JP2005255457A - シリカ微粒子分散液及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ゲル分や巨大粒子を含まないシリカ微粒子分散液及びその製造方法を提供する。また、該シリカ微粒子分散液を含有する塗工液によって形成されている平滑で高い光沢をもつインク受容層を有するインクジェット記録シートを提供する。
【解決手段】 熱水中に酸を添加した後、活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加してシリカ微粒子分散液を生成させ、分散液が沈殿を生じる前もしくはゲル化する前にアルカリを添加してシリカ微粒子を安定化し、該安定化状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させることを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、シリカ微粒子分散液及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、シリカ微粒子分散液中にゲル分や巨大粒子を含まず、平滑で光沢度が高い塗膜を形成することができることから、光沢に優れたインクジェット記録シートを製造するのに好適であるシリカ微粒子分散液に関する。
近年、インクジェット記録方式は高画質化及び高速印字化が急速に進み、広く普及している。インクジェット記録用シートの製造に際しては、高いインク吸収性を持たせるために、主に無機顔料をバインダーと共にインク受理層として塗工することが公知である。無機顔料の中でもシリカは、好適な顔料として広く使用されている。
さらに、写真画質を得るためのインクジェット記録シートでは、高いインク吸収性に加えて、高い発色濃度と写真調の風合いを得るためにできるだけ透明で高光沢なインク受理層が求められる。このような受理層を形成するために、コロイド状のシリカ微粒子が好適に用いられる。
コロイド状のシリカ微粒子としては、コロイダルシリカが広く知られているが、そのほとんどが真球状粒子であり、各1次粒子が凝集することなく単分散している。このため、乾燥状態では粒子が密に充填され、粒子間の空隙が非常に少ない。従って、単分散コロイダルシリカを使用して形成した塗膜は、インクジェット印刷におけるインク吸収性に劣り、インク受理層としては不適である。
一方、上記の単分散コロイダルシリカを連結させて、非球状の形に凝集させる方法は公知であり、特許文献1〜5に記載されているように、活性珪酸に2価以上の水溶性塩を添加して加熱熟成することにより細長い鎖状に連結凝集したコロイダルシリカを得ることができる。
上記の鎖状に連結凝集させたコロイダルシリカは、単分散型の一般的なコロイダルシリカと比較すると、乾燥状態では粒子間空隙が大きく、より多孔質な塗膜を得ることができる。しかし、インクジェット記録におけるインク受理層として適用するにはインク吸収容量が未だ十分ではなく、より多孔質な凝集構造を持つコロイド状のシリカ微粒子が求められている。
一方、高いインク吸収性を持つ、細孔容積の大きい多孔質シリカとしては、湿式法で製造される含水非晶質シリカがある。これは、ケイ酸アルカリ溶液に鉱酸を混合し、ゲル化あるいは沈降させた後、湿式粉砕して得られるものである。例えば、特許文献6には、ケイ酸アルカリ水溶液に対して2段に分けて酸添加を行い、反応後の溶液をろ過して水和ケイ酸の湿潤ケークを得、該湿潤ケークにせん断力又は振動を与えてスラリーとした後、噴霧乾燥することによって細孔容積0.5ml/g以上の含水ケイ酸非晶質シリカを得る方法が公示されている。このような湿式法で得られるシリカは、一次粒子が凝集して二次粒子を形成しており、一次粒子間あるいは二次粒子間の空隙により、一般に0.5ml/g以上の高い細孔容積を保持している。しかし、その粒子径が1〜20μmであることから、光の散乱度が高く、その分散液は一般に白濁し、バインダーとの混合塗膜を作成した場合にも、その塗膜は不透明となる。また、粉砕法により微細化するため粒度分布が広く、水分散液は静置により沈殿を生じコロイドとしての性質を示さない。
上記の含水非晶質シリカを機械的手段で湿式粉砕処理する方法は、コロイド状シリカ微粒子の分散液を得る方法として公知である。例えば、特許文献7には、合成無定型シリカに機械的手段で強い力を加えることにより、3nm〜40nmの一次粒子が凝集してなる10nm〜300nmの二次粒子よりなるコロイド状シリカ微粒子の製造方法が開示されている。しかしながら、機械的手段で粉砕処理する方法では1μm以上の粒子を完全に除去することは困難でコスト高となるし、さらに、上記微粒子を用いてインクジェット記録シートを作成した場合、コロイダルシリカを用いた塗膜に比べ、光沢が低下するという問題があった。
