JP4960554B2 - 超音波流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すように、流体中に距離Lを離して流管3の上流と下流に配置した1組の超音波送受波器の一方の送受波器1から他方の送受波器2へ超音波を送信したときの順方向伝播時間と、送受波器2から送受波器1へ超音波を送信したときの逆方向伝播時間とから流体の流速Vを求め、流量を演算している。
【0003】
上述の測定原理において、超音波が受信側の送受波器に到達する時期、つまり到達時点を特定する受信検知の方法として、特定波のゼロクロス点を検知するようにしたものがある。図6は発信のタイミングを示す発信駆動信号と受信波を示している。実際の受信波は非常に小さく、先ず増幅される。同図の受信波は増幅後の波形を示している。
【0004】
aが到達時点で、徐々に振幅が大きくなる。その後最大振幅となり徐々に小さくなる。ところが到達時点aはノイズに隠れて検知できない。そこで、次のような方法が行われている。
【0005】
ノイズより十分大きな基準電圧レベルとしてのしきい値VTHを決め、このレベルに最初に達した波、例えば同図の第3波がb点でしきい値に達した後ゼロレベルを通るゼロクロスポイントcを検知して受信検知とする方法である。
【0006】
しきい値VTHは常に何番目かのある特定の波(例えば第3波)のゼロクロスポイントを検知するように定めてあり、実際の伝播時間tは、a点からc点までの時間τを予め求めて記憶しておき、測定した時間t+τに相当する値から時間τを減算することにより求めている。
【0007】
送信から受信までの順方向伝播時間や逆方向伝播時間を求めるのに、単純に測定した到達時間t+τから時間τを減ずるのではなく、伝播時間計測の精度を向上するために、受信すると同時に次の送信を同じ方向に行うことを複数回(n−1回)繰り返すことにより、一方向、例えば順方向の送受信をn回連続して繰り返して、最初(第1回目)の順方向送信から最後(第n回目)の受信までの時間、つまり到達時間のn倍をまとめて測定し、次に他方向、例えば逆方向への送受信を同様にしてn回連続して繰り返して、最初の逆方向送信から最後の受信までの時間、つまり到達時間のn倍をまとめて測定し、これらの各方向の複数回の送受信で得た測定値からnτを減じ、各方向の伝播時間を計算して流速更に流量を求める超音波流量計も公知である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際の受信波は図に示すような綺麗な波形ではなくて、常にノイズが乗っている。従って、確実に受信波を検知して到達時間を精度良く計測するには、S/Nを上げるべく、送信側の超音波送受波器を駆動する電圧を大きくして、ノイズに比べて十分に大きな受信波が得られるようにするとよい。
【0009】
そのため、電池電源を用いる超音波流量計では、電池電圧を昇圧回路で昇圧して送信側の送受波器を駆動することが行われている。ところが、昇圧回路の動作に伴うノイズが受信信号に重畳されて正確な測定の妨げになり、電池駆動の高精度の超音波流量計を実現する際の障害となっていた。
【0010】
そこで本発明は前記障害を解消できる超音波流量計を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、送信側としても受信側としても働く超音波送受波器を少なくとも1対設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向及び下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、その各方向の到達時間より流量を求める超音波流量計で、かつ、各方向毎に先ず一方の送受波器を送信側として送信し、他方の受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると再び送信側送受波器を駆動して送信し、これを複数回繰り返すように構成し、各方向毎に第1回目の送信から複数回目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求める超音波流量計において、
送信側の超音波送受波器の駆動に用いる電源部として、該電源部とは別の低電圧電源を昇圧してコンデンサに蓄えた電荷を使用する電源部を有し、
各方向毎の前記第1回目の送信の所定時間前に前記電源部の昇圧を開始して、前記複数回目の受信後に前記電源部の昇圧動作を停止するようにして、
少なくとも受信波検知部が受信波を検知する時期を含む期間の間、前記電源部の昇圧動作を停止することを特徴とする超音波流量計である。
【0012】
