JP3659049B2 - 電磁石のリード線取出構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁クラッチ等を構成する電磁石の電磁コイルからのリード線取出構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁クラッチの一形式として、実開平7−14229号公報に示されているように、アーマチャを一側に配置した摩擦クラッチの他側に電磁石をヨークに支持した状態で配置して構成される電磁クラッチがある。
【0003】
当該形式の電磁クラッチを各種の機器類のアクチュエータとして採用する場合、例えば上記した公報に示されているように駆動力伝達装置のパイロットクラッチ機構として採用する場合には、摩擦クラッチやアーマチャは回転部材(回転ケース)内に配設されるとともに、電磁石は同回転部材に回転可能に支持された状態で固定側部材(固定ケース)に固定的に支持される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種形式の電磁クラッチにおいては、電磁石を構成する電磁コイルを外部電源に接続するためのリード線が固定ケース内にて各構成部材を迂回して同固定ケースに設けた貫通孔から外部へ延出されているが、リード線は、電磁クラッチや同電磁クラッチを構成部品とする駆動力伝達装置の各構成部材の寸法精度、組付精度等の関係で、固定ケース内に存在している部位の長さが長短不定となる。リード線の固定ケース内に存在している部位が必要以上に長い場合には、固定ケース内でのリード線の弛みが大きくて、振動等により回転ケース等、可動部材と干渉して損傷し易い。また、リード線の固定ケース内に存在している部位が短い場合には、固定ケース内でのリード線の緊張状態が大きくて固定ケース内の各構成部材と常時接触状態にあって損傷し易く、かつ、リード線を固定ケースの貫通孔にて支持するプラグが同貫通孔から脱落し易い。
【0005】
このため、上記した公報に示された電磁クラッチにおいては、リード線を固定ケース内にて回転ケースおよび電磁石と接触しない状態に保持する特別の保持部材を電磁石のヨークに設ける手段を採用して、電磁石を固定ケース内にて回止めするとともに、リード線が固定ケース内にて弛みの大きい余裕のある状態で組付けて、弛緩状態にあるリード線を保持部材にて保持して、回転ケースおよび電磁石に対しては非接触状態とすることにより、リード線が長短いずれの状態でも生じる上記した各問題を解消している。
【0006】
しかしながら、このような特別の保持部材を採用する場合には、電磁クラッチや同電磁クラッチを構成部品とする駆動力伝達装置の構成部材の数が増大し、これに起因して、構造が複雑になるとともに重量が増大する。また、電磁クラッチの固定ケース内への組付けには、電磁クラッチをシャフト上に組付けて、固定ケース内にてリード線を取回して固定ケースに取付けるが、リード線の取回しには電磁クラッチ自体が邪魔になるとともに、電磁クラッチと固定ケースの位置決め作業が面倒であり、組付性が悪くなる等といった問題がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、この種形式の電磁クラッチ、および同電磁クラッチを構成部品とする駆動力伝達装置において、上記した各問題を解決することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、駆動力伝達装置を構成する相対回転可能な内外両回転部材間に同軸的に配設されて通電により発生するトルクにてメインクラッチ機構を作動して前記両回転部材間でトルク伝達を行わせる電磁式パイロット機構を構成する電磁石のリード線取出構造であり、当該電磁石は、電磁コイルを外部電源に接続するためのリード線を備えて合成樹脂体に埋設された状態でヨークに支持されており、前記合成樹脂体は、前記外側回転部材の一端開口部から外部へ軸方向および径方向に延びて当該駆動力伝達装置を収容して支持するディファレンシャルキャリアの取出孔の近傍にて同取出孔に対向する導出孔を備え、前記リード線は、前記導出孔内を通って同導出孔の先端に嵌合したシール性の弾性体を液密的に貫通して前記取出孔の近傍に導出されていることを特徴とするものである。当該電磁石は電磁クラッチの電磁石として採用することが好ましく、当該電磁石は前記ヨークに支持されて、アーマチャを一側に配設した摩擦クラッチの他側に配置されて電磁クラッチを構成する。
【0010】
【発明の作用・効果】
