以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の部品内蔵回路板Aは、片面あるいは両面に複数の部品1を実装した回路基板2を、フィラー充填樹脂成形材料3の硬化物である封止樹脂体4で封止し、この封止樹脂体4の表面に金属導体5を設けたものである。金属導体5は金属層(金属のベタ面)であっても良いし、回路パターンに形成されていても良い。また、本発明の部品内蔵回路板Aは、ビアホール加工やスルーホール加工などの厚み方向における導通加工により、多層化接続されている場合もある。
部品1は従来より電気・電子回路を形成するのに用いられているものであって、例えば、ICやLSIなどの半導体チップ(半導体素子)を用いることができる。回路基板2は従来からプリント配線板などとして供されているものであって、片面に回路パターン18を有する片面板、両面に回路パターン18を有する両面板、両面及び内部に回路パターン18を有する4層板や6層板などの多層板を用いることができる。そして、回路基板2の片面あるいは両面に部品1を実装することにより電気・電子回路が形成されている。ここで、回路基板2に実装された部品1の底面と回路基板2の表面との距離は100μm以下であることが好ましく、この場合、同じ高さの部品1を用いても、回路基板2の表面からの部品1の突出寸法を小さくすることができ、部品内蔵回路板Aの薄型化を図ることができるものである。回路基板2に実装された部品1の底面と回路基板2の表面との距離は小さいほど、部品内蔵回路板Aの薄型化を図ることができるので、その下限は0μmである。尚、回路基板2には必要に応じて印刷により抵抗器などの部品1を形成しても良い。また、回路基板2はコンデンサー内蔵基板(BC基板)であっても良い。また、回路パターン18の厚みは、ファインライン形成のために、100μm以下が妥当である。
フィラー充填樹脂成形材料3は樹脂とフィラーとの混合物である。フィラー充填樹脂成形材料3の樹脂としては各種の熱硬化性樹脂などを用いることができ、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などを例示することができるが、これに限定されるものではない。フィラー充填樹脂成形材料3のフィラーとしては各種の無機・有機の粉体を用いることができ、シリカ、アルミナ、ゴムなどを例示することができるが、これに限定されるものではない。また、上記フィラーの比表面積は、JIS R 1626によるBET比表面積測定法による測定で3.5m2/g以上である。フィラーの比表面積が3.5m2/g未満であると、フィラーの粒径が大きくなるので、部品1の底面と回路基板2の表面との狭い隙間でフィラーが詰まって、この狭い隙間に対してフィラー充填樹脂成形材料3を空隙が生じないように充分に充填できなくなる恐れがあり、この結果、封止樹脂体4の内部に空隙(ボイド)が残存することになる。そして、このような空隙が封止樹脂体4の内部に残存していると、封止樹脂体4の表面に部品を半田付けなどで実装する時の加熱により、内部にある部品1を回路基板2に半田実装した時の半田が再溶融し膨張し、上記空隙に流出し、部品1の端子間を導通させてしまうことがある。また、上記空隙内の空気が膨張して封止樹脂体4にクラックが発生することもある。従って、本発明ではフィラー充填樹脂成形材料3のフィラーの含有率を高くしても、フィラー充填樹脂成形材料3の流動性を確保するために、フィラーの比表面積が3.5m2/g以上、より好ましくは4.0m2/g以上のものを用いるのである。尚、フィラーの比表面積は現在入手可能なフィラーが30m2/g以下であるので、この値が上限となる。また、部品1の底面と回路基板2の表面との隙間に対するフィラー充填樹脂成形材料3の充填性を高めるために、フィラーの粒径は最大でも30μm以下であることが好ましい。
また、フィラー充填樹脂成形材料3のフィラーの含有率はフィラー充填樹脂成形材料3の全量に対して60〜90wt%であることが好ましい。フィラーの含有率が60wt%未満であると、封止樹脂体4中のフィラーの含有率が低くなり過ぎて、部品1や回路基板2及び部品内蔵回路板Aの反りの低減や応力緩和をすることができなくなる恐れがあり、フィラーの含有率が90wt%を超えると、フィラー充填樹脂成形材料3の流動性が低下して封止樹脂体4中に未充填による空隙が生じ、上記と同様の問題が生じる恐れがある。
また、フィラー充填樹脂成形材料3はシート状に形成する。シート状のフィラー充填樹脂成形材料3は、例えば、フィラーを高充填した樹脂をBステージ状に加熱乾燥させて形成することができる。シート状のフィラー充填樹脂成形材料3を用いると、大きいサイズ(一辺の寸法が300mm以上)の部品内蔵回路板Aを製造する場合に、直圧圧縮成形による加熱加圧成形時の成形性に優れ、また、加熱加圧成形前の真空引きにより空気が抜けやすく、封止樹脂体4中のボイドの削減においても粉体状のフィラー充填樹脂成形材料より優れる。粉体状のフィラー充填樹脂成形材料であると成形空間内に投入した場合に、真空引きにより粉体中に存在する空気を取り出しにくい。さらに、回路基板2の上下(表裏)に実装した部品1の高さが異なる場合に、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料の量を制御して封止樹脂体4の厚みを部分的に変えるのは非常に難しいが、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3であれば、その使用枚数を変えることにより、簡単に回路基板2の上下(表裏)における封止樹脂体4の厚みを変えることができ、大小高さの異なる部品1を内蔵しても枚数管理のみで簡単に製造が可能であり、取り扱い性に優れるものである。また、真空引きも容易で十分真空度を上げてからフィラー充填樹脂成形材料3の樹脂を溶融させることにより、部品1の底面と回路基板2の表面との狭い隙間に対するフィラー充填樹脂成形材料3の充填性が向上するものである。加えて、複数枚の回路基板2を積層する場合も、上記と同様にして隣り合う回路基板2、2の間にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を数枚投入すると、6層基板などの多層板も容易に部品1を内蔵した構造に成形することができる。尚、回路基板2の片面側のみにシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を使用し、他の片面側に粉体状のフィラー充填樹脂成形材料を使用することもでき、特に、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3のみの使用に限定するのではなく、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料とシート状のフィラー充填樹脂成形材料3との併用も可能である。また、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3の厚みは特に限定されないが、10〜400μmにすることができる。
以下に本発明の部品内蔵回路板Aの製造方法について説明する。
図1に本発明の部品内蔵回路板Aの製造方法の一例を示す。まず、成形用プレート10の上に成形用枠体11を載置する。成形用プレート10はステンレス鋼板などの金属板で平板状に形成されるものであって、鏡面板などを用いることができる。成形用枠体11はステンレス鋼などの金属材料を用いて平面視で四角枠状などに形成されるものであり、その内側の一辺の長さや厚みは成形する部品内蔵回路板Aの大きさや厚みに応じて適宜変更可能である。成形用枠体11は例えば上記成形用プレート10を枠状にくり抜いて形成することができる。成形用プレート10は成形用枠体11と同等の大きさかあるいは成形用枠体11よりも大きく形成されている。
