JP3906107B2 - 超音波流量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流体中の超音波の伝播方向を、上流から下流(順方向)と下流から上流(逆方向)の両方について測定して流速を算出し、さらに流量を求める超音波流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
測定原理の一例として、図8に示すように、流体中に距離Lを離して流管3の上流と下流に配置した1組の超音波送受波器の一方の送受波器1から他方の送受波器2への順方向伝播時間t1 は、静止流体中の超音波の音速をC、流体の流れの速さをVとすると、
1 =L/(C+V)
となる。
【0003】
また、送受波器2から送受波器1への逆方向伝播時間t2 は、
2 =L/(C−V)
となる。
【0004】
伝播時間t1 とt2 とから流速Vを、
V=(L/2){(1/t1 )−(1/t2 )}
として求め、更に流速Vに流路断面積を乗じて流量を演算していた。
【0005】
上述の測定原理において、超音波が受信側の送受波器に到達する時期、つまり到達ポイントを特定する受信検知の方法として、特定波のゼロクロス点を検知するようにしたものがある。
【0006】
図9は発信のタイミングを示す発信駆動信号と受信波を示している。実際の受信波は非常に小さく、先ず増幅される。同図の受信波は増幅後の波形を示している。
【0007】
aが到達点で、徐々に振幅が大きくなる。その後最大振幅となり徐々に小さくなる。
【0008】
ところが到達点aはノイズに隠れて検知できない。そこで、次のような方法が行われている。
【0009】
ノイズより十分大きな基準電圧レベルとしてのしきい値VTHを決め、このレベルに最初に達した波、例えば同図の第3波がb点でしきい値に達した後ゼロレベルを通るゼロクロスポイントcを検知して受信検知とする方法である。
【0010】
しきい値VTHは常に何番目かのある特定の波(例えば第3波)を狙って捉え、その波のゼロクロスポイントを検知するように定めてあり、実際の到達時間tは、a点からc点までの時間τを予め求めて記憶しておき、測定した時間t+τに相当する値から時間τを減算することにより求めている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
超音波流量計では、長期間の使用で超音波送受波器自体の性能が劣化したり、超音波送受波器に塵埃等の異物が付着したりして、送受波器の出力(信号)が徐々に低下する。すると、図9で説明した受信波が小さくなり、狙った波(例えば第3波)を捉えられずに間違って別の波を捉えてしまい、波の取り間違いをすることがある。その結果、正しい流速・流量を得られないとか、極端な場合には測定そのものができなくなるとかの問題点が生じる。
【0012】
そこで、超音波送受波器の出力低下を検知して、前記問題点が生じるより前に、アラーム(警報)を出すことで、前記問題点の発生を未然に防止することが望まれている。ところが、超音波送受波器の出力低下を検知するためには、通常、受信波のピーク値をホールドし、ホールドしたピーク値をA/D変換する必要があるため、消費電流が大きくなり、電池電源で作動する超音波流量計の実用化に支障となるという問題点があった。
【0013】
本発明はこれらの問題点を解消できる超音波流量計を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
受信側の超音波送受波器の信号を入力とする受信波検知部は、一方が他方の一定倍の関係を持つ基準電圧レベルのペアが異なる電圧で複数組用意されていて、ある基準レベルに対し最初にそのレベルを越えた波がその基準レベルとペアになるもう一つの基準レベルも一気に越える1つのペアが存在するときその波のゼロクロスポイントを到達ポイントとするもので、
前記1つのペアが、前記複数組のペアの内、最も低い電圧のペアであるときにアラームを出すようにしたことを特徴とする超音波流量計である。
【0015】
請求項2の発明は、送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
まず送信側の送受波器を発信させ、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、それと同時に再び送信側の送受波器を発信させるようにし、これを一定回数繰り返すよう構成し、最初の送信から一定回数目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求めるようにしたもので、
