JP4962087B2 - 薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法 - Google Patents

薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば赤外線検出センサに用いられる薄膜サーミスタ及び該薄膜サーミスタの製造方法に関するものである。
近年、非接触で温度を測定できる赤外線検出素子の開発が盛んになってきている。赤外線検出素子は、物体や人体から放出される微弱な赤外線を検出するのに用いられることが多く、高感度であることが要求される。この赤外線検出素子には、熱電対を直列に接続したサーモパイル型、特定材料の焦電効果を利用した焦電型、特定金属酸化物の抵抗率温度依存性を利用したサーミスタ型の三種類がある。
これらのうち、製品の微細化や高性能化、低価格化の潮流に乗った製品として、サーミスタ薄膜を半導体基板等の基板上に形成し、各種配線等を施したサーミスタ型の赤外線検出センサが注目され始めている。このサーミスタ薄膜を用いた赤外線検出センサの一般的な構造は、絶縁基板又は上面に絶縁層が形成された基板と、絶縁基板又は絶縁層の上面に形成されたサーミスタ薄膜と、該サーミスタ薄膜の上面に形成された一対の電極と、から構成されている。
このように構成された赤外線検出センサにおいては、照射された赤外線を受光してサーミスタ薄膜の温度が変化すると、サーミスタ薄膜の抵抗が変化するので、この抵抗変化を一対の電極で検出して赤外線を検知できるようになっている。
なお、この赤外線検出センサに用いられるサーミスタ薄膜は、例えば表面にSiO2層(絶縁層)が形成されたSi基板や、アルミナ基板又は石英基板等の絶縁基板上に形成されている。
上述した赤外線検出センサ等して用いられる薄膜サーミスタは、現在様々なものが提供されている。例えば、熱応答性に優れたもの(特許文献1及び2参照)、電極の断線を防止してセンサとしての特性を安定化させたもの(特許文献3参照)が提供されている。
このように各種の工夫がなされた薄膜サーミスタが知られているが、いずれの場合であっても基本的な構成は上述したとおりである。このうち電極の材料としては、通常酸化防止を目的として、金(Au)や白金(Pt)等の貴金属が用いられている。ところがこの貴金属は、サーミスタ薄膜との接合性が悪く、十分な接合強度を得られないため接合不良が起こり易いものであった。
そのため、ウエハ内での抵抗値ばらつきや、製造途中での電極の剥がれや、耐熱試験における抵抗値の経時変化等、各種の不都合を引き起こしてしまっていた。そこで、このような不都合をなくすため、電極とサーミスタ薄膜との間に、サーミスタ薄膜との接合性に優れたCrやTi等の接合層を1層介在させることが行われている。この接合層は、サーミスタ薄膜に対して接合性が優れているだけでなく、貴金属から形成された電極に対しても金属同士であるので、接合性に優れている。その結果、接合不良を極力なくして上述した不都合をなくしている。
特開昭61−160902号公報 特開昭61−242002号公報 特開2006−261661号公報
しかしながら、上記従来の薄膜サーミスタには、以下の課題が残されている。
即ち、接合層を有する薄膜サーミスタを耐熱試験すると、抵抗値が著しく上昇してしまい、試験前の状態から抵抗値変化率が10%以上変化する不都合が生じてしまうものであった。その結果、特性が変化してしまい、品質及び信頼性の低下を招くものであった。
この原因としては、主に2つの原因が考えられる。即ち、接合層が酸化してしまい、接合層自体が高抵抗化してしまう点と、接合層がサーミスタ薄膜内から酸素を奪ってしまい、接合層下のサーミスタ薄膜の酸素欠乏を引き起こすことで、サーミスタ薄膜自体が高抵抗化してしまう点と、が考えられる。その結果、薄膜サーミスタの抵抗値が上昇してしまい、試験前の状態よりも抵抗値が大きく変化してしまうものであった。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、耐熱試験時での抵抗値変化を抑制しながら電極の接合不良をなくすことができ、品質及び信頼性が向上した薄膜サーミスタ及び該薄膜サーミスタの製造方法を提供することである。
