JP4961806B2 - ソイルセメント壁、基礎構造 - Google Patents
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Description
このため、軟弱層を含む地盤に建物を建てる際には、液状化対策を講じなければならない。このような液状化に対する対策としては、地盤改良を施す方法や地中連続壁で建物の地下部分の外周を囲う方法があげられる。しかし、地盤改良を施す方法では、建物の支持地盤を所定深さまで掘削し支持地盤を構成する土砂を入れ替えなければならず、手間とコストがかかり、また、地中連続壁を構築する方法も地盤の掘削とコンクリート打設のために多額の費用が必要となる。
また、本発明のソイルセメント壁は、軟弱層を含んだ地盤の液状化を防止すべく建物を取り囲むように地中に設けられたソイルセメント壁であって、鉛直方向に延びるH型鋼のウェブの両面にアングル材の断面く字状の両端部を、該アングル材により形成される凸部が、その上方から頂部に向けて高さが次第に増加し、頂部から下方に向けて高さが次第に減少するように取り付けてなる複数の鉄骨部材が横方向に並ぶように配置され、これら鉄骨部材が壁面両側で横方向に延びる鋼材により連結されてなる芯部材がソイルセメント内に埋設されると共に、ソイルセメントの少なくとも一部が高強度ソイルセメントにより構成されていることを特徴とする。
また、本発明のソイルセメント壁は、軟弱層を含んだ地盤の液状化を防止すべく建物を取り囲むように地中に設けられたソイルセメント壁であって、鉛直方向に延びるH型鋼のウェブの両面にアングル材の断面く字状の両端部を、該アングル材により形成される凸部が、その上方から頂部に向けて高さが次第に増加し、頂部から下方に向けて高さが次第に減少するように取り付けてなる芯部材がソイルセメント内に埋設されると共に、支持層まで到達する壁杭部を備え、少なくとも前記軟弱層内及び支持層内のソイルセメントが高強度ソイルセメントにより構成されていることを特徴とする。
図1は、ソイルセメント壁10の配置を示す水平方向断面図であり、図2は、図1におけるII−II’断面図であり、図3は、図1におけるIII−III’断面図であり、図4は図1におけるIV−IV’断面図である。本実施形態のソイルセメント壁10は、土砂等からなる軟弱層4と、支持層3とを備える液状化を起こす可能性を有する地盤に設けられるものである。図1〜4に示すように、ソイルセメント壁10は、建物2の周囲を取り囲むように設けられており、さらに、その下端は液状化を起こす可能性のある軟弱層4よりも深くまで到達している。また、ソイルセメント壁10は、適宜間隔をあけて、下端が支持層3まで到達するように形成された壁杭部20を備える。
本実施形態のソイルセメント壁10の壁杭部20を構築する場合は、軟弱層4に相当する部分の土砂を掘削しながら掘削した土砂とセメントミルクとを混合攪拌する際に、土砂に混合するセメント量を増加させる。これにより、軟弱層4に相当する部分のソイルセメントを高強度ソイルセメント16とすることにより構築することができる。また、壁杭部20先端に高強度ソイルセメント16を用いる場合にも、同様に、壁杭部20下端において土砂に混合するセメント量を増加すればよい。なお、ソイルセメント壁10内に埋設される芯材11は、予め、地上において複数のH型鋼12を鋼鈑14により連結したておき、これをソイルセメント13に挿入すればよい。
また、上述したように、H型鋼12の凸部15はその上下から頂部に向けて次第に高さが増加する形状であるため、芯材11をソイルセメント13内に挿入する際に抵抗とならず、容易に挿入することができるとともに、アングル材の下部に空気が入り込むことを防止し、さらに、ソイルセメント13が硬化する際に生じるブリージングやスライムが凸部15の下部に残留するのを防止できる。
