお、前側ケース部26b1の先端部はアウタハウジング31aの先端側軸部上を覆蓋した状態で、複列アンギュラ玉軸受26dにて当該軸部上に受承されている。
ヨーク33においては、ヨーク本体33aの各突起部33bは、後方に開口する円錐形状の凹所を備えていて、各突起部33bには円錐形状の凹所と同軸的に貫通孔33cが形成されている。各貫通孔33cには、各作動ピストン36が液密的かつ軸方向へ摺動可能に挿入されている。各作動ピストン36は、ロッド状の作動力伝達部材であって、各作動ピストン36の先端側には、ワッシャ36aおよびニードルベアリング36bが配置されている。このように配置されたニードルベアリング36bは、クラッチ機構30bを構成するアウタクラッチプレート32aに対向して、同クラッチプレート32aと摺接可能に位置している。ニードルベアリング36bおよびワッシャ36aは、この状態で、クラッチハウジング内の油中に位置している。
電磁式アクチュエータ30aを構成するアーマチャ34は、ヨーク33より肉薄の本体34aの前側に、ヨーク33の各円錐形状の凹所に対向する円錐状の突起部34bを備えていて、各突起部34bには、ヨーク33の各突起33bに貫通孔33cと同軸の組付け用孔34cが形成されている。各作動ピストン36は、アーマチャ34の各組付け用孔34cに嵌合された状態で、ヨーク33の各貫通孔33cに挿入されており、アーマチャ34は、この状態で、ディファレンシャル26のケース26bにおける後側ケース部26b2に、複数の連結ピン34dを介して、ヨーク33に対して進退可能に組付けらている。当該電磁式アクチュエータ30aにおいては、ヨーク本体33aとアーマチャ34とが互いに対向するテーパ状の対向面間が、エアギャップとして機能するとともに、アーマチャ34の移動距離、換言すれば、作動ピストン36のストローク量と設定する隙間として機能する。
電磁式アクチュエータ30aと被アクチュエータであるクラッチ機構30bを構成機構とする第2の駆動力伝達装置Cは、ディファレンシャル26のケース26bの前側ケース部26b1内に収容された状態で、アウタハウジング31aの先端側軸部にて前側ケース部26b1に、複列アンギュラ玉軸受26cを介して回転可能に、かつ、液密的に支持されている。アウタハウジング31aの先端側軸部には、プロペラシャフト24の後端部がトルク伝達可能に連結され、かつ、インナシャフト31b内には、ディファレンシャル26を構成する入力軸26aの先端が挿入されて、入力軸26aがインナシャフト11bにトルク伝達可能に連結している。
このように、プロペラシャフト24とディファレンシャル26の入力軸26a間に介装した当該駆動力伝達装置Cにおいては、電磁式アクチュエータ30aが有する各電磁コイル35に所定の電圧の電流を印加することにより、クラッチ機構30bを作動して結合させ、アウタハウジング31aとインナシャフト31bをトルク伝達可能に連結することができ、プロペラシャフト24からアウタハウジング31aに入力されたトルクを、クラッチ機構30bを介してインナシャフト31bに出力し、かつ、インナシャフト31bを介してディファレンシャル26の入力軸26aに出力することができる。この結果、当該駆動力伝達装置Cは、車両を前後輪が同時に駆動する四輪駆動走行状態を構成する。
当該駆動力伝達装置Cにおいては、電磁式アクチュエータ30aを構成する各電磁コイル35に電流が印加されると、各電磁コイル35の配設部位では、ヨーク33とアーマチャ34間を循環する磁路が形成される。各電磁コイル35の配設部位に形成される磁路に起因する磁力は総合して、アーマチャ34を吸引する吸引力としてアーマチャ34に作用する。この結果、アーマチャ34は、ヨーク33側に移動して、当該吸引力に見合った力で各作動ピストン36を押動する。各作動ピストン36は、ワッシャ36aおよびニードルベアリング36bを介して、クラッチ機構30bを構成する全てのクラッチプレート32a,32bを均等に押圧する。
これにより、当該クラッチ機構30bは結合し、アウタハウジング31aとインナシャフト31bとをトルク伝達可能に連結する。クラッチ機構30bがこのように連結すると、プロペラシャフト24からアウタハウジング31aに入力したトルクは、インナシャフト31bからディファレンシャル26の入力軸26aに伝達され、ディファレンシャル26を介して、後輪側の各駆動軸に伝達される。なお、各電磁コイル35に印加される電流は、車速や前後輪の差動回転数等の車両走行状態に応じて調整される。
当該駆動力伝達装置Cにおいては、各電磁コイル35への電流の印加が停止されると、各電磁コイル35にて形成される磁路が消失して、アーマチャ34に対する吸引力が消失する。この結果、アーマチャ34の各作動ピストン36に対する押動力は消失し、作動ピストン36は、クラッチハウジング内の油圧の作用により元の設置位置に復帰し、同時に、アーマチャ34を元の設置位置に復帰させる。これにより、当該駆動力伝達装置Cにおいては、クラッチ機構30bの結合状態を解除され、車両を前輪のみが駆動する二輪駆動走行状態を構成する。
