JP2000110851A - 電磁力作動式動作機構の磁路面積調整方法および電磁クラッチ - Google Patents

電磁力作動式動作機構の磁路面積調整方法および電磁クラッチ

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JP2000110851A JP10282893A JP28289398A JP2000110851A JP 2000110851 A JP2000110851 A JP 2000110851A JP 10282893 A JP10282893 A JP 10282893A JP 28289398 A JP28289398 A JP 28289398A JP 2000110851 A JP2000110851 A JP 2000110851A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁クラッチをパイロットクラッチ機構10d
(電磁力作動式動作機構)とする駆動力伝達装置におい
て、パイロットクラッチ機構10dで生じる磁路の磁束
密度を調整可能として、トルク伝達特性を容易に調整し
得るようにする。 【解決手段】パイロットクラッチ機構10dを構成する
電磁石13を支持する支持部材16に環状凹所16aを
形成して磁路面積を調整することにより、磁束密度を調
整してトルク伝達特性を所定の値に設定し、かつ所望の
値に容易に変更し得るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁力作動式動作
機構の磁路面積調整方法、および同磁路面積調整方法に
て磁路面積を調整された電磁クラッチに関するもので、
当該電磁クラッチは、例えば、通電により作動して摩擦
係合する電磁式のパイロットクラッチ機構に構成され、
車両の駆動軸と従動軸間等両回転部材間のトルク伝達を
行う駆動力伝達装置を構成する。
【0002】
【従来の技術】駆動力伝達装置の一形式として、実開平
5−12763号公報に示されているように、互いに同
軸的かつ相対回転可能に位置する内外両回転部材間に配
設されて摩擦係合によりこれら両回転部材間のトルク伝
達を行うメインクラッチ機構と、通電により作動して摩
擦係合する電磁式のパイロットクラッチ機構と、前記メ
インクラッチ機構と前記パイロットクラッチ機構間に位
置し同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記メイ
ンクラッチ機構に対する押圧力に変換するカム機構を備
えた駆動力伝達装置がある。
【0003】当該駆動力伝達装置においては、パイロッ
トクラッチ機構は電磁クラッチにて構成されており、電
磁クラッチを構成する電磁石の電磁コイルに通電すると
により磁路が形成されて、磁気誘導作用によりパイロッ
トクラッチ機構が作動してメインクラッチ機構を作動さ
せ、両回転部材間でトルク伝達がされるように構成され
ている。
【0004】ところで、当該形式の駆動力伝達装置にお
いて、両回転部材間でのトルク伝達特性は、パイロット
クラッチ機構に生じる磁路の磁束密度に関係するが、磁
束密度は、パイロットクラッチ機構を構成する構成部
材、メインクラッチ機構を構成する構成部材、およびカ
ム機構を構成する構成部材等、多くの構成部材の寸法精
度、および組付精度に大きく影響され、構成部材の寸法
精度、および組付精度が駆動力伝達装置のトルク伝達特
性にバラツキを生じさせる大きな原因となっている。
【0005】これに対処すべく、上記公報にて示されて
いる駆動力伝達装置においては、パイロットクラッチ機
構を構成する電磁石の支持部材とハウジング間に、最適
な厚みのシムを介在させ、これにより、電磁石と磁路形
成部材のエアギャップを調整して磁路の磁束密度を設定
した値に調整し、トルク伝達特性を安定化させる手段を
採っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな調整手段を採る場合には、予め厚みの異なる多数の
シムを用意しなければならず、また電磁石と磁路形成部
材のエアギャップを精度よく調整するには、幾種類もの
シムを交換して組付ける面倒な作業が必要である。
【0007】その上、かかる調整作業では、駆動力伝達
装置を一旦組立てた状態で駆動力伝達装置のトルク伝達
特性の性能検査を行って、この性能検査の結果に基づい
て駆動力伝達装置の一部を分解してシムの交換、組付け
