JP4959966B2 - 多層配線基板用層間接続ボンディングシート - Google Patents

多層配線基板用層間接続ボンディングシート Download PDF

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Description

本発明は、比較的量産性が容易な汎用の単層あるいは多層プリント配線基板(FR4基板、PI基板、FPC基板、LCP基板、LTCC基板)の間に配置して、熱圧着により高多層配線基板が作製可能な多層配線基板用層間接続ボンディングシートに関する。
基地局、サーバ、ルータ等のインフラ系ネットワーク機器分野市場や、高密度実装のニーズが高まる半導体パッケージ等の分野においては、高密度、高多層で、全層IVH(Interstitial Via Hole)構造の基板が求められている。このような市場要求に対して、非特許文献1には、以下に示す3つの基板が記載されている。
(1)高多層プリント配線板
複数の多層(6層〜8層)プリント配線板のビア間の接続と層間の接着を直接ALIVH(Any Layer IVH)技術の導電性ペーストを充填したプリプレグで接続させたプリント配線板である。この方式を採用することにより、今まで困難だった高多層プリント配線板のビアを小径化することが容易となる。さらに、多層プリント配線板のビア穴埋め・銅めっきを施すことにより、高多層(20層〜40層)プリント配線板のスタックビアが容易に実現できる。なお、「スタックビア」とは、三層以上の層間が垂直に形成されたビアのことをいう。
(2)全層フィルドビア高多層プリント配線板
全層フィルドビア構造をもつ複数の多層(6層〜8層)プリント配線板である。前述と同様な方法で、12層を越える全層の層間で自由に接続のできる全層フィルドビア構造の高多層プリント配線板が可能となる。なお、「フィルドビア」とは、導電体で埋められたビアをいう。
(3)一括積層ビルドアップ配線板
フィルドビア構造の複数の両面プリント配線板を必要数準備し、ALIVH技術の導電性ペーストを充填したプリプレグを交互に組み合わせ積層プレスすることにより全層フィルドビア構造の一括積層ビルドアップ配線板が実現できる。一括積層することにより製造工程を削減することができ、納期を短縮することができる。
また、特許文献1には、熱可塑性樹脂フィルムを用いた熱融着性絶縁シートの記載がある。結晶融解ピーク温度260℃以上のポリアリールケトン樹脂と、非晶性ポリエーテルイミド樹脂とを含有する熱可塑性樹脂組成物からなり、所定のガラス転移温度を有し、結晶融解熱量および結晶化熱量とが所定の関係を有する熱融着性絶縁シートが記載されている。
浦西泰弘、「全層IVH構造「ALIVH」」、エレクトロニクス実装技術、株式会社 技術調査会、2005年3月号、Vol.21 No.3 特許第3514667号公報
集積回路(IC)を搭載する高密度多層配線基板は、長期間、安定して使用するために、吸湿耐熱性等の層間接着信頼性が良好であることが要求される。また、ビアの小径化およびビア間(ビアピッチ)の距離の短縮が要求されると共に、これらとトレードオフの関係にある層間接続性信頼性を確保する必要がある。部品実装では、今後、0.5mmピッチ、さらには0.4mm、0.3mm、0.15mmピッチの部品をプリント基板上へ実装することが求められている。
しかし、非特許文献1に記載されている、導電性ペーストを充填したプリプレグからなる、熱融着性絶縁シートの場合は、エポキシプリプレグを使用しており、積層時に導電性ペーストと汎用基板の導体パターン部周囲にエポキシ樹脂がフローして硬化し層間接続信頼性が損なわれたり、ビアピッチの距離の短縮が制約を受けたり、するという問題があった。また、エポキシ樹脂自体の比誘電率、誘電正接が高く高周波用途における伝送特性が十分に確保できない等の不具合が存在していた。
また、特許文献1に記載の熱融着性絶縁シートは、吸湿耐熱性等の層間接着性においては、汎用のプリント配線基板間の接着という点において十分とはいえず、未だ改良の余地が存在していた。また、特許文献1に記載の熱融着性絶縁シートは、汎用のプリント配線基板間や、汎用のプリント配線基板と金属板などの間を、電気的に絶縁することを主目的としており、汎用のプリント配線基板間を電気的に接続するものではなかった。
そこで、本発明は、極めて高い層間接着信頼性と層間接続信頼性を有し、高密度で高多層な多層配線基板を作製することができる層間接続ボンディングシートを提供することを課題とする。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、これにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第一の本発明は、樹脂組成物からなる絶縁基材(10)の少なくとも片面にアルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合物からなる接着層(20a)が積層されている、多層配線基板用層間接続ボンディングシート(100a)である。第一の本発明を使用することにより、極めて高い層間接着信頼性と層間接続信頼性を有し、高密度で高多層な多層配線基板(200)を作製することができる。
第一の本発明において、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合割合は、モル比で30/70以上70/30未満であることが好ましい。これにより、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類が架橋することによって形成される接着層(20b)が脆くなるのを防ぎ、高い層間接着信頼性を発揮することができる。
第一の本発明において、接着層(20a)の厚みは、絶縁基材(10)の厚みの1/5未満であることが好ましい。これにより、配線基板の積層時に、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合物がビアホール中に流れ込んだり、ビアホール中の導電性ペーストがビアの外に排出してしまい、ビア部に十分な圧力がかからずに、ビア中または上下基板の導電パターン部との金属拡散接合が形成されなかったり、という多層配線基板(200)の層間接着信頼性を阻害する事態、を防ぐことができる。
第一の本発明において、接着層(20a)は、室温で固化しており、40℃以上100℃未満に融点を有していることが好ましい。これにより、室温において接着層(20a)を絶縁基材(10)上に固定化することができる。また、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類は、120℃以上でene付加反応により線状の重合体となり、200℃以上でDiels−Alder反応により架橋物となることが好ましい。これにより、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の融点から硬化完了までの間において、絶縁基材(10)および汎用配線基板(300)との間で、二次結合が生じ易くなり、層間接着信頼性を発現することができる。また、この付加反応および架橋反応により得られた接着層(20b)は300℃以上のガラス転移温度を有していることが好ましい。これにより、形成された接着層(20b)が非鉛半田耐熱性を発現することができる。
第一の本発明において、アルケニルフェノール化合物はジメタリルビスフェノールAであることが好ましく、マレイミド類はビス(4−マレイミドフェニル)メタンであることが好ましい。これらの混合物からなる接着層(20a)とすることによって、層間接着信頼性をより良好なものとすることができる。
第一の本発明において、樹脂組成物からなる絶縁基材(10)は、結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂、ガラス転移温度が260℃以上の非晶性熱可塑性樹脂、液晶転移温度が260℃以上の液晶ポリマー、ガラス転移温度が300℃以上の非熱可塑性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、付加型ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、または、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂のいずれかからなる樹脂組成物からなる絶縁基材であることが好ましい。また、第一の本発明において、樹脂組成物からなる絶縁基材(10)は、ガラス繊維にエポキシ樹脂からなる樹脂組成物を含浸させて硬化させたものであることが好ましい。