上記のように成形用プレート10に成形用枠体11を載置した後、成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれた成形用枠体11の内側の空間(成形空間)にフィルム12を配置する。ここで、フィルム12としては銅箔などの金属箔を用いることができる。この金属箔は従来から銅張り積層板などの金属箔張り積層板に使用されているものであって、例えば、厚み12〜70μmのものを用いることができる。また、フィルム12は成形用枠体11の内側において成形用プレート10の上面に全面に亘って敷設されると共にその敷設されたフィルム12の周端部は成形用枠体11の上側を越えて成形用枠体11外に導出される。すなわち、フィルム12の周端部は成形用プレート10の上面から立ち上がり、成形用枠体11の内周面及び上面に沿うようにして成形用枠体11外に導出されるものであり、これにより、成形用プレート10の上面と成形用枠体11の下面との間にできる隙間がフィルム12で覆われて閉塞されることになる。従って、成形用プレート10や成形用枠体11がフィラー充填樹脂成形材料3で汚れるのを防止することができる。
上記のようにフィルム12を配置した後、このフィルム12の上にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を配置する。フィラー充填樹脂成形材料3の使用量は回路基板2のこの片面側(下面側)における封止樹脂体4の所望の厚みなどに応じて適宜変更可能であり、フィラー充填樹脂成形材料3の枚数を調整して使用量を変えることができる。例えば、部品1の高さやビアホール接続時などの制約がある場合に、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3の枚数を変えることにより、部品内蔵回路板Aの内部に位置する回路基板2の厚み方向における位置を簡単に変えることが可能である。次に、部品1を実装した回路基板2を上記フィラー充填樹脂成形材料3の上に載置する。次に、部品1を実装した回路基板2の上にさらにシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を配置する。この場合もフィラー充填樹脂成形材料3の使用量は回路基板2のこの片面側(上面側)における封止樹脂体4の所望の厚みなどに応じて適宜変更可能であり、フィラー充填樹脂成形材料3の枚数を調整して使用量を変えることができる。
フィラー充填樹脂成形材料3としては、種類の異なる複数種のものを用いることができる。種類の異なるフィラー充填樹脂成形材料3とは、厚みや誘電率や熱伝導率などの性質が異なるものであって、これらの性質の異なるフィラー充填樹脂成形材料3は樹脂やフィラーの種類やその使用量などを異ならせることにより得ることができる。本発明では、回路基板2を挟んで上下に配置するフィラー充填樹脂成形材料3の種類を異ならせることができる。また、回路基板2の片面に種類の異なる複数枚のフィラー充填樹脂成形材料3を重ねて配置することができる。また、回路基板2の片面に沿って種類の異なる複数種のフィラー充填樹脂成形材料3を配置しても良い。このようにして種類の異なる複数種のフィラー充填樹脂成形材料3を用いることによって、厚みや放熱性や誘電率などの性質(物性)の異なる複数の部分からなる封止樹脂体4を形成することができる。
例えば、表面のみは薄いメッキ付着性のあるシート状(例えば、10μm程度)のフィラー充填樹脂成形材料3を積層すれば、後工程でのメッキ処理において封止樹脂体4の表面に簡単にメッキ付けができ、部品内蔵性や放熱性、誘電率などを重要な絶縁性能を確保しながら、全層においてメッキ付着性のあるフィラー充填樹脂成形材料3を使用することがなく、フィラー充填樹脂成形材料3の使い分けが可能である。さらに、例えば、回路基板2の片面側は放熱性を付与するために、アルミナを高充填したフィラー充填樹脂成形材料3を使用し、もう片面側にはシリカを充填したフィラー充填樹脂成形材料3を使うことにより、部分的に異なる物性を有する封止樹脂体4を簡単に設計することが可能となる。また、例えば、低誘電率のフィラー充填樹脂成形材料3と高熱伝導率のフィラー充填樹脂成形材料3を準備し、片面側に低誘電率のフィラー充填樹脂成形材料3を、もう一方の片面側に高熱伝導率のフィラー充填樹脂成形材料3を積層し、一体化成形することで片面側に実装されていた高周波用の部品1の信号損失を最低限におさえ、もう一方の片面側に実装されていたパワーIC(部品1)の熱を封止樹脂体4の高熱伝導率のフィラー充填樹脂成形材料3から形成される部分で効率良く熱放散させることが可能となる。また、白色と黒色のフィラー充填樹脂成形材料3、耐UV性樹脂や透明樹脂(光回路層形成時)を用いたフィラー充填樹脂成形材料3など、各種のフィラー充填樹脂成形材料3を組み合わせて用いることができる。尚、上記のシート状のフィラー充填樹脂成形材料3の代わりに、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料3を用いることができる。
上記のようにして、フィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2とをフィルム12上で重ねて配置した後、回路基板2の上側のフィラー充填樹脂成形材料3の上にさらにフィルム12を載置して重ねる。このフィルム12は前記下側のフィルム12と同様の金属箔を用いることができるが、その厚みは互いに異ならせても良い。また、上下のフィルム12は一方がポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの合成樹脂フィルム、他方が金属箔などのように互いに種類を異ならせても良い。また、上側のフィルム12はその周端部が成形用枠体11の外側に達する大きさに形成されている。次に、上側のフィルム12の上にさらに上記と同様の成形用プレート10を載置する。
上記のようにして成形用プレート10と成形用枠体11及びフィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2とを重ね合わせて図1(a)に示すような積層物16を形成した後、この積層物16を成形機にセットする。次に、上下の成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれる成形空間に対して真空引きを行なって充分に脱気する。次に、成形機の熱盤で積層物16を上下から挟むことにより加熱加圧成形する。この加熱加圧成形によりフィラー充填樹脂成形材料3を溶融流動させ、部品1の底面と回路基板2の表面との隙間に対してフィラー充填樹脂成形材料3を充填し、さらに溶融状態のフィラー充填樹脂成形材料3を硬化させて電気絶縁性を有する封止樹脂体4を形成する。そして、フィラー充填樹脂成形材料3の硬化により封止樹脂体4の表面にフィルム(金属箔)12が接着し、部品1を実装した回路基板2と封止樹脂体4及びフィルム12を一体化することができ、図1(b)に示すような、封止樹脂体4の表面にフィルム12からなる金属導体5を有し、且つ封止樹脂体4に部品1及び回路基板2が内蔵された部品内蔵回路板Aを形成することができる。この場合、回路基板2の両面がフィラー充填樹脂成形材料3(封止樹脂体4)で全面に亘って封止されている。尚、上記加熱加圧成形における条件は適宜設定可能であるが、例えば、温度80〜130℃、圧力0.1〜5MPa、時間3〜120分にすることができる。また、封止樹脂体4からはみ出たフィルム12の周端部は切除される。
上記のようにして部品内蔵回路板Aを形成した後、表面のフィルム(金属箔)12にサブトラクティブ法などの回路形成工程を施して所望の回路パターンを形成すると共にスルーホール19やビアホール17の形成工程を施して封止樹脂体4の表面の回路パターンと回路基板2の回路パターン18とを電気的に接続する所望のスルーホール19やビアホール17を形成することによって、図1(c)に示すような、封止樹脂体4の表面の回路パターンを金属導体5とする部品内蔵回路板Aを形成することができる。回路形成工程やスルーホールやビアホール17の形成工程は従来からプリント配線板の製造に用いられている公知の方法を採用することができる。
