JP4133237B2 - 超音波流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1に示すように、流体中に距離Lを離して流管3の上流と下流に配置した1組の超音波送受波器の一方の送受波器1から他方の送受波器2へ超音波を送信したときの順方向伝播時間と、送受波器2から送受波器1へ超音波を送信したときの逆方向伝播時間とから流体の流速Vを求め、流量を演算している。
【0003】
上述の測定原理において、超音波が受信側の送受波器に到達する時期、つまり到達時点を特定する受信検知の方法として、特定波のゼロクロス点を検知するようにしたものがある。図2は発信のタイミングを示す発信駆動信号と受信波を示している。実際の受信波は非常に小さく、先ず増幅される。同図の受信波は増幅後の波形を示している。
【0004】
aが到達時点で、徐々に振幅が大きくなる。その後最大振幅となり徐々に小さくなる。ところが到達時点aはノイズに隠れて検知できない。そこで、次のような方法が行われている。
【0005】
ノイズより十分大きな基準電圧レベル(単に基準レベルともいう)としてのしきい値VTHを決め、このレベルに最初に達した波、例えば同図の第3波がb点でしきい値に達した後ゼロレベルを通るゼロクロスポイントcを検知して受信検知とする方法である。
【0006】
しきい値VTHは常に狙った何番目かの波、即ち特定番目の波(例えば第3波)のゼロクロスポイントを検知するように定めてあり、実際の伝播時間tは、a点からc点までの時間τを予め求めて記憶しておき、測定した到達時間t+τに相当する値から時間τを減算することにより求めている。
【0007】
受信検知のときに特定番目の波と判断する方法としては、図2のように一定の基準レベルを最初に越えた波が特定番目の波であるとする方法の他に、2つの基準レベルを用意し、そのうちの低い方の基準レベルに対し最初にそのレベルを越えた波が一気にもう1つの基準レベルも越えたときに、その波が特定番目の波であると判断する方法もある(例えば特許文献1又は特許文献2参照)。
【0008】
送信から受信までの順方向伝播時間や逆方向伝播時間を求めるのに、単純に測定した到達時間t+τから時間τを減ずるのではなく、伝播時間計測の精度を向上するために、受信すると同時に次の送信を同じ方向に行うことを複数回(n−1回)繰り返すことにより、一方向、例えば順方向の送受信をn回連続して繰り返して、最初(第1回目)の順方向送信から最後(第n回目)の受信までの総到達時間、つまり到達時間のn倍をまとめて測定し、次に他方向、例えば逆方向への送受信を同様にしてn回連続して繰り返して、最初の逆方向送信から最後の受信までの総到達時間、つまり到達時間のn倍をまとめて測定し、これら順方向と逆方向の複数回の送受信で得た測定値、即ち順方向と逆方向の各総到達時間からnτをそれぞれ減じ、各方向の伝播時間を計算して流速更に流量を求める超音波流量計も公知である(例えば前記特許文献1又は2参照)。
【0009】
図2で説明したように、狙った特定番目の波(例えば第3波)のゼロクロスポイントを確実に検知することで、到達時間又は総到達時間の測定誤差がないようにしているが、受信波の波形は、必ずしも図2で示すような綺麗な波形が毎回安定した振幅で得られるとは限らなくて、常に一定レベルのノイズが乗っているし、流体の流れの乱れや、特に流体が気体の場合には、温度のむらで受信波の振幅が変動することがある。すると、目標とする特定番目の波(例えば第3波)を捉えることができず、違う波(例えば第5波)のゼロクロス点を受信波の到達時点として間違って検知することになり、そのぶん(例えば超音波の1周期分の時間)の誤差が生じる。そこで、受信波が少々乱れても到達時間を安定してかつ正確に求められる超音波流量計を、本願発明者は先に提案した(特許文献3参照)。
【0010】
この超音波流量計は、送信側にも受信側にも働く1対の超音波送受波器を流管の上流と下流に離して設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向及び下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、その各向きの到達時間より流速・流量を求める超音波流量計であって、各方向の送受信について、先ず送信側の送受波器から超音波を送信し、受信側の送受波器の信号を入力する受信波検知部が受信波を検知すると同時に再び送信側の送受波器から送信することを一定の複数(n)回繰り返すように構成し、最初の送信から一定の複数(n)回目の受信までの総到達時間を測定することにより、1回分の到達時間を求めるようにしたものにおいて、
第1回目の受信波の検知は、一定の基準レベル(VTH)に最初に達した波がゼロレベルを横切るゼロクロスポイントとし、第2回目以降の受信波の検知点は、その前回の送信から受信波検知までの時間から一定の時間(a)を減じた時間だけその回の送信から経過した後の最初のゼロクロスポイントを受信波検知点とする超音波流量計である。
【0011】
こうすることで、ノイズや流れの乱れ、温度むら等で受信波の振幅が乱れても狙った所定の波のゼロクロスポイントを正確に検知でき、いわゆるエラーがなくなる。そのため、測定のやり直しが必要なく、消費電流も低減でき、測定値の信頼性が高くなるとしている。
【0012】
ところで、電池駆動の超音波流量計の実現が要望されており、順方向と逆方向の各方向毎に、連続して複数回の送受信を行い、各方向における前記総到達時間に基づいて各方向の伝播時間を計測して流速・流量を求める超音波流量計で、消費電力が大きいアナログ回路への電源供給時間(電源ON時間)を必要最小限の時間に短縮することで流量計の消費電力を低減するものを本願発明者は先に提案した。この超音波流量計は、受信側の送受波器の信号を増幅する増幅器と、増幅した信号を基準レベルと比較する比較器とを備えた受信波検知部の電源をふだんはOFFしておき、超音波が受信側の送受波器に到達する直前にONし、受信波検知部が超音波の受信波を検知したら電源をOFFするものである(特許文献4参照)。
【0013】
この超音波流量計では、アナログ回路を用いた受信波検知部への電源をONするときに、受信側の送受波器が一時的に不要な振動を発生し、これが受信信号へのノイズとなって重畳する。そのため、このノイズの悪影響を防止するためには、前記不要な振動が問題にならない程小さくなるのに十分な減衰時間を見て、前記電源ON時点を余裕を持って早めにする必要があり、消費電力を必要最小限にするのに難点が残っていた。
【0014】
そこで、電源ON時に、受信側の送受波器の端子間を短絡しておき、電源ON時に、受信側に送受波器に電圧を加えないようにして不要振動を防止する超音波流量計を本願発明者は提案した(特許文献5参照)。
【0015】
ところが、送受波器の短絡した端子間を開放するときに、不要振動を発生してしまうため、不具合が残された。
【0016】
また、受信ポイントに対する電源ON時点のタイミングを毎回の送受信毎に変化させることで、不要振動の悪影響を平均化して、不要振動に起因する計測誤差を低減する超音波流量計を本願発明者は提案した(特許文献6参照)。受信波検知部のアナログ回路部電源をONしたときの前記不要振動による受信波ノイズを図3に示す。
【0017】
ところが、電源ON時の受信波ノイズの形に対する電源ON時タイミングの変化の間隔、変化幅の最適化に限界があるため、電源ON時のノイズの悪影響を効果的にキャンセルできず、受信波検知のゼロクロスポイントが移動して、到達時間の測定精度を下げ、結果的に流量計の精度を下げるという問題点が残されていた。そして、特に流量が安定しているときには、毎回の到達時間が殆ど同じであるため、不要振動に起因する受信波ノイズが本来の受信信号に対して毎回殆ど同じタイミング(即ち同じ位相)で重畳する。そのため、ランダムノイズの場合のように繰り返しによって平均化することで悪影響をなくすということができなくて、不要振動が計測精度の向上を阻害するという問題点があった。