前記受信波検知部は、一方が他方の一定倍の関係を持つ基準電圧レベルのペアが異なる電圧で複数組用意されていて、ある基準レベルに対し最初にそのレベルを越えた波がその基準レベルとペアになるもう一つの基準レベルも一気に越える1つのペアが存在するときその波のゼロクロスポイントを受信波検知部ポイントとするもので、
前記1つのペアが、前記複数組のペアの内、最も低い電圧のペアであるときにアラームを出すようにしたことを特徴とする超音波流量計である。
【0016】
請求項3の発明は、送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
まず送信側の送受波器を発信させ、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、それと同時に再び送信側の送受波器を発信させるようにし、これを一定回数繰り返すよう構成し、最初の送信から一定回数目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求めるようにしたもので、
前記受信波検知部は、一方が他方の一定倍の電圧である関係を持つ基準電圧レベルのペアが異なる電圧で複数組用意されていて、第1回目の受信は、ある基準レベルに対し最初にそのレベルを越えた波がその基準レベルとペアになるもう一つの基準レベルも一気に越える1つのペアが存在するときその波のゼロクロスポイントを受信波検知ポイントとし、
第2回目以降の受信は、前回の送信から受信検知までの時間から一定時間を減じた時間がその回の送信から経過した時以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントを到達ポイントとするとともに、
前記1つのペアが、前記複数組のペアの内、最も低い電圧のペアであるときにアラームを出すようにしたことを特徴とする超音波流量計である。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1,2又は3の超音波流量計において、最も低い電圧のペアの代りに一定以下の電圧のペアとしたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの超音波流量計において、流速又は流量が一定以下の時のみアラームを有効としたことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好ましい実施の形態をいくつかの実施例に従って説明するが、その前に、図で説明した受信波の性質について解説的に述べる。
【0020】
受信波はその先頭から第1波、第2波、第3波、第4波、第5波、第6波、第7波と次第にそのピークが大きくなる。このピークの電圧の大きくなる度合いは最初ほど大きくだんだん小さくなる傾向がある。つまり、ピークの大きさを比較すると、第1波側(即ち正の側)なら、第3波/第1波が最大で第5波/第3波、第7波/第3波と段々小さくなる。第2波側(負の側)なら第4波/第2波が最大で第6波/第4波、第8波/第6波と小さくなる。
【0021】
なお、第3波/第1波と表現した比率は厳密には第3波のピーク値と第1波のピーク値との比率である(第3波のピーク値/第1波のピーク値)を簡略化して表現したもので、他の比率についても同様に簡略化した表現で示している。
【0022】
上記各比率は流体の圧力等で全体の振幅が変化してもほとんど変化しないことが実験等で確認されている。そして、特に第3波/第1波および第4波/第2波は他の比率に比べ十分大きいため区別が容易である。
【0023】
〔実施例1〕
請求項2の発明に対応する実施例1を図1〜図4に従って説明する。
【0024】
図1は全体のブロック図、図2は図1の受信波検知部の主要部電気回路図、図3は受信波検知部に用意した基準電圧レベルと受信波形を示す図、図4は受信波検知部のタイミング図である。
【0025】
送受波器1と2はそれぞれ超音波振動子で構成されていて、送信にも受信にも使用できる。
【0026】
両送受波器は流体中を上流から下流及び下流から上流への超音波の送受を行う。受信波検知部4は受信側の送受波器、例えば2が接続され受信波を検知すると受信波検知信号を出力する。送波器駆動部5はコントロール部6より第1送信指令信号を受けると送信側の送受波器をまず駆動し、その後は受信波検知部4より受信波検知信号を受ける度に駆動する。ただし第1のカウンタ7より第n受信波検知信号を受けると、それ以後は新たに第1送信指令信号を受けるまでは駆動を停止する。
【0027】
本実施例では無意味なn+1回目の駆動を行ってしまうようになっているが、受信側で無視するので問題はない。