絶縁基材(10)をこれらの樹脂組成物により形成することによって、本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート(100a)を図1(b)に示すように、ビアホールを形成して導電性ペースト組成物(40)を充填し、図1(c)に示すように、汎用の配線基板(300)に挟んで加熱加圧して積層した際に、導電性ペースト組成物(40)と汎用の配線基板(300)における導体パターン(50)を形成する金属との間において金属拡散接合が生じる。また、これにより、極めて高い接続信頼性を有すると共に、吸湿耐熱性、接続信頼性、および、導体接着強度に優れた多層配線基板(200)を作製することができる。
第一の本発明の多層配線基板用層間接続用ボンディングシート(100a)の別の形態としては、シートを貫通するビアホールを有し、該ビアホールに導電性ペースト組成物(40)が充填されてなる、多層配線基板用層間接続ボンディングシート(100b)である。第1の本発明の多層配線基板層間接続用ボンディングシート(100a)は、このような導電性ペースト組成物(40)が充填されたビアホールを有する形態(100b)として,汎用配線基板(300)の間に挟んで使用される。そして、所定の条件にて熱圧着することで各基板を積層して、極めて高い層間接続信頼性を有する多層配線基板(200)を作製することができる。
上記の別の形態のボンディングシート(100b)において使用される、導電性ペースト組成物(40)としては、導電粉末と、バインダー成分とを含み、導電粉末およびバインダー成分の質量比が、90/10以上98/2未満であり、導電粉末が、第1の合金粒子と第2の金属粒子とからなり、第1の合金粒子が、180℃以上260℃未満の融点を有する非鉛半田粒子であり、第2の金属粒子が、Au,Ag,Cuからなる群から選ばれる少なくとも一種以上であり、第1の合金粒子と第2の金属粒子との質量比が、76/24以上90/10未満であり、バインダー成分が、加熱により硬化する重合性単量体の混合物であり、非鉛半田粒子の融点が、バインダー成分の硬化温度範囲に含まれているものを使用することが好ましい。
このような導電性ペースト組成物(40)を使用することによって、導電性ペースト組成物(40)と汎用の配線基板(300)における導体パターン(50)を形成する金属との間において金属拡散接合が生じ、多層配線基板200におけるビアホールの抵抗値を非常に小さくすることができ、吸湿耐熱性、接続信頼性、および導体接着強度に優れた多層配線基板(200)とすることができる。
本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート(100b)を使用することによって、極めて高い層間接着信頼性と層間接続信頼性とを有し、高密度で高多層な多層配線基板(200)を作製することができる。また、特定の導電性ペースト組成物(40)と組み合わせることによって、金属拡散接合を生じさせ、多層配線基板(200)におけるビアホールの抵抗値を非常に小さくすることができ、吸湿耐熱性、接続信頼性、および導体接着強度に優れた多層配線基板(200)を作製することができる。また、特定の樹脂組成物からなる絶縁基材(10)と組み合わせると、この金属拡散接合をより促進することができる。
図1(a)に示すように、本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100aは、樹脂組成物からなる配線基材10の少なくとも片面にアルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合物からなる接着層20aが積層されている構成を有している。なお、図示したい形態においては、樹脂組成物からなる配線基材10の両面に接着層20aが形成されている。
<多層配線基板用層間接続ボンディングシート100aの用途>
本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100a(以下、「ボンディングシート100a」と省略する場合がある。)の用途について以下説明する。ボンディングシート100aは、図1(b)に示すように、まず、レーザー等によって、接着層20および絶縁基材10を貫通するビアホールを形成し、このビアホールに後に説明する導電性ペースト組成物40を充填して多層配線基板用層間接続ボンディングシート100b(以下、「ボンディングシート100b」と省略する場合がある。)とする。
そして、図1(c)に示すように、導体パターン50を形成した各種の汎用配線基板300の間に、上記のボンディングシート100bを挟み込む。なお、積層する汎用配線基板300に設けられた導体パターン50の位置に合わせて、ボンディングシート100bにビアホールが形成され、導電性ペースト組成物40が充填される。
その後、各基板を熱圧着することによって、各層を積層して、図1(d)に示した多層配線基板200が作製される。このように、本発明の多層配線基板用接続ボンディングシート100は、各種汎用の配線基板300同士を積層して多層配線基板200を作製するために用いられる。多層配線基板用層間接続ボンディングシート100a、100b、および多層配線基板の製造方法については、後で説明する。
<樹脂組成物からなる絶縁基材10>
樹脂組成物からなる絶縁基材10は、結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂、ガラス転移温度が260℃以上の非晶性熱可塑性樹脂、液晶転移温度が260℃以上の液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂からなる組成物により構成されていることが好ましい。
結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリアリールケトン樹脂および非晶性ポリエーテルイミド樹脂の混合組成物を用いることが好ましい。ガラス転移温度が260℃以上の非晶性熱可塑性樹脂としては、熱可塑性ポリイミドを用いることが好ましい。液晶転移温度が260℃以上の液晶ポリマーとしては、全芳香族ポリエステル樹脂(LCPI型、II型)を用いることが好ましい。
また、樹脂組成物からなる絶縁基材10は、ガラス転移温度が300℃以上の非熱可塑性ポリイミド樹脂により構成されていることが好ましい。ここで、非熱可塑性ポリイミド樹脂とは、無水ポリメリット酸と芳香族ジアミンの縮合反応により形成されるもので。この組み合わせられる芳香族ジアミンの分子構造により特徴ある製品が作られる。ガラス転移温度が300℃以上のポリイミドとしては、例えば、カプトンHフィルム(デュポン社製)、ユーピレックスS(宇部興産社製)などを挙げることができる。
また、樹脂組成物からなる絶縁基材10は、エポキシ樹脂、付加型ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂からなる組成物により構成されていることが好ましい。また、樹脂組成物からなる絶縁基材10は、ガラス繊維にエポキシ樹脂等からなる樹脂組成物を含浸させて硬化させたものであることが好ましい。エポキシ樹脂としては、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等を用いることが好ましい。また、ビスマレイミドトリアジン樹脂とは、ビスマレイミドとトリアジンとの共重合物である。これらの熱硬化性樹脂からなる組成物により構成されている絶縁基材10は、ボンディングシート100aの状態で完全に硬化されていることが好ましい。ビアホールを形成後や他の配線基板300との積層時において完全に硬化させるとなると、硬化時に樹脂がフローするため、層間接続信頼性を確保することが困難になるからである。
樹脂組成物からなる絶縁基材10として、上記に挙げたものを使用することによって、以下において説明するビアホール中の導電性ペースト組成物40の金属拡散接合をより効果的に生じさせることができる。
本発明のボンディングシート100bと汎用の配線基板300とを積層する際において、ボンディングシート100bにおける接着層20aが軟化し、完全に硬化して接着層20bとなるまでの間、接着層20aの弾性率が低下する。接着層20aの弾性率が低下している間は、上下の汎用の配線基板300によって圧縮される力が、軟化した接着層20aを介して、ボンディングシート100bにおけるビアホール中の導電性ペースト組成物40に集中する。このような圧力がかかった状態において、導電性ペースト組成物40中の非鉛半田粒子の融点を越える温度となった時点で、金属拡散接合が急激に進行すると考えられている。