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る薄膜サーミスタは、表面に絶縁層が形成された基板又は絶縁基板と、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面にパターン形成されたサーミスタ薄膜と、貴金属以外の金属材料で形成され、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の上面に亘ってパターン形成された接合層と、該接合層上に形成された貴金属からなる電極と、を備え、前記接合層と重なる領域の前記サーミスタ薄膜の厚みに対する前記接合層の厚みが、比率0.0007から0.006の範囲内であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る薄膜サーミスタの製造方法は、基板上の絶縁層又は絶縁基板の上面にサーミスタ薄膜をパターン形成する薄膜形成工程と、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の上面に亘って、貴金属以外の金属材料により接合層をパターン形成する接合層形成工程と、前記接合層上に貴金属材料により電極を形成する電極形成工程と、を備え、前記薄膜形成工程及び前記接合層形成工程の際に、前記接合層と重なる領域の前記サーミスタ薄膜の厚みに対する前記接合層の厚みが、比率0.0007から0.006の範囲内となるように、前記サーミスタ薄膜及び前記接合層をそれぞれ形成することを特徴とするものである。
これらの薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法においては、電極が絶縁層又は絶縁基板の上面からサーミスタ薄膜の上面に亘って下地層でもある接合層を介して形成されている。ここで、接合層は、貴金属以外の金属(CrやTi等)で形成されているので、サーミスタ薄膜に対して接合性に優れた金属を選択できると共に、同じ金属同士でもある電極に対しても接合性が優れている。そのため、電極を十分な接合強度で安定に接合することができ、接合不良を防止して高品質化を図ることができる。
しかも、接合層と重なる領域の前記サーミスタ薄膜の厚みに対する接合層の厚みが、比率0.0007から0.006の範囲内となるように形成されているので、サーミスタ薄膜の厚みを十分厚く、且つ、接合層の厚みを十分薄くした状態にすることができる。そのため耐熱試験を行った際に、接合層がサーミスタ薄膜から奪う酸素量を極力低減することができると共に、酸素が奪われたとしても、接合層下におけるサーミスタ薄膜内の酸素濃度が集中して減少してしまうことを防止することができる。その結果、耐熱試験前の状態よりも抵抗値が過度に上昇してしまうことを防止でき、耐熱試験時の抵抗値変化を抑制することができる。
また、本発明に係る薄膜サーミスタは、上記本発明の薄膜サーミスタにおいて、前記サーミスタ薄膜が、700nm以下の厚みで形成されていることを特徴とするものである。
この発明に係る薄膜サーミスタにおいては、サーミスタ薄膜が700nm以下の厚みであるので、形成過程中にヒビや割れ等が発生することを防止することができる。特に、アニール処理を行ったとしても、この処理中にヒビや割れが発生することを防止することができる。従って、さらなる高品質化を図ることができる。
また、本発明に係る薄膜サーミスタは、上記本発明の薄膜サーミスタにおいて、前記接合層が、0.5nm以上の厚みで形成されていることを特徴とするものである。
この発明に係る薄膜サーミスタにおいては、接合層が0.5nm以上の厚みであるので、電極をより強固に接合することができる。仮に、接合層の厚みを0.5nmよりも薄くした場合には、接合層を介在させない場合に近くなり、電極の接合不良が生じやすい。そのため、接合層の厚みを0.5nm以上にすることが好ましい。
また、本発明に係る薄膜サーミスタは、上記本発明のいずれかの薄膜サーミスタにおいて、前記サーミスタ薄膜が、前記接合層と重なる領域とそれ以外の領域とで厚みが異なる2段構成とされ、接合層と重なる領域の厚みよりもそれ以外の領域の厚みの方が薄くなるように形成されていることを特徴とするものである。
この発明に係る薄膜サーミスタにおいては、サーミスタ薄膜の厚みが、接合層と重なる領域とそれ以外の領域とで異なっている。このうち、接合層と重なっていない領域は、接合層と重なっている領域に比べて、実際に測定に寄与する感熱領域となっており、この領域の厚みが薄くなっている。そのため、この感熱領域の熱容量を減らすことができ、サーミスタ薄膜自体の熱応答性を向上することができる。従って、熱応答性に優れたより高品質な薄膜サーミスタとすることができる。
また、本発明に係る薄膜サーミスタは、上記本発明のいずれかの薄膜サーミスタにおいて、前記接合層及び前記電極が、前記サーミスタ薄膜を600℃以上でアニール処理した後に形成されたものであることを特徴とするものである。
