以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
まず図1を参照して、一実施形態に係る橋脚基礎構造10が適用される橋脚1と、この橋脚1を支持する橋脚基礎構造10について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る橋脚基礎構造10の第1構成例を示す斜視図である。図1に示されるように、橋脚1は、たとえば道路や鉄道等の地上の構造物に供される高架橋を支えるためのものである。橋脚1は、複数の鋼管柱2を有する鋼管集成橋脚(または多柱式橋脚)である。複数の(たとえば4本の)円筒状の鋼管柱2は、地盤X(図4参照)上において、互いに平行に立設されている。複数の鋼管柱2は、橋軸方向および橋軸直角方向に並ぶように配列されている。なお、複数の鋼管柱2の本数や配列は、この態様に限られない。
隣り合う2本の鋼管柱2は、水平方向に延びる横つなぎ材3によって連結されている。横つなぎ材3は、鋼板からなり、2本の鋼管柱2に対して、たとえば溶接等によって接合されている。横つなぎ材3は、地震発生時の水平荷重に対して抵抗する。地震発生時の損傷は横つなぎ材3に集約されやすくなっており、これにより、鋼管柱2の損傷が抑制される。なお、橋脚1は、上記とは別の構造が採用された鋼管集成橋脚であってもよい。横つなぎ材3は、水平方向に対して斜めに設けられてもよい。横つなぎ材3が省略されてもよい。
橋脚1の上端部には、上部構造に接続される梁部4が設けられている。橋脚1の下端部すなわち鋼管柱2の下端部2aには、橋脚基礎構造10が接続されている。橋脚基礎構造10は、比較的軟弱な地盤Xに設けられて、橋脚1を支持するための杭基礎構造である。
図1および図2に示されるように、橋脚基礎構造10では、1本の鋼管柱2に対して、この鋼管柱2を支持するための複数の杭11が設けられる。本実施形態では、各鋼管柱2に対し、同様の橋脚基礎構造10が設けられている。たとえば、水平方向に離間する2本の円管状の杭11が、1本の鋼管柱2に接続されている。2本の杭11は、たとえば、直径および長さが等しい鋼管杭である。2本の杭11は、それらの軸心Lb(図3参照)が互いに平行となるように設けられている。橋脚1および橋脚基礎構造10において、鋼管柱2の軸心La(図3参照)および杭11の軸心Lbは、いずれも鉛直方向に延びる。2本の杭11の各杭頭部11aが、1本の鋼管柱2の下端部2aに結合されている。なお、杭11は、PHC杭等であってもよい。鋼管柱2に対する複数の杭11の配置および結合形態については、後述する。
杭11が鋼管杭である場合、杭11の直径は、たとえば1,600mm以下である。なお、杭11がPHC杭である場合には、杭11の直径は、たとえば1,200mm以下であるが、1,000mmないし800mm程度であってもよい。杭11が鋼管杭である場合もPHC杭である場合も、比較的小径の杭が用いられることにより、施工機械が小さくて済む。
本実施形態の橋脚基礎構造10は、複数の杭11同士を連結する連結具12を備える。橋脚基礎構造10では、2本の杭11に対して複数の連結具12が設けられている。複数の連結具12は、鉛直方向に所定の間隔をおいて設置されている。連結具12は、たとえば水平方向に延びており、水平方向の両端が、2本の杭11に結合されている。連結具12は、地盤X内に設けられ、橋脚基礎構造10の水平剛性を高める。
各連結具12は、2本の杭11のそれぞれが貫通する2個の円筒状のソケット(係合部)13と、ソケット13同士を連結する連結板(連結部)14とを含む。ソケット13の軸心は、杭11の軸心Lbに略一致している。ソケット13と杭11との間の隙間には、セメントミルクまたはモルタル等が充填されている。これにより、ソケット13が杭11に結合(係合)されている。連結板14は、2本の杭11の間で水平方向に延在すると共に、たとえば鉛直面に沿って延びる薄板状の部材である。2個のソケット13は、連結板14の水平方向(延在方向)の両端部に接合されている。図1および図2に示される例において、複数の連結具12は、複数の杭11を格子状に結合している。
