JP2004181908A - インクジェット記録用媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた生産性でひび割れ耐性があり、かつ光沢、インク吸収容量が充分に得られ、しかも安価に製造できるインクジェット記録用媒体とその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の無機微粒子と水性媒体を分散機に連続的に供給しながら粉砕分散処理すると同時に、該分散機内で製造された分散物を連続的に該分散機より吐出し粗分散物を得る工程を経て製造された水性分散物を含有する塗布液を支持体に塗布して製造することを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の無機微粒子と水性媒体を分散機に連続的に供給しながら粉砕分散処理すると同時に、該分散機内で製造された分散物を連続的に該分散機より吐出し粗分散物を得る工程を経て製造された水性分散物を含有する塗布液を支持体に塗布して製造することを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用媒体(以下、単に記録用媒体ともいう)に関し、特に生産性、ひび割れ耐性に優れ、光沢性、インク吸収性、印字濃度、コスト等に優れるインクジェット記録用媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録用媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有しており、近年急速に普及してきている。一方、写真等の高画質印刷、いわゆるフォトライクの記録用媒体にも用いられており、記録用媒体として光沢が高く、インク吸収量が多く、記録用媒体上に異物、クラック(ひびわれ)等の故障が無いことが要求されている。
フォトライク記録用媒体は高価であり、今後益々、低価格化が要求されている。
【0003】
これらの問題を解決するために、従来から多くの技術が提案されており、例えば、気相法シリカを用いることが(例えば、特許文献1〜11参照。)開示されている。この気相法シリカは1次粒子の平均粒径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られ、微粒子同士が3次元の網目構造をとるため高い吸収性(高空隙)を得られる特徴がある。しかし、高空隙率のため膜の強度が弱く、クラック(ひび割れ)をおこしやすく、また、気相法シリカを水性媒体中に分散すると急激に増粘を引き起こし、高濃度で分散できず生産性が低く、更に気相法シリカ自身が高価であるという欠点を有する。
【0004】
気相法シリカに対して湿式法で製造されたゲル法シリカ、沈降法シリカ等(以下湿式法シリカと称す)は安価であり、コストメリットはあるが、光沢が出しにくい欠点を有する。これに対し、光沢発現層を設け、更に加熱鏡面処理やカレンダー処理を行うことを提案(例えば、特許文献12、13参照。)しているが、製造工程が複雑になり逆に高価になってしまう。またインク吸収性を劣化させる。
【0005】
シリカの平均粒径を規定した技術が開示されて(例えば、特許文献14〜18参照。)いるが、平均粒径のみでは高光沢を得るには不十分である。
【0006】
いずれも1種類のシリカを用いているため、それぞれの欠点があり、満足するものではない。
【0007】
無機粒子の分散方法が開示されて(例えば、特許文献19参照。)いるが、この方法は、高速攪拌機で分散するもので、いわゆるバッチ方式である。この方式では高濃度の分散物を効率よく製造することは不可能である。
【0008】
気相法シリカとコロイダルシリカを混合する技術が開示されて(例えば、特許文献20参照。)いるが、光沢は高くなるが、インク吸収性、ひび割れ、生産性が満足できない。
【0009】
生産性が高く、ひび割れ耐性があり、更に光沢、インク吸収性、コストメリットのあるインクジェット記録用媒体が得られていないのが現状である。
【0010】
【特許文献1】
特公平3−56552号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平2−188287号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平10−81064号公報
【0013】
【特許文献4】
特開平10−119423号公報
【0014】
【特許文献5】
特開平10−175365号公報
【0015】
【特許文献6】
特開平10−193776号公報
【0016】
【特許文献7】
特開平10−203006号公報
【0017】
【特許文献8】
特開平10−217601号公報
【0018】
【特許文献9】
特開平11−20300号公報
【0019】
【特許文献10】
特開平11−20306号公報
【0020】
【特許文献11】
特開平11−34481号公報
【0021】
【特許文献12】
特開平11−91240号公報 (特許請求の範囲、段落番号0016、段落番号0028)
【0022】
【特許文献13】
特開2002−211113号公報 (段落番号0041〜42、段落番号0057〜0059)
【0023】
【特許文献14】
特開平9−286165号公報 (段落番号0010)
【0024】
【特許文献15】
特開平10−86509号公報 (段落番号0007)
【0025】
【特許文献16】
特開平10−175367号公報 (段落番号0006)
【0026】
【特許文献17】
特開平10−181190号公報 (段落番号0011)
【0027】
【特許文献18】
特開平10−181191号公報
【0028】
【特許文献19】
特開2002−274018号公報
【0029】
【特許文献20】
特開2002−274021号公報
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、その目的は、優れた生産性でひび割れ耐性があり、かつ光沢、インク吸収容量が充分に得られ、しかも安価に製造できるインクジェット記録用媒体とその製造方法を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0032】
1.複数の無機微粒子と水性媒体を分散機に連続的に供給しながら粉砕分散処理すると同時に、該分散機内で製造された分散物を連続的に該分散機より吐出し、粗分散物を得る工程を経て製造された水性分散物を含有する塗布液を支持体に塗布して製造することを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0033】
2.粗分散物を作製後、微細分散して粒径分布を整えるために少なくともサンドミル分散機を用いることを特徴とする前記1記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0034】
3.複数の無機微粒子をあらかじめ混合した後に、水性媒体と分散機に連続的に供給することを特徴とする前記1又は2記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0035】
4.複数の無機微粒子が1次粒径5nm以上30nm以下の気相法シリカと比表面積150〜500m2/gの湿式シリカであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0036】
5.気相法シリカと湿式シリカの質量比が50:50〜10:90であることを特徴とする前記4記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0037】
6.複数の無機微粒子が比表面積150〜500m2/gの沈降法で製造された湿式シリカと、ゲル法で製造された湿式シリカを含むことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0038】
7.沈降法で製造された湿式シリカとゲル法で製造された湿式シリカの質量比が90:10〜50:50であることを特徴とする前記6記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0039】
8.前記1〜7記載のいずれか1項記載の方法で製造されたことを特徴とするインクジェット記録用媒体。
【0040】
9.無機微粒子分散物の平均粒径(y(nm))とシリカ微粒子1g中の10μm以上の粒子数(x)の関係が前記式(1)を満たすことを特徴とする前記8記載のインクジェット記録用媒体。
【0041】
本発明を更に詳しく説明する。本発明で使用する無機微粒子は、シリカが好ましく利用される。好ましく利用できるシリカは気相法及び湿式法シリカであり、これについて詳細に説明する。シリカ粒子はその製造方法によって気相法シリカと湿式法シリカに大別でき、さらに湿式法シリカはゲル法で製造されたシリカ(以下、ゲル法シリカと称す)と沈降法で製造されたシリカ(以下、沈降法シリカと称す)に細分化される。気相法シリカは、四塩化珪素を酸素と水素で燃焼して作られる、平均1次粒径が5〜50nmの球状無水シリカである。気相法シリカは、見かけ比重が小さく、高比表面積であるが、球状粒子が網目状に凝集しやすいため、高濃度で水分散するのが困難であるのに加え、分散液の経時安定性が低く、塗膜にしたときにクラック(ひび割れ)が発生しやすい反面、光沢や発色濃度を出すには有利である。