上記のようにして形成される本発明の部品内蔵回路板Aは、封止樹脂体4の厚み精度(最も厚みが大きい部分と最も厚みが小さい部分との差)が±100μm以内にすることができる。高周波回路等では回路長が重要なファクターとなるために、封止樹脂体4の厚みも重要となるが、通常の銅張積層板(CCL)を製造する場合のように、単にステンレス鋼プレート間に材料を積層して加熱加圧した場合では、厚みバラツキがある程度発生する。特に、部品1を内蔵する場合には、フィラー充填樹脂成形材料3の流動が大きくなるために封止樹脂体4の厚みのバラツキが非常に大きくなり、歩留まりが大きな課題となる。一方、本発明は成形用枠体11を用いているので、フィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2の積層物の厚みが成形用枠体11と同じになるまで加圧されるが、余分なフィラー充填樹脂成形材料3は成形用枠体11と上側の成形用プレート10の間に位置する上下のフィルム12、12の間の隙間から流出する。成形用枠体11がない場合は、加熱加圧成形によりフィラー充填樹脂成形材料3が上下の成形用プレート10の間からその周囲に流出して封止樹脂体4の厚みが薄くなると共に、フィラー充填樹脂成形材料3に加圧が充分に行えず、部品1の底面と回路基板2の表面との間の隙間にフィラー充填樹脂成形材料3を充分に充填することができないが、本発明では成形用枠体11により成形用枠体11外へのフィラー充填樹脂成形材料3の流出が抑制されるので、部品1の底面と回路基板2の表面との間の隙間にフィラー充填樹脂成形材料3が効率よく回り込み、余分なフィラー充填樹脂成形材料3のみが上記のフィルム12、12の間の隙間から流出するものであり、上下一対の成形用プレート10、10の間隔が成形用枠体11で一定に保たれるために、上記積層物16の厚みが必要以上に減少することはない。従って、本発明では封止樹脂体4の厚み精度を±100μm以内にすることができる。もちろん、封止樹脂体4の厚み精度が±0であるのが最も好ましい。また、本発明にあっては部品間距離や各層の回路長と層間距離(回路基板2の回路パターン18と表面の金属導体5の距離など)も精度良くすることができる。
また、本発明では、フィルム12によりフィラー充填樹脂成形材料3の成形用枠体11外への流出が抑制されるために、回路基板2に実装された部品1の底面と回路基板2の表面との間の隙間などの空隙部へのフィラー充填樹脂成形材料3の流動が促進され、当該空隙部へのフィラー充填樹脂成形材料3の充填が効率良く行うことができる。上記空隙部へのフィラー充填樹脂成形材料3の回り込みを促進させようとした場合は、通常は加熱加圧成形の際の圧力を上げて対応するが、そうすると封止樹脂体4の厚みが極端に薄くなり、部品1等の先端部が封止樹脂体4の表面に露出し、封止樹脂体4の表面に金属導体5を形成することができなくなる恐れがある。一方、本発明では上記のような成形用枠体11を用いるので、十分な加圧ができると共に上記空隙部へのフィラー充填樹脂成形材料3の流動も確保できる。また、本発明では封止樹脂体4の全体の厚みを変える場合には成形用枠体11の厚みを変えるだけで容易に対応することができる。また、本発明では回路基板2の上下に配置したフィラー充填樹脂成形材料3を同時に硬化させるので、熱履歴をほぼ同じにすることができ、封止樹脂体4に極端な反りなどが発生するのを防止することができる。
尚、図1に示すものにおいて、フィルム12としてPETフィルムなどの剥離性を有する合成樹脂フィルムを用いた場合は、封止樹脂体4の成形後に封止樹脂体4の表面からフィルム12を剥離し、この後、封止樹脂体4の表面にアディティブ法やセミアディティブ法により金属導体5を形成することができる。
以下に、本発明の部品内蔵回路板Aの製造方法の他例を図2に基づいて説明する。まず、上記と同様にして成形用プレート10の上に成形用枠体11を載置する。次に、成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれた成形用枠体11の内側の空間にフィルム12を配置する。ここで、フィルム12としてはPETフィルムなどの剥離性を有する合成樹脂フィルムを用いることができる。この合成樹脂フィルムとしては、例えば、厚み20〜100μmのものを用いることができる。また、フィルム12は上記と同様に、成形用枠体11の内側において成形用プレート10の上面に全面に亘って敷設されると共にその敷設されたフィルム12の周端部は成形用枠体11の上側を越えて成形用枠体11外に導出される。
上記のようにフィルム12を配置した後、成形用枠体11の内側においてフィルム12の上に放熱部材13を載置する。この放熱部材13としては封止樹脂体4よりも熱伝導率の高いアルミニウムなどの金属材料で形成されるものであり、例えば、金属箔、金属板、凹凸板、粗面化された板、放熱フィンなどを例示することができる。次に、上記放熱部材13の上にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を配置する。次に、部品1を実装した回路基板2を上記フィラー充填樹脂成形材料3の上に載置する。次に、部品1を実装した回路基板2の上にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3をさらに配置する。
回路基板2を挟んで上下に位置するフィラー充填樹脂成形材料3は同一のものであっても良いが、下側のフィラー充填樹脂成形材料3は、封止樹脂体4から放熱部材13への熱伝導を高めることができるように、上側のフィラー充填樹脂成形材料3に比べて、フィラーとして高熱伝導率のもの(例えば、シリカよりも熱伝導に優れるアルミナなど)を用いたり、フィラーの充填率を高め(例えば、80wt%以上)にしたりするのが好ましい。また、下側のフィラー充填樹脂成形材料3の使用枚数を上側のフィラー充填樹脂成形材料3の枚数よりも少なくして、封止樹脂体4から放熱部材13への熱伝導を高めるようにしてもよい。また、上側のフィラー充填樹脂成形材料3としては、回路基板2の上側部分で封止樹脂体4の低誘電率化を図るために、フィラーとして低誘電率のもの(例えば、アルミナよりも低誘電率のシリカなど)を用いたりすることができる。尚、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3の代わりに、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料を用いても良い。
次に、回路基板2の上側のシート状のフィラー充填樹脂成形材料3の上にさらにフィルム12を載置して重ねる。このフィルム12は銅箔等の金属箔を用いることができる。また、上側のフィルム12はその周端部が成形用枠体11の外側に達する大きさに形成されている。次に、上側のフィルム12の上にさらに上記と同様の成形用プレート10を載置する。
上記のようにして成形用プレート10と成形用枠体11及び放熱部材13とフィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2とを重ね合わせて図2(a)に示すような積層物16を形成した後、この積層物16を成形機にセットする。次に、上記と同様に、上下の成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれる成形空間に対して真空引きを行なって充分に脱気した後、加熱加圧成形する。この加熱加圧成形によりフィラー充填樹脂成形材料3を溶融流動させ、部品1の底面と回路基板2の表面との隙間に対してフィラー充填樹脂成形材料3を充填し、さらに溶融状態のフィラー充填樹脂成形材料3を硬化させて電気絶縁性を有する封止樹脂体4を形成する。加熱加圧成形における条件は上記と同様にすることができる。次に、成形機から上記成形物を取り出して放熱部材13の表面から下側のフィルム12を剥離すると共に封止樹脂体4からはみ出た上側のフィルム12の周端部を切除することによって、図2(b)に示すように、封止樹脂体4に部品1及び回路基板2が内蔵され、また、封止樹脂体4の下面に放熱部材13が一体に設けられた部品内蔵回路板Aを形成することができる。この場合、回路基板2の両面がフィラー充填樹脂成形材料3(封止樹脂体4)で全面に亘って封止されている。また、この部品内蔵回路板Aは放熱部材13により放熱構造を有するものである。