作業を行い、駆動力伝達装置を再度組立てた状態でその
後の性能検査を行って、設定された性能が得られている
か否かを確認するという一連の作業を、設定された性能
が得られるまで繰り返しなされることになる。このよう
な調整作業は極めて面倒である。
【0008】従って、本発明はこれらの問題に対処すべ
くなされたものであり、その主たる目的は、当該駆動力
伝達装置、当該駆動力伝達装置等を構成する電磁石、当
該電磁石を包含する電磁力作動式動作機構における磁路
面積を、面倒な調整作業を要することなく設定された値
に容易に調整することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、電磁石を備え
た電磁力作動式動作機構の磁路面積を調整するための磁
路面積調整方法であって、前記動作機構における磁路を
形成する部材の切削量を変更することにより、磁路面積
を調整することを特徴とするものである。
【0010】本発明に係る磁路面積調整方法において、
前記電磁力作動式動作機構は、好適には電磁石を備えた
電磁クラッチである。当該電磁クラッチは、摩擦クラッ
チと、同摩擦クラッチの一側に位置する磁路形成部材
と、同磁路形成部材に組付けられて同磁路形成部材とと
もに磁路を形成する支持部材に支持された電磁石と、前
記摩擦クラッチの他側に位置し前記電磁石の吸引作用に
より移動して前記摩擦クラッチを摩擦係合させるアーマ
チャを備えた構成とすることができる。
【0011】また、本発明は電磁クラッチに関し、特
に、摩擦クラッチと、同摩擦クラッチの一側に位置する
磁路形成部材と、同磁路形成部材に組付けた支持部材に
支持された電磁石と、前記摩擦クラッチの他側に位置し
前記電磁石の吸引作用により移動して前記摩擦クラッチ
を摩擦係合させるアーマチャを備えている形式の電磁ク
ラッチを適用対象とするものである。
【0012】しかして、本発明に係る電磁クラッチは、
前記支持部材に、前記磁路形成部材に形成される磁路の
磁路面積を所定値に設定する凹所を設けたことを特徴と
するものである。前記支持部材の凹所は、環状凹所、ま
たは、1もしくは複数の独立した孔である。
【0013】本発明に係る電磁クラッチは、通電により
作動して摩擦係合する電磁式のパイロットクラッチ機構
に構成され、互いに同軸的かつ相対回転可能に位置する
内外両回転部材間に配設されて摩擦係合によりこれら両
回転部材間のトルク伝達を行うメインクラッチ機構と、
同メインクラッチ機構と前記パイロットクラッチ機構間
に位置し同パイロットクラッチ機構の摩擦係合力を前記
メインクラッチ機構に対する押圧力に変換するカム機構
とにより駆動力伝達装置を構成することができる。
【0014】これらの電磁クラッチおよび駆動力伝達装
置においては、前記支持部材の凹所を、当該電磁クラッ
チにおける前記摩擦クラッチの電流値に対する摩擦係合
特性、または当該駆動力伝達装置を構成する前記メイン
クラッチ機構における電流値に対するトルク伝達特性を
基準に形成することが好ましい。
【0015】また、当該電磁クラッチにおいては、予
め、前記摩擦クラッチの電流値に対する摩擦係合特性値
の設定範囲の中央値より高い値を中央値として構成され
ていること、また、当該駆動力伝達装置においては、予
め、前記メインクラッチ機構における電流値に対するト
ルク伝達特性値の設定範囲の中央値より高い値を中央値
として構成されていることが好ましい。これらの電磁ク
ラッチおよび駆動力伝達装置においては、組立て後の後
加工にて凹所が形成される。
【0016】
【発明の作用・効果】本発明に係る磁路面積調整方法に
よれば、動作機構における磁路を形成する部材の切削量
を変更することにより磁路面積を調整する手段を採るも
のであり、これにより、磁路を形成する部材における磁
束密度が設定された範囲の値となって、動作機構の動作
特性を、面倒な調整作業を要することなく、設定された
範囲の値とすることができる。
【0017】本発明に係る磁路面積調整方法は電磁クラ
ッチに適用することができ、電磁クラッチにおいては、
電磁石を支持する支持部材に、磁路形成部材に形成され
る磁路の磁路面積を所定値に設定するための凹所を備え
た構成とする。これにより、磁路形成部材での磁束密度
が設定された範囲の値となって、電磁石のアーマチャに
対する吸引力が設定された範囲の値となり、摩擦クラッ
チの摩擦係合特性が設定された範囲の値となる。
