JP2006090476A - 慣性制動機構付き油圧式ptoクラッチ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ミッションケース1内に支持されたPTO推進軸3とこのPTO推進軸3から動力が伝達されるPTO伝動軸9とを遮断・接続するクラッチ機構8と、ミッションケース1に固定保持されるブレーキディスク20に向けて接近離隔可能で前記PTO伝動軸9に繋がるクラッチボディー13と一体的に回転するように該クラッチボディー13に装着した被制動プレート21を、クラッチ遮断時にクラッチピストン17の戻り動作によって周方向間隔をおいて配置された複数本のピン24を介してブレーキディスク20に弾圧させてPTO伝動軸9を制動する慣性制動機構19とを有する油圧式PTOクラッチにおいて、前記複数本のピン24をクラッチピストン17のシリンダ室14の径方向外側の位置でクラッチボディー13に摺動自在に支持している。
【選択図】図1
Description
上記クラッチボディーは、PTO伝動軸に連結されており、該クラッチボディーのシリンダ室内に嵌挿されたクラッチピストンを油圧力でクラッチ接続方向に動作させることによってPTO伝動軸とPTO推進軸とが接続される。このとき、被制動プレートは、クラッチピストンにピンで連結されていることによって、ブレーキディスク(ミッションケースの一部に固定保持されている)から離隔されて制動を解除し、PTO伝動軸からPTO軸を経由して作業機等を駆動できるように構成されている。
上記ピンは、クラッチピストンのクラッチ遮断・接続動作に連動して被制動プレートをブレーキディスクに弾圧・離隔動作させるための伝動部材であるとともに、被制動プレートの制動力をクラッチボディーに伝達する部材を兼ねているものである。
また、前記ピンは、前記クラッチピストンと前記被制動プレートとのいずれにも非連結とし、かつ、クラッチ遮断時にクラッチピストンと被制動プレートとに当接することを特徴としている。
また、前記クラッチボディーと被制動プレートは、両者の外周部の周方向複数箇所に形成した凹凸爪を相互に係合させてあることを特徴としている。
この構成によれば、クラッチボディーに被制動プレートを一体的に回転し、かつ、ブレーキディスクに向けて接近離隔可能に装着する構造を簡素化することができる。
この構成によれば、クラッチボディーの外径を大きくしたり、又は、シリンダ室の内径を小さくしたりすることなく、ピン支持部分とシリンダ室との間の肉厚を大きくとることができる。
図示の実施形態は、本発明の慣性制動機構付き油圧式PTOクラッチをトラクタ車体に組み込んだ場合を示しており、図3の全体図において、1はトラクタ車体の主要部を構成するミッションケースであって、このミッションケース1内には、エンジン(図示省略)からの動力が導入される走行系推進軸2及びこれに内挿されたPTO推進軸3が軸受を介して回転可能に支持されている。
走行系推進軸2には、後輪デフ装置4の駆動軸5に所定の変速動力を伝達するための走行系変速機構6が組み付けられており、この走行系変速機構6には、前輪デフ装置(図示省略)の駆動軸7へ動力を伝達する機構も含まれている。
PTO推進軸3は、クラッチ機構8を介してPTO伝動軸9にエンジン動力を伝達し、このPTO伝動軸9はミッションケース1の後部のPTO軸10にPTO変速機構11を介して動力を伝達するようになされている。
PTO推進軸3とPTO伝動軸9とは、ミッションケース1内で同一軸線上に対向配置され、いずれもミッションケース1内に軸受を介して相互に独立して回転可能に支持されている。
この慣性制動機構19は、ミッションケース1に固定保持されるブレーキディスク20と、クラッチボディー13に一体的に回転可能で前記ブレーキディスク20に向けて接近離隔可能に装着された被制動プレート21とを備えている。
ディスク取付体12は、カップ形状とされ、該カップ形状の底部にボス部12aが形成され、このボス部12aがPTO推進軸3の後端部外周面に形成されたスプライン軸部3aにスプライン嵌合され、該スプライン軸部3aに固着されたストッパーリング3bによって軸方向に位置決めされている。そして、ディスク取付体12のカップ形状の開口端側外周面全周囲に凹凸条が軸方向に所定長さで形成され、この凹凸条に係合する凹凸条を内周面に形成した複数枚のクラッチディスク15が軸方向に移動可能で回転はディスク取付体12と一体に行うように嵌合されている。