上記のようにして部品内蔵回路板Aを形成した後、上側のフィルム(金属箔)12にサブトラクティブ法などの回路形成工程を施して所望の回路パターンを形成すると共にスルーホールやビアホール17の形成工程を施して封止樹脂体4の表面の回路パターンと回路基板2の回路パターン18とを接続する所望のスルーホールやビアホール17を形成することによって、図2(c)に示すような、封止樹脂体4の表面の回路パターンを金属導体5とする部品内蔵回路板Aを形成することができる。
上記のようにして形成される本発明の部品内蔵回路板Aは、図1に示すものと同様に、封止樹脂体4の厚み精度(最も厚みが大きい部分と最も厚みが小さい部分との差)が±100μm以内にすることができ、従って、部品内蔵回路板A全体の厚みも±100μm以内にすることができる。また、封止樹脂体4の表面に放熱部材13を設けて放熱構造を形成したので、部品内蔵回路板Aの放熱性を高くすることができ、部品1などから発生する熱が封止樹脂体4に蓄積されにくくなって、熱による部品1の動作不良や破損を少なくすることができるものである。その他、図2に示す部品内蔵回路板Aは図1のものと同様の効果を奏するものである。
尚、図2に示すものにおいて、上側のフィルム12としてPETフィルムなどの剥離性を有する合成樹脂フィルムを用いた場合は、封止樹脂体4の成形後に封止樹脂体4の表面からフィルム12を剥離し、この後、封止樹脂体4の表面にアディティブ法やセミアディティブ法などにより金属導体5を形成することができる。
以下に、本発明の部品内蔵回路板Aの製造方法の他例を図3に基づいて説明する。まず、上記と同様にして成形用プレート10の上に成形用枠体11を載置する。次に、成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれた成形用枠体11の内側の空間にフィルム12を配置する。ここで、フィルム12としてはPETフィルムなどの合成樹脂フィルムを用いることができる。この合成樹脂フィルムとしては、例えば、厚み20〜100μmのものを用いることができる。また、合成樹脂フィルムのフィラー充填樹脂成形材料3側に向く片面(上面)は全面に亘って梨地状などの粗面として形成されている。合成樹脂フィルムの粗面化処理は公知の方法で行うことができる。また、フィルム12は上記と同様に、成形用枠体11の内側において成形用プレート10の上面に全面に亘って敷設されると共にその敷設されたフィルム12の周端部は成形用枠体11の上側を越えて成形用枠体11外に導出される。
上記のようにフィルム12を配置した後、上記と同様にして成形用枠体11の内側においてフィルム12の上にフィラー充填樹脂成形材料3を配置する。この例においても、フィラー充填樹脂成形材料3の使用量は回路基板2のこの片面側(下面側)における封止樹脂体4の所望の厚みなどに応じて適宜変更可能であり、フィラー充填樹脂成形材料3がシート状である場合はその枚数を調整して使用量を変えることができる。また、この例においては、複数枚(3枚)のフィラー充填樹脂成形材料3を用いているが、このうち最もフィルム12に近い側(最下)に配置されるフィラー充填樹脂成形材料3aは、封止樹脂体4の表面(下面)が内部よりもメッキ付着性に優れたものとなるように、フィラー充填樹脂成形材料3としてゴム成分を配合したものなどを用いるのが好ましい。また、ゴム成分を配合したフィラー充填樹脂成形材料3a以外のフィラー充填樹脂成形材料3は部品内蔵性に優れるものを用いるのが好ましい。このようにメッキ付着性に優れるフィラー充填樹脂成形材料3aと部品内蔵性に優れるフィラー充填樹脂成形材料3とを使い分けることにより、部品内蔵性を損なわずにメッキ付着性の高い封止樹脂体4を形成することができる。尚、部品内蔵性とは部品1の形状によらず、部品1の周囲に空隙を残さないように樹脂が充填される特性であり、部品内蔵性が低い場合は、部品1の周囲に空隙が残ったり、部品1の底面と回路基板2の表面との狭い隙間にボイドが発生したりする恐れがある。次に、成形用枠体11の内側において、部品1を実装した回路基板2を上記フィラー充填樹脂成形材料3の上に載置する。次に、部品1を実装した回路基板2の上に粉体状のフィラー充填樹脂成形材料3′を配置する(図3(a)において粉体状のフィラー充填樹脂成形材料3′を点々模様で示す)。この場合もフィラー充填樹脂成形材料3の使用量は回路基板2のこの片面側(上面側)における封止樹脂体4の所望の厚みなどに応じて適宜変更可能である。尚、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料3′の代わりに、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3を用いても良い。次に、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料3′の上に複数枚のシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を載置する。この上側のシート状のフィラー充填樹脂成形材料3、3のうち、最も上側(粉体状のフィラー充填樹脂成形材料3′から最も遠い位置)のフィラー充填樹脂成形材料3は上記と同様にゴム成分を配合したフィラー充填樹脂成形材料3aを用いるのが好ましく、これにより、封止樹脂体4の表面(上面)が内部よりメッキ付着性に優れたものとなる。また、ゴム成分を配合したフィラー充填樹脂成形材料3a以外のフィラー充填樹脂成形材料3は部品内蔵性に優れるものを用いるのが好ましい。
フィラー充填樹脂成形材料3aに配合するゴム成分としては、ポリブタジエンゴム(ナガセ化成製の「R−45EPT」)やポリビニルブチラール樹脂(電気化学工業(株)製の「デカンブチラール」)などを例示することができる。尚、この例においても、図1の例と同様の理由で、回路基板2を挟んで上下に位置するフィラー充填樹脂成形材料3は同一のものであっても良いし、異なる種類のものであってもよい。
上記のようにして成形用枠体11の内側の空間に、フィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2とを重ねて配置した後、回路基板2の上側のシート状のフィラー充填樹脂成形材料3の上にさらにフィルム12を載置して重ねる。このフィルム12は前記下側のフィルム12と同様の合成樹脂フィルムを用いることができるが、上側のフィルム12はフィラー充填樹脂成形材料3側に向く面である下面が粗面に形成されている。また、上側のフィルム12はその周端部が成形用枠体11の外側に達する大きさに形成されている。次に、上側のフィルム12の上にさらに上記と同様の成形用プレート10を載置する。