これらの連結具12は、上記特許文献1に記載の連結具とは異なり、杭11よりも先行して、または杭11と同時に、地盤Xに設けられる。橋脚基礎構造10の構築方法については後述する。
図2および図3に示されるように、2本の杭11は、1本の鋼管柱2の直径を挟むように配置されている。鋼管柱2の軸心Laは、同径の円管状をなす2本の杭11の軸心Lb,Lbの中心に位置している。複数の杭11が鋼管柱2に結合される橋脚基礎構造10では、杭11と杭11との間隔は、鋼管柱2の直径に対応している。すなわち、杭11と杭11との間隔は、鋼管柱2に対する杭11の結合が可能な大きさに設定される。2本の杭11が用いられる場合、杭11と杭11との間隔は、鋼管柱2の直径と同程度であってもよいし、または鋼管柱2の直径の1.2倍以下であってもよい。なお、本明細書において、杭11に関して「間隔」とは、杭11の(軸心Laではなく)外周面の間隔を意味する。
鋼管柱2の下端部2aと杭11の杭頭部11aとは、結合部20によって結合されている。結合部20としては、公知の種々の結合形態が採用され得る。たとえば、図3に示されるように、雌継手21に雄継手22を嵌合させた鋼管継手構造(特開2007−40053号公報に記載の継手構造)が用いられてもよい。これらの雌継手21および雄継手22は、所定の長さにわたって鉛直方向に延在する。杭11の外周面に棒状鋼材等が設けられ、雄継手22の爪部と杭11との間に間隔保持部材としてのスペーサ等が設けられてもよい(いずれも図示せず)。雌継手21および雄継手22によって形成された空間内にモルタル等が充填されてもよい。
複数の杭11同士が連結され、鋼管柱2の下端部2aに対してこれらの杭11が結合された橋脚基礎構造10では、フーチングは設けられておらず、フーチングレスな構造が実現されている。なお、鋼管柱2の下端部2aには、コンクリート7が充填されてもよい。杭11が鋼管杭である場合、杭頭部11aには、鋼管16の内部にコンクリート17が充填されてもよい。その場合に、杭11の一般部11b(図1参照)にはコンクリート17は充填されなくてもよい。
橋脚基礎構造10では、さらに、地震時の液状化に伴う側方流動の方向が考慮されている。地盤Xによっては、側方流動の流動方向Dを特定できる場合がある。2本の杭11は、上記したように鋼管柱2の直径を挟むように配置されるが、これらの2本の杭11は流動方向Dに並んでいる(図3参照)。そして、連結具12の連結板14は、この流動方向Dに略一致するように設けられている。側方流動の方向を考慮した合理的な構造により、地盤Xの流動に対しても十分な剛性と耐力をもった杭基礎構造が実現されている。
図1では、橋脚1の鋼管柱2に対して、2本の杭11を橋軸直角方向に並ぶように配置した例が示されているが、複数の杭11の配置はこれに限られず、適宜に設定することができる。すなわち、流動方向Dが特定される場合、複数の杭11の配置は、その流動方向Dに基づいて設定され得る。言い換えれば、複数の杭11の配置は橋軸方向あるいは橋軸直角方向とは無関係に設定されてもよい。
続いて、橋脚基礎構造10の構築方法(施工方法)について説明する。まず、連結具12を地盤X上に仮置きする。連結具12のソケット13をガイドとして、ソケット13内に杭11を打設する。その後、必要な段数の連結具12を順次地中に圧入する。杭11の打設には、中堀工法、埋込工法、打撃工法、圧入工法、およびこれらの工法の併用など、各種の工法が適用され得る。翼付き鋼管杭の回転工法が適用される場合、ソケット13に先端杭を挿通してから建て込み、中間杭以降は、杭を継ぎ足して打設することができる。
