JP3714286B2 - 回路部品モジュールおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器における高電力回路などに使用される回路部品モジュールおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高性能化や小型化の要求に伴い、そこに使用される回路部品モジュールも高性能化や小型化が望まれている。この市場の要望に対応するため前記回路部品モジュールで使用される基板の多層化技術等の開発が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の回路部品モジュールは、単層基板、多層化基板に拘わらず、その最表層の基板上にも各種形状の回路部品が載置し接続されているためこの面の凹凸が激しく、その結果、真空チャックなどでこの回路部品モジュールを吸引して精度よく自動実装することが困難であるという問題を有していた。
【0004】
そこで本発明は、自動実装が容易な回路部品モジュールを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明の請求項1に記載の発明は、少なくとも一つの面に単数あるいは複数の配線パターンを設けた電気絶縁性基板と、前記単数あるいは複数の配線パターンに電気的に接続された回路部品と、前記電気絶縁性基板の少なくとも一つの面に、無機フィラーが70〜95質量%と熱硬化性樹脂を含む混合体を設けて電気絶縁封止した回路部品モジュールであって、前記混合体の熱硬化性樹脂は、液状の硬化性組成物と熱可塑性樹脂パウダーでなり、前記熱可塑性樹脂パウダーは前記液状硬化性組成物の液状成分を吸収して膨潤し固形状を示す固形状硬化組成物を用いた回路部品モジュールとする構成としたものであり、混合体を設けることにより、回路部品モジュールを精度よく自動実装することが可能になるという作用効果が得られる。また、回路部品から発生する熱を速やかに放熱することができ、さらに回路部品と合致した熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧などにより電気絶縁封止することができるという作用効果が得られる。
【0006】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、請求項1に記載の回路部品モジュールが複数個積層され、少なくともその側面で少なくとも二個の前記回路部品モジュールが電気的に接続されてなる構成を有しており、多層構造にすることにより、より高密度に回路部品を実装することができ、かつ回路を多段に分散して配置することにより浮遊容量や配線インダクタンスが低くでき、その結果、ノイズが低減するという作用効果が得られる。
【0007】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、回路部品として能動部品を含む構成としたものであり、高機能の回路が形成できるという作用効果が得られる。
【0008】
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、能動部品としてパワー半導体および半導体ベアーチップを含み、前記半導体ベアーチップは配線パターンにフリップチップボンディングされてなる構成としたものであり、高電力および配線の簡略化が可能になるという作用効果が得られる。
【0009】
本発明の請求項5に記載の発明は、特に、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂あるいはシアネート樹脂の少なくとも一つである構成としたものであり、耐熱性や電気絶縁性に優れるという作用効果が得られる。
【0010】
本発明の請求項6に記載の発明は、特に、無機フィラーは、Al2O3,MgO,BN,AlNあるいはSiO2の少なくとも一つである構成としたものであり、線膨張係数を大きくあるいは小さく設定でき、また誘電率を小さくすることができ、放熱性に優れた回路部品モジュールを得られるという作用効果が得られる。
【0011】
本発明の請求項7に記載の発明は、特に、無機フィラーの粒径が0.1〜100μmである構成としたものであり、熱硬化性樹脂への充填率を高くでき、その結果、熱伝導率が向上するという作用効果が得られる。
【0012】
本発明の請求項8に記載の発明は、特に、配線パターンは、厚みが50〜300μmの銅を主成分とするめっきでなる構成としたものであり、熱伝導率が高くなり、微細なパターンが形成でき、またパターン厚みを厚くすれば大電流回路も形成できるという作用効果が得られる。
【0013】
本発明の請求項9に記載の発明は、特に、貫通孔に導電性樹脂組成物の充填あるいは銅めっきによるスルーホールを設け、前記スルーホールの両端が、前記電気絶縁性基板の両面に設けた金属箔でなる配線パターンと電気的接続を有する構成としたものであり、電気抵抗が低く、小型化が可能になるという作用効果が得られる。
