JP5447159B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は外界雰囲気の検知量を検知するためのガスセンサに関する。
外界雰囲気の絶対湿度を検出するための湿度センサとして、例えば、温度に依存して抵抗値が変化する抵抗温度特性を有する感温素子を応用したものが知られている。感温素子を所定の作動温度に加熱した状態で感温素子の周囲を取り巻く雰囲気の水蒸気量が変化すると、雰囲気の熱伝導率が変化するため、感温素子の放散熱量が変化する。放散熱量の変化は、感温素子の温度変化をもたらし、その温度変化に依存して抵抗値が変化する。感温素子に所定の電流を流しておくことにより、水蒸気量の変化は、感温素子の出力電圧の変化として検出することができる。この種の湿度センサとして、特開平2−179459号公報には、外界雰囲気の湿度に応じて抵抗値変化を示す検知用の感温素子と、外界雰囲気から遮蔽されて外界雰囲気の湿度変化の影響を受けずに、外界雰囲気の温度に応じて温度補償を行う参照用の感温素子とを備える湿度センサが開示されている。
特開平2−179459号公報
しかし、同公報に開示のセンサ構造では、一定水蒸気量を有する雰囲気又は乾燥雰囲気を有する空間内に参照用の感温素子を封止しているため、参照用の感温素子が外界雰囲気の湿度変化の影響を受けないように構成できるものの、検知用の感温素子と参照用の感温素子との比熱環境が異なるため、素子間の熱的な差異が生じ、高精度な測定を行う上で構造的な課題を有していた。
そこで、本発明は、このような問題を解決し、高精度な測定ができるガスセンサを提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係わるガスセンサは、外界雰囲気の検知量を検知する検知用感温素子と、温度補償する参照用感温素子と、検知用感温素子及び参照用感温素子を作動温度に加熱するヒータとを有する検出部と、検出部が形成される基板とを備える。検知用感温素子及び参照用感温素子は、ヒータに関して互いに逆側になる位置に形成されており、検知用感温素子は、検出部が外界雰囲気に面する側に形成されており、参照用感温素子は、検出部が基板に面する側に形成されている。斯かる構成によれば、検知用感温素子と参照用感温素子の熱的差異が小さくなり、さらには検知用感温素子の熱分布と参照用感温素子の熱分布とをヒータを中心として対称にし、且つ均等化することができるため、感温素子間の熱分布のばらつきを効果的に防止し、高精度な測定を実現できる。また、検出部が基板に面する側に参照用感温素子を形成することで、外界雰囲気の検知量の変化の影響が参照用感温素子に及ばないように、ヒータから放射される熱によってその影響を遮蔽することができる。
検知用感温素子及び参照用感温素子は、保護膜で被覆されているのが好ましく、特に、検知用感温素子とヒータとの間、及び参照用感温素子とヒータとの間に保護膜が形成されているのが好ましい。斯かる構成によれば、ヒータを起点として各感温素子を取り囲む伝熱媒体の材質が全て同一となるので、二つの感温素子間の熱分布のばらつきを効果的に防止し、高精度な測定を実現できる。
本発明に係わるガスセンサは、検知用感温素子から電気信号を取り出すための第一の取り出し電極と、参照用感温素子から電気信号を取り出すための第二の取り出し電極を更に備えてもよい。例えば、第一の取り出し電極は、ヒータに面する側の検知用感温素子の側面に形成され、且つ第二の取り出し電極は、ヒータに面する側の参照用感温素子の側面に形成されてもよい。これにより、ヒータから放射される熱が第一及び第二の取り出し電極を介して各感温素子に迅速かつ均一に伝達するため、熱平衡状態に達するまでの時間が短縮される。或いは、第一の取り出し電極は、外界雰囲気に面する側の検知用感温素子の側面に形成され、第二の取り出し電極は、基板に面する側の参照用感温素子の側面に形成されてもよい。これにより、熱の輻射により各感温素子の加熱に要する熱量が減少するため、ガスセンサの消費電力を低減できる。