また、乾式法により得られるシリカを水中で機械的に粉砕する方法も、シリカの二次粒子が水中にコロイド状に分散した分散液を得る方法として公知である。例えば、特許文献8には、揮発性珪素化合物を火焔中で高温分解する方法により、分散性・透明性に優れた乾式法シリカを提供する方法が記載されている。乾式法シリカは嵩高い粉体であり、その水分散液は湿式法シリカと比べると機械的に粉砕することが比較的容易である。しかしながら、凝集した一次粒子間の結合が比較的弱いために、塗膜を作成する際に水の乾燥によりもたらされる、空隙間に働く強力な毛管力に対しては、凝集状態の破壊が起こり易く、塗膜にクラックが形成され易いなどの問題がある。また,乾式法で一般に使用される揮発性珪素化合物、主に四塩化珪素は、水ガラスを始めとするアルカリ金属ケイ酸塩原料と比較して原料コストが高いという欠点を有していた。
本発明者らは、先に、シリカの1次粒子が3次元的に凝集して形成された微細な2次粒子が水中にコロイド状に分散したものであって、乾燥によって多孔質でかつ透明度の高い塗膜を形成できるシリカ微粒子分散液及びその製造方法の発明提案した(特許文献9参照)。この発明によるシリカ微粒子分散液を乾燥させて得られる塗膜は、多量のインクを吸収することができ、かつ透明度が高く高光沢であることから、前記の写真画質を得ることができるインクジェット記録シートの製造において、インク受理層として好適に用いることができる。
上記の特許文献9に開示されたシリカ微粒子分散液製造方法においては、合成条件を変えることで、粒子径、比表面積、細孔容積などの粒子物性が異なる多様な種類のコロイド状シリカ微粒子を合成することができる。このため、それら粒子物性の異なるシリカ微粒子分散液を使用することによりインク吸収性、塗膜透明度等を変えた多様なインクジェット記録シートを製造することができる。
上記の特許文献9に開示されたシリカ微粒子分散液製造方法は、熱水中に活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加するか又は活性ケイ酸水溶液を加熱してシリカ微粒子分散液を生成させ、分散液が沈殿を生じる前、もしくはゲル化する前にアルカリを添加してシリカ微粒子を安定化し、該安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させるものである。この方法では、時にゲル分やシリカの巨大粒子が発生し、インクジェット記録シートのインク受理層に用いた場合には、表面の平滑性が低下し、ひいては光沢が低下することがあり、その原因が明らかではなかった。
特開平1−317115号公報 特開平4−65314号公報 特開平4−187512号公報 特開平7−118008号公報 特開平10−166715号公報 特開昭55―116613号公報 特公昭59−169922号公報 特開平9−286165号公報 特開平2001−354408号公報
本発明の目的は、ゲル分や巨大粒子を含まないシリカ微粒子分散液及びその製造方法を提供することであり、そのことによって平滑で高い光沢をもつインクジェット記録シートを提供しようとするものである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下の方法で上記の目的を達成できることを見出した。本発明は、以下の各態様を含む。
(1)熱水中に酸を添加した後、活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加してシリカ微粒子分散液を生成させ、分散液が沈殿を生じる前もしくはゲル化する前にアルカリを添加してシリカ微粒子を安定化し、該安定化状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させることを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
(2)前記酸を熱水中0.1〜100ppmとなる量で添加することを特徴とする(1)項記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
(3)前記熱水は、イオン導電率が0.05μS/cm〜100μS/cmであることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
(4)熱水中に添加される酸が、塩酸、硫酸及び硝酸から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
