JP4959201B2 - カチオン性樹脂変性シリカ分散液 - Google Patents

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本発明は、新規なカチオン性樹脂変性シリカ分散液に関する。詳しくは、カチオン性樹脂と混合して変性された高比表面積のシリカの高濃度分散液でありながら、保存安定性、透明性に優れたカチオン性樹脂変性シリカ分散液を提供するものである。
シリカ分散液は、インクジェット用記録紙におけるインクの受容のための塗工層の形成用材料として、また、フィルム・樹脂・ガラス・金属等の表面にガスバリヤ性、耐食性、親水性、光沢性、吸液性、絶縁性等を付与するための各種コーティング剤や半導体ウェハーやIC研磨剤、エマルジョンの安定化剤等の調製に使用されている。
特に、シリカを極性溶媒中に分散したシリカ分散液をカチオン性樹脂と混合し、シリカ表面をカチオン化した後、該分散液中のシリカ粒子の凝集粒子を高圧ホモジナイザーや湿式メディア型粉砕機を用いて機械的にサブミクロンオーダーまで微粒化したカチオン性樹脂変性シリカ分散液については、多くの研究が行われており、写真調インクジェット用記録紙における塗工層形成用材料として提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
シリカ分散液に使用されるシリカの中で、珪酸ソーダと鉱酸の反応で析出させて得られる湿式シリカは、(1)他の製法で製造されるシリカよりも安価である、(2)一次粒子内に内部細孔を有しているため吸液性が高い、(3)塗工液調製時にシリカ分散液と混合するポリビニルアルコールやゼラチン等の有機系バインダーに対する安定性が高い、等の利点を有しており、シリカ分散液のシリカ源として好ましく使用されている。
一方、インクジェット用記録紙の塗工液形成材料として使用されるシリカ分散液は、塗工液濃度の高濃度化や輸送コストの低減などにより高濃度の分散液の供給が望まれているが、従来技術により得られた湿式シリカを使用したカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、シリカ濃度が高濃度のとき、保存安定性が著しく低下するという問題があった。そのための改善策として、本発明者らは、BET比表面積170〜230m/gの湿式シリカを微粒化処理した後、特定のカチオン性樹脂と混合・分散処理を行うことにより、透明性と保存安定性に優れたカチオン性樹脂変性湿式シリカ分散液を提案している(特許文献4参照)。
上記技術においては、近年、写真調インクジェットプリンタ技術の向上から、更に透明性が高い湿式シリカ分散液が望まれている。湿式シリカ分散液の透明性を上げるには、比表面積の高い湿式シリカ、即ち、一次粒子径の小さな湿式シリカを使用すること、及び、該シリカの粒子を該分散液中にサブミクロンオーダーまで微粒化することにより達成できる。
しかし、BET比表面積が250m/g以上である高比表面積の湿式シリカを用いたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、シリカ濃度が高濃度、特に15重量%以上になった時、サブミクロンオーダーまで微粒化しても該シリカ分散液の保存安定性が著しく低下するという問題があった。
特開平10−181190号公報 特開平11−321079号公報 特開2000−239536号公報 特願2004−258136号公報 特開2003−253080号公報 特開2004−195779号公報 特開2005−262604号公報
従って、本発明の目的は、極性溶媒中に高濃度で湿式シリカを分散させたカチオン性樹脂変性シリカ分散液であって、透明性が高く、且つ、保存安定性にも優れたカチオン性樹脂変性シリカ分散液を提供することにある。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、極性溶媒中において、BET250m/g以上の湿式シリカに乾式シリカを特定の配合比で混合した後、微粒化することにより、前記目的を達成したカチオン性樹脂変性シリカ分散液が得られることを見出し、本発明を完成することに至った。
即ち、本発明は、BET比表面積250m/g以上の湿式シリカと乾式シリカとをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散した、総シリカ濃度が15重量%以上で、且つ、該シリカ粒子の平均粒子径が300nm未満のシリカ分散液であって、上記乾式シリカが湿式シリカ100重量に対して、8〜22重量部の配合比となるように配合され、該シリカ分散液を構成する極性溶媒と同種の極性溶媒を使用してシリカ濃度が1.5重量%となるように該シリカ分散液を希釈した液の測定波長700nmの吸光度(τ)から式(1)で求める透過率(T)が58%以上であり、且つ、製造直後の該シリカ分散液の粘度(A(mPa・s))と25℃の環境下で10日間静置保存した該シリカ分散液の粘度(B(mPa・s))から式(2)で求める保存安定性指数Δμが2.5未満であることを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液である。
T(%)=10 (2−τ) (1)
Δμ=B/A (2)