このように、当該駆動力伝達装置Cにおいては、電磁式アクチュエータ30aにて発生する磁力に起因するアーマチャ34に対する移動力を、各作動ピストン36を介して、被アクチュエータであるクラッチ機構30bに作動力として伝達して、クラッチ機構30bを作動(結合)させるものであるが、電磁式アクチュエータ30aは、偶数個(6個)の電磁コイル35を一円周上に均等に備え、各電磁コイル35は、隣合う電磁コイル35とは互いに磁性が逆向きに位置している。このため、当該駆動力伝達装置Cにおいては、第1の駆動力伝達装置Bに比較して、各電磁コイル35で発生する総合的な起磁力を一層高くすることができるという利点がある。
また、当該駆動力伝達装置Cにおいては、各作動ピストン36をロッド状に形成して、ヨーク33に形成した軸方向に延びる各貫通孔33cに液密的かつ軸方向へ摺動可能に挿入して、クラッチ機構30bの一側に対向させる構成を採っている。かかる構成では、各作動ピストン36を小型化して、ヨーク33を大型化することなく、これにコンパクトに組付けることができることから、当該駆動力伝達装置Cは、第1の駆動力伝達装置Bに比較して、小型化に構成することができる。
また、当該駆動力伝達装置Cにおいては、各作動ピストン36の先端とクラッチ機構30bの一側間に介在させる各ニードルベアリング36bおよび各ワッシャ36aは、クラッチハウジング内の臨んでいることから、各ニードルベアリング36bおよび各ワッシャ36aをクラッチハウジング内の油中に位置させることができる。また、当該駆動力伝達装置Cにおいては、当該駆動力伝達装置Cを収容するケース26bの先端部をアウタハウジング31aの先端側軸部上に受承するフロント側のベアリングとして、複列アンギュラ玉軸受26cを採用していることから、フロント側のベアルングの耐久性を向上させることができるとともに、リヤ側のニードルベアリングを省略することができる。また、当該駆動力伝達装置Cにおいては、電磁式アクチュエータ30aを構成する各電磁コイル35をヨーク33と一体に、当該駆動力伝達装置Cを収容するケース26の前側ケース部26b1と後側ケース部26b2の分割面間で固定する構成を採っている。このため、各電磁コイル35をヨーク33に固定するためのスナップリングを省略することができる。
本発明に係る第1の電磁式クラッチの一実施形態を示す断面図である。 本発明に係る第1の車両用駆動力伝達装置の一実施形態を示す断面図である。 同駆動力伝達装置を構成するヨークの一側を概略的に示す正面図である。 本発明に係る第2の車両用駆動力伝達装置の一実施形態を示す断面図である。 同駆動力伝達装置を構成するヨークの一側を概略的に示す正面図である。 本発明に係る各駆動力伝達装置を車両の駆動系路に装備する前後輪駆動車を示す概略構成図である。
符号の説明
A…電磁式アクチュエータ、B…第1の駆動力伝達装置、C…第2の駆動力伝達装置、10a…電磁式アクチュエー、10b…クラッチ機構、10c…アクチュエータ組立体、11a…アウタハウジング、11b…インナシャフト、12a…アウタクラッチプレート、12b…インナクラッチプレート、13…ヨーク、13a…ヨーク本体、13b…突起部、13c…サークリップ、13d…対向面、13e…外周縁部、14…アーマチャ、14a…対向面、15…電磁コイル、16…作動ピストン、16a…円筒体、16b…円板状押圧体、16b1,16b2…シール部材、17a…連結ピン、17b…スプリング、17c…スペーサ、17d…ニードルベアルング、21…エンジン、22…トランスファ、23…前輪側駆動軸、24…プロペラシャフト、25…後輪側駆動軸、26…ディファレンシャル、26a…入力軸、26b…ケース、26b1…前側ケース部、26b2…後側ケース部、26c…シール部材、26d…複列アンギュラ玉軸受、30a…電磁式アクチュエー、30b…クラッチ機構、31a…アウタハウジング、31b…インナシャフト、32a…アウタクラッチプレート、32b…インナクラッチプレート、33…ヨーク、33a…ヨーク本体、33b…突起部、33c…貫通孔、34…アーマチャ、34a…本体、34b…突起部、34c…組付け用孔、34d…連結ピン、35…電磁コイル、36…各作動ピストン、36a…ワッシャ、36b…ニードルベアリング。

Claims (17)

  1. 導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、前記支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として被アクチュエータに伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記被アクチュエータに作動力を付与する電磁式アクチュエータであり、
