JP3934373B2 - 駆動力伝達装置 - Google Patents

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    • Y10T74/00Machine element or mechanism
    • Y10T74/21Elements
    • Y10T74/2186Gear casings

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば四輪駆動車における駆動軸と従動軸との間に配設されて、両軸間のトルク伝達を行う駆動力伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より駆動力伝達装置として以下に示すものが知られている。
即ち、図15に示すように、駆動力伝達装置201は車両側に固定された第1,第2ディファレンシャルキャリヤ202a,202bからなるケーシング202内に配置されたアウタケース203を備えている。
【0003】
このアウタケース203はケーシング202に対して自身の軸線Sを中心に相対回転可能となっている。アウタケース203の前端にはプロペラシャフト216が一体回転可能に連結されている。前記アウタケース203内にはアウタケース203の軸線と同一軸線のインナシャフト204がアウタケース203に対して相対回転可能に設けられている。前記インナシャフト204の後端には、ドライブピニオンシャフト205が一体回転可能に連結され、同ドライブピニオンシャフト205は第2ディファレンシャルキャリヤ202bに対してベアリング206を介して支持されている。
【0004】
前記アウタケース203とインナシャフト204との間には、メインクラッチ機構207、パイロットクラッチ機構208及びカム機構209が配置されている。パイロットクラッチ機構208は、摩擦クラッチ210、環状のアーマチャ211及び環状の電磁石212を備えている。この電磁石212は、ヨーク213の前端側に形成された筒状の電磁石支持部に嵌着された状態で、アウタケース203の後端側側壁に形成された環状凹部203a内に配置されている。
【0005】
駆動力伝達装置201においては、電磁石212への通電によりアーマチャ211を摩擦クラッチ210側へ吸引し、アーマチャ211が摩擦クラッチ210を押圧して摩擦係合させる。この摩擦係合力にてカム機構209を介してメインクラッチ機構207を作動させ、プロペラシャフト216とドライブピニオンシャフト205とをトルク伝達可能に連結する。
【0006】
ところで、前記第2ディファレンシャルキャリヤ202bにおけるヨーク213の後端部と相対する部位に、円環状のベアリング収納凹部214を形成し、前記ヨーク213とベアリング収納凹部214との間にコニカルスプリング215を配置させている。そして、このコニカルスプリング215の付勢力にてケーシング202に対するヨーク213の軸線S方向移動を抑制している。
【0007】
そして、前記駆動力伝達装置201を組み付ける際には、以下に示すように方法で組み付けを行っている。
まず始めに、アウタケース203に対して、インナシャフト204、メインクラッチ機構207、カム機構209、摩擦クラッチ210、アーマチャ211、電磁石212、ヨーク213を組み付ける。そして、アウタケース203を第1ディファレンシャルキャリヤ202aに組み付ける。次に、第2ディファレンシャルキャリヤ202bにはドライブピニオンシャフト205、ベアリング206を組み付ける。
【0008】
最後に前記ベアリング収納凹部214にコニカルスプリング215を配置し、第1ディファレンシャルキャリヤ202aと第2ディファレンシャルキャリヤ202bを組み付ける。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記両キャリヤ202a,202bは、軸線Sが略水平な状態で組み付けようとすると(即ち、左右から両キャリヤ202a,202bを組み付ける)以下に示すような不具合があった。
【0010】
両キャリヤ202a,202bを組み付ける際には、ただ単にベアリング収納凹部214内に対してコニカルスプリング215を配置させる。そのため、コニカルスプリング215におけるヨーク213側は支えるものが無く、コニカルスプリング215は両キャリヤ202a,202bを組み付け終わる前にベアリング収納凹部214内から脱落してしまうことがある。この結果、再び、コニカルスプリング215をベアリング収納凹部214に配置しなおさなければならず、作業効率が悪くなっていた。
【0011】
このような、コニカルスプリング215のベアリング収納凹部214内からの脱落を解消するために、前記両キャリヤ202a,202bを、軸線Sが略垂直な状態で組み付けることが考えられる。即ち、第2ディファレンシャルキャリヤ202bをベアリング収納凹部214が上方に位置するように設置し、コニカルスプリング215をベアリング収納凹部214内に配置する。このようにすると、コニカルスプリング215は重力の働きでベアリング収納凹部214に常に当接した状態となり、ベアリング収納凹部214から脱落することがない。その後、第1ディファレンシャルキャリヤ202aを第2ディファレンシャルキャリヤ202bの上から組み付ける。
【0012】
しかしながら、駆動力伝達装置201を生産ラインなどで組み付ける場合には、ラインの制約上、両キャリヤ202a,202bを、軸線Sが略垂直な状態で組み付けできず、軸線Sが略水平な状態で組み付けなければならないことがある。
【0013】