上記した材料の中でも、樹脂組成物からなる絶縁基材10としては、導電性ペースト組成物40の金属拡散接合をさらに効果的に生じさせる観点から、結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂からなる組成物により構成されている絶縁基材、あるいは、ガラス繊維にエポキシ樹脂からなる樹脂組成物を含浸させて硬化させた絶縁基材を使用することが好ましい。
以下、上記の樹脂組成物からなる絶縁基材10として好ましい形態の一つである、結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂からなる組成物により構成されている絶縁基材について説明する。結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂からなる組成物としては、ポリアリールケトン樹脂および非晶性ポリエーテルイミド樹脂の混合組成物が好ましく用いられるが、これらの樹脂は相溶系であり、これらの混合組成物は一つの結晶融解ピーク温度を有し、その結晶融解ピーク温度は260℃以上となっている。絶縁基材10を構成する材料として、ポリアリールケトン樹脂および非晶性ポリエーテルイミド樹脂の混合組成物を用いた場合は、上記したビアホール中の導電ペースト組成物に上下からかかる圧力、に加えて、絶縁基材10の弾性率が変化することによる左右からの締め付ける圧力がかかる。そのため、金属拡散接合を生じさせる効果がより大きいと考えられる。なお、絶縁基材10の温度による弾性率の変化する様子については、後に説明する。
このポリアリールケトン樹脂は、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合およびケトン結合を含む熱可塑性樹脂であり、その代表例としては、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン等があり、なかでも、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。なお、ポリエーテルエーテルケトンは、「PEEK151G」、「PEEK381G」、「PEEK450G」(いずれもVICTREX社の商品名)等として市販されている。
また、非晶性ポリエーテルイミド樹脂は、その構造単位に芳香核結合、エーテル結合およびイミド結合を含む非晶性熱可塑性樹脂であり、特に制限されるものではない。なお、ポリエーテルイミドは、「Ultem CRS5001」、「Ultem 1000」(いずれもゼネラルエレクトリック社の商品名)等として市販されている。
ポリアリールケトン樹脂および非晶性ポリエーテルイミド樹脂の混合割合としては、積層する接着層20との密着性を考慮した場合、ポリアリールケトン樹脂を30質量%以上かつ70質量%以下含有し、残部を非晶性ポリエーテルイミド樹脂および不可避不純物とした混合組成物を用いることが好ましい。ここで、ポリアリールケトン樹脂の含有率を30質量%以上かつ70質量%以下と限定した理由は、ポリアリールケトン樹脂の含有率が高すぎると、熱可塑性樹脂組成物の結晶性が高いため、積層時に接着層20とのなじみが取れず積層信頼性が低下すると共に、多層化する際の他の汎用基材300との層間の積層性が低下するからであり、また、ポリアリールケトン樹脂の含有率が低すぎると、熱可塑性樹脂組成物全体としての耐熱性が低くなり、他の汎用基材と積層した後の多層配線基板としてのリフロー耐熱性が低下するからである。
この熱可塑性樹脂組成物は無機充填材を含有していてもよい。無機充填材としては、特に制限はなく、公知のいかなるものも使用できる。例えば、タルク、マイカ、雲母、ガラスフレーク、窒化ホウ素(BN)、板状炭カル、板状水酸化アルミニウム、板状シリカ、板状チタン酸カリウム等が挙げられる。これらは1種類を単独で添加してもよく、2種類以上を組み合わせて添加してもよい。特に、平均粒径が15μm以下、アスペクト比(粒径/厚み)が30以上の鱗片状の無機充填材が、平面方向と厚み方向の線膨張係数比を低く抑えることができ、熱衝撃サイクル試験時の基板内のクラック発生を抑制することができるので、好ましい。
この無機充填材の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して20質量部以上かつ50質量部以下が好ましい。無機充填材の添加量が多すぎると、無機充填材の分散不良の問題が発生し、線膨張係数がばらつき易くなったり、強度低下を招き易くなったりするからである。また、無機充填材の添加量が少なすぎると、線膨張係数を低下させて寸法安定性を向上させる効果が小さく、リフロー工程において他の配線基板300や導電パターン50との線膨張係数差に起因する内部応力が発生し、基板にそりやねじれが発生するからである。
また、熱可塑性樹脂組成物は、その性質を損なわない程度に、他の樹脂や無機充填材以外の各種添加剤、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜含有していてもよい。これら無機充填材を含めた各種添加剤を添加する方法としては、公知の方法、例えば下記に挙げる方法(a)、(b)を用いることができる。
(a)各種添加剤を、ポリアリールケトン樹脂および/または非晶性ポリエーテルイミド樹脂の基材(ベース樹脂)に高濃度(代表的な含有量としては10〜60質量%程度)に混合したマスターバッチを別途作製しておき、これを使用する樹脂に濃度を調整して混合し、ニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法。(b)使用する樹脂に直接各種添加剤をニーダーや押出機等を用いて機械的にブレンドする方法。これらの方法の中では、(a)の方法が分散性や作業性の点から好ましい。さらに、熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材10の表面には積層性を向上させる目的でコロナ処理等を適宜施しても構わない。
また、以下、上記の樹脂組成物からなる絶縁基材10として好ましい形態の一つである、ガラス繊維にエポキシ樹脂からなる樹脂組成物を含浸させて硬化させた絶縁基材について説明する。この絶縁基材における、ガラス繊維としては、アルカリ含有率の少ないEガラスにシリコーン系材料でカップリング処理したもの使用することが好ましく、エポキシ樹脂としては、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させてから、エポキシ樹脂を硬化させて絶縁基材10が作製されるのであるが、本発明における絶縁基材としては、半硬化状態(Bステージ)ではなく、完全硬化状態(Cステージ)まで、エポキシ樹脂を硬化させた絶縁基材10を使用することが好ましい。このような絶縁基材10を使用することによって、極めて層間接続信頼性に優れた多層配線基板を製造することができる。
上記したエポキシ樹脂の「Bステージ」とは、樹脂、硬化剤を混合した場合において、反応がある程度進んだ、半硬化(Semi−cure)の状態をいう。この段階では、もはや大部分は溶剤に溶解しないが、加熱すると溶解してさらに反応が進む。また、「Cステージ」とは、反応の最終段階で不溶不融の完全硬化の状態をいう。
<接着層20>
本発明における接着層20は、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合物からなる層である。
アルケニルフェノール化合物としては、分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するアルケニルフェノール化合物、つまり、芳香環の水素原子の一部がアルケニル基に置換されたフェノール系化合物を挙げることができる。また、具体的には、このようなアルケニルフェノール化合物としては、ビスフェノールAまたはフェノール性水酸基含有ビフェニル骨格にアルケニル基が結合した化合物を挙げることができる。さらに具体的には、3,3´−ビス(2−プロペニル)−4,4´−ビフェニルジオール、3,3´−ビス(2−プロペニル)−2,2´−ビフェニルジオール、3,3´−ビス(2−メチル−2−プロペニル)−4,4´−ビフェニルジオール、3,3´−ビス(2−メチル−2−プロペニル)−2,2´−ビフェニルジオール等のジアルケニルビフェニルジオール化合物;2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−プロペニル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−メチル−2−プロペニル)フェニル]プロパン(以下、「ジメタリルビスフェノールA」という。)等のジアルケニルビスフェノール化合物を挙げることができる。この中でも、原料コストが安く、安定供給が可能であるという点から、アルケニルフェノール化合物としては、ジメタリルビスフェノールAを使用することが好ましい。ジメタリルビスフェノールAの構造式を式1に示す。