本発明に係る電磁石のリード線取出構造においては、電磁コイルを外部電源に接続するためのリード線は、電磁コイルを埋設する合成樹脂体から導出される構造であるため、合成樹脂体から導出されたリード線はディファレンシャルキャリア内にて各構成部材を迂回させることなく直接外部へ取出すことができる。このため、リード線はこの取出し状態においては、ディファレンシャルキャリア内の各構成部材とは干渉することがない。また、リード線は振動等を受けても各構成部材とは干渉することがなく、このため、各構成部材との干渉に起因する損傷や、緊張に起因する損傷が生じることはなく、かつ、リード線の緊張に起因する固定部材側の貫通孔を閉塞するプラグの脱落も防止される。
【0011】
しかして、本発明に係るリード線取出構造によれば、リード線は合成樹脂体に設けた導出孔に嵌合した弾性体を通して合成樹脂体から導出されていることから、リード線は硬い合成樹脂体と直接接触するようなことがなくて、リード線に合成樹脂体との接触による断線が生じるようなことはない。この場合、弾性体に合成樹脂体およびリード線に対するシール機能を付与しておけば、電磁コイルのリード線に対する接続端子のシール性を確保することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面に基づいて説明すると、図1には本発明の一例に係るリード線取出構造を採用した電磁クラッチをパイロットクラッチ機構とする駆動力伝達装置の一例が示されている。当該駆動力伝達装置10は、図6に示すように、リアルタイム式の四輪駆動車における後輪側への駆動力伝達経路に配設される。
【0013】
当該車両において、トランスアクスル21はトランスミッションおよびトランスファを備えていて、エンジン22の駆動力をトランスファを介して両アクスルシャフト23aに出力して両前輪23bを駆動させるとともに、プロペラシャフト24に出力する。プロペラシャフト24は、駆動力伝達装置10を介してリヤディファレンシャル25に連結しており、プロペラシャフト24とリヤディファレンシャル25がトルク伝達可能に連結された場合には、駆動力はリヤディファレンシャル25から両アクスルシャフト26aへ出力されて両後輪26bを駆動させる。
【0014】
駆動力伝達装置10は、リヤディファレンシャル25とともにディファレンシャルキャリア27内に収容されているもので、図1に示すように、外側回転部材であるアウタハウジング10a、内側回転部材であるインナシャフト10b、摩擦クラッチであるメインクラッチ機構10c、押圧力発生手段10d、パイロットクラッチ機構10e、およびカム機構10fを備えている。
【0015】
アウタハウジング10aは、有底の筒状のケーシング11aと、ケーシング11aの後端開口部に螺着されて同開口部を覆蓋するカバー体11bからなるもので、インナシャフト10bはカバー体11bの中央部を液密的に貫通してケーシング11a内に延びていて、軸方向の移動を規制された状態で回転可能に支持されている。アウタハウジング10aにおけるケーシング11aの前端部には、プロペラシャフト24がトルク伝達可能に連結され、かつインナシャフト10bには、リヤディファレンシャル25のリングギヤに噛合するドライブピニオン28がトルク伝達可能に連結される。
【0016】
メインクラッチ機構10cは、多数枚のインナクラッチプレート12aとアウタクラッチプレート12bを備えた湿式多板の摩擦クラッチで、各インナクラッチプレート12aはインナシャフト10bの外周側にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられ、かつ各アウタクラッチプレート12bはケーシング11aの内周側にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられている。各インナクラッチプレート12aと各アウタクラッチプレート12bとは交互に位置していて、互いに当接して摩擦係合するとともに互いに離間して自由状態となる。
【0017】
押圧力発生手段10dは、作動ピストン13、ロータ14、および流体室Rに封入された粘性流体からなるもので、作動ピストン13はアウタハウジング10a内にて、インナシャフト10bの外周に液密的に回転可能で軸方向へ移動可能に組付けられ、かつケーシング11aに対しては液密的に一体回転可能で軸方向へ移動可能に組付けられている。作動ピストン13は、この状態でケーシング11aの前壁の内側面に設けた凹所を流体室Rに形成している。ロータ14は、径方向へ延びる複数のベーン部14aを有するもので、インナシャフト10bの外周に固定された状態で流体室Rに収容されている。各ベーン部14aは流体室Rを2つの滞留室に区画していて、各滞留室には高粘性の粘性流体が封入されている。
【0018】