この発明に係る薄膜サーミスタにおいては、サーミスタ薄膜をアニール処理した後に接合層及び電極を形成しているので、接合層及び電極がアニール処理の影響を受けず、抵抗値変動をさらに抑制することができる。
本発明に係る薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法によれば、耐熱試験時での抵抗値変化を抑制することができると共に、十分な接合強度で安定に接合された電極とすることができる。従って、安定した特性を確保することができ、品質及び信頼性の向上化を図ることができる。また、本発明に係る薄膜サーミスタを赤外線検出センサとして用いた場合には、信頼性が高く、高性能なセンサとして好適に利用できる。
以下、本発明に係る薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法の第1実施形態を、図1及び図2を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
本実施形態の薄膜サーミスタ1は、表面にSiO2層(絶縁層)2が形成されたシリコン基板(基板)3と、SiO2層2の上面にパターン形成されたサーミスタ薄膜4と、SiO2層2の上面からサーミスタ薄膜4の上面に亘って形成された一対の接合層5と、これら接合層5上に形成された一対の電極6と、少なくともサーミスタ薄膜4を内部に封止する保護膜7と、を備えている。
上記SiO2層2は、シリコン基板3の表面を熱酸化することで形成されたものであって、例えば、厚みが0.1μm以上1.5μm以下である。
上記サーミスタ薄膜4は、Mn−Co系複合金属酸化物(例えば、Mn34−Co34系複合金属酸化物)又は、Mn−Co系複合金属酸化物に、Ni、Fe、Cuのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物(例えば、Mn34−Co34−Fe23系複合金属酸化物)からなる複合金属酸化物膜であり、結晶面(100)面に配向したスピネル型結晶構造であって、膜厚方向に延在する柱状結晶構造を有している。
本実施形態のサーミスタ薄膜4は、SiO2層2の上面に、スパッタリング法により平面視略正方形状に成膜されたものであり、その後、所定時間アニール処理されている。
なお、上記MnとCoとのモル比は、4:6程度が適当であり、Feを含む場合には、Mn:Co:Feのモル比は(20〜60):(2〜65):(9〜40)程度が適当である。このサーミスタ薄膜4は、半導体の性状を呈し、温度が上昇すると抵抗が低くなる負特性、いわゆるNTCサーミスタ(Negative Temperature Coefficient Thermistor)の性質を有している。
一対の接合層5は、貴金属以外の金属材料(例えば、CrやTi、又はこれらの合金等)により、サーミスタ薄膜4の上面からSiO2層2の上面に亘って形成されている。この一対の接合層5は、一対の電極6の下地層となるものであり、成膜される面の材料(本実施形態ではSiO2層2及びサーミスタ薄膜4)との接合強度が電極6の貴金属材料よりも高い金属材料で構成される。また、本実施形態の接合層5は、それぞれサーミスタ薄膜4の上面に形成された櫛歯部5aと、該櫛歯部5aに接続され、SiO2層2の上面に引き出された引き出し部5bと、引き出し部5bに接続されたパッド部5cとを有している。
また、本実施形態では、接合層5と重なる領域のサーミスタ薄膜4の厚みT1に対する接合層5の厚みT2が、比率0.0007〜0.006の範囲内になるように厚み調整されている。
一対の電極6は、貴金属材料(例えば、AuやPt等)により、一対の接合層5上に形成されている。即ち、一対の電極6は、それぞれ櫛歯部5a上に形成された櫛歯電極部6aと、引き出し部5b上に形成された引き出し電極部6bと、パッド部5c上に形成されたパッド電極部6cとで一体的に形成されている。この一対の電極6は、パッド電極部6cを介して外部と導通するようになっている。
上記保護膜7は、櫛歯電極部6a及びサーミスタ薄膜4を覆うように平面視略正方形状に形成されている。これにより、少なくともサーミスタ薄膜4を内部に封止している。この保護膜7は、例えば、SiO2膜である。但し、これに限られず、絶縁性で外部雰囲気を遮断できれば、ガラスや耐熱樹脂等の膜でも構わない。
次に、このように構成された薄膜サーミスタ1の製造方法について説明する。
まず、熱酸化法により、シリコン基板3の表面に上述した厚みのSiO2層2を形成する。次いで、このSiO2層2の上面にサーミスタ薄膜4をパターン形成する薄膜形成工程を行う。即ち、SiO2層2の全面に所定のスパッタ条件で上述した複合金属酸化物膜をスパッタリング法で成膜する。