請求項2の発明は、送信側としても受信側としても働く超音波送受波器を少なくとも1対設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向及び下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、その各方向の到達時間より流量を求める超音波流量計で、かつ、各方向毎に先ず一方の送受波器を送信側として送信し、他方の受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると再び送信側送受波器を駆動して送信し、これを複数回繰り返すように構成し、各方向毎に第1回目の送信から複数回目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求める超音波流量計において、
送信側の超音波送受波器の駆動に用いる電源部は、該電源部とは別の低電圧電源を昇圧してコンデンサに蓄えた電荷を使用するものであって、
各方向毎の前記第1回目の送信の所定時間前に前記電源部の昇圧を開始して、前記複数回目の受信後に前記電源部の昇圧動作を停止するようにして、
送信から、超音波の到達時間より短い一定時間後に昇圧動作を停止し、受信波を検知すると再び昇圧動作を開始するようにしたことを特徴とする超音波流量計である。
【0013】
請求項3の発明は、送信側としても受信側としても働く超音波送受波器を少なくとも1対設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向及び下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、その各方向の到達時間より流量を求める超音波流量計で、かつ、各方向毎に先ず一方の送受波器を送信側として送信し、他方の受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると再び送信側送受波器を駆動して送信し、これを複数回繰り返すように構成し、各方向毎に第1回目の送信から複数回目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求める超音波流量計において、
送信側の超音波送受波器の駆動に用いる電源部は、該電源部とは別の低電圧電源を昇圧してコンデンサに蓄えた電荷を使用するものであって、
各方向毎の前記第1回目の送信の所定時間前に前記電源部の昇圧を開始して、前記複数回目の受信後に前記電源部の昇圧動作を停止するようにして、
先ず第1回目の送信から、超音波の到達時間より短い一定時間後に昇圧動作を停止し、第1回目の受信波を検知すると再び昇圧動作を開始するようにし、
第2回目以降は、前回の到達時間から一定時間を減じた時間がその回の送信から経過した時に昇圧動作を停止し、受信波を検知すると再び昇圧動作を開始するようにしたことを特徴とする超音波流量計である。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好ましい実施の形態を図面の実施例に従って説明する。
【0015】
〔実施例1〕
図1は実施例1の全体のブロック図で、請求項1と2の発明に対応する。送波器駆動部については後述する別の図で詳記する。送受波器1,2は超音波振動子で送信にも受信にも使用できる。両送受波器は流体中を流れと同じ順方向と、流れと逆の逆方向への超音波の送受信を行う。受信波検知部4は受信側の送受波器、例えば2が接続され、受信波を検知すると受信波検知信号を出力する。送波器駆動部5はコントロール部6からの第1送信指令信号を受けると送信側の送受波器、例えば1を先ず駆動し、その後は受信波検知部4から受信波検知信号を受ける都度に駆動する。但し、第1のカウンタ7から第n受信波検知信号を受けるとそれ以後は新たに第1送信指令信号を受けるまでは駆動を停止する。
【0016】
第1のカウンタ7は、受信波検知部4からの受信波検知信号をカウントしてn番目の受信波検知信号を出力する。このカウンタ7はコントロール部6からの第1送信指令信号でリセットされるようになっている。第2のカウンタ8は第1送信指令信号から第n受信波検知信号までの時間、即ち各方向についての、第1回目の送信から第n回目の受信までの時間を測定する。測定した時間(カウント値)はコントロール部6が読み取る。この実施例では、第1送信指令信号でカウンタ8のカウント値がクリアされ、カウントを開始するように構成されている。コントロール部6は一定時間間隔で送受切替信号を反転させることにより、2つの送受波器の役割の切り替えを行い、超音波の送信方向を切り替える。各切り替え後、毎回、切り替えによるノイズ等が収まる時間をおいて、第1送信指令信号を出力する。そして、第n受信波検知信号が入力されると、カウンタ8の測定値(カウント値)を読み取り、直前に行った反対方向での測定値(カウント値)とを用いて、その間の流速・流量を演算する。9は電源電池である。
【0017】
電池9の電圧を昇圧する昇圧回路と、昇圧した電圧を蓄えるコンデンサと、昇圧回路とコンデンサの間に接続した逆流防止ダイオードを有する送波器駆動用電源部は、送波器駆動部5に内蔵されている。コントロール部6は第1送信指令信号を出力する一定時間前に昇圧ON信号を出力するとともに、測定が終了すると昇圧OFF信号を出力する。
【0018】