(5)前記アルカリを添加してシリカ微粒子を安定化した状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加する速度が、シリカ微粒子分散液に含まれるSiO21モル当たりSiO2に換算して0.001〜0.1モル/分で活性ケイ酸を添加する速度であることを特徴とする(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
(6)前記熱水中に酸を添加した後、活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加してシリカ微粒子分散液を生成させた分散液中のシリカ微粒子の窒素吸着法による比表面積が300m2/g〜1000m2/gで、かつ細孔径が100nm以下の範囲の細孔容積が0.2ml/g〜2.0ml/gであることを特徴とする(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
(7)前記成長後のシリカ微粒子の動的光散乱法による平均2次粒子径が1μm以下であって、5μm以上のシリカ微粒子を含まないことを特徴とする(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
(8)前記成長後のシリカ微粒子の窒素吸着法による比表面積が50m2/g〜400m2/g、平均二次粒子径が20nm〜800nm、かつ細孔径が100nm以下の範囲の細孔容積が、0.4〜2.0ml/gであることを特徴とする(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
(9)前記(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載された方法によって製造されたシリカ微粒子分散液。
(10)前記(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載された方法によって製造されたシリカ微粒子分散液を含有する塗工液を、支持体上に塗工して形成されたインク受容層を有するインクジェット記録用シート。
上記本発明ではゲル分や、巨大粒子を含まない、均一なシリカ微粒子分散液を得ることができる。また、このシリカ微粒子分散液はゲル分や巨大粒子を含まないため、塗工した場合の塗膜の平滑性や光沢度が高く、インクジェット記録シートの製造に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のシリカ微粒子分散液の製造方法は、活性ケイ酸水溶液調製工程、シード液調製工程、成長工程から構成される。各工程を以下に順に説明する。
活性ケイ酸水溶液は、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を水素型陽イオン交換樹脂でイオン交換処理して得られるpH4以下のケイ酸水溶液を指す。活性ケイ酸水溶液としてはSiO2濃度として1〜6質量%が好ましく、より好ましくは2〜5質量%で、かつpH2〜4である活性ケイ酸水溶液が望ましい。アルカリ金属ケイ酸塩としては、市販工業製品として入手できるものでよく、より好ましくは、SiO2/M2O(但し、Mはアルカリ金属原子を表す。)モル比として2〜4程度のナトリウム水ガラスを用いるのが好ましい。
イオン交換処理をする時のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液のSiO2濃度としては1〜6質量%が望ましい。SiO2濃度が6質量%を越える場合、イオン交換樹脂カラム塔内での溶液の増粘が著しくなり処理し難くなる。一方、SiO2濃度が1質量%未満の場合、反応液中の水分量が増大し、生産効率が低下するおそれがある。
次に、シード液調製工程について詳細に説明する。
本発明におけるシード液とは、極微なシリカの1次粒子が凝集して形成された2次凝集粒子(以下シード粒子と称す)がコロイド状に分散した液である。このような2次凝集粒子は、窒素吸着法による比表面積が300m2/g〜1000m2/g、細孔径が100nm以下の範囲の細孔容積が0.4ml/g〜2.0ml/gであることが望ましい。この範囲のシード液を使用すると、インク吸収性、透明度、ひび割れのバランスがとれた塗膜を形成できるシリカ微粒子分散液を製造することができる。
このシード液は、加熱した水に対して酸を添加した後、上記の活性ケイ酸水溶液を少量ずつ滴下する方法で製造できる。この方法によれば、細孔容積が適度で、しかも二次粒子径の小さなシード粒子が得られ、成長後のシリカ微粒子の粒径も小さいものが得られるのが特徴である。シード粒子の平均二次粒子径は、特に限定されないが、好ましくは5nm〜1000nmであり、さらに好ましくは10nm〜600nmである。シード粒子の平均二次粒子径が1000nmを超えても、成長工程で添加されるアルカリや撹拌による機械的力によって二次粒子径が小さくなることがあり、必ずしもシード粒子の平均二次粒子径を1000nm以下にする必要はない。