このように、本実施形態のソイルセメント壁10は支持層3まで達する壁杭部20を備えるとともに、この壁杭部20に埋設されたH型鋼12が凸部15を有することで、基礎杭と同様に、建物2の荷重を支持層3に伝達することができる。なお、H型鋼12には、支圧力により互いに離れる方向に力が作用するが、H型鋼12同士が鋼板14により連結されているため、この力に抵抗することができる。
図9は、比較例として、従来の基礎構造30を示す断面図である。また、図10は、本実施形態のソイルセメント壁10を用いた基礎構造40を示す図である。図9に示すように、従来の基礎構造30では、所定の間隔ごとに基礎杭31が設けられており、これらの基礎杭31のみで、建物2の鉛直荷重を支持層3に伝達している。
このように、本実施形態のソイルセメント壁10を備えた基礎構造40によれば、外周近傍の基礎杭を省略することができるため、費用の削減及び工期の短縮が可能となる。また、当然ながら、根切りを行う際は、ソイルセメント壁10を山留め壁として用い、ソイルセメント壁10の内部の掘削を行うことができる。そのため、仮設である山留め壁を再利用することができるため、工費を削減することが可能である。
なお、上記の実施形態では、凸部15をH型鋼12の表面にアングル材を溶接することにより形成するものとしたが、これに限らず、例えば、H型鋼12の表面に溝形、等辺の山形、不等辺山形、不等辺不等圧、I型、その他の一般形鋼や波板などを取付けることにより凸部を設けても良く、要するに、高強度ソイルセメント16との間で支圧力が働き、H型鋼12に作用する鉛直方向荷重を高強度ソイルセメント16に伝達することができればよい。
なお、上記の実施形態では、芯材11が複数のH型鋼12を鋼板14で連結した構成としたが、これに限らず、表面に凸部を有するH型鋼が連結されることなく独立した構成としてもよい。このような構成でも、凸部と高強度ソイルセメントとの間で支圧力が作用するため、H型鋼に作用する建物の荷重を高強度ソイルセメントに伝達することができる。
また、ソイルセメント壁を構成するソイルセメントの軟弱層に相当する部位を高強度ソイルセメントで構成し、さらに、横方向に並べられた複数のH型鋼と、複数のH型鋼を互いに連結する鋼板とで構成される芯部材(請求項の第2の芯部材に該当)を埋設する構成としてもよい。
なお、上記の説明では、ソイルセメント壁に壁杭部を設けた場合について説明したが、これに限らず、壁杭部を設けずに、ソイルセメント壁を構成するソイルセメント内に上述した芯材を埋設する構成としてもよい。また、上記の説明では、軟弱層及び支持層内のソイルセメントが高強度ソイルセメントからなる構成としたが、これに限らず、ソイルセメント壁の少なくとも一部が高強度ソイルセメントで構成されていればよい。
3 支持層 4 軟弱層
10 ソイルセメント壁 11 芯材
12 H型鋼 13 ソイルセメント
14 鋼板 15 凸部
16 高強度ソイルセメント 17 スタッド
18 鉄骨 20 壁杭部
30 従来の基礎構造 31 基礎杭
40 基礎構造 41 基礎杭
Claims (9)
- 軟弱層を含んだ地盤の液状化を防止すべく建物を取り囲むように地中に設けられたソイルセメント壁であって、
鉛直方向に延びるH型鋼のウェブの両面にアングル材の断面く字状の両端部を、該アングル材により形成される凸部が、その上方から頂部に向けて高さが次第に増加し、頂部から下方に向けて高さが次第に減少するように取り付けてなる芯部材がソイルセメント内に埋設されると共に、
ソイルセメントの少なくとも一部が高強度ソイルセメントにより構成されていることを特徴とするソイルセメント壁。 - 軟弱層を含んだ地盤の液状化を防止すべく建物を取り囲むように地中に設けられたソイルセメント壁であって、
鉛直方向に延びるH型鋼のウェブの両面にアングル材の断面く字状の両端部を、該アングル材により形成される凸部が、その上方から頂部に向けて高さが次第に増加し、頂部から下方に向けて高さが次第に減少するように取り付けてなる複数の鉄骨部材が横方向に並ぶように配置され、これら鉄骨部材が壁面両側で横方向に延びる鋼材により連結されてなる芯部材がソイルセメント内に埋設されると共に、