続いて、フォトリソグラフィ技術により、複合金属酸化物膜の上面であってサーミスタ薄膜4を形成する領域にフォトレジスト膜をパターニングする。そして、フォトレジスト膜をマスクとして、所定の溶液を利用したウェットエッチング加工によりマスクされていない複合金属酸化物膜を選択的に除去する。そして、マスクとしていたフォトレジスト膜を除去する。これにより、SiO2層2の上面に平面視略正方形状のサーミスタ薄膜4をパターン形成することができる。
この後、耐熱性向上のため300℃〜900℃の範囲、より好ましくは600℃〜900℃の範囲で、所定時間アニール処理を行う。
次いで、サーミスタ薄膜4の上面からSiO2層2の上面に亘って、一対の接合層5をパターン形成する接合層形成工程を行う。即ち、まず、サーミスタ薄膜4の上面からSiO2層2の上面に亘って、一対の接合層5及び一対の電極6が形成される領域以外の部分にリフトオフ法により、フォトレジスト膜を塗布する。続いて、CrやTi等の貴金属以外の金属材料をスパッタリング法により成膜する。これにより、一対の接合層5をパターン形成することができる。
この際、接合層5と重なる領域のサーミスタ薄膜4の厚みT1に対する接合層5の厚みT2が、比率0.0007〜0.006の範囲内になるように接合層5の厚みを調整する。例えば、サーミスタ薄膜4の厚みT1を500nmで形成した場合には、接合層5の厚みT2を3nmにする。これにより、(接合層5の厚みT2/サーミスタ薄膜4の厚みT1)の比率は、0.006となる。
続いて、一対の電極6を形成する電極形成工程を行う。即ち、一対の接合層5を形成した際のスパッタ装置の真空をそのままの状態にして、一対の接合層5上にAuやPt等の貴金属材料をスパッタリング法により続けて成膜する。これにより、一対の接合層5上に一対の電極6を形成することができる。その後、フォトレジスト膜を除去する。
次いで、サーミスタ薄膜4を内部に封止する保護膜7を形成する保護膜形成工程を行う。即ち、SiO2層2の全面に保護膜7を成膜した後、サーミスタ薄膜4に重なる領域にフォトレジスト膜を形成する。そして、このフォトレジスト膜をマスクとして、所定の溶液を利用したウェットエッチング加工によりマスクされていない保護膜7を選択的に除去する。そして、マスクとしていたフォトレジスト膜を除去する。これにより、櫛歯電極部6a及びサーミスタ薄膜4を内部に封止することができると共に、パッド電極部6cを外部に露出させることができる。
その結果、図1及び図2に示す薄膜サーミスタ1を製造することができる。
この薄膜サーミスタ1では、接合層5が貴金属以外の金属で形成されているので、サーミスタ薄膜4に対して接合性が優れていると共に、同じ金属同士でもある電極6に対しても接合性が優れている。従って、電極6を十分な接合強度で安定に接合することができ、接合不良を防止して高品質化を図ることができる。
しかも、接合層5と重なる領域のサーミスタ薄膜4の厚みT1に対する接合層5の厚みT2が、比率0.0007〜0.006の範囲内となるように形成されているので、サーミスタ薄膜4の厚みT1を十分厚く、且つ、接合層5の厚みT2を十分薄くした状態にすることができる。そのため、この薄膜サーミスタ1を耐熱試験した際に、接合層5がサーミスタ薄膜4から奪う酸素量を極力低減することができると共に、酸素が奪われたとしても、接合層5下におけるサーミスタ薄膜4内の酸素濃度が集中して減少してしまうことを防止することができる。
その結果、試験前の状態よりも抵抗値が過度に上昇してしまうことを防止でき、耐熱試験時の抵抗値変化を抑制することができる。よって、安定した特性を確保することができ、品質及び信頼性の向上化を図ることができる。
また、サーミスタ薄膜4をアニール処理した後に接合層5及び電極6を形成しているので、接合層5及び電極6がアニール処理の影響を受けず、抵抗値変動をさらに抑制することができる。更に、保護膜7によってサーミスタ薄膜4が内部に封止されているので、該サーミスタ薄膜4が外部に晒されることがない。そのため、サーミスタ薄膜4が外部から影響を受けてしまうことを防止でき、長期使用しても特性が変化し難い。よって、長期に亘って測定精度を安定化させることができる。
上述したように、本実施形態の薄膜サーミスタ1によれば、耐熱試験時での抵抗値変化を抑制することができると共に、十分な接合強度で安定に接合された電極6とすることができる。よって、本実施形態の薄膜サーミスタ1を赤外線検出センサとして用いた場合には、信頼性が高く、高性能なセンサとして好適に利用することができる。
