JP4962087B2 - 薄膜サーミスタ及び薄膜サーミスタの製造方法 - Google Patents
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なお、この赤外線検出センサに用いられるサーミスタ薄膜は、例えば表面にSiO2層(絶縁層)が形成されたSi基板や、アルミナ基板又は石英基板等の絶縁基板上に形成されている。
このように各種の工夫がなされた薄膜サーミスタが知られているが、いずれの場合であっても基本的な構成は上述したとおりである。このうち電極の材料としては、通常酸化防止を目的として、金(Au)や白金(Pt)等の貴金属が用いられている。ところがこの貴金属は、サーミスタ薄膜との接合性が悪く、十分な接合強度を得られないため接合不良が起こり易いものであった。
即ち、接合層を有する薄膜サーミスタを耐熱試験すると、抵抗値が著しく上昇してしまい、試験前の状態から抵抗値変化率が10%以上変化する不都合が生じてしまうものであった。その結果、特性が変化してしまい、品質及び信頼性の低下を招くものであった。
この原因としては、主に2つの原因が考えられる。即ち、接合層が酸化してしまい、接合層自体が高抵抗化してしまう点と、接合層がサーミスタ薄膜内から酸素を奪ってしまい、接合層下のサーミスタ薄膜の酸素欠乏を引き起こすことで、サーミスタ薄膜自体が高抵抗化してしまう点と、が考えられる。その結果、薄膜サーミスタの抵抗値が上昇してしまい、試験前の状態よりも抵抗値が大きく変化してしまうものであった。
本発明に係る薄膜サーミスタは、表面に絶縁層が形成された基板又は絶縁基板と、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面にパターン形成されたサーミスタ薄膜と、貴金属以外の金属材料で形成され、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の上面に亘ってパターン形成された接合層と、該接合層上に形成された貴金属からなる電極と、を備え、前記接合層と重なる領域の前記サーミスタ薄膜の厚みに対する前記接合層の厚みが、比率0.0007から0.006の範囲内であることを特徴とするものである。
この発明に係る薄膜サーミスタにおいては、サーミスタ薄膜が700nm以下の厚みであるので、形成過程中にヒビや割れ等が発生することを防止することができる。特に、アニール処理を行ったとしても、この処理中にヒビや割れが発生することを防止することができる。従って、さらなる高品質化を図ることができる。
この発明に係る薄膜サーミスタにおいては、接合層が0.5nm以上の厚みであるので、電極をより強固に接合することができる。仮に、接合層の厚みを0.5nmよりも薄くした場合には、接合層を介在させない場合に近くなり、電極の接合不良が生じやすい。そのため、接合層の厚みを0.5nm以上にすることが好ましい。
この発明に係る薄膜サーミスタにおいては、サーミスタ薄膜の厚みが、接合層と重なる領域とそれ以外の領域とで異なっている。このうち、接合層と重なっていない領域は、接合層と重なっている領域に比べて、実際に測定に寄与する感熱領域となっており、この領域の厚みが薄くなっている。そのため、この感熱領域の熱容量を減らすことができ、サーミスタ薄膜自体の熱応答性を向上することができる。従って、熱応答性に優れたより高品質な薄膜サーミスタとすることができる。
この発明に係る薄膜サーミスタにおいては、サーミスタ薄膜をアニール処理した後に接合層及び電極を形成しているので、接合層及び電極がアニール処理の影響を受けず、抵抗値変動をさらに抑制することができる。
上記サーミスタ薄膜4は、Mn−Co系複合金属酸化物(例えば、Mn3O4−Co3O4系複合金属酸化物)又は、Mn−Co系複合金属酸化物に、Ni、Fe、Cuのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物(例えば、Mn3O4−Co3O4−Fe2O3系複合金属酸化物)からなる複合金属酸化物膜であり、結晶面(100)面に配向したスピネル型結晶構造であって、膜厚方向に延在する柱状結晶構造を有している。
本実施形態のサーミスタ薄膜4は、SiO2層2の上面に、スパッタリング法により平面視略正方形状に成膜されたものであり、その後、所定時間アニール処理されている。
また、本実施形態では、接合層5と重なる領域のサーミスタ薄膜4の厚みT1に対する接合層5の厚みT2が、比率0.0007〜0.006の範囲内になるように厚み調整されている。
まず、熱酸化法により、シリコン基板3の表面に上述した厚みのSiO2層2を形成する。次いで、このSiO2層2の上面にサーミスタ薄膜4をパターン形成する薄膜形成工程を行う。即ち、SiO2層2の全面に所定のスパッタ条件で上述した複合金属酸化物膜をスパッタリング法で成膜する。