従って、本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は軸線が略水平な状態で装置の各部材及び各機構を組みつける際に、付勢部材が脱落せず効率よく組み付けできる駆動力伝達装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、互いに相対回転可能に位置する第1回転部材及び第2回転部材間に配設された摩擦クラッチ機構と、通電により作動して前記摩擦クラッチ機構を摩擦係合させる電磁式の駆動機構と、同駆動機構を構成する電磁石を支持した状態で前記第1回転部材に対してベアリングを介して相対回転可能に同第1回転部材の後端側に位置するヨークと、前記各部材及び各機構が収容されたケーシングとを備え、前記ヨークがケーシングに対して回動不能とされた駆動力伝達装置において、前記ケーシングの内面、又は前記ヨークのうちいずれか一方には付勢部材取付部が設けられ、前記付勢部材取付部には、自身の付勢に抗して前記ヨークの後端側と前記ケーシングの内面との両者に当接することで、前記ケーシングに対するヨークの軸線方向への移動を抑制する付勢部材が係止固定されたことを要旨とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記付勢部材取付部は複数個あり、前記各付勢部材取付部の先端には、前記付勢部材取付部から前記付勢部材を離脱不能とするための係止部を備えていることを要旨とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記付勢部材の外周部には、前記付勢部材取付部と係合する複数個の切欠き凹部が設けられていることを要旨とする。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記ケーシングの内面、又は前記ヨークのうちいずれか一方には係合部、残りの他方には前記係合部に係合しヨークのケーシングに対する回転を防止する被係合部を備えていることを要旨とする。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記付勢部材取付部は前記係合部を兼用していることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、互いに相対回転可能に位置する第1回転部材及び第2回転部材間に配設された摩擦クラッチ機構と、通電により作動して前記摩擦クラッチ機構を摩擦係合させる電磁式の駆動機構と、同駆動機構を構成する電磁石を支持した状態で前記第1回転部材に対して相対回転可能に位置するヨークと、前記各部材及び各機構が収容されたケーシングとを備えた駆動力伝達装置において、前記ケーシングの内面、又は前記ヨークのうちいずれか一方には付勢部材取付部が設けられ、前記付勢部材取付部には、自身の付勢に抗して前記ヨークと前記ケーシングの内面との両者に当接することで、前記ケーシングに対するヨークの軸線方向への移動を抑制する付勢部材が離脱不能に取り付けられ、前記付勢部材取付部は複数個あり、前記各付勢部材取付部の先端には、前記付勢部材取付部から前記付勢部材を係止するための係止部を備え、前記付勢部材の外周部には、前記付勢部材取付部と係合する複数個の切欠き凹部が設けられていることを要旨とする。
(作用)
従って、請求項1に記載の発明においては、ケーシングの内面、又は前記ヨークのうちいずれか一方には付勢部材取付部を設け、その付勢部材取付部に対して付勢部材を取り付けた。前記付勢部材は付勢部材取付部に対して係止固定されているため、付勢部材を付勢部材取付部に取り付けると、付勢部材取付部を設けたケーシング又はヨークをどのような角度に傾けても付勢部材が脱落することがない。このため、駆動力伝達装置の各部材及び各機構を組み付ける際に、ケーシング又はヨークから付勢部材が脱落するおそれを気にすることなく組み付けできる。
【0019】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の作用に加えて、付勢部材は係止部により付勢部材取付部に対して離脱不能とされる。
請求項3に記載の発明においては、請求項2に記載の作用に加えて、各付勢部材取付部に付勢部材の切欠き凹部が係合することで、付勢部材は付勢部材取付部に対して回動不能とされる。
【0020】
請求項4に記載の発明においては、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の作用に加えて、係合部と被係合部との係合によりヨークのケーシングに対する回転が防止される。
【0021】
請求項5に記載の発明においては、請求項4に記載の作用に加えて、付勢部材取付部と係合部とを別々に設ける必要がない。
請求項6に記載の発明においては、請求項1に記載の作用に加えて、各付勢部材取付部に付勢部材の切欠き凹部が係合することで、付勢部材は付勢部材取付部に対して回動不能とされる。
【0022】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を、例えば前輪駆動ベースの四輪駆動車における後輪側への駆動力伝達経路に配設される駆動力伝達装置に具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。
【0023】
(全体構成)
図2に示すように、四輪駆動車等の車両11は、エンジン12及びトランスアクスル13を備えている。トランスアクスル13には一対のフロントアクスル14, 14及びプロペラシャフト15が連結されている。両フロントアクスル14, 14にはそれぞれ前輪16, 16が連結されている。プロペラシャフト15には駆動力伝達装置17が連結されている。駆動力伝達装置17にはドライブピニオンシャフト18を介してリヤディファレンシャル19が連結されている。リヤディファレンシャル19には一対のリヤアクスル20, 20を介して後輪21, 21が連結されている。前記ドライブピニオンシャフト18は「駆動力伝達装置に連結するシャフト」に相当する。
【0024】
駆動力伝達装置17はディファレンシャルキャリヤ22を備えており、同ディファレンシャルキャリヤ22内にはドライブピニオンシャフト18及びリヤディファレンシャル19が収容支持されている。前記ディファレンシャルキャリヤ22はケーシングに相当する。