ソイルセメントの少なくとも一部が高強度ソイルセメントにより構成されていることを特徴とするソイルセメント壁。 - 軟弱層を含んだ地盤の液状化を防止すべく建物を取り囲むように地中に設けられたソイルセメント壁であって、
鉛直方向に延びるH型鋼のウェブの両面にアングル材の断面く字状の両端部を、該アングル材により形成される凸部が、その上方から頂部に向けて高さが次第に増加し、頂部から下方に向けて高さが次第に減少するように取り付けてなる芯部材がソイルセメント内に埋設されると共に、支持層まで到達する壁杭部を備え、
少なくとも前記軟弱層内及び支持層内のソイルセメントが高強度ソイルセメントにより構成されていることを特徴とするソイルセメント壁。 - 軟弱層を含んだ地盤の液状化を防止すべく建物を取り囲むように地中に設けられたソイルセメント壁であって、
鉛直方向に延びるH型鋼のウェブの両面にアングル材の断面く字状の両端部を、該アングル材により形成される凸部が、その上方から頂部に向けて高さが次第に増加し、頂部から下方に向けて高さが次第に減少するように取り付けてなる複数の鉄骨部材が横方向に並ぶように配置され、これら鉄骨部材が壁面両側で横方向に延びる鋼材により連結されてなる芯部材がソイルセメント内に埋設されると共に、支持層まで到達する壁杭部を備え、
少なくとも前記軟弱層内及び支持層内のソイルセメントが高強度ソイルセメントにより構成されていることを特徴とするソイルセメント壁。 - 請求項3又は4記載のソイルセメント壁であって、
少なくとも前記軟弱層に相当する部分に、横方向に並ぶように配置された鉛直方向に延びる複数の鉄骨と、これら鉄骨を壁面両側で連結する横方向に延びる鋼材とからなる第2の芯部材をソイルセメント内に埋設してなることを特徴とするソイルセメント壁。 - 軟弱層を含んだ地盤の液状化を防止すべく建物を取り囲むように地中に設けられたソイルセメント壁であって、
鉛直方向に延びるH型鋼のウェブの両面にアングル材の断面く字状の両端部を、該アングル材により形成される凸部が、その上方から頂部に向けて高さが次第に増加し、頂部から下方に向けて高さが次第に減少するように取り付けてなる第1の芯部材がソイルセメント内に埋設されると共に、支持層まで到達する壁杭部を備え、
前記壁杭部は、支持層内のソイルセメントが高強度ソイルセメントにより構成されており、
少なくとも前記軟弱層に相当する部分に、横方向に並ぶように配置された鉛直方向に延びる複数の鉄骨と、これら鉄骨を壁面両側で連結する横方向に延びる鋼材とからなる第2の芯部材がソイルセメント内に埋設されていることを特徴とするソイルセメント壁。 - 軟弱層を含んだ地盤の液状化を防止すべく建物を取り囲むように地中に設けられたソイルセメント壁であって、
鉛直方向に延びるH型鋼のウェブの両面にアングル材の断面く字状の両端部を、該アングル材により形成される凸部が、その上方から頂部に向けて高さが次第に増加し、頂部から下方に向けて高さが次第に減少するように取り付けてなる複数の鉄骨部材が横方向に並ぶように配置され、これら鉄骨部材が壁面両側で横方向に延びる鋼材により連結されてなる第1の芯部材がソイルセメント内に埋設されると共に、支持層まで到達する壁杭部を備え、
前記壁杭部は、支持層内のソイルセメントが高強度ソイルセメントにより構成されており、
少なくとも前記軟弱層に相当する部分に、横方向に並べた複数本の鉄骨と、これら鉄骨を壁面両側でお互いに連結する横方向に延びる鋼材とを備える第2の芯部材をソイルセメント内に埋設されていることを特徴とするソイルセメント壁。 - 前記凸部は、前記H型鋼の支持層に相当する位置に設けられていることを特徴とする請求項1から7何れかに記載のソイルセメント壁。
- 請求項1から8何れかに記載のソイルセメント壁と、複数の基礎杭を備えることを特徴とする建物の基礎構造。
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