JP3922977B2 - 半導体装置内蔵多層配線基板 - Google Patents

半導体装置内蔵多層配線基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置内蔵多層配線基板に関し、特に、半導体装置を搭載した配線基材を含む複数の配線基材を積層してなる高密度かつ超小型の3次元実装モジュールに用いて好適な半導体装置内蔵多層配線基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プリント積層板やセラミック積層板等の基板上に、抵抗、キャパシタなどの受動部品の他に、小型半導体パッケージ、半導体ベアチップ、FBGA(fine pitch ball grid array)等の小型能動部品を実装することにより、基板における部品の実装密度を向上させ、電子装置の小型化、軽量化、薄型化を図った表面実装法が実用化されている。この表面実装法は、各部品の大きさを小型化しようとするものである。
また、部品の実装密度をさらに向上させるために、半導体装置を3次元的に積み上げる3次元実装技術を用いた3次元実装モジュールも開発されている。この3次元実装モジュールは、上述した表面実装法によっても配置しきれない部品、とりわけ、部品サイズの大きい半導体装置を立体的に配置し、あるいは、基板内部に入れ込んで、実装密度を高めようとするものである。
【0003】
上記の3次元実装技術は、機器の小型化だけではなく、コンピュータや通信機器などの高速化にも寄与する技術として、最近特に注目されている技術である。
例えば、通信機器においては、今後、撮像素子を用いた動画通信機能、Bluetoothのインターフェース機能、GPS機能等が搭載されることが見込まれており、部品点数の増加をともなう多機能化が積極的に押し進められ、実装技術の高密度化を牽引していくものである。特に、小型半導体装置である半導体チップを3次元的に積層して配線すれば、配線長を短くすることができ、高速信号を伝送することができるようにもなるために、3次元実装技術の採用は不可欠である。
【0004】
3次元実装技術には、大きく分けて2種類の技術がある。
一つはプリント配線基板上や内部に部品を積層する3次元実装モジュール等についての技術であるが、3次元実装モジュール等を採用する機器メーカが専用実装機の研究開発を進める必要があることから、殆ど普及していない。
もう一つはパッケージ内で半導体チップを積層する3次元実装パッケージについての技術であり、3次元実装パッケージ等を製造する電気メーカーにとっては、半導体チップの種類や個数、積層する配線基板の枚数が他社との差別化要因になることと、同一の形状であっても、多種多様の機能を発揮することができることのために、LSIメーカーが開発に本腰を入れ始めている。
【0005】
この3次元実装パッケージは、耐熱性樹脂からなる絶縁基板に導体配線を形成することにより複数種の配線基板を作製し、これらの配線基板のうち1つ以上に半導体チップを搭載して半導体チップ搭載配線基板とし、これらの配線基板を積層し、熱圧着により融着一体化することで作製される。
積層及び融着一体化は、ヒータ内蔵の積層治具を用いて行われ、融着の温度は、耐熱性樹脂のガラス転移温度以上とされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の3次元実装パッケージは、半導体チップを搭載した基板を含む複数の配線基板を積層し、熱圧着により融着一体化したものであるから、この熱融着過程において半導体チップに直接加わる応力や、半導体チップと配線基板との熱膨張率の差に起因する熱的ストレスにより、半導体チップや配線基板と半導体チップとの間に変形や配線歪が生じ、配線不良や寸法のずれ等の不具合が生じる虞があるという問題点があった。
【0007】
この変形や配線歪は、高密度かつ超小型の3次元実装モジュールにおいて必須とされる配線ピッチのファイン化にとって無視できない大きな問題となる。
さらに、この歪みや変形により、半導体チップや配線基板の初期特性が不安定になったり、特性の経時変化が大きくなり信頼性が低下する等の不具合が生じる虞があった。
また、熱圧着により融着一体化した後に、融着条件(温度、圧力)によっては、半導体チップと配線基板との間への樹脂の回り込みが不十分なためにボイドが形成され、このボイドに吸湿により水が溜まり、後のリフロー工程で膨れが生じ、吸湿リフロー耐熱性が低下するという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、半導体チップを搭載した基板を含む複数の配線基板を積層し融着一体化する際に、半導体チップや配線基板と半導体チップとの間に歪みや変形が生じる虞がなく、したがって、配線不良や寸法のずれ等の不具合が生じる虞がなく、また、ボイドの形成が無く、吸湿リフロー耐熱性が向上し、したがって、高密度かつ超小型の3次元実装モジュールにおける配線ピッチのファイン化が実現可能となり、その結果、半導体チップや配線基板の初期特性及び動作特性の安定性及び信頼性の向上が可能な半導体装置内蔵多層配線基板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、半導体チップを搭載した基板を含む複数の配線基板を積層し、融着一体化する際に、半導体チップと隣接する配線基板との間に保護層を設ければ、この保護層が応力や熱膨張率の差による熱的ストレスを吸収し、半導体チップや配線基板と半導体チップとの間に歪みや変形が生じる虞がなくなり、配線不良や寸法のずれ等の不具合が生じる虞がなくなり、また、ボイドが発生する虞がなく、吸湿リフロー耐熱性の向上に繋がると考え、本発明に至った。