【0018】
ところで、実際の受信波は前記図2に示すような綺麗な波形ではなくて、図4のようになっている。超音波パルスのある送信(発信)に対する受信波は、送信時点から主に送受波器間の距離と音速で決まる時間経過後に急に大きく立ち上がる形で大きく現れ、それが徐々に小さくなる。最初の大きい部分が丸く囲んで符号Aを付けた本来の信号部で、その後に続く徐々に振幅が小さくなる部分は、丸く囲んで符号Bをつけた残響(尾引ともいう)である。そして、送信時点から、送信時点と信号部Aまでの時間間隔の約3倍の時間が経過したところには、受信側送受波器で反射した超音波が発信側の送受波器で再び反射して再度受信側送受波器に届いた小さな受信波が現れる。この小さな受信波は丸く囲んで符号Cを付けた部分で1.5往復波と呼ぶことにする。
【0019】
以上は送信を1回だけ行った場合である。到達時間測定の精度を向上させるために、受信とともに次の送信を行うことを複数回連続して繰り返し、到達時間の複数倍をまとめて総到達時間として測定する場合には、これらがノイズとなり(残響ノイズ、1.5往復ノイズと呼ぶことにする)測定に影響を及ぼす。
【0020】
つまり、残響ノイズは十分に小さくなりきっていないため、次の受信のゼロクロスポイントの検知に、1.5往復ノイズは次の次の受信のゼロクロスポイントの検知に悪影響を及ぼす。特に送受波器間の距離Lの小さい小型の流量計では、これらのノイズが本来の信号(受信波)に比べて無視できないため、大きな障害となっていた。
【0021】
図5は、狙った特定番目の波のゼロクロスポイント付近を拡大したものである。受信波はノイズに比べて大きいため、図のように表すことができる。ノイズが乗った実際の受信波では、ゼロクロスポイントが真の時点(真のゼロクロスポイント)からずれて誤差を発生する。この図ではノイズをプラス側にしたが当然マイナス側もあり得る。
【0022】
前述のように送受信を連続して繰り返す場合、第1回目の受信時は残響ノイズも1.5往復ノイズもないため、真の受信波そのものが受信でき、ゼロクロスポイントも真のゼロクロスポイントが検知できる。しかし、2回目の受信以降からは残響ノイズ、更に3回目の受信以降は1.5往復ノイズも真の受信波と一緒に受信することになる。しかもこれらのノイズは送信と同期しているため、真の受信波とも同期することになり、いつも真の受信波に対して同じ位相関係で現れる。
【0023】
図5では、この2つのノイズ(残響ノイズと1.5往復ノイズ)を合わせてノイズとして表した。結局、このノイズにより送受波器には真の受信波+ノイズが受信されることになり、実際のゼロクロスポイントは真のゼロクロスポイントから図示する誤差分だけずれることになる。この誤差は、特に微少流量において大きな流量誤差になり、超音波流量計の精度向上に対する大きな障害となっていた。仮にノイズの極性が図5の場合と比べて逆である(即ち、位相角が180度異なる)と、図6のようになって、実際のゼロクロスポイントの誤差も図5の誤差の極性を逆にした値となる。
【0024】
再び図4で説明する。これは、ある1回の送信に対する受信波を模式的に表し、送信に同期しないノイズは省いたものである。この信号部A,残響B及び1.5往復波Cの形状は、温度等が変化しない短時間の間は毎回ほとんど同じ形で現れ、更に送信の駆動を電圧、パルス幅を変えずに極性のみを逆にすると、信号部Aだけでなく残響B、1.5往復波Cも180℃異なる位相角(波高値等は同じで極性のみ逆)となることが実験等で確認されている。
【0025】
そこで、本願発明者は残響や1.5往復波に起因するノイズによる前記の障害を解消できる超音波流量計を先に特願2001−175738で提案した。このものは未公開である。この提案の超音波流量計の概略を次に示す。
【0026】
図5,6の真の受信波のみ極性を逆にすると、狙った特定番目の波はマイナス側に現れ、図7,8のようになり、誤差の絶対値は同じで極性のみ逆になる。このような現象を活用してノイズによる誤差を相殺するようにした。
【0027】
仮に狙った特定番目の波がプラス側に現れるように送信側の送受波器を駆動する場合を正の駆動とし、狙った特定番目の波がマイナス側に現れるように送信側の送受波器を駆動する場合を負の駆動としたとき、次のことが言える。
【0028】
正の駆動による受信点に与える正の駆動による残響ノイズの影響(誤差)を+α(図5)とすると、正の駆動による受信点に与える負の駆動による残響ノイズの影響は−α(図6)、負の駆動による受信点に与える正の駆動による残響ノイズの影響は−α(図7)、負の駆動による受信点に与える負の駆動による残響ノイズの影響は+α(図8)となる。
【0029】
また、正の駆動による受信点に与える正の駆動による1.5往復ノイズの影響(誤差)を+β(図5)とすると、正の駆動による受信点に与える負の駆動による1.5往復ノイズの影響は−β(図6)、負の駆動による受信点に与える正の駆動による1.5往復ノイズの影響は−β(図7)、負の駆動による受信点に与える負の駆動による1.5往復ノイズの影響は+β(図8)となる。
【0030】
まず、残響ノイズの影響だけを考える。残響ノイズは次の受信に影響を与える。仮に正の駆動が連続して繰り返されている場合、正の駆動の受信は、1つ前の正の駆動の残響ノイズの影響を受け、毎回+αの誤差となる。正の駆動が連続している中で1回負の駆動を行うと、その負の駆動の受信は1つ前の正の駆動の残響ノイズの影響を受け−αの誤差となり、更に前記負の駆動の次の正の駆動による受信は、負の駆動の残響ノイズの影響で−αの誤差となる。つまり、1回負の駆動を混ぜることで、その受信時とその次の受信時の2回が−α誤差になる。したがって、4回の内1回負の駆動とすれば4つの誤差のうち2回が+α、もう2回が−αとなり相殺される。
【0031】
1.5往復ノイズについても同様で、この場合は次の次の受信に影響を与える。正の駆動が連続して繰り返されている場合、正の駆動の受信は、2つ前の正の駆動の1.5往復ノイズの影響を受け、毎回+βの誤差となる。正の駆動が連続している中で1回負の駆動を行うと、その負の駆動の受信は2つ前の正の駆動の残響ノイズの影響を受け−βの誤差となり、更に前記負の駆動の次の正の駆動による受信は前記負の駆動の1つ前の正の駆動の1.5往復ノイズの影響で+βの誤差となるが、その次の正の駆動による受信が前記負の駆動の1.5ノイズの影響を受けて−βの誤差となる。つまり、1回負の駆動を混ぜる(挟む)ことで、その受信時とその次の次の受信時の2回が−β誤差になる。したがって、4回の内1回負の駆動とすれば1.5往復ノイズによる誤差も4回の内2回が+α、もう2回が−αとなり相殺される。
【0032】
このように2回の+βと2回の−βで相殺するようにするには、負の駆動の前の2回の駆動は正の駆動であり、負の駆動に続く2回の駆動も正の駆動にする必要がある。図9は、この関係を示す図である。
【0033】
従って、一定回数の繰り返して行う送信の1/4の回数を逆の極性の送信とし、この逆の極性の送信後は少なくとも2回の逆の極性でない送信を行うことで、残響ノイズと1.5往復ノイズの両者の悪影響を最小にできる。
【0034】
なお、上述で、正の駆動、負の駆動の正・負は、実際の駆動の極性を示すものではなく、極性のみを逆にした図10(a)(b)にそれぞれ示す2つの駆動パターンの一方を正とし、他方を負と表現したものである。図10の駆動パターンは、送信側の送受波器(超音波振動子)に印加する駆動パルスの波形(パターン)で、仮に同図(a)の駆動パターンを「正の駆動」と呼ぶことにすれば、同図(b)の駆動パターンは「負の駆動」ということになる。残響ノイズの影響による誤差αと、1.5往復ノイズの影響による誤差βも、正・負両方があり得る。
【0035】