【0025】
前記ディファレンシャルキャリヤ22は車体に支持され、ディファレンシャルキャリヤ22内にはディファレンシャルオイルが封入されている。
エンジン12の駆動力はトランスアクスル13及び両フロントアクスル14, 14を介して両前輪16, 16に伝達される。また、プロペラシャフト15とドライブピニオンシャフト18とが駆動力伝達装置17によりトルク伝達可能に連結された場合、エンジン12の駆動力はプロペラシャフト15、ドライブピニオンシャフト18、リヤディファレンシャル19及び両リヤアクスル20,20を介して両後輪21, 21に伝達される。
【0026】
(駆動力伝達装置)
図1に示すように、駆動力伝達装置17の前記ディファレンシャルキャリヤ22は前端側に位置する前側キャリヤ22aと、前記前側キャリヤ22aに対して後ろ側から連結する後側キャリヤ22bとから構成されている。駆動力伝達装置17はアウタケース31を備えており、このアウタケース31内にはインナシャフト32、メインクラッチ機構33、押圧力発生機構34、パイロットクラッチ機構35及びカム機構36がそれぞれ収容されている。
【0027】
前記アウタケース31は第1回転部材に相当し、前記インナシャフト32は第2回転部材に相当する。
(アウタケース)
アウタケース31は、両端が開口した筒状のフロントハウジング31aと、同フロントハウジング31aの後端側開口部に螺着されたリヤハウジング31bとを備えている。フロントハウジング31aは非磁性体材料であるアルミニウム合金、リヤハウジング31bは軟質の磁性体材料である低炭素鋼(例えばS35C、S10C)によりそれぞれ形成されている。リヤハウジング31bの径方向における中間部には、非磁性体材料であるステンレス製の円環状の筒体41が埋設されている。
【0028】
リヤハウジング31bはその後端側側面において、後側キャリヤ22bの内部に回動不能にされたヨーク42に対してベアリングB1を介して相対回転可能に支持されている。即ち、アウタケース31はヨーク42を介してディファレンシャルキャリヤ22に支持されている。ヨーク42はリヤハウジング31bと同様の低炭素鋼等の金属材料により形成されている。
【0029】
(インナシャフト)
インナシャフト32は両端が開口した筒状に形成されており、その前端部(図1における左端部)は、リヤハウジング31bの中央部を液密的に貫通してフロントハウジング31a内に挿入されている。インナシャフト32は自身の軸線Oに沿う方向への移動を規制された状態で両ハウジング31a, 31bに対して相対回転可能に支持されている。
【0030】
なお、アウタケース31の軸線もインナシャフト32の前記軸線Oと同一軸線とされている。
インナシャフト32の後端部(図1における右側端部)には、ドライブピニオンシャフト18の一端部がスプライン結合されている。前記ドライブピニオンシャフト18はベアリングB2を介して後側キャリヤ22bに回転可能に支持されている。図1の後側キャリヤ22bにおいて、ベアリングB2が嵌合されている部位をベアリング嵌合孔88という。
【0031】
(入力軸)
フロントハウジング31aの前端部(図1における左端部)には入力軸43のフランジ状の基端部がボルトにより一体回動可能に固定されている。入力軸43は前側キャリヤ22aの前端部内周面に対してベアリングB3を介して相対回転可能に支持されている。入力軸43の先端部は前記プロペラシャフト15に一体回動可能に連結されている。
【0032】
(メインクラッチ機構)
メインクラッチ機構33は、アウタケース31とインナシャフト32との間における前端側に配設されている。メインクラッチ機構33は湿式多板式の摩擦クラッチ機構であり、複数のインナクラッチプレート33a及びアウタクラッチプレート33bを備えている。インナクラッチプレート33a及びアウタクラッチプレート33bはそれぞれ円板状に形成されている。
【0033】
各インナクラッチプレート33aはインナシャフト32の外周面に対してスプライン結合されており、軸線Oに沿う方向へ移動可能となっている。各アウタクラッチプレート33bはフロントハウジング31aの内周面に対してスプライン結合されており、軸線Oに沿う方向へ移動可能となっている。各インナクラッチプレート33aと各アウタクラッチプレート33bとはそれぞれ交互に配置されており、互いに当接して摩擦係合すると共に、互いに離間して非係合の自由状態になる。
【0034】
(押圧力発生機構)
押圧力発生機構34は、フロントハウジング31a内において、メインクラッチ機構33よりも前端側に配置されている。押圧力発生機構34は作動ピストン51、ロータ52及び流体室53を備えている。
【0035】
(作動ピストン)
作動ピストン51はインナシャフト32に液密状に挿通されており、インナシャフト32に対して回動可能かつ軸線Oに沿う方向へ移動可能となっている。また、作動ピストン51の外周面はフロントハウジング31aの内周面に対して液密状に接触しており、軸線Oに沿う方向及び軸線Oに対して周方向へ摺動可能となっている。
【0036】
(流体室)
流体室53は、フロントハウジング31aの内周面、作動ピストン51の前端側側面及びインナシャフト32の外周面とにより囲まれた空間である。この流体室53にはシリコンオイル等の高粘性の粘性流体が封入されている。
【0037】
(ロータ)
前記流体室53内には、インナシャフト32の外周面に対して一体回動可能に固定されたロータ52が収容されている。ロータ52は径方向へ延びる複数のベーン部52aを有しており、各ベーン部52aは流体室53を2つの滞留室に区画している。
【0038】
(パイロットクラッチ機構)
パイロットクラッチ機構35は、アウタケース31とインナシャフト32との間における後端側(図1における右端側)に配設されている。パイロットクラッチ機構35は、摩擦クラッチ機構としての摩擦クラッチ61、アーマチャ62及び電磁石63を備えている。