【0028】
カウンタ7は受信検知部4からの受信波検知信号をカウントしn番目の受信波検知信号を出力する。このカウンタ7はコントロール部6よりの第1送信指令信号でリセットされるようになっている。
【0029】
第2のカウンタ8は第1送信指令信号から第n受信波検知信号までの時間を測定する。その時間(カウント値)はコントロール部6が読み取る。この例では第1送信指令信号でカウント値がゼロクリアされ、カウントを開始するように構成されている。
【0030】
コントロール部6は一定間隔で送受切替信号を反転させて2つの送受波器1,2の役割の切り替えを行う。そして、各切り替え後、毎回切り替えによるノイズ等がおさまる時間をおいて、第1送信指令信号を出力する。そして、第n受信波検知信号を入力すると、カウンタ8の測定値(カウント値)を読み取り、直前に行った逆向きでの測定値とを用いて、その間の流速と流量を演算する。
【0031】
図2は、受信波検知部4の、接続された送受波器からの信号を増幅後の構成である。各比較部11〜18にはペアとなる2つの基準電圧レベル、即ち図3の基準電圧レベルVTH1〜VTH12までの電圧よりペアになる2電圧が選ばれて入力されている。
【0032】
TH1〜VTH12であらわす13種類の異なる電圧の基準電圧レベルは、受信波検知部4の図示されてない基準電圧発生回路で用意され、図3に示すように、VTH1=100mV、VTH2=126mV、VTH3=159mV、VTH4=200mV、 TH 5=251mV、TH6=316mV、VTH7=398mV、VTH8=500mV、VTH9=629mV、VTH10=791mV、VTH11=994mV、VTH12=1250mVに設定されている。そして、これらの基準電圧レベルは、指数関数的に下から順に1.26倍に大きくなるようにVTH1からVTH12まで決めてある。
【0033】
こうすることで、VTH1に対し4つ上のレベルのVTH5は2.5倍の大きさとなり、VTH1とVTH5とで第1のペアを構成する。同様にVTH2に対して4つ上のレベルのVTH6は2.5倍の大きさとなり、VTH2とVTH6とで第2のペアを構成する。同様にVTH3とその2.5倍のVTH7とが第3のペアを、VTH4とその2.5倍のVTH8とが第4のペアを、VTH5とVTH9とが第5のペアを、VTH6とその2.5倍のVTH10とが第6のペアを、VTH7とその2.5倍のVTH11とが第7のペアを、VTH8とその2.5倍のVTH12とが第8のペアを構成する。
【0034】
図3には、振幅大と小の2つの場合の(増幅後の)受信波形を第1波から第5波まで重ねて図示している。それぞれの場合で、第3波は第1波の3倍、第5波は第3波の2倍の大きさである。振幅大は超音波送受波器の出力が正常の場合、即ち通常時の受信波で、この通常の状態で第1波のピーク値が基準電圧レベルVTH1より大きく、かつVTH5より小さくなるように、受信波検知部4の図示されてない増幅器のゲインが調整してある。従って、通常時の受信波の第1波が、第1のペアを構成する2つの基準電圧レベルVTH1とVTH5とを同時に一気越えすることはなく、第3波はVTH4を始めて越え、そしてそのまま一気にVTH8まで越えている。即ち、前記第4のペアを始めて越えている。従って、この波のピーク値は前の波のピーク値の2.5倍以上あるということがわかる。よって、その時点でこれが第3波であると検知でき、そのゼロクロス点を到達ポイントとすることができる。
【0035】
受信波検知部4の比較部11〜18は、図2の四角で囲まれた構成で、2つのコンパレータ11a,11bと、ORゲート11cと、カウンタ11dとアンドゲート11eとで構成されている。なお、比較部12〜18は内部の回路構成は図示しなくて省略してあるが、比較部11の回路構成と同じである。
【0036】
通常時の振幅大の受信波の第3波を比較部11〜18のどれかが捉えたときのタイミングを図4に示す。比較部のどれかが正常な受信波の第3波を捉えてORゲート19の出力が"High"になると、RSFF20の出力Qは一旦"Low"になり、S入力であるゼロクロス検知用比較器21の出力が受信波のゼロクロス点を検知して"High"となるとともに出力Qは再び"High"になる。なお、図4でVAとVBは1組のペアを構成する基準電圧レベルで、例えば図3のVTH4とVTH8に対応する。
【0037】
RSFF20の出力Qの立上りエッジを検知した信号が受信波検知信号となり、図2に示すように比較部11〜18のR入力に入力され、かつ図1に示すように送波器駆動部5と第1のカウンタ7に入力されている。
【0038】