【0018】また、当該電磁クラッチをパイロットクラ
ッチ機構として採用してなる駆動力伝達装置において
は、電磁クラッチを構成する構成部材、メインクラッチ
機構を構成する構成部材、およびカム機構を構成する構
成部材等、多くの構成部材の寸法精度、および組付精度
の如何に関わらず、トルク伝達特性が設定された範囲の
値となる。
【0019】しかして、本発明に係る電磁クラッチを構
成する支持部材の凹所は、電磁クラッチ、または電磁ク
ラッチをパイロットクラッチ機構とする駆動力伝達装置
を組立てた状態で、適宜の工具により容易に形成し、か
つ調整することができるため、面倒な調整作業を要する
ことなく、電磁クラッチの摩擦係合特性、駆動力伝達装
置のトルク伝達特性を所望の値に容易に設定することが
できる。この場合、支持部材の凹所は環状凹所、1また
は複数の凹孔とすることができる。
【0020】この調整作業においては、電磁クラッチを
組立てた状態で、前記摩擦クラッチの電流値に対する摩
擦係合特性を基準に凹所を形成して、摩擦クラッチの摩
擦係合特性を設定することができるため、調整作業中に
おいて電磁クラッチの分解、再組立てが不要であり、調
整作業を容易かつ短時間に行うことができる。かかる調
整作業の利点は、当該電磁クラッチをパイロットクラッ
チ機構とする駆動力伝達装置においても全く同様であ
り、駆動力伝達装置を組立てた状態で、メインクラッチ
の電流値に対するトルク伝達特性を基準に凹所を形成し
て、駆動力伝達装置のトルク伝達特性を設定することが
できる。
【0021】この調整作業を採用する場合には、これら
の電磁クラッチおよび駆動力伝達装置は、当該電磁クラ
ッチにおいては、予め、摩擦クラッチの電流値に対する
摩擦係合特性値の設定範囲の中央値より高い値を中央値
として構成されていること、当該駆動力伝達装置におい
ては、予め、メインクラッチ機構における電流値に対す
るトルク伝達特性値の設定範囲の中央値より高い値を中
央値として構成されていることが好ましく、これによ
り、支持部材に凹所を形成することに起因する、摩擦係
合特性が設定範囲を下回る電磁クラッチの発生率、トル
ク伝達特性が設定範囲を下回る駆動力伝達装置の発生率
を低減し、または皆無にすることが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下本発明を図面に基づいて説明
すると、図1には、本発明の一例に係る電磁力作動式動
作機構である電磁クラッチをパイロットクラッチ機構と
する駆動力伝達装置が示されている。当該駆動力伝達装
置10は、図3に示すように、四輪駆動車における後輪
側への駆動力伝達経路に配設される。
【0023】当該四輪駆動車において、トランスアクス
ル21はトランスミッションとトランスファを一体に備
えているもので、エンジン22の駆動力をフロントデフ
ァレンシャル23を介して両アクスルシャフト24aに
出力して前輪24bを駆動させるとともに、第1プロペ
ラシャフト25に出力する。第1プロペラシャフト25
は、駆動力伝達装置10を介して第2プロペラシャフト
26に連結しており、これら両プロペラシャフト25,
26がトルク伝達可能に連結された場合には、駆動力は
リアデファレンシャル27に伝達され、同デファレンシ
ャル27から両アクスルシャフト28aへ出力されて両
後輪28bを駆動させる。
【0024】しかして、駆動力伝達装置10は、図1に
示すように、外側回転部材であるアウタハウジング10
a、内側回転部材であるインナシャフト10b、メイン
クラッチ機構10c、パイロットクラッチ機構10d、
およびカム機構10eを備えている。
【0025】アウタハウジング10aは、有底筒状のケ
ーシング11aとカバー体11bとからなるもので、ケ
ーシング11aはアルミ合金等の非磁性材料にて形成さ
れている。また、カバー体11bは、ケーシング11a
の開口部に螺着されて同開口部を液密的に覆蓋するもの
で、カバー体11bは鉄にて形成されていて、径方向の
中間部には、筒状のステンレス製の非磁性体が埋設され
ており、非磁性体はカバー体11bの所定の部位に非磁
性部位11b2を形成している。ケーシング11aの先
端部には、第1プロペラシャフト25の後端部がトルク
伝達可能に連結される。
【0026】インナシャフト10bは、カバー体11b
の中央部を液密的に貫通してアウタハウジング10a内
に挿入されていて、軸方向の移動を規制された状態でケ
ーシング11aとカバー体11bに回転可能に支持され