【0039】
前記アーマチャ62及び電磁石63にて電磁式の駆動機構が構成されている。
(摩擦クラッチ)
摩擦クラッチ61は、湿式多板式の摩擦クラッチ機構であって、複数のインナクラッチプレート及び複数のアウタクラッチプレートを備えている。インナクラッチプレート及びアウタクラッチプレートはそれぞれ円板状に形成されている。各インナクラッチプレートは後述するカム機構36を構成する第1カム部材71の外周面に対してスプライン結合されており、軸線O方向へ移動可能となっている。各アウタクラッチプレートはフロントハウジング31aの内周面に対してスプライン結合されており、軸線O方向へ移動可能となっている。各インナクラッチプレートと各アウタクラッチプレートとはそれぞれ交互に配置されており、互いに当接して摩擦係合すると共に、互いに離間して非係合の自由状態になる。
【0040】
(アーマチャ)
アーマチャ62は、摩擦クラッチ61と後述するカム機構36を構成する第2カム部材72との間に位置している。アーマチャ62は環状に形成されており、フロントハウジング31aの内周面に対してスプライン結合されている。アーマチャ62は軸線Oに沿う方向へ移動可能、且つアウタケース31と一体回転可能とされている。
【0041】
(電磁石)
電磁石63は合成樹脂材料(例えば不飽和ポリエステル)により形成された環状のコイルケース63aを備えており、同コイルケース63a内には銅線を所定の回数だけ巻回したコイルが収容されている。コイルケース63aは、ヨーク42の電磁石支持筒42aに嵌挿された状態で、リヤハウジング31bの後端側側面に形成された環状凹部64内に収容されている。
【0042】
この電磁石支持筒42aの内周面と環状凹部64の内周面(小径側)との間、及びヨーク42の外周面と環状凹部64の内周面(大径側)との間には、それぞれ所定のギャップが設けられている。同ヨーク42はリヤハウジング31bの環状凹部64内面に対してベアリングB1を介して相対回転可能に位置している。ヨーク42の後端部はディファレンシャルキャリヤ22の内部に形成された筒状凹部80に挿入されている。
【0043】
電磁石63にはリード線65の一端が接続されており、同リード線65の他端はディファレンシャルキャリヤ22の外部に導出されている。このリード線65の他端はディファレンシャルキャリヤ22の外部に設けられたスイッチ(図示略)を介してバッテリ(図示略)に接続されている。スイッチがONされて電磁石63のコイルが通電されると、同電磁石63の周囲に磁路が形成される。すると、アーマチャ62は磁気誘導作用により電磁石63側に吸引される。この結果、摩擦クラッチ61が摩擦係合する。
【0044】
(カム機構)
カム機構36は、環状の第1カム部材71、環状の第2カム部材72及び球状のカム体73を備えている。両カム部材71, 72の互いに対向する面には、それぞれ複数のカム溝が両カム部材71,72の周方向に所定間隔毎に形成されている。両カム部材71,72の互いに対向するカム溝間にはカム体73がはめ込まれている。
【0045】
第1カム部材71はインナシャフト32に対して相対回転可能に挿入されており、リヤハウジング31bの前端側側面に対して軸受を介して接触している。第2カム部材72はインナシャフト32の外周面に対してスプライン結合されており、軸線Oに沿う方向へ移動可能となっている。第2カム部材72はメインクラッチ機構33のインナクラッチプレート33aに対向するように配設されている。
【0046】
パイロットクラッチ機構35の摩擦クラッチ61が非摩擦係合状態の場合には、第1カム部材71は自由状態に保持される。一方、摩擦クラッチ61が摩擦係合状態となると、第1カム部材71はアウタケース31に連結される。すると、第1カム部材71と第2カム部材72との間には相対回転が生じ、同第1カム部材71はカム体73を介して第2カム部材72をメインクラッチ機構33側へ押圧する。この結果、メインクラッチ機構33は摩擦係合状態となる。
【0047】
即ち、パイロットクラッチ機構35の電磁石63のコイルが非通電状態にある場合には、摩擦クラッチ61及びアーマチャ62は自由状態であり、両カム部材71,72はカム体73を介してインナシャフト32に対して一体回転可能な状態に保持される。
【0048】
従って、電磁石63のコイルへ通電されていない際には、プロペラシャフト15とドライブピニオンシャフト18間に差動回転が発生する。すると、アウタケース31とインナシャフト32間に相対回転が生じ、ロータ52は流体室53内でアウタケース31に対して相対回転する。そして、流体室53内にはプロペラシャフト15とドライブピニオンシャフト18との間の差動回転速度に応じた押圧力が発生する。この押圧力により作動ピストン51がメインクラッチ機構33側へ移動する。メインクラッチ機構33は作動ピストン51を介して伝達された押圧力の大きさに応じて摩擦係合する。つまり、プロペラシャフト15からドライブピニオンシャフト18へ両者15,18の差動回転速度に応じたトルクが伝達され、車両11はリアルタイムの四輪駆動状態となる。
【0049】
一方、電磁石63のコイルへ通電した際には、アーマチャ62は磁気誘導作用により電磁石63側に吸引される。すると、摩擦クラッチ61は摩擦係合状態となり、第1カム部材71がアウタケース31に連結される。このため、第1カム部材71と第2カム部材72との間には相対回転が生じ、パイロットクラッチ機構35が有効に機能する。このため、プロペラシャフト15とドライブピニオンシャフト18間に差動回転が発生し、アウタケース31とインナシャフト32間に相対回転が生じる。すると、カム機構36にて発生する押圧力によって、メインクラッチ機構33は強固に摩擦係合されて完全に結合した状態、即ち車両11は直結された四輪駆動状態となる。
【0050】
(ヨークの回転防止機構)