そこで、先に提案した特願2001−175738の超音波流量計は、送信側としても受信側としても働く超音波送受波器を少なくとも1対設け、流体の流れの中を上流から下流の順方向及び下流から上流の逆方向に超音波の送受信を行い、その各方向の到達時間より流量を求める超音波流量計で、かつ、各方向毎に先ず一方の送受波器を送信側として送信し、他方の受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると再び送信側送受波器を駆動して送信し、これを複数の一定回数繰り返すように構成し、各方向毎に第1回目の送信から一定回数目の受信までの時間、つまり到達時間の複数倍をまとめて測定し、その結果から到達時間を求める超音波流量計において、
前記受信波検知部は、ある基準レベルに対し最初にそのレベルを越えた波が次にゼロクロスする点を到達ポイントとし、
送信の駆動パターンの極性のみ逆にできるようにすると共に、前記基準レベルの極性のみ逆にした逆基準レベルを用意し、
送信の駆動パターンの極性を逆にしたときは、その送信に対応する受信は、前記逆基準レベルを最初に逆方向に越えた波が次にゼロクロスする点を到達ポイントとし、
前記一定回数の送信の1/4の回数を前記2つの駆動パターンの一方の送信とし、このパターンでの送信後は少なくとも2回のもう一方のパターンの送信を行うようにした。
【0036】
この超音波流量計では、受信波検知部に、極性のみ異なる電圧が同じの2つの基準レベル(基準電圧)を用意して、狙った特定の波が現れる正又は負の側の基準レベルを使うことで、駆動の極性(即ち駆動パターンの極性)に対応して特定番目の波を捉えられる。図11は、実線が正側に基準レベルを配した時の基準レベルと受信波の関係、点線が負側に基準レベルを配したときの基準レベルと受信波の関係を示す。
【0037】
通常、単純なゼロレベルとの比較だけでは到達時点は特定できない。まず、狙った波を捉える必要がある。そのため、この提案の超音波流量計では基準レベルをプラス側、マイナス側両方に用意した。
【0038】
【特許文献1】
特開平10−332452号公報
【特許文献2】
特開2000−283812号公報
【特許文献3】
特開平10−73464号公報(請求項1)
【特許文献4】
特許公報第2828615号(請求項1、第3〜4頁、図1,2)
【特許文献5】
特開平11−173880号公報(請求項1)
【特許文献6】
特開平11−173880号公報(請求項6)
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術、特に特許文献4,5,6では、受信波検知部に用いるアナログ回路部の電源ON時に発生する送受波器の過渡的な振動が十分に小さくなる時間を電源ON時間とする必要があるため、電源ON時間を短くできなくて、消費電流が大きいという問題点が残されている。また、電源をONする時のON時ノイズが本来の受信波に重畳してゼロクロスポイントを移動させるとか、その他にも残響ノイズや1.5往復ノイズが重畳するため、特に特許文献3のように受信ポイント(ゼロクロスポイント)を前回の到達時間より予測して、その一定時間前にアナログ回路部の電源をONするもの等では、到達時点(ゼロクロスポイント)に対していつも同じタイミングでノイズが乗る。そのためノイズによるゼロクロスポイントへの悪影響を平均化してキャンセルすることができず、計測精度が悪いという問題点があった。
【0040】
そこで、本発明は、これらの問題点を同時に解消できる超音波流量計を提供することを目的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受信を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
各方向の送受信において、まず送信側の送受波器から超音波を送信し、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、再び送信側の送受波器から送信するようにし、
受信波検知部は、受信信号を増幅する増幅部と、増幅した受信波のゼロクロスポイントを検知する比較部からなるアナログ回路部を主構成単位としていて、
受信波検知部が検知した波が狙った特定番目の波と判断できたらその波のゼロクロスポイント検知とともに行う送信より総到達時間の測定を開始し、少なくともそれ以後は前回の送受信の到達時間より一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったときに前記アナログ回路部へ電源供給を開始し、受信とともに電源供給を停止するようになっていて、
少なくとも総到達時間測定を開始後は、前回の送受信の到達時間より別の一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったとき以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントとし、
これを一定回数(n回)繰り返すよう構成し、総到達時間の測定を開始した送信から一定回数目(n回目)の受信までの時間つまり到達時間のn倍をまとめて測定し、その結果から流量を求めるようにしたもので、
送信の極性を反転できるようにし、少なくとも繰り返し以後の送信極性を狙った波を捉えるまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定開始後の送信の極性パターンと、そのパターンを1つずつずらし最初を正としたものを重ね合わせ、正正または負負の重なりには+を割り当て、正負あるいは負正の重なりには−を割り当てたとき、+−の数が等しくなり、かつ同様に2つずつずらし最初の2つを正正としたパターンを、元のパターンと重ね、同様に+−を割り当てた時、+−の数が等しくなる駆動パターンとした超音波流量計である。
【0042】
この発明の要点を箇条書きにすると、
(1)受信波検知部の主構成単位である増幅部などのアナログ回路部の電源を、1回の受信毎に短時間ずつONする。
(2)電源ONのタイミングは、今回の送信から(前回の到達時間)−(一定時間)後にONする。
(3)特定番目の波のゼロクロスポイントを受信検知ポイントとする。特定番目の波を捉えるまでは通常の極性の送信とし、特定番目の波を検知するための受信も通常極性。
(4)特定番目の波を捉えてからはゼロクロスのみで受信検知を行う。送信極性が逆になっても、特定番目の波を検知するための基準電圧等を逆極性側に用意する必要はない。前回の到達時間から前記(2)とは別の一定時間を減じた時間が今回の送信から経った以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知点とする。特定番目の波を捉え、そのゼロクロスポイントの検知とともに行う送信から総到達時間の測定を開始し、受信波検知とともに次の送信を繰り返し、一定回数分の到達時間をまとめて測定する。
【0043】
また、請求項2の発明は、請求項1の超音波流量計において、狙った波を捉えたとするまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定を開始後は、その開始時の送信を含め、送信極性を正負正負負負正正または正負負負正負正正あるいはそのどちらかの繰り返しとし、前記一定回数(n)を8の倍数としたことを特徴とするものである。
【0044】
この発明では、総到達時間の測定を開始した以降の送受信の繰り返しで、送信の極性を正負正負負負正正または正負負負正負正正の駆動パターンあるいはそのどちらかの駆動パターンの繰り返しとする。残響、1.5往復ノイズを効果的に除去するには一定回数(n回)の送受信を前記駆動パターンの倍数とするとよい。
【0045】
そして、請求項3の発明は、送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受信を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
各方向の送受信において、まず送信側の送受波器から超音波を送信し、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、再び送信側の送受波器から送信するようにし、