【0010】
すなわち、本発明の半導体装置内蔵多層配線基板は、第1の熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材に導体配線が形成された配線基材が複数、積層され、これら複数の配線基材のうち、1つまたは2つ以上の配線基材に半導体装置が搭載され、これらの配線基材同士が熱融着により一体化されてなる半導体装置内蔵多層配線基板において、前記半導体装置と、該半導体装置に隣接して配置される配線基材との間には、第2の熱可塑性樹脂組成物からなる保護層が形成され、前記保護層の熱融着温度における弾性率は、前記絶縁基材の熱融着温度における弾性率より小さいことを特徴とする。
【0011】
この半導体装置内蔵多層配線基板では、半導体装置と、この半導体装置に隣接して配置される配線基材との間に、第2の熱可塑性樹脂組成物からなる保護層を形成したことにより、この保護層が応力や熱膨張率の差による熱的ストレスを吸収し、半導体チップや配線基材と半導体チップとの間の歪みや変形を防止する。これにより、この歪みや変形に起因する配線不良や寸法のずれ等の不具合を防止することが可能になり、高精度かつ高精細な導体配線が可能になる。
また、前記保護層を形成したことにより、ボイドの形成が無く、吸湿リフロー耐熱性が向上する。
これにより、電気的特性及び信頼性に優れた半導体装置内蔵多層配線基板を提供することが可能になる。
【0012】
また、第2の熱可塑性樹脂組成物の種類を適宜選択することで保護層の多様化が可能になるので、耐湿性等、要求される様々な仕様に対しても対応が可能になる。
また、様々な仕様の第1及び第2の熱可塑性樹脂組成物を選択使用することで、様々な配線基材、様々な導体配線への対応が可能になり、少量多品種の製造形態に容易に適用可能である。
【0013】
前記半導体装置が搭載された配線基材に隣接して配置される配線基材には、前記半導体装置を収納する開口が形成されていることが望ましい。
また、前記半導体装置と前記開口との間には、前記第2の熱可塑性樹脂組成物からなる保護層が形成されていることが望ましい。
【0014】
また、前記第2の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性フィルム、熱可塑性シート、熱可塑性接着剤、熱可塑性ペーストのいずれか1種であることが望ましい。
また、前記第1の熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解温度が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂、ガラス転移温度が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂、液晶転移温度が260℃以上である液晶ポリマーから選択された1種を含有し、前記第2の熱可塑性樹脂組成物は、非晶性熱可塑性樹脂を含有してなることが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体装置内蔵多層配線基板の各実施の形態について説明する。
【0020】
「第1の実施形態」
図1は本発明の第1の実施形態のICチップ(半導体装置)内蔵多層配線基板を示す断面図であり、図において、符号1は最上層基材(最上層の配線基材)、2は穴空き(開口)内層基材(配線基材)、3はICチップ(半導体装置)搭載内層基材(配線基材)、4は穴空き(開口)内層基材(配線基材)、5はICチップ(半導体装置)搭載内層基材(配線基材)、6は例えばベアチップタイプのICチップ(半導体装置)、7はICチップ6の上面及び側面を覆うように形成された保護層である。
【0021】
最上層基材1は、通常100μm以下の厚みのフィルム、薄板状またはシート状のもので、第1の熱可塑性樹脂組成物からなる薄板状、フィルム状あるいはシート状の絶縁基材11であり、この絶縁基材11の表面及び裏面は平坦化されている。
この絶縁基材11は、熱融着温度における弾性率が10MPa〜100MPaの第1の熱可塑性樹脂組成物により構成されている。
【0022】
この第1の熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解温度(Tm)が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂、ガラス転移温度(Tg)が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂、液晶転移温度(Tl)が260℃以上である液晶ポリマーから選択された1種を含有している。
【0023】
例えば、結晶融解温度が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Tg=145℃、Tm=335℃)、ポリエーテルケトン(PEK:Tg=165℃、Tm=355℃)等のポリアリールケトン(PAr)、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Tg=100℃、Tm=280℃)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS:Tg=100℃、Tm=265℃)、ポリエチレンテレフタレート(PET:Tg=80℃、Tm=265℃)等が好適に用いられる。