図1及び図3〜5に示すように、前記後側キャリヤ22bの内周部において、前記筒状凹部80より後側で、かつベアリング嵌合孔88の前側には、筒状凹部80より小径で、かつベアリング嵌合孔88の径より大径の挿通孔81が形成されている。
【0051】
挿通孔81に対応した後側キャリヤ22bの内周面には、軸線O方向へ延びる一対の回り止め溝81aが形成されている。両回り止め溝81aは軸線Oを中心として互いに180度反対位置に形成されている。前記回り止め溝81aは被係合部に相当する。
【0052】
前記ヨーク42の後端側側面には、断面略長方形状の一対の取付部42bが一体的に形成されている。なお、前記取付部42bは付勢部材取付部に相当する。両取付部42bは軸線Oを中心として互いに180度反対位置に形成されている。前記取付部42bは前記回り止め溝81aにそれぞれ係入されている。即ち、前記取付部42bは、ヨーク42が後側キャリヤ22bに対して回転不能とするための回り止め突起(係合部)として機能している。
【0053】
前記両取付部42bの間には付勢部材としての略円環状のスプリング86が配置され、同スプリング86の略中央の孔には前記ドライブピニオンシャフト18が遊挿されている。図6(a)に示すように、前記スプリング86の外周部には一対の切欠き凹部87が形成されている。両切欠き凹部87は軸線Oを中心として互いに180度反対位置に位置している。前記両切欠き凹部87には前記両取付部42bがそれぞれ係合され、この結果、スプリング86はヨーク42(取付部42b)に対して回動不能とされている。
【0054】
両切欠き凹部87の奥底部にはスプリング86の外形に沿った仮想円から突出しないように短い突片86aがそれぞれ形成されている。図5に示すように、その両突片86aは前記取付部42bにそれぞれ当接されている。図3に示すように、前記両取付部42bの先端部には、内方へ向け突出する係止爪42cがそれぞれ形成されている。そのため、駆動力伝達装置17を組み付ける際において、同係止爪42cにより取付部42bに当接状態の突片86aが軸線Oに沿った方向へ抜けないようにしている。なお、前記係止爪42cは係止部に相当する。
【0055】
すなわち、互いに相対する一対の係止爪42cにおいて、内方側の部位間の距離L1(軸線Oを中心とした仮想円の直径)は、両突片86aの先端間の距離L2(軸線Oを中心とした仮想円の直径)よりも短くされている。
【0056】
図6(a)に示すように、前記スプリング86において、各突片86aより内方側の部位は、同突片86aと面一とされた扁平部86bがそれぞれ形成されている。
【0057】
図6(a)に示すように、スプリング86において、前記両扁平部86bの幅方向両側は略半円弧状の翼部86cが形成されている(図6(b)も併せて参照)。前記翼部86cは図1において前方側へ向け湾曲され、図1,7に示すように、同翼部86cにおける中央外周部はヨーク42の後端側側面に対して自身の付勢に抗して当接されている。また、図3、図5、及び図6(a)に示すように、前記翼部86cの外周部近傍における切欠き凹部87に対応するエッジ部は、筒状凹部80の奥側の段部底面80aに対して当接する当接部Tとされている。前記段部底面80aは、「ケーシングの内面」に相当する。
【0058】
この結果、ヨーク42と後側キャリヤ22bは互いに離間する方向へ向け付勢され、ヨーク42のディファレンシャルキャリヤ22に対する軸線O方向への移動(がたつき)及び回転方向への移動(がたつき)が抑制されている。
【0059】
(駆動力伝達装置の組み付け方法)
次に、駆動力伝達装置17の組み付け方法について説明する。
まず、ヨーク42の両係止爪42cに対して、スプリング86の両突片86aを軸線Oに沿ってそれぞれ押しつける。すると、突片86aはその弾性に抗して係止爪42cを通過し、その弾性力により取付部42bに当接される。そして、前記両突片86aが両取付部42bにそれぞれ当接した際には、両取付部42bに対して両切欠き凹部87がそれぞれ係合する。そのため、スプリング86は、軸線O回りの回転力が加わってもヨーク42(取付部42b)に対して回転不能となる。又、互いに相対する一対の係止爪42cにおいて、内方側の部位間の距離L1が、両突片86aの先端間の距離L2よりも短くされている。この結果、軸線O方向(特に後側方向)へは突片86aが、係止爪42cにより係止するためスプリング86は脱落しない。
【0060】
次に、フロントハウジング31aに対して、リヤハウジング31b、ベアリングB1、インナシャフト32、メインクラッチ機構33、押圧力発生機構34、パイロットクラッチ機構35、カム機構36、筒体41、ヨーク42、入力軸43、リード線65等を組み付ける。さらに、前記フロントハウジング31a、ベアリングB3、プロペラシャフト15を前側キャリヤ22aに対して組み付ける。一方、後側キャリヤ22bにはベアリングB2、ドライブピニオンシャフト18を組み付ける。
【0061】
そして、この後、前記のように予め所定部品が組み付けられた前側キャリヤ22aと後側キャリヤ22bとを組み付けることで、駆動力伝達装置17が完成する。このとき、ヨーク42に対してスプリング86が係止固定されているため、スプリング86がヨーク42(取付部42b)から脱落することなく前側キャリヤ22aと後側キャリヤ22bとを効率よく組みつけられる。
【0062】
従って、上記第1実施形態の駆動力伝達装置17によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、ヨーク42に取付部42bを設けた。そして、取付部42bには自身の付勢に抗して、ヨーク42と後側キャリヤ22bの両者に当接するスプリング86を設けた。そして、そのスプリング86により、ディファレンシャルキャリヤ22に対するヨーク42の軸線O方向への移動(がたつき)、及び挿通孔81に対する取付部42bの回転方向への移動(がたつき)を抑制するようにした。スプリング86は取付部42bに対して離脱不能とされているため、スプリング86を取付部42bに取り付けると、ヨーク42をどのような角度に傾けてもスプリング86が脱落することがない。このため、ヨーク42からスプリング86が脱落するおそれがなく、駆動力伝達装置17を構成する各部材及び各機構を組み付けできる。