パイロットクラッチ機構10eは、摩擦クラッチ15a、摩擦クラッチ15aの一側に配置されたアーマチャ15b、摩擦クラッチ15bの他側に位置する電磁石16、電磁石16に接続されたリード線15cを備え、電磁石16の電磁コイルに通電された際には、電磁石16は磁力の作用にてアーマチャ15bを吸引して摩擦クラッチ15aを摩擦係合させる。
【0019】
摩擦クラッチ15aは、複数枚のインナクラッチプレートとアウタクラッチプレートを備えた湿式多板の摩擦クラッチで、各インナクラッチプレートは後述するカム機構10fを構成する第2カム部材17bの外周側にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられ、かつ各アウタクラッチプレートはケーシング11aの内周側にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組付けられている。各インナクラッチプレートと各アウタクラッチプレートとは交互に位置していて、互いに当接して摩擦係合するとともに互いに離間して自由状態となる。
【0020】
アーマチャ15bは環状を呈するもので、ケーシング11aの内周側に一体回転可能で軸方向へ移動可能に組付けられていて、摩擦クラッチ15aと後述するカム機構10fを構成する第1カム部材17aとの間に位置している。電磁石16は環状を呈するもので、合成樹脂体内に埋設された状態でヨーク15dに支持されていて、カバー体11bの外側に設けた環状凹所に嵌合している。電磁石16およびヨーク15dは、カバー体11bに対して回転可能な状態にあって、ディファレンシャルキャリア27を構成する第1ケース27aの内壁に設けた円筒部27a1に嵌合されて、回転を規制されて支持されている。
【0021】
電磁石16は、カバー体11b、摩擦クラッチ15a、およびアーマチャ15bに対向した状態にあって、電磁石16の電磁コイルに通電された場合には、電磁石16、カバー体11b、摩擦クラッチ15a、およびアーマチャ15b間に磁界が発生して、アーマチャ15bは磁気誘導作用により電磁石16側に吸引されて、摩擦クラッチ15aを摩擦係合させる。
【0022】
カム機構10fは、環状の第1,第2カム部材17a,17bと、ボール状のカムフォロアー17cとからなる。第1カム部材17aは、インナシャフト10b上にて同シャフト10bと一体回転可能かつ軸方向へ移動可能に組付けられて、メインクラッチ機構10cにおける作動ピストン13とは反対側の部位に位置し、かつ、第2カム部材17bは、インナシャフト10b上に回転可能に組付けられて第1カム部材17aとカバー体11b間に位置している。第2カム部材17bは第1カム部材17aより小径のもので、その外周とケーシング11aの内周間には摩擦クラッチ15が配設されていて、第1カム部材17aと対向している。両カム部材17a,17bには、互いに対向する面に複数のカム溝が形成されていて、対向するカム溝内にボール状のカムフォロアー17cが収容されている。
【0023】
カム機構10fにおいては、パイロットクラッチ機構10eの摩擦クラッチ15aが非摩擦係合状態にある場合には、第2カム部材17bは自由状態にあり、摩擦クラッチ15が摩擦係合状態となると、ケーシング11aに連結されて第1カム部材17aとは相対回転して、カムフォロアー17cを介して第1カム部材17aをメインクラッチ機構10c側へ押圧して、メインクラッチ機構10cを摩擦係合状態とする。
【0024】
かかる構成の駆動力伝達装置10においては、パイロットクラッチ機構10eを構成する電磁石16の電磁コイルが非通電状態にある場合には、摩擦クラッチ15aおよびアーマチャ15bは自由状態にあって、両カム部材17a,17bはカムフォロアー17cを介してインナシャフト10bに一体回転可能な状態にあり、摩擦クラッチ15aおよびカム機構10fはそれらの機能を規制された状態にある。
【0025】
従って、当該駆動力伝達装置10を搭載した車両において、プロペラシャフト24とドライブピニオン28間に差動回転が発生し、これに起因してアウタハウジング10aとインナシャフト10b間に相対回転が発生した場合には、押圧力発生手段10dを構成するロータ14は流体室R内でアウタハウジング10aに対して相対回転して、流体室R内にはプロペラシャフト24とドライブピニオン28間の差動回転速度に応じた押圧力が発生する。この押圧力は作動ピストン13を押圧してメインクラッチ機構10cに伝達され、メインクラッチ機構10cは差動回転速度に応じて摩擦係合する。
【0026】