上記各種の工法以外にも、2本の杭11からなる橋脚基礎構造10を構築する場合は、連続柱列式地中壁の施工に使用される多軸オーガを用いた地盤撹拌を行ってもよい。すなわち、多軸オーガで土中を壁状に削孔し、掘削土砂とセメントミルクを混合攪拌して地盤をスラリー状とする。スラリー状となった地盤に、複数の連結具12を事前に設置・固定して梯子状にした2本の杭11を建て込んでもよい。その場合、連結具12は、地中に圧入されることがない。
なお、連結具12のソケット13と杭11間の隙間(空間)はジェットで洗浄し、その隙間に、セメントミルク或いはモルタル等を充填する。
本実施形態の橋脚基礎構造10によれば、橋脚1の複数の鋼管柱2のうち1本の鋼管柱2に対し、複数の杭11が設けられる。これらの複数の杭11は、連結具12によって連結されている。これにより、杭基礎構造としての十分な強度が確保される。そして、複数の杭11の杭頭部11aが、1本の鋼管柱2の下端部2aに結合されている。このように、鋼管柱2と杭11を1対1の対応関係ではなく1対多の対応関係で設け、鋼管柱2の下端部2aが各杭頭部11aに結合されることで、十分な強度や剛性をもった橋脚基礎構造10が提供される。このような複数の杭11からなる杭基礎構造は、流動化し得る地盤Xに対しても、優れた水平剛性を発揮する。また鋼管柱2に対して杭11が直接に結合されるので、フーチングは省略されており、フーチングレスな構造が有する各種の利点を享受できる。
たとえば、図4(b)に示される従来のフーチング有りの構造に比して、図4(a)に示される橋脚基礎構造10は利点を有する。図4(b)に示されるように、橋脚基礎構造100は、複数の鋼管柱102と、横つなぎ材103と、梁部104とを含む橋脚101を有し、この橋脚101が杭105およびフーチング106によって支持されている。フーチング106は剛で変形しないので、その近くに配置された横つなぎ材103(水平材)の変形は、橋脚101の中段の横つなぎ材103(水平材)の変形よりも小さくなり得る。これに対し、図4(a)に示されるように、橋脚基礎構造10では、橋脚1の鋼管柱2から杭11までの全体が緩やかに変形するので、最下段の地表面付近の横つなぎ材3(水平材)には、中段の横つなぎ材3と同程度の変形が生じ得る。
さらには、橋脚基礎構造10によれば、杭11の引抜抵抗を増大させることができる。これにより、たとえば、橋脚1の回転変形を抑制することができる。
杭11同士の連結には、連結板14とソケット13とを含む連結具12が用いられる。この場合、求められる強度や剛性に応じて、連結具12の方向や位置を変更する等により、設計の自由度が高められている。
1本の鋼管柱2は、その軸心Laが複数の杭11の軸心Lbの中心に位置するように設けられているので、各杭11に対する鋼管柱2の結合状態を均等にできる。これにより、強度や剛性を確保しやすい。
2本の杭11で1本の鋼管柱2を挟み込むので、強度や剛性が高められている。特に、2本の杭11が並んだ方向に対しては、水平剛性が高められている。橋脚基礎構造10の構築方法においては、事前に連結具12を設置しておき、これをガイドとして、多軸オーガ等で地盤を削孔して杭を打ち込むこともできる。
さらに、地盤Xが、地震時の液状化に伴う流動方向Dを有している場合に、連結具12によって連結された2本の杭11が、その流動方向Dに並んでいる。この場合、流動化し得る地盤Xに対して、剛性の高い杭基礎構造が実現されている。
橋脚基礎構造10によれば、多数本の杭11を含む杭基礎でありながら、鋼管柱2と同じ本数の杭を有する杭基礎構造(1柱1杭形式の構造)に比べ、水平剛性がはるかに高くなっている。杭11の地中部をコンクリート製とすると、耐久性が更に高められる。