【0042】
本発明で用いる気相法シリカとしては、平均1次粒径が5〜30nmが好ましく、たとえば日本アエロジル社のアエロジル等が市販されている。
【0043】
これに対し、ゲル法シリカは例えば、高純度珪砂を原料としたケイ酸ソーダと硫酸を混合しケイ酸ゾルを生成する。ケイ酸ゾルは、次第に重合し、1次粒子を形成し、更に三次元的に凝集体を形成し、ゲル化する。このシリカを気流粉砕等の一般的な方法で粉砕して微粉化する。すなわちゲル法では、酸性サイドで反応重合させ、ゲル状になるまで静置し、水洗して乾燥しゲル法シリカを得る。沈降法シリカは、アルカリサイドで反応重合させ、そのまま、沈降させ乾燥して得ることができる。これら湿式法シリカは、1次粒子内に内部細孔を持つため、内部細孔を持たない気相法シリカに比べてインク吸収容量的に有利である。更に粒子に含有する水分が気相法に比べて多いため、水性媒体中に分散しやすく高濃度の分散物が得られる利点がある。
【0044】
ゲル法と沈降法シリカの違いは、合成条件以外に、1次粒径が挙げられ一般的にゲル法シリカの方が1次粒径が小さいとされている。1次粒径が小さいと発色濃度が高められ、光沢も出やすい。
【0045】
発色濃度、吸収容量の点で、比表面積が大きく影響し、150〜500m2/gの湿式法シリカが好ましい。
【0046】
また、湿式法シリカは高濃度で分散できるため、塗布する際の、塗布液中の含水量も少なくでき、乾燥に有利であり、結果として塗布速度も上げられる利点がある。更に、乾燥時の膜の収縮率も少なく、膜にかかる応力が少なくなり、クラック(ひび割れ)等の塗布故障が低減できる。
【0047】
本発明で用いる湿式法シリカは、粉砕分散して微粒子として用いるため、粉砕分散前の平均粒径として1.0〜10μmであることが好ましい。これら湿式シリカはトクヤマ(株)社のファインシール、トクシールや日本シリカ工業(株)のNIPGEL、NIPSIL等が市販されている。
【0048】
これまで述べてきたように、気相法シリカ及び湿式シリカ更にゲル法シリカと沈降法シリカには長所、欠点があり1種類のシリカでは要求を満足できないことがわかる。そこで我々は、2種類以上のシリカを含有させ、それぞれの欠点を補うことで要求を満足できることを見出した。
【0049】
本発明で好ましく用いることのできる形態は、1)気相法シリカと湿式シリカ(沈降法、ゲル法問わない)の含有、2)沈降法シリカとゲル法シリカの含有である。
【0050】
前記1)において気相法シリカと湿式シリカの質量含有比は10:90〜50:50が好ましい。気相法シリカが少ないと光沢が低くなり、多いとひび割れが劣化する。また気相法シリカが多いと分散物の粘度が高くなり好ましくない。
【0051】
前記2)において沈降法シリカとゲル法シリカの質量含有比は50:50〜90:10が好ましい。沈降法シリカが少ないとインク吸収容量が減少し、多いと発色濃度が低下する。
【0052】
2種類以上のシリカを粉砕分散する際、別々に粉砕分散し、その後、混合する方法であると、生産効率が悪く、高濃度に粉砕分散できない欠点がある。また一般的な粉砕分散方法は、予備分散工程と本分散工程を有し、予備分散工程では粗粒子分散物を作るが、その際、よく利用されているバッチ方式で粉砕分散する方式をとると、多量に高濃度の分散物を得ることができず、均一に分散するのに多大な時間がかかり効率が悪い。本分散工程では、最終的な粒径、粒径分布をそろえる工程であるが、通常は高圧ホモジナイザーや超音波分散で行われる。高圧ホモジナイザーは、瞬間的に高エネルギーで粉砕分散するため、粒径分布が悪くなり、粒径分布をそろえるのに何回も粉砕分散する必要があり、生産性は劣る。
【0053】
そこでわれわれは、検討の結果、2種類以上のシリカを高濃度で効率よく粉砕分散する方法を見出した。以下に詳細に説明する。
【0054】
2種類以上のシリカと水性媒体を連続的に粉砕分散機に供給し、粉砕分散処理し、得られる分散液を連続的に粉砕分散機より吐出させ粗分散物を得る。その後、複数の分散機を用いて、粉砕分散処理しても良いが、サンドミルを少なくとも本分散工程で用いることが好ましい。サンドミルは、高圧ホモジナイザーに比べて、高濃度分散に適し、かつ、容易に粒径や粒径分布を制御するのに適する。この方式を取ると、高濃度で、均一な分散液を効率良く製造できる。
【0055】
2種類以上のシリカを粉砕分散機に供給する際、別々に供給してもよく、シリカをあらかじめ混合してから供給してもよい。あらかじめ混合する際には、連続的に混合し、粉砕分散機に供給するのが好ましい。本発明に好ましく用いることのできる粗分散物作製の形態を示す模式図を図1〜3に示す。
【0056】
図1は2種類のシリカと水性媒体を別々に粉砕分散機に供給する形態を示す模式図である。
【0057】
図2は2種類のシリカを連続的に混合し、粉砕分散機に供給する形態を示す模式図である。
【0058】
図3は2種類のシリカを別々に供給するが、粉砕分散機に投入する直前で投入ラインを1つにする形態を示す模式図である。
【0059】
前記粉砕分散機として、連続式の物が好ましく、ローラミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミキサータイプ等を用いることができる。中でもピンミキサータイプが操作性等を考えると好ましく、太平洋機工社製のスパイラルピンミキサーや粉研パウテックス社製のフロージェットミキサー等が挙げられる。
【0060】
サンドミルに用いるビーズとしては0.1〜1.0mmのジルコニア製が好ましく、充填率としては50〜90%が好ましい。滞留時間は1〜30min、周速は5〜15m/secが好ましい。
【0061】
本分散後の無機微粒子の平均粒径と粗大粒子の関係が前記式(1)を満足することが好ましい。粗大粒子としては10μm以上の個数が重要となる。式(1)の値が150より少ないとインク吸収性が劣化し、500より大きいと光沢が悪くなる。
【0062】
湿式シリカ微粒子の平均粒径は100nm〜350nmが好ましい。100nmより小さいと吸収性が劣化し、350nmより大きいと光沢が劣化する。
【0063】
ここで、平均粒径は、Malvern社製、光子相関法ゼータサイザー1000HSで測定した値である。粗大粒子数は、Pacific Scientific社製、HIAC/ROYCO Model8000A Particle Counterで測定した値である。粗大粒子数の測定は、湿式シリカ微粒子分散液を希釈してシリカ微粒子の質量濃度で0.25%の液を作り、前記測定器で前記0.25%液10ml中の粗大粒子を測定し、シリカ微粒子1g当たりの粗大粒子数に換算した値である。測定レンジは2〜100μmレンジで測定し、10μm以上の粒子数を粗大粒子数とした。
【0064】
粉砕分散された湿式法シリカ微粒子は、粗大粒子数を制御する工程を経る。方法としては、遠心分離による方法、フィルターによる方法等を用いることができる。遠心分離の方法としてクレテック社製、マイクロカット等が利用できる。フィルターとしては、日本ポール(株)製のプロファイル、アドバンテック東洋(株)製のTCPD等が挙げられる。
【0065】
前記処理工程を経た後、バインダーと混合し支持体上に塗布・乾燥されインク受容層が形成される。
【0066】
前記湿式シリカ微粒子をバインダーと混合した後、フィルターで再度処理するのが好ましい。
【0067】
本発明の水性媒体は、水を主成分とし、少なくとも、カチオン性ポリマーが含有されていることが好ましい。更に好ましくは、硬膜剤も含有していることである。
【0068】
前記カチオン性ポリマーとして好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体、または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体である。
【0069】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの例としては例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0070】
【化1】
【0071】
【化2】
【0072】
上記第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0073】
【化3】
【0074】
特に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
【0075】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であっても良い。
【0076】
以下に本発明に用いることができるカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
【化4】
【0078】
【化5】
【0079】
【化6】
【0080】
【化7】
【0081】
上記第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高い。共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては、水に充分に溶解しないことはあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明に使用できる。