この後、耐熱性向上のため300℃〜900℃の範囲、より好ましくは600℃〜900℃の範囲で、所定時間アニール処理を行う。
この薄膜サーミスタ1では、接合層5が貴金属以外の金属で形成されているので、サーミスタ薄膜4に対して接合性が優れていると共に、同じ金属同士でもある電極6に対しても接合性が優れている。従って、電極6を十分な接合強度で安定に接合することができ、接合不良を防止して高品質化を図ることができる。
その結果、試験前の状態よりも抵抗値が過度に上昇してしまうことを防止でき、耐熱試験時の抵抗値変化を抑制することができる。よって、安定した特性を確保することができ、品質及び信頼性の向上化を図ることができる。
即ち、本実施形態の薄膜サーミスタ10は、図3及び図4に示すように、サーミスタ薄膜4が、接合層5と重なる領域とそれ以外の領域とで厚みが異なる2段構成とされており、接合層5と重なる領域の厚みT3よりもそれ以外の領域の厚みT4の方が薄くなるように形成されている。具体的には、櫛歯電極部6a間のサーミスタ薄膜4の厚みT4が、櫛歯電極部6a下のサーミスタ薄膜4の厚みT3よりも薄くなるように形成されている。
第1実施形態の製造方法に基づいて、サーミスタ薄膜4をスパッタ装置にて成膜した後、大気雰囲気中において600℃で1時間のアニール処理を行った。また、接合層5の材料としてCrを使用し、電極6の材料としてAuを使用した。この条件で薄膜サーミスタ1を製造した後、初期抵抗値を25℃の雰囲気下でマルチメータにより測定した。その後、大気雰囲気にて150℃で500時間の耐熱試験を行い、耐熱試験終了後、25℃の雰囲気下で再度抵抗値を測定して、初期値からの抵抗値変化率を算出した。
第2実施形態の製造方法に基づいて、サーミスタ薄膜4を製造した。この際、接合層5の厚みを3nm、サーミスタ薄膜4の厚みを500nmにて製造を行った。即ち、厚みの比率は、0.006である。その結果、第2実施形態の薄膜サーミスタ10によれば、抵抗値変化が減少すると共に、感熱部分の熱容量が小さくなり、熱応答性が向上するという望ましい特性を得ることができた。
また、上記製造工程では、パターニング後にアニール処理を施してサーミスタ薄膜4を形成しているが、逆に成膜後にアニール処理を施してからパターニングしても構わない。
Claims (4)
- 表面に絶縁層が形成された基板又は絶縁基板と、
前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面にパターン形成されたサーミスタ薄膜と、
貴金属以外の金属材料で形成され、前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の上面に亘ってパターン形成された接合層と、
該接合層上に形成された貴金属からなる電極と、を備え、
前記サーミスタ薄膜は、700nm以下の厚みで形成され、
前記接合層は、0.5nm以上の厚みで形成され、
前記接合層と重なる領域の前記サーミスタ薄膜の厚みに対する前記接合層の厚みが、比率0.0007から0.006の範囲内であり、
前記サーミスタ薄膜が、Mn−Co系複合金属酸化物又は、Mn−Co系複合金属酸化物に、Ni、Fe、Cuのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物からなる複合金属酸化物膜であることを特徴とする薄膜サーミスタ。 - 請求項1に記載の薄膜サーミスタにおいて、
前記サーミスタ薄膜は、前記接合層と重なる領域とそれ以外の領域とで厚みが異なる2段構成とされ、前記接合層と重なる領域の厚みよりもそれ以外の領域の厚みの方が薄くなるように形成されていることを特徴とする薄膜サーミスタ。 - 請求項1または2に記載の薄膜サーミスタにおいて、
前記接合層及び前記電極が、前記サーミスタ薄膜を600℃以上でアニール処理した後に形成されたものであることを特徴とする薄膜サーミスタ。 - 基板上の絶縁層又は絶縁基板の上面にサーミスタ薄膜をパターン形成する薄膜形成工程と、
前記絶縁層又は前記絶縁基板の上面から前記サーミスタ薄膜の上面に亘って、貴金属以外の金属材料により接合層をパターン形成する接合層形成工程と、
前記接合層上に貴金属材料により電極を形成する電極形成工程と、を備え、
前記薄膜形成工程及び前記接合層形成工程の際に、前記サーミスタ薄膜を、700nm以下の厚みで形成し、前記接合層を、0.5nm以上の厚みで形成し、前記接合層と重なる領域の前記サーミスタ薄膜の厚みに対する前記接合層の厚みが、比率0.0007から0.006の範囲内となるように前記サーミスタ薄膜及び前記接合層をそれぞれ形成し、
前記サーミスタ薄膜が、Mn−Co系複合金属酸化物又は、Mn−Co系複合金属酸化物に、Ni、Fe、Cuのうち少なくとも一種類の元素を含む複合金属酸化物からなる複合金属酸化物膜であることを特徴とする薄膜サーミスタの製造方法。
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