ている。インナシャフト10bには、第2プロペラシャ
フト26の先端部が挿入されて、両者10b,26は互
いにトルク伝達可能に連結される。
【0027】メインクラッチ機構10cは、湿式多板式
の摩擦クラッチであって多数のクラッチプレート(イン
ナクラッチプレート12a、アウタクラッチプレート1
2b)を備えていて、ケーシング11aの奥壁側に配設
されている。摩擦クラッチを構成する各インナクラッチ
プレート12aは、インナシャフト10bの外周にスプ
ライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられ、かつ、
各アウタクラッチプレート12bは、アウタハウジング
10aのケーシング11aの内周にスプライン嵌合して
軸方向へ移動可能に組付けられている。各インナクラッ
チプレート12aと各アウタクラッチプレート12bと
は交互に位置して、互いに当接して摩擦係合するととも
に、互いに離間して自由状態になる。
【0028】パイロットクラッチ機構10dは、図1お
よび図2に示すように、電磁石13、摩擦クラッチ1
4、およびアーマチャ15を備えている。電磁石13は
環状を呈しているもので、支持部材16に嵌着された状
態でカバー体11bの環状凹所11b1に嵌合されて、
回転可能に組付けられている。従って、カバー体11b
は、本発明における磁路形成部材を構成し、また、支持
部材16はヨークを構成している。
【0029】摩擦クラッチ14は、複数のクラッチプレ
ート(インナクラッチプレート14a,アウタクラッチ
プレート14b)からなり、各インナクラッチプレート
14aは、後述するカム機構10eを構成する第1カム
部材17aの外周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可
能に組付けられ、かつ、各アウタクラッチプレート14
bは、アウタハウジング10aのケーシング11aの内
周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられ
ている。各インナクラッチプレート14aと各アウタク
ラッチプレート14bとは交互に位置して、互いに当接
して摩擦係合するとともに、互いに離間して自由状態に
なる。
【0030】各インナクラッチプレート14aおよび各
アウタクラッチプレート14bには、周方向に延びる長
孔14a1,14b1が、周方向に所定間隔を保持して複
数形成されている。各インナクラッチプレート14aの
長孔14a1と、各アウタクラッチプレート14bの長
孔14b1は互いに対向し得る部位に位置し、かつ各イ
ンナクラッチプレート14aは互いの長孔14a1同士
を対向させて、かつ各アウタクラッチプレート14bは
互いの長孔14b1同士を対向させて組付けられてい
る。また、長孔14a1,14b1は、カバー体11bの
非磁性部位11b2の先端面に対向し得る位置にある。
【0031】アーマチャ15は環状を呈するもので、ア
ウタハウジング10aのケーシング11aの内周にスプ
ライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられていて、
摩擦クラッチ14の他側に位置して対向している。
【0032】カム機構10eは、メインクラッチ機構1
0cとパイロットクラッチ機構10dとの間に配設され
ているもので、第1カム部材17a、第2カム部材17
b、および複数のカムフォロアー17cを備えている。
第1カム部材17aおよび第2カム部材17bは、図1
および図2に示すように、周方向に所定間隔を保持して
形成されて互いに対向する複数のカム溝を備えている。
【0033】第1カム部材17aは、図1および図2に
示すように、インナシャフト10bの外周に回転可能に
嵌合されて、カバー体11bに回転可能に支承されてお
り、その外周に摩擦クラッチ14の各インナクラッチプ
レート14aがスプライン嵌合している。第2カム部材
17bは、インナシャフト10bの外周にスプライン嵌
合されて一体回転可能に組付けられていて、メインクラ
ッチ機構10cとアーマチャ15との間に位置してい
る。各カムフォロアー17cは、両カム部材17a,1
7bの互いに対向するカム溝間に介在している。
【0034】しかして、電磁石13を支持する支持部材
16には、環状凹所16aが形成されている。環状凹所
16aは、当該駆動力伝達装置が組立てられた状態で、
