JP4793248B2 - 電磁式クラッチ、および、同電磁式クラッチを構成機構とする車両用駆動力伝達装置 - Google Patents

電磁式クラッチ、および、同電磁式クラッチを構成機構とする車両用駆動力伝達装置 Download PDF

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Description

本発明は、電磁式クラッチ、および、当該電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置に関する。
電磁式クラッチの一形式として、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材(ヨーク)と、前記支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材(アーマチャ)と、前記移動部材の移動力を作動力として被アクチュエータであるクラッチ機構に伝達する作動力伝達部材とからなる電磁式アクチュエータを備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して、前記クラッチ機構に作動力を付与して同クラッチ機構を結合する形式の電磁式クラッチがある。当該形式の電磁式クラッチは、各種の構成を採ることにより、ディフアレンシャル等各種の電磁式クラッチとして採用され、また、車両用駆動力伝達装置の一構成機構として採用される。当該形式の電磁式クラッチを一構成機構とする形式の車両用駆動力伝達装置については、「駆動力伝達装置」なる名称にて提案されている(特許文献1を参照)。
しかして、上記した形式の電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置においては、被アクチュエータであるクラッチ機構を的確に作動させるためには、クラッチ機構に対して大きな作動力を付与することが要請されるが、電磁式アクチュエータ自体で、例えば、車両用駆動力伝達装置に採用できるような大きな作動力を発生させる構成の電磁式クラッチは、未だ提案されていない。このため、これに対処すべく、上記した特許文献1にて提案されている駆動力伝達装置においては、電磁式アクチュエータで発生する作動力を倍力して被アクチュエータであるクラッチ機構に伝達すべく、カム機構を主要構成機構とする作動力倍力機構を採用している。
特開2003−148517号公報
ところで、カム機構を主要構成機構とする作動力倍力機構が採用されている電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置においては、カム機構の構成上、軸方向および/または径方向に大型化するとともに、重量が増大するという問題がある。従って、本発明の主たる目的は、当該作動力倍力機構を、カム機構とは全く異なる機構として、支持部材、移動部材および作動力伝達部材間に内在させることにより、電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置の大型化を抑制するとともに、装置を軽量化することにある。
本発明は、電磁クラッチ、および、当該電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置に関する。
本発明に係る電磁式クラッチは、互いに同軸的かつ相対回転可能に位置する内外両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、同支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の吸引作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して前記クラッチ機構に作動力を付与して、前記クラッチ機構を結合する形式の電磁式クラッチである。
しかして、本発明に係る電磁式クラッチにおいては、前記支持部材は、周方向に所定間隔を保持して形成された複数の貫通孔を備え、前記移動部材は、前記支持部材の各貫通孔に液密的かつ軸方向へ摺動可能に挿入される複数の連結ピンを備え、前記作動力伝達部材は、前記支持部材と前記クラッチ機構との間にて液密的かつ軸方向へ摺動可能に配設されて前記各貫通孔を前記各連結ピンとともに油室に形成し、前記支持部材、前記移動部材および前記作動力伝達部材間に、前記支持部材の各貫通孔を油室とし、前記各連結ピンを第1のピストンとし、前記作動力伝達部材を第2のピストンとする油圧式作動力倍力機構が構成されていて、前記移動部材の作動力は、前記油圧式作動力倍力機構を介して倍力して前記クラッチ機構に伝達されることを特徴とするもである。