Figure 0004959966
マレイミド類としては、分子中に少なくとも2個のマレイミド基を有するマレイミド化合物を挙げることができ、具体的には、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン等のビスマレイミド、トリス(4−マレイミドフェニル)メタン等のトリスマレイミド、ビス(3,4−ジマレイミドフェニル)メタン等のテトラキスマレイミドおよびポリ(4−マレイミドスチレン)等のポリマレイミド等を挙げることができる。この中でも、マレイミド類としては、原料コストが安く、安定供給可能であるという点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンを使用することが好ましい。ビス(4−マレイミドフェニル)メタンの構造式を式2に示した。
Figure 0004959966
接着層20は、室温で固化しており、40℃以上100℃未満に融点を有していることが好ましい。これにより、接着層20を固化させて、絶縁基材10上に固定することができる。また、絶縁基材10上に溶液を塗布した際の造膜性を向上させる観点から、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類は、高分子量のものを使用することが好ましい。
このバインダー成分において、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合比は、モル比で、「30/70」以上「70/30」未満であることが好ましい(「アルケニルフェノール化合物」/「マレイミド類」)。この範囲を超えて、バインダー成分中のどちらかの成分が多すぎると、生成する接着層20bが脆くなり、導電性ペースト40と導体パターン50部との接着力が低下してしまう。
バインダー成分の硬化反応について、以下説明する。アルケニルフェノール化合物におけるアルケニル基は、マレイミド化合物のエチレン性不飽和基と交互共重合および/または付加反応し、またフェノール性水酸基もマレイミド基のエチレン性不飽和基と付加反応する。以下、バインダー成分として例示した、ジメタリルビスフェノールAおよびビス(4−マレイミドフェニル)メタンの硬化機構について、具体的に説明する。まず、120〜180℃に加熱した段階で、以下の式3で示される線状の重合体が得られる。
Figure 0004959966
さらに、200℃以上に加熱すると、例えば、以下の式4で示される三次元状に架橋した重合体が得られる。これら付加反応および架橋反応によって得られた接着層20bは、300℃以上のガラス転移温度を有している。これにより、非鉛半田耐熱性という効果が発揮される。
Figure 0004959966
以下に説明するように汎用の基板材料300と本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100aとを交互に重ねて、熱圧着することによって、上記したように、接着層20aが硬化して接着層20bとなる。これにより汎用の基板材料300と本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100aとを接着することができる。これにより、極めて高い層間接着信頼性を有する多層配線基板200を作成することができる。
本発明のボンディングシート100aにおいて、絶縁基材10として、ポリアリールケトン樹脂および非晶性ポリエーテルイミド樹脂の混合組成物からなるものを用いた場合は、絶縁基材10が加熱により軟化して、そして、接着層20aが軟化した後に、絶縁基材10が硬化する。よって、絶縁基材10および接着層20aが共に軟化する温度範囲が存在する。これにより、両者がなじみ(分子間力が働き)、絶縁基材10および接着層20との間で接着性が発現する。
また、ガラス転移温度が高く、積層の際に軟化しないような絶縁基材10および汎用の配線基板300との接着性は、接着層20aが軟化して、絶縁基材10および汎用の配線基板300の表面における微小な凹凸に、接着層20aが入り込むことによって生じるアンカー効果や、水素結合等によって、接着性が発現する。
本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100において、接着層20aの厚みは、絶縁基材10の厚みの1/5未満であることが好ましい。こうすることで、汎用の配線基板300と積層する際に、アルケニルフェノール化合物およびマレイミドの混合物がビアホール中に流れ込んで、多層配線基板200の層間接続信頼性を阻害することを防ぐことができる。また、接着層20aが厚すぎて、汎用の配線基板300と積層する際に、アルケニルフェノール化合物およびマレイミドの混合物が流出してしまい、ビアホール中の導電性ペースト組成物に十分な圧力がかからずに、金属拡散接合を生じさせることができなくなる事態を防ぐことができる。
また、絶縁基材10の厚みは、好ましくは25〜400μmであり、より好ましくは50〜300μmであるが、ボンディングシートの用途によって決定される。例えば、ボンディングシート100b部分に、空間を設けて部品を搭載するような用途に用いる場合は、絶縁基材10の厚みは、搭載する部品に合わせて大きくする必要がある。また、接着層の厚みは、絶縁基材10の厚みの1/5未満の厚みであって、層間接着信頼性の点からできるだけ厚い方が好ましい。
<導電性ペースト組成物40>
本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100aは、図1(b)に示すように、接着層20aおよび絶縁基材10を貫くビアホールが形成され、このビアホールに導電性ペースト組成物40を充填した状態100bで使用される。本発明で使用する導電性ペースト組成物40は、導電粉末、および、バインダー成分を含むものである。
(導電粉末)
導電粉末は、第1の合金粒子と第2の金属粒子とから構成される。
第1の合金粒子は、180℃以上260℃未満の融点を有する非鉛半田粒子である。このような非鉛半田粒子としては、例えば、Sn−Cu、Sn−Sb、Sn−Ag−Cu、Sn−Ag−Cu−Bi、Sn−Ag−In、Sn−Ag−In−Bi、Sn−Zn、Sn−Zn−Bi、および、Sn−Ag−Biを挙げることができる。これらの非鉛半田粒子は、錫を金属拡散させるという効果において信頼をおけるものである。また、第1の合金粒子としては、これらの非鉛半田粒子の二種以上の混合物を使用することもできる。
第2の金属粒子は、Au、Ag、Cuからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の金属粒子である。第2の金属粒子は、電気抵抗値が低い金属から形成されている粒子であり、ビアホールの電気伝導性を担うものである。また、第2の金属粒子は、第1の合金粒子に比べて融点が高く、加熱時における導電性ペースト組成物の粘度を保持する役割を有する。
導電粉末における、第1の合金粒子および第2の金属粒子の混合割合は、質量比で、「76/24」以上「90/10」未満である(「第1の合金粒子」/「第2の金属粒子」)。この範囲を超えて、第1の合金粒子の量が多すぎると、基板を加熱積層する際に、導電性ペースト組成物の粘度の低下が大きく、導電性ペースト組成物がビアホールから流出してしまうおそれがある。
第1の合金粒子および第2の金属粒子の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましい。第1の合金粒子をこのような粒径とすることによって、導電性ペースト組成物をビアホールに充填しやすくなり、また、金属拡散が生じやすくなる。また、第2の金属粒子をこのような粒径とすることによって、基板を加熱積層する際における導電性ペーストの粘度を調整する効果が良好となる。
第1の合金粒子と第2の金属粒子の平均粒径差は、2μm以下であることが好ましい。このように粒径をなるべくそろえることによって、金属拡散接合を生じやすくすることができる。
(バインダー成分)
本発明において使用するバインダー成分は、加熱により硬化する重合性単量体の混合物である。このようなバインダー成分としては、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合物を挙げることができる。なお、アルケニルフェノール化合物および/またはマレイミド類が、高分子化合物であっても、これらを加熱することにより、架橋反応して硬化するものであれば、本発明の重合性単量体に含まれるものとする。