受信波検知部は、受信信号を増幅する増幅部と、増幅した受信波のゼロクロスポイントを検知する比較部からなるアナログ回路部を主構成単位としていて、
受信波検知部が検知した波が狙った特定番目の波と判断できたらその波のゼロクロスポイント検知とともに行う送信より総到達時間の測定を開始し、少なくともそれ以後は前回の送受信の到達時間より一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったときに前記アナログ回路部へ電源供給を開始し、受信とともに電源供給を停止するようになっていて、
少なくとも総到達時間測定を開始後は、前回の送受信の到達時間より別の一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったとき以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントとし、
これを4回繰り返すよう構成し、総到達時間の測定を開始した送信から4回目の受信までの時間つまり到達時間の4倍をまとめて測定し、その結果から流量を求めるようにしたもので、
送信の極性を反転できるようにし、狙った波を捉えたとするまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定を開始後は、その開始時の送信を含め送信極性を正負正負、正負負負、正負正正、正負負正の4つの駆動パターンを各方向につき、同数ずつ使用して同じ使用頻度となるようにしたことを特徴とする超音波流量計である。
また、請求項4の発明は、送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受信を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
各方向の送受信において、まず送信側の送受波器から超音波を送信し、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、再び送信側の送受波器から送信するようにし、
受信波検知部が検知した波が狙った特定番目の波と判断できたらその波のゼロクロスポイント検知とともに行う送信より総到達時間の測定を開始し、
少なくともそれ以後は、前回の送受信の到達時間より一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったとき以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントとし、
これを一定回数(n回)繰り返すよう構成し、総到達時間の測定を開始した送信から一定回数目(n回目)の受信までの時間つまり到達時間のn倍をまとめて測定し、その結果から流量を求めるようにしたもので、
送信の極性を反転できるようにし、少なくとも繰り返し以後の送信極性を狙った波を捉えるまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定開始後の送信の極性パターンと、そのパターンを1つずつずらし最初を正としたものを重ね合わせ、正正または負負の重なりには+を割り当て、正負あるいは負正の重なりには−を割り当てたとき、+−の数が等しくなり、かつ同様に2つずつずらし最初の2つを正正としたパターンを、元のパターンと重ね、同様に+−を割り当てた時、+−の数が等しくなる駆動パターンとした超音波流量計である。
また、請求項5の発明は、請求項1又は4記載の超音波流量計において、総到達時間測定開始後は正極性の送信と負極性の送信の数を同数としたことを特徴とするものである。
そして、また、請求項6の発明は、送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受信を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
各方向の送受信において、まず送信側の送受波器から超音波を送信し、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、再び送信側の送受波器から送信 するようにし、
受信波検知部が検知した波が狙った特定番目の波と判断できたらその波のゼロクロスポイント検知とともに行う送信より総到達時間の測定を開始し、
少なくともそれ以後は、前回の送受信の到達時間より一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったとき以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントとし、
これを4回繰り返すよう構成し、総到達時間の測定を開始した送信から4回目の受信までの時間つまり到達時間の4倍をまとめて測定し、その結果から流量を求めるようにしたもので、
送信の極性を反転できるようにし、狙った波を捉えたとするまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定を開始後は、その開始時の送信を含め送信極性を正負正負、正負負負、正負正正、正負負正の4つの駆動パターンを各方向につき、同数ずつ使用して同じ使用頻度となるようにしたことを特徴とする超音波流量計である。
【0046】
この発明の要点を箇条書きにすると、
(1)(2)(3)は上記請求項1の場合と同じ。
(4)特定番目の波を捉えてからはゼロクロスのみで受信検知を行う。送信極性が逆になっても、特定番目の波を検知するための基準電圧等を逆極性側に用意する必要はない。前回の到達時間から前記(2)とは別の一定時間を減じた時間が今回の送信から経った以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知点とする。特定番目の波を捉え、そのゼロクロスポイントの検知とともに行う送信から総到達時間測定を開始し、受信波検知とともに次の送信を繰り返し4回分の到達時間をまとめて測定する。
(5)総到達時間測定開始以後の繰り返し送信極性を、正負正負、正負負負、正負正正、正負負正の4つの駆動パターンを各方向につき順に使用するようにした(各駆動パターンの使用回数が同じになるようにする)。
【0047】
請求項2の構成では、上記駆動パターンを特定のものとしているが、繰り返し送受信回数が大きい場合、同様の効果を得る駆動パターンは他にもある。例えば16回の倍数なら、正負正正正負負負正負負負正負正正。請求項1は駆動パターンを特定せずにこれらを含有する一般的な表現としたものである。
【0048】
この駆動パターンによる残響の影響(誤差)は次のようになる。残響ノイズは次の受信に影響を与える。したがって、受信の極性、正負正正正負負負正負負負正負正正の順の受信に対し、残響ノイズは1つずつずらし最初を正とした正正負正正正負負負正負負負正負正の順となり、各受信での影響(誤差)は次のようになり、その16回の受信で相殺される。
受信 正負正正正負負負正負負負正負正正
残響 正正負正正正負負負正負負負正負正
影響 +−−++−++−−++−−−+
【0049】
1.5往復ノイズについても同様で、この場合は次の次の受信に影響を与える。よって、2つずつずらし最初の2つを正正とした次の関係となり、各受信での1.5往復ノイズの影響(誤差)は16回の受信で相殺される。
受信 正負正正正負負負正負負負正負正正
残響 正正正負正正正負負負正負負負正負
影響 +−+−+−−+−+−+−+−+
【0050】
ただし必須要件として、正負の数が同じで、正で始まる必要があり、その駆動パターンの送受信を繰り返す場合は、さらに最後が正正である必要がある。
【0051】
【作用】
次に本発明の作用を述べるが、説明の都合で、記述の一部は前記従来技術の説明と重複している部分もある。
【0052】