【0014】
本発明の請求項10に記載の発明は、特に、混合体は、添加剤として分散剤、着色剤、カップリング剤あるいは離型剤の少なくとも一つを含む構成としたものであり、それぞれ以下の作用効果が得られる。すなわち、分散剤を用いることにより熱硬化性樹脂中のフィラーをより均一に分散させることができ、その結果、放熱性を向上させることができる。着色剤を用いることにより任意に着色することができ、その結果、放熱性を向上させることができる。カップリング剤を用いることにより熱硬化性樹脂と無機フィラーとの接着強度を強くすることができ、その結果、絶縁性を向上させることができる。離型剤を用いることにより形成用金型と混合体の離型性を向上させることができ、その結果、生産性を向上させることができるという作用効果が得られる。
【0015】
本発明の請求項11に記載の発明は、特に、熱硬化性樹脂は、固形の樹脂でなる難燃剤を組成物とする構成としたものであり、固形の難燃剤の量を制御することにより粘度を任意に設定できるという作用効果が得られる。
【0016】
本発明の請求項12に記載の発明は、特に、混合体は、線膨張係数が8×10-6〜20×10-6/℃である無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む構成としたものであり、硬化後の反りや歪を小さくできるという作用効果が得られる。
【0017】
本発明の請求項13に記載の発明は、特に、混合体は、回路部品を外気から遮断できる無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む構成としたものであり、湿度による回路部品への影響を防止できるという作用効果が得られる。
【0018】
本発明の請求項14に記載の発明は、無機フィラーを70〜95質量%と未硬化状態の熱硬化性樹脂を含む混合体をシート形状にする加工工程と、少なくとも一つの面に単数あるいは複数の配線パターンが形成された電気絶縁性基板に回路部品を載置し電気的に接続する実装工程と、前記実装工程にて前記回路部品を実装した前記電気絶縁性基板と前記加工工程にて得たシート形状の混合体を積層し結合する外装工程とを有し、前記混合体は、液状の硬化性組成物と熱可塑性樹脂パウダーでなり、前記熱可塑性樹脂パウダーは前記液状の硬化性組成物の液状成分を吸収して膨潤し、固形状を示す固形状硬化組成物を用いた回路部品モジュールの製造方法としたものであり、混合体を設けることにより、回路部品モジュールを精度よく自動実装することが可能になるという作用効果が得られる。また、放熱性に優れ、回路部品と合致した熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧などにより電気絶縁封止をすることができるという作用効果が得られる。
【0019】
本発明の請求項15に記載の発明は、特に、請求項14に記載の回路部品を実装した電気絶縁性基板とシート形状の混合体をそれぞれ複数用いて積層し結合する外装工程と、電気的に接続する接続工程でなる回路部品モジュールの製造方法としたものであり、高密度実装とノイズ低減が実現できるという作用効果が得られる。
【0020】
本発明の請求項16に記載の発明は、特に、外装工程において結合する方法として150〜200℃で加熱し熱硬化によって封止する構成としたものであり、200℃以下の硬化温度により回路部品に大きな熱的、機械的ダメージを与えることなく硬化できるという作用効果が得られる。
【0021】
本発明の請求項17に記載の発明は、特に、外装工程において結合する方法として49〜1961×104Paで加圧しながら加熱し熱硬化によって封止する構成としたものであり、加熱しながら加圧することで硬化後の機械的強度が向上するという作用効果が得られる。
【0022】
本発明の請求項18に記載の発明は、特に、外装工程において結合する方法として熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高い温度で硬化する構成としたものであり、形成用金型などから硬化後の回路部品モジュールを容易に取出せるという作用効果が得られる。
【0023】
本発明の請求項19に記載の発明は、特に、外装工程において結合する方法として熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低い温度で半硬化させた後恒温炉により前記熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高い温度で硬化する構成としたものであり、形成用金型など全体を硬化温度以下の状態で、硬化途中の回路部品モジュールを形成用金型から取出すことが可能である十分な硬度にできるため短時間で形成用金型を開くことができ、その結果、生産性が上がるという作用効果が得られる。
【0024】