【0082】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0083】
本発明に用いるカチオン性ポリマーは数平均分子量が10万以下であることが好ましい。ここで数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
【0084】
数平均分子量が10万を越える場合には、カチオン性ポリマーの溶液を表面がアニオン性である湿式シリカ微粒子を含有する分散液に添加した際に凝集物の発生が激しく、またその後、分散処理を施しても粗大粒子が多数存在して均一な分散液に成りにくい。このようなカチオン性ポリマーと湿式シリカ微粒子を含有する複合微粒子分散液を使用してインクジェット記録用媒体を作製した場合、高い光沢性が得られにくい。特に好ましい数平均分子量は5万以下である。また数平均分子量の下限はインクの耐水性の点から通常2000以上である。
【0085】
上記湿式シリカ微粒子とカチオン性ポリマーの比率は、湿式シリカ微粒子の種類や粒径、あるいはカチオン性ポリマーの種類や数平均分子量で変わり得る。
【0086】
本発明において、上記比率は湿式シリカ微粒子の表面がカチオン性に置き換わって安定化させる必要があることから、1:0.01〜1:1であることが好ましい。
【0087】
上記の分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加することが出来る。例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(但し、アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適宜使用することが出来る。
【0088】
特に水混和性有機溶媒は、湿式シリカ微粒子とカチオン性ポリマーを混合した際の微小なダマの形成が抑制されるために好ましい。そのような水混和性有機溶媒は分散液中に好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%使用される。
【0089】
カチオン性分散液を調製する際のpHは湿式シリカ微粒子の種類やカチオン性ポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0090】
本発明に係るバインダーとしては、水溶性ポリマーが好ましく、例えばゼラチン(酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリビニルピロリドン(平均分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、水溶性ポリビニルブチラールを挙げることができ、これらの水溶性ポリマーはインク受容層の親水性バインダーとして機能し、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0091】
特に好ましい親水性バインダーは、ポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0092】
本発明に用いられるポリビニルアルコールは平均重合度が300〜4000のものが好ましく、特に平均重合度が1000以上のものから得られる皮膜は、脆弱性が良好であることからより好ましい。
【0093】
また、ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
【0094】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0095】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルジメチル(3−メタクリルアミド)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0096】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.2〜5モル%である。またカチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は通常500〜4000、好ましくは1000〜4000である。更に、カチオン変性ポリビニルアルコールのケン化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0097】
本発明に係るインクジェット記録用媒体において、高光沢性で高い空隙率を皮膜の脆弱性を劣化させずに得るために、前記水溶性ポリマーが硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。
【0098】
硬膜剤は、一般的には前記水溶性ポリマーと反応し得る基を有する化合物、あるいは水溶性ポリマーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性ポリマーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0099】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸、その塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。
【0100】
水溶性ポリマーとしてポリビニルアルコールまたはカチオン変成ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸、その塩またはエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0101】
最も好ましいのはほう酸またはその塩から選ばれる硬膜剤である。
ほう酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸またはそれらの塩が挙げられる。
【0102】
上記硬膜剤の使用量は水溶性ポリマーの種類、硬膜剤の種類、顔料粒子の種類、水溶性ポリマーに対する比率等により変化するが、通常水溶性ポリマー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0103】
上記硬膜剤は、空隙層を形成する塗布液を塗布する際に、空隙層を形成する塗布液中及び/または空隙層に隣接するその他の層を形成する塗布液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、該空隙層を形成する塗布液を塗布する。さらには空隙層を形成する硬膜剤非含有の塗布液を塗布乾燥後に硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして空隙層に硬膜剤を供給することもできる。好ましくは製造上の効率の観点から、空隙層を形成する塗布液またはこれに隣接する層を形成する塗布液中に硬膜剤を添加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を供給する。
【0104】
本発明で特に好ましいのは微粒子シリカを1次粒子として使用し、親水性バインダーとしてポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを用いる場合である。この場合、微粒子シリカ表面のシラノール基とビニルアルコールの水酸基が弱い水素結合を行い、軟凝集体が形成されて空隙率が高く成りやすい。
【0105】
上記水溶性ポリマーと顔料粒子の比率は、通常1:10〜1:3であり、特に好ましくは1:8〜1:5である。
【0106】
水溶性ポリマーを前記分散液に添加混合する方法は、水溶性ポリマーの水溶液を分散液に攪拌しながらバッチ内で添加する方法や、前記分散液と水溶性ポリマーを連続的にスタチックミキサー等の混合機で混合する方法があげられる。
【0107】
本発明に好ましく用いられる水溶性ポリマー、特にポリビニルアルコールは、重合度が高い為、溶解性が悪く、ダマが出来やすい、更に溶解時間がかかるため、生産効率上、品質上問題がある。
【0108】
溶解温度を100℃以上にすることで、溶解時間が短縮できてダマがなくなる。溶解温度は、100℃以上150℃以下が好ましく、更に好ましくは110℃以上130℃以下である。あまり温度を上げると、構造が破壊され、強いては、空隙率をダウンさせる。100℃以上での溶解は、熱源として、電気、オイル、加圧蒸気等を用いることが出来る。生産効率上、連続的に溶解するのが好ましく、例えばノリタケ製溶解システムを用いることが出来る。溶解温度が低いと、ダマが完全に溶解しきれず、ひび割れの原因になる。
【0109】
本発明のインクジェット記録用媒体の支持体としては、従来公知の紙支持体、プラスチック支持体(透明支持体)、複合支持体など適宜使用できるが、より高い濃度で鮮明な画像を得るためには支持体中にインク液が浸透しない疎水性支持体を用いるのが好ましい。
【0110】
透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、10〜200μmが好ましい。透明支持体のインク受容層側およびバッキング層側には公知の下引き層を設けることが、インク受容層やバック層と支持体の接着性の観点から好ましい。
【0111】