【0024】
この結晶性熱可塑性樹脂は単一で用いてもよく、複数の結晶性熱可塑性樹脂を混合した混合樹脂組成物を用いてもよい。また、この結晶性熱可塑性樹脂にポリエーテルイミド(PEI)等の非晶性熱可塑性樹脂を混合した混合樹脂組成物を用いてもよい。
この混合樹脂組成物としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(PEEK/PEI:Tg=180℃、Tm=335℃)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(PPS/PEI:Tg=150℃、Tm=280℃)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)を40重量%、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)を60重量%含む樹脂組成物(SPS/変性PPE:Tg=120℃、Tm=265℃)等が好適に用いられる。
【0025】
また、ガラス転移温度が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂としては、ポリアミドイミド(PAI:Tg=280℃)等が好適に用いられる。
また、液晶転移温度が260℃以上である液晶ポリマーとしては、全芳香族ポリエステル(PE:Tl=330℃)等が好適に用いられる。
【0026】
穴空き内層基材2は、上述した最上層基材1と全く同様の形状の第1の熱可塑性樹脂組成物からなる薄板状、フィルム状あるいはシート状の絶縁基材11に、この絶縁基材11を貫通するバイアホール12が形成され、このバイアホール12に導電性ペーストを硬化してなる導電材13が充填され、さらに、この絶縁基材11の所定位置にはICチップ6を収納するために、このICチップ6より広い面積の開口14が形成されている。この開口14の大きさは、収納されるICチップ6の大きさに対して最適な大きさに設定される。
【0027】
ICチップ搭載内層基材3は、上述した最上層基材1と全く同様の形状の第1の熱可塑性樹脂組成物からなる薄板状、フィルム状あるいはシート状の絶縁基材11の一方の面(この図では上側)に、配線回路形成用の溝部17が形成されるとともに、絶縁基材11を貫通するバイアホール12が形成され、この溝部17及びバイアホール12には導電性ペーストを硬化してなる導電材13が充填され、さらに、この絶縁基材11上にICチップ6が搭載され、このICチップ6の端子18は導電材13により構成される配線回路に電気的に接続されている。
【0028】
そして、ICチップ搭載内層基材3に搭載されるICチップ6の周囲、すなわちその上面と、このICチップ6に対向配置された最上層基材1との間、及びこのICチップ6の側面と穴空き内層基材2の開口14との間には、第2の熱可塑性樹脂組成物からなる保護層7が形成されている。
この保護層7は、弾性率が絶縁基材11より小さい第2の熱可塑性樹脂組成物により構成され、その弾性率は、例えば、絶縁基材11の熱融着温度において10MPa未満である。
【0029】
この第2の熱可塑性樹脂組成物は、非晶性熱可塑性樹脂を主成分とする樹脂であり、例えば、ポリスルホン(PSF:Tg=190℃)、ポリアリレート(PAr:Tg=175℃)、ポリエーテルスルホン(PES:Tg=230℃)、ポリエーテルイミド(PEI:Tg=216℃)、ポリカーボネート(PC:Tg=150℃)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE:Tg=145℃)等が好適に用いられる。
【0030】
この第2の熱可塑性樹脂組成物は、ICチップ6の絶縁性を確保するためにも絶縁性を有するものが好ましいが、例えば、ICチップ6の絶縁性が充分確保されており、熱圧着する際の応力や熱膨張率の差に起因する熱的ストレスを吸収するのが主たる目的である場合には、特に絶縁性樹脂に限定する必要はない。
この第2の熱可塑性樹脂組成物の形状は、フィルム状、シート状、あるいは薄板状等、用途や要求される仕様等により、最適な形状のものが適宜選択され、使用される。
【0031】
穴空き内層基材4は、上述した穴空き内層基材2と全く同様の構成であり、開口14の大きさ及び形状は、収納されるICチップ6の大きさ及び形状により適宜変更可能である。
ICチップ搭載内層基材5は、上述したICチップ搭載内層基材3と全く同様の構成であり、搭載されるICチップ6は、要求される仕様等により、その特性等が適宜変更可能である。
【0032】
そして、このICチップ搭載内層基材5においても、ICチップ搭載内層基材3と全く同様に、ICチップ搭載内層基材5に搭載されるICチップ6の上面と、このICチップ6に対向配置されたICチップ搭載内層基材3との間、及びこのICチップ6の側面と穴空き内層基材4の開口14との間には、第2の熱可塑性樹脂組成物からなる保護層7が形成されている。
【0033】
これら最上層基材1〜ICチップ搭載内層基材5は、この順に積層されて熱圧着により接着一体化され、これら基材1〜5各々の配線回路及び各基材1〜5間を電気的に接続する配線は、導電性ペーストを硬化してなる導電材13により構成されている。
【0034】
ここで、上記の第1の熱可塑性樹脂組成物は、この第1の熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、無機充填材を20重量部以上かつ50重量部以下混合してもよい。