本発明にかかる電磁式クラッチにおいては、前記油圧式作動力倍力機構の倍力比は、前記各第1のピストンと前記第2のピストンとの互いに対向する側の面積比によって設定される構成を採ることができる。
また、本発明に係る電磁式クラッチにおいて、前記油圧式作動力倍力機構を構成する支持部材は、周方向に所定間隔を保持して位置して前記移動部材側に突出する複数の突起部を備え、前記各突起部が電磁コイルをそれぞれ支持しているとともに、前記各突起部に前記油圧式作動力倍力機構の油室を構成する貫通孔がそれぞれ形成される構成を採ることができる。
一方、本発明に係る車両用駆動力伝達装置は、本発明に係る電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置であって、当該車両用駆動力伝達装置は、互いに同軸的かつ回転可能に位置し一方が駆動軸側に連結されかつ他方が従動軸側に連結される内外両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、同支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の吸引作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して前記クラッチ機構に作動力を付与して前記クラッチ機構を結合し、前記両回転部材を介して前記駆動軸と前記従動軸とを互いにトルク伝達可能に連結する形式の駆動力伝達装置である。
しかして、本発明に係る車両用駆動力伝達装置においては、前記支持部材は、周方向に所定間隔を保持して形成された複数の貫通孔を備え、前記移動部材は、前記支持部材の各貫通孔に液密的かつ軸方向へ摺動可能に挿入される複数の連結ピンを備え、前記作動力伝達部材は、前記支持部材と前記クラッチ機構との間にて液密的かつ軸方向へ摺動可能に配設されて前記各貫通孔を前記各連結ピンとともに油室に形成し、前記支持部材、前記移動部材および前記作動力伝達部材間に、前記支持部材の各貫通孔を油室とし、前記各連結ピンを第1のピストンとし、前記作動力伝達部材を第2のピストンとする油圧式作動力倍力機構が構成されていて、前記移動部材の作動力は、前記油圧式作動力倍力機構を介して倍力して前記クラッチ機構に伝達されることを特徴とするものである。
本発明に係る車両用駆動力伝達装置においては、前記油圧式作動力倍力機構を構成する支持部材と移動部材間には同移動部材を元位置に復帰させるためのリターンスプリングが介在し、かつ、前記支持部材と前記クラッチ機構の一側間にはスラストベアリングが介在する構成を採ることができる。
また、本発明に係る車両用駆動力伝達装置においては、前記油圧式作動力倍力機構の倍力比は、前記各第1のピストンと前記第2のピストンとの互いに対向する側の面積比によって設定される構成を採ることができる。
また、本発明に係る車両用駆動力伝達装置においては、前記油圧式作動力倍力機構を構成する支持部材は、周方向に所定間隔を保持して位置して前記移動部材側に突出する複数の突起部を備え、前記各突起部が電磁コイルをそれぞれ支持しているとともに、前記各突起部に前記油圧式作動力倍力機構の油室を構成する貫通孔がそれぞれ形成される構成を採ることができる。
本発明に係る電磁式クラッチ、および、当該電磁式クラッチを一構成機構とする本発明に係る車両用駆動力伝達装置においては、電磁アクチュエータで生じる作動力をクラッチ機構に付与してクラッチ機構を結合して内外両回転部材をトルク伝達可能に連結するが、当該作動力は、油圧式作動力倍力機構を介して倍力してクラッチ機構に伝達されることから、クラッチ機構を的確に作動させることができる。
ところで、当該油圧式作動力倍力機構は、電磁アクチュエータの構成部材として不可欠の構成部材である支持部材、移動部材および作動力伝達部材を有効に活用して構成されているものであって、電磁アクチュエータ内に内在した状態にある。このため、当該油圧式作動力倍力機構は、電磁式アクチュエータとは別途に構成されているカム機構を主要の構成機構とする従来の作動力倍力機構に比較して、電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置内で占める割合が小さい。このため、当該油圧式作動力機構を採用すれば、電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置の大型化を大きく抑制することができるとともに、装置の軽量化を図ることもできる。また、当該油圧式作動力倍力機構においては、倍力比を、各第1のピストンと第2のピストンとの互いに対向する側の面積比によって設定することができるため、倍力比の設定が容易である。