比較的小径の杭11が用いられることにより、施工機械が小さくて済む。個々の杭11は、通常の中堀併用で施工できる。ソケット13を含む連結具12をガイドとして打ち込むことで、杭位置の施工誤差を小さくできる。
杭11の間隔を適宜に設定することにより、鋼管柱2の直径に容易に対応できる。そのため、鋼管柱2と杭11の径の選択の自由度が高くなっている。
連結具12の連結板14を杭11よりも先行降伏させることで、地震後の橋梁支持機能を維持できる。
杭11の強度および剛性を確保することで、地震後の点検・補修が困難な地中部の部材の損傷を防止することができる。それと同時に、剛なフーチングがないことにより、従来構造の鋼管集成橋脚のフーチング近傍の水平材の変形を大きくすることができ(図4(a)参照)、下部構造全体としてのエネルギー吸収性能を高めることができる。
続いて、橋脚基礎構造10の他の構成例について説明する。図5は、橋脚基礎構造の第2構成例(杭11が3本の場合)を示す斜視図である。図6は、図5の橋脚基礎構造における鋼管柱2と杭11の結合形態の一例を示す断面図である。図5および図6に示されるように、この橋脚基礎構造では、1本の鋼管柱2に対して、3本の杭11が設けられる。そして、3本の杭11に対して、複数の連結具12A(図5では最上段の連結具12Aのみ図示されている)が設けられている。
連結具12Aは、3本の杭11のそれぞれが貫通する3個の円筒状のソケット(係合部)13と、ソケット13同士を連結する3枚の連結板(連結部)14とを含む。各杭11に対する連結具12Aの結合形態は、上記した第1構成例と同様である。
この橋脚基礎構造において、3本の杭11は、正三角形の頂点の位置に配置されている。すなわち、3本の杭11の軸心Lbは、軸心Lbに垂直な断面において、正三角形の頂点に位置している。鋼管柱2の軸心Laは、同径の円管状をなす3本の杭11の軸心Lbの中心に位置している。杭11と杭11との間隔は、鋼管柱2に対する杭11の結合が可能な大きさに設定される。3本の杭11が用いられる場合、杭11と杭11との間隔は、鋼管柱2の直径と同程度であってもよいし、または鋼管柱2の直径以下であってもよい。3本の杭11の間隔を適切に調整することにより、鋼管柱2の直径に容易に対応することができる。
図6に示されるように、鋼管柱2の下端部2aは、3本の杭11の間に配置されて、3本の杭11および連結具12Aによって包囲されている。3本の杭11の各杭頭部11aが、結合部20Aを介して、1本の鋼管柱2の下端部2aに結合されている。鋼管柱2の下端部2aの埋め込み長さは、鋼管柱2の直径の1倍から2倍程度であってよい。
以下、鋼管柱2に対する杭11の結合形態(結合部20A)について説明する。鋼管柱2の外周面には、複数の鋼板ジベル18が溶接等によって固定されている。鋼板ジベル18には、複数の孔が形成されていてもよい。複数の孔は、軸方向に1列または複数列に並んでいてもよい。鋼板ジベル18は、鋼管柱2の外周面に垂直に取り付けられる。鋼板ジベル18は、鋼管柱2の周方向において、間隙の大きい位置に配置されてもよい。このような配置の工夫により、鋼管柱2の外周に突出する鋼板ジベル18を支障なく配置することができる。連結具12Aと鋼管柱2との間には、モルタルまたはコンクリート等の結合材23が打設され、結合材23によって、鋼管柱2と杭11が一体化されている。この構造は、杭11が鋼管杭であってもPHC杭であっても同様である。なお、ソケット13の内周面には、間隔保持部材としてのフラットバー19が固定されてもよい。
鋼板ジベル18を用いた構造は、鋼管柱2自体の断面欠損がなく、製作性もよいという利点がある。