無機充填材としては、特に制限はなく、公知のいかなるものも使用できる。例えば、シリカ、タルク、マイカ、雲母、ガラスフレーク、窒化ホウ素(BN)、板状炭カル、板状水酸化アルミニウム、板状シリカ、板状チタン酸カリウム等が挙げられる。これらは1種類を単独で添加してもよく、2種類以上を組合せて添加してもよい。特に、平均粒径が15μm以下、アスペクト比(粒径/厚み)が30以上の鱗片状の無機充填材が、平面方向と厚み方向の線膨張係数比を低く抑えることができ、熱衝撃サイクル試験時の基板内のクラック発生を抑制することができるので、好ましい。
【0035】
この無機充填材の添加量は、熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して20重量部以上かつ50重量部以下が好ましい。50重量部を超えると、無機充填材の分散不良の問題が発生し、線膨張係数がばらつき易くなるからであり、また、20重量部未満では、熱成形に用いるガラススタンパーと絶縁基材11の線膨張係数の差により、絶縁基材11に寸法収縮が発生するからであり、さらに、線膨張係数を低下させて寸法安定性を向上させる効果が小さく、リフロー工程において線膨張係数差に起因する内部応力が発生し、基板にそりやねじれが発生するからである。
【0036】
上記の第1の熱可塑性樹脂組成物に対しては、その性質を損なわない程度に、他の樹脂や無機充填材以外の各種添加剤、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、着色剤、滑剤、難燃剤等を適宜添加してもよい。
また、第2の熱可塑性樹脂組成物に対しても、基本条件を満足すれば無機充填材等を適宜添加してもよい。
上記の導電材13は、導電性ペーストを加熱し硬化させたもので、導電性ペーストとしては、樹脂系低温焼成タイプの銀(Ag)ペースト、銀(Ag)−パラジウム(Pd)ペースト、銅(Cu)ペースト、金属系低温焼成タイプの銀(Ag)−スズ(Sn)ペースト等が好適に用いられる。
【0037】
次に、本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法について図2〜図5に基づき説明する。
ここでは、まず、個々の配線基材の製造方法について説明し、次いで、これらの配線基材を用いたICチップ内蔵多層配線基板の製造方法について説明する。
【0038】
(1)最上層基材及び穴空き内層基材の製造方法
まず、図2(a)に示すように、第1の熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材21を用意する。この第1の熱可塑性樹脂組成物としては、結晶融解温度(Tm)が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂、ガラス転移温度(Tg)が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂、液晶転移温度(Tl)が260℃以上である液晶ポリマー等が好適に用いられる。
【0039】
上記の結晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、結晶融解温度(Tm)が260℃以上であるポリアリールケトン(PAr)とポリエーテルイミド(PEI)を主成分とする熱可塑性樹脂が好ましく、特に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(PEEK/PEI)が好ましい。
【0040】
この絶縁基材21は、フィルム状、薄板状またはシート状で提供される。成形方法としては、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法、あるいはカレンダー法等を採用することができ、特に限定されるものではないが、シートの製膜性や安定生産性等の面から、Tダイを用いる押出キャスト法が好ましい。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、例えば、結晶融解ピーク温度が260℃以上であるポリアリールケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂の場合、概ね結晶融解ピーク温度が430℃以下である。
この絶縁基材21は、そのままの形態で最上層基材22として用いることができる。
【0041】
次いで、図2(b)に示すように、絶縁基材21の所定位置に、レーザもしくは機械ドリル等を用いて絶縁基材21を貫通する貫通孔23を形成し、バイアホール12とする。
次いで、図2(c)に示すように、スキージ印刷等によりバイアホール12内に導電性ペースト24を充填し、その後、この導電性ペースト24を120℃〜160℃で、30分〜60分加熱して硬化させ、導電材13とする。
【0042】
次いで、図2(d)に示すように、図示しない研磨機を用いて絶縁基材21上に残っている導電材13を研削して除去するとともに、絶縁基材21の表面を平坦化する。
次いで、図2(e)に示すように、図示しない打ち抜き用の成型機を用いて、この絶縁基材21の所定箇所にICチップ収納用の開口14を打ち抜き、穴空き内層基材25を得る。
【0043】
(2)ICチップ搭載内層基材の製造方法