尚、湿式シリカと乾式シリカを混合したシリカ分散液も提案されている(前記特許文献5〜7参照)が、かかる技術において、湿式シリカ分散液に乾式シリカを混合する目的は、(1)乾式シリカ単独のシリカ分散液と比較して、有機バインダー等と混合して得られる塗工液の安定性が良くなる、(2)塗工液の高濃度化による低コストインクジェット用記録紙の提供、(3)塗工層の塗工欠陥及び塗工層表面のひび割れ回避、などにある。また、実施例において採用される上記乾式シリカの配合比率も本発明の範囲よりも多いか、或いは、低比表面積の湿式シリカが使用されている。
従って、これらの文献には、BET比表面積250m/g以上の湿式シリカを使用し、シリカ濃度が高い場合に、乾式シリカを前記特定量添加すること、及び、それによるカチオン性樹脂変性シリカ分散液の透明性及び保存安定性の優れた効果についてはなんら示唆されていない。
本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、カチオン性樹脂と混合して変性された高比表面積のシリカの高濃度分散液でありながら、保存安定性、透明性に優れたものであり、インクジェット用記録紙の塗工層形成材料をはじめ、各種コーティング剤の原料として好適に使用することができる。
(湿式シリカ)
本発明に用いられる湿式シリカは、珪酸ソーダを鉱酸で中和することによって溶液中で析出させて得られる、「ホワイトカーボン」とも称されるものである。また、上記中和反応により析出した湿式シリカは、ろ過や洗浄後に乾燥を施さないで、湿式シリカケークの状態で使用することが、乾燥粉を使用する場合と比較してシリカ粒子の凝集力が小さいため、分散性が良く、好ましく使用される。
また、湿式シリカをケークで使用する場合、湿式シリカケークはシリカの比表面積が高くなると水分含有率が高くなり濃度が低下するので、シリカ分散液中のシリカ濃度を高め、且つ、分散性も良くするためには、湿式シリカケークと湿式シリカ粉(乾燥物)とを混合し、シリカ濃度を高めて使用することが好ましい。勿論、本発明において、湿式シリカは乾燥粉のみで使用することも可能である。
本発明に用いられる湿式シリカは、BET比表面積が250m/g以上であることが、透明性が高く、且つ、保存安定性に優れたカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得るために必要である。
即ち、上記BET比表面積が250m/g未満である湿式シリカは、一次粒子径が大きいため、これを用いたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の透明性が低下する。
尚、上記BET比表面積とは、多分子層吸着理論を応用して測定される比表面積であり、シリカの平均一次粒径に相当すると考えられている(J.Am.Chem.Soc.60,P309(1938)参照)。また、粉体物性図説(粉体工学研究会、日本粉体工業協会編,P85(1975))に記載されているように、一次粒子を球形であると仮定すれば、比表面積と一次粒子の平均径には下記数式(1)の関係があり、比表面積が大きいほど平均一次粒径は微小となる。
D=6/(S・ρ) (1)
(ここで、Dは平均一次粒子径、Sは比表面積、ρは粒子の密度を示す。)。
(乾式シリカ)
本発明に用いられる乾式シリカは、四塩化珪素などのシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるものであり、「ヒュームドシリカ」とも称されている。一般に、乾式シリカは、比表面積が30〜500m2/gの範囲のものが入手可能であり、これらの乾式シリカが特に制限なく使用される。
(極性溶媒)
本発明において用いられる極性溶媒は、湿式シリカ及びカチオン性樹脂が分散し易い極性溶媒であれば特に制限はない。かかる極性溶媒としては、水が最も好ましい。勿論、水以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用でき、また、水と上記極性溶媒との混合溶媒も好適に使用できる。
尚、シリカ粒子の保存安定性や分散性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、シランカップリング剤等の界面活性剤や防黴剤等を少量添加しても良い。
(カチオン性樹脂)
また、本発明において用いられるカチオン性樹脂は、公知のカチオン性樹脂であって、水に溶解したときに解離してカチオン性を呈する樹脂であれば特に制限されない。
具体的なものを例示すると、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリアミンスルホン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ジシアンジアミドポリアルキル−ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の化合物及びこれらの塩酸塩、更にポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド及びジアリルジメチルアンモニウムクロライドとアクリルアミド等との共重合物、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリメタクリル酸エステルメチルクロライド4級塩等を挙げることができる。その中でも、カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ粒子の分散性及び保存安定性の観点から、ジアリルアミン誘導体の環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂が好ましい。