アルケニルフェノール化合物、マレイミド類としては、接着剤層20において記載したものと同様のものを使用することができる。
このバインダー成分において、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合比は、モル比で、「30/70」以上「70/30」未満であることが好ましい(「アルケニルフェノール化合物」/「マレイミド類」)。この範囲を超えて、バインダー成分中のどちらかの成分が多すぎると、生成する樹脂が脆くなり、導電性ペースト組成物と導体パターン部との接着力が低下してしまう。
バインダー成分の硬化反応についても、上記した接着剤層20における場合と同様である。本発明においては、このようなバインダー成分の三次元架橋による硬化が、半田成分が第2の金属粒子および/または導体パターン50を形成する金属へ金属拡散することを促進し、これにより高度な金属拡散接合が形成されると考えられている。つまり、バインダー成分が硬化する時に、ビアホール内の第1の合金粒子および第2の金属粒子に圧力がかかり、これにより、半田成分が、金属粒子および導体パターン50を形成する金属へ金属拡散することが促進されると考えられている。バインダー成分の弾性率が、温度によって変化する様子を図2に示す。単量体混合物の弾性率は、温度の上昇により小さくなっていく。しかし、120〜180℃において式3で示した線状の重合体が形成されることによって、弾性率が急に大きくなる(図2における、「単量体混合物」のグラフから、「架橋後」のグラフとなる。)。その後、線状の重合体は、200℃以上において、式4で示される三次元状に架橋した重合体に変化していくと考えられている。架橋後のグラフは、温度の上昇と共に小さくなる傾向はある。しかし、高温領域においても溶融することなく、一定の弾性率を保っている。
このように、180〜260℃において非鉛半田粒子が融解した時に、バインダー成分は硬化反応することにより、一定の弾性率を保持する。このように、融解した非鉛半田粒子に対して、バインダーが硬化することによる圧力がかかり、これにより、導電性ペースト組成物40において、金属拡散接合が生じると考えられる。そして、このような導電性ペースト組成物40を用いた、多層配線基板200は、そのビアホールの抵抗値が非常に低いものとなり、吸湿耐熱性、接続信頼性、および、導体接着強度に優れたものになると考えられる。
このような観点から、半田粒子が溶解した段階で、バインダー成分が硬化する必要があり、非鉛半田粒子の融点が、バインダー成分の硬化温度範囲に含まれている必要がある。これに対して、バインダー成分の硬化温度範囲に比べて、非鉛半田粒子の融点が高すぎる場合は、バインダー成分が硬化する段階において、非鉛半田粒子は未だ融解していないため、金属拡散が促進されるという効果を享受することができない。また、バインダー成分の硬化温度範囲に比べて、非鉛半田粒子の融点が低すぎる場合は、溶解した半田成分がビアホールからはみ出してしまうおそれがある。
上記したように、導電性ペースト組成物40は、導電粉末およびバインダー成分を含有するものであるが、この導電粉末およびバインダー成分の混合比は、質量比で、「90/10」以上「98/2」未満である(「導電性粉末」/「バインダー成分」)。この範囲を超えて、導電性粉末の量が少なすぎるとビアホールに充填した導電性ペーストの電気抵抗値が増加してしまう。また、この範囲を超えて、導電性粉末の量が多すぎると、導電性ペースト組成物40をビアホールに印刷充填する作業性が悪化し、また、導電性ペースト組成物40と導体パターン50部との接着強度が低下してしまう。
<多層配線基板用層間接続ボンディングシート100a、100bの製造方法>
図1(a)に構成を示した本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100aの製造方法を以下に説明する。まず、樹脂組成物からなる絶縁基材10を用意する。絶縁基材10は、フィルム、薄板状またはシート状が好ましく、成形方法としては、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法、あるいはカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、シートの製膜性や安定生産性等の点から、Tダイを用いる押出キャスト法が好ましい。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね、260℃以上の結晶融解ピーク温度を有する、ポリアリールケトン樹脂および非晶性ポリエーテルイミド樹脂の混合組成物の場合、360〜400℃である。また、押出キャスト製膜時に急冷製膜することにより非晶性フィルム化することが必要である。これにより、170〜230℃付近に弾性率が低下する領域を発現するので、この温度領域での熱成形、熱融着が可能となる。詳細には、170℃付近で弾性率が低下し始め、200℃付近において熱成形、熱融着が可能となる。また、図4に示したグラフは、昇温速度を3℃/分として弾性率を測定したものであるが、昇温速度を10℃/分とすると、非晶から結晶への転移が遅れて、230℃付近において弾性率がもっとも低くなる。
なお、樹脂組成物からなる絶縁基材が、ガラス繊維にエポキシ樹脂からなる組成物を含浸させて硬化させたものである場合は、Cステージまでエポキシ樹脂を硬化させた絶縁基材10を使用する。
次いで、絶縁基材10上に接着層20aが形成される。接着層20aの形成方法は特に限定されないが、図3(a)あるいは図3(b)に示した方法であることが好ましい。図3(a)に示した方法は、絶縁基材10上に、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合物を含有する溶液を、直接塗布して乾燥固化させることにより、接着層20aを形成する方法である。溶液の塗布方法としては、特に限定されず、バーコーター等を採用することができる。また、上記溶液における溶剤としては、アルケニルフェノール化合物およびマレイミド類を溶解することができるものであれば特に限定されないが、γブチロラクトン等を使用することが好ましい。
図3(b)に示した方法は、まず、PETフィルム等の剥離性のあるフィルムにアルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合物を含有する溶液を塗布して乾燥固化して、剥離性のあるフィルム上に接着層20aを形成する、そして、この接着層20aを絶縁基材10上に重ねて、加熱して熱転写することによって、絶縁基材10上に接着層20aを形成する方法である。このようにして、本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100aが作製される。
次いで、作製したボンディングシート100aの所定位置に、レーザー若しくは機械ドリル等を用いて、接着層20aおよび絶縁基材10を貫くビアホールが形成され、このビアホールに、スクリーン印刷等の通常の印刷手法によって導電性ペースト組成物40が充填され、図1(b)に示すような多層配線基板用層間接続ボンディングシート100bが形成される。
<樹脂組成物からなる絶縁基材10の温度に対する弾性率の挙動>
ここで、樹脂組成物からなる絶縁基材10の温度に対する弾性率の挙動について説明する。樹脂組成物として、結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂からなる組成物を用いた場合であって、この結晶性熱可塑性樹脂として、ポリエーテルエーテルケトンおよび非晶性ポリエーテルイミド樹脂の混合組成物を用いた場合における、絶縁基材10の、温度に対する弾性率の挙動を図4に示した。
「積層前」と表示されているのが、多層配線基板200として積層する前における、絶縁基材10の温度に対する弾性率の挙動を示したグラフである。また、「積層後」と表示されているのが、所定の条件において加熱・加圧することによって多層配線基板200とした後における、絶縁基材10の温度に対する弾性率の挙動を示したグラフである。積層前の状態では、上記したように、絶縁基材10は急冷製膜することにより非晶性フィルム化されている。よって、200℃付近という比較的低温領域において弾性率が十分に低下する。これにより、積層前の絶縁基材10は、比較的低温において熱成形、熱融着することができる。