橋脚基礎構造の構築方法(施工方法)について説明すると、ソケット13を含む連結具12Aを地盤X上に設置し,それをガイドにして杭11を打設する。ソケット13と杭11との間の隙間に、グラウトまたはモルタル等(図示せず)を充填し、連結具12Aと杭11を一体化する。なお、地中深部に連結具12Aを配置する場合は、連結具12Aの上に連結具12Aを重ねてから杭11を打設し、地中部に連結具12Aを圧入してもよい。次いで、連結具12Aで囲まれた部分の土砂を掘削して、鋼管柱2を建込み、モルタルまたはコンクリート等の結合材23を打設し、鋼管柱2と杭11を一体化する。
3本の杭11を有する橋脚基礎構造によっても、上記した第1構成例と同様の作用・効果が奏される。特に、平面視三角形の位置に配置された3本の杭11の中心に鋼管柱2を立てるため、鋼管柱2の直径に容易に対応できる。
正三角形(正多角形)の頂点の位置に配置された杭11によれば、複数の方向に対して水平剛性を高めることができる。全体として、強度や剛性が高められる。
なお、鋼管柱2に対する杭11の結合形態として、他の結合形態(ずれ止め)が用いられてもよい。たとえば、鋼管柱2の表面に異形鉄筋や頭付きスタッドを溶接する方法、鋼管柱2自体を縞鋼板などの表面に凹凸のある鋼材とする方法などが挙げられる。本実施形態においても、いずれの方法も適用可能である。鋼管柱2の埋め込み長さや板厚、充填コンクリートの強度などに応じて、適宜に設計可能である。
また、鋼管柱2自体に複数の孔を設けてもよい。上記した孔あきの鋼板ジベル18を用いる場合でも、鋼管柱2に孔を設ける場合でも、孔を貫通する鉄筋を配置して、ずれ耐力を高めることも可能である。鋼管柱2に孔を設ける形態は、連結具12Aで囲まれた空間と鋼管柱2との間のスペースに余裕がなくても、鋼管柱2を配置して杭11と結合できるという利点がある。なお、鋼管柱2に孔を設けると、鋼管柱2自体に断面欠損が生じるので、鋼管柱2に発生する応力度に余裕を持たせることが必要である。
続いて、橋脚基礎構造10の更に他の構成例について説明する。図7は、橋脚基礎構造の第3構成例(杭11が4本の場合)を示す斜視図である。図8は、図7の橋脚基礎構造における鋼管柱2と杭11の結合形態の一例を示す断面図である。図7および図8に示されるように、この橋脚基礎構造では、1本の鋼管柱2に対して、4本の杭11が設けられる。そして、4本の杭11に対して、複数の連結具12B(図7では最上段の連結具12Bのみ図示されている)が設けられている。
連結具12Bは、4本の杭11のそれぞれが貫通する4個の円筒状のソケット(係合部)13と、ソケット13同士を連結する4枚の連結板(連結部)14とを含む。各杭11に対する連結具12Bの結合形態は、上記した第1構成例、第2構成例と同様である。
この橋脚基礎構造において、4本の杭11は、たとえば正方形の頂点の位置に配置されている。すなわち、4本の杭11の軸心Lbは、軸心Lbに垂直な断面において、正方形の頂点に位置している。鋼管柱2の軸心Laは、同径の円管状をなす4本の杭11の軸心Lbの中心に位置している。杭11と杭11との間隔は、鋼管柱2に対する杭11の結合が可能な大きさに設定される。4本の杭11が用いられる場合、杭11と杭11との間隔は、鋼管柱2の直径と同程度であってもよいし、または鋼管柱2の直径以下であってもよい。4本の杭11が用いられる場合、杭11の本数が多い分、鋼管柱2の直径に比して杭11の間隔を狭くできる。
図8に示されるように、鋼管柱2の下端部2aは、4本の杭11の間に配置されて、4本の杭11および連結具12Bによって包囲されている。4本の杭11の各杭頭部11aが、結合部20Bを介して、1本の鋼管柱2の下端部2aに結合されている。鋼管柱2の下端部2aの埋め込み長さは、鋼管柱2の直径の1倍から2倍程度であってよい。
鋼管柱2に対する杭11の結合形態、および、橋脚基礎構造の構築方法(施工方法)は、上記した第2構成例と同様である。この第3構成例においても、鋼板ジベル18等が用いられ得る。