まず、図3(a)に示すように、上述した最外層基材22及び穴空き内層基材25と同様に、第1の熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材21を用意し、この絶縁基材21の表面(一方の面)に、スタンパ31の凸部32を熱転写する。この熱転写の条件は、例えば、温度:175〜205℃、圧力:20〜60kg/cmである。
この熱転写により、図3(b)に示すように、絶縁基材21の表面に配線回路形成用溝部17が形成される。
【0044】
スタンパ31は、絶縁基材21に対して離型性の良好な材質、例えば、ガラス、セラミックス等により構成されたもので、特に、3〜5mmの厚みの耐熱ガラスが好適に用いられる。このスタンパ31は、耐熱ガラス板上にフォトリソグラフ法を用いてレジストマスクを形成し、その後、このレジストマスクを用いてサンドブラスト法により配線回路パターンに対応する凸部32を形成することにより作製される。
【0045】
次いで、絶縁基材21の所定位置に、レーザもしくは機械ドリル等を用いて絶縁基材21を貫通する貫通孔33を形成し、バイアホール12とする。このバイアホール12は、スタンパにより配線回路形成用溝部17と同時に成形しても構わない。
【0046】
次いで、図3(c)に示すように、スキージ印刷等により配線回路形成用溝部17及びバイアホール12内に導電性ペースト34を充填し、その後、この導電性ペースト34を120℃〜160℃で、30分〜60分加熱して硬化させ、導電材13とする。
次いで、図3(d)に示すように、図示しない研磨機を用いて絶縁基材21上に残っている導電材13を研削して除去するとともに、絶縁基材21の表面を平坦化する。
【0047】
次いで、図3(e)に示すように、絶縁基材21上の所定位置にICチップ6を配置し、このICチップ6上にヒーター内蔵の熱圧着治具35を載置し、この熱圧着治具35を押下させることにより、ICチップ6を絶縁基材21に熱圧着する。熱圧着は、例えば、温度:180〜200℃、圧力:10〜100kg/cmの条件で行う。
【0048】
この熱圧着により、図3(f)に示すように、ICチップ6の端子18が絶縁基材21の導電材13、すなわち導電回路に電気的に接続されるとともに、ICチップ6と絶縁基材21とが一体化されたICチップ搭載内層基材36を得ることができる。また、導電材13のパターン、すなわち導電回路のパターンが異なる絶縁基材21を用いれば、上記と配線回路の異なるICチップ搭載内層基材を得ることができる。
【0049】
(3)ICチップ内蔵多層配線基板の製造方法
まず、図4に示すように、ヒーター内蔵の積層治具41内に、弾性及び離型性を有するクッションフィルム42、ICチップ搭載内層基材36、非晶性の第2の熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性フィルム43、穴空き内層基材25、ICチップ搭載内層基材36、非晶性の第2の熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性フィルム43、穴空き内層基材25、最上層基材22、弾性及び離型性を有するクッションフィルム42をこの順に重ねる。
【0050】
ここでは、熱可塑性フィルム43は、絶縁性を有するもので、ICチップ搭載内層基材36に搭載されるICチップ6の上面全体の面積より広く、かつ、熱融着された際においては、ICチップ6の上面と、このICチップ6に対向配置されたICチップ搭載内層基材36との間、及びこのICチップ6の側面と穴空き内層基材25の開口14との間を充分に充填できるように、その面積及び厚み、すなわち重量が決定される。
【0051】
この熱可塑性フィルム43は、ICチップ6及び絶縁基材21と融着し易く、絶縁基材21のガラス転移温度(Tg)以下で絶縁基材21より弾性率が低く、かつ熱圧着温度において絶縁基材21より弾性率が低く十分に流動化してICチップ6の周囲を覆うものが好ましい。
この熱可塑性フィルム43は、絶縁性を有するものが好ましいが、ICチップ6の絶縁性が充分確保されている場合には、特に絶縁性フィルムに限定する必要はない。
【0052】
この熱可塑性フィルム43として、特に好ましいものは、ポリエーテルイミド(PEI:Tg=216℃)、ポリカーボネート(PC:Tg=150℃)等である。これらの樹脂組成物は、絶縁基材21にポリアリールケトン(PAr)とポリエーテルイミド(PEI)を主成分とする熱可塑性樹脂を用いた場合、より具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(PEEK/PEI:Tg=180℃、Tm=335℃)を用いた場合において好適である。
【0053】
次いで、押圧治具44を押下させかつ加熱することにより、これらICチップ搭載内層基材36〜最上層基材22に熱圧着を施す。
この場合の熱圧着は、絶縁基材21を構成する第1の熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)以上かつ結晶融解温度(Tm)未満で行うと効果的である。
この熱圧着の条件の一例を挙げると、温度:220〜300℃、圧力:10〜60kg/cmである。
【0054】
ここで、絶縁基材21のガラス転移温度(Tg)及び結晶融解温度(Tm)は、示差走査熱量(DSC)を測定することで分かる。これらの温度は、例えば、加熱速度10℃/分で昇温したときに得られるDSCのプロファイルより求めることができる。