本発明に係わるガスセンサは、検知用感温素子及び参照用感温素子を検出部の膜厚方向へ投影して得られる二つの投影領域が重ならないように検知用感温素子及び参照用感温素子が形成されてもよい。斯かる構成によれば、検出部の膜厚を薄膜化できるため、各感温素子が熱平衡状態に達する迄の時間を短縮することができる。
本発明に係わるガスセンサは、可燃性ガスが接触燃焼するための触媒層を更に備えてもよい。触媒層は、検出部が外界雰囲気に面する側に形成されるのが好ましい。斯かる構成によれば、可燃性ガスが触媒層で接触燃焼したときに生じる熱を検知用感温素子で検知し、可燃性ガス濃度を検出できる。
本発明によれば、高精度な測定ができるガスセンサを提供できる。
実施例1に係わる湿度センサの断面図である。 実施例1に係わる湿度センサのブリッジ回路図である。 実施例2に係わる湿度センサの断面図である。 実施例3に係わる湿度センサの断面図である。 実施例4に係わる湿度センサの断面図である。
本実施形態に係わるガスセンサは、外界雰囲気の検知量(例えば、絶対湿度、可燃性ガス濃度等)を検出する検出部と、検出部が形成される基板とを備える。検出部は、外界雰囲気の検知量に関連する温度変化(例えば、放散熱量の変化に起因する温度変化や可燃性ガスの接触燃焼に起因する温度変化)を電気信号として出力する検知用感温素子と、温度補償する参照用感温素子と、検知用感温素子及び参照用感温素子を同一の作動温度に加熱するヒータとを有する。検知用感温素子及び参照用感温素子は、ヒータを基準として相互に逆側の位置に形成されている。このような配置構造によれば、検知用感温素子の熱分布と参照用感温素子の熱分布とをヒータを中心として対称に、且つ均等化することができるため、感温素子間の熱分布のばらつきを効果的に防止し、高精度な測定を実現できる。なお、参照用感温素子とは、外界雰囲気の温度の影響を受けて、検知用感温素子の出力補正を行う素子である。特に感度特性を向上させるために、検知用感温素子及び参照用感温素子を薄膜化すると、僅かな熱量のばらつきでも感温素子間の温度が異なる場合が生じ得る。本実施形態によれば、検知用感温素子及び参照用感温素子を薄膜化したとしても、検知用感温素子及び参照用感温素子が同一温度になるように均等に加熱することができる。ここで、「熱伝導的に対称」とは、必ずしも幾何学的な対称性を意図するものではなく、熱抵抗を加味した伝熱経路の対称性を意味する。例えば、検知用感温素子とヒータとの間の熱抵抗を加味した距離と、参照用感温素子とヒータとの間の熱抵抗を加味した距離とが同等になるように各感温素子を配置すればよい。このような配置例として、例えば、ヒータを挟むように検知用感温素子及び参照用感温素子を配置することが考えられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
検知用感温素子は、外界雰囲気の検知量を高感度で検出するために、検出部が外界雰囲気に面する側に形成されている。一方、参照用感温素子は、外界雰囲気の検知量の変化の影響をできるだけ受けないように、検出部が基板に面する側に形成されている。なお、検出部が基板に面する側に参照用感温素子を形成することで、外界雰囲気の検知量の変化の影響が参照用感温素子に及ばないように、ヒータから放射される熱によってその影響を遮蔽することができる。また、検知用感温素子及び参照用感温素子を均等に加熱するためには、単一のヒータを用いることが好ましいが、同等の加熱能力を有する複数のヒータを用いてもよい。また、検出部の熱容量を小さくして感度特性を向上させるために、基板の最大肉厚部分よりも薄肉な基板の薄肉部分(例えば、基板内部に陥没する凹部)に検出部を形成するのが好ましい。本実施形態に係わるガスセンサは、外界雰囲気の検知量が絶対湿度である場合には、湿度センサとして機能し、外界雰囲気の検知量が可燃性ガス濃度である場合には、可燃性ガスセンサとして機能する。可燃性ガス濃度を検出するために、検出部は、可燃性ガスが接触燃焼する触媒層を有してもよい。
以下、各図を参照しながら本発明に係わる実施例について説明する。同一の部材については、同一の符号を付すものとし、重複する説明を省略する。また、実施例2乃至4では、実施例1との相違点を中心に説明するものとし、重複する説明を省略する。