図2は図1の送波器駆動部の一部を示す電気回路で、前記電池9の低電圧は、昇圧回路部10のIN入力端子へ入力されて昇圧され、逆流防止ダイオード11を介してコンデンサ12に充電されて蓄えられる。前記送波器駆動部5は、このコンデンサ12に蓄えられている高電圧を用いて送信側の送受波器を駆動する。昇圧回路部10は、そのON入力端子へRSFF13のQ出力が入力されていて、この信号が"High"なら昇圧機能が動作し、"Low"なら昇圧動作が停止するように構成されている。
【0019】
RSFF13のS入力には、コントロール部6からの昇圧ON信号と受信波検知部4からの受信波検知信号とのORが入力されており、R入力にはコントロール部6からの昇圧OFF信号と遅延回路14の出力である遅延信号とのORが入力されている。この遅延信号は、受信波検知部4からの受信波検知信号とコントロール部6からの第1送信指令信号とのORを遅延回路14で一定時間遅延させて出力した信号である。
【0020】
通常、測定が行われていないときは、測定終了後の前記昇圧OFF信号によりRSFF13はリセットされ、Q出力は"Low"となり、昇圧回路部10の昇圧動作は停止している。測定を行うときは、先ず昇圧ON信号によってRSFF13がセットされてQ出力が"High"となり、昇圧動作が開始する。そして、決められた時間後、第1送信指令信号が入力されることになる。この第1送信指令信号は遅延回路14により一定時間遅延され、OR回路を介してRSFF13のR入力に入力されてRSFF13をリセットする。するとQ出力は"Low"となり昇圧動作が停止する。そして、受信波が検知されて受信波検知信号が入力されると、RSFF13は再びセットされて昇圧動作が始まる。このときの受信波検知信号は遅延回路14で一定時間遅延されてRSFF13のR入力となり、昇圧動作は停止する。以後、この動作が繰り返される。
【0021】
最後のn回目の受信後はコントロール部6からの昇圧OFF信号によって昇圧動作は停止する。なお、前記一定時間は、考えられる最短の超音波到達時間より少し短く設定されていて、こうすることで、受信波検知の少し前に昇圧動作が停止されるため、昇圧動作によるノイズの悪影響を受けることなく、受信波の到達ポイント、例えば特定のゼロクロスポイントを精度良く確実に検知できる。
【0022】
〔実施例2〕
この実施例は、請求項1と3に対応するもので、前記実施例1における図2の遅延回路14とその前段のORゲートとからなる破線で囲んだ部分15を図3のように構成することで実現している。
【0023】
カウンタ16はクロック発信器を内蔵していて、毎回の到達時間を測定する。コントロール部6からの第1送信指令信号と受信波検知部4からの受信波検知信号とを入力するORゲートの出力でリセットされ、そのリセットの瞬間から時間測定が開始される。受信波検知信号は記憶回路18のラッチ信号にもなっていて、カウンタ16がリセットされる前にその値(到達時間)を記憶回路18に記憶する。
【0024】
記憶された到達時間は減算器19に入力され、予め設定されている値(時間)αが減算され、比較回路20のB入力に入力される。B入力と比較されるA入力にはカウンタ16の出力である到達時間の測定値が入力されている。これらの2つの値AとBが一致すると出力される一致信号が、スイッチSWのB端子に入力されている。スイッチSWは信号選択スイッチで、A入力があったときはA端子側、即ち遅延回路14Aの出力を、B入力があったときはB端子側、即ち比較回路20の一致信号出力を選択する。つまり、最初の1回だけがA側で、それ以降はB側となる。
【0025】
一方向における送受信を複数(n)回連続して繰り返す場合、1回の送受信の到達時間tは極めて短い時間である。従って、隣接する送受信時の到達時間同士の差は殆ど無いと考えられる。
【0026】
そこで、この実施例2では、図4に示すように第1回目の送信から受信までの時間がt1であった場合、第2回目の受信波を受信する時点は、第1回目の受信と共に行われる第2回目の送信後、およそt1経ったところである。第3回目の送受信についても同様で、第2回目の送受信の到達時間t2を用いて第3回目の受信時点を予想できる。以後同じようにできる。
【0027】
1回目は実施例1と同じであるが、2回目以後は、前回の到達時間から一定時間αを減じた時間だけその回の送信から経過した時点で昇圧動作を停止するようにし、受信波を検知したら昇圧動作を再開するようにすれば、昇圧動作を停止する時間を最小限に抑えることができ、従って受信検知と同時に行う送信に要する電力をまかなうためのコンデンサの電圧を十分昇圧しきった高い電圧にでき、送信電圧の変動に起因する誤差を最小にできる。
【0028】
【発明の効果】
本発明の超音波流量計は上述のように構成されているので、受信波を検知するときは昇圧動作が停止しており、受信波にノイズが乗ることを防止できる。従って、正確に精度良くゼロクロスポイントを検知でき、電池駆動の超音波流量計の実現に役立つ。
【0029】
また、受信直前まで昇圧回路を動作させることができるため、受信とともに行う送信に使うコンデンサの電圧を十分昇圧しきった電圧とすることが可能で、送信電圧の変動に起因する誤差要因を最小にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のブロック図。