本発明において、カチオン性樹脂の平均分子量は、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液の保存安定性の観点から、20,000以下が好ましく、更に好ましくは、1,000〜15,000である。
尚、上記平均分子量とは、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーから求めたポリエチレン換算値である。
(カチオン性樹脂変性シリカ分散液)
本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液において、極性溶媒に分散しているシリカ粒子の平均粒子径は、300nm未満である。即ち、シリカの平均粒径が300nm以上の場合、該シリカ分散液を使用した塗工液を塗工した塗工層表面の平滑性が得られず、光沢が不足する。また、該シリカ分散液の透明性も低くなるので、塗工液の透明性が低くなり、塗工層の透明性が不足する。
尚、本発明において、平均粒子径とは、カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ凝集粒子の平均粒子径を指しており、光散乱回折式の粒度分布計で測定したときの体積基準算術平均径のことである。
上記分散液中のシリカの平均粒子径は、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液の透明性をより高め、これを使用して形成される塗工層において、光沢性、透明性とインク吸収性を高いレベルで両立させるため、特に、50nm〜250nm、好ましくは50nm〜200nmが推奨される。上記平均粒子径は、保存期間中においても、殆んど変化しない。
また、本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、上記平均粒子径のシリカ粒子を含有しながら、総シリカ濃度が15重量%以上、特に、18〜30重量%という高濃度の分散液を対象とするものである。即ち、カチオン性樹脂変性シリカ分散液のシリカ濃度の高濃度化の要求は、該分散液を用いた塗工液濃度の高濃度化や輸送コストの低減等において指摘される項目であり、このように微細なシリカが高濃度で分散しているカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、前記したように保存安定性が極めて悪く、改善の余地のあるものであった。かかる問題に対して、本発明においては、カチオン性樹脂変性シリカ分散液に分散せしめるシリカとして、湿式シリカに乾式シリカを併用した特定の組成を採用することによって、保存安定性を実現したものである。
即ち、本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、上記カチオン性樹脂変性シリカ分散液において、分散するシリカとして、湿式シリカに対して、特定の割合の乾式シリカを配合したシリカよりなり、その配合比が、湿式シリカ100重量部に対して、乾式シリカ8〜22重量部、好ましくは10〜20重量部となるように調整される。かかる湿式シリカに対する乾式シリカの配合比が、上記の範囲よりも低すぎても、高すぎても、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液の保存安定性が悪くなる。
このように、乾式シリカを湿式シリカに特定量配合することにより、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液において、湿式シリカを高濃度で含むシリカ分散液の粘度上昇を効果的に防止することができる。
本発明において、カチオン性樹脂は、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液の保存安定性を良くするために必要であり、また、後述する製造方法においても、分散液を増粘・ゲル化することなく安定に製造でき、且つ、得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度の上昇を防止する機能を有する。
カチオン性樹脂変性シリカ分散液における上記カチオン性樹脂の配合量は、総シリカ100重量部に対して、6〜15重量部、特に8〜12重量部とすることが好ましい。
尚、カチオン性樹脂の配合量に対するカチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度及び保存安定性は、配合するカチオン性樹脂の種類により多少異なるため、予め実験により、前記配合量の範囲より最適な量を選択することが好ましい。
本発明において、分散液の保存安定性や分散性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、シランカップリング剤等の界面活性剤や防カビ剤等を少量添加しても良い。
本発明によって得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、湿式シリカを使用したシリカ分散液において、総シリカ濃度が15重量%以上であるのにも関わらず、従来に無い、高い透明性と保存安定性を有している。