このため、プロペラシャフト24は、アウタハウジング10a、メインクラッチ機構10c、インナシャフト10bを介してドライブピニオン28に連結され、プロペラシャフト24からドライブピニオン28へ差動回転速度に応じたトルクが伝達され、車両はリアルタイムの四輪駆動状態となる。
【0027】
一方、当該駆動力伝達装置10においては、パイロットクラッチ機構10eを構成する電磁石16の電磁コイルに通電すると、電磁石16、カバー体11b、摩擦クラッチ15a、およびアーマチャ15b間に磁界が発生して、アーマチャ15bは磁気誘導作用により電磁石16側に吸引される。この結果、摩擦クラッチ15aは摩擦係合して第2カム部材17bをケーシング11a側に連結し、第1カム部材17aと第2カム部材17bを相対回転状態とする。これにより、パイロットクラッチ機構10eは有効に機能する。電磁石16bの電磁コイルへの通電は、例えば、運転席近傍に設けた図示しないスイッチを運転者が切換え操作することに行われる。
【0028】
従って、当該駆動力伝達装置10を搭載した車両において、プロペラシャフト24とドライブピニオン28間に差動回転が発生し、これに起因してアウタハウジング10aとインナシャフト10b間に相対回転が発生した場合には、押圧力発生手段10dでは押圧力が発生する。また、このとき、電磁石16の電磁コイルに通電した場合には、パイロットクラッチ機構10eにおいても押圧力が発生する。
【0029】
すなわち、パイロットクラッチ機構10eにおいては、アウタハウジング10aとインナシャフト10b間に相対回転が発生すると、摩擦クラッチ15aの摩擦係合力により両カム部材17a,17b間に相対回転が発生してカム機構10fを作動させ、カムフォロアー17cは第1カム部材17aをメインクラッチ機構10c側へ押圧する。この結果、メインクラッチ機構10cは、押圧力発生手段10dにて発生する押圧力と、これとは反対側に位置するカム機構10fにて発生する押圧力とにより、両側から強く押圧されて強固に摩擦係合されて完全に結合した状態となる。
【0030】
従って、当該駆動力伝達装置10においては、パイロットクラッチ機構10eを構成する電磁石16の電磁コイルに通電することによりパイロットクラッチ機構10eを有効状態とし、プロペラシャフト24とドライブピニオン28間に差動回転が発生した場合には、メインクラッチ機構10cを瞬時に結合状態として車両を直結状態の四輪駆動状態に構成して、車両の脱輪状態からの脱出、悪路走行、砂地走行等の過酷な走行条件下での走行性能を向上させる。このため、過酷な状態に遭遇した場合には、車両をこの過酷な走行条件に適した走行性能に容易に切換えることができる。
【0031】
しかして、当該駆動力伝達装置10のパイロットクラッチ機構10eを構成する電磁石16は、図2に示すようにボビン16b上に巻回された電磁コイル16aからなる環状を呈するもので、図2〜図4に示すように合成樹脂体18に埋設されている。合成樹脂体18は環状を呈するもので、前後両端面には所定の周間隔を保持して多数のピン18aが植設されている。各ピン18aは磁性材料の金属製のもので、カバー体11bまたはヨーク15dに接触していて、電磁石16、カバー体11b、摩擦クラッチ15a、およびアーマチャ15b間に磁束が循環する磁路を形成する。
【0032】
また、合成樹脂体18には、後端面の上方部に突起部18bが形成されていて、突起部18bの先端部に合成樹脂製のキャップ18cが嵌着されており、キャップ18cの先端開口部にはゴム栓18dが嵌着されている。この突起部18bからは電磁コイル16aの各端部が貫通してキャップ18c内に臨んでいて、各端部が接続端子16cに形成されている。リード線15cは、これら各接続端子16cに接続された状態で、ゴム栓18dを通して外部に導出されて取出されている。
【0033】
当該駆動力伝達装置10においては、ディファレンシャルキャリア27に収納された状態では、合成樹脂体18の突起部18bの先端部に嵌着されたキャップ18cがディファレンシャルキャリア27の第1ケース27aに設けた貫通孔27a2に対向する近接部位に位置していて、リード線15cは貫通孔27a2に嵌着したプラグ27bを液密的に貫通して外部に取出されている。
【0034】
このように、当該駆動力伝達装置10においては、パイロットクラッチ機構10eを構成する電磁石16の電磁コイル16aを合成樹脂体18に埋設して、リード線15cを電磁コイル16aを埋設する合成樹脂体18から導出する取出構造を採用しているため、合成樹脂体18から導出されたリード線15cはディファレンシャルキャリア27内にて各構成部材を迂回させることなく直接外部へ取出すことができる。このため、リード線15cはこの取出し状態においては、ディファレンシャルキャリア27内の各構成部材とは干渉することがない。