本発明の請求項20に記載の発明は、特に、実装工程において接続する方法としてはんだを用いる構成としたものであり、回路部品と配線パターンが電気的、機械的に支障無く確実に接続できるという作用効果が得られる。
【0025】
本発明の請求項21に記載の発明は、特に、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、フェノール樹脂あるいはシアネート樹脂の少なくとも一つを用いる構成としたものであり、耐熱性や電気絶縁性に優れるという作用効果が得られる。
【0026】
本発明の請求項22に記載の発明は、特に、無機フィラーとしてAl2O3,MgO,BN,AlNあるいはSiO2の少なくとも一つを用いる構成としたものであり、線膨張係数を大きくあるいは小さく設定でき、また誘電率を小さくでき、放熱性に優れた電気絶縁性基板が得られるという作用効果が得られる。
【0027】
本発明の請求項23に記載の発明は、特に、粒径が0.1〜100μmである無機フィラーを用いる構成としたものであり、熱硬化性樹脂への充填率が高くでき、熱伝導率が向上するという作用効果が得られる。
【0028】
本発明の請求項24に記載の発明は、特に、加工工程でシート形状にする方法としてドクターブレード法、コーター法、押出し成形法あるいは圧延法の少なくとも一つの方法を用いる構成としたものであり、上記方法でシート形状とすることにより、ハンドリングなど操作性、作業性が向上するという作用効果が得られる。
【0029】
本発明の請求項25に記載の発明は、特に、シート形状の混合体はフィルム上に搭載し貼付されて供給される構成としたものであり、粘着性の高い樹脂材でなるシート形状の混合体を、一時的にストックあるいは供給する際の作業性を向上させることができるという作用効果が得られる。
【0030】
本発明の請求項26に記載の発明は、特に、混合体として分散剤、着色剤、カップリング剤あるいは離型剤の少なくとも一つの添加剤を含む混合体を用いる構成としたものであり、それぞれ以下の作用効果が得られる。すなわち、分散剤を用いることにより熱硬化性樹脂中の無機フィラーをより均一に分散させることができ、その結果、放熱性を向上させることができる。着色剤を用いることにより任意に着色することができ、その結果、放熱性を向上させることができる。カップリング剤を用いることにより熱硬化性樹脂と無機フィラーとの接着強度を強くすることができ、その結果、絶縁性を向上させることができる。離型剤を用いることにより形成用金型と混合体の離型性を向上させることができ、その結果、生産性を向上させることができる。
【0031】
本発明の請求項27に記載の発明は、特に、少なくとも一面の配線パターンの形成方法としてめっきを用いる構成としたものであり、回路部品との接合性や配線パターンの錆の発生を防止できるという作用効果が得られる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回路部品モジュールおよびその製造方法について実施の形態および図面を用いて説明する。
【0034】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1および図1、図3を用いて、本発明の特に請求項1、3〜14、16〜27に記載の発明について説明する。
【0035】
図1は本発明の実施の形態1における回路部品モジュールの製造工程を示す要部断面図である。
【0036】
図1において、1は電気絶縁性基板であり、耐熱性、耐薬品性、対環境性に優れ、電気的絶縁性で機械的、物理的および化学的特性の優れたポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などの基材により成っている。
【0037】
また高密度実装が必要な場合には、電気絶縁性基板1に一個あるいは複数個の貫通孔7が設けられ、この貫通孔7内に導電性樹脂組成物の充填あるいは銅めっきによるスルーホール9が形成され、このスルーホール9の両端が、前記電気絶縁性基板1の両面に形成された後述する金属箔でなる配線パターン2に接続してなる構成としたものを使用する。
【0038】
このようにスルーホール9を用いて形成した電気絶縁性基板1を使用すれば、配線が短くて電気抵抗が低く、小型化が可能になる。
【0039】
2は電気絶縁性基板1の片面あるいは両面に配設された配線パターンであり、銅材あるいはめっきを施した銅材による箔の積層や、厚みを50〜300μmとした銅を主成分とするめっきにより形成されている。
【0040】
このように銅材を使用すれば熱伝導率を高くでき、また導電性も良いため微細パターンの形成が可能になり、さらに厚みを厚くすれば大電流回路の形成が容易となる。また、めっきを施すことにより回路部品4などとの接合性や配線パターン2の錆の発生を防止することができる。
【0041】
3は電気絶縁性基板1の周端部に配設され、外部と接続するための接続端子であり、前記配線パターン2と一体あるいは別個の導電性金属材で形成されている。
【0042】