なお、上記実施形態において、サーミスタ薄膜4の厚みT1を700nm以下にすることが好ましい。サーミスタ薄膜4の厚みT1をこのように規制することで、サーミスタ薄膜4を形成する過程中にヒビや割れ等が発生することを防止することができる。特に、アニール処理を行ったとしても、この処理中にヒビや割れ等が発生することを防止することができる。従って、さらなる高品質化を図ることができる。
また、上記実施形態において、接合層5の厚みT2を0.5nm以上の厚みで形成することが好ましい。このように接合層5の厚みT2を規制することで、電極6をより強固に接合することができる。仮に、接合層5の厚みT2を0.5nmよりも薄くした場合には、接合層5を介在させない場合に近くなり、電極6の接合不良が生じやすい。そのため、接合層5の厚みT2を0.5nm以上にすることが好ましい。
次に、本発明に係る薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法の第2実施形態について、図3及び図4を参照して説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、サーミスタ薄膜4が均一の厚みであったのに対し、第2実施形態の薄膜サーミスタ10は、サーミスタ薄膜4の厚みが2段に構成されている点である。
即ち、本実施形態の薄膜サーミスタ10は、図3及び図4に示すように、サーミスタ薄膜4が、接合層5と重なる領域とそれ以外の領域とで厚みが異なる2段構成とされており、接合層5と重なる領域の厚みT3よりもそれ以外の領域の厚みT4の方が薄くなるように形成されている。具体的には、櫛歯電極部6a間のサーミスタ薄膜4の厚みT4が、櫛歯電極部6a下のサーミスタ薄膜4の厚みT3よりも薄くなるように形成されている。
サーミスタ薄膜4は、櫛歯電極部6a間の部分が実際に測定に寄与する感熱領域となっており、この領域の厚みが薄くなっている。そのため、この感熱領域の熱容量を減らすことができ、サーミスタ薄膜4自体の熱応答性を向上することができる。従って、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができることに加え、熱応答性に優れたより高品質な薄膜サーミスタ1とすることができる。
次に、本発明に係る薄膜サーミスタを上述した第1実施形態の製造方法で実際に製造した実施例を、図5及び図6を参照して具体的に説明する。
第1実施形態の製造方法に基づいて、サーミスタ薄膜4をスパッタ装置にて成膜した後、大気雰囲気中において600℃で1時間のアニール処理を行った。また、接合層5の材料としてCrを使用し、電極6の材料としてAuを使用した。この条件で薄膜サーミスタ1を製造した後、初期抵抗値を25℃の雰囲気下でマルチメータにより測定した。その後、大気雰囲気にて150℃で500時間の耐熱試験を行い、耐熱試験終了後、25℃の雰囲気下で再度抵抗値を測定して、初期値からの抵抗値変化率を算出した。
その結果を図5に示す。なお、図5において、縦軸は抵抗値変化率を示し、横軸は(接合層5の厚みT2/サーミスタ薄膜4の厚みT1)の比率を示している。この図5に示すように、厚みの比率が0.006以下の場合には、抵抗値変化率が5%以下で、しかも抵抗値変化率が大きく変化しないことが確認できた。つまり、耐熱試験時の抵抗値変化を抑制できたことが確認できた。
更に、接合層5の厚みT2を0.5nmよりも薄くした場合には、電極6が接合不良となったことが確認できた。加えて、サーミスタ薄膜4の厚みT1を700nmよりも厚くして、600℃以上でアニール処理を行った場合には、以下の表1に示すように、サーミスタ薄膜4にクラックが発生したことが確認された。
Figure 0004962087
これらの結果から、接合層5の厚みT2の下限は0.5nm以上であり、サーミスタ薄膜4の厚みT1の上限は700nm以下とすることが好ましいことが判明した。これに基づいて計算すると、(接合層5の厚みT2/サーミスタ薄膜4の厚みT1)の比率は、0.0007以上であることが確認された。
なお、上記実施例では、接合層5がCr、電極6がAuであったが、接合層5がTi、電極6がPtの場合や、接合層5がTi、電極6がAuの場合や、接合層5がCr、電極6がPtの場合であっても同様の結果が得ることができた。
また、本発明に係る薄膜サーミスタを上述した第2実施形態の製造方法で製造した実施例について説明する。