そして、クラッチボディー13と前記ディスク取付体12とは、相互のカップ形状の開口部側を向かい合わせて前者で後者を被覆するように同芯状に組み合わされている。
クラッチボディー13のノーズスリーブ13bは、ディスク取付体12のカップ形状内に向けて延設されており、このノーズスリーブ13bの先端は軸受29を介してディスク取付体12のカップ形状部内に回転可能に支持されている。
クラッチボディー13の大径内周面13dの開口端側内周面全周囲には、凹凸条が軸方向に所定長さで形成され、この凹凸条に係合する凹凸条を外周面に形成した複数枚のドライブプレート16が軸方向に移動可能で回転はクラッチボディー13と一体に行うように嵌合されている。
前記複数枚のクラッチディスク15と複数枚のドライブプレート16とは、軸線方向に交互に配置されている。
クラッチボディー13の大径内周面13dと小径内周面13cとの境界部の段差面13eにピン24の支持部としてのピン支持孔25が軸方向に貫通して形成されている。このピン支持孔25は、周方向に等間隔で複数個(図示例では3個)形成されている。
クラッチピストン17の小径外周面17aの一部には、クラッチボディー13の小径内周面13dに対応して気密を保持するOリング等の環状シール17dが装着され、また、ノーズスリーブ13bの外周面の一部には、クラッチピストン17の内周面17cに対応して気密を保持するOリング等の環状シール13fが装着されている。
このシリンダ室14には、給油カラー26に形成された給油口26a及びクラッチボディー13のボス部13aに形成された油路13gを通して油圧力が供給導入される。シリンダ室14内への油圧力の供給・排除は、図外のポンプから制御弁を介して行われる。
クラッチスプリング18は、コイル形状の圧縮バネが採用されており、これをディスク取付体12のカップ形状部内で前記ノーズスリーブ13bの先端付近に装着したバネ座30とクラッチピストン17の端面との間に圧縮介在させている。
被制動プレート21は、図1、図2に示すように、前記ブレーキディスク20と同様な円盤状のプレートが採用されており、その外周面に凹凸爪21aが周方向に等間隔に形成されている。また、前記クラッチボディー13のカップ形状の底部側軸方向端部外面には、被制動プレート21の前記凹凸爪21aに対応する凹凸爪13hが周方向に等間隔で形成されている。被制動プレート21の凹凸爪21aとクラッチディスク13の凹凸爪13hとを係合させることにより、被制動プレート21は、クラッチディスク13と同一軸線上でクラッチディスク13に対して軸方向に移動可能で回転はクラッチボディー13と一体にするように構成されている。この構成によって、被制動プレート21は、クラッチボディー13に対して、ブレーキディスク20に向けて接近離隔可能とされていると共にクラッチボディー13と一体的に回転するように係合されている。
ピン24は、クラッチピストン17と被制動プレート21とのいずれにも非連結とされ、かつ、クラッチ遮断時にクラッチピストン17と被制動プレート21とに当接してクラッチスプリング18のバネ力をクラッチピストン17を介して被制動プレート21に伝達して該被制動プレート21をブレーキディスク20に弾圧させるように前記クラッチボディー13のピン支持孔25に摺動自在に支持されている。
また、ピン24の支持位置は、被制動プレート21の凹凸爪21aの凸部に対応する位置としている。このようにすることにより、クラッチボディー13の外径を大きくしたり、又は、シリンダ室14の内径を小さくしたりすることなく、シリンダ室14とピン支持孔25との間の径方向肉厚を大きくすることができる。
シリンダ室14の油圧力が排除されると、クラッチスプリング18のバネ力によってクラッチピストン17がクラッチボディー13のカップ形状の底部側へ押し動かされ、クラッチディスク15とドライブプレート16との圧接を解除してクラッチ遮断状態とし、クラッチピストン17及びピン24を介して被制動プレート21がブレーキディスク20に向けて弾圧されて被制動プレート21及びクラッチボディー13を介してPTO伝動軸9に制動が掛かり、PTO伝動軸9の慣性回転が制動される。