また、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0112】
支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0113】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布法あるいは米国特許第2,681,294号公報記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0114】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾(水分無しの状態)質量%を示す。
【0115】
(粗分散液1の調製)
市販湿式シリカ(トクヤマ(株)社製、商品名:T−32、比表面積202m2/g、平均2次粒径1.5μm沈降法シリカ)と市販気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:A−300、比表面積300m2/g、1次粒径7nm)を質量比で50:50で連続的に混合し、水性媒体と一緒に粉砕分散機(粉研パウテックス社製:フロージェットミキサー(FJM))に連続的に供給しながら、粉砕分散し、連続的に吐出して、粗分散液1を得た。粉砕分散機の周速は20m/secで行った。上記水性媒体は、ホウ酸とP−9を含有させた水である。
ホウ酸はシリカ質量に対して2.7%、P−9は4%になるようにした。粗分散液1のシリカ濃度は38%と高濃度な粗分散液で、100μm以上のダマ(未分散物)は観察されなかった。
【0116】
(粗分散液2の調製)
湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)の質量混合比を90:10に変えた以外は、粗分散液1と同様に粗分散液2を作製した。シリカ濃度は、45%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0117】
(粗分散液3の調製)
湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)の質量混合比を30:70に変えた以外は、粗分散液1と同様に粗分散液3を作製した。シリカ濃度は、35%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0118】
(粗分散液4の調製)
湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)の質量混合比を95:5に変えた以外は、粗分散液1と同様に粗分散液4を作製した。シリカ濃度は、45%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0119】
(粗分散液5の調製)
高速攪拌機を具備した容器に水性媒体を入れ、湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)を、50:50であらかじめ混合しておき、これを、周速20m/secで回る攪拌式分散機の中へ徐々に添加しながら粉砕分散した。
その結果、シリカ濃度が22%のところで液が流動しなくなり、2時間攪拌を続け、ようやく液状の粗分散液5を得た。100μm以上のダマが多数観察された。
【0120】
(粗分散液6の調製)
湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)の比率を90:10に変えた以外は、粗分散液5と同様に粗分散液6を作製した。シリカ濃度24.5%で液が流動しなくなり、1.5時間攪拌を続け、ようやく液状になった。100μm以上のダマが多数観察された。
【0121】
(粗分散液7の調製)
湿式シリカ(T−32)のみにした以外は、粗分散液1と同様に粗分散液7を調製した。シリカ濃度は、40%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0122】
(粗分散液8の調製)
気相法シリカ(A−300)のみにした以外は、粗分散液1と同様に粗分散液8を調製した。シリカ濃度は、30%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0123】
(粗分散液9の調製)
気相法シリカのかわりに、市販湿式シリカ(日本シリカ工業(株)社製:AZ−204、比表面積300m2/g、平均2次粒径1.3μm、ゲル法シリカ)を用いた以外は、粗分散液1と同様に粗分散液9を調製した(T−32:AZ−204=50:50)。シリカ濃度は40%で100μm以上のダマは観察されなかった。
【0124】
(粗分散液10の調製)
気相法シリカのかわりに、市販湿式シリカ(日本シリカ工業(株)社製:AZ−204、比表面積300m2/g、平均2次粒径1.3μm、ゲル法シリカ)を用いた以外は、粗分散液2と同様に粗分散液10を調製した(T−32:AZ−204=90:10)。シリカ濃度は49%で100μm以上のダマは観察されなかった。
【0125】
表1にこれまでの結果をまとめた。
【0126】
【表1】
【0127】
(本分散液1〜4、7〜10の作製)
粗分散液1をサンドミルを用いて、粉砕分散し本分散液1を得た。サンドミル条件は0.5mmジルコニアビーズを用い、充填率80%で滞留時間3minで1パス処理した。周速は9m/secで行った。
【0128】
同様に粗分散液2〜4、7〜10を用いて、本分散液2〜4、7〜10を作製した。
【0129】
(本分散液5、6の作製)
粗分散液5、6をそれぞれ高圧ホモジナイザーを用いて粉砕分散し本分散液5及び6を得た。高圧ホモジナイザーの条件は300kg/cm2の1パス処理で行った。
【0130】
(本分散液11、12の作製)
本分散液1、2をそれぞれ日本ポール社製のフィルター(プロファイル)を通して本分散液11及び12を得た。
【0131】
本分散液1〜12の平均粒径及び式(1)の値を表2に示す。
(記録用媒体1〜12の作製)
本分散液1に、ポリビニルアルコール溶液(10%、クラレ社製:PVA235)を混合し、両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmで、分散液塗布面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、シリカ付量が17g/m2なるように塗布し、記録用媒体1を得た。シリカとポリビニルアルコールの質量比は6.5:1で行った。なお塗布は塗布液を40℃でカーテンコーターを用いて行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、25℃の風(相対湿度が15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60%の雰囲気下で、2分間調湿した。塗布速度は300m/minで行った。
【0132】
同様に本分散液2〜12をもちいて、記録用媒体2〜12を得た。
得られた記録用媒体1〜12について、以下の項目を評価した。
【0133】
ひび割れ
塗布面の0.3m2当たりのひび割れ点数を目視でカウントした。ひび割れ点数は、通常10点以下であれば実用上問題ないと考えられる。
【0134】
インク溢れ
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行い、目視にてインク溢れの状態を観察し、
○ 溢れ無し
△ 若干溢れはあるが実用上問題ない
× 実用上問題有り
で評価した。この評価は、インク吸収容量(空隙量)の評価となる。
【0135】
光沢度
日本電色工業株式会社製変角光度計(VGS−1001DP)を用いて、75°光沢度を測定した。この値が45%以上で有ればフォトライクな記録用媒体として有効である。
【0136】
最大濃度
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行い、その最大反射濃度を測定した。
【0137】
以上の結果を表2に示す。
【0138】
【表2】
【0139】
表2から、本発明の試料は、光沢が高く、ひび割れが少なく、かつインク吸収容量が充分に得られるインクジェット記録用媒体であることが分かる。
【0140】
【発明の効果】
本発明により、優れた生産性でひび割れ耐性があり、かつ光沢、インク吸収容量が充分に得られ、しかも安価に製造できるインクジェット記録用媒体とその製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】2種類のシリカと水性媒体を別々に粉砕分散機に供給する形態を示す模式図である。
【図2】2種類のシリカを連続的に混合し、粉砕分散機に供給する形態を示す模式図である。
【図3】2種類のシリカを別々に供給するが、粉砕分散機に投入する直前で投入ラインを1つにする形態を示す模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用媒体(以下、単に記録用媒体ともいう)に関し、特に生産性、ひび割れ耐性に優れ、光沢性、インク吸収性、印字濃度、コスト等に優れるインクジェット記録用媒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録用媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有しており、近年急速に普及してきている。一方、写真等の高画質印刷、いわゆるフォトライクの記録用媒体にも用いられており、記録用媒体として光沢が高く、インク吸収量が多く、記録用媒体上に異物、クラック(ひびわれ)等の故障が無いことが要求されている。