【0035】
また、リード線15cは振動等を受けても各構成部材とは干渉することがなく、このため、各構成部材との干渉に起因する損傷や、緊張に起因する損傷が生じることはなく、かつ、リード線15cの緊張に起因するディファレンシャルキャリア27の貫通孔27a2を閉塞するプラグ27bの脱落も防止される。
【0036】
特に、当該リード線取出構造によれば、リード線15cは合成樹脂体18に設けたキャップ18cの先端開口部に嵌着したゴム栓18dを通して合成樹脂体18から導出されていることから、リード線15cは硬い合成樹脂体18とは直接接触するようなことがなくて、リード線15cに合成樹脂体18との接触による断線が生じるようなことはない。この場合、ゴム栓18dに合成樹脂体18およびリード線15cに対するシール機能を有することから、合成樹脂体18の内外間をシールすることができて、電磁コイル16aのリード線15cに対する接続端子16cの防水性や防油性等シール性を確保することができる。
【0037】
図5には、当該リード線取出構造におけるゴム栓の変形例を示している。ゴム栓18dは、キャップ18cの先端開口部に嵌着された状態では先端開口部とは同一平面を形成するものである。これに対して、変形例に係るゴム栓18eは、キャップ18cの先端開口部の嵌着されるゴム栓本体18e1と、ゴム栓本体18e1と一体の突起部18e2とからなるもので、キャップ18cの先端開口部に嵌着された状態では、突起部18e2がキャップ18cの先端開口部から所定量突出している。ゴム栓18eにおいて、突起部18e2はゴム栓本体18e1に比較して大きな可撓性を有するもので、リード線15cに対する大きな損傷防止機能を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係るリード線取出構造を採用した電磁クラッチをパイロットクラッチ機構とする駆動力伝達装置の縦断面図である。
【図2】同パイロットクラッチ機構を構成する電磁石を埋設する合成樹脂体の縦断面図である。
【図3】同合成樹脂体の正面図である。
【図4】同合成樹脂体の部分縦断面図である。
【図5】同合成樹脂体の変形例を示す部分縦断面図である。
【図6】同駆動力伝達装置を搭載した四輪駆動車の概略構成図である。
【符号の説明】
10…駆動力伝達装置、10a…アウタハウジング、10b…インナシャフト、10c…メインクラッチ機構、10d…押圧力発生手段、10e…パイロットクラッチ機構、10f…カム機構、11a…ケーシング、11b…カバー体、12a…インナクラッチプレート、12b…アウタクラッチプレート、13…作動ピストン、14…ロータ、14a…ベーン部、R…流体室、15a…摩擦クラッチ、15a…アーマチャ、15c…リード線、15d…ヨーク、16…電磁石、16a…電磁コイル、16b…ボビン、16c…接続端子、17a…第1カム部材、17b…第2カム部材、17c…カムフォロアー、18…合成樹脂体、18a…ピン、18b…突起部、18c…キャップ、18d,18e…ゴム栓、18e1…ゴム栓本体、18e2…突起部、21…トランスアクスル、22…エンジン、23a…アクスルシャフト、23b…前輪、24…プロペラシャフト、25…リヤディファレンシャル、26a…アクスルシャフト、26b…後輪、27…ディファレンシャルキャリア、27a…第1ケース、27a1…円筒部、27a2…貫通孔、27a3…凹所、27b…プラグ、28…ドライブピニオン。
Claims (2)
- 駆動力伝達装置を構成する相対回転可能な内外両回転部材間に同軸的に配設されて通電により発生するトルクにてメインクラッチ機構を作動して前記両回転部材間でトルク伝達を行わせる電磁式パイロット機構を構成する電磁石のリード線取出構造であり、当該電磁石は、電磁コイルを外部電源に接続するためのリード線を備えて合成樹脂体に埋設された状態でヨークに支持されており、前記合成樹脂体は、前記外側回転部材の一端開口部から外部へ軸方向および径方向に延びて当該駆動力伝達装置を収容して支持するディファレンシャルキャリアの取出孔の近傍にて同取出孔に対向する導出孔を備え、前記リード線は、前記導出孔内を通って同導出孔の先端に嵌合したシール性の弾性体を液密的に貫通して前記取出孔の近傍に導出されていることを特徴とする電磁石のリード線取出構造。
- 請求項1に記載のリード線取出構造において、前記電磁式パイロット機構は、前記電磁石と、同電磁石の一側に位置する摩擦クラッチと、同摩擦クラッチの一側に位置するアーマチャとからなる電磁クラッチであることを特徴とする電磁石のリード線取出構造。
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