例えば、結晶融解温度(Tm)が260℃以上であるポリアリールケトンとポリエーテルイミドを主成分とする熱可塑性樹脂、より具体的には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む樹脂組成物(PEEK/PEI)の場合、ガラス転移温度(Tg)は180℃、結晶融解温度(Tm)は335℃である。
【0055】
図5は、絶縁基材21及び熱可塑性フィルム43の弾性率温度依存性を示す図であり、図中、Aは熱可塑性フィルム43の主成分であるポリカーボネート(PC)フィルム、Bは熱可塑性フィルム43の主成分であるポリエーテルイミド(PEI)フィルム、Cは絶縁基材21の主成分であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む非晶性の熱可塑性樹脂、Dは結晶性の熱可塑性樹脂であり、この熱可塑性樹脂(D)は上記の非晶性の熱可塑性樹脂(C)を240℃で熱融着させた後のものである。
【0056】
上記のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を40重量%、ポリエーテルイミド(PEI)を60重量%含む非晶性の熱可塑性樹脂は、熱圧着を施す前は非晶性であるが、熱圧着を施すことにより結晶化する。
図5によれば、ICチップ搭載内層基材36〜最上層基材22に熱圧着を施した場合、絶縁基材21が軟化する前に熱可塑性フィルム43が軟化し流動化することが分かる。
【0057】
この熱圧着の初期の過程で、軟化した熱可塑性フィルム43は、上下方向から加わる圧力及び加熱により流動化することにより、ICチップ6の側面と穴空き内層基材25の開口14との間に向かって流動し隙間を満たす。
熱圧着が更に進行すると、この熱可塑性フィルム43は硬化してICチップ6の上面及び側面を覆う保護層7になるとともに、ICチップ搭載内層基材36〜最上層基材22各々の絶縁基材21同士も熱融着により相互に融着することとなる。したがって、これらICチップ搭載内層基材36〜最上層基材22は、熱融着により相互に接合され、一体化される。
以上により、ICチップ6の上面及び側面が保護層7により覆われたICチップ内蔵多層配線基板を作製することができる。
【0058】
ここでは、積層治具41内でICチップ搭載内層基材36の上に熱可塑性フィルム43を重ね合わせ、その後熱圧着を施すことで一体化したが、熱可塑性フィルム43を、予め、ICチップ搭載内層基材36のICチップ6の上面に、例えば、熱可塑性フィルム43のガラス転移温度(Tg)より高い温度で熱処理を施して仮融着させ、熱可塑性フィルム付きICチップ搭載内層基材としてもよい。
【0059】
本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板によれば、ICチップ搭載内層基材3に搭載されるICチップ6の上面及び側面が第2の熱可塑性樹脂組成物からなる保護層7により覆われているので、この保護層7が応力や熱膨張率の差による熱的ストレスを吸収し、半導体チップ6や内層基材36と半導体チップ6との間の歪みや変形を防止し、これらに起因する配線不良や寸法のずれ等の不具合を防止することができる。
【0060】
また、ICチップ6の周囲を覆うように保護層7を形成したので、ボイドの形成が無く、吸湿リフロー耐熱性を向上させることができる。
また、この保護層7の有する封止機能により、ICチップ6の耐湿性等の耐環境性を向上させることができる。
したがって、高精度かつ高精細の導体配線を形成することができ、電気的特性及び信頼性に優れた半導体装置内蔵多層配線基板を提供することができる。
【0061】
本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法によれば、ICチップ搭載内層基材36、熱可塑性フィルム43、穴空き内層基材25、ICチップ搭載内層基材36、熱可塑性フィルム43、穴空き内層基材25、最上層基材22をこの順に重ね、これらICチップ搭載内層基材36〜最上層基材22に熱圧着を施し、熱融着により相互に接合し一体化するので、熱可塑性フィルム43が熱圧着過程において生じる応力や熱膨張率の差による熱的ストレスを吸収し、配線不良や寸法のずれ等の不具合が生じるのを防止することができる。
したがって、高精度かつ高精細な導体配線を有する半導体装置内蔵型の多層配線基板を容易に作製することができ、その結果、電気的特性及び信頼性に優れた半導体装置内蔵多層配線基板を容易に得ることができる。
【0062】
「第2の実施形態」
図6は本発明の第2の実施形態のICチップ(半導体装置)内蔵多層配線基板を示す断面図である。
本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板が上述した第1の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板と異なる点は、ICチップ搭載内層基材3、5に搭載されるICチップ6の上面のみに保護層51が形成され、この保護層51が熱可塑性接着剤52を用いて作製された点である。
【0063】
この保護層51は、弾性率が絶縁基材11より小さい第2の熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性接着剤が熱圧着により融着したもので、その弾性率は、例えば、絶縁基材11の熱融着温度において10MPa未満である。