4本の杭11を有する橋脚基礎構造では、地震時の液状化に伴う流動方向Dを考慮して連結具12,12Bが設けられてもよい。すなわち、上記したような4個のソケット13と4個の連結板14とを含む連結具12Bが用いられてもよいが、これに加えて又はこれに代えて、2個のソケット13と2個の連結板14とを含む第1構成例の連結具12が用いられてもよい。4本の杭11を平面視正方形に配置し、4本の杭11に対して複数の連結具12が設けられてもよい。複数の連結具12のうち、流動方向Dに沿って設けられた連結板14(連結具12)が最も多くされてもよい。これにより、流動方向Dに対して強度と剛性の高い平面トラスが構成される。なお、流動方向Dに垂直な方向に沿って設けられる連結板14(連結具12)は、最小段数とする。
4本の杭11を有する橋脚基礎構造によっても、上記した第1構成例・第2構成例と同様の作用・効果が奏される。
また、流動化し得る地盤Xに対して、剛性の高い杭基礎構造が実現される。連結具12が流動方向Dを横切るように設けられている場合には、連結具12が地盤流動時の抵抗になり得るが、流動方向Dに沿って設けられた連結具12が最も多いことにより、地盤流動時の抵抗が低減されると共に、流動方向Dに対して水平剛性が高められている。
連結具12、12A、12Bにおける連結板14の延在方向は、水平方向に限られない。図9は、変形形態に係る橋脚基礎構造10Cの杭11同士の連結構造を示す斜視図である。図9に示されるように、橋脚基礎構造10Cでは、連結具12Cの連結板14は、杭11と杭11との間において、水平方向に対して角度(鋭角)をなす方向に延在している。これにより、1つの連結具12Cにおいて、ソケット13の高さが異なっている。複数の連結具12Cが、上下を逆にして交互に重ねられるように設けられてもよい。図9に示される例において、複数の連結具12Cは、複数の杭11を平面トラス状に結合している。2本、3本、または4本の杭11を有する橋脚基礎構造において、このような平面トラス状の連結構造が形成されてもよい。
平面トラス状の橋脚基礎構造は、上記した橋脚基礎構造10と同様の方法で構築(施工)され得る。2本の杭11からなる橋脚基礎構造10Cを構築する場合は、連続柱列式地中壁の施工に使用される多軸オーガを用いた地盤撹拌を行ってもよい。すなわち、多軸オーガで土中を壁状に削孔し、掘削土砂とセメントミルクを混合攪拌して地盤をスラリー状とする。スラリー状となった地盤に、複数の連結具12Cを事前に設置・固定して平面トラス状にした2本の杭11を建て込んでもよい。その場合、連結具12Cは、地中に圧入されることがない。
平面トラス状の連結構造によれば、地震時の杭11の曲げが小さくなる。また、流動方向Dを考慮して、平面トラス状の連結構造が流動方向Dに沿って多く設けられてもよい。
図10を参照して、鋼管柱2と杭11の結合形態の他の例について説明する。図10(a)に示されるように、1つの柱用孔26aと、複数の(たとえば2つの)杭用孔26bとが形成された結合部材26が用いられた結合部20Dが採用されてもよい。柱用孔26aは、鋼管柱2の直径に対応しており、鋼管柱2の下端部2aが挿入可能である。杭用孔26bは、杭11の直径に対応しており、杭11の杭頭部11aが挿入可能である。図10に示される鋼管柱2および杭11の配置は、図3に示される鋼管柱2および杭11の配置と同様である。結合部材26は、たとえば、これらの柱用孔26aおよび杭用孔26bを取り囲む楕円形(または小判型や円形でもよい)の外形を有している。結合部材26は、たとえば高強度コンクリート製であり、スパイラル状の補強鋼材(図示せず)が埋設されている。このような蓮根状の部材である結合部材26の柱用孔26aおよび杭用孔26bに鋼管柱2および杭11がそれぞれ挿入され、遊間に、グラウトないしモルタルが打設されて一体化されている。