電源ON時ノイズは、ONタイミングに対し同じ形で表れる。したがって、受信波に対して同じタイミングでONすると受信検知ポイントに対し毎回同じノイズが重畳されることになる。そのため、平均化でキャンセルされない。従来は、受信波に対するON時タイミングを意図的に変化させ、ON時ノイズと受信波の重なり方を順に変化させ、影響を平均化でキャンセルすることを狙っていたものもあった。しかし、ON時ノイズは徐々に小さくなる波形であり、変化の幅をON時ノイズの周期に一致させることも難しい。結局、この方法でのキャンセルは限界があった。
【0053】
このON時ノイズは、受信波の波形とは関係なく、ONのタイミングに対し毎回同じように表れる。したがって、受信波が+−の極性のみ逆のものを考えると、それらのゼロクロスポイントへのON時ノイズの影響は全く逆になる(図12)。
【0054】
つまり、受信波の極性が+−同数ならON時ノイズの影響は相殺しあいキャンセルできる。
【0055】
図12は、繰り返し送受信に入って以降の狙った特定番目の波のゼロクロスポイント付近を拡大したものである(正極性送信の波形と負極性送信の波形を重ねて表示している。ノイズはON時ノイズのみ)。受信波はノイズに比べて大きいため図のような関係に表すことができる。ノイズをプラス側にしたがマイナス側もあり得る。正極性送信の波形は+側から−側へのゼロクロスであり、図の場合、ゼロクロスポイントは真の点より遅れた(到達時間が長くなる方向へずれた)位置となる(この誤差は、特に微小流量において大きな流量誤差になる)。逆に、負極性送信の波形は、正極性送信の波形を極性のみ逆にしたもので、−側から+側へのゼロクロスポイントが受信点となり、ON時ノイズにより受信点は到達時間が短くなる方向へずれた位置となり、その大きさは、正極性送信の誤差と極性のみ逆になる。したがって、正負の極性の送信数が同じならON時ノイズによる誤差を相殺できる。
【0056】
受信波の極性は、送信の極性による。したがって、総到達時間測定に入る送信から最後の送信(その受信が測定終了点となる)までを送信極性+−(正負)を同数とすることで、ON時ノイズのキャンセルが可能である。
【0057】
しかし、繰り返し送受信に入ると(総到達時間測定を開始すると)、1.5往復ノイズや残響ノイズが前記ON時ノイズに加わり、これらの影響のキャンセルも必要となるため、単純に前記の「送信極性±を同数とする」だけでは精度を維持できない。
【0058】
ある送信に対し、その受信波は図4のように、主に送受波器間距離と音速で決まる時間に急に大きく立ち上がる形で表れ、それが徐々に小さくなり、そして前記大きい受信波が表れた時間の約3倍の時間が発信より経ったところに小さな受信波が表れる。
【0059】
前述の徐々に小さくなる部分は送受波器の尾引きとか残響(ここでは残響と呼ぶことにする)と呼ばれ、前記約3倍の時間位置の小さな受信波は受信側送受波器面で反射した超音波が送信側の送受波器面で再び反射し、再度受信側送受波器に届いたもので1.5往復波と呼ばれる。
【0060】
以上は送信を1回だけ行った場合である。到達時間測定の精度を向上させるために行われる、受信とともに送信を行うことを複数回繰り返し到達時間の複数倍をまとめて測定する方法においてはこれら残響ノイズ、1.5往復ノイズが性能に影響を及ぼす。
【0061】
つまり、残響ノイズは次の受信のゼロクロスポイントに、1.5往復ノイズは次の次の受信のゼロクロスポイントに影響を及ぼす。特に、送受波器間距離の小さい小型の流量計実現には大きな障害となっていた。
【0062】
図5は、狙った特定番目の波のゼロクロスポイント付近を拡大したものである。受信波はノイズに比べて大きいため図のような関係に表すこともできる。この図ではノイズをプラス側にしたが当然マイナス側もあり得る。
【0063】
前述の繰り返し送受信を行う場合、第1回目の受信時は残響ノイズも1.5往復ノイズもないため、真の受信波そのものが受信でき、ゼロクロスポイントも真のゼロクロスポイントが検知できる。しかし、2回目の受信以降からは残響ノイズ、さらに3回目の受信以降は1.5往復ノイズも真の受信波と一緒に受信することになる。
【0064】
図では、この2つのノイズを合わせてノイズとして表した。結局、このノイズによりセンサには真の受信波+ノイズが受信されることになり、ゼロクロスポイントは真のゼロクロスポイントよりずれることになる。この誤差は、特に微小流量において大きな流量誤差になる。
【0065】
仮にノイズの位相が逆なら図6のようになり、図5の誤差の極性を逆にした値となり、図5と図6の場合が同数ずつならノイズによる誤差を相殺できる。本発明はこれを狙っている。
【0066】
再び図4で説明する。これは、ある1回の発信に対する受信波を模式的に表したものである(発信に同期しないノイズは省いている)。この信号部、残響および1.5往復波の形状は、温度等が変化しない短い時間なら毎回ほとんど同じ形で表れ、更に発信の駆動を電圧、パルス幅を変えずに極性のみを逆にすると、信号部だけでなく残響、1.5往復波も逆の位相(波高値等は同じで極性のみ逆)となることが実験等で確認されている。
【0067】
図5、図6の真の受信波のみ位相を逆にすると、狙った特定番目の波はマイナス側に表れ、図7、図8のようになり、誤差の絶対値は同じで極性のみ逆になる。これらを使い分けることによりノイズによる誤差を相殺するようにしている。
【0068】
仮に狙った波がプラス側に現れる駆動を正の駆動とし、マイナス側に現れる駆動を負の駆動としたとき、以下のことが言える。
【0069】
正の駆動による受信点に与える正の駆動による残響ノイズの影響(誤差)を+αとすると、正の駆動による受信点に与える負の駆動による残響ノイズの影響は−α、負の駆動による受信点に与える正の駆動による残響ノイズの影響は−α、負の駆動による受信点に与える負の駆動による残響ノイズの影響は+αとなる。
【0070】
また、正の駆動による受信点に与える正の駆動による1.5往復ノイズの影響(誤差)を+βとすると、正の駆動による受信点に与える負の駆動による1.5往復ノイズの影響は−β、負の駆動による受信点に与える正の駆動による1.5往復ノイズの影響は−β、負の駆動による受信点に与える負の駆動による1.5往復ノイズの影響は+βとなる。
【0071】
したがって、送信極性の正負の回数を同数にするとともに、前記+αと−α、+βと−βの数が同じになるよう送信極性の駆動パターンを決めることで、ON時ノイズ、残響ノイズ、1.5往復ノイズのゼロクロスポイントに与える全ての影響をキャンセルすることが可能となる。
【0072】
請求項2の発明では、その駆動パターンを具体的に示している。まず、残響ノイズの影響を考えると、残響ノイズは次の受信に影響を与える。したがって、受信の極性、正負正負負負正正の順の受信に対し、残響ノイズは1つずつずらし最初を正とした正正負正負負負正の順となり、各受信での影響(誤差)は次のようになり、その8回の受信で相殺される。
【0073】
受信 正 負 正 負 負 負 正 正
残響ノイズ 正 正 負 正 負 負 負 正
影響 +α−α−α−α+α+α−α+α
左から順に1回〜8回を示し、縦1列がセットである。8回の内の1回目は、受信が正、残響ノイズが正で影響が+αであることを示す。以下同じ。残響ノイズの最初を正としたのは特定番目の波検知を正駆動で行っているため正とできるもので、繰り返しに入ってからの正の駆動と全く同じであるため、影響も+αとできる。8回の繰り返しの2回目以降は、その前のパターンの最後が正であるため正とできる。
【0074】
1.5往復ノイズについても同様で、この場合は次の次の受信に影響を与える。よって、2つずつずらし最初の2つを正正とした次の関係となり、各受信での1.5往復ノイズの影響は8回の受信で相殺される。
【0075】
受信 正 負 正 負 負 負 正 正
1.5往復ノイズ 正 正 正 負 正 負 負 負
影響 +β−β+β+β−β+β−β−β
また、この正負正負負負正正は、正負の数が同じであるため、前述のように、ON時ノイズの影響も相殺可能である。
【0076】