図1は実施例1に係わる湿度センサ100の断面図である。湿度センサ100は、外界雰囲気の絶対湿度を検出するための検出部50と、検出部50が形成される基板60とを備える。基板60は、第一の主面60A及びその裏面である第二の主面60Bを有しており、第一の主面60Aには、絶縁膜61が形成されている。基板60の材質としては、適度な機械的強度を有し、且つエッチング等の微細加工に適した材質であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、シリコン単結晶基板、サファイア単結晶基板、セラミックス基板、石英基板、又はガラス基板等が好適である。絶縁膜61の材質としては、適度な絶縁性を有する薄膜であればよく、例えば、シリコン酸化膜、又はシリコン窒化膜等が好適である。
検出部50は、検知用感温素子10、参照用感温素子20、及びヒータ30が保護膜40の中に埋設されてなるデバイス構造を有しており、絶縁膜61を介して基板60上に形成されている。保護膜40の材質は、適度な耐湿性及び耐熱性を有する絶縁膜であればよく、例えば、熱酸化法、化学気相堆積法(CVD法)等で成膜可能なシリコン酸化膜等が好適である。保護膜40の膜厚は、素子間の絶縁性が確保される程度に調整すればよく、例えば、0.1〜0.5μm程度が好適である。基板60には、検出部50が形成される位置に対応してキャビティ62が形成されている。キャビティ62は、第二の主面60B側から第一の主面60A側に向けて基板内部に陥没する凹部であり、基板60の最大肉厚部分64よりも肉薄な肉薄部分63を有している。言い換えれば、検出部50は基板60の肉薄部分63に形成されるメンブレン構造を有している。キャビティ62を形成するには、例えば、フッ化物系ガスを用いたD−RIE法等の反応性イオンエッチングによって、基板60を第二の主面60Bに対して略垂直に深堀すればよい。キャビティ62の断面形状は特に限定されるものではなく、基板60の最大肉厚部分64よりも肉薄な肉薄部分63を有していればよい。図1では、肉薄部分63は、絶縁膜61のみによって形成される場合を例示しているが、本実施形態は、これに限られるものではなく、例えば、基板60の肉薄な部分とその上に成膜される絶縁膜61との組み合わせによって形成されてもよい。また、肉薄部分63は、基板60をエッチング加工する過程で成膜されたエッチング停止層等で構成されていてもよい。このように、基板60の熱容量よりも小さい熱容量を有する肉薄部分63に検出部50を形成することで、僅かな水蒸気量でも検知用感温素子10が敏感に反応するようになるため、湿度センサ100の感度特性を向上できる。
外界雰囲気の熱伝導率は、含有水蒸気量に依存して変化するので、絶対湿度を検出するためには、検知用感温素子10は、外界雰囲気の熱伝導率の変化に伴う検知用感温素子10の放散熱量の変化を電気信号として出力する機能を有するセンサ素子であればよい。参照用感温素子20は、外界雰囲気を温度補償するために外界雰囲気の温度変化を電気信号として出力する機能を有するセンサ素子であればよい。このような感温素子10,20として、例えば、温度に依存して抵抗値が変化する抵抗温度特性を有するサーミスタ等のボロメータ、又は抵抗測温体等が好適である。また、サーミスタの材質として、例えば、複合金属酸化物、アモルファスシリコン、ポリシリコン、又はゲルマニウム等の負の温度係数を有する材質が好ましい。感温素子10,20として機能するサーミスタを成膜するには、例えば、基板温度600℃、成膜圧力0.5Pa、O2/Ar流量比1%、RFパワー400Wのスパッタ条件でMnNiCo系酸化物を0.4μm程度堆積し、その後、焼成炉を用いてMnNiCo系酸化物膜に大気雰囲気で650℃1時間の熱処理を施し、塩化第二鉄水溶液を用いたウェットエッチングで所定形状にパターニングすればよい。