【図2】本発明の実施例の電気回路図の一部。
【図3】本発明の実施例の電気回路図の一部。
【図4】本発明の実施例の動作を説明するタイミング図。
【図5】超音波流量計の原理を説明する図。
【図6】超音波流量計の受信波検知を説明する信号波形図。
【符号の説明】
1,2 超音波送受波器
4 受信波検知部
5 送波器駆動部
9 電池
10 昇圧回路部
11 逆流防止ダイオード
12 コンデンサ

Claims (3)

  1. 送信側としても受信側としても働く超音波送受波器を少なくとも1対設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向及び下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、その各方向の到達時間より流量を求める超音波流量計で、かつ、各方向毎に先ず一方の送受波器を送信側として送信し、他方の受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると再び送信側送受波器を駆動して送信し、これを複数回繰り返すように構成し、各方向毎に第1回目の送信から複数回目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求める超音波流量計において、
    送信側の超音波送受波器の駆動に用いる電源部として、該電源部とは別の低電圧電源を昇圧してコンデンサに蓄えた電荷を使用する電源部を有し、
    各方向毎の前記第1回目の送信の所定時間前に前記電源部の昇圧を開始して、前記複数回目の受信後に前記電源部の昇圧動作を停止するようにして、
    少なくとも受信波検知部が受信波を検知する時期を含む期間の間、前記電源部の昇圧動作を停止することを特徴とする超音波流量計。
  2. 送信側としても受信側としても働く超音波送受波器を少なくとも1対設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向及び下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、その各方向の到達時間より流量を求める超音波流量計で、かつ、各方向毎に先ず一方の送受波器を送信側として送信し、他方の受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると再び送信側送受波器を駆動して送信し、これを複数回繰り返すように構成し、各方向毎に第1回目の送信から複数回目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求める超音波流量計において、
    送信側の超音波送受波器の駆動に用いる電源部は、該電源部とは別の低電圧電源を昇圧してコンデンサに蓄えた電荷を使用するものであって、
    各方向毎の前記第1回目の送信の所定時間前に前記電源部の昇圧を開始して、前記複数回目の受信後に前記電源部の昇圧動作を停止するようにして、
    送信から、超音波の到達時間より短い一定時間後に昇圧動作を停止し、受信波を検知すると再び昇圧動作を開始するようにしたことを特徴とする超音波流量計。
  3. 送信側としても受信側としても働く超音波送受波器を少なくとも1対設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向及び下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、その各方向の到達時間より流量を求める超音波流量計で、かつ、各方向毎に先ず一方の送受波器を送信側として送信し、他方の受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると再び送信側送受波器を駆動して送信し、これを複数回繰り返すように構成し、各方向毎に第1回目の送信から複数回目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求める超音波流量計において、
    送信側の超音波送受波器の駆動に用いる電源部は、該電源部とは別の低電圧電源を昇圧してコンデンサに蓄えた電荷を使用するものであって、
    各方向毎の前記第1回目の送信の所定時間前に前記電源部の昇圧を開始して、前記複数回目の受信後に前記電源部の昇圧動作を停止するようにして、
    先ず第1回目の送信から、超音波の到達時間より短い一定時間後に昇圧動作を停止し、第1回目の受信波を検知すると再び昇圧動作を開始するようにし、
    第2回目以降は、前回の到達時間から一定時間を減じた時間がその回の送信から経過した時に昇圧動作を停止し、受信波を検知すると再び昇圧動作を開始するようにしたことを特徴とする超音波流量計。
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