なお、当該電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置においては、油圧式作動力倍力機構を備えていることから、支持部材と移動部材との間のエアギャップを大きく設定しても、クラッチ機構の結合に要する十分な大きさの作動力を得ることができ、このため、当該電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置においては、エアギャップを大きく設定することのよって、当該電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置のトルク伝達特性の変化を大きく抑制することができる。また、当該電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置においては、当該作動力倍力機構を構成する油室の圧力をセンサリングすることができ、油室の圧力をセンサリングすることによって、トルク伝達の温度特性を向上させることができる。
本発明に係る電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置においては、クラッチ機構として、複数のインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートを交互に有する多板式クラッチを採用して、クラッチ機構を内外両回転部材が構成するクラッチハウジング内に配置するとともに、作動力伝達部材をクラッチハウジングに臨ませてクラッチ機構の一側に対向させ、作動力伝達部材とクラッチ機構との間にはスラストベアリングを介在させ、かつ、支持部材と移動部材との間には同移動部材を元位置に復帰させるリターンスプリングを介在させる構成を採ることができる。かかる構成を採れば、作動力伝達部材を作動させる移動部材の移動動作、および、作動力伝達部材の作動を解除させる移動部材の復帰動作を的確に行うことができる。
また、本発明に係る電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置においては、電磁式アクチュエータを構成する支持部材に複数の電磁コイルを支持する構成を採ることができ、これにより、クラッチ機構に付与する作動力を一層増強することができる。また、このような作動力増強手段を採れば、クラッチ機構においては、構成する各クラッチプレートの枚数を少なくし得て、クラッチ機構を小型化することができ、延いては、電磁式クラッチおよび車両用駆動力伝達装置を小型化することができる。
本発明は、電磁式クラッチ、および、当該電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置に関する。図1には、本発明の一実施形態に係る電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置10を示している。当該駆動力伝達装置10は、例えば、前後輪駆動車の駆動軸と従動軸間に配設する実施形態を採ることにより、作動時には、駆動軸と従動軸をトルク伝達可能に連結し、非作動時には、駆動軸と従動軸とのトルク伝達可能な連結を遮断すべく機能させることができるものである。当該駆動力伝達装置10は、電磁式アクチュエータ10aと、電磁式アクチュエータ10aにて作動を制御される被アクチュエータであるクラッチ機構10bを備えている。
当該駆動力伝達装置10は、図3に示すように、車両を構成する駆動力伝達軸とリヤディファレンシャル間に介装されて、車両を前後輪駆動車に構成する。当該前後輪駆動車においては、エンジン21、トランスファ22、トランスファ22にて分配された駆動力が出力される前輪側の一対の駆動軸23、トランスファ22にて分配された駆動力が出力される駆動軸であるプロペラシャフト24、プロペラシャフト24から入力される駆動力を後輪側の一対の駆動軸25に分配するリヤディファレンシャル26を備えている。当該駆動力伝達装置10は、リヤディファレンシャル26のケース26b内に収容されて、ケース26bを構成する前側ケース部26b1と後側ケース部26b2に組付けられている。