次に、上記トラクタの走行系トランスミッションに適用されるPTO変速機構11の軸受構造を説明する。
上記PTO変速機構11は、図4に示すように、PTO伝動軸9からPTO軸10に変速して出力させるために両軸に伝動ギヤ31、32が噛み合い状態でミッションケース1の後端部の端部カバー33に設置されている。
次に、トラクタのパワーステアリング用油圧供給手段やトラクタ後部に設置される3点リンクヒッチ機構駆動用油圧供給手段等への油圧供給手段としてミッションケース1に取り付けられるポンプ動力取出構造について説明する。
そこで、本発明は、図5に示すように、PTO推進軸3より一対のベベルギヤ41,42で動力を取り出してポンプ入力軸43を回転駆動するようにしたものである。
この場合、ポンプ動力取出位置は、PTO推進軸3の後端付近を軸受44を介して回転自在に支持しているミッションケース1の支持ブラケット45とクラッチ機構8の設置位置との間とされている。
他方のベベルギヤ42は、軸方向の一方に伸びる筒軸状のボス部42aが中空軸構造とされ、このボス部42aが軸方向に離隔した2カ所で軸受47,48を介して取付用ケース49に回転自在に支持され、位置決めリング50,51で軸方向の位置決めがなされている。上記ボス部42aの一端部内周面にはスプライン溝42bが形成されており、このスプライン溝42bにポンプ入力軸43がスプライン嵌合されている。
上記構成によって、ポンプ動力取出構造は、部品点数が削減され、構造も簡素化されるため、コストダウンが可能となる。
図6は、ポンプ動力取出構造の別の実施形態を示すもので、取付用ケース49を省略して、ポンプ本体52の取付フランジ部53をミッションケース1の側面の取付座面54に直付けするようにしたものである。この場合、ミッションケース1の側面の取付座面54には、ポンプ入力軸43と連結されるベベルギヤ42を回転自在に支持する筒状部55が一体に形成され、この筒状部55にベベルギヤ42が軸受47,48を介して回転自在に組み込まれるものである。なお、その他の構成は、図5と同様である。
2 走行系推進軸
3 PTO推進軸
4 後輪デフ装置
5 後輪デフ装置の駆動軸
6 走行系変速機構
7 前輪デフ装置の駆動軸
8 クラッチ機構
9 PTO伝動軸
10 PTO軸
11 PTO変速機構
12 ディスク取付体
13 クラッチボディー
14 シリンダ室
15 クラッチディスク
16 ドライブプレート
17 クラッチピストン
18 クラッチスプリング
19 慣性制動機構
20 ブレーキディスク
21 被制動プレート
22 プレッシャープレート
23a ストッパーリング
23b 皿バネ
24 ピン
25 ピン支持孔(ピン支持部)
Claims (4)
- ミッションケース内に支持されたPTO推進軸とこのPTO推進軸から動力が伝達されるPTO伝動軸とを遮断・接続するクラッチ機構と、ミッションケースに固定保持されるブレーキディスクに向けて接近離隔可能で前記PTO伝動軸に繋がるクラッチボディーと一体的に回転するように該クラッチボディーに装着した被制動プレートを、クラッチ遮断時にクラッチピストンの戻り動作によって周方向間隔をおいて配置された複数本のピンを介してブレーキディスクに弾圧させてPTO伝動軸を制動する慣性制動機構とを有する油圧式PTOクラッチにおいて、
前記複数本のピンをクラッチピストンのシリンダ室の径方向外側の位置でクラッチボディーに摺動自在に支持していることを特徴とする慣性制動機構付き油圧式PTOクラッチ。 - 前記ピンは、前記クラッチピストンと前記被制動プレートとのいずれにも非連結とし、かつ、クラッチ遮断時にクラッチピストンと被制動プレートとに当接することを特徴とする請求項1に記載の慣性制動機構付き油圧式PTOクラッチ。
- 前記クラッチボディーと被制動プレートは、両者の外周部の周方向複数箇所に形成した凹凸爪を相互に係合させてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の慣性制動機構付き油圧式PTOクラッチ。
- 前記ピンのクラッチボディーへの支持位置は、前記被制動プレートの凹凸爪の凸部に対応した位置としていることを特徴とする請求項3に記載の慣性制動機構付き油圧式PTOクラッチ。
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