なお、上記正の駆動、負の駆動の正負は実際の送信駆動の極性を示したものではなく、極性のみ逆にした2つの駆動パターンのうち、繰り返しに入る前の特定番目の波を検知するときの極性を正とし、もう一方を負としたものである。特定番目の波の検知で2回(以上)正駆動を行い、繰り返しに入り、8回の倍数上記順の極性で繰り返しを行えば、最大の効果が得られる。なお、極性の順の最後が、正正となっているのは、特定番目の波の検知で行う2回の正駆動と対応しているためである(8回の繰り返しを行ったとき、最後の2回の駆動は次の8回の最初の部分に影響する)。
【0077】
特定番目の波の検知を前述での正駆動1回で行ったり、あるいは繰り返し回数を8回の倍数としなくても、繰り返し数がある程度大きければ、ある程度のノイズの影響をキャンセルすることが可能である(8回で割り切れない分のキャンセルできなかった分を全繰り返し数で割った値となる)。
また、正負負負正負正正の極性についても以下の関係となり、残響ノイズ、1.5往復ノイズの影響は相殺可能となる。
受信 正 負 負 負 正 負 正 正
残響ノイズ 正 正 負 負 負 正 負 正
影響 +α−α+α+α−α−α−α+α
受信 正 負 負 負 正 負 正 正
1.5往復ノイズ 正 正 正 負 負 負 正 負
影響 +β−β−β+β−β+β+β−β
【0078】
第1回目あるいは2回目の受信で狙った波を捉えられれば(捉える方法として、ある基準電圧を最初に超えた波とするのがよく行われている)、繰り返し測定(総到達時間測定)に入ってからは、直前の到達時間より、受信点を予想し、その予想点に最も近いゼロクロスポイントを受信点としている。具体的には、繰り返し開始以降の受信は前回の送信から到達ポイントまでの時間から一定時間を減じた時間がその回の送信から経過した時以降の最初のゼロクロスポイントを到達ポイントとするようにしたことで、受信ポイントに対し毎回同じタイミングでアナログ回路部の電流をONできるため、前述のON時ノイズの影響のキャンセルが可能となる。
【0079】
また、通常、単純なゼロレベルとの比較だけでは到達ポイントは特定できない。まず、狙った波を捉える必要がある。そのため、送信極性を使い分けるためには、基準レベルをプラス側、マイナス側両方に用意する必要があった。しかし、上記の方法によりゼロクロスのみで到達ポイントを特定できるため、片側(正の駆動とした)だけで特定番目の波を捉えられるようにすればよい。
【0080】
請求項3の発明は、繰り返し数4回の測定、つまり総到達時間の測定を開始した発信から4回目の受信までの時間、つまり到達時間の4倍をまとめての測定を行い、順逆それぞれの結果から流速さらに流量を求めるようにしたものであるが、発信極性の正負正負、正負負負、正負正正、正負負正の4駆動パターンについて同様に考えてみると次のようになる。
【0081】
受信 正負正負、正負負負、正負正正、正負負正
残響ノイズ 正正負正、正正負負、正正負正、正正負負
影響 +−−− +−++ +−−+ +−+−
受信 正負正負、正負負負、正負正正、正負負正
1.5往復ノイズ 正正正負、正正正負、正正正負、正正正負
影響 +−++ +−−+ +−+− +−−−
【0082】
この場合は影響(誤差)を表わすのに、α、βを省き+と−のみで表現したが、4駆動パターンのトータルで考えると、残響、1.5往復ノイズとも+と−の数が同一であり、受信の極性(駆動の極性)の正負の数も同一である。よって、順方向または逆方向のそれぞれの測定で、この4駆動パターンが同数になるように行えば、残響、1.5往復、ON時の全てのノイズの影響を相殺できる。
【0083】
【発明の実施の形態】
次に本発明の好ましい実施の形態を図面の実施例に従って説明する。
【0084】
図13は本発明の実施例1の全体構成である。受信波検知部については別図に詳しく示して説明する。
【0085】
送受波器1,2は超音波振動子で送信にも受信にも使用できる。両送受波器は流体中を上流から下流への順方向又は下流から上流への逆方向に超音波の送受信を行う。
【0086】
受信波検知部4は受信側の送受波器、例えば2が接続され受信波を検知すると受信波検知信号を出力する。
【0087】
送波器駆動部5はコントロール部6より第1送信指令信号を受けると送信側の送受波器、例えば1をまず駆動し、その後は受信波検知部4より受信波検知信号を受ける度に駆動する。ただし第1のカウンタ7より第n受信波検知信号を受けるとそれ以後は新たに第1送信指令信号を受けるまでは駆動を停止する。
【0088】
第1のカウンタ7は受信検知部4からのカウント開始指令信号を受けると、以降の受信波検知信号のカウントを開始し、n番目の受信波検知信号を第n受信波検知信号として出力する。このカウンタ7はコントロール部6よりの第1送信指令信号でリセットされるようになっている。
【0089】
第2のカウンタ8はカウント開始指令信号から第n受信波検知信号までの時間を測定する。その時間(カウント値)はコントロール部6が読み取る。この例では第1送信指令信号でカウント値がゼロクリアされるように構成されている。
【0090】
コントロール部6は一定間隔で送受切替信号を反転させて切替スイッチ9,10を切り替えることにより2つの送受波器1,2の役割の切り替えを行う。
【0091】
各切り替え後、毎回切り替えによるノイズ等がおさまる時間をおいて、第1送信指令信号を出力する。そして、第n受信波検知信号を入力されると、カウンタ8の測定値(カウント値)を読み取り、直前に行った反対向きでの測定値とを用いて、その間の流速・流量を演算する。(カウント値を読み取り後、第1送信指令信号は“High”となり、次の測定に備える。)
また、受信波検知部4からは逆極性駆動指示信号が送波器駆動部へ出力されていて、この信号が“High”のときは送波器駆動部は通常とは逆の駆動パターンで送信駆動を行うようになっている。
【0092】
実施例においては、第3波がプラス側に表れる駆動を通常の駆動(正とする)とし、第3波のゼロクロスポイントを受信点としている(+側から−側へのゼロクロスとなる)。したがって、逆極性駆動信号が“High”のとき(負の駆動とする)の送信の受信点は、マイナス側に表れる第3波のゼロクロスポイントとなる。(−側から+側へのゼロクロスとなる)。
【0093】
図14は、送波器駆動部の一部と送信側の送受波器、例えば1を示す図である。逆極性駆動信号により2つのスイッチS1,S2が切り替わるようにできていて、逆極性駆動信号を“High”にすることで送受波器、例えば1に加えられる駆動パルスのパターン信号、すなわち駆動パターンを逆の極性にすることができる。スイッチS1,S2が図示の状態では、ライン11に供給されている正の駆動パターンの駆動パルスが送受波器1に印加され、逆極性駆動信号が“Low”になると、スイッチS1,S2が図示の状態から切り替って、送受波器1には反転した駆動パルス、即ち図10(b)に示すような負の駆動パターンの駆動パルスが印加されることになる。
【0094】
図15は請求項2に対応する実施例の受信波検知部の一部である。
極性指示回路は(図には示されていないが)3ビットのバイナリカウンタといくつかのゲートで構成されていて、送受波器の駆動及び受信の極性を指示するもので、逆極性を指示するとき“High”となるものである(後で説明する)。
【0095】
そのタイミングを、第1送信指令信号、受信波検知信号とともに図16に示した。第1送信指令信号は測定をやっていないときは、“High”で、立ち下がりが第1送信タイミングとなる。
【0096】
350mVの基準電圧を用意し、狙った波(第3波)が最初にこの電圧に達するように図示されてない増幅器の増幅度が調整されている。この図示されてない増幅器の入力に、図13の切替スイッチ10を介して受信側の送受波器、例えば2からの信号が入力され、増幅後の受信波が図15の比較器12の+入力と、ゼロクロス検知用比較器13の−入力とに入力される。また、第1送信指令信号が前記コントロール部6より入力されていて、この信号は測定をやっていないときは“High”であり、“Low”への立ち下がり点で第1回目の送信がされるものである。
【0097】