結合部20Dを構築する際は、地盤Xの表面を掘削し、まず結合部材26を設置し、杭用孔26bをガイドとして2本の杭11を打設して一体化する。次いで、鋼管柱2を建て込む。この場合も、鋼管杭およびPHC杭のいずれもが使用可能である。鋼管柱2の下端部2aの埋め込み長さは、鋼管柱2の直径の1倍から2倍程度であってよい。柱2および杭11が鋼管である場合、鋼管柱2および杭11が結合部材26の中に埋設される部分には、中詰めコンクリートを打設する。
なお、地中深部に連結具12を配置する場合は、その連結具12の上に、結合部材26を重ねてから杭11を打設し、地中部に連結具12を圧入してもよい。次いで、結合部材26の柱用孔26aの土砂を掘削して、鋼管柱2を建込み、モルタルまたはコンクリート等の結合材23を打設して鋼管柱2と結合部材26を一体化する。
結合部材26を用いる場合において、鋼管柱2および杭11の表面に凹凸を設け、ずれ抵抗を高めてもよい。PHC杭の場合には、表面を目粗し、あるいは製造時に凹凸を付けてもよい。鋼管杭の場合には、表面に、鋼管の軸直角方向に異形鉄筋や丸鋼を溶接してもよい。
また、図10(b)に示されるように、柱用孔26aおよび杭用孔26bは、独立した孔ではなく、互いに連通した孔であってもよい。
連結具は、ソケット13を含むものに限られない。図11を参照して、他の変形形態に係る橋脚基礎構造の杭同士の連結構造について説明する。図11に示されるように、杭11と杭11とが、これらの間に延在するつなぎ材(連結部)32と、つなぎ材32の延在方向の両端部に設けられた係合部33とを含む鋼板製の連結具30によって連結されてもよい。T字状の係合部33は、杭11の外周面に設けられた雌継手31に係合している。雌継手31には鋼管矢板の継手が用いられ得る。連結具30は、後から地中に挿入可能な構造であってもよい。雌継手31および連結具30の係合部33によって形成された空間内にモルタル等が充填されてもよい。
雌継手31に係合する係合部33を両端に有する連結具30を用いた連結構造によれば、上記したソケット13を含む連結構造と同様、杭11全体の剛性が高められる。また、鋼管矢板の継手が用いられることにより、杭11を打設した後からでも、連結具30を容易に挿入することができる。杭を上下に分割して施工する必要等はない。図11に示されるように、つなぎ材32を縦、横、斜めのあらゆる方向に容易に設けることができる。図2に示される格子状の連結構造、図5に示される三角形状の連結構造、図7に示される四角形状の連結構造、図9に示される平面トラス状の連結構造のいずれも、容易に形成することができる。
次に、図12および図13を参照して、他の実施形態に係る橋脚基礎構造について説明する。図12は、他の実施形態に係る橋脚基礎構造の杭頭部11a付近の概略構造を示す断面図である。図13は、その橋脚基礎構造の杭頭部11a付近の概略構造を示す斜視図である。なお、図12に示されるように、この橋脚基礎構造では、1本の鋼管柱2に対して、4本の杭11が設けられる。杭11は、たとえば鋼管杭である。4本の杭11に対して、複数の連結具(図示せず)が設けられている。杭11同士を連結するための連結具としては、上記したいずれの連結具が用いられてもよい。ソケット13を含む連結具12が用いられる場合は、連結板14は極短くされる。なお、図13では、4本の杭11のうち1本の杭11のみが図示されており、残りの3本の杭11の図示は省略されている。
この橋脚基礎構造において、4本の杭11は、たとえば正方形の頂点の位置に配置されている。すなわち、4本の杭11の軸心Lbは、軸心Lbに垂直な断面において、正方形の頂点に位置している。鋼管柱2の軸心Laは、同径の円管状をなす4本の杭11の軸心Lbの中心に位置している。本実施形態の結合部20Eが上記実施形態と違う点は、平面視において(すなわち軸心Laの方向から見て)、複数の杭11に鋼管柱2が重なっている点である。4本の杭11は、上記実施形態に比して、より近接して打設されている。杭11と杭11との間隔は、鋼管柱2の直径以下である。