    当該電磁式アクチュエータにおいては、前記支持部材は複数個の電磁コイルを備えていて、前記支持部材には前記移動部材が連結ピンを介して、回転を規制された状態で所定量進退可能に連結されていることを特徴とする電磁式アクチュエータ。
  2. 導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、前記支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として被アクチュエータに伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記被アクチュエータに作動力を付与する電磁式アクチュエータであり、
    当該電磁式アクチュエータにおいては、前記支持部材は複数個の電磁コイルを備えていて、前記作動力伝達部材は前記移動部材にて円周方向に間隔を保持して組付けられた複数のロッド状部材であって、これらロッド状部材は、前記支持部材を液密的かつ進退可能に貫通して前記被アクチュエータの一側に対向し、前記被アクチュエータを押圧して作動することを特徴とする電磁式アクチュエータ。
  3. 請求項1または2に記載の電磁式アクチュエータにおいて、前記支持部材は、偶数個の電磁コイルを円周方向に間隔を保持して支持し、各電磁コイルは隣合う電磁コイルとは互いに磁性が逆向きに配置されていることを特徴とする電磁式アクチュエータ。
  4. 請求項1〜3のいすれか一項に記載の電磁式アクチュエータにおいて、前記被アクチュエータはクラッチ機構であって、前記移動部材の前記支持部材側への移動によって生じる作動力は前記クラッチ機構を結合動作すべく機能することを特徴とする電磁式アクチュエータ。
  5. 請求項4に記載の電磁式アクチュエータにおいて、前記支持部材と前記移動部材との間には常に隙間が確保されていて、前記各電磁コイルに対する印加電流を制御することにより、前記クラッチ機構の結合力が制御可能になっていることを特徴とする電磁式アクチュエータ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の電磁式アクチュエータにおいて、前記各電磁コイルは、前記支持部材に複数個配置した各突起部に嵌合されて、1つのサークリップにて抜止めされた状態で前記支持部材に組付けられていることを特徴とする電磁式アクチュエータ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電磁式アクチュエータにおいて、前記移動部材を前記支持部材に連結する連結ピン、および、前記移動部材の移動力を前記被アクチュエータに作動力として伝達する前記作動力伝達部材は、いずれも非磁性体であることを特徴とする電磁式アクチュエータ。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の電磁式アクチュエータにおいて、前記移動部材は前記支持部材に連結ピンを介して回転を規制されかつ抜止めされた状態で所定量進退可能に連結されて前記支持部材と一体の組立体を構成し、当該組立体は、前記被アクチュエータを覆蓋するケースに前記支持部材を介して組付けられていることを特徴とする電磁式アクチュエータ。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電磁式アクチュエータを一構成機構とする電磁式クラッチであり、
    当該電磁式クラッチは、互いに同軸的かつ相対回転可能に位置する両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、前記支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の吸引作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記クラッチ機構に作動力を付与する電磁式クラッチであって、
    前記支持部材は複数個の電磁コイルを備え、前記作動力伝達部材は前記支持部材の中央部を移動可能に貫通した状態で前記クラッチ機構と前記移動部材間に位置して、前記クラッチ機構を押圧して作動させて前記両回転部材間でトルク伝達すべく機能することを特徴とする電磁式クラッチ。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電磁式アクチュエータを一構成機構とする電磁式クラッチであり、
    当該電磁式クラッチは、互いに同軸的かつ相対回転可能に位置する両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、前記支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の吸引作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記クラッチ機構に作動力を付与する電磁式クラッチであって、