ヒータ30は、加熱機能を有するデバイスであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、金属薄膜から成る加熱抵抗線等が好適である。ヒータ30を形成するには、例えば、RFマグネトロンスパッタ法で所定の膜厚(例えば50〜600nm)に金属薄膜(例えば、白金薄膜)を堆積し、フォトリソグラフィによってエッチングマスクを形成し、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングでこの金属薄膜を所定のヒータ形状にパターニングすればよい。ヒータ30は、検知用感温素子10及び参照用感温素子20に対して熱伝導的な中間位置(熱抵抗を加味した中間位置)に配置されているため、ヒータ30から各感温素子10,20への熱伝導は、対称性を有しており、ヒータ30から放射される熱は、各感温素子10,20に略均等に伝熱する。特に、検知用感温素子10、参照用感温素子20、及びヒータ30を同一の保護膜40の中に埋設すると、検知用感温素子10及び参照用感温素子20は、同一の熱抵抗を有する保護膜40で被覆され、更に検知用感温素子10とヒータ30との間、及び参照用感温素子20とヒータ30との間に同一の熱抵抗を有する保護膜40が形成されるため、ヒータ30を起点として各感温素子10,20を取り囲む伝熱媒体の材質が全て同一となる。このようなデバイス構造によれば、検知用感温素子10及び参照用感温素子20をヒータ30に関して熱伝導的に対称な位置に形成することができるため、二つの感温素子10,20間の熱分布のばらつきを効果的に防止し、高精度な測定を実現できる。
検知用感温素子10は、外界雰囲気の絶対湿度を高感度で検出するために、検出部50が外界雰囲気に面する側に形成されている。参照用感温素子20は、外界雰囲気の絶対湿度の変化の影響をできるだけ受けないように、検出部50が基板60に面する側に形成されている。検出部50が基板60に面する側に参照用感温素子20を形成することで、外界雰囲気の絶対湿度の変化の影響が参照用感温素子20に及ばないように、ヒータ30から放射される熱によってその影響を遮蔽することができる。
湿度センサ100は、検知用感温素子10から電気信号を取り出すための一対の取り出し電極11と、参照用感温素子20から電気信号を取り出すための一対の取り出し電極21とを更に備える。一対の取り出し電極11間の距離は、検知用感温素子10の目標抵抗値に応じて調整される。同様に、一対の取り出し電極21間の距離は、参照用感温素子20の目標抵抗値に応じて調整される。一対の取り出し電極11は、ヒータ30に面する側の検知用感温素子10の側面に形成されており、一対の取り出し電極21は、ヒータ30に面する側の参照用感温素子20の側面に形成されている。取り出し電極11,21は、導電性のみならず熱伝導性に優れているため、各感温素子10,20がヒータ30に面する側に各取り出し電極11,21を形成することで、ヒータ30から放射される熱が取り出し電極11,21を介して各感温素子10,20に迅速かつ均一に伝達するため、熱平衡状態に達するまでの時間が短縮され、その上、感温素子10,20間の熱分布のばらつきが低減される。なお、取り出し電極11,21は、ヒータ30からの熱伝導が略同一になる位置に形成するのが好ましい。取り出し電極11,21の材質としては、感温素子10,20の成膜工程や熱処理工程等の薄膜プロセスに耐え得る耐熱性を有する比較的高融点の材質が好ましく、例えば、モリブデン(Mo)、金(At)、白金(Pt)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)又はこれら何れか二つ以上を含む合金等が好適である。なお、金や白金などを用いる場合、取り出し電極11,12と密接する層との間に、クロム(Cr)やチタン(Ti)などの密着層を使用してもよい。また、絶縁膜61には、取り出し電極21に接続する配線層22及びパッド電極23が形成されている。パッド電極23の材質としては、ワイヤーボンドやフリップチップボンディング等の電気的接続が容易な材質が好ましく、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)等が好ましい。