非晶性フィルム化されている絶縁基材10は、多層配線基材200を製造する際における所定の条件下での加熱・加圧成形によって、結晶性へと変化する。これに伴って絶縁基材10の弾性率は大きく変化して、図4における積層後のグラフで示されるような挙動を示すようになる。これにより、以下に説明するように金属拡散接合を促進するという効果を発揮して、多層配線基板200を、そのビアホールの抵抗値を非常に小さくすることができると共に、吸湿耐熱性、接続信頼性、および導体接着力に優れたものとすることができると考えられている。
次に、どのように金属拡散接合が促進されるかについて説明する。ここで、導電性ペースト組成物40中の非鉛半田粒子と熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材10との関係が重要であり、非鉛半田粒子の融点における、熱可塑性樹脂組成物の貯蔵弾性率は、10MPa以上5GPa未満であることが好ましい。なお、熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材10を形成する熱可塑性樹脂組成物として、上記した好ましい形態である、ポリエーテルエーテルケトンおよび非晶性ポリエーテルイミドの混合組成物を使用した場合は、図4に示すように、180℃以上260℃未満という非鉛半田粒子の融点における、熱可塑性樹脂組成物の貯蔵弾性率は、10MPa以上5GPa未満となっている。なお、熱可塑性樹脂組成物の貯蔵弾性率は、粘弾性評価装置を用い、測定周波数1Hzで昇温速度3℃/分で測定した値である。
上記のように非鉛半田粒子の融点において、熱可塑性樹脂組成物が10MPa以上5GPa未満の貯蔵弾性率を有するものとすることは、非鉛半田粒子の融点において、熱可塑性樹脂組成物にある程度の柔軟性を持たせると共に、溶融せずにある程度の弾性率を保持させていることを意味している。
このように、非鉛半田粒子の融点において、熱可塑性樹脂組成物にある程度の柔軟性を持たせることによって、導電性ペースト組成物40と熱可塑性樹脂組成物とが相互になじむことができ、導電性ペースト組成物40と熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材10との接着性が向上する。また、非鉛半田粒子の融点において、熱可塑性樹脂組成物が溶融せずに、ある程度の弾性率を保持することによって、配線基板100を熱融着により積層する際に、導電性ペースト組成物40をビアホールの側面である熱可塑性樹脂組成物により締め付けることができ、導電性ペースト組成物40に圧力をかけることができる。これにより、非鉛半田粒子中の錫成分が第2の金属粒子および/または導体パターン50を形成する金属中に金属拡散し、金属拡散接合を形成させることができると考えられている。
<汎用の配線基板300>
本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100aにより接続することができる汎用の配線基板300としては、ガラスエポキシ基板(FR4基板)、2層ポリイミド基板、3層ポリイミド基板、LCP基板、および、LTCC基板を挙げることができる。これらの汎用の配線基板300は、二種以上を併せて積層して多層基板200を形成してもよい。
ガラスエポキシ基板(FR4基板)の製造方法について説明する。まず、ガラスクロスに熱硬化性樹脂を含浸させ半硬化状態(Bステージ化)とした絶縁基材(プリブレグ)を用意する。次いで、絶縁基材の所定位置に、レーザー若しくは機械ドリル等を用いて絶縁基材を貫通する貫通孔を形成し、これをビアホールとする。次いで、スクリーン印刷等によりビアホール内に導電性ペーストを充填する。そして、必要により、加熱して溶剤を揮発させて導電性ペーストを固化させる。配線基板300に用いられる導電性ペーストとしては、特に限定されず、ビアホール充填用に使用される一般的な導電性ペーストを使用することができる。また、配線基板300に用いられる導電性ペーストとして、配線基板100bにおいて使用する導電性ペースト組成物40を使用することもできる。次いで、必要に応じて、絶縁基材の表面上にはみ出した導電性ペーストの乾燥固化物を機械的研磨等により除去して、そして、絶縁基材の一方の面あるいは両方の面に、銅箔を熱圧着すると同時に絶縁基材を完全に硬化する(Cステージ化)。次いで、銅箔をエッチングによりパターニングし、導体パターン50を形成する。以上より、ガラスエポキシ基板を使用した熱可塑性樹脂組成物以外からなる配線基板300を製造することができる。
また、液晶ポリマー(LCP)基板の製造方法について説明する。まず、LCPからなる絶縁基板を用意する。LCPとしては、LCPI型(液晶転移温度:350℃)、LCPII型(液晶転移温度:300℃)等を使用することができる。LCPからなる絶縁基材としては、フィルム状、薄板状、またはシート状が好ましい。その成形方法としては、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法、あるいはカレンダー法、インフレーション成形法等が好ましく、特に限定されるものではないが、シートの製膜性や安定生産性等を考慮すると、Tダイを用いる押出キャスト法が好ましい。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂の流動性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね、LCPI型樹脂の場合、400〜420℃、LCPII型樹脂の場合、350〜370℃である。製膜時に銅箔を貼り付け、その後、絶縁基材にビアホールを形成し、パターニングして導体パターンを形成することについては、上記したガラスエポキシ基板の製造方法における場合と同様である。
銅箔上にキャスト法や流延法でポリイミド層を形成した2層ポリイミド基板や、ポリイミドフィルムと銅箔間に熱可塑性ポリイミド層を接着層として熱ラミネートした擬似2層ポリイミド基板や、ポリイミドフィルムと銅箔間に熱硬化型の接着剤を用いた3層ポリイミド基板についても、上記したガラスエポキシ基板、LCP基板と同様の製造方法により製造することができる。
LTCC(低温焼成セラミック)基板は、焼成前のLTCC(低温焼成セラミック)基板にビアホールを形成し、ビアホール中にAgペーストを充填し、また表層にもAgペースト配線を施し、焼成して作製した。
<多層配線基板200の製造方法>
本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100bを用いた多層配線基板200の製造方法について以下に説明する。まず図1(c)に示すように、汎用の配線基板300と、多層配線基板用層間接続ボンディングシート100bとを交互に重ね合わせる。図示した形態では、ボンディングシート100bを中間に挟んだ三層構成となっているが、さらにボンディングシート100bおよび汎用の配線基板300を交互に重ね合わせていって、5層等の構成とすることもできる。また、図示した汎用の配線基板300は両面に導体パターン50が形成されているが、これに替えて、片面に導体パターン50を形成した汎用の配線基板を使用してもよい。また、単層の配線基板300ではなく、多層の配線基板を使用してもよい。
そして、各基板を熱圧着により積層することにより、多層配線基板200が形成される。具体的には、図5に示すように、ヒーター内蔵の積層治具50内に下側より弾性および離型性を有するクッションフィルム51、汎用の配線基材300、ボンディングシート100bおよび汎用の配線基材300、その上に、クッションフィルム51を重ねて、その後、押圧治具52を、図中に示した矢印の方向に押し下げることで熱圧着を施し、これらを積層一体化して多層配線基板200とする。各層の積層条件としては、金属拡散接合を効果的に起こらしめる観点から、温度:200℃以上260℃未満、圧力:3MPa以上8MPa未満、プレス時間:10分以上40分未満とすることが好ましい。
<実施例1>
(絶縁基材10の作製)
ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK450G、Tm=335℃)40質量%と、非晶性ポリエーテルイミド樹脂(Ultem 1000)60質量%とからなる樹脂混合物100質量部に対して、平均粒径5μm、平均アスペクト比50の合成マイカを39質量部混合して得られた熱可塑性樹脂組成物を溶融混練し、急冷製膜して200μm厚の非晶性フィルムからなる絶縁基材10を作製した。この非晶性フィルムを、示差走査熱量計を用いて10℃/分で昇温させながら測定した時の結晶融解ピーク温度(Tm)は、335℃であった。
(接着層20aの形成)