上記のようにして成形用プレート10と成形用枠体11及びフィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2とを重ね合わせて図3(a)に示すような積層物16を形成した後、この積層物16を成形機にセットする。次に、上記と同様に、上下の成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれる成形空間に対して真空引きを行なって充分に脱気した後、加熱加圧成形する。この加熱加圧成形によりフィラー充填樹脂成形材料3を溶融流動させ、部品1の底面と回路基板2の表面との隙間に対してフィラー充填樹脂成形材料3を充填し、さらに溶融状態のフィラー充填樹脂成形材料3を硬化させて電気絶縁性を有する封止樹脂体4を形成する。加熱加圧成形における条件は上記と同様にすることができる。次に、成形機から上記成形物を取り出して封止樹脂体4の表面からフィルム12を剥離することによって、図3(b)に示すように、封止樹脂体4に部品1及び回路基板2が内蔵された部品内蔵基板15を形成することができる。この場合、回路基板2の両面がフィラー充填樹脂成形材料3(封止樹脂体4)で全面に亘って封止されている。また、この部品内蔵基板15の封止樹脂体4は、フィルム12の粗面が密着して成形されるので、封止樹脂体4の表面も粗面に形成される。
上記のようにして部品内蔵基板15を形成した後、封止樹脂体4の表面にセミアディティブ法やアディティブ法などの回路形成工程を施して所望の回路パターンを金属導体5として形成すると共にスルーホール19やビアホール17の形成工程を施して封止樹脂体4の表面の回路パターンと回路基板2の回路パターン18とを接続する所望のスルーホール19やビアホール17を形成することによって、図3(c)に示すような部品内蔵回路板Aを形成することができる。回路形成工程やスルーホール19やビアホール17の形成工程は従来からプリント配線板の製造に用いられている公知の方法を採用することができる。
上記のようにして形成される本発明の部品内蔵回路板Aは、図1に示すものと同様に、封止樹脂体4の厚み精度(最も厚みが大きい部分と最も厚みが小さい部分との差)が±100μm以内にすることができる。また、封止樹脂体4の表面をメッキ付着性に優れるフィラー充填樹脂成形材料3で形成すると共に封止樹脂体4の表面の粗面化によるアンカー効果で、封止樹脂体4の表面にメッキ工程で形成される金属導体5の接着性を高くすることができ、金属導体5の剥離が発生しにくくて信頼性の高い部品内蔵回路板Aを形成することができる。その他、図3に示す部品内蔵回路板Aは図1のものと同様の効果を奏するものである。
尚、図3に示すものにおいて、メッキ付着性の高いフィラー充填樹脂成形材料3を用いて封止樹脂体4の表面のメッキ付着性が充分に確保することができるのであれば、粗面化されたフィルム12を使用せずに、通常の平滑面を有するフィルム12が使用可能である。
以下に、本発明の部品内蔵回路板Aの製造方法の他例を図4に基づいて説明する。まず、上記と同様にして成形用プレート10の上に成形用枠体11を載置する。次に、成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれた成形用枠体11の内側の空間にフィルム12を配置する。ここで、フィルム12としては上記と同様の銅箔等の金属箔を用いることができる。また、フィルム12は上記と同様に、成形用枠体11の内側において成形用プレート10の上面に全面に亘って敷設されると共にその敷設されたフィルム12の周端部は成形用枠体11の上側を越えて成形用枠体11外に導出される。
上記のようにフィルム12を配置した後、このフィルム12の上にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を配置する。次に、部品1を実装した回路基板2を上記フィラー充填樹脂成形材料3の上に載置する。次に、上記回路基板2の上にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を配置する。次に、このフィラー充填樹脂成形材料3の上に部品1を実装した他の回路基板2をさらに載置する。次に、この部品1を実装した回路基板2の上にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3をさらに配置する。
下側の回路基板2の下に位置するフィラー充填樹脂成形材料3と、上下の回路基板2、2の間に位置するフィラー充填樹脂成形材料3、及び上側の回路基板2の上に位置するフィラー充填樹脂成形材料3とは同一のものであっても異なるものであっても良い。各フィラー充填樹脂成形材料3の使用枚数はその部分の封止樹脂体4の所望の厚みの応じて適宜設定可能である。尚、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3の代わりに、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料を用いても良い。
次に、最上のシート状のフィラー充填樹脂成形材料3の上にさらにフィルム12を載置して重ねる。このフィルム12は上記と同様の金属箔を用いることができる。また、上側のフィルム12はその周端部が成形用枠体11の外側に達する大きさに形成されている。次に、上側のフィルム12の上にさらに上記と同様の成形用プレート10を載置する。
上記のようにして成形用プレート10と成形用枠体11及びフィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2とを重ね合わせて図4(a)に示すような積層物16を形成した後、この積層物16を成形機にセットする。次に、上記と同様に、上下の成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれる成形空間に対して真空引きを行なって充分に脱気した後、加熱加圧成形する。この加熱加圧成形によりフィラー充填樹脂成形材料3を溶融流動させ、部品1の底面と回路基板2の表面との隙間に対してフィラー充填樹脂成形材料3を充填し、さらに溶融状態のフィラー充填樹脂成形材料3を硬化させて電気絶縁性を有する封止樹脂体4を形成する。加熱加圧成形における条件は上記と同様にすることができる。次に、成形機から上記成形物を取り出して封止樹脂体4からはみ出たフィルム12の周端部を切除することによって、図4(b)に示すように、封止樹脂体4に部品1及び二枚の回路基板2が内蔵された部品内蔵回路板Aを形成することができる。
上記のようにして部品内蔵回路板Aを形成した後、上下のフィルム(金属箔)12にサブトラクティブ法などの回路形成工程を施して所望の回路パターンを形成すると共にスルーホール19やビアホール17の形成工程を施して封止樹脂体4の表面の回路パターンと回路基板2の回路パターン18とを接続する所望のスルーホール19やビアホール17を形成することによって、図4(c)に示すような、封止樹脂体4の表面の回路パターンを金属導体5とする部品内蔵回路板Aを形成することができる。
上記のようにして形成される本発明の部品内蔵回路板Aは、図1に示すものと同様に、封止樹脂体4の厚み精度(最も厚みが大きい部分と最も厚みが小さい部分との差)が±100μm以内にすることができ、従って、部品内蔵回路板A全体の厚みも±100μm以内にすることができる。また、部品1を実装した二枚の回路基板2を封止樹脂体4に内蔵させたので、多機能の部品内蔵回路板Aを形成することができる。その他、図4に示す部品内蔵回路板Aは図1のものと同様の効果を奏するものである。
尚、図4に示すものにおいて、フィルム12としてPETフィルムなどの剥離性を有する合成樹脂フィルムを用いた場合は、封止樹脂体4の成形後に封止樹脂体4の表面からフィルム12を剥離し、この後、封止樹脂体4の表面にアディティブ法やセミアディティブ法などにより金属導体5を形成することができる。
以下に、本発明の部品内蔵回路板Aの製造方法の他例を図5に基づいて説明する。まず、上記と同様にして成形用プレート10の上に成形用枠体11を載置する。次に、成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれた成形用枠体11の内側の空間にフィルム12を配置する。ここで、フィルム12としては上記と同様の銅箔等の金属箔を用いることができる。また、フィルム12は上記と同様に、成形用枠体11の内側において成形用プレート10の上面に全面に亘って敷設されると共にその敷設されたフィルム12の周端部は成形用枠体11の上側を越えて成形用枠体11外に導出される。