4は前記配線パターン2の所定箇所に載置され、はんだ8により電気的および機械的に接続された回路部品であり、この回路部品としては能動部品のみでも能動部品および受動部品でもよい。
【0043】
能動部品としては、例えば高電力用を含むトランジスタ、ダイオード、ICおよびLSIなどの半導体素子が用いられ、高機能の回路を形成することができる。
【0044】
受動部品としては、例えばチップ抵抗器、チップコンデンサ、チップインダクタおよびチップ複合部品などが用いられ、前記チップ部品を用いることにより、後述する混合体(封止材)に容易に埋設させることができる。
【0045】
なお、4aは回路部品としてのフリップチップ型能動部品(ベアチップ)であり、配線パターン2の所定箇所に直接フリップチップボンディングされて接合される。
【0046】
ここでパワー半導体およびフリップチップボンディングされた半導体ベアーチップを使用することにより、高電力および配線の簡略化が可能になる。
【0047】
5は上側の混合体(封止材)、6は同じく下側の混合体(封止材)であり、これら混合体5,6は主に70〜95質量%の無機フィラーと熱硬化性樹脂により構成されており、前記電気絶縁性基板1とフリップチップ型能動部品4aを含む回路部品4および接続端子3の一部を電気絶縁封止するのである。
【0048】
混合体5,6における熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはシアネート樹脂の少なくとも一つを使用している。また、固形の樹脂でなる難燃剤を組成物とする熱硬化性樹脂を使用してもよい。
【0049】
また、混合体5,6における無機フィラーとしては、粒径が0.1〜100μmであるAl2O3,MgO,BN,AlNあるいはSiO2の少なくとも一つを使用している。
【0050】
このように粒径が0.1〜100μmの無機フィラーを用いることにより熱硬化性樹脂への充填率が高くでき、より熱伝導率を向上させることができる。
【0051】
また、無機フィラーとしてMgOを使用すれば、電気絶縁性基板1の線膨張係数を大きくすることができ、SiO2を使用すれば電気絶縁性基板1の誘電率を小さくすることができ、BNを使用すれば電気絶縁性基板1の線膨張係数を小さくすることができる。
【0052】
さて、混合体5,6には添加剤として分散剤、着色剤、カップリング剤あるいは離型剤の少なくとも一つを含有させている。
【0053】
分散剤を添加することにより、熱硬化性樹脂中の無機フィラーをより均一に分散させることができ、着色剤を添加することにより、混合体5,6を任意に着色することができ、回路部品モジュール10の放熱性を向上させることができる。
【0054】
また、カップリング剤を添加することにより、熱硬化性樹脂と無機フィラーとの接着強度を高くすることができて、混合体5,6の絶縁性を向上させることができる。また、離型剤を添加することにより、形成用金型などと混合体5,6の離型性を向上させることができ、その結果、生産性を向上させることができる。
【0055】
固形の樹脂でなる難燃剤を組成物とする熱硬化性樹脂を用いる場合この量を設定することにより、粘度を任意にコントロールすることができ、また線膨張係数を設定することにより混合体5,6の硬化後における反りや歪を小さくすることができる。
【0056】
回路部品4が混合体(封止材)5,6により、外気から遮断されていることによって湿度による影響が防止でき、回路部品4の信頼性維持が図れるのである。
【0057】
さらに、線膨張係数が8×10-6〜20×10-6/℃となる無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む混合体5,6を使用したり、回路部品4を外気から遮断できる無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む混合体5,6を使用する場合もあり、また、前者の無機フィラーと後者の無機フィラーを同時に用いてもよい。
【0058】
以上の部材を用いて図1(b)に示すように、回路部品4および接続端子3を載置した電気絶縁性基板1を混合体5および混合体6により上下より挟持して封止した後、接続端子3を所定形状に加工して回路部品モジュール10を完成させるのである。
【0059】
以上のような構成により、自動実装が容易な回路部品モジュール10とすることができる。また、回路部品4から発生する熱を速やかに放熱することができるとともに耐熱性や電気絶縁性に優れたものとすることができる。
【0060】
なお、上記混合体5および混合体6は必ずしも電気絶縁性基板1の両面に形成する必要はなく、どちらか片面のみとしてもよい。
【0061】
次に、この製造方法について図1を用いて説明する。
【0062】