同駆動力伝達装置を回転させながら後端側から工具を適
量前進させることにより形成されていて、カバー体11
bにて形成される磁路の磁路面積を規定すべく機能す
る。環状凹所16aは、メインクラッチ機構10cの電
流値に対するトルク伝達特性を基準に形成されていて、
当該駆動力伝達装置10のトルク伝達特性を設定された
所定の範囲に特定する。
【0035】支持部材16における環状凹所16aの形
成作業に当たっては、予め、パイロットクラッチ機構1
0dはその摩擦クラッチ14の電流値に対する摩擦係合
特性値の設定範囲の中央値より高い値を中央値として構
成されており、また、これに起因して、当該駆動力伝達
装置におけるメインクラッチ機構10cにおける電流値
に対するトルク伝達特性値の設定範囲の中央値より高い
値を中央値として構成されている。従って、当該駆動力
伝達装置10において、支持部材16に環状凹所16a
を形成することにより、メインクラッチ機構10cにお
ける電流値に対するトルク伝達特性値が、環状凹所16
aの大きさに応じて漸次低下する方向に調整される。
【0036】かかる構成の駆動力伝達装置10において
は、パイロットクラッチ機構10dを構成する電磁石1
3の電磁コイルへの通電がなされていない場合には磁路
は形成されず、摩擦クラッチ14は非係合状態にある。
このため、パイロットクラッチ機構10dは非作動の状
態にあって、カム機構10eを構成する第1カム部材1
7aは、カムフォロアー17cを介して第2カム部材1
7bと一体回転可能であり、メインクラッチ機構10c
は非作動の状態にある。このため、車両は二輪駆動の駆
動モードを構成する。
【0037】一方、電磁石13の電磁コイルへ通電され
ると、パイロットクラッチ機構10dには磁路が形成さ
れて、電磁石13はアーマチャ15を吸引する。このた
め、アーマチャ15は摩擦クラッチ14を押圧して摩擦
係合させ、カム機構10eの第1カム部材17aをアウ
タハウジング10a側へ連結させて、第2カム部材17
bとの間に相対回転を生じさせる。この結果、カム機構
10eでは、カムフォロアー17cが両カム部材17
a,17bを互いに離間する方向へ押圧し、第2カム部
材17bをメインクラッチ機構10c側へ押動する。こ
の結果、メインクラッチ機構10cは摩擦クラッチ14
の摩擦係合力に応じて摩擦係合して、アウタハウジング
10aとインナシャフト10b間のトルク伝達を行う。
このため、車両は両プロペラシャフト25,26が二輪
駆動の結合状態でリアルタイムの四輪駆動の駆動モード
を構成する。
【0038】また、電磁石13の電磁コイルへの印加電
流を所定の値に高めると、アーマチャ15は強く吸引さ
れて摩擦クラッチ14の摩擦係合力を増大させ、両カム
部材17a,17b間の相対回転を増大させる。この結
果、カムフォロアー17cは、第2カム部材17bに対
する押圧力を高めてメインクラッチ機構10cを結合状
態とする。このため、車両は両プロペラシャフト25,
26が直結した四輪駆動の駆動モードを構成する。
【0039】ところで、当該駆動力伝達装置10におい
ては、パイロットクラッチ機構10dを構成する支持部
材16に環状凹所16aを形成して、カバー体11bに
形成される磁路の磁路面積を所定値に設定する調整手段
を施している。すなわち、磁路面積は、支持部材16に
おける環状凹所16aの大きさtを除く部位に比例する
もので、環状凹所16aの大きさtを調整することによ
り磁路面積を調整することができる。このため、カバー
体11bでの磁束密度が設定された範囲の値となって、
電磁石13のアーマチャ15に対する吸引力が設定され
た範囲の値となり、摩擦クラッチ14の摩擦係合特性が
設定された範囲の値となる。
【0040】また、環状凹所16aは、駆動力伝達装置
10を組立てた状態で、メインクラッチ機構10cの電
流値に対するトルク伝達特性を基準に形成しているた
め、パイロットクラッチ機構10dを構成する構成部
材、メインクラッチ機構10cを構成する構成部材、お
よびカム機構10dを構成する構成部材等、多くの構成
部材の寸法精度、および組付精度の如何に関わらず、ト
ルク伝達特性が設定された範囲の値となる。
【0041】しかして、当該駆動力伝達装置10におい
ては、電磁石13を支持する支持部材16の環状凹所1
6aは、駆動力伝達装置を組立てた状態で適宜の治具に
より容易に形成することができるとともに、その大きさ