上記のようにフィルム12を配置した後、このフィルム12の上にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を配置する。複数枚のフィラー充填樹脂成形材料3を用いる場合はそれらは同一のものであっても異なるものであっても良い。また、フィラー充填樹脂成形材料3の使用枚数はその部分の封止樹脂体4の所望の厚みの応じて適宜設定可能である。また、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3の代わりに、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料を用いても良い。次に、部品1を実装した回路基板2を上記フィラー充填樹脂成形材料3の上に載置する。次に、上記回路基板2の上にクッション材30を配置する。クッション材30はウレタンフォームなどの合成樹脂フォームなどで形成されており、その下面には枠状のフィルム12が設けられている。枠状のフィルム12は上記と同様に金属箔や合成樹脂フィルムで形成されており、成形用枠体11の上面と対向する位置に設けられている。尚、枠状のフィルム12はクッション材30に一体に設けておく必要はなく、それぞれ別々に組み込むようにしてもよい。また、クッション材30をテフロン(R)やシリコーンなどの樹脂で形成した場合は、クッション材30自体がクッション性と離型性の両方を有することになるので、枠状のフィルム12を不要にすることができる。さらに、枠状のフィルム12を用いずに、クッション材30として複数枚の合成樹脂のシート材などを積層した複合積層材を用いる場合は、クッション材30の表層が離型性を有するように形成すればよい。また、枠状のフィルム12を用いない場合、クッション材30の下面端部(枠状のフィルム12に相当する部分)が離型性を有すればよい。
そして、クッション材30を載置した後、クッション材30の上にさらに上記と同様の成形用プレート10を載置する。
上記のようにして成形用プレート10と成形用枠体11とクッション材30及びフィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2とを重ね合わせて図5(a)に示すような積層物16を形成した後、この積層物16を成形機にセットする。次に、上記と同様に、上下の成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれる成形空間に対して真空引きを行なって充分に脱気した後、加熱加圧成形する。この加熱加圧成形によりフィラー充填樹脂成形材料3を溶融流動させ、部品1の底面と回路基板2の表面との隙間に対してフィラー充填樹脂成形材料3を充填し、さらに溶融状態のフィラー充填樹脂成形材料3を硬化させて電気絶縁性を有する封止樹脂体4を形成する。加熱加圧成形における条件は上記と同様にすることができる。次に、成形機から上記成形物を取り出して封止樹脂体4からはみ出たフィルム12の周端部を切除することによって、図5(b)に示すように、回路基板2の下面に実装した部品1が封止樹脂体4に内蔵され、且つ回路基板2の下面がフィラー充填樹脂成形材料3(封止樹脂体4)で全面に亘って封止された部品内蔵回路板Aを形成することができる。また、回路基板2の上面及びこの上面に実装した部品1は封止樹脂体4から露出している。
上記のようにして部品内蔵回路板Aを形成した後、下側のフィルム(金属箔)12にサブトラクティブ法などの回路形成工程を施して所望の回路パターンを形成すると共にスルーホールやビアホール17の形成工程を施して封止樹脂体4に回路パターンと回路基板2の回路パターン18とを接続する所望のスルーホールやビアホール17を形成することによって、図5(c)に示すような封止樹脂体4の表面の回路パターンを金属導体5とする部品内蔵回路板Aを形成することができる。
上記のようにして形成される本発明の部品内蔵回路板Aは、図1に示すものと同様に、封止樹脂体4の厚み精度(最も厚みが大きい部分と最も厚みが小さい部分との差)が±100μm以内にすることができ、従って、部品内蔵回路板A全体の厚みも±100μm以内にすることができる。その他、図5に示す部品内蔵回路板Aは図1のものと同様の効果を奏するものである。
尚、図5に示すものにおいて、下側のフィルム12としてPETフィルムなどの剥離性を有する合成樹脂フィルムを用いた場合は、部封止樹脂体4の成形後に封止樹脂体4の表面からフィルム12を剥離し、この後、封止樹脂体4の表面にアディティブ法やセミアディティブ法などにより金属導体5を形成することができる。
以下に、本発明の部品内蔵回路板Aの製造方法の他例を図6に基づいて説明する。まず、上記と同様にして成形用プレート10の上に成形用枠体11を載置する。次に、成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれた成形用枠体11の内側の空間にフィルム12を配置する。ここで、フィルム12としては上記と同様の合成樹脂フィルムを用いることができる。また、フィルム12は上記と同様に、成形用枠体11の内側において成形用プレート10の上面に全面に亘って敷設されると共にその敷設されたフィルム12の周端部は成形用枠体11の上側を越えて成形用枠体11外に導出される。
上記のようにフィルム12を配置した後、このフィルム12の上に部品1を実装した回路基板2を載置する。この回路基板2としては通常のガラス基材エポキシ樹脂両面板から加工されるものや両面フレキシブル積層板から加工されるものなどを用いることができ、スルーホールメッキなどの導通部33が設けられている。次に、上記回路板の上にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を配置する。複数枚のフィラー充填樹脂成形材料3を用いる場合はそれらは同一のものであっても異なるものであっても良い。また、フィラー充填樹脂成形材料3の使用枚数はその部分の封止樹脂体4の所望の厚みの応じて適宜設定可能である。また、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3の代わりに、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料3を用いても良い。次に、部品1を実装した他の回路基板2を上記フィラー充填樹脂成形材料3の上に載置する。この回路基板2にはその下面に部品1が実装されており、また上面には銅箔などの金属箔が金属導体5として設けられている。次に、上側の回路基板2の上にさらに上記と同様のフィルム12を載置する。次に、上側のフィルム12の上にさらに上記と同様の成形用プレート10を載置する。
上記のようにして成形用プレート10と成形用枠体11及びフィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2とを重ね合わせて図6(a)に示すような積層物16を形成した後、この積層物16を成形機にセットする。次に、上記と同様に、上下の成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれる成形空間に対して真空引きを行なって充分に脱気した後、加熱加圧成形する。この加熱加圧成形によりフィラー充填樹脂成形材料3を溶融流動させ、部品1の底面と回路基板2の表面との隙間に対してフィラー充填樹脂成形材料3を充填し、さらに溶融状態のフィラー充填樹脂成形材料3を硬化させて電気絶縁性を有する封止樹脂体4を形成する。加熱加圧成形における条件は上記と同様にすることができる。次に、成形機から上記成形物を取り出して封止樹脂体4からはみ出たフィルム12の周端部を切除することによって、図6(b)に示すように、上側の回路基板2の下面に実装した部品1と下側の回路基板2の上面に実装した部品1とが封止樹脂体4に内蔵され、且つ上側の回路基板2の下面と下側の回路基板2の上面がフィラー充填樹脂成形材料3(封止樹脂体4)で全面に亘って封止された部品内蔵回路板Aを形成することができる。また、上側の回路基板2の金属箔は金属導体5として封止樹脂体4の表面(上面側)に露出して設けられている。また、下側の回路基板2の下面は封止樹脂体4から露出している。