当該駆動力伝達装置10においては、アウタハウジング11aに先端側にプロペラシャフト24がトルク伝達可能に連結され、かつ、インナシャフト11bにリヤディファレンシャル26の入力軸26aがトルク伝達可能に連結されていて、プロペラシャフト24とリヤディファレンシャル26の入力軸26aとのトルク伝達可能な連結を断続するべく機能する。当該駆動力伝達装置10は、プロペラシャフト24とリヤディファレンシャル26の入力軸26aを互いにトルク伝達可能に連結した場合には、車両を前後輪が共に駆動する四輪駆動走行状態を構成し、プロペラシャフト24とリヤディファレンシャル26の入力軸26aとのトルク伝達可能な連結を遮断した場合には、車両を前輪が駆動する二輪駆動走行状態を構成する。
当該駆動力伝達装置10は、外側回転部材であるアウタハウジング11a、内側回転部材であるインナシャフト11b、インナシャフト11bの外周上に組付けられた電磁式アクチュエータ10a、これら3者11a,11b,10aにて形成されるクラッチハウジング内に収容されているクラッチ機構10bにて構成されている。インナシャフト11bは、アクチュエータ10a内の中央部に同軸的に位置した状態で、アウタハウジング11a内にて回転可能に支持され、かつ、一端部上に位置するヨーク13のボス部13d内にて液密的かつ回転可能に支持されている。
クラッチ機構10bは、多数のアウタクラッチプレート12a、および、多数のインナクラッチプレート12bからなる湿式の多板式クラッチ機構であって、各アウタクラッチプレート12aはその外周縁にて、アウタハウジング11aの内周にスプライン嵌合して、軸方向には移動可能に組付けられ、また、各インナクラッチプレート12bは各アウタクラッチプレート12aとは交互に位置し、その内周縁にて、インナシャフト12bの外周にスプライン嵌合して、軸方向には移動可能に組付けられている。
電磁式アクチュエータ10aは、電磁コイルを支持するヨーク13、アーマチャ14、ヨーク13の一円周上に配置されている6個の電磁コイル15、および、作動力伝達部材16にて構成されている。ヨーク13は、肉厚で中心部に円形孔を有する円盤状のもので、図1および図2に示すように、ヨーク本体13aの一側に、後方へ突出する楕円状の突起部13bを6個備えていて、各突起部13bのそれぞれには貫通孔13cが形成されている。各貫通孔13cは、その先端側が大径部に形成されているとともに、その後端側が後方へ漸次拡開する円錐形状部に形成されている。ヨーク13の各突起部13bは、ヨーク本体13aの一円周上に等間隔に位置していて、各電磁コイル15を嵌合して組付けるべく機能する。各電磁コイル15は、磁性体の外周に導線を所定回数巻回してなる楕円状の筒体であり、ヨーク13の各突起部13bに嵌合した状態で、その外周を樹脂層15aにて被覆されている。
電磁式アクチュエータ10aを構成するアーマチャ14は、ヨーク13より肉薄で中心部に円形孔を有する円板状のもので、アーマチャ本体14aの先端面側には、ヨーク13の各突起部13bに対向する突起部14bを6個備えている。各突起部14bは、ヨーク13の各突起部13bの後端側開口部に対向する円錐形状を呈するもので、後側ケース部26b2に突設した支持ピン26cに移動可能に支持された状態では、ヨーク13の各突起部13bの後端側開口部に嵌合した状態で進退可能となる。かかる構成のアクチュエータ14の各突起部14bには、ヨーク13の各突起部13bに設けてある各貫通孔13cに挿通可能な各各連結ピン17の後端部が嵌合固定されている。
各連結ピン17は、先端に円板状の大径部を有する円柱状のもので、ヨーク13の各突起部13bの貫通孔13cにその先端から挿入されて、アーマチャ14の各突起部14bの頂部における嵌合孔に嵌合されて固定されている。各連結ピン17は、各貫通孔13c内では液密的かつ軸方向へ摺動可能であって、アーマチャ14がヨーク13に対して進退する際には、各貫通孔13c内を進退する。当該連結ピン17は、後述する油圧式作動力倍力機構を構成する第1のピストンを形成する。このため、当該油圧式作動力倍力機構に関連する説明では、各連結ピン17を第1のピストン17と称する。第1のピストン17においては、先端側大径部は、ヨーク13の各貫通孔13cの先端側の大径部内に位置していて、後方への後退量は所定量に規制されている。