を調整することができる。このため、面倒な調整作業を
要することなく、当該駆動力伝達装置10のトルク伝達
特性を所望の値に容易に設定することができる。
【0042】また、環状凹所16aの形成作業に当たっ
ては、予め、パイロットクラッチ機構10dはその摩擦
クラッチ14の電流値に対する摩擦係合特性値の設定範
囲の中央値より高い値を中央値として構成されており、
また、これに起因して、駆動力伝達装置10はそのメイ
ンクラッチ機構10cにおける電流値に対するトルク伝
達特性値の設定範囲の中央値より高い値を中央値として
構成されている。
【0043】従って、当該駆動力伝達装置10におい
て、支持部材16に環状凹所16aを形成することによ
り、メインクラッチ機構10cにおける電流値に対する
トルク伝達特性値が、環状凹所16aの大きさに応じて
漸次低下する方向に調整される。このため、支持部材1
6に環状凹所16aを形成することに起因する、トルク
伝達特性が設定範囲を下回る駆動力伝達装置の発生率を
低減し、または皆無にすることができる。
【0044】図4は、当該駆動力伝達装置10における
パイロットクラッチ機構10dの電磁石13の電磁コイ
ルに付与される電流値と伝達トルクの関係を示すグラフ
であり、同グラフにおいて、2点鎖線で示す範囲L1
は、駆動力伝達装置10における環状凹所16aの形成
前の伝達トルク特性値、実線で示す範囲L2は、駆動力
伝達装置10における環状凹所16aの形成後の伝達ト
ルク特性値である。
【0045】当該駆動力伝達装置10においては、2点
鎖線で示す範囲L1の伝達トルク特性値を有する駆動力
伝達装置において、支持部材16に環状凹所16aを形
成してその大きさを調整するものであり、かかる環状凹
所16aの形成により、実線で示す範囲L2の伝達トル
ク特性を有する駆動力伝達装置10を構成することがで
き、これにより、トルク伝達特性が設定範囲を下回る駆
動力伝達装置の発生率を低減し、または皆無にすること
ができるものである。
【0046】なお、当該駆動力伝達装置においては、パ
イロットクラッチ機構10dを構成する支持部材16に
環状凹所16aを形成した例を示しているが、環状凹所
16aに換えて1または複数の凹孔を形成するようにし
てもよい。この場合、凹孔は、ドリル加工等により容易
に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係る電磁クラッチをパイロット
クラッチ機構とする駆動力伝達装置の断面図である。
【図2】同駆動力伝達装置の部分拡大断面図である。
【図3】同駆動力伝達装置を搭載した車両の概略説明図
である。
【図4】同駆動力伝達装置における伝達トルクと電流値
の関係を示すグラフで
【符号の説明】
10…駆動力伝達装置、10a…アウタハウジング、1
0b…インナシャフト、10c…メインクラッチ機構、
10d…パイロットクラッチ機構、10e…カム機構、
11a…ケーシング、11b…カバー体、11b1…環
状凹所、11b2…非磁性部位、12a…インナクラッ
チプレート、12b…アウタクラッチプレート、13…
電磁石、13a…支持部材、14…摩擦クラッチ、14
a…インナクラッチプレート、14b…アウタクラッチ
プレート、14a1,14b1…長孔、15…アーマチ
ャ、16…支持部材、16a…環状凹所、17a…第1
カム部材、17b…第2カム部材、17c…カムフォロ
アー、21…トランスアクスル、22…エンジン、23
…フロントデファレンシャル、24a…アクスルシャフ
ト、24b…前輪、25…第1プロペラシャフト、26
…第2プロペラシャフト、27…リアデファレンシャ
ル、28a…アクスルシャフト、28b…後輪。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 邦彦 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 鈴木 浩一 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 池田 暁彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3D042 AA05 AB17 BE01 3D043 AA05 AB17 EA02 EA18 EB13 EF09 EF19 3J057 AA01 AA09 BB04 FF17 GA74 GB21 GE20 HH01 JJ05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電磁石を備えた電磁力作動式動作機構の磁