第2実施形態の製造方法に基づいて、サーミスタ薄膜4を製造した。この際、接合層5の厚みを3nm、サーミスタ薄膜4の厚みを500nmにて製造を行った。即ち、厚みの比率は、0.006である。その結果、第2実施形態の薄膜サーミスタ10によれば、抵抗値変化が減少すると共に、感熱部分の熱容量が小さくなり、熱応答性が向上するという望ましい特性を得ることができた。
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、表面にSiO2層2が形成されたシリコン基板3を用いた場合を例にしたが、シリコン基板3に限られず、その他の半導体基板でも構わない。また、半導体基板だけでなく、アルミナ基板や石英基板等の絶縁基板を利用しても構わない。この場合には、絶縁基板の上面に直接サーミスタ薄膜を形成すれば良い。
また、上記製造工程では、パターニング後にアニール処理を施してサーミスタ薄膜4を形成しているが、逆に成膜後にアニール処理を施してからパターニングしても構わない。
本発明に係る薄膜サーミスタの第1実施形態において、保護膜のみを分解して示す全体斜視図である。 第1実施形態の薄膜サーミスタにおいて、サーミスタ薄膜の部分からパッド部までの電極に沿った要部断面図である。 本発明に係る薄膜サーミスタの第2実施形態を示す要部上面図である。 図3に示す断面矢視A−A図である。 本発明に係る薄膜サーミスタの実施例において、耐熱試験前後の抵抗値の変化率と、(接合層の厚み/サーミスタ薄膜の厚み)の比率との関係を示した図である。
符号の説明
1…薄膜サーミスタ、2…SiO2層(絶縁層)、3…シリコン基板(基板)、4…サーミスタ薄膜、5…接合層、6…電極、7…保護膜

Claims (4)

  1. 表面に絶縁層が形成された基板又は絶縁基板と、
    前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面にパターン形成されたサーミスタ薄膜と、
    貴金属以外の金属材料で形成され、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の上面に亘ってパターン形成された接合層と、
    該接合層上に形成された貴金属からなる電極と、を備え、
    前記サーミスタ薄膜は、700nm以下の厚みで形成され、
    前記接合層は、0.5nm以上の厚みで形成され、
    前記接合層と重なる領域の前記サーミスタ薄膜の厚みに対する前記接合層の厚みが、比率0.0007から0.006の範囲内であり、
    前記サーミスタ薄膜が、Mn−Co系複合金属酸化物又は、Mn−Co系複合金属酸化物に、Ni、Fe、Cuのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物からなる複合金属酸化物膜であることを特徴とする薄膜サーミスタ。
  2. 請求項に記載の薄膜サーミスタにおいて、
    前記サーミスタ薄膜は、前記接合層と重なる領域とそれ以外の領域とで厚みが異なる2段構成とされ、前記接合層と重なる領域の厚みよりもそれ以外の領域の厚みの方が薄くなるように形成されていることを特徴とする薄膜サーミスタ。
  3. 請求項1または2に記載の薄膜サーミスタにおいて、
    前記接合層及び前記電極が、前記サーミスタ薄膜を600℃以上でアニール処理した後に形成されたものであることを特徴とする薄膜サーミスタ。
  4. 基板上の絶縁層又は絶縁基板の上面にサーミスタ薄膜をパターン形成する薄膜形成工程と、
    前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の上面に亘って、貴金属以外の金属材料により接合層をパターン形成する接合層形成工程と、
    前記接合層上に貴金属材料により電極を形成する電極形成工程と、を備え、
    前記薄膜形成工程及び前記接合層形成工程の際に、前記サーミスタ薄膜を、700nm以下の厚みで形成し、前記接合層を、0.5nm以上の厚みで形成し、前記接合層と重なる領域の前記サーミスタ薄膜の厚みに対する前記接合層の厚みが、比率0.0007から0.006の範囲内となるように前記サーミスタ薄膜及び前記接合層をそれぞれ形成し、
    前記サーミスタ薄膜が、Mn−Co系複合金属酸化物又は、Mn−Co系複合金属酸化物に、Ni、Fe、Cuのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物からなる複合金属酸化物膜であることを特徴とする薄膜サーミスタの製造方法。
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