電磁式アクチュエータ10aを構成する作動力伝達部材16は、ヨーク13の先端側のボス部13dの外周と、当該駆動力伝達装置10を収容するデファレンシャル26のケース26の前側ケース部26b1の内周間に、液密的かつ摺動可能に組付けられていて、ヨーク13の先端面に対向して位置している。このように組付けられた作動力伝達部材16は、後述する油圧式作動力倍力機構を構成する第2のピストンを形成する。このため、当該油圧式作動力倍力機構に関連する説明では、作動力伝達部材16を第2のピストン16と称する。第2のピストン16は、第1のピストン17とともに、ヨーク13の各貫通孔13c内を油室Rに形成している。当該油室Rには、作動油が収容されている。作動力伝達部材16は、ヨーク13に対して、複数のピン16aを介して進退可能に支持されている。かかる構成の電磁式アクチュエータ10aにおいては、作動力伝達部材16とクラッチ機構の一側との間にスラストベアリング18aが介在し、かつ、ヨーク13とアクチュエータ14との間にリターンスプリング18bが介在している。
このように構成した当該駆動力伝達装置10は、プロペラシャフト24とディファレンシャル26の入力軸26a間に介装され、電磁式アクチュエータ10aが有する各電磁コイル15に所定の電圧の電流を印加することにより、クラッチ機構10bを作動して結合させ、アウタハウジング11aとインナシャフト11bをトルク伝達可能に連結することができ、プロペラシャフト24からアウタハウジング11aに入力されたトルクを、クラッチ機構10bを介してインナシャフト11bに出力し、かつ、ディファレンシャル26の入力軸26aに出力することができる。この結果、当該駆動力伝達装置10は、車両を前後輪が同時に駆動する四輪駆動走行状態を構成する。
当該駆動力伝達装置10においては、電磁式アクチュエータ10aを構成する各電磁コイル15に電流が印加されると、各電磁コイル15の配設部位では、ヨーク13とアーマチャ14間を循環する磁路が形成される。各電磁コイル15の配設部位に形成される磁路に起因する磁力は総合して、アーマチャ14を吸引する吸引力としてアーマチャ14に作用する。この結果、アーマチャ14は、ヨーク13側に吸引されて移動し、各第1のピストン17を油室R内の作動油に抗して第2のピストン16側に摺動する。この結果、各第1のピストン17は第2のピストン16に対して高い油圧を付与して、第2のピストン16はクラッチ機構10bをスラストベアリング18aを介して押圧し、クラッチ機構10bをアーマチャ14を吸引する吸引力に応じて結合する。
これにより、当該クラッチ機構10bは結合し、アウタハウジング11aとインナシャフト11bとをトルク伝達可能に連結する。クラッチ機構10bがこのように連結されると、プロペラシャフト24からアウタハウジング11aに入力したトルクは、インナシャフト11bからディファレンシャル26の入力軸26aに伝達され、ディファレンシャル26を介して、後輪側の各駆動軸25に伝達される。なお、各電磁コイル15に印加される電流は、車速や前後輪の差動回転数等の車両走行状態に応じて調整される。
当該駆動力伝達装置10においては、各電磁コイル15への電流の印加が停止されると、各電磁コイル15にて形成される磁路が消失して、アーマチャ14に対する吸引力が消失する。この結果、第2のピストン16に押圧力は消失し、アーマチャ14およびこれと一体の各第1のピストン17は、リターンスプリング18bの作用にて、元位置に復帰する。これにより、当該駆動力伝達装置10においては、クラッチ機構10bの結合状態を解除され、車両を前輪のみが駆動する二輪駆動走行状態を構成する。
このように、当該駆動力伝達装置10においては、電磁式アクチュエータ10aにて発生する磁力に起因するアーマチャ14に対する吸引力を、作動力倍力機構を構成する各第1のピストン17を介して作動油圧に変換して、当該作動油圧を第2のピストン16に作用させて押動させ、これにより、クラッチ機構10bを押圧して結合する構成を採っている。このため、作動力倍力機構においては、クラッチ機構10bに対する作動油圧は、各第1のピストン17と第2のピストン16の互いに対向する側の面積比に応じて増圧されて、増圧された作動油圧、換言すれば、アーマチャ14の作用力が増力されて、クラッチ機構10bに伝達されることになる。従って、当該駆動力伝達装置10を構成する作動力倍力機構は、大きな作動力を要求されるクラッチ機構10bに対する倍力手段として有効に機能する。