熱水の量は、特に限定するものではないが、シード液を製造する活性ケイ酸水溶液の質量に対し、好ましくは0.2〜5倍であり、さらに好ましくは0.5〜2.5倍である。活性ケイ酸水溶液の添加方法に制限はないが、一定速度で連続添加を行なうことが好ましい。特に均一な粒子径分布を得るためには、熱水中の水1mol当たりSiO2として0.01mmol/分〜2mmol/分の速度で添加することが重要である。添加速度が2mmol/分以上であるとシード粒子の粒子径を均一に保つのが困難となるため好ましくない。また0.01mol未満である場合、操業に時間がかかり生産性が低下する。
活性ケイ酸が添加される水の加熱温度は60℃以上が好ましく、より好ましくは80〜100℃に加熱することが好ましい。温度が低いと活性ケイ酸の縮合速度が遅く、シード液の製造効率を低下させる。
上記のシード液を製造する方法では、シード粒子の凝集の進行が反応時間に対し直線的ではなく、指数級数的に進行する傾向があり、短時間のうちにシード粒子の凝集が過度に進行し、溶液のゲル化又は沈殿を生じることがある。また、シード粒子の凝集の進行が早い場合、粒子径分布が広くなり、ゲル分や巨大粒子を含むことがあり、該微粒子を用いてインクジェット記録用シートを製造した場合、光沢のある塗膜が得られないため好ましくない。
本発明者らは、熱水中に酸をあらかじめ添加しておくことで、シード粒子の指数級数的上昇を抑え、ゲル分や巨大粒子を含まないシリカ微粒子分散液ができることを見出した。酸の濃度としては0.1ppm〜100ppmの範囲で加えると反応の制御がしやすくなり好ましい。より好ましくは3ppm〜40ppmである。酸の濃度が100ppmを超えると逆に反応速度が遅くなりすぎ、操業性が悪くなる。逆に0.1ppm未満では、効果が小さい。
使用される酸としては、特に限定されないが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸などの有機酸を挙げることができ、これらの酸は各単独で、又は混合して用いる。これらの中で塩酸、硫酸、硝酸は少量の添加でゲル分や巨大粒子の発生防止効果に優れているので特に好ましい。
本発明者らは、さらに、活性ケイ酸水溶液を添加する熱水のイオン導電率を0.05μS/cm〜100μS/cmにすると、製造後のシリカ微粒子分散液の粒子径分布が狭くなり、5μm以上のシリカ粒子を含まなくなることを見出した。イオン導電率が100μS/cmより高い場合、活性ケイ酸の重合速度が非常に速くなるため、シード粒子形成の初期段階において凝集が過剰もしくは不均一に進み粒子径分布が不均一となるため好ましくない。またイオン導電率が0.05μS/cm未満ではシード粒子の凝集が進まず、細孔容積の小さなシード粒子となり、成長後のシリカ微粒子インク吸収性が劣るので好ましくない。好ましくは0.1μS/cm〜100μS/cmであり、最も好ましくは1μS/cm〜50μS/cmである。
次に、成長工程に付いて詳細に説明する。成長工程はシード液中のシード粒子をアルカリで安定化した後に、該安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加してシード粒子表面に活性ケイ酸を縮合させ、一次粒子を成長させる工程である。
シード粒子の濃度は、シリカ換算濃度で0.05〜10.0質量%であることが望ましい。シード粒子のシリカ換算濃度が0.05質量%未満であると、成長工程で新たなシリカ一次粒子が発生することがあり、得られる粒子の粒径分布がブロードになるおそれがある。一方、シード粒子のシリカ換算濃度が10質量%を超えるとシード液が不安定となり場合によってはゲル化に至る。
該シード液中のシード粒子同士の凝集を防止するために、必要量のアルカリ添加を行う。このアルカリは、シード液に対して添加していく活性ケイ酸の縮合触媒としても作用する。使用するアルカリとしては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属元素の水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、アンモニア、第4級アンモニウムハイドロオキサイド、アミン類などの窒素化合物を挙げることができ、これらのアルカリを単独で、又は混合して用いる。この中でも溶液のpHのコントロールが容易であり、乾燥塗膜を作成する際に容易に揮散させることが可能なアンモニアがより好ましい。さらに、アンモニアを使用すると、シリカとバインダーの乾燥塗膜を作成した場合に塗膜の透明度が良好である。