図2は湿度センサ100のブリッジ回路101を示す回路図である。ブリッジ回路101は、検知用感温素子10と固定抵抗素子15とが直列接続されてなるハーフブリッジと、参照用感温素子20と固定抵抗素子25とが直列接続されてなるハーフブリッジとが並列接続されてなる回路構成を有している。二つの固定抵抗素子15,25が接続する接続点は、ブリッジ回路101に電流を流すための電圧Vccを印加する電源端子として機能し、検知用感温素子10と参照用感温素子子20とが接続する接続点は、グランド端子として機能する。固定抵抗素子15,25は、基板60上に形成してもよく或いは別体の基板上に形成してもよい。検知用感温素子10及び参照用感温素子20のそれぞれの抵抗温度特性が同一になるように各感温素子を選別し、外界雰囲気からの影響による両者の抵抗値変化を揃えるのが好ましい。同様に、固定抵抗素子15,25の抵抗値は同一であることが好ましい。検知用感温素子10の出力電圧をV1とし、参照用感温素子20の出力電圧をV2とすると、外界雰囲気に水蒸気が含まれていない状態では、電圧V1,V2は等しくなるので、電圧ΔV=V1−V2=0となる。一方、外界雰囲気にある程度の水蒸気が含まれている状態では、検知用感温素子10の放散熱量が変化し、検知用感温素子10の抵抗値は、参照用感温素子20の抵抗値とは異なる値を示す。感温素子10,20のそれぞれの抵抗値の差分は、外界雰囲気の絶対湿度に対応付けられるため、電圧ΔVは、絶対湿度を示す物理量として信号処理される。電圧ΔVと絶対湿度とを予め対応付けたマップデータを用意しておくことで、電圧ΔVから絶対湿度を推定することができる。
本実施例では、検知用感温素子10及び参照用感温素子20のそれぞれの抵抗値が室温(20℃)で50kΩになるようにデバイス設計し、固定抵抗素子15,25のそれぞれの抵抗値を1kΩとした。ヒータ30に電圧7Vを印加し、ヒータ30を加熱させると、検知用感温素子10及び参照用感温素子20の温度は150℃に上昇し、その抵抗値は共に1kΩに変化した。電圧Vccの値を5Vに設定して、絶対湿度とΔVとの関係を測定したところ、絶対湿度が30g/m3のとき、ΔVは4mVであった。また、絶対湿度が50g/m3のとき、ΔVは6.2mVであった。
図3は実施例2に係わる湿度センサ200の断面図である。実施例2では、一対の取り出し電極11は、外界雰囲気に面する側の検知用感温素子10の側面に形成され、一対の取り出し電極21は、基板60に面する側の参照用感温素子20の側面に形成されている点で実施例1と相違し、その余の点で実施例1,2に係わるセンサ構造は共通している。実施例2のように、各感温素子10,20がヒータ30に面する側とは反対側の側面に取り出し電極11,21を形成することで、熱の輻射により各感温素子10,20の加熱に要する熱量が減少するため、湿度センサ200の消費電力を低減できるという利点を有する。なお、実施例1,2は、取り出し電極11,21が、ヒータ30からの熱伝導が略同一になる位置に形成されているという点では共通しており、ヒータ30から各感温素子10,20への熱分布の対称性及び均一性を実現している。
なお、比較例1として、ヒータ30に面する側の検知用感温素子10の側面に一対の取り出し電極11が形成され、且つ基板60に面する側の参照用感温素子20の側面に一対の取り出し電極21が形成される湿度センサを設計し、絶対湿度を測定したところ、実施例1と同様の応答特性が得られたが、感温素子10,20が熱平衡状態に達する迄の時間が長くなり、消費電力も増加した。この結果から、取り出し電極11,21は、ヒータ30に関して熱伝導的に対称な位置に形成されるのが好ましいことが理解できる。
図4は実施例3に係わる湿度センサ300の断面図である。実施例3では、検知用感温素子10及び参照用感温素子20を検出部50の膜厚方向へ投影して得られる二つの投影領域が重ならないように検知用感温素子10及び参照用感温素子20が形成されている点で実施例1と相違し、その余の点で実施例1,3に係わるセンサ構造は共通している。図4に示すように、検知用感温素子10が形成される領域では、ヒータ30は、検出部50が基板60に面する側に形成され、一方、参照用感温素子20が形成される領域では、ヒータ30は、検出部50が外界雰囲気に面する側に形成されている。また図面上示されていないがヒータ30は連続して形成され、感温素子10の基板側に配置されるヒータ30は感温素子20の上に、感温素子20により生じる段差を越え連続的に形成されている。実施例1では、一つのヒータ30と二つの感温素子10,20が検出部50の膜厚方向に沿って積層される三層構造を有していたが、実施例3では、一つのヒータ30と二つの感温素子10,20のうち何れか一つが検出部50の膜厚方向に沿って積層される二層構造を有するため、実施例1に比較して実施例3に係る検出部50の膜厚をおよそ2/3に薄膜化できる。これにより、各感温素子10,20が熱平衡状態に達する迄の時間を短縮することができる。