この第1送信指令信号は、RSFF14のリセット信号、及びORゲート15を介し、カウンタ16のリセット信号となっている。よって、第1送信指令信号が“Low”となったときはRSFF14の出力Qは“Low”であり、スイッチS3は350mVの基準電圧を、スイッチS2は比較器12の出力を選択している。
【0098】
極性指示回路17は、R入力として前述のRSFF14のQ出力がインバータ18で反転されて入力されていて、このR入力が“High”から“Low”になってから以降のCK入力毎に、“逆極性指示信号”はR入力が“High”時も含め正負正負負負正正、“逆極性受信指示信号”は同様に正正負正負負負正の繰り返しで切り替るように構成されている(図16参照)。これは受信が1つ遅れた極性を示すようになっている。したがって、駆動極性が“High”で逆極性駆動し、その受信波が届く時点では、1パルスCKが入力されていて受信極性が追いつく形で“High”となり逆極性に対応した受信を行うようになっている。
【0099】
よって、測定開始後においては、RSFF14の出力Qが“Low”であるため、スイッチS5は、受信信号が“High”から“Low”へのゼロクロスを検知するゼロクロス検知用比較器13の出力を選択している。
【0100】
ある波が基準電圧350mVに達するとRSFF19のQ出力は一旦“Low”となり、比較器13でゼロクロスを検知すると再び“High”となり、その立ち上がりを立ち上がり検知回路20で検知したものが受信波検知信号として出力される。
【0101】
この信号は、遅延回路21を介して極性指示回路17のCK入力となっていて、そのタイミングで“逆極性駆動指示信号”及び“逆極性受信支持信号”が切り替わる。
【0102】
受信波検知信号は記憶器22のラッチ信号、カウンタ16のリセット信号(OR回路15を介し)になっていて、受信時点においてカウンタ16の値を記憶するとともに次の瞬間該カウンタをリセットするように構成されている。
【0103】
このカウンタ16の出力は2つのデジタル比較器23,24それぞれのA入力に入力されていて、比較器23,24の各B入力には、それぞれ減算器25、加算器26の出力が入力されている。
【0104】
また、減算器25及び加算器26の各C入力には記憶器22の出力が、Δt入力には受信波の半周期分の時間に相当するカウント値が入力されていて、比較器23のA>B出力と比較器24のA<B出力はANDゲート27に入力されていて、その出力は結局、前回到達時間をtm−1とすると、今回到達時間tmが、
tm−1−Δt<tm<tm−1+Δt
の条件を満たすとき“High”となる。
【0105】
この出力はANDゲート28の一方の入力となっていて、ANDゲート28の他方の入力は受信波検知信号となっている。つまりANDゲート28の出力は、今回到達時間が前回到達時間の±半周期時間に入るとき、一瞬“High”となる。
【0106】
本実施例では、第3波検知の方法として、最初に基準電圧(350mV)に達した波のゼロクロスポイントを受信時点とし、それにより得られた到達時間が連続して2回同じ値(±半周期時間の範囲で)となったとき、第3波のゼロクロスポイントを捉えられたとしている。したがって、2回以上の正の発信駆動を繰り返し(総到達時間測定開始)の前に行うことなり、残響、1.5往復ノイズの影響キャンセルが効果的に行えるようにしている。
【0107】
このANDゲート28の出力はRSFF14の入力Sに入力されていて、ここでRSFF14の出力Qは“High”となり、スイッチS3は切り替わりゼロレベルを選択し比較器12は“Low”から“High”のゼロクロス検知に機能が切り替わる。
【0108】
また、同時にスイッチS4も切り替わり、比較器23のA=B出力を選択、この信号は前回の到達時間−Δt時間今回の発信から時間経過したとき“High”なるもので、そのときRSFF19のQ出力は“Low”となる。そして、スイッチS5で選択された比較器13がゼロクロスを検知したとき“High”となる。またRSFF14のQ出力は、カウント開始指令信号として出力されている。
【0109】
これにより、第1送信を正とすると、到達時間がそろう間は送信の極性は正であり、到達時間が連続してほとんど同じになれば、RSFF14の出力Qが“High”となり繰り返しに入る。この繰り返しに入る受信時に行う駆動も含め、正負正負負負正正の繰り返しの駆動極性となり、受信は繰り返しに入る受信も含め正正負正負負負正の繰り返しになり、目的を実現できる(繰り返しの前に2回正の駆動が行われるためその残響、1.5往復ノイズも利用して効果的にキャンセルできる)。
【0110】
次に請求項3に対応する実施例について説明する。
全体の構成は実施例1と同一で図15で表すことができる。受信波検知部内の極性指示回路のみが異なる。
【0111】
図17は請求項2の実施例における極性指示回路の構成図で、図18が請求項3の実施例における極性指示回路の例である。
【0112】
図17の請求項2の実施例の場合について説明する。セレクタ29,30はS入力によりA入力またはB入力のどちらかを選択してYへ出力するものである。S入力が“Low”でA入力が選ばれるようになっている。
【0113】
図18のセレクタ31,32はS0,S1の入力により、A,B,C,Dの入力より1つを選びYより出力する。この場合RSFF14の出力Qをインバータ18で反転した信号がバイナリカウンタ34のCK入力となっていて、前述のS0,S1入力へは本バイナリカウンタ34のQ2,Q3出力が入力されている(Q1出力はオープン)。本Q出力は1回の繰り返し毎に(第1送信指令信号が“High”になる毎に)“High”となるため、バイナリカウンタ2はその度にカウントアップする。ところが、測定は順逆交互に行うため、Q2,Q3出力を使うことで、順逆のそれぞれ測定毎にA,B,C,Dを順に選択することになり、請求項3の極性順が実現できる。
【0114】
【発明の効果】
本発明の超音波流量計は上述のように構成されているので、残響や1.5往復ノイズの悪影響を相殺してキャンセルできる。また、アナログ回路部の電源ON時ノイズの悪影響を低減できる。したがって流量計の計測精度を向上できる。
【0115】
更に、アナログ回路部の間欠駆動による省電力化が、計測精度を維持しながら可能となる。その結果、安価な小さな電池での電源供給が可能となり、流量計のコスト低減に役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】超音波流量計の原理を説明する略図。
【図2】ゼロクロスポイントの検知方法を説明する図。
【図3】アナログ回路部の電源ON時のノイズを説明する図。
【図4】超音波流量計の受信波形を説明する図。
【図5】ゼロクロスポイントの誤差を説明する図。
【図6】ゼロクロスポイントの誤差を説明する図。
【図7】ゼロクロスポイントの誤差を説明する図。
【図8】ゼロクロスポイントの誤差を説明する図。
【図9】受信波を説明する図。
【図10】駆動パルスの図で、(a)と(b)は異なる駆動パターンを示す。
【図11】受信波と受信ポイントを説明する図。
【図12】本発明のゼロクロスポイントの誤差を説明する図。
【図13】本発明の実施例のブロック図。
【図14】本発明の実施例の電気回路の一部を示す図。
【図15】本発明の実施例の要部の電気回路図。
【図16】本発明の実施例のタイミングチャートと駆動パターンの図。
【図17】本発明の実施例の電気回路の一部を示す図。
【図18】本発明の実施例の電気回路の一部を示す図。
【符号の説明】
1,2 超音波送受波器
4 受信波検知部
5 送波器駆動部
12,13 比較器
A 信号部
B 残響
C 1.5往復波
Claims (6)
- 送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受信を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