この熱可塑性接着剤としては、例えば、ガラス転移温度が200℃のポリイミドシロキサン(PIS)系接着剤の他、ガラス転移温度が41℃のポリエチレンオキサイド(PEO)系接着剤等が好適に用いられる。
【0064】
次に、このICチップ内蔵多層配線基板の製造方法について、図7に基づき説明する。
まず、第1の実施形態の製造方法にて用いたICチップ搭載内層基材36のICチップ6の上面に、上述した熱可塑性接着剤52を塗布し、180℃にて30分乾燥することで内部に含まれる、例えば、テトラヒドロフラン等のエーテル系低沸点溶媒を除去し、ICチップ搭載内層基材53とする。
【0065】
次いで、ヒーター内蔵の積層治具41内に、クッションフィルム42、ICチップ搭載内層基材53、穴空き内層基材25、ICチップ搭載内層基材53、穴空き内層基材25、最上層基材22、クッションフィルム42をこの順に重ねる。
次いで、押圧治具44を押下させかつ加熱することにより、これらICチップ搭載内層基材53〜最上層基材22に熱圧着を施す。
この場合の熱圧着の条件は、例えば、温度:220〜300℃、圧力:10〜60kg/cmである。
【0066】
この熱圧着の過程で、熱可塑性接着剤52は、上下方向から加わる圧力及び加熱により硬化し、ICチップ6の上面を覆う保護層51になるとともに、ICチップ搭載内層基材53〜最上層基材22各々の絶縁基材21同士も熱融着により相互に融着することとなる。したがって、これらICチップ搭載内層基材53〜最上層基材22は、熱融着により相互に接合され、一体化される。
以上により、ICチップ6の上面が保護層51により覆われたICチップ内蔵多層配線基板を作製することができる。
【0067】
なお、熱可塑性接着剤52は、図8に示すように、ICチップ6と対向する最上層基材22の下面、及びICチップ6と対向するICチップ搭載内層基材36の下面に塗布することとしてもよい。
この場合においても、ICチップ6の上面が保護層51により覆われたICチップ内蔵多層配線基板を作製することができる。
【0068】
本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板においても、上述した第1の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板と全く同様の作用・効果を奏することができる。
しかも、熱可塑性接着剤52を熱圧着により硬化させて保護層51としたので、熱圧着工程でアウトガスが発生する虞が無く、このアウトガスに起因する膨潤等の不具合が発生する虞が無い。
【0069】
「第3の実施形態」
図9は本発明の第3の実施形態のICチップ(半導体装置)内蔵多層配線基板を示す断面図である。
本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板が上述した第1及び第2の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板と異なる点は、上面のみに導電材13が形成されたICチップ搭載内層基材61のICチップ6の周囲に形成される保護層71が熱可塑性絶縁ペーストを用いて作製された点である。
【0070】
この保護層71は、弾性率が絶縁基材11より小さい第2の熱可塑性樹脂組成物からなる熱可塑性絶縁ペーストが熱圧着により融着したもので、その弾性率は、例えば、絶縁基材11の熱融着温度において10MPa未満である。
この熱可塑性絶縁ペーストとしては、例えば、ガラス転移温度が200℃のポリイミドシロキサン(PIS)系熱可塑性樹脂を主成分とする絶縁ペーストの他、ガラス転移温度が41℃のポリエチレンオキサイド(PEO)系熱可塑性樹脂を主成分とする絶縁ペースト等が好適に用いられる。
【0071】
次に、このICチップ内蔵多層配線基板の製造方法について、図10に基づき説明する。
まず、上面のみに導電材13が形成されたICチップ搭載内層基材63のICチップ6の上面に、上述した熱可塑性絶縁ペースト72を塗布し、140〜160℃にて乾燥することで熱可塑性絶縁ペースト72中に含まれるアジピン酸ジメチルエステル等の溶媒及び水分を除去し、ICチップ搭載内層基材73とする。
【0072】
次いで、ICチップ搭載内層基材73、穴空き内層基材25、ICチップ搭載内層基材36をこの順に重ね合わせ、これらICチップ搭載内層基材73〜ICチップ搭載内層基材36に熱圧着を施す。
この場合の熱圧着の条件は、例えば、温度:220〜300℃、圧力:10〜60kg/cmである。
【0073】
この熱圧着の過程で、熱可塑性絶縁ペースト72は、上下方向から加わる圧力及び加熱により流動しICチップ6の周囲を覆う。更に熱圧着が進行すると、この流動化した熱可塑性絶縁ペースト72が熱融着し保護層71になるとともに、ICチップ搭載内層基材73〜ICチップ搭載内層基材36各々の絶縁基材21同士も熱融着により相互に融着することとなる。したがって、これらICチップ搭載内層基材73〜ICチップ搭載内層基材36は、熱融着により相互に接合され、一体化される。
以上により、ICチップ6の上面が保護層71により覆われたICチップ内蔵多層配線基板を作製することができる。
【0074】
なお、熱可塑性絶縁ペースト72は、図11に示すように、ICチップ6と対向するICチップ搭載内層基材36の下面に塗布することとしてもよい。
この場合においても、ICチップ6の上面が保護層71により覆われたICチップ内蔵多層配線基板を作製することができる。
【0075】