フォトライク記録用媒体は高価であり、今後益々、低価格化が要求されている。
【0003】
これらの問題を解決するために、従来から多くの技術が提案されており、例えば、気相法シリカを用いることが(例えば、特許文献1〜11参照。)開示されている。この気相法シリカは1次粒子の平均粒径が数nm〜数十nmの超微粒子であり、高い光沢が得られ、微粒子同士が3次元の網目構造をとるため高い吸収性(高空隙)を得られる特徴がある。しかし、高空隙率のため膜の強度が弱く、クラック(ひび割れ)をおこしやすく、また、気相法シリカを水性媒体中に分散すると急激に増粘を引き起こし、高濃度で分散できず生産性が低く、更に気相法シリカ自身が高価であるという欠点を有する。
【0004】
気相法シリカに対して湿式法で製造されたゲル法シリカ、沈降法シリカ等(以下湿式法シリカと称す)は安価であり、コストメリットはあるが、光沢が出しにくい欠点を有する。これに対し、光沢発現層を設け、更に加熱鏡面処理やカレンダー処理を行うことを提案(例えば、特許文献12、13参照。)しているが、製造工程が複雑になり逆に高価になってしまう。またインク吸収性を劣化させる。
【0005】
シリカの平均粒径を規定した技術が開示されて(例えば、特許文献14〜18参照。)いるが、平均粒径のみでは高光沢を得るには不十分である。
【0006】
いずれも1種類のシリカを用いているため、それぞれの欠点があり、満足するものではない。
【0007】
無機粒子の分散方法が開示されて(例えば、特許文献19参照。)いるが、この方法は、高速攪拌機で分散するもので、いわゆるバッチ方式である。この方式では高濃度の分散物を効率よく製造することは不可能である。
【0008】
気相法シリカとコロイダルシリカを混合する技術が開示されて(例えば、特許文献20参照。)いるが、光沢は高くなるが、インク吸収性、ひび割れ、生産性が満足できない。
【0009】
生産性が高く、ひび割れ耐性があり、更に光沢、インク吸収性、コストメリットのあるインクジェット記録用媒体が得られていないのが現状である。
【0010】
【特許文献1】
特公平3−56552号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平2−188287号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平10−81064号公報
【0013】
【特許文献4】
特開平10−119423号公報
【0014】
【特許文献5】
特開平10−175365号公報
【0015】
【特許文献6】
特開平10−193776号公報
【0016】
【特許文献7】
特開平10−203006号公報
【0017】
【特許文献8】
特開平10−217601号公報
【0018】
【特許文献9】
特開平11−20300号公報
【0019】
【特許文献10】
特開平11−20306号公報
【0020】
【特許文献11】
特開平11−34481号公報
【0021】
【特許文献12】
特開平11−91240号公報 (特許請求の範囲、段落番号0016、段落番号0028)
【0022】
【特許文献13】
特開2002−211113号公報 (段落番号0041〜42、段落番号0057〜0059)
【0023】
【特許文献14】
特開平9−286165号公報 (段落番号0010)
【0024】
【特許文献15】
特開平10−86509号公報 (段落番号0007)
【0025】
【特許文献16】
特開平10−175367号公報 (段落番号0006)
【0026】
【特許文献17】
特開平10−181190号公報 (段落番号0011)
【0027】
【特許文献18】
特開平10−181191号公報
【0028】
【特許文献19】
特開2002−274018号公報
【0029】
【特許文献20】
特開2002−274021号公報
【0030】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、その目的は、優れた生産性でひび割れ耐性があり、かつ光沢、インク吸収容量が充分に得られ、しかも安価に製造できるインクジェット記録用媒体とその製造方法を提供することにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成された。
【0032】
1.複数の無機微粒子と水性媒体を分散機に連続的に供給しながら粉砕分散処理すると同時に、該分散機内で製造された分散物を連続的に該分散機より吐出し、粗分散物を得る工程を経て製造された水性分散物を含有する塗布液を支持体に塗布して製造することを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0033】
2.粗分散物を作製後、微細分散して粒径分布を整えるために少なくともサンドミル分散機を用いることを特徴とする前記1記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0034】
3.複数の無機微粒子をあらかじめ混合した後に、水性媒体と分散機に連続的に供給することを特徴とする前記1又は2記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0035】
4.複数の無機微粒子が1次粒径5nm以上30nm以下の気相法シリカと比表面積150〜500m2/gの湿式シリカであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0036】
5.気相法シリカと湿式シリカの質量比が50:50〜10:90であることを特徴とする前記4記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0037】
6.複数の無機微粒子が比表面積150〜500m2/gの沈降法で製造された湿式シリカと、ゲル法で製造された湿式シリカを含むことを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0038】
7.沈降法で製造された湿式シリカとゲル法で製造された湿式シリカの質量比が90:10〜50:50であることを特徴とする前記6記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
【0039】
8.前記1〜7記載のいずれか1項記載の方法で製造されたことを特徴とするインクジェット記録用媒体。
【0040】
9.無機微粒子分散物の平均粒径(y(nm))とシリカ微粒子1g中の10μm以上の粒子数(x)の関係が前記式(1)を満たすことを特徴とする前記8記載のインクジェット記録用媒体。
【0041】
本発明を更に詳しく説明する。本発明で使用する無機微粒子は、シリカが好ましく利用される。好ましく利用できるシリカは気相法及び湿式法シリカであり、これについて詳細に説明する。シリカ粒子はその製造方法によって気相法シリカと湿式法シリカに大別でき、さらに湿式法シリカはゲル法で製造されたシリカ(以下、ゲル法シリカと称す)と沈降法で製造されたシリカ(以下、沈降法シリカと称す)に細分化される。気相法シリカは、四塩化珪素を酸素と水素で燃焼して作られる、平均1次粒径が5〜50nmの球状無水シリカである。気相法シリカは、見かけ比重が小さく、高比表面積であるが、球状粒子が網目状に凝集しやすいため、高濃度で水分散するのが困難であるのに加え、分散液の経時安定性が低く、塗膜にしたときにクラック(ひび割れ)が発生しやすい反面、光沢や発色濃度を出すには有利である。
【0042】
本発明で用いる気相法シリカとしては、平均1次粒径が5〜30nmが好ましく、たとえば日本アエロジル社のアエロジル等が市販されている。
【0043】
これに対し、ゲル法シリカは例えば、高純度珪砂を原料としたケイ酸ソーダと硫酸を混合しケイ酸ゾルを生成する。ケイ酸ゾルは、次第に重合し、1次粒子を形成し、更に三次元的に凝集体を形成し、ゲル化する。このシリカを気流粉砕等の一般的な方法で粉砕して微粉化する。すなわちゲル法では、酸性サイドで反応重合させ、ゲル状になるまで静置し、水洗して乾燥しゲル法シリカを得る。沈降法シリカは、アルカリサイドで反応重合させ、そのまま、沈降させ乾燥して得ることができる。これら湿式法シリカは、1次粒子内に内部細孔を持つため、内部細孔を持たない気相法シリカに比べてインク吸収容量的に有利である。更に粒子に含有する水分が気相法に比べて多いため、水性媒体中に分散しやすく高濃度の分散物が得られる利点がある。
【0044】
ゲル法と沈降法シリカの違いは、合成条件以外に、1次粒径が挙げられ一般的にゲル法シリカの方が1次粒径が小さいとされている。1次粒径が小さいと発色濃度が高められ、光沢も出やすい。
【0045】
発色濃度、吸収容量の点で、比表面積が大きく影響し、150〜500m2/gの湿式法シリカが好ましい。
【0046】
また、湿式法シリカは高濃度で分散できるため、塗布する際の、塗布液中の含水量も少なくでき、乾燥に有利であり、結果として塗布速度も上げられる利点がある。更に、乾燥時の膜の収縮率も少なく、膜にかかる応力が少なくなり、クラック(ひび割れ)等の塗布故障が低減できる。