各方向の送受信において、まず送信側の送受波器から超音波を送信し、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、再び送信側の送受波器から送信するようにし、
受信波検知部は、受信信号を増幅する増幅部と、増幅した受信波のゼロクロスポイントを検知する比較部からなるアナログ回路部を主構成単位としていて、
受信波検知部が検知した波が狙った特定番目の波と判断できたらその波のゼロクロスポイント検知とともに行う送信より総到達時間の測定を開始し、少なくともそれ以後は前回の送受信の到達時間より一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったときに前記アナログ回路部へ電源供給を開始し、受信とともに電源供給を停止するようになっていて、
少なくとも総到達時間測定を開始後は、前回の送受信の到達時間より別の一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったとき以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントとし、
これを一定回数(n回)繰り返すよう構成し、総到達時間の測定を開始した送信から一定回数目(n回目)の受信までの時間つまり到達時間のn倍をまとめて測定し、その結果から流量を求めるようにしたもので、
送信の極性を反転できるようにし、少なくとも繰り返し以後の送信極性を狙った波を捉えるまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定開始後の送信の極性パターンと、そのパターンを1つずつずらし最初を正としたものを重ね合わせ、正正または負負の重なりには+を割り当て、正負あるいは負正の重なりには−を割り当てたとき、+−の数が等しくなり、かつ同様に2つずつずらし最初の2つを正正としたパターンを、元のパターンと重ね、同様に+−を割り当てた時、+−の数が等しくなる駆動パターンとした超音波流量計。 - 狙った波を捉えたとするまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定を開始後は、その開始時の送信を含め、送信極性を正負正負負負正正または正負負負正負正正あるいはそのどちらかの繰り返しとし、前記一定回数(n)を8の倍数としたことを特徴とする請求項1記載の超音波流量計。
- 送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受信を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
各方向の送受信において、まず送信側の送受波器から超音波を送信し、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、再び送信側の送受波器から送信するようにし、
受信波検知部は、受信信号を増幅する増幅部と、増幅した受信波のゼロクロスポイントを検知する比較部からなるアナログ回路部を主構成単位としていて、
受信波検知部が検知した波が狙った特定番目の波と判断できたらその波のゼロクロスポイント検知とともに行う送信より総到達時間の測定を開始し、少なくともそれ以後は前回の送受信の到達時間より一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったときに前記アナログ回路部へ電源供給を開始し、受信とともに電源供給を停止するようになっていて、
少なくとも総到達時間測定を開始後は、前回の送受信の到達時間より別の一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったとき以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントとし、
これを4回繰り返すよう構成し、総到達時間の測定を開始した送信から4回目の受信までの時間つまり到達時間の4倍をまとめて測定し、その結果から流量を求めるようにしたもので、
送信の極性を反転できるようにし、狙った波を捉えたとするまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定を開始後は、その開始時の送信を含め送信極性を正負正負、正負負負、正負正正、正負負正の4つの駆動パターンを各方向につき、同数ずつ使用して同じ使用頻度となるようにしたことを特徴とする超音波流量計。 - 送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受信を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
各方向の送受信において、まず送信側の送受波器から超音波を送信し、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、再び送信側の送受波器から送信するようにし、
受信波検知部が検知した波が狙った特定番目の波と判断できたらその波のゼロクロスポイント検知とともに行う送信より総到達時間の測定を開始し、
少なくともそれ以後は、前回の送受信の到達時間より一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったとき以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントとし、
これを一定回数(n回)繰り返すよう構成し、総到達時間の測定を開始した送信から一定回数目(n回目)の受信までの時間つまり到達時間のn倍をまとめて測定し、その結果から流量を求めるようにしたもので、
送信の極性を反転できるようにし、少なくとも繰り返し以後の送信極性を狙った波を捉えるまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定開始後の送信の極性パターンと、そのパターンを1つずつずらし最初を正としたものを重ね合わせ、正正または負負の重なりには+を割り当て、正負あるいは負正の重なりには−を割り当てたとき、+−の数が等しくなり、かつ同様に2つずつずらし最初の2つを正正としたパターンを、元のパターンと重ね、同様に+−を割り当てた時、+−の数が等しくなる駆動パターンとした超音波流量計。 - 総到達時間測定開始後は正極性の送信と負極性の送信の数を同数としたことを特徴とする請求項1又は4記載の超音波流量計。
- 送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受信を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
各方向の送受信において、まず送信側の送受波器から超音波を送信し、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、再び送信側の送受波器から送信するようにし、
受信波検知部が検知した波が狙った特定番目の波と判断できたらその波のゼロクロスポイント検知とともに行う送信より総到達時間の測定を開始し、
少なくともそれ以後は、前回の送受信の到達時間より一定時間減じた時間が、その回の送信より経ったとき以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントとし、
これを4回繰り返すよう構成し、総到達時間の測定を開始した送信から4回目の受信までの時間つまり到達時間の4倍をまとめて測定し、その結果から流量を求めるようにしたもので、
送信の極性を反転できるようにし、狙った波を捉えたとするまでの送信極性を正とすれば、総到達時間測定を開始後は、その開始時の送信を含め送信極性を正負正負、正負負負、正負正正、正負負正の4つの駆動パターンを各方向につき、同数ずつ使用して同じ使用頻度となるようにしたことを特徴とする超音波流量計。
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