B のみ越える波が先にあった場合、比較部のカウンタ11dの値が“2”となり、つまりQ1が“Low”となり、次の波がVAを越えても出力信号はでない(“High”とならない)。1つの波が最初にVBを越えてそのままVAも一気に越えた時出力されるように構成されている。
【0039】
各比較部が異なる基準電圧レベルで動作するため、圧力変動等で受信波の振幅が多少変動しても8個の比較部のうちどれかが第3波を捉えるようになっている。また、比較部のカウンタは前述のように受信波検知信号でリセットされ次の受信に備えるようになっている。なお、このようにして狙った波を捉えてそのゼロクロス点を到達ポイントとする技術は、本願の発明者が先に特願平9−138136号で提案しており、この提案は特開平10−332452号公報で公知である。
【0040】
この実施例1では、更に、最も低い電圧VTH1とVTH5のペアである第1のペアが入力されている比較部11の(アンドゲート11eの)出力はRSFF20AのS入力に入力されていて、比較部11の出力があったことを記憶するようになっている。受信側の超音波送受波器の出力信号が何らかの原因で小さくなって、受信波が図3の振幅小の波形のようになると、その第3波がVTH1とVTH5とからなる第1のペアを一気に越える。従って、このときも第3波を捉えてそのゼロクロス点を検知することはできる。そして、このとき、振幅小の受信波の第3波が最も低い電圧のペアである第1のペアを一気越えするので、これによる比較部11の出力があったことをRSFF20Aが記憶し、RSFF20Aはセットされた状態になり、受信波低下のアラームを出す。
【0041】
なお、RSFF20AのR入力には、コントロール部6からの第1送信指令信号が入力され、この第1送信指令信号でRSFF20Aがリセットされるようになっている。
【0042】
コントロール部6は第n受信波検知信号が入力されると、第2のカウンタ8のカウント値を読み取った後、RSFF20Aの出力をチェックし、RSFF20AのQ出力が一定回数連続して"High"となったときに受信波低下のアラームを出すようにすることもできる。
【0043】
〔実施例2〕
請求項3の発明に対応する実施例2を図5図7に従って説明する。全体の構成は実施例1の場合の図4と同じである。
【0044】
受信波検知部4の構成の主要部を図5に示す。図2の場合と同様に接続された送受波器からの受信波を増幅後の構成である。
【0045】
各比較部11〜18は図2の場合と同様である。どれかの比較部が第3波を捉えるとORゲート19の出力が“High”となる。
【0046】
コントロール部からの第1送信指令信号が入力されると、RSFF22はリセットされてそのQ出力は“Low”となり、スイッチSWはORゲート19の出力を選択する。
【0047】
前述のように、比較部11〜18のどれかが第3波を捉えてORゲート19の出力が“High”となると、この出力信号はスイッチSWを介してRSFF23のR入力に入力されてRSFF23の出力Qが“Low”となる。
【0048】
さらに受信波がゼロクロスしたところでゼロクロス検知用比較器21より出力される信号がRSFF23のS入力に入力され出力Qは“High”となり、立上りエッジ検知され受信波検知信号として出力される。この信号はRSFF22のS入力ともなっていてRSFF22の出力Qは“High”となって、スイッチSWは図示の状態から切り替わり、RSFF23のR入力へデジタル比較器24のA=B出力が入力されるようになる。
【0049】
また前記受信波検知信号は記憶器25のラッチ入力となっていて、この瞬間のカウンタ27のカウント値t11(即ち、図6に示す1回目の到達時間)を記憶する。さらに、受信検知信号はORゲート26を介してカウンタ27をリセットするよう構成されていて(ラッチ後リセットする)、到達時間t11を記憶器25が記憶するとカウンタ27をリセットして次の到達時間t12の測定に移るようになっている。
【0050】
減算器28は記憶器25で記憶した値(カウント値)がC入力として入力されていて、もう一方にαが入力されている。そして、減算器28からC−α、即ち(t11−α)がデジタル比較部24のB入力に出力されている。αは超音波の1周期より短い一定時間で、超音波の半周期程度の時間に定めると良い。
【0051】
またカウンタ27の出力がA入力としてデジタル比較部24に入力されていて、そのABの入力が等しくなると、A=B出力が“High”となる。
【0052】
カウント27のカウントが進み、t11−αと等しくなると、A=B出力が“High”となりRSFF23の出力Qは“Low”となり次のゼロクロスを待つ状態になる。そして実際にゼロクロスするとき、ゼロクロス検知用比較器21の出力によりRSFF23の出力Qが“High”となり再び受信波検知信号が出力される。