    前記支持部材は複数個の電磁コイルを備え、前記作動力伝達部材は前記移動部材にて円周方向に間隔を保持して組付けられた複数のロッド状部材であって、これらロッド状部材は、前記支持部材を液密的かつ進退可能に貫通して前記クラッチ機構の一側に対向し、前記クラッチ機構を押圧して作動させて前記両回転部材間でトルク伝達すべく機能することを特徴とする電磁式クラッチ。
  11. 請求項9に記載の電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置であり、
    当該駆動力伝達装置は、互いに同軸的かつ相対回転可能に位置し一方が駆動軸側に連結されかつ他方が従動軸側に連結される内外両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、同支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の吸引作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記クラッチ機構に作動力を付与する駆動力伝達装置であって、
    前記支持部材は複数個の電磁コイルを備え、前記作動力伝達部材は前記支持部材の中央部を移動可能に貫通した状態で前記クラッチ機構と前記移動部材間に位置し、前記作動力伝達部材は、前記クラッチ機構を作動して前記両回転部材間でトルク伝達して、前記駆動軸と前記従動軸とを互いに連結すべく機能することを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
  12. 請求項11に記載の車両用駆動力伝達装置において、前記電磁式クラッチを構成する前記支持部材と前記移動部材はこれらを互いに連結する連結ピンを介して一体にした組立体に構成されていて、当該組立体は当該駆動力伝達装置を収容するケースに前記支持部材を介して組付けられていることを特徴とする車両用駆動力伝達装置
  13. 請求項11に記載の車両用駆動力伝達装置において、前記両回転部材が形成するクラッチハウジングと前記作動力伝達部材との間、前記移動部材と前記作動力伝達部材との間、および、前記電磁式クラッチと当該駆動力伝達装置を収容するケースの装置収容部との間は、シール部材を介して液密的にシールされていることを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
  14. 請求項10に記載の電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置であり、 当該駆動力伝達装置は、互いに同軸的かつ相対回転可能に位置し一方が駆動軸側に連結されかつ他方が従動軸側に連結される内外両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、前記支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の吸引作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記クラッチ機構に作動力を付与する駆動力伝達装置であって、
    前記支持部材は複数個の電磁コイルを備え、前記作動力伝達部材は前記移動部材にて円周方向に間隔を保持して組付けられた複数のロッド状部材であって、
    れらロッド状部材は、前記支持部材を液密的かつ進退可能に貫通して前記クラッチ機構の一側に対向し、前記クラッチ機構を作動して前記両回転部材間でトルク伝達して、前記駆動軸と前記従動軸とを互いに連結すべく機能することを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
  15. 請求項14に記載の車両用駆動力伝達装置において、前記作動力伝達部材である前記各ロッド状部材の先端部にはニードルベアリングが配置されていて、同ニードルベアリングは前記クラッチ機構の一側に対向していることを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
  16. 請求項14に記載の車両用駆動力伝達装置において、当該駆動力伝達装置を収容するケースの先端部を前記外側回転部材上に受承するベアリングとして、複列アンギュラ玉軸受を採用していることを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
  17. 請求項14に記載の車両用駆動力伝達装置において、前記電磁式クラッチを構成する各電磁コイルは前記支持部材に支持された状態で、当該駆動力伝達装置を収容するケースの前側ケース部と後側ケース部の分割面間で固定されていることを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
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