上記のようにして部品内蔵回路板Aを形成した後、上側の回路基板2の金属導体5にサブトラクティブ法などの回路形成工程を施して所望の回路パターンを形成すると共にスルーホールやビアホール17の形成工程を施して封止樹脂体4の表面の回路パターンと回路基板2の回路パターン18とを接続する所望のスルーホールやビアホール17を形成することによって、図6(c)に示すような封止樹脂体4の表面の回路パターンを金属導体5とする部品内蔵回路板Aを形成することができる。
上記のようにして形成される本発明の部品内蔵回路板Aは、図1に示すものと同様に、封止樹脂体4の厚み精度(最も厚みが大きい部分と最も厚みが小さい部分との差)が±100μm以内にすることができ、従って、部品内蔵回路板A全体の厚みも±100μm以内にすることができる。その他、図6に示す部品内蔵回路板Aは図1のものと同様の効果を奏するものである。
以下に、本発明の部品内蔵回路板Aの製造方法の他例を図7に基づいて説明する。まず、上記と同様にして成形用プレート10の上に成形用枠体11を載置する。次に、成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれた成形用枠体11の内側の空間にフィルム12を配置する。ここで、フィルム12としては上記と同様の合成樹脂フィルムを用いることができる。また、フィルム12は上記と同様に、成形用枠体11の内側において成形用プレート10の上面に全面に亘って敷設されると共にその敷設されたフィルム12の周端部は成形用枠体11の上側を越えて成形用枠体11外に導出される。
上記のようにフィルム12を配置した後、このフィルム12の上に部品転写材25を配置する。部品転写材25はステンレス鋼製の金属箔等で形成される転写基板26の上面に複数個の部品1を剥離可能に設けて形成されるものである。次に、上記部品転写材25の上にシート状のフィラー充填樹脂成形材料3を配置する。複数枚のフィラー充填樹脂成形材料3を用いる場合はそれらは同一のものであっても異なるものであっても良い。また、フィラー充填樹脂成形材料3の使用枚数はその部分の封止樹脂体4の所望の厚みの応じて適宜設定可能である。また、シート状のフィラー充填樹脂成形材料3の代わりに、粉体状のフィラー充填樹脂成形材料3を用いても良い。次に、部品1を実装した回路基板2を上記フィラー充填樹脂成形材料3の上に載置する。この回路基板2には上下両面に部品1が実装されている。次に、回路基板2の上にさらに上記と同様の複数枚のシート状のフィラー充填樹脂成形材料3の載置する。次に、上側のフィラー充填樹脂成形材料3の上にさらにフィルム12を載置する。このフィルム12としては銅箔などの金属箔を用いることができる。次に、上側のフィルム12の上にさらに上記と同様の成形用プレート10を載置する。
上記のようにして成形用プレート10と成形用枠体11及びフィラー充填樹脂成形材料3と部品1を実装した回路基板2と部品転写材25を重ね合わせて図7(a)に示すような積層物16を形成した後、この積層物16を成形機にセットする。次に、上記と同様に、上下の成形用プレート10と成形用枠体11とで囲まれる成形空間に対して真空引きを行なって充分に脱気した後、加熱加圧成形する。この加熱加圧成形によりフィラー充填樹脂成形材料3を溶融流動させ、部品1の底面と回路基板2の表面との隙間に対してフィラー充填樹脂成形材料3を充填し、さらに溶融状態のフィラー充填樹脂成形材料3を硬化させて電気絶縁性を有する封止樹脂体4を形成する。加熱加圧成形における条件は上記と同様にすることができる。次に、成形機から上記成形物を取り出して封止樹脂体4からはみ出たフィルム12の周端部を切除すると共に部品転写材25の転写基板26を封止樹脂体4から剥離することによって、図7(b)に示すように、部品転写材25の部品1と回路基板2に実装した部品1と回路基板2とが封止樹脂体4に内蔵された部品内蔵回路板Aを形成することができる。この場合、回路基板2の上下面がフィラー充填樹脂成形材料3(封止樹脂体4)で全面に亘って封止される。尚、回路基板2の下面に部品1としてパワーICなどの発熱性部品1bがある場合は、部品転写材25に部品1として銅個片などの吸熱部品1cを設け、発熱性部品1bと吸熱部品1cとが上下に近接するように配置して部品内蔵回路板Aを形成するのが好ましい。
上記のようにして部品内蔵回路板Aを形成した後、金属導体5にサブトラクティブ法などの回路形成工程を施して所望の回路パターンを形成すると共にスルーホールやビアホール17の形成工程を施して封止樹脂体4の表面の回路パターンと回路基板2の回路パターン18とを接続する所望のスルーホールやビアホール17を形成することによって、図7(c)に示すような封止樹脂体4の表面の回路パターンを金属導体5とする部品内蔵回路板Aを形成することができる。
上記のようにして形成される本発明の部品内蔵回路板Aは、図1に示すものと同様に、封止樹脂体4の厚み精度(最も厚みが大きい部分と最も厚みが小さい部分との差)が±100μm以内にすることができ、従って、部品内蔵回路板A全体の厚みも±100μm以内にすることができる。その他、図7に示す部品内蔵回路板Aは図1のものと同様の効果を奏するものである。
図7に示すものにおいて、上側のフィルム12としてPETフィルムなどの剥離性を有する合成樹脂フィルムを用いた場合は、封止樹脂体4の成形後に封止樹脂体4の表面からフィルム12を剥離し、この後、封止樹脂体4の表面にアディティブ法やセミアディティブ法などにより金属導体5を形成することができる。
尚、上記ではいずれの例においても、上下の平滑な成形用プレート10を用いたが、これに限らず、例えば、表面に立体的な凹凸のある成形用プレート10を用いることにより、成形後の部品内蔵回路板Aが表面に凹凸を有する成形体となり、機能部品として立体回路板を容易に成形することが可能である。また、上記各実施の形態においては、成形用枠体11の上面に位置するフィルム12の周端部のみを粗面化することもできる。この場合、粗面化していないフィルム12を用いる場合に比べて、フィルム12の表面の凹凸がフィラー充填樹脂成形材料3の流出の抵抗となり、フィルム12、12の間の隙間からのフィラー充填樹脂成形材料3の流出がさらに抑制されるものであり、この結果、部品1の底面と回路基板2の表面との間の隙間にフィラー充填樹脂成形材料3を効率よく充填することができる。また、この場合、成形用枠体11の上面に位置する上下のフィルム12、12の周端部のうち、一方のみを粗面化してもよいし、両方を粗面化してもよい。
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
300mm×300mmサイズで厚み1.0mmのステンレス鋼製の成形用プレート10と、枠部分の幅が10mmの成形枠体11(外形300×300mmで厚みが1.0mm、ステンレス鋼製)と、比表面積4.5m2/gのシリカフィラーが80wt%充填されたエポキシ樹脂からなるBステージ状態のシート状(厚み150μm)のフィラー充填樹脂成形材料3と、両面に部品1(片面が100μm厚みのIC、もう一方の面に0402タイプのLCR部品)が実装された回路基板2(厚み300μmで基板サイズ275mm×275mmのFR−4基板、部品1の底面と回路基板2の表面との距離70μm)と、厚み18μmで350mm×350mmサイズの銅箔(フィルム12)とを準備する。