なお、この場合でも、鋼管柱2は、複数の杭11の外周面に外接する1つの大きな仮想円の範囲内に収まっている。この点に関しては、上記実施形態と変わらず共通している。
図13に示されるように、杭11の杭頭部11aは、周壁部11c(鋼管柱2の軸心Laから遠い側の周壁部、瓦せんべい形状の周壁部)を残して、切り欠かれている。切欠きが形成される範囲は、たとえば、杭11の軸心Lbを中心として180度以上である。切欠きの範囲は、杭11の軸心Lbを中心として180度未満であってもよい。切欠きの下端の境界部には、補剛のためのドーナツ状の補強板36が溶接されている。周壁部11cの周方向の両端に形成された鉛直方向に延びる端縁11d,11dは、鋼管柱2に対して溶接等により直接接合されている。なお、杭11は、公知の鋼管継手等によって鋼管柱2に接合されてもよい。杭11の周壁部11cと鋼管柱2とによって囲まれた空間(杭11の内部)と鋼管柱2の内部には、コンクリート17,7が打設される。図12に示されるように、鋼管柱2の下端部2aおよび4本の杭11の杭頭部11aの全体を拘束する補強用の拘束部材37が設けられてもよい。
このように、鋼管柱2の下端部2aは、4本の杭の切欠きに嵌め込まれると共に、4本の杭11の周壁部11cによって包囲されている。4本の杭11の各杭頭部11aの切欠きの端縁11d,11dが、1本の鋼管柱2の下端部2aに結合されている。
他の実施形態に係る橋脚基礎構造によっても、上記実施形態と同様の作用・効果が奏される。また、鋼管柱2を杭11に重複するように設け、杭11の切欠きに鋼管柱2を嵌め込む構造であるため、鋼管柱2の直径に対応させることも容易である。たとえば杭11の直径に制限がある場合でも、杭11の本数、杭11の間隔、切欠きを形成する範囲等を調整することにより、十分な強度や剛性をもった橋脚基礎構造が実現され得る。
1本の鋼管柱2は、その軸心Laが複数の杭11の軸心Lbの中心に位置するように設けられているので、各杭11に対する鋼管柱2の結合状態を均等にできる。これにより、強度や剛性を確保しやすい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。
たとえば、各鋼管柱2に対して、同様の橋脚基礎構造が設けられる場合に限られない。橋脚1の複数の鋼管柱2のうち、少なくとも1本の鋼管柱2に対して本発明の橋脚基礎構造が設けられればよい。複数の鋼管柱2に対して本発明の橋脚基礎構造が設けられる場合に、ある鋼管柱2と、別の鋼管柱2とにおいて、異なる形態の橋脚基礎構造が適用されてもよい。たとえば、鋼管柱2によって、複数の杭11が並べられる方向(連結部の向き)が異なってもよいし、杭11の本数が異なってもよい。
ソケット13を含む連結具12は、杭11をガイドとして圧入される工法に限られない。杭11と連結具12をあらかじめ所定の位置に設置・固定したものに対して、複数本の杭11を同時に打設してもよい。少なくとも、ソケット13の内面と杭11に多少の遊間(隙間)を設けつつ、杭11の軸方向には移動しないようなせん断キーを設ければよい。そして、連結具12に取り付けられる複数の杭11を、少しずつ、順次打設していけば、連結具12を後から圧入する必要はない。
また、たとえば、翼付き鋼管杭の回転工法が採用される場合には、ソケット13の中で鋼管杭が軸周りに回転可能であるが軸方向には移動できないように取付け、連結具12に取り付けられる複数の杭11を同時に回転圧入して杭11を打設すれば、連結具12の圧入を同時に行うこともできる。