【0063】
従って、軸線Oが略水平な状態で駆動力伝達装置17を構成する各部材及び各機構を組み付ける際に、スプリング86がヨーク42から脱落せず効率よく組み付けできる。
【0064】
(2)本実施形態では、ヨーク42の後端側側面に一対の取付部42bを軸線Oを中心として互いに180度反対位置に形成した。前記一対の取付部42bに対して、スプリング86の一対の突片86aをそれぞれ当接させた。そして、両取付部42bの先端部には、内方へ向け突出する一対の係止爪42cを形成し、同係止爪42cにより取付部42bに当接状態の突片86aが取付部42bから離脱しないようにした。従って、駆動力伝達装置17を組み付ける際において、係止爪42cによりスプリング86が取付部42bから不用意に脱落することがない。
【0065】
(3)本実施形態では、スプリング86の外周部に一対の切欠き凹部87を、軸線Oを中心として互いに180度反対位置に形成した。従って、スプリング86の両切欠き凹部87を前記両取付部42bにそれぞれ係合させることで、スプリング86を取付部42bに対して回動不能にできる。
【0066】
(4)本実施形態では、後側キャリヤ22bの挿通孔81が形成されている部位には、軸線Oを中心として互いに180度反対位置に一対の回り止め溝81aを形成し、両回り止め溝81aは軸線O方向へ延びるように形成した。そして、その回り止め溝81aにヨーク42の取付部42bを係入することで、ヨーク42をディファレンシャルキャリヤ22に対して回動不能とさせた。そのため、取付部42bはスプリング86を支持する機能と、ヨーク42のディファレンシャルキャリヤ22に対する回転防止の機能との両者の機能を兼用できる。
【0067】
従って、スプリング86を支持する部材と、ヨーク42のディファレンシャルキャリヤ22に対する回転防止する部材とを別々で設けた場合と比べ、駆動力伝達装置17は構造を簡単にできる。
【0068】
(5)本実施形態では、スプリング86を略円環状に形成した。従って、スプリング86の略中央の孔にはドライブピニオンシャフト18を遊挿できる。
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態を図8〜図10に従って説明する。なお、第2実施形態を含む以下の実施形態の駆動力伝達装置は、前記第1実施形態を変更したものであり、前記第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、その詳細な説明を省略し、異なるところのみを説明する。
【0069】
本実施形態は前記第1実施形態と比べて、ヨーク42の形状が一部異なるとともに、スプリング90の形状が前記第1実施形態のスプリング86と異なっている。
【0070】
図9に示すように、前記両取付部42bの基端部において、互いに対向する面には先端に向かうにつれ互いに離間する斜面部42dが形成されている。
図8(a)及び図9に示すように、付勢部材としてのスプリング90は略円環状に形成されている。前記スプリング90の外周部には一対の切欠き凹部91が形成されている。両切欠き凹部91は軸線Oを中心として互いに180度反対位置に位置している。
【0071】
両切欠き凹部91の奥底部には図9における後方側へ斜状に延びた突片90aがそれぞれ形成され、両突片90aはスプリング90の外形に沿った仮想円から突出しないように形成されている(図8(b)参照)。前記突片90aは取付片に相当する。両突片90aは、両斜面部42dに対して自身の付勢に抗してそれぞれ当接されている。図8(b)に示すように、両突片90aの先端間の距離(軸線Oを中心とした仮想円の直径)は、前記両突片86aの先端間の距離L2と同じ距離にされている。
【0072】
図8(b)及び図9に示すように、前記スプリング90において、各突片90aより内方側の部位は、軸線Oに対して直交した仮想平面に含まれる扁平部90bがそれぞれ形成されている。
【0073】
図8(a)及び図9,10に示すように、スプリング90において、前記扁平部90bの幅方向両側は略半円弧状の翼部90cが形成され、両翼部90cは図9において後方側へ向け湾曲されている。前記翼部90cにおける中央外周部は、筒状凹部80の奥側の段部底面80aに対して、自身の付勢に抗して当接されている(図9参照)。この結果、ヨーク42と後側キャリヤ22bは互いに離間する方向へ向け付勢され、ヨーク42のディファレンシャルキャリヤ22に対する軸線O方向への移動(がたつき)及び回転方向への移動(がたつき)が抑制されている。
【0074】
従って、本実施形態によれば、前記第1実施形態の効果(1)〜(5)と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態を図11〜図13に従って説明する。
【0075】
本実施形態では、取付部42b(係止爪42c)の取付け位置が前記第1実施形態と異なっている。
即ち、図11に示すように、後側キャリヤ22bにおいて、挿通孔81及び回り止め溝81aを省略している。そして筒状凹部80の段部底面80aには、一対の取付部96及び係止爪97を設けている。前記一対の取付部96は軸線Oを中心として互いに180度反対位置に設けられている。なお、前記取付部96は付勢部材取付部及び係合部に相当し、前記係止爪97は係止部に相当する。
【0076】
一方、ヨーク42は、取付部42b及び係止爪42cを省略している。そして、その代わりにヨーク42において、ベアリングB1を内嵌している取付孔99の後端寄の内周面には一対の回り止め溝99aを設けている。前記回り止め溝99aは被係合部に相当する。前記両回り止め溝99aは軸線Oを中心として互いに180度反対位置に設けられている。