アルカリの添加量については、特に限定されないが、溶液のpHを6.5以上、好ましくはpH8以上にするために必要なアルカリ量、より好ましくはシード粒子におけるシリカ成分(SiO2)1モルに対して1×10-3〜1.0モル、最も好ましくは、0.01〜0.1モルのアルカリ量とすることが望ましい。また、アルカリ量を増加させるに従い、すなわち、溶液のpHが増加するに従い、シリカのシード粒子の表面帯電量が増加して粒子間の反発力が増大するためか、シード粒子の分散が進み、同一条件で成長させた場合に平均二次粒子径が減少する傾向にある。
アルカリの添加方法は、成長工程前のシード液に対して一時に添加する方法、あるいは成長工程においてシード液に対して添加していく活性ケイ酸水溶液と共に少量ずつ添加する方法、又は活性ケイ酸水溶液に混合して少量ずつ添加する方法等を採用することができる。活性ケイ酸水溶液にアルカリを混合してシード液に添加する場合には、活性ケイ酸水溶液のpHが7以上となるアルカリ量を混合することが望ましい。活性ケイ酸水溶液のpHが7未満となる場合、活性ケイ酸水溶液が短時間のうちにゲル化するおそれがある。
シード液の成長工程では、シード液を60℃以上、好ましくは80〜100℃に加温することが望ましい。加温されたシード液に対して、粒子を成長させるために活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加する。この成長工程においては、活性ケイ酸がシード粒子の表面で縮合して一次粒子径の増大、即ち成長が起こる。シード粒子のそれぞれが凝集した状態で互いに成長する結果、一次粒子間を化学的に結合することとなり、乾式法では得ることのできない非常に強固な一次粒子の凝集状態を形成することができる。
活性ケイ酸水溶液の添加量は、使用するシード液中のシード粒子の比表面積(一次粒子径)に依存し、所望の比表面積まで一次粒子径を成長させるために必要なSiO2相当分を活性ケイ酸水溶液を用いて添加する。添加する活性ケイ酸水溶液は、シード液への添加前に縮合が進行しないように、60℃以下、好ましくは40℃以下の温度で添加することが望ましい。
活性ケイ酸水溶液の添加方法に特に制限はないが、一定速度で連続添加を行うことが好ましい。また、活性ケイ酸水溶液の添加中は、溶液のpH低下を防止するために必要量のアルカリを随時添加してもよい。
活性ケイ酸水溶液の加温されたシード液への添加速度は、シード液に含まれるSiO21モル当たりSiO2に換算して0.001〜0.1モル/分の速度で滴下することが望ましい。0.1モル/分を超える速度で滴下すると、新たな単分散した1次粒子を生成し、細孔容積を低下させるおそれがある。
活性ケイ酸水溶液の添加終了後は、そのまま冷却しても十分安定であるが、ケイ酸の縮合を完結させるためにも、好ましくは1〜24時間、70℃以上の温度でさらに加熱処理した方がよりシリカ微粒子の粒径分布が狭くなる。このようにして得られたシリカ微粒子分散液は、余剰の水分を除去してシリカ微粒子の濃縮を行なうことが好ましく、濃縮にはエバポレーターや限外ろ過膜などを使用することができる。
成長工程終了後のシリカ微粒子は、動的光散乱法による平均二次粒子径が1μm以下であって、かつ5μm以上のシリカ微粒子を含まないことが好ましい。平均二次粒子径が1μmを超えると、光の散乱能力が高くなり、インクジェット記録紙シートに用いた場合に印字濃度の低下が起こる。また、平均二次粒子径が1μm以下であっても5μm以上の巨大粒子を含む場合には、光沢、特に目視の光沢感が低下する。特に、比表面積が50m2/g〜400m2/g、平均2次粒子径は20nm〜800nm、かつ細孔径が100nm以下の範囲の細孔容積が0.4ml/g〜2.0ml/gであることが好ましい。比表面積が50m2/g未満では、インク受容層に用いた用いた場合に透明度が低いので高い印字濃度が得られないし、400m2/gを超えると、インク受容層の塗工時にひび割れが発生し易いので好ましくない。細孔容積が0.4ml/gよりも小さい場合には、これを利用したインク受容層のインク吸収性が低下し、インクジェット記録シートのインク受容層用のシリカ微粒子分散液としては不適となる。逆に、細孔容積が2.0ml/gを超える場合、塗膜の密度が小さ過ぎて機械的強度に劣り、塗工時のひび割れが大きかったり、塗膜に傷がつき易いなどの問題が生じるおそれがある。
本発明のシリカ微粒子分散液を用いてインクジェット記録シートを製造するにあたって特に制限はないが、シリカ微粒子分散液以外の主要材料はバインダーであり、その他の副次的な材料を添加することもできる。
バインダーとしては、水溶性樹脂を用いることができ、そのような水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリロイルモルホリン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリ−N−ビニルホルムアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、でんぷんなどを例示することができ、それらは、単独で、或いは混合して配合することができる。特にポリビニルアルコールが好ましい。