ジメタリルビスフェノールA50質量%およびビス(4−マレイミドフェニル)メタン50質量%の割合で混合した重合性単量体の混合物80質量部、γブチロラクトン20質量部を混合した溶液を、上記で作製した絶縁基材10の両面にバーコーターを用いて塗布し、100℃45分間乾燥して、厚さ5μmの接着層20aを絶縁基材10の両面に形成し、ボンディングシート100aを作製した。
(導電性ペースト組成物の作製)
Sn−Ag−Cu合金粒子(平均粒径5.55μm、融点220℃、Sn:Ag:Cu(質量比)=96.5:3:0.5)76質量%およびCu粒子(平均粒径5μm)24質量%の割合で混合した導電粉末97質量部に対して、ジメタリルビスフェノールA50質量%およびビス(4−マレイミドフェニル)メタン50質量%の割合で混合した重合性単量体の混合物3質量部、ならびに溶剤としてγブチロラクトン7.2質量部、を添加して、3本ロールで混練して導電性ペースト組成物を調製した。
(ボンディングシート100bの作製)
上記で作製したボンディングシート100aの所望の位置に、レーザーを使用して接着層20aおよび絶縁基材10を貫通する直径100μmのビアホールを形成した。そして、上記で調製した導電性ペースト組成物を、このビアホールにスクリーン印刷により充填した。充填後、125℃、45分間加熱し、溶剤を揮発させて導電性ペーストを乾燥固化して、ボンディングシート100bを作製した。
(汎用の配線基板300の作製)
汎用の配線基板300としては、ガラスエポキシ基板(FR4基板)を使用した。まず、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸させて、厚さ100μmの半硬化状態(Bステージ)のプリプレグを用意した。このプリプレグの所定の箇所にレーザーによりビアホールを形成し、このビアホールに上記において調製した導電性ペースト組成物をスクリーン印刷により充填した。充填後、125℃、45分間加熱し、溶剤を揮発させて導電性ペーストを乾燥固化した。
そして、プリプレグの両面に12μmの厚さの銅箔を180℃、5MPa、30分間の熱圧着により貼り付け、これと同時にエポキシ樹脂を完全に硬化した(Cステージ)。次いで、フォトリソグラフ法によって、銅箔に導体パターンを形成して、FR4基板300を作製した。
(多層配線基板200の作製)
上記で得られたボンディングシート100bを1枚、および、FR4基板を2枚用意して、これらを交互に、ビア部の位置が合うように積み重ね、温度230℃、5MPa、30分間、真空プレスすることにより積層して、3層の多層配線基板200を製造した。
<実施例2>
実施例1において導電性ペースト組成物中の導電粉末を95質量部、重合性単量体の混合物を5質量部とした以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作製した。
<実施例3>
実施例1において導電性ペースト組成物中の導電粉末を、Sn−Ag−Cu合金粒子85質量%、Cu粒子15質量%の割合で混合したものとした以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作製した。
<実施例4>
絶縁基材10を構成する材料として、ガラス転移温度が260℃以上の非晶性熱可塑性樹脂として、熱可塑性ポリイミド(三井化学社製、オーラム(登録商標))を使用して、200μm厚のフィルムからなる絶縁基材10を作製した以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作成した。
<実施例5>
絶縁基材10を構成する材料として、液晶転移温度が260℃以上の液晶ポリマーとして、LCPI型を使用して、200μm厚のフィルムからなる絶縁基材10を作製した以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作成した。
<実施例6>
絶縁基材10を構成する材料として、非熱可塑性ポリイミド樹脂として、カプトン(登録商標)(東レ・デュポン社製)を使用して、200μm厚のフィルムからなる絶縁基材10を作製した以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作成した。
<実施例7>
絶縁基材10として、200μm厚の硬化済(Cステージ)のガラスエポキシ基板(FR4基板)を使用した以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作成した。なお、FR4基板からなるボンディングシート100bとしては、ガラスクロスにエポキシ樹脂組成物を含浸させて、厚さ200μmの硬化状態(Cステージ)の基板を用意し、その後、実施例1と同様にして、これにビアホールを形成し、導電性ペースト組成物を充填・乾燥固化したものを使用した。
<実施例8>
絶縁基材10を構成する材料として、付加型ポリイミド樹脂を使用して、200μm厚のフィルムからなる硬化済の絶縁基材10を作製した以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作成した。
<実施例9>
絶縁基材10を構成する材料として、ビスマレイミドトリアジン樹脂として、BTレジン(三菱ガス化学社製)を使用し、200μm厚のフィルムからなる硬化済の絶縁基材10を作製した以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作成した。
<実施例10>
絶縁基材10を構成する材料として、熱硬化ポリフェニレンエーテル樹脂を使用して、200μm厚のフィルムからなる硬化済の絶縁基材10を作製した以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作成した。
<参考例1>
実施例1において、絶縁基材10の厚みを170μm、接着層20aの厚みを35μmとした以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作製した。
<参考例2>
実施例1において導電性ペースト組成物中の導電粉末を98質量部、重合性単量体の混合物を2質量部とした以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、実施例1と同様にしてボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作製した。
<参考例3>
実施例1において導電性ペースト組成物中の導電粉末を89質量部、重合性単量体の混合物を11質量部とした以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、実施例1と同様にしてボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作製した。
<参考例4>
実施例1において導電性ペースト組成物中の導電粉末を、Sn−Ag−Cu合金粒子75質量%、Cu粒子25質量%の割合で混合したものとした以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、実施例1と同様にしてボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作製した。
<参考例5>
実施例1において導電性ペースト組成物中の導電粉末を、Sn−Ag−Cu合金粒子91質量%、Cu粒子9質量%の割合で混合したものとした以外は、実施例1と同様にして、導電性ペースト組成物を調製し、実施例1と同様にしてボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作製した。
<参考例6>
実施例1において、接着層を構成する重合成単量体の混合物を、ジメタリルビスフェノールA25質量%およびビス(4−マレイミドフェニル)メタン75質量%の割合で混合したものとした以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作製した。
<参考例7>
実施例1において、接着層を構成する重合成単量体の混合物を、ジメタリルビスフェノールA75質量%およびビス(4−マレイミドフェニル)メタン25質量%の割合で混合したものとした以外は、実施例1と同様にして、ボンディングシート100bおよび多層配線基板200を作製した。
<評価方法>
上記で作製した多層配線基板200に対して、以下の評価を行った。それぞれの評価結果を表1に示す。
(ビア断面の外観)
得られた多層配線基板のビア部について、断面SEM観察を行い、以下の基準により評価した。
○:金属粒子が見あたらない。充填欠陥がない。(金属拡散接合が起こっている。)
×:金属粒子が確認できる。または、金属粒子は見あたらないが充填欠陥が存在する。
(吸湿耐熱性)