本実施形態のICチップ内蔵多層配線基板においても、上述した第1及び第2の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板と全く同様の作用・効果を奏することができる。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体装置内蔵多層配線基板によれば、半導体装置と、この半導体装置に隣接して配置される配線基材との間に、第2の熱可塑性樹脂組成物からなる保護層を形成したので、この保護層が応力や熱膨張率の差による熱的ストレスを吸収し、半導体チップや配線基材と半導体チップとの間の歪みや変形を防止することができ、配線不良や寸法のずれ等の不具合を防止することができる。
また、半導体装置と配線基材との間に樹脂が充分に回り込むので、ボイドが生じる虞がなく、吸湿リフロー耐熱性を向上させることができる。
以上により、高精度かつ高精細な導体配線を形成することができ、電気的特性及び信頼性に優れた半導体装置内蔵多層配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板を示す断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【図4】 本発明の第1の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【図5】 絶縁基材及び熱可塑性フィルムの弾性率温度依存性を示す図である。
【図6】 本発明の第2の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板を示す断面図である。
【図7】 本発明の第2の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【図8】 本発明の第2の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法の他の例を示す過程図である。
【図9】 本発明の第3の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板を示す断面図である。
【図10】 本発明の第3の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法を示す過程図である。
【図11】 本発明の第3の実施形態のICチップ内蔵多層配線基板の製造方法の他の例を示す過程図である。
【符号の説明】
1 最上層基材(最上層の配線基材)
2 穴空き内層基材(配線基材)
3 ICチップ(半導体装置)搭載内層基材(配線基材)
4 穴空き内層基材(配線基材)
5 ICチップ(半導体装置)搭載内層基材(配線基材)
6 ICチップ(半導体装置)
7 保護層
11 絶縁基材
12 バイアホール
13 導電材
14 開口
17 配線回路形成用の溝部
21 絶縁基材
22 最上層基材
23 貫通孔
24 導電性ペースト
25 穴空き内層基材
33 貫通孔
34 導電性ペースト
35 熱圧着治具
36 ICチップ搭載内層基材
43 熱可塑性フィルム
51 保護層
52 熱可塑性接着剤
53 ICチップ搭載内層基材
61 ICチップ搭載内層基材
71 保護層
72 熱可塑性絶縁ペースト
73 ICチップ搭載内層基材

Claims (5)

  1. 第1の熱可塑性樹脂組成物からなる絶縁基材に導体配線が形成された配線基材が複数、積層され、
    これら複数の配線基材のうち、1つまたは2つ以上の配線基材に半導体装置が搭載され、
    これらの配線基材同士が熱融着により一体化されてなる半導体装置内蔵多層配線基板において、
    前記半導体装置と、該半導体装置に隣接して配置される配線基材との間には、第2の熱可塑性樹脂組成物からなる保護層が形成され
    前記保護層の熱融着温度における弾性率は、前記絶縁基材の熱融着温度における弾性率より小さいことを特徴とする半導体装置内蔵多層配線基板。
  2. 前記半導体装置が搭載された配線基材に隣接して配置される配線基材には、前記半導体装置を収納する開口が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置内蔵多層配線基板。
  3. 前記半導体装置と前記開口との間には、前記第2の熱可塑性樹脂組成物からなる保護層が形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置内蔵多層配線基板。
  4. 前記第2の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性フィルム、熱可塑性シート、熱可塑性接着剤、熱可塑性ペーストのいずれか1種であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の半導体装置内蔵多層配線基板。
  5. 前記第1の熱可塑性樹脂組成物は、結晶融解温度が260℃以上である結晶性熱可塑性樹脂、ガラス転移温度が260℃以上である非晶性熱可塑性樹脂、液晶転移温度が260℃以上である液晶ポリマーから選択された1種を含有し、前記第2の熱可塑性樹脂組成物は、非晶性熱可塑性樹脂を含有してなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の半導体装置内蔵多層配線基板。
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