JP4962088B2 - 薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法 - Google Patents
薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法 Download PDFInfo
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Description
なお、この赤外線検出センサに用いられるサーミスタ薄膜は、例えば表面にSiO2層(絶縁層)が形成されたSi基板や、アルミナ基板又は石英基板等の絶縁基板上に形成されている。
このように各種の工夫がなされた薄膜サーミスタが知られているが、いずれの場合であっても基本的な構成は上述したとおりである。このうち電極の材料としては、通常酸化防止を目的として、金(Au)や白金(Pt)等の貴金属が用いられている。ところがこの貴金属は、サーミスタ薄膜との接合性が悪く、十分な接合強度を得られないため接合不良が起こり易いものであった。
即ち、接合層を有する薄膜サーミスタを耐熱試験すると、抵抗値が著しく上昇してしまい、試験前の状態から抵抗値変化率が10%以上変化する不都合が生じてしまうものであった。その結果、特性が変化してしまい、品質及び信頼性の低下を招くものであった。
この原因としては、酸化度が高いCrやTi等の接合層が高温環境下で酸化してしまい、CrOやTiO2となり接合層自体が高抵抗化してしまう点が考えられる。このため、接合層を用いずに、直接AuやPt等の貴金属の電極をサーミスタ薄膜上に形成すると、上述したようにサーミスタ薄膜に対して電極の接合性が不十分であると共に、ワイヤーボンディングによるリード線を電極パッド部にボンディングする際、加熱処理とボンディングの衝撃で電極パッド部の電極が剥離してしまう不都合がある。
本発明に係る薄膜サーミスタは、表面に絶縁層が形成された基板又は絶縁基板と、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面にパターン形成されたサーミスタ薄膜と、貴金属以外の金属材料で形成され、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の端部に亘ってパターン形成された接合層と、該接合層上から前記サーミスタ薄膜の上面に亘ってパターン形成された貴金属からなる電極と、を備えていることを特徴とする。
また、本発明の薄膜サーミスタの製造方法は、少なくとも前記サーミスタ薄膜の上面全体を前記電極と共に覆う絶縁性保護膜をパターン形成することを特徴とする。
上記サーミスタ薄膜4は、Mn−Co系複合金属酸化物(例えば、Mn3O4−Co3O4系複合金属酸化物)又は、Mn−Co系複合金属酸化物に、Ni、Fe、Cuのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物(例えば、Mn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物)からなる複合金属酸化物膜であり、結晶面(100)面に配向したスピネル型結晶構造であって、膜厚方向に延在する柱状結晶構造を有している。
この一対の電極6は、パッド部6cにワイヤーボンディングされたリード線により外部と導通するようになっている。
ここでは、Crの接合層5及びAuの電極6を備えた薄膜サーミスタの製造方法について説明する。
この後、耐熱性向上のため300℃〜900℃の範囲、より好ましくは600℃〜900℃の範囲で、所定時間アニール処理を行う。例えば、600℃で1時間のアニール処理を行う。これにより、抵抗値及びB定数の信頼性の高いサーミスタ薄膜4が得られる。
続いて、硝酸セリウムアンモニウム溶液を用いたウェットエッチングにより、Cr薄膜をパターニングされた上記Au薄膜と同様の構造にパターニングする。すなわち、接合層5として、端部接合部5a、引き出し部5b及びパッド部5cが形成される。
上記工程により、1枚の基板上に多数の薄膜サーミスタ1を形成し、その基板を切断することにより個々の薄膜サーミスタ1とする。
また、上記製造工程では、パターニング後にアニール処理を施してサーミスタ薄膜4を形成しているが、逆に成膜後にアニール処理を施してからパターニングしても構わない。
Claims (4)
- 表面に絶縁層が形成された基板又は絶縁基板と、
前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面にパターン形成されたサーミスタ薄膜と、
貴金属以外の金属材料で形成され、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の端部に亘ってパターン形成され前記サーミスタ薄膜の端部に接合された端部接合部を有している接合層と、
該接合層上から前記サーミスタ薄膜の上面に亘ってパターン形成された貴金属からなる電極と、を備えていることを特徴とする薄膜サーミスタ。 - 請求項1に記載の薄膜サーミスタにおいて、
少なくとも前記サーミスタ薄膜の上面全体を前記電極と共に覆う絶縁性保護膜を備えていることを特徴とする薄膜サーミスタ。 - 基板上の絶縁層又は絶縁基板の上面にサーミスタ薄膜をパターン形成する薄膜形成工程と、
前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の端部に亘って、貴金属以外の金属材料により接合層をパターン形成すると共に前記サーミスタ薄膜の端部に接合された端部接合部を形成する接合層形成工程と、
前記接合層上から前記サーミスタ薄膜の上面に亘って貴金属材料により電極をパターン形成する電極形成工程と、を有することを特徴とする薄膜サーミスタの製造方法。 - 請求項3に記載の薄膜サーミスタの製造方法において、
少なくとも前記サーミスタ薄膜の上面全体を前記電極と共に覆う絶縁性保護膜をパターン形成することを特徴とする薄膜サーミスタの製造方法。
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