これを下から、成形用プレート10、成形用枠体11、銅箔(1枚)、フィラー充填樹脂成形材料3(2枚)、部品1を実装した回路基板2(IC実装面を下向きにする)、フィラー充填樹脂成形材料3(3枚)、銅箔(1枚)、成形用プレート10の順で重ね合せて積層物16を形成した。
この1組の積層物16を100℃に設定された成形機に投入する。次に、真空引き開始し、10分後に加圧1.96MPaの加熱加圧成形を行う。その後、さらに165℃で1時間の加熱硬化成形して成形を終了した。次に、成形機から取り出して封止樹脂体4からはみ出た上側のフィルム12の周端部を切除することによって、両面に銅箔が一体化された封止樹脂体4に回路基板2の回路と部品1が内蔵された部品内蔵回路板(両面板)Aを形成した。
これに通常のスルホールメッキ加工、ビアホール加工、回路パターン(金属導体5)の回路形成を行うことにより、封止樹脂体4内の回路基板2の回路パターン18と部品1と外側の回路パターンの電気的接続を行い、部品内蔵回路板Aをモジュール基板として仕上げた。このモジュール基板をモジュール単位の各個片に切断し、表面に部品を再度リフローにより半田付けして完成品を得た。
上記のようにして形成される部品内蔵回路板Aの厚み精度は±50μmであった。また、部品1の底面と回路基板2の表面との間の隙間にもフィラー充填樹脂成形材料3が充分に充填されていた。
(実施例2)
300mm×300mmサイズで厚み1.0mmのステンレス鋼製の成形用プレート10と、枠部分の幅が10mmの成形枠体11(外形300×300mmで厚みが1.2mm、ステンレス鋼製)と、比表面積6.0m2/gのシリカフィラーが80wt%充填されたエポキシ樹脂からなるBステージ状態のシート状(厚み150μm)のフィラー充填樹脂成形材料3と、比表面積3.5m2/gのアルミナフィラーが85wt%充填されたエポキシ樹脂からなるBステージ状態のシート状(厚み100μm)のフィラー充填樹脂成形材料3と、両面に部品1(片面が100μm厚みのIC、もう一方の面に0402タイプのLCR部品)が実装された回路基板2(厚み100μmで基板サイズ275mm×275mmのFR−4基板、部品1の底面と回路基板2の表面との距離100μm)と、275mm×275mmサイズで厚み2mmのアルミニウム板(放熱部材13)と、厚み75μmで350mm×350mmサイズのPETフィルム(フィルム12)とを準備する。
これを下から、成形用プレート10、成形用枠体11、PETフィルム(1枚)、アルミニウム板、アルミナ含有のフィラー充填樹脂成形材料3(2枚)、部品1を実装した回路基板2(IC実装面を下向きにする)、シリカ含有のフィラー充填樹脂成形材料3(3枚)、銅箔(1枚)、成形用プレート10の順で重ね合せて積層物16を形成した。
この1組の積層物16を実施例1と同様にして成形することによって、片面に銅箔が、他の片面にアルミニウム板が一体化された封止樹脂体4に回路基板2の回路と部品1が内蔵された部品内蔵回路板Aを形成した。
これに通常のビアホール加工、回路パターン(金属導体5)の回路形成を行うことにより、封止樹脂体4内の回路基板2の回路パターン18と部品1と外側の回路パターンの電気的接続を行い、部品内蔵回路板Aをモジュール基板として仕上げた。このモジュール基板をモジュール単位の各個片に切断し、表面に部品を再度リフローにより半田付けして完成品を得た。
上記のようにして形成される部品内蔵回路板Aの厚み精度は±50μmであった。また、部品1の底面と回路基板2の表面との間の隙間にもフィラー充填樹脂成形材料3が充分に充填されていた。
(実施例3)
300mm×300mmサイズで厚み1.0mmのステンレス鋼製の成形用プレート10と、枠部分の幅が15mmの成形枠体11(外形300×300mmで厚みが0.35mm、ステンレス鋼製)と、比表面積4.2m2/gのシリカフィラーが85wt%充填されたエポキシ樹脂からなるBステージ状態のシート状(厚み100μm)のフィラー充填樹脂成形材料3と、比表面積3.5m2/gのシリカフィラーが50wt%充填されると共にゴム成分(ポリブタジエンゴム(ナガセ化成製の「R−45EPT」))が5wt%充填されたエポキシ樹脂からなるBステージ状態のシート状(厚み50μm)のフィラー充填樹脂成形材料3aと、片面に部品1(50μm厚みのIC)が実装された回路基板2(厚み100μmで基板サイズ275mm×275mmのFR−4基板、部品1の底面と回路基板2の表面との距離60μm)と、厚み75μmで350mm×350mmサイズ及び表面が粗化処理されたPETフィルム(フィルム12)とを準備する。
これを下から、成形用プレート10、成形用枠体11、粗面化処理されたPETフィルム(1枚)、ゴム成分含有の高メッキ付着性のフィラー充填樹脂成形材料3a(1枚)と、ゴム成分を含有しないフィラー充填樹脂成形材料3(2枚)、部品1を実装した回路基板2(IC実装面を上向きにする)、ゴム成分を含有しないフィラー充填樹脂成形材料3(2枚)、ゴム成分含有の高メッキ付着性のフィラー充填樹脂成形材料3a(1枚)と、粗面化処理されたPETフィルム(1枚)、成形用プレート10の順で重ね合せて積層物16を形成した。
この1組の積層物16を130℃に設定された成形機に投入する。次に、真空引き開始し、10分後に加圧1.96MPaの加熱加圧成形を行う。その後、さらに165℃で1時間の加熱硬化成形して成形を終了した。次に、成形機から取り出してPETフィルムを剥離することにより、両表面が粗面化された封止樹脂体4に回路基板2の回路と部品1が内蔵された部品内蔵基板15を形成した。
これに通常のアディティブ工法によりビアホール加工、回路パターン(金属導体5)の回路形成を行うことにより、封止樹脂体4内の回路基板2の回路パターン18と部品1と外側の回路パターンの電気的接続を行い、部品内蔵回路板Aを得た。
上記のようにして形成される部品内蔵回路板Aの厚み精度は±100μmであった。また、部品1の底面と回路基板2の表面との間の隙間にもフィラー充填樹脂成形材料3が充分に充填されていた。
(比較例)
300mm×300mmサイズで厚み1.0mmのステンレス鋼製の成形用プレート10と、比表面積6.0m2/gのシリカフィラーが85wt%充填されたエポキシ樹脂からなるBステージ状態のシート状(厚み100μm)のフィラー充填樹脂成形材料3と、両面に部品1(片面が100μm厚みのIC、もう一方の面に0402タイプのLCR部品)が実装された回路基板2(厚み100μmで基板サイズ275mm×275mmのFR−4基板、部品1の底面と回路基板2の表面との距離100μm)と、厚み35μmで350mm×350mmサイズの銅箔(フィルム12)とを準備する。
これを下から、成形用プレート10、銅箔(1枚)、フィラー充填樹脂成形材料3(3枚)、部品1を実装した回路基板2(IC実装面を上向きにする)、フィラー充填樹脂成形材料3(2枚)、銅箔(1枚)、成形用プレート10の順で重ね合せて積層物を形成した。
この1組の積層物を100℃に設定された成形機に投入する。次に、真空引き開始し、10分後に加圧0.3MPaの加熱加圧成形を行う。その後、さらに165℃で1時間の加熱硬化成形して成形を終了した。次に、成形機から取り出して、両面に銅箔が一体化された封止樹脂体4に回路基板2の回路と部品1が内蔵された部品内蔵回路板を形成した。
これに通常のスルホールメッキ加工、回路パターン(金属導体5)の回路形成を行うことにより、封止樹脂体4内の回路基板2の回路パターン18と部品1と外側の回路パターンの電気的接続を行い、部品内蔵回路板Aをモジュール基板として仕上げた。このモジュール基板をモジュール単位の各個片に切断し、表面に部品を再度リフローにより半田付けして完成品を得た。
上記のようにして形成される部品内蔵回路板Aの厚み精度は±220μmであった。また、部品1の底面と回路基板2の表面との間の隙間に充分なフィラー充填樹脂成形材料3が充填されておらず、空隙部が存在していた。