【0077】
そして、スプリング86は図12に示すように、当接部Tがヨーク42の後端側側面に対して当接するように配置されている。また、図11,13に示すように、前記翼部86cにおける中央外周部は段部底面80aに対して当接するように配置されている。この結果、ヨーク42と後側キャリヤ22bは互いに離間する方向へ向け付勢され、ヨーク42のディファレンシャルキャリヤ22に対する軸線O方向への移動(がたつき)及び回転方向への移動(がたつき)が抑制されている。
【0078】
従って、本実施形態によれば、前記第1実施形態の(3)、(5)と同様の効果を奏すると共に、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態では、後側キャリヤ22bに一対の取付部96を設け、その両取付部96にはスプリング86を離脱不能に設けた。従って、軸線Oが略水平な状態で駆動力伝達装置17を構成する各部材及び各機構を組み付ける際に、スプリング86が後側キャリヤ22bから脱落せず効率よく組み付けできる。
【0079】
(2)本実施形態では、後側キャリヤ22bの段部底面80aに一対の取付部96を軸線Oを中心として互いに180度反対位置に形成した。前記一対の取付部96に対して、スプリング86の一対の突片86aをそれぞれ当接させた。そして、両取付部96の先端部には、内方へ向け突出する一対の係止爪97を形成し、同係止爪97により取付部96に当接状態の突片86aが軸線Oに沿った方向へ移動することを規制した。従って、駆動力伝達装置17を組み付ける際において、係止爪97によりスプリング86が取付部96から不用意に脱落することがない。
【0080】
(3)本実施形態では、ヨーク42の後端側側部には、軸線Oを中心として互いに180度反対位置に一対の回り止め溝99aを形成し、両回り止め溝99aは軸線O方向へ延びるように形成した。そして、その回り止め溝99aに後側キャリヤ22bの取付部96を係入することで、ヨーク42をディファレンシャルキャリヤ22に対して回動不能とさせた。そのため、取付部96はスプリング86を支持する機能と、ヨーク42のディファレンシャルキャリヤ22に対する回転防止の機能との両者の機能を兼用できる。
【0081】
従って、スプリング86を支持する部材と、ヨーク42のディファレンシャルキャリヤ22に対する回転防止する部材とを別々で設けた場合と比べ、駆動力伝達装置17は構造を簡単にできる。
【0082】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は以下のような他の実施形態に変更して具体化してもよい。
【0083】
・前記第1実施形態では、取付部42b及び係止爪42cを2つ形成していた。これに限らず、3つ以上の複数であれば取付部42b及び係止爪42cをいくつ設けてもよい。取付部42b及び係止爪42cをそれぞれ3つ形成する場合には、例えば、各取付部42bは軸線Oを中心として120度間隔で設ける。そして、各取付部42bの先端部に係止爪42cを設け、前記各係止爪42cにおける内方側の部位を通る仮想円の直径を前記距離L1と同じ長さにする。そして、スプリング86に対して突片86a及び切欠き凹部87を軸線Oを中心として120度間隔で設ける。この各突片86aの先端を通る仮想円の直径を前記距離L2と同じ長さにする。このように構成しても、前記第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0084】
また、前記取付部42b及び係止爪42cの数は3つに限ることなく、3つ以上の複数個であればいくつでもよい。また、このような変更を第2,3実施形態に具体化してもよい。
【0085】
・前記第1実施形態の取付部42bでは、スプリング86を支持する機能とヨーク42のディファレンシャルキャリヤ22に対する回転防止の機能との両者の機能を兼用していた。これに限らず、取付部42bをスプリング86を支持する機能のみとして構成してもよい。即ち、図14に示すように、ヨーク42の後端側側面に、ヨーク42のディファレンシャルキャリヤ22に対する回転を防止する係合部としての回り止め突起95を設ける。そして、スプリング86には前記回り止め突起95を挿通するための切欠きを設ける。そして、後側キャリヤ22bにおける挿通孔81が形成されている部位には、軸線O方向へ延び、かつ前記回り止め突起95を挿入可能な被係合部としての図示しない回り止め溝を形成する。この場合、回り止め突起95と図示しない回り止め溝との係合によりヨーク42は後側キャリヤ22bに対して回転不能とされる。この場合、取付部42bは係合部に相当せず、回り止め溝81aは被係合部に相当しない。このように構成しても、前記第1実施形態の効果(1)〜(3)、(5)と同様の効果を奏する。
【0086】
逆に、前記回り止め突起95を後側キャリヤ22b側、回り止め突起95を挿入可能な図示しない回り止め溝をヨーク42側に設けるように駆動力伝達装置17を構成してもよい。このように構成しても、前記第1実施形態の効果(1)〜(3)、(5)と同様の効果を奏する。また、上記のような変更を第2,第3実施形態において具体化してもよい。
【0087】
・前記第1実施形態では、取付部42bの先端部に係止爪42cを設けていたが省略してもよい。この場合、スプリング86の両突片86aが一対の取付部42b間に圧入されるように構成する。また、上記のような変更を第2,第3実施形態において具体化してもよい。
【0088】
次に、上記各実施形態及び他の実施形態から把握できる技術的思想について、それらの効果と共に以下に記載する。
(イ)前記付勢部材は略円環状をなしていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。このように構成すると、付勢部材の孔には駆動力伝達装置に連結するシャフトを遊嵌できる。