【0053】
ここで、図6に示す2回目の到達時間t12が記憶器25にラッチ・記憶される。以下は同様である(図7参照)。
【0054】
この実施例ではαは超音波の約半周期分の時間とした。
【0055】
発信器29はこの半周期分を検知できる周波数でよく、また精度もそれほど要求されない。また、前記第2のカウンタ8用の基準クロックあるいはその分周したものも使用可能である。
【0056】
また、RSFF22の出力Qは比較部OFF信号として使われていて、8つの比較部11〜18は、RSFF22の出力Qが“High”となりスイッチSWが図示の状態から切り替わり非選択状態になると電源供給が止められ機能を停止して電力消費を押さえるよう構成されている。
【0057】
この実施例2も実施例1と同様に、流速を求めるための超音波の伝播時間の計測精度を向上するために、受信と同時に次の送信を行うことを複数回(n回)繰り返すことにより、伝播時間tをn回連続させ、最初(第1回目)の送信から最後(第n回目)の受信までの時間ntを測定するようにしている。
【0058】
前述のように、1回の送受の到達時間tはきわめて短い時間である。したがって、連続した送受の到達時間の差はほとんどないと考えられる。よって、第1の送信からその受信までの時間がt11であった場合、第2の受信波が到達するのは第1の受信とともに行われる第2の送信後、およそt11たったところである。したがって、その点に最も近いゼロクロスポイントを受信検知点とする。
【0059】
第3の送受に関しても同様で、第2の送受の到達時間t12を用いて第3の受信点を予想する。
【0060】
この実施例では、第2の受信以降はゼロレベルとの比較のみで複数の基準レベルとの比較は行わない。よって、基準レベルとの比較部を機能させる必要がないためさらに低消費電力化が可能である。
【0061】
なお、この実施例2では、受信波の振幅が小さくなったときに図5のRSFF20Aからアラームを出力して警告するが、この点は前記実施例1と類似している。
【0062】
〔実施例3〕
前記実施例1と2では、図3に示す振幅小の受信波が、最低の電圧VTH1とVTH5のペアを始めて一気に越えることを第1の比較部11が検出すると、超音波送受波器の出力信号が低下したとしてアラームを出すように構成したが、最低の電圧のペアである前記第1のペアの代りに、第2のペアと第3のペアを使って、送受波器の出力低下を判定してもよい。要するに、複数組の基準電圧レベルのペアのうち、一定以下の電圧レベルのペアを用いて判定すれば良い。実施例1と2のように第1のペアであるVTH1とVTH5の代りに、第2のペアであるVTH2とVTH6を使って判定すれば、安全を見て(余裕を見て)アラームを出すことになる。なお、本実施例は請求項4に対応するものである。
【0063】
〔実施例4〕
この実施例は、請求項5に対応し、コントロール部6で求めた流速又は流量が一定以下の時のみ、RSFF20Aからのアラームを有効とするようにしたものである。流速・流量が大きくなると、受信波の大きさが不安定で変動が大きくなるが、小さい流速・流量、例えば流速・流量ゼロ付近では受信波の振幅が安定しているため、より確実なアラーム出力が可能となる。
【0064】
コントロール部6は、前記第n受信波検知信号を受けて第2のカウンタ8のカウント値を読み取った後、図2又は図5のRSFF20AのQ出力をチェックし、Q出力が"High"ならアラーム有効とすることで実現できる。なお、前記実施例1の場合のように、RSFF20AのQ出力が連続して一定回数"High"となったときにアラーム有効とするようにしてもよい。
【0065】
また、図2や図5で、RSFF20AのQ出力は次の測定の第1送信指令信号でリセットされるまでは保持されるので、流速又は流量が一定以下であることを確認してからRSFF20AのQ出力をチェックするようにしてもよい。
【0066】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成されているので、超音波送受波器の出力が徐々に低下しても、具体的に不具合が発生する前にアラームを出して警告することができるため、狙った波の取り間違いをするおそれがなくなり、流量計としての計測の信頼性が向上する。また、ピーク値ホールド回路やA/D変換器が必要ないため、超音波流量計の低消費電流化ができ、電池駆動の流量計の実現に役立つ。また、流速又は流量の測定毎に受信波の大きさを監視して確実なアラーム検知を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の全体のブロック図。