基本的には、加工工程(図示せず)において混合体5,6をシート形状とし、次に実装工程(図示せず)においてフリップチップボンディングにより電気絶縁性基板1に載置したフリップチップ型能動部品4aおよび電気絶縁性基板1に載置した回路部品4をそれぞれはんだにより前記電気絶縁性基板1の配線パターン2に電気的に接続し、その後、外装工程において前記混合体5,6を前記電気絶縁性基板1の上下に配置し、積層し結合する方法である。
【0063】
前記加工工程において、混合体5,6はドクターブレード法、コーター法、押出し成形法あるいは圧延法の少なくとも一つの方法によりシート形状とするのである。
【0064】
また、混合体5,6は液状の硬化性組成物と熱可塑性樹脂パウダーでなり、前記熱可塑性樹脂パウダーは液状硬化性組成物の液状成分を吸収して膨潤し、固形状を示す固形状硬化組成物を用いることもでき、これをシート形状とする。
【0065】
前記外装工程においては、回路部品4などを実装した電気絶縁性基板1とシート形状の混合体5,6を積層して結合し、49〜1961×104Paで加圧しながら、混合体5,6の熱硬化性樹脂の硬化温度より高い温度、例えば150〜200℃で加熱し混合体を熱硬化させて封止する。
【0066】
あるいは、前記混合体5,6の熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低い温度で半硬化させた後、前記熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高い温度に設定された恒温炉などに投入し、所定時間熱硬化させて封止するのである。
【0067】
以上の製造方法により、放熱性に優れ、回路部品と合致した熱伝導度、線膨張係数、誘電率、絶縁耐圧などにより電気絶縁封止することができ、また、構成基板全体を封止することにより、回路部品モジュール自体の精度のよい自動実装も可能になる。
【0068】
また、混合体5,6を熱硬化性樹脂の硬化温度よりは高く、かつ200℃以下で硬化させることにより、回路部品4などに影響を与えることなく硬化させることができ、形成用金型全体を硬化温度以上に上げ、なおかつ形成用金型から取出すことが可能になる十分な硬度になる時間まで加熱するので、形成用金型などから取出す作業が可能となる。
【0069】
さらにまた、加熱しながら加圧することにより機械的強度の高い回路部品モジュール10を形成することができる。
【0070】
混合体5,6を一旦例えば100℃以下の温度で半硬化させた後最終硬化させることにより、形成用金型など全体を硬化温度以下の状態で、生産途中の回路部品モジュール10を前記形成用金型から取出すことが可能になる十分な硬度にできるため短時間で前記形成用金型を開くことができ、その結果、生産性を向上させることができる。
【0071】
また、一般的なエポキシ樹脂などは温度を硬化温度より高くしないと、形成用金型から取出すことが可能になる十分な硬度にならないが、液状の硬化性組成物に熱可塑性樹脂パウダーを混合したものを用いた場合、その熱可塑性樹脂パウダーは液状の硬化性組成物の液状成分を吸収して膨潤し、組成物全体としては固形状を示す。
【0072】
したがって、この固形状硬化組成物を用いた場合には、金型全体を硬化温度以下の状態で、金型から取出すことが可能になる十分な硬度にすることができるため短時間で金型を開くことができ、その結果、生産性を上げることができるのである。
【0073】
さらにまた、混合体5,6をシート形状にすることにより、工程におけるハンドリングなど作業性が向上するのである。
【0074】
次に、図3を用いて混合体5,6の搬送供給形態について説明する。
【0075】
前記で説明した混合体5あるいは混合体6は、例えば押出し成形法によってシート形状に成形されて、離型剤などを塗布したポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材でなる離型性フィルム15の上に、所定間隔で配設(造膜)される。
【0076】
すなわち、シート形状の混合体5,6が離型性フィルム15の上に搭載し貼付されて搬送供給される構成としたものであり、これにより粘着性の高い樹脂材でなるシート形状の混合体5,6を、一時的にストックあるいは搬送供給する際の作業性を向上させることができるのである。
【0077】
(実施の形態2)
本実施の形態2および図2を用いて、本発明の特に請求項2、請求項15に記載の発明について説明する。
【0078】
図2は本発明の実施の形態2における回路部品モジュールの要部断面図である。
【0079】
図2において、10aは前記実施の形態1で説明した回路部品モジュール10と同じ構成および製造方法でなる回路部品モジュール、13は回路部品モジュール10と回路部品モジュール10aにおける側面において、必要な電気的接続を行うための接続箇所であり、11は多積層型回路部品モジュールである。
【0080】
すなわち、個別の回路部品モジュール10,10aを積層、あるいは同時に一体で形成し、接続箇所13においてはんだ付け、かしめ、レーザ加工などにより電気的接続を行い、多積層型回路部品モジュール11を完成させるのである。なお、積層数は2層のみでなく、必要に応じて3層以上としてもよい。