ところで、当該作動力倍力機構は、電磁式アクチュエータ10aの構成部材として不可欠であるヨーク13、アーマチャ14、および作動力伝達部材16を有効に活用して構成されているものであって、電磁式アクチュエータ10a内に内在した状態にある。このため、当該作動力倍力機構は、電磁式アクチュエータ10aとは別途に構成されているカム機構を主要の構成機構とする従来の作動力倍力機構に比較して、車両用駆動力伝達装置内で占める割合が小さい。このため、当該作動力倍力機構を採用すれば、車両用駆動力伝達装置の大型化を大きく抑制することができるとともに、装置の軽量化を図ることもできる。また、当該作動力倍力機構においては、倍力比を、各第1のピストン17と第2のピストン16との互いに対向する側の面積比によって設定することができるため、倍力比の設定が容易である。
なお、当該駆動力伝達装置10においては、作動力倍力機構を備えていることから、ヨーク13とアーマチャ14間のエアギャップを大きく設定しても、クラッチ機構10bの結合に要する十分な大きさの作動力を得ることができ、このため、当該駆動力伝達装置10においては、エアギャップを大きく設定することによって、当該駆動力伝達装置10のトルク伝達特性の変化を大きく抑制することができる。また、当該駆動力伝達装置10においては、当該作動力倍力機構を構成する油室Rの圧力をセンサリングすることができ、油室Rの圧力をセンサリングすることによって、トルク伝達の温度特性を向上させることができる。
また、当該駆動力伝達装置10においては、クラッチ機構10bとして、複数のアウタクラッチプレート12aとインナクラッチプレート12bを交互に有する多板式クラッチを採用して、クラッチ機構10bをクラッチハウジング内に配置するとともに、作動力伝達部材16をクラッチハウジングに臨ませてクラッチ機構10bの一側に対向させ、作動力伝達部材16とクラッチ機構10bとの間にはスラストベアリング18aを介在させ、かつ、ヨーク13とアーマチャ14との間にはアーマチャ14を元位置に復帰させるリターンスプリング18bを介在させる構成を採っている。かかる構成を採れば、作動力伝達部材16を作動させるアーマチャ14の移動動作、および、作動力伝達部材16の作動を解除させるアーマチャ14の復帰動作を的確に行うことができる。
また、当該駆動力伝達装置においては、電磁式アクチュエータ10aを構成するヨーク13に複数の電磁コイル15を支持する構成を採っているため、クラッチ機構10bに付与する作動力を一層増強することができる。また、このような作動力増強手段を採れば、クラッチ機構10bにおいては、構成する各クラッチプレート12a,12bの枚数を少なくし得て、クラッチ機構10bを小型化することができ、延いては、当該駆動力伝達装置10を小型化することができる。
本発明に係る電磁式クラッチの一実施形態を採用して構成した車両用駆動力伝達装置を示す断面図である。 同車室用駆動力伝達装置を構成するヨークの一側を概略的に示す正面図である。 同車両用駆動力伝達装置を装備する前後輪駆動車を示す概略構成図である。
符号の説明
10…車両用駆動力伝達装置、10a…電磁式アクチュエータ、10b…クラッチ機構、11a…アウタハウジング、11b…インナシャフト、12a…アウタクラッチプレート、12b…インナクラッチプレート、13…ヨーク、13a…ヨーク本体、13b…突起部、13c…貫通孔、13d…ボス部、14…アーマチャ、14a…アーマチャ本体、14b…突起部、15…電磁コイル、15a…樹脂層、16…作動部材(第2のピストン)、16a…連結ピン、17…連結ピン(第1のピストン)、R…油室、18a…スラストベアリング、18b…リターンスプリング、21…エンジン、22…トランスファ、23…駆動軸、24…プロペラシャフト、25…駆動軸、26…デファレンシャル、26a…入力軸、26b…ケース、26b1…前側ケース部、26b2…後側ケース部、26c…組付孔。

Claims (7)