【0047】
本発明で用いる湿式法シリカは、粉砕分散して微粒子として用いるため、粉砕分散前の平均粒径として1.0〜10μmであることが好ましい。これら湿式シリカはトクヤマ(株)社のファインシール、トクシールや日本シリカ工業(株)のNIPGEL、NIPSIL等が市販されている。
【0048】
これまで述べてきたように、気相法シリカ及び湿式シリカ更にゲル法シリカと沈降法シリカには長所、欠点があり1種類のシリカでは要求を満足できないことがわかる。そこで我々は、2種類以上のシリカを含有させ、それぞれの欠点を補うことで要求を満足できることを見出した。
【0049】
本発明で好ましく用いることのできる形態は、1)気相法シリカと湿式シリカ(沈降法、ゲル法問わない)の含有、2)沈降法シリカとゲル法シリカの含有である。
【0050】
前記1)において気相法シリカと湿式シリカの質量含有比は10:90〜50:50が好ましい。気相法シリカが少ないと光沢が低くなり、多いとひび割れが劣化する。また気相法シリカが多いと分散物の粘度が高くなり好ましくない。
【0051】
前記2)において沈降法シリカとゲル法シリカの質量含有比は50:50〜90:10が好ましい。沈降法シリカが少ないとインク吸収容量が減少し、多いと発色濃度が低下する。
【0052】
2種類以上のシリカを粉砕分散する際、別々に粉砕分散し、その後、混合する方法であると、生産効率が悪く、高濃度に粉砕分散できない欠点がある。また一般的な粉砕分散方法は、予備分散工程と本分散工程を有し、予備分散工程では粗粒子分散物を作るが、その際、よく利用されているバッチ方式で粉砕分散する方式をとると、多量に高濃度の分散物を得ることができず、均一に分散するのに多大な時間がかかり効率が悪い。本分散工程では、最終的な粒径、粒径分布をそろえる工程であるが、通常は高圧ホモジナイザーや超音波分散で行われる。高圧ホモジナイザーは、瞬間的に高エネルギーで粉砕分散するため、粒径分布が悪くなり、粒径分布をそろえるのに何回も粉砕分散する必要があり、生産性は劣る。
【0053】
そこでわれわれは、検討の結果、2種類以上のシリカを高濃度で効率よく粉砕分散する方法を見出した。以下に詳細に説明する。
【0054】
2種類以上のシリカと水性媒体を連続的に粉砕分散機に供給し、粉砕分散処理し、得られる分散液を連続的に粉砕分散機より吐出させ粗分散物を得る。その後、複数の分散機を用いて、粉砕分散処理しても良いが、サンドミルを少なくとも本分散工程で用いることが好ましい。サンドミルは、高圧ホモジナイザーに比べて、高濃度分散に適し、かつ、容易に粒径や粒径分布を制御するのに適する。この方式を取ると、高濃度で、均一な分散液を効率良く製造できる。
【0055】
2種類以上のシリカを粉砕分散機に供給する際、別々に供給してもよく、シリカをあらかじめ混合してから供給してもよい。あらかじめ混合する際には、連続的に混合し、粉砕分散機に供給するのが好ましい。本発明に好ましく用いることのできる粗分散物作製の形態を示す模式図を図1〜3に示す。
【0056】
図1は2種類のシリカと水性媒体を別々に粉砕分散機に供給する形態を示す模式図である。
【0057】
図2は2種類のシリカを連続的に混合し、粉砕分散機に供給する形態を示す模式図である。
【0058】
図3は2種類のシリカを別々に供給するが、粉砕分散機に投入する直前で投入ラインを1つにする形態を示す模式図である。
【0059】
前記粉砕分散機として、連続式の物が好ましく、ローラミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミキサータイプ等を用いることができる。中でもピンミキサータイプが操作性等を考えると好ましく、太平洋機工社製のスパイラルピンミキサーや粉研パウテックス社製のフロージェットミキサー等が挙げられる。
【0060】
サンドミルに用いるビーズとしては0.1〜1.0mmのジルコニア製が好ましく、充填率としては50〜90%が好ましい。滞留時間は1〜30min、周速は5〜15m/secが好ましい。
【0061】
本分散後の無機微粒子の平均粒径と粗大粒子の関係が前記式(1)を満足することが好ましい。粗大粒子としては10μm以上の個数が重要となる。式(1)の値が150より少ないとインク吸収性が劣化し、500より大きいと光沢が悪くなる。
【0062】
湿式シリカ微粒子の平均粒径は100nm〜350nmが好ましい。100nmより小さいと吸収性が劣化し、350nmより大きいと光沢が劣化する。
【0063】
ここで、平均粒径は、Malvern社製、光子相関法ゼータサイザー1000HSで測定した値である。粗大粒子数は、Pacific Scientific社製、HIAC/ROYCO Model8000A Particle Counterで測定した値である。粗大粒子数の測定は、湿式シリカ微粒子分散液を希釈してシリカ微粒子の質量濃度で0.25%の液を作り、前記測定器で前記0.25%液10ml中の粗大粒子を測定し、シリカ微粒子1g当たりの粗大粒子数に換算した値である。測定レンジは2〜100μmレンジで測定し、10μm以上の粒子数を粗大粒子数とした。
【0064】
粉砕分散された湿式法シリカ微粒子は、粗大粒子数を制御する工程を経る。方法としては、遠心分離による方法、フィルターによる方法等を用いることができる。遠心分離の方法としてクレテック社製、マイクロカット等が利用できる。フィルターとしては、日本ポール(株)製のプロファイル、アドバンテック東洋(株)製のTCPD等が挙げられる。
【0065】
前記処理工程を経た後、バインダーと混合し支持体上に塗布・乾燥されインク受容層が形成される。
【0066】
前記湿式シリカ微粒子をバインダーと混合した後、フィルターで再度処理するのが好ましい。
【0067】
本発明の水性媒体は、水を主成分とし、少なくとも、カチオン性ポリマーが含有されていることが好ましい。更に好ましくは、硬膜剤も含有していることである。
【0068】
前記カチオン性ポリマーとして好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体、または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体である。
【0069】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの例としては例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0070】
【化1】
【0071】
【化2】
【0072】
上記第4級アンモニウム塩基と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0073】
【化3】
【0074】
特に第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。
【0075】
第4級アンモニウム塩基を有するモノマーは単一でも2種類以上であっても良い。
【0076】
以下に本発明に用いることができるカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
【化4】
【0078】
【化5】
【0079】
【化6】
【0080】
【化7】
【0081】
上記第4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高い。共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては、水に充分に溶解しないことはあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明に使用できる。
【0082】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0083】
本発明に用いるカチオン性ポリマーは数平均分子量が10万以下であることが好ましい。ここで数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
【0084】
数平均分子量が10万を越える場合には、カチオン性ポリマーの溶液を表面がアニオン性である湿式シリカ微粒子を含有する分散液に添加した際に凝集物の発生が激しく、またその後、分散処理を施しても粗大粒子が多数存在して均一な分散液に成りにくい。このようなカチオン性ポリマーと湿式シリカ微粒子を含有する複合微粒子分散液を使用してインクジェット記録用媒体を作製した場合、高い光沢性が得られにくい。特に好ましい数平均分子量は5万以下である。また数平均分子量の下限はインクの耐水性の点から通常2000以上である。
【0085】
上記湿式シリカ微粒子とカチオン性ポリマーの比率は、湿式シリカ微粒子の種類や粒径、あるいはカチオン性ポリマーの種類や数平均分子量で変わり得る。
【0086】
本発明において、上記比率は湿式シリカ微粒子の表面がカチオン性に置き換わって安定化させる必要があることから、1:0.01〜1:1であることが好ましい。
【0087】
上記の分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加することが出来る。例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(但し、アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適宜使用することが出来る。