【0081】
さて、一般的に、多積層型回路部品モジュールにおいて同一面上に機能が同一のラインを接続した場合ループが発生し、その結果、ノイズの発生や相互の影響を受けやすいという不具合が発生することがある。
【0082】
しかし、本発明の多積層型回路部品モジュール11は、前記の不具合を低減することができ、かつ、高放熱性を確保できるものである。
【0083】
すなわち、放熱性を向上させた従来の基板、例えば、金属ベース基板の表面に絶縁層を設けたものは、放熱性を向上させるためその絶縁層の厚みを数十μm程度としているので、前記不具合を低減することが困難である。
【0084】
一方、本発明の多積層型回路部品モジュール11で用いる電気絶縁性基板1はその厚みを前記不具合を低減することが可能な厚み、例えば0.2〜0.5mmとすることができ、また、本発明の構成により高放熱性も確保できるものである。
【0085】
以上のように、前記積層構造にすることにより配線インダクタンスや浮遊容量などを低減することができ、その結果、ノイズや電気的損失の低減および高密度実装が実現できるのである。
【0086】
【発明の効果】
以上のように本発明は、少なくとも一つの面に単数あるいは複数の配線パターンを設けた電気絶縁性基板と、前記単数あるいは複数の配線パターンに電気的に接続された回路部品と、前記電気絶縁性基板の少なくとも一つの面に無機フィラーが70〜95質量%と熱硬化性樹脂を含む混合体を設けて電気絶縁封止した回路部品モジュールであり、高熱伝導性で液状の硬化性組成物と液状の硬化性組成物の液状成分を吸収し膨潤し固形状と成す固形状硬化組成物の熱可塑性樹脂パウダーでなる電気絶縁性の混合体(封止材)で封止し、100℃程度の温度で半硬化状態にでき、短時間で形成用金型から取り出せ、さらに回路部品モジュールの上面を平坦にすることにより、真空チャックなどの吸引による自動実装が可能となる。また、この混合体により電気絶縁性基板の上に実装された回路部品の発熱を均一に伝達して放熱するため回路部品が高温になるのを防止できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態における回路部品モジュールの製造工程を示す要部断面図
(b)同回路部品モジュールの要部断面図
【図2】本発明の一実施の形態における回路部品モジュールの要部断面図
【図3】本発明の一実施の形態の製造工程を示す断面図
【符号の説明】
1 電気絶縁性基板
2 配線パターン
3 接続端子
4 回路部品
4a フリップチップ型能動部品(ベアチップ)
5 混合体(封止材)
6 混合体(封止材)
7 貫通孔
8 はんだ
9 スルーホール
10,10a 回路部品モジュール
11 多積層型回路部品モジュール
13 接続箇所
15 離型性フィルム
Claims (27)
- 少なくとも一つの面に単数あるいは複数の配線パターンを設けた電気絶縁性基板と、前記単数あるいは複数の配線パターンに電気的に接続された回路部品と、前記電気絶縁性基板の少なくとも一つの面に、無機フィラーが70〜95質量%と熱硬化性樹脂を含む混合体を設けて電気絶縁封止した回路部品モジュールであって、前記混合体の熱硬化性樹脂は、液状の硬化性組成物と熱可塑性樹脂パウダーでなり、前記熱可塑性樹脂パウダーは前記液状硬化性組成物の液状成分を吸収して膨潤し固形状を示す固形状硬化組成物を用いることを特徴とする回路部品モジュール。
- 請求項1に記載の回路部品モジュールが複数個積層され、少なくともその側面で少なくとも二個の前記回路部品モジュールが電気的に接続されてなる回路部品モジュール。
- 回路部品として能動部品を含む請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 能動部品としてパワー半導体および半導体ベアーチップを含み、前記半導体ベアーチップは配線パターンにフリップチップボンディングされてなる請求項3に記載の回路部品モジュール。
- 熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂あるいはシアネート樹脂の少なくとも一つである請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 無機フィラーは、Al2O3,MgO,BN,AlNあるいはSiO2の少なくとも一つである請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 無機フィラーの粒径が0.1〜100μmである請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 配線パターンは、厚みが50〜300μmの銅を主成分とするめっきでなる請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 