    路面積を調整するための磁路面積調整方法であり、前記
    動作機構における磁路を形成する部材の切削量を変更す
    ることにより、磁路面積を調整することを特徴とする電
    磁力作動式動作機構の磁路面積調整方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の磁路面積調整方法におい
    て、前記電磁力作動式動作機構は電磁石を備えた電磁ク
    ラッチであることを特徴とする電磁力作動式動作機構の
    磁路面積調整方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の電磁クラッチは、摩擦ク
    ラッチと、同摩擦クラッチの一側に位置する磁路形成部
    材と、同磁路形成部材に組付けられて同磁路形成部材と
    ともに磁路を形成する支持部材に支持された電磁石と、
    前記摩擦クラッチの他側に位置し前記電磁石の吸引作用
    により移動して前記摩擦クラッチを摩擦係合させるアー
    マチャを備えていることを特徴とする電磁力作動式動作
    機構の磁路面積調整方法。
  4. 【請求項4】摩擦クラッチと、同摩擦クラッチの一側に
    位置する磁路形成部材と、同磁路形成部材に組付けた支
    持部材に支持された電磁石と、前記摩擦クラッチの他側
    に位置し前記電磁石の吸引作用により移動して前記摩擦
    クラッチを摩擦係合させるアーマチャを備えている電磁
    クラッチであり、前記支持部材は前記磁路形成部材に形
    成される磁路の磁路面積を所定値に設定する凹所を備え
    ていることを特徴とする電磁クラッチ。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の電磁クラッチにおいて、
    前記支持部材の凹所は、環状凹所、または、1もしくは
    複数の独立した孔であることを特徴とする電磁クラッ
    チ。
  6. 【請求項6】請求項4または5に記載の電磁クラッチ
    は、通電により作動して摩擦係合する電磁式のパイロッ
    トクラッチ機構に構成され、互いに同軸的かつ相対回転
    可能に位置する内外両回転部材間に配設されて摩擦係合
    によりこれら両回転部材間のトルク伝達を行うメインク
    ラッチ機構と、同メインクラッチ機構と前記パイロット
    クラッチ機構間に位置し同パイロットクラッチ機構の摩
    擦係合力を前記メインクラッチ機構に対する押圧力に変
    換するカム機構とにより駆動力伝達装置を構成している
    ことを特徴とする電磁クラッチ。
  7. 【請求項7】請求項4,5または6に記載の電磁クラッ
    チにおいて、前記支持部材の凹所は、当該電磁クラッチ
    における前記摩擦クラッチの電流値に対する摩擦係合特
    性、または前記駆動力伝達装置を構成する前記メインク
    ラッチ機構における電流値に対するトルク伝達特性を基
    準に形成されていることを特徴とする電磁クラッチ。
  8. 【請求項8】請求項4,5,6または7に記載の電磁ク
    ラッチにおいて、当該電磁クラッチは、予め、前記摩擦
    クラッチの電流値に対する摩擦係合特性値、または前記
    駆動力伝達装置を構成する前記メインクラッチ機構にお
    ける電流値に対するトルク伝達特性値の設定範囲の中央
    値より高い値を中央値として構成されていて、前記凹所
    は後加工にて形成されていることを特徴とする電磁クラ
    ッチ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002192968A (ja) * 2000-12-28 2002-07-10 Unisia Jecs Corp 動力伝達装置
US6607061B2 (en) * 2001-01-31 2003-08-19 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Electromagnetic clutch control system

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