【0088】
特に水混和性有機溶媒は、湿式シリカ微粒子とカチオン性ポリマーを混合した際の微小なダマの形成が抑制されるために好ましい。そのような水混和性有機溶媒は分散液中に好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%使用される。
【0089】
カチオン性分散液を調製する際のpHは湿式シリカ微粒子の種類やカチオン性ポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0090】
本発明に係るバインダーとしては、水溶性ポリマーが好ましく、例えばゼラチン(酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリビニルピロリドン(平均分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、水溶性ポリビニルブチラールを挙げることができ、これらの水溶性ポリマーはインク受容層の親水性バインダーとして機能し、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
【0091】
特に好ましい親水性バインダーは、ポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0092】
本発明に用いられるポリビニルアルコールは平均重合度が300〜4000のものが好ましく、特に平均重合度が1000以上のものから得られる皮膜は、脆弱性が良好であることからより好ましい。
【0093】
また、ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
【0094】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0095】
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルジメチル(3−メタクリルアミド)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0096】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.2〜5モル%である。またカチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は通常500〜4000、好ましくは1000〜4000である。更に、カチオン変性ポリビニルアルコールのケン化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0097】
本発明に係るインクジェット記録用媒体において、高光沢性で高い空隙率を皮膜の脆弱性を劣化させずに得るために、前記水溶性ポリマーが硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。
【0098】
硬膜剤は、一般的には前記水溶性ポリマーと反応し得る基を有する化合物、あるいは水溶性ポリマーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性ポリマーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0099】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸、その塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。
【0100】
水溶性ポリマーとしてポリビニルアルコールまたはカチオン変成ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸、その塩またはエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0101】
最も好ましいのはほう酸またはその塩から選ばれる硬膜剤である。
ほう酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸またはそれらの塩が挙げられる。
【0102】
上記硬膜剤の使用量は水溶性ポリマーの種類、硬膜剤の種類、顔料粒子の種類、水溶性ポリマーに対する比率等により変化するが、通常水溶性ポリマー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0103】
上記硬膜剤は、空隙層を形成する塗布液を塗布する際に、空隙層を形成する塗布液中及び/または空隙層に隣接するその他の層を形成する塗布液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、該空隙層を形成する塗布液を塗布する。さらには空隙層を形成する硬膜剤非含有の塗布液を塗布乾燥後に硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして空隙層に硬膜剤を供給することもできる。好ましくは製造上の効率の観点から、空隙層を形成する塗布液またはこれに隣接する層を形成する塗布液中に硬膜剤を添加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を供給する。
【0104】
本発明で特に好ましいのは微粒子シリカを1次粒子として使用し、親水性バインダーとしてポリビニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを用いる場合である。この場合、微粒子シリカ表面のシラノール基とビニルアルコールの水酸基が弱い水素結合を行い、軟凝集体が形成されて空隙率が高く成りやすい。
【0105】
上記水溶性ポリマーと顔料粒子の比率は、通常1:10〜1:3であり、特に好ましくは1:8〜1:5である。
【0106】
水溶性ポリマーを前記分散液に添加混合する方法は、水溶性ポリマーの水溶液を分散液に攪拌しながらバッチ内で添加する方法や、前記分散液と水溶性ポリマーを連続的にスタチックミキサー等の混合機で混合する方法があげられる。
【0107】
本発明に好ましく用いられる水溶性ポリマー、特にポリビニルアルコールは、重合度が高い為、溶解性が悪く、ダマが出来やすい、更に溶解時間がかかるため、生産効率上、品質上問題がある。
【0108】
溶解温度を100℃以上にすることで、溶解時間が短縮できてダマがなくなる。溶解温度は、100℃以上150℃以下が好ましく、更に好ましくは110℃以上130℃以下である。あまり温度を上げると、構造が破壊され、強いては、空隙率をダウンさせる。100℃以上での溶解は、熱源として、電気、オイル、加圧蒸気等を用いることが出来る。生産効率上、連続的に溶解するのが好ましく、例えばノリタケ製溶解システムを用いることが出来る。溶解温度が低いと、ダマが完全に溶解しきれず、ひび割れの原因になる。
【0109】
本発明のインクジェット記録用媒体の支持体としては、従来公知の紙支持体、プラスチック支持体(透明支持体)、複合支持体など適宜使用できるが、より高い濃度で鮮明な画像を得るためには支持体中にインク液が浸透しない疎水性支持体を用いるのが好ましい。
【0110】
透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、10〜200μmが好ましい。透明支持体のインク受容層側およびバッキング層側には公知の下引き層を設けることが、インク受容層やバック層と支持体の接着性の観点から好ましい。
【0111】
また、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0112】
支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0113】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布法あるいは米国特許第2,681,294号公報記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0114】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾(水分無しの状態)質量%を示す。
【0115】
(粗分散液1の調製)
市販湿式シリカ(トクヤマ(株)社製、商品名:T−32、比表面積202m2/g、平均2次粒径1.5μm沈降法シリカ)と市販気相法シリカ(日本アエロジル社製、商品名:A−300、比表面積300m2/g、1次粒径7nm)を質量比で50:50で連続的に混合し、水性媒体と一緒に粉砕分散機(粉研パウテックス社製:フロージェットミキサー(FJM))に連続的に供給しながら、粉砕分散し、連続的に吐出して、粗分散液1を得た。粉砕分散機の周速は20m/secで行った。上記水性媒体は、ホウ酸とP−9を含有させた水である。
ホウ酸はシリカ質量に対して2.7%、P−9は4%になるようにした。粗分散液1のシリカ濃度は38%と高濃度な粗分散液で、100μm以上のダマ(未分散物)は観察されなかった。
【0116】
(粗分散液2の調製)
湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)の質量混合比を90:10に変えた以外は、粗分散液1と同様に粗分散液2を作製した。シリカ濃度は、45%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0117】
(粗分散液3の調製)
湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)の質量混合比を30:70に変えた以外は、粗分散液1と同様に粗分散液3を作製した。シリカ濃度は、35%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0118】
(粗分散液4の調製)
湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)の質量混合比を95:5に変えた以外は、粗分散液1と同様に粗分散液4を作製した。シリカ濃度は、45%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0119】
(粗分散液5の調製)
高速攪拌機を具備した容器に水性媒体を入れ、湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)を、50:50であらかじめ混合しておき、これを、周速20m/secで回る攪拌式分散機の中へ徐々に添加しながら粉砕分散した。
その結果、シリカ濃度が22%のところで液が流動しなくなり、2時間攪拌を続け、ようやく液状の粗分散液5を得た。100μm以上のダマが多数観察された。
【0120】
(粗分散液6の調製)
湿式シリカ(T−32)と気相法シリカ(A−300)の比率を90:10に変えた以外は、粗分散液5と同様に粗分散液6を作製した。シリカ濃度24.5%で液が流動しなくなり、1.5時間攪拌を続け、ようやく液状になった。100μm以上のダマが多数観察された。
【0121】
(粗分散液7の調製)
湿式シリカ(T−32)のみにした以外は、粗分散液1と同様に粗分散液7を調製した。シリカ濃度は、40%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0122】
(粗分散液8の調製)
気相法シリカ(A−300)のみにした以外は、粗分散液1と同様に粗分散液8を調製した。シリカ濃度は、30%で、100μm以上のダマは観察されなかった。
【0123】
(粗分散液9の調製)
気相法シリカのかわりに、市販湿式シリカ(日本シリカ工業(株)社製:AZ−204、比表面積300m2/g、平均2次粒径1.3μm、ゲル法シリカ)を用いた以外は、粗分散液1と同様に粗分散液9を調製した(T−32:AZ−204=50:50)。シリカ濃度は40%で100μm以上のダマは観察されなかった。
【0124】
(粗分散液10の調製)
気相法シリカのかわりに、市販湿式シリカ(日本シリカ工業(株)社製:AZ−204、比表面積300m2/g、平均2次粒径1.3μm、ゲル法シリカ)を用いた以外は、粗分散液2と同様に粗分散液10を調製した(T−32:AZ−204=90:10)。シリカ濃度は49%で100μm以上のダマは観察されなかった。
【0125】
表1にこれまでの結果をまとめた。
【0126】
【表1】
【0127】
(本分散液1〜4、7〜10の作製)
粗分散液1をサンドミルを用いて、粉砕分散し本分散液1を得た。サンドミル条件は0.5mmジルコニアビーズを用い、充填率80%で滞留時間3minで1パス処理した。周速は9m/secで行った。
【0128】
同様に粗分散液2〜4、7〜10を用いて、本分散液2〜4、7〜10を作製した。
【0129】
(本分散液5、6の作製)
粗分散液5、6をそれぞれ高圧ホモジナイザーを用いて粉砕分散し本分散液5及び6を得た。高圧ホモジナイザーの条件は300kg/cm2の1パス処理で行った。
【0130】
(本分散液11、12の作製)
本分散液1、2をそれぞれ日本ポール社製のフィルター(プロファイル)を通して本分散液11及び12を得た。
【0131】
本分散液1〜12の平均粒径及び式(1)の値を表2に示す。
(記録用媒体1〜12の作製)
本分散液1に、ポリビニルアルコール溶液(10%、クラレ社製:PVA235)を混合し、両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmで、分散液塗布面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、シリカ付量が17g/m2なるように塗布し、記録用媒体1を得た。シリカとポリビニルアルコールの質量比は6.5:1で行った。なお塗布は塗布液を40℃でカーテンコーターを用いて行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、25℃の風(相対湿度が15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60%の雰囲気下で、2分間調湿した。塗布速度は300m/minで行った。
【0132】
同様に本分散液2〜12をもちいて、記録用媒体2〜12を得た。
得られた記録用媒体1〜12について、以下の項目を評価した。
【0133】
ひび割れ
塗布面の0.3m2当たりのひび割れ点数を目視でカウントした。ひび割れ点数は、通常10点以下であれば実用上問題ないと考えられる。
【0134】
インク溢れ
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行い、目視にてインク溢れの状態を観察し、
○ 溢れ無し
△ 若干溢れはあるが実用上問題ない
× 実用上問題有り
で評価した。この評価は、インク吸収容量(空隙量)の評価となる。
【0135】
光沢度
日本電色工業株式会社製変角光度計(VGS−1001DP)を用いて、75°光沢度を測定した。この値が45%以上で有ればフォトライクな記録用媒体として有効である。
【0136】
最大濃度
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行い、その最大反射濃度を測定した。
【0137】
以上の結果を表2に示す。
【0138】
【表2】
【0139】
表2から、本発明の試料は、光沢が高く、ひび割れが少なく、かつインク吸収容量が充分に得られるインクジェット記録用媒体であることが分かる。
【0140】
【発明の効果】
本発明により、優れた生産性でひび割れ耐性があり、かつ光沢、インク吸収容量が充分に得られ、しかも安価に製造できるインクジェット記録用媒体とその製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】2種類のシリカと水性媒体を別々に粉砕分散機に供給する形態を示す模式図である。
【図2】2種類のシリカを連続的に混合し、粉砕分散機に供給する形態を示す模式図である。
【図3】2種類のシリカを別々に供給するが、粉砕分散機に投入する直前で投入ラインを1つにする形態を示す模式図である。
Claims (9)
- 複数の無機微粒子と水性媒体を分散機に連続的に供給しながら粉砕分散処理すると同時に、該分散機内で製造された分散物を連続的に該分散機より吐出し、粗分散物を得る工程を経て製造された水性分散物を含有する塗布液を支持体に塗布して製造することを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方法。
- 粗分散物を作製後、微細分散して粒径分布を整えるために少なくともサンドミル分散機を用いることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
- 複数の無機微粒子をあらかじめ混合した後に、水性媒体と分散機に連続的に供給することを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
- 複数の無機微粒子が1次粒径5nm以上30nm以下の気相法シリカと比表面積150〜500m2/gの湿式シリカであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
- 気相法シリカと湿式シリカの質量比が50:50〜10:90であることを特徴とする請求項4記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
- 複数の無機微粒子が比表面積150〜500m2/gの沈降法で製造された湿式シリカと、ゲル法で製造された湿式シリカを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
- 沈降法で製造された湿式シリカとゲル法で製造された湿式シリカの質量比が90:10〜50:50であることを特徴とする請求項6記載のインクジェット記録用媒体の製造方法。
- 請求項1〜7記載のいずれか1項記載の方法で製造されたことを特徴とするインクジェット記録用媒体。
- 無機微粒子分散物の平均粒径(y(nm))とシリカ微粒子1g中の10μm以上の粒子数(x)の関係が下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録用媒体。
式(1) 150<y+17×ln(x)<500
但し yは100〜350nm
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