得られた多層配線基板を、125℃で4時間乾燥する。そして、30℃、湿度85%の恒温恒湿槽に96時間おいて、その後、ピーク温度250℃のリフロー炉で加熱する処理を二度繰り返した。得られた多層配線基板を以下の基準により評価した。
○:基板間の積層界面に剥がれがなく、ビアホール中に膨れが生じていない。
×:基板間の積層界面に剥がれ生じ、および/または、ビアホール中に膨れが生じた。
(試験前抵抗値)
得られた多層配線基板の最上層から最下層まで配線が施されたテストパターン部において、以下の基準により評価した。
○:抵抗値が1×10−4Ωcm未満
×:抵抗値が1×10−5Ωcm以上
(接続信頼性)
上記の吸湿耐熱性における処理を施した多層配線基板に対して、以下の二つの接続信頼性試験を行った。
・耐マイグレーション試験
85℃、湿度85%の恒温恒湿槽中において、DC50Vを240時間印可した。得られた多層配線基板を以下の基準により評価した。なお、「マイグレーション」とは、例えば、銅からなる導体パターン間において、CuOが形成され、ショートしてしまう現象をいう。
○:絶縁抵抗値が低下しなかった。
×:絶縁抵抗値が低下した。
・熱衝撃試験
−25℃において9分、125℃において9分というサイクルを1000回繰り返した。
得られた多層配線基板を以下の基準により評価した。なお、抵抗変化率は、「|試験前抵抗値−試験後抵抗値|/試験前抵抗値」×100(%)で表される値である。
○:抵抗変化率が、常温時および恒温時(25℃)ともに、20%未満である。
×:抵抗変化率が、常温時あるいは恒温時(25℃)のいずれかにおいて、20%以上である。
(導体接着強度)
多層配線基板上に表出した導体パターン部に針金を半田付けし、この針金を上に引き上げ、導体パターン部を剥がした時の強度を測定した。
○:強度が1N/mm以上であった。
×:強度が1N/mm未満であった。
<評価結果>
Figure 0004959966
実施例1〜10においては、本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシートを用いた多層配線基板は、すべての評価項目において良好な結果を示した。これに対して、参考例1においては、接着層20aが基材層10に比べて厚すぎるため、汎用の配線基板300との積層時において、接着層を形成する樹脂が流出しビアホール中に流れこんでしまったり、金属粒子がビアホール中から流出して、ビアホール中の導電性ペースト組成物に十分な圧力がかからず、金属拡散接合を生じさせることができなかったりした。これにより、吸湿耐熱性以外の項目において、劣った結果を示した。
参考例2においては、導電性ペースト組成物中のバインダー成分の量が少ないため、ビア断面の外観、吸湿耐熱性、試験前抵抗値、および導体接着強度において劣った結果を示した。バインダー成分が少なく、ビア穴へのスクリーン印刷適性が悪く、ビア欠陥が多数発生し、また、金属拡散接合を促進する効果が少なかったためであると考えられる。
参考例3においては、導電性ペースト組成物中のバインダー成分の量が多すぎるため、試験前抵抗値、導体接着強度において劣った結果を示した。バインダー成分量が多すぎるため、金属拡散接合が十分に生じなかったためであると考えられる。
参考例4においては、導電性ペースト組成物中の導電粉末における、第1の合金粒子の割合が少ないため、ビア断面の外観、耐マイグレーション試験において、劣った結果を示した。第1の合金粒子は耐マイグレーション性が強く、この割合が少なくなって、第2の金属粒子のイオンマイグレーションが発生し易くなったためであると考えられる。
参考例5においては、導電性ペースト組成物中の導電粉末における、第1の合金粒子の割合が多いため、試験前抵抗値において、劣った結果を示した。第1の合金粒子は、第2の金属粒子と比較すると抵抗値が高く、これにより多層配線基板の抵抗値が高くなったと考えられる。
参考例6においては、接着層20aを構成するアルケニルフェノール化合物の量が少なすぎるため、形成される接着層20bが脆くなって、導体接着強度が劣っていた。
参考例7においては、接着層20aを構成するマレイミド類の量が少なすぎるため、形成される接着層20bが脆くなって、導体接着強度が劣っていた。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う多層配線基板用層間接続ボンディングシートもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の多層配線基板用層間接続ボンディングシート100aを用いた多層配線基板200の製造方法の概要を示した図である。 バインダー成分の弾性率が、温度による変化する様子を示した図である。 接着層20の形成方法の概略を示した説明図である。 絶縁基材10を構成する特定の熱可塑性樹脂組成物の弾性率が、温度により変化する様子を示した図である。 汎用の配線基板300およびボンディングシート100bを熱圧着することにより多層配線基板200を製造するための積層治具50の概念図である。
符号の説明
10 樹脂組成物からなる絶縁基材
20a 接着層(硬化前)
20b 接着層(硬化後)
40 導電性ペースト組成物
50 導体パターン
60 剥離性フィルム
100a、100b 多層配線基板用層間接続ボンディングシート
200 多層配線基板
300 汎用の配線基板
50 積層治具
51 クッションフィルム
52 押圧治具

Claims (6)

  1. シートを貫通するビアホールを有し、配線基板同士を接続するためのシートであって、
    樹脂組成物からなる絶縁基材の面にアルケニルフェノール化合物およびマレイミド類の混合物からなる接着層が積層されており、該接着層の厚みが、該絶縁基材の厚みの1/5未満であ
    前記樹脂組成物からなる絶縁基材が、結晶融解ピーク温度が260℃以上の結晶性熱可塑性樹脂、ガラス転移温度が260℃以上の非晶性熱可塑性樹脂、液晶転移温度が260℃以上の液晶ポリマー、ガラス転移温度が300℃以上の非熱可塑性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、付加型ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、または、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂のいずれかからなる樹脂組成物からなる絶縁基材であり
    前記ビアホールに導電性ペースト組成物が充填されてなる、多層配線基板用層間接続ボンディングシート。
  2. 前記アルケニルフェノール化合物および前記マレイミド類の混合割合が、モル比で30/70以上70/30未満である、請求項1に記載の多層配線基板用層間接続ボンディングシート。
  3. 前記接着層が、室温で固化しており、40℃以上100℃未満に融点を有し、
    前記アルケニルフェノール化合物および前記マレイミド類が、120℃以上でene付加反応により線状の重合体となり、200℃以上でDiels−Alder反応により架橋物となり、該付加反応および該架橋反応により得られた層が300℃以上のガラス転移温度を有する、請求項1または2に記載の多層配線基板用層間接続ボンディングシート。
  4. 前記アルケニルフェノール化合物がジメタリルビスフェノールAで、前記マレイミド類がビス(4−マレイミドフェニル)メタンである、請求項1〜3のいずれかに記載の多層配線基板用層間接続ボンディングシート。
  5. 前記樹脂組成物からなる絶縁基材が、ガラス繊維にエポキシ樹脂からなる樹脂組成物を含浸させて硬化させたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の多層配線基板用層間接続ボンディングシート。
  6. 前記導電性ペースト組成物が、導電粉末と、バインダー成分とを含み、該導電粉末および該バインダー成分の質量比が、90/10以上98/2未満であり、
    前記導電粉末が、第1の合金粒子と第2の金属粒子とからなり、
    前記第1の合金粒子が、180℃以上260℃未満の融点を有する非鉛半田粒子であり、前記第2の金属粒子が、Au,Ag,Cuからなる群から選ばれる少なくとも一種以上であり、前記第1の合金粒子と前記第2の金属粒子との質量比が、76/24以上90/10未満であり、
    前記バインダー成分が、加熱により硬化する重合性単量体の混合物であり、前記非鉛半田粒子の融点が、前記バインダー成分の硬化温度範囲に含まれている、
    請求項1〜5のいずれかに記載の多層配線基板用層間接続ボンディングシート。
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