なお、検知用感温素子10は、外界雰囲気の絶対湿度を高感度で検出するために、検出部50が外界雰囲気に面する側に形成されており、且つ参照用感温素子20は、外界雰囲気の絶対湿度の変化の影響をできるだけ受けないように、検出部50が基板60に面する側に形成されている点において、実施例1,3は共通している。実施例3においても、外界雰囲気の絶対湿度の変化の影響が参照用感温素子20に及ばないように、ヒータ30から放射される熱によってその影響を遮蔽することができる。また、取り出し電極11,21の位置については、実施例1,2の何れの配置構成も可能である。例えば、実施例1と同様に、一対の取り出し電極11は、ヒータ30に面する側の検知用感温素子10の側面に形成され、且つ一対の取り出し電極21は、ヒータ30に面する側の参照用感温素子20の側面に形成されてもよい。或いは、実施例2と同様に、一対の取り出し電極11は、外界雰囲気に面する側の検知用感温素子10の側面に形成され、且つ一対の取り出し電極21は、基板60に面する側の参照用感温素子20の側面に形成されてもよい。
本実施例に係わる湿度センサ300を実施例1と同じ条件でデバイス設計し、絶対湿度とΔVとの関係を測定したところ、絶対湿度が30g/m3のとき、ΔVは4mVであった。また、絶対湿度が50g/m3のとき、ΔVは6.2mVであった。
なお、比較例2として、検知用感温素子10及び参照用感温素子20の何れもが検出部50が外界雰囲気に面する側に形成される湿度センサを設計し、絶対湿度を測定したところ、湿度変化に対する応答は検出されなかった。これは、検知用感温素子10のみならず参照用感温素子20までもが外界雰囲気の湿度変化に追従して反応するためであると考えられる。
また、比較例3として、検知用感温素子10及び参照用感温素子20の何れもが検出部50が外界雰囲気に面する側に形成され、更に参照用感温素子20を被覆する保護膜40の膜厚が検知用感温素子10を被覆する保護膜40の膜厚の2倍である湿度センサを設計し、絶対湿度を測定したところ、絶対湿度が30g/m3のとき、ΔVは2.8mVであった。また、絶対湿度が50g/m3のとき、ΔVは4.4mVであった。比較例3の感度が実施例1の感度より低い理由として、検出部50が外界雰囲気に面する側に参照用感温素子20が形成されることにより、参照用感温素子20を被覆する保護膜40の膜厚をある程度厚くしたとしても、参照用感温素子20が外界雰囲気の湿度変化の影響を受けるためであると思われる。
図5は実施例4に係わる可燃性ガスセンサ400の断面図である。実施例4では、可燃性ガスが接触燃焼する触媒層80が検出部50に形成されている点で実施例1と相違し、その余の点で実施例1,4に係わるセンサ構造は共通している。触媒層80は、外界雰囲気に存在する可燃性ガスの濃度を検出するために、検出部50が外界雰囲気に面する側に形成されている。触媒層80の材質としては、可燃性ガスを接触燃焼させる機能を有するものであればよく、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等の貴金属酸化物やアルミニウム(Al)等の卑金属酸化物が好ましい。触媒層80の形成方法として、例えば、スパッタ法や蒸着法等が好適である。ヒータ30によって所定温度(例えば、100℃以上)に加熱された触媒層80で可燃性ガスが接触燃焼すると、その熱は検知用感温素子10に伝熱し、検知用感温素子10の温度変化をもたらす。検知用感温素子10の温度変化をその抵抗値変化から検出し、参照用感温素子20の抵抗値変化から外界雰囲気を温度補償することによって、電圧ΔVから可燃性ガスの濃度を測定することができる。例えば、電圧ΔVと可燃性ガス濃度とを予め対応付けたマップデータを用意しておくことで、電圧ΔVから可燃性ガス濃度を推定することができる。なお、可燃性ガスとして、例えば、メタン、イソブタン等の炭化水素系ガス、一酸化炭素、有機溶剤等可燃性ガス、水素等を挙げることができる。可燃性ガスセンサ400の構造は、図5に図示した構造に限定されるものではなく、例えば、実施例2,3に係る検出部50に触媒層80を更に形成する構造にしてもよい。