本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液の透過率は、上記構成により、58%以上を達成することができ、該分散液を用いて製造した塗工液の透明性が高く、塗工層の透明性を向上することができる。そして、塗工層の透明性が高くなると、塗工層に打ち込まれたインクの濃淡が鮮明となり、得られた画像の色に深みが出て、写真並みの画質を実現することができる。
尚、本発明において、透過率とは、シリカ分散液を構成する極性溶媒と同種の極性溶媒を使用してシリカ濃度が1.5重量%となるように該分散液を希釈した液について、測定波長700nmの吸光度(τ)を分光光度計により測定し、下記数式(2)により透過率(T)を求めた値である。
T(%)=10(2−τ) (2)
また、本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、高い保存安定性を示すが、保存安定指数は、2.5未満を達成することができる。この高い保存安定性により、本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、下記のメリットを有する。
(1)カチオン性樹脂変性シリカ分散液を充填した容器、タンク等からの該分散液排出時のハンドリング性が向上する。
(2)カチオン性樹脂変性シリカ分散液の配管輸送等の条件設定が安定して行える。
(3)カチオン性樹脂変性シリカ分散液を用いた塗工液の高粘度化による塗工液の物性変化及び塗工条件の設定が容易となる。
本発明において、上記の保存安定性指数は、製造直後のカチオン性樹脂変性シリカ分散液製造の粘度(A(mPa・s))及び室内、25℃の環境下で10日間静置保存した該分散液の粘度(B(mPa・s))を測定し、下記数式(3)によって、保存安定性指数(Δμ)を求めた値である。
Δμ=B/A (3)
数式(3)によって算出したΔμが1に近いほど、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度変化が少なく、保存安定性が高いといえる。
(カチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法)
本発明において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液は、極性溶媒中に、前記所定の比率、濃度で、BET比表面積250m/g以上の湿式シリカと乾式シリカとが、カチオン性樹脂と共に均一に分散していれば良いが、該分散液中の湿式シリカ、乾式シリカをできるだけ高分散させるために、下記の工程によって得られたものが好適に使用される。
即ち、湿式シリカと乾式シリカを極性溶媒中において、総シリカ濃度が15重量%以上となるように分散させ、目的の平均粒子径となるまで微粒化した後、カチオン性樹脂と混合・分散する方法が好ましい。
具体的には、湿式シリカと乾式シリカを極性溶媒中において均一に分散するように予備分散処理を行った後、目的の平均粒子径となるまで微粒化処理を行い、次いで、カチオン性樹脂の存在下で、分散処理する方法が挙げられる。
本発明において、湿式シリカと乾式シリカを極性溶媒中において均一に分散する予備分散処理に用いる分散機は特に制限されないが、具体的には、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼等を有する一般撹拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型撹拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサー、吸引式分散機などの分散機、更に、上記高速回転せん断型撹拌機とプロペラ羽根及びパドル翼を組み合わせた複合型分散機、プラネタリーミキサーと高速回転遠心放射型撹拌機又は高速せん断型撹拌機を組み合わせた複合型分散機等が挙げられる。
また、上記の予備分散処理において、総シリカ濃度15重量%以上のシリカ分散液を得る途中での増粘・ゲル化を効果的に防止するため、予備分散処理時のpHを5未満になるように調整することが好ましい。
予備分散処理時のpHを5未満に調整する方法としては、極性溶媒に予め硫酸等の鉱酸を添加してpH調整を行った後、該極性溶媒にシリカを添加しながら予備分散処理を行う方法、又はシリカと硫酸等の鉱酸を同時に添加して、pH調整を行いながら、予備分散処理を行う方法が好ましい。
本発明おいて、極性溶媒中に分散したシリカ粒子を目的の粒子径になるまで微粒化する微粒化処理に用いる微粒化装置は特に制限されないが、具体的には、サンドミル、ビーズミル等を用いた湿式メディア型分散機、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。中でも、凝集粒子の硬い湿式シリカを微粒化するには、粉砕メディア相互と比粉砕物との衝撃作用で微粒化粉砕する原理を採用する湿式メディア型分散機が好ましい。
一般に湿式メディア型粉砕機とは、平均粒子径0.01〜3mmφ程度のビーズをメディアとして用いる粉砕機であるが、本発明者らの知見によれば、使用するビーズは、平均粒子径が大きいほど、ビーズの磨耗による不純物の混入が多くなる傾向にある。そして、ビーズ由来による不純物の混入は、微粒化処理後のシリカ分散液の透明性を低下する原因となる。したがって、透明性の高いシリカ分散液を得るために、湿式メディア型粉砕機のメディアは、0.2mmφ未満のビーズであることが好ましい。また、上記湿式メディア型粉砕機に使用するビーズは、硬度の観点から、セラミック製、中でも、ジルコニア製であることが好ましい。