【図2】図1のブロック図の受信波検知部の電気回路の主要部。
【図3】図2の受信波検知部の基準電圧レベルとしてのしきい値VTHと受信波の波形との関係を示す線図。
【図4】図2の受信波検知部のタイミング図。
【図5】本発明の実施例2の受信波検知部の電気回路の主要部。
【図6】本発明の実施例2の送信駆動信号と受信波のタイミング図。
【図7】図6のタイミング図の一部を拡大した詳細図。
【図8】超音波流量計の原理を説明する略図。
【図9】従来の超音波流量計の受信波検知部の動作を説明する電気信号波形を示す線図。
【符号の説明】
1,2 超音波送受波器
3 流管
4 受信波検知部
5 送波器駆動部
6 コントロール部
7 第1のカウンタ
8 第2のカウンタ
c 受信波検知ポイント
TH1〜VTH12 基準電圧レベル
t11,t12,…t1n 到達時間
α 超音波の半周期程度の一定時間
n 送受信の連続繰り返しの一定回数

Claims (5)

  1. 送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
    受信側の超音波送受波器の信号を入力とする受信波検知部は、一方が他方の一定倍の関係を持つ基準電圧レベルのペアが異なる電圧で複数組用意されていて、ある基準レベルに対し最初にそのレベルを越えた波がその基準レベルとペアになるもう一つの基準レベルも一気に越える1つのペアが存在するときその波のゼロクロスポイントを到達ポイントとするもので、
    前記1つのペアが、前記複数組のペアの内、最も低い電圧のペアであるときにアラームを出すようにしたことを特徴とする超音波流量計。
  2. 送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
    まず送信側の送受波器を発信させ、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、それと同時に再び送信側の送受波器を発信させるようにし、これを一定回数繰り返すよう構成し、最初の送信から一定回数目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求めるようにしたもので、
    前記受信波検知部は、一方が他方の一定倍の関係を持つ基準電圧レベルのペアが異なる電圧で複数組用意されていて、ある基準レベルに対し最初にそのレベルを越えた波がその基準レベルとペアになるもう一つの基準レベルも一気に越える1つのペアが存在するときその波のゼロクロスポイントを受信波検知部ポイントとするもので、
    前記1つのペアが、前記複数組のペアの内、最も低い電圧のペアであるときにアラームを出すようにしたことを特徴とする超音波流量計。
  3. 送信側にも受信側にもはたらく少なくとも1対の超音波送受波器を設け、流体の流れの中を上流から下流及び下流から上流に超音波の送受を行い、その各向きの到達時間より流量を求める超音波流量計であって、
    まず送信側の送受波器を発信させ、受信側送受波器の信号を入力とする受信波検知部が受信波を検知すると、それと同時に再び送信側の送受波器を発信させるようにし、これを一定回数繰り返すよう構成し、最初の送信から一定回数目の受信までの時間を測定し、その結果から到達時間を求めるようにしたもので、
    前記受信波検知部は、一方が他方の一定倍の電圧である関係を持つ基準電圧レベルのペアが異なる電圧で複数組用意されていて、第1回目の受信は、ある基準レベルに対し最初にそのレベルを越えた波がその基準レベルとペアになるもう一つの基準レベルも一気に越える1つのペアが存在するときその波のゼロクロスポイントを受信波検知ポイントとし、
    第2回目以降の受信は、前回の送信から受信検知までの時間から一定時間を減じた時間がその回の送信から経過した時以降の最初のゼロクロスポイントを受信検知ポイントを到達ポイントとするとともに、前記1つのペアが、前記複数組のペアの内、最も低い電圧のペアであるときにアラームを出すようにしたことを特徴とする超音波流量計。
  4. 最も低い電圧のペアの代りに一定以下の電圧のペアとしたことを特徴とする請求項1,2又は3に記載の超音波流量計。
  5. 流速又は流量が一定以下の時のみアラームを有効としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波流量計。
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