  1. 互いに同軸的かつ相対回転可能に位置する内外両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、同支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の吸引作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して前記クラッチ機構に作動力を付与して、前記クラッチ機構を結合する電磁式クラッチであり、前記支持部材は、周方向に所定間隔を保持して形成された複数の貫通孔を備え、前記移動部材は、前記支持部材の各貫通孔に液密的かつ軸方向へ摺動可能に挿入される複数の連結ピンを備え、前記作動力伝達部材は、前記支持部材と前記クラッチ機構との間にて液密的かつ軸方向へ摺動可能に配設されて前記各貫通孔を前記各連結ピンとともに油室に形成し、前記支持部材、前記移動部材および前記作動力伝達部材間に、前記支持部材の各貫通孔を油室とし、前記各連結ピンを第1のピストンとし、前記作動力伝達部材を第2のピストンとする油圧式作動力倍力機構が構成されていて、前記移動部材の作動力は、前記油圧式作動力倍力機構を介して倍力して前記クラッチ機構に伝達されることを特徴とする電磁式クラッチ。
  2. 請求項1に記載の電磁式クラッチにおいて、前記油圧式作動力倍力機構の倍力比は、前記各第1のピストンと前記第2のピストンとの互いに対向する側の面積比によって設定されることを特徴とする電磁式クラッチ。
  3. 請求項1または2に記載の電磁式クラッチにおいて、前記油圧式作動力倍力機構を構成する支持部材は、周方向に所定間隔を保持して位置して前記移動部材側に突出する複数の突起部を備え、前記各突起部が電磁コイルをそれぞれ支持しているとともに、前記各突起部に前記油圧式作動力倍力機構の油室を構成する貫通孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする電磁式クラッチ。
  4. 請求項1に記載の電磁式クラッチを一構成機構とする車両用駆動力伝達装置であって、当該駆動力伝達装置は、互いに同軸的かつ回転可能に位置し一方が駆動軸側に連結されかつ他方が従動軸側に連結される内外両回転部材間に位置するクラッチ機構と、導線を巻回してなる電磁コイルを支持する支持部材と、同支持部材に対向して進退可能に位置する移動部材と、前記移動部材の移動力を作動力として前記クラッチ機構に伝達する作動力伝達部材を備え、前記電磁コイルに対する電流の印加により生じる磁力の吸引作用にて前記移動部材を前記支持部材側に移動して、前記作動力伝達部材を介して前記クラッチ機構に作動力を付与して前記クラッチ機構を結合し、前記両回転部材を介して前記駆動軸と前記従動軸とを互いにトルク伝達可能に連結する車両用駆動力伝達装置であり、前記支持部材は、周方向に所定間隔を保持して形成された複数の貫通孔を備え、前記移動部材は、前記支持部材の各貫通孔に液密的かつ軸方向へ摺動可能に挿入される複数の連結ピンを備え、前記作動力伝達部材は、前記支持部材と前記クラッチ機構との間にて液密的かつ軸方向へ摺動可能に配設されて前記各貫通孔を前記各連結ピンとともに油室に形成し、前記支持部材、前記移動部材および前記作動力伝達部材間に、前記支持部材の各貫通孔を油室とし、前記各連結ピンを第1のピストンとし、前記作動力伝達部材を第2のピストンとする油圧式作動力倍力機構が構成されていて、前記移動部材の作動力は、前記油圧式作動力倍力機構を介して倍力して前記クラッチ機構に伝達さえることを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
  5. 請求項4に記載の車両用駆動力伝達装置において、前記油圧式作動力倍力機構を構成する支持部材と移動部材間には同移動部材を元位置に復帰させるためのリターンスプリングが介在し、かつ、前記支持部材と前記クラッチ機構の一側間にはスラストベアリングが介在していることを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
  6. 請求項4または5に記載の車両用駆動力伝達装置において、前記油圧式作動力倍力機構の倍力比は、前記各第1のピストンと前記第2のピストンとの互いに対向する側の面積比によって設定されることを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
  7. 請求項4〜6のいずれか一項に記載の車両用駆動力伝達装置において、前記油圧式作動力倍力機構を構成する支持部材は、周方向に所定間隔を保持して位置して前記移動部材側に突出する複数の突起部を備え、前記各突起部が電磁コイルをそれぞれ支持しているとともに、前記各突起部に前記油圧式作動力倍力機構の油室を構成する貫通孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする車両用駆動力伝達装置。
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