また、湿式メディア型粉砕機の接液部には、ジルコニア又はアルミナを主成分とするセラミック、或いはポリウレタン系又はポリエチレン系の樹脂などシリカに対して磨耗性の高い素材が好ましい。
上記の湿式メディア型粉砕機の代表例を具体的に例示すると、井上製作所製の商品名;マイティーミル、アイメックス製の商品名;ビスコミル、アシザワ製の商品名;アジテータミル、コトブキ技研工業製の商品名;スーパーアペックスミル、ウルトラアペックスミル及びウィリー・エ・バッコーフェン製の商品名;ダイノーミルなどを挙げることができる。
また、微粒化処理において、極性溶媒中のシリカ粒子の平均粒子径を200nm未満、且つ、シリカ濃度1.5重量%まで希釈した時の透過率が63%以上となるまで微粒化処理を行うことが好ましい。極性溶媒中のシリカ粒子の平均粒子径を200nm未満、且つ、透過率が63%以上となるまで微粒化処理を行わない場合、以降に続くカチオン性樹脂存在下で行う分散処理工程において、更にシリカ凝集粒子の微粒化が進み、その際に新たに生成したシリカ表面による強固な再凝集が発生するおそれがあり、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ粒子の平均粒子径が300nmを超える場合があるので好ましくない。
本発明において、シリカ分散液とカチオン性樹脂を混合・分散する分散処理に用いる分散機は、公知の分散機、例えば、高速回転遠心放射型撹拌機、高速回転せん断型撹拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサー、吸引式分散機などの一般分散機、高圧ホモジナイザー等の特殊分散機などや、更にこれらの分散機を組み合わせた複合型分散機を使用することができるが、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液において、シリカ粒子表面にカチオン性樹脂を均一に付着せしめ、より安定性の優れた分散液とするためには、カチオン性樹脂をシリカ表面にメカノケミカル的に均一に付着させることが可能な高圧ホモジナイザーを用いることが推奨される。かかる高圧ホモジナイザーの代表例を具体的に例示すると、ナノマイザー製の商品名;ナノマイザー、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びスギノマシン製のアルティマイザーなどを挙げることができる。
(その他の条件)
本発明において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造途中で増粘・ゲル化などを起こすことなくより安定的に製造するために、45℃以下、特に15〜40℃の温度範囲に制御することが好ましい。
上記温度範囲に制御する方式は特に限定されず、液の組成に影響を与えない公知の冷却手段が特に制限なく採用される。例えば、各分散槽外部へのジャケット式冷却器の設置、各分散槽内部への冷却配管設置、各機器入口又は出口配管部への熱交換器の設置、等の冷却手段を、適宜選択して適用すればよい。
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
なお、以下の方法によって、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性測定を行った。
(1)平均粒子径
シリカ分散液又はカチオン性樹脂変性シリカ分散液のシリカ濃度が10重量%となるように、該分散液をイオン交換水で希釈した後、光散乱回折式の粒度分布測定装置(コールター製、コールターLS−230)を用いて、体積基準算術平均径を測定し、この値を平均粒子径として採用した。
尚、測定に際しては、水(分散媒)の屈折率1.332及びシリカの屈折率1.458をパラメーターとして入力した。
(2)保存安定性指数
カチオン性樹脂変性シリカ分散液300gを500ml容器に採取し、30℃の恒温槽に10分間つけた後、B型粘度計(トキメック製、BL)を用いて60rpmの条件でカチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度を測定し、前述した式(3)により保存安定性指数(Δμ)を算出した。
(3)透過率
シリカ分散液又はカチオン性樹脂変性シリカ分散液のシリカ濃度が1.5重量%となるように、該分散液をイオン交換水で希釈した後、この希釈液の吸光度(τ)を分光光度計(日本分光製、Ubest−35型)を用いて測定し、前述した式(2)により透過率(T)を算出した。本測定において、光路長は10mm、測定波長は700nmとした。
実施例1
BET比表面積280m/gの湿式シリカ粉とBET比表面積300m/gの乾式シリカ粉をpH調整剤として2N硫酸を添加したイオン交換水に、湿式シリカ100重量部に対して乾式シリカ11重量部となるように分散し、総シリカ濃度21重量%、pH4.5のシリカスラリーを得た。このシリカスラリーを湿式メディア型分散機(コトブキ技研工業製、スーパーアペックスミルSAM−1)を用いて、ビーズ径0.1mmΦ、ビーズ充填率85%、ローター周速9.2m/sec、液温度25℃の条件で微粒化処理することにより、分散液中の透過率が65%、シリカの平均粒子径が100nmのシリカ分散液を得た。このシリカ分散液とカチオン性樹脂として平均分子量10,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液をシリカ100重量部に対してカチオン性樹脂が10重量部となるように混合・分散し、予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザーLA−31)を用いて処理圧力80MPa、液温度30℃の条件で強分散処理を行うことにより、シリカ濃度20%のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