電気絶縁性基板に貫通孔を設け、前記貫通孔に導電性樹脂組成物の充填あるいは銅めっきによるスルーホールを設け、前記スルーホールの両端が、前記電気絶縁性基板の両面に設けた金属箔でなる配線パターンと電気的接続を有する請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 混合体は、添加剤として分散剤、着色剤、カップリング剤あるいは離型剤の少なくとも一つを含む請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 熱硬化性樹脂は、固形の樹脂でなる難燃剤を組成物とする請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 混合体は線膨張係数が8×10-6〜20×10-6/℃である無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 混合体は、回路部品を外気から遮断できる無機フィラーと熱硬化性樹脂を含む請求項1あるいは請求項2に記載の回路部品モジュール。
- 無機フィラーを70〜95質量%と未硬化状態の熱硬化性樹脂を含む混合体をシート形状にする加工工程と、少なくとも一つの面に単数あるいは複数の配線パターンが形成された電気絶縁性基板に回路部品を載置し電気的に接続する実装工程と、前記実装工程にて前記回路部品を実装した前記電気絶縁性基板と前記加工工程にて得たシート形状の混合体を積層し結合する外装工程とを有し、前記混合体は、液状の硬化性組成物と熱可塑性樹脂パウダーでなり、前記熱可塑性樹脂パウダーは前記液状の硬化性組成物の液状成分を吸収して膨潤し、固形状を示す固形状硬化組成物を用いたことを特徴とする回路部品モジュールの製造方法。
- 請求項14に記載の回路部品を実装した電気絶縁性基板とシート形状の混合体をそれぞれ複数用いて積層し結合する外装工程と、電気的に接続する接続工程でなる回路部品モジュールの製造方法。
- 外装工程において結合する方法として150〜200℃で加熱し熱硬化によって封止する請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 外装工程において結合する方法として49〜1961×104Paで加圧しながら加熱し熱硬化によって封止する請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 外装工程において結合する方法として熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高い温度で硬化する請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 外装工程において結合する方法として熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低い温度で半硬化させた後恒温炉により前記熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高い温度で硬化する請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 実装工程において接続する方法としてはんだを用いる請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、フェノール樹脂あるいはシアネート樹脂の少なくとも一つを用いる請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 無機フィラーとしてAl2O3,MgO,BN,AlNあるいはSiO2の少なくとも一つを用いる請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 粒径が0.1〜100μmである無機フィラーを用いる請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 加工工程でシート形状にする方法としてドクターブレード法、コーター法、押出し成形法あるいは圧延法の少なくとも一つの方法を用いる請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- シート形状の混合体はフィルム上に搭載し貼付されて供給される請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 混合体として分散剤、着色剤、カップリング剤あるいは離型剤の少なくとも一つの添加剤を含む混合体を用いる請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
- 少なくとも一面の配線パターンの形成方法としてめっきを用いる請求項14あるいは請求項15に記載の回路部品モジュールの製造方法。
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