本実施例では、検知用感温素子10及び参照用感温素子20のそれぞれの抵抗値が室温(20℃)で50kΩになるようにデバイス設計し、固定抵抗素子15,25のそれぞれの抵抗値を3.6kΩとした。ヒータ30に電圧5.4Vを印加し、ヒータ30を加熱させると、検知用感温素子10及び参照用感温素子20の温度は102℃に上昇し、その抵抗値は共に3.6kΩに変化した。電圧Vccの値を5Vに設定して、メタンガス濃度とΔVとの関係を測定したところ、ガス濃度100ppmのとき、ΔVは4mVであった。また、ガス濃度500ppmのとき、ΔVは20mVであった。
本発明に係わるガスセンサは、絶対湿度や可燃性ガス濃度を検出する用途に応用可能である。
10…検知用感温素子
11…取り出し電極
20…参照用感温素子
21…取り出し電極
30…ヒータ
40…保護膜
50…検出部
60…基板
100,200,300…湿度センサ
400…可燃性ガスセンサ

Claims (6)

  1. 外界雰囲気の検知量を検知する検知用感温素子と、温度補償する参照用感温素子と、前記検知用感温素子及び前記参照用感温素子を作動温度に加熱するヒータとを有する検出部と、
    前記検出部が形成される基板と、を備え、
    前記検知用感温素子及び前記参照用感温素子は、前記ヒータを介して相互に逆側の位置に形成されており、
    前記検知用感温素子は、前記検出部が前記外界雰囲気に面する側に形成されており、
    前記参照用感温素子は、前記検出部が前記基板に面する側に形成され
    前記検知用感温素子及び前記参照用感温素子を前記検出部の膜厚方向へ投影して得られる二つの投影領域が重ならないように前記検知用感温素子及び前記参照用感温素子が形成されている、ガスセンサ。
  2. 請求項1に記載のガスセンサであって、
    前記検知用感温素子及び前記参照用感温素子は、保護膜で被覆されている、ガスセンサ。
  3. 請求項2に記載のガスセンサであって、
    前記検知用感温素子と前記ヒータとの間、及び前記参照用感温素子と前記ヒータとの間に前記保護膜が形成されている、ガスセンサ。
  4. 請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載のガスセンサであって、
    前記検知用感温素子から電気信号を取り出すための第一の取り出し電極と、
    前記参照用感温素子から電気信号を取り出すための第二の取り出し電極と、を更に備え、
    前記第一の取り出し電極は、前記ヒータに面する側の前記検知用感温素子の側面に形成されており、
    前記第二の取り出し電極は、前記ヒータに面する側の前記参照用感温素子の側面に形成されている、ガスセンサ。
  5. 請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載のガスセンサであって、
    前記検知用感温素子から電気信号を取り出すための第一の取り出し電極と、
    前記参照用感温素子から電気信号を取り出すための第二の取り出し電極と、を更に備え、
    前記第一の取り出し電極は、前記外界雰囲気に面する側の前記検知用感温素子の側面に形成されており、
    前記第二の取り出し電極は、前記基板に面する側の前記参照用感温素子の側面に形成されている、ガスセンサ。
  6. 請求項1乃至請求項のうち何れか1項に記載のガスセンサであって、
    可燃性ガスが接触燃焼する触媒層を更に備え、
    前記触媒層は、前記検出部が前記外界雰囲気に面する側に形成されている、ガスセンサ。
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