実施例2
湿式シリカ粉に対する乾式シリカ粉の配合比を湿式シリカ100重量部に対して乾式シリカ16重量部とする以外は、実施例1と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
実施例3
湿式シリカ粉に対する乾式シリカ粉の配合比を湿式シリカ100重量部に対して乾式シリカ20重量部とする以外は、実施例1と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
実施例4
乾式シリカ粉として、BET比表面積200m/gの乾式シリカ粉を用いる以外は、実施例2と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
実施例5
乾式シリカ粉として、BET比表面積140m/gの乾式シリカ粉を用いる以外は、実施例2と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
実施例6
乾式シリカ粉として、BET比表面積90m/gの乾式シリカ粉を用いる以外は、実施例2と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
実施例7
カチオン性樹脂として、分子量9,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液を用いる以外は、実施例2と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
比較例1
乾式シリカ粉を使用しない以外は、実施例1と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
比較例2
湿式シリカ粉に対する乾式シリカ粉の配合比を湿式シリカ100重量部に対して乾式シリカ5重量部とする以外は、実施例1と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
比較例3
湿式シリカ粉に対する乾式シリカ粉の配合比を湿式シリカ100重量部に対して乾式シリカ25重量部とする以外は、実施例1と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
比較例4
湿式シリカ粉として、BET比表面積200m/gの湿式シリカ粉を用いる以外は、実施例2と同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。
以上の実施例及び比較例で得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
Figure 0004959201
実施例1〜7で得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、いずれも平均粒子径が300nm以下であり、シリカ濃度も15重量%以上でありながら、粘度的にも良好な保存安定性を有しており、透明性も高いことがわかる。
これに対し、比較例1〜3で得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は保存安定性が悪いことがわかる。また、比較例4で得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、透明性が低いことから、カチオン性樹脂変性シリカ分散液として、性能が不十分であることがわかる。
本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、インクジェット用記録紙をはじめ、フィルム・樹脂・ガラス・金属等にガスバリヤ性、耐食性、親水性、光沢性、吸液性、絶縁性等を付与するための各種コーティング剤や半導体ウェハーやIC研磨剤、エマルジョンの安定化剤等の材料として利用可能である。

Claims (1)

  1. BET比表面積250m/g以上の湿式シリカと乾式シリカとをカチオン性樹脂と共に極性溶媒中に分散した、総シリカ濃度が15重量%以上で、且つ、該シリカ粒子の平均粒子径が300nm未満のシリカ分散液であって、上記乾式シリカが湿式シリカ100重量に対して、8〜22重量部の配合比となるように配合され、該シリカ分散液を構成する極性溶媒と同種の極性溶媒を使用してシリカ濃度が1.5重量%となるように該シリカ分散液を希釈した液の測定波長700nmの吸光度(τ)から式(1)で求める透過率(T)が58%以上であり、且つ、製造直後の該シリカ分散液の粘度(A(mPa・s))と25℃の環境下で10日間静置保存した該シリカ分散液の粘度(B(mPa・s))から式(2)で求める保存安定性指数Δμが2.5未満であることを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液。
    T(%)=10 (2−τ) (1)
    Δμ=B/A (2)
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