【0089】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜6に記載の発明によれば、軸線が略水平な状態で装置の各部材及び各機構を組みつける際に、付勢部材が脱落せず効率よく組み付けできる。
【0090】
請求項2に記載の発明によれば、付勢部材は係止部により付勢部材取付部に対して離脱不能となる。
請求項3に記載の発明によれば、各付勢部材取付部に付勢部材の切欠き凹部が係合することで、付勢部材は付勢部材取付部に対して回動不能にできる。
【0091】
請求項4に記載の発明によれば、係合部と被係合部との係合によりヨークのケーシングに対する回転を防止できる。
請求項5に記載の発明によれば、付勢部材取付部と係合部とを別々に設ける必要がないので、付勢部材取付部と係合部とを別々で設けた場合と比べて構造を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態における駆動力伝達装置の正断面図。
【図2】 第1実施形態の駆動力伝達装置を搭載した車両の概略構成図。
【図3】 第1実施形態における駆動力伝達装置の要部拡大の正断面図。
【図4】 図1のA−A線矢視における後側キャリヤとヨークの断面図。
【図5】 図4の要部拡大図。
【図6】 (a)は、スプリングの正面図。(b)は、スプリングの側面図。
【図7】 第1実施形態におけるスプリング及びヨークの斜視図。
【図8】 (a)は、第2実施形態におけるスプリング及びヨークの斜視図。(b)は、第2実施形態におけるスプリングの側断面図。
【図9】 第2実施形態における駆動力伝達装置の要部拡大の正断面図。
【図10】 図9のB−B線矢視における後側キャリヤとヨークの断面図。
【図11】 第3実施形態における駆動力伝達装置の要部拡大の正断面図。
【図12】 図11のC−C線矢視におけるヨークの部分断面図。
【図13】 図11のD−D線矢視における後側キャリヤとヨークの断面図。
【図14】 他の実施形態におけるスプリング及びヨークの斜視図。
【図15】 従来技術における駆動力伝達装置の正断面図。
【符号の説明】
17…駆動力伝達装置、
22…ケーシングとしてのディファレンシャルキャリヤ、
31…第1回転部材としてのアウタケース、
32…第2回転部材としてのインナシャフト、42…ヨーク、
42b,96…付勢部材取付部及び係合部としての取付部、
42c,97…係止部としての係止爪、
61…摩擦クラッチ機構としての摩擦クラッチ、
62…電磁式の駆動機構の一部を構成するアーマチャ、
63…電磁式の駆動機構の一部を構成する電磁石、
80a…「ケーシングの内面」としての段部底面、
81a,99a…被係合部としての回り止め溝、
86,90…付勢部材としてのスプリング、87,91…切欠き凹部。

Claims (6)

  1. 互いに相対回転可能に位置する第1回転部材及び第2回転部材間に配設された摩擦クラッチ機構と、通電により作動して前記摩擦クラッチ機構を摩擦係合させる電磁式の駆動機構と、同駆動機構を構成する電磁石を支持した状態で前記第1回転部材に対してベアリングを介して相対回転可能に同第1回転部材の後端側に位置するヨークと、前記各部材及び各機構が収容されたケーシングとを備え、前記ヨークがケーシングに対して回動不能とされた駆動力伝達装置において、
    前記ケーシングの内面、又は前記ヨークのうちいずれか一方には付勢部材取付部が設けられ、
    前記付勢部材取付部には、自身の付勢に抗して前記ヨークの後端側と前記ケーシングの内面との両者に当接することで、前記ケーシングに対するヨークの軸線方向への移動を抑制する付勢部材が係止固定されたことを特徴とする駆動力伝達装置。
  2. 前記付勢部材取付部は複数個あり、前記各付勢部材取付部の先端には、前記付勢部材取付部から前記付勢部材を離脱不能とするための係止部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の駆動力伝達装置。
  3. 前記付勢部材の外周部には、前記付勢部材取付部と係合する複数個の切欠き凹部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の駆動力伝達装置。
  4. 前記ケーシングの内面、又は前記ヨークのうちいずれか一方には係合部、残りの他方には前記係合部に係合しヨークのケーシングに対する回転を防止する被係合部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の駆動力伝達装置。
  5. 前記付勢部材取付部は前記係合部を兼用していることを特徴とする請求項4に記載の駆動力伝達装置。
  6. 互いに相対回転可能に位置する第1回転部材及び第2回転部材間に配設された摩擦クラッチ機構と、通電により作動して前記摩擦クラッチ機構を摩擦係合させる電磁式の駆動機構と、同駆動機構を構成する電磁石を支持した状態で前記第1回転部材に対して相対回転可能に位置するヨークと、前記各部材及び各機構が収容されたケーシングとを備えた駆動力伝達装置において、
    前記ケーシングの内面、又は前記ヨークのうちいずれか一方には付勢部材取付部が設けられ、
    前記付勢部材取付部には、自身の付勢に抗して前記ヨークと前記ケーシングの内面との両者に当接することで、前記ケーシングに対するヨークの軸線方向への移動を抑制する付勢部材が離脱不能に取り付けられ、
    前記付勢部材取付部は複数個あり、前記各付勢部材取付部の先端には、前記付勢部材取付部から前記付勢部材を係止するための係止部を備え、
    前記付勢部材の外周部には、前記付勢部材取付部と係合する複数個の切欠き凹部が設けられていることを特徴とする駆動力伝達装置。
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