また、水性樹脂エマルジョンをバインダーとして用いてもよい。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、ポリエステル系ラテックスなど、一般に用いられている水性エマルジョンを使用することができる。
バインダーの配合量はシリカ微粒子固形分に対し5〜100質量%程度であり、10%〜50質量%が好ましい。
副次的な材料として、消泡剤を混合して塗工時の作業性を向上させたり、基材の濡れ性をよくして均一な塗工層を得るために界面活性剤を配合することもできるし、塗工シートの貼りつき防止や通紙性向上のため、デンプン粒子や合成樹脂粒子を混合してもよい。また、透明性や表面光沢の調整のために、各種顔料を添加することもできるし、また印字画像の保存性向上のため、紫外線吸収剤や光安定化剤などの耐光性向上剤を添加することもできる。
支持体としては、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙、合成樹脂ラミネート紙、金属蒸着紙、合成紙、白色フィルム等、塗工基材として一般的に用いられるシートを利用することができるが、これらに限定されるものではない。これらの支持体に下塗りをして塗工層を設けてから使用しても構わない。中でも、合成樹脂ラミネート紙、金属蒸着紙、合成紙、白色フィルム等、表面が平滑で比較的吸液性の低い基材シートを用いた場合は、高光沢の塗工層が得られるため好適である。フィルム転写法やキャスト塗工などの手段を用い、さらに高光沢の塗工層を得ることもできる。これらの支持体は、その表面に形成する塗工層との接着力が不十分な場合には下塗り層を設けたり、コロナ放電処理やプラズマ処理や熱炎処理などの各種の易接着処理を施すことができる。支持体の厚さは用途によって大きく異なるが、インクジェット記録シートを作製する場合は、プリンターの通紙性を考慮し、50〜500μmが好ましい。
塗工装置としては、公知の塗布装置、例えば、バーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いることができるが、これらに限らない。
塗工量は、塗工シートの用途によっても大きく異なるため、特に限定するものではないが、乾燥後の全層の総塗工量は、重量として1〜80g/m2程度が好ましく、さらに好ましくは3〜60g/m2程度である。塗工量が1g/m2より少ないとインクの吸収が不十分となる恐れがあり、80g/m2より多いとカールが発生しやすくなるし、コストもかさむ。
インク受容層を複数層設けることもできる。その場合、本発明のシリカ微粒子分散液が乾燥時にひび割れしにくく、一回の塗工当たりの塗工量を大きくすることができる特徴があるので、基材シートに近いインク吸収層に本発明のシリカ微粒子を用いるこよにより、インク中の溶媒を吸収させる役割を負わせる使い方もできる。即ち、支持体上に本発明のシリカ微粒子含有層を設け、さらにその上に光沢発現層を設けることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、もちろん、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。実施例及び比較例に記載した試験項目の測定方法は次の通りである。
(シリカ微粒子分散液中のゲル分及び粗大粒子の測定方法)
濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を直径3.5cmのガラス管に30ml入れ、目視で4段階に判定した。
◎ :ゲル分や粗大粒子の存在が確認できない
○ :ゲル分や粗大粒子の存在が僅かに確認できる
△ :ゲル分や粗大粒子が少量ある
× :ゲル分や粗大粒子が多量にある
(シリカ微粒子の平均2次粒子径測定方法)
動的光散乱法によるレーザー粒度分布計〔日機装株式会社製、商標:UPA250〕を用いてシリカ微粒子分散液を十分に蒸留水で希釈した状態で測定した。平均2次粒子径は体積平均値を用いた。
(シリカ微粒子の比表面積、細孔容積測定法)
シリカ微粒子分散液を105℃にて乾燥し、得られた粉体試料の比表面積、細孔容積を、ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置〔Coulter社製、SA3100型〕を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。吸着ガスとしては窒素を用いた。比表面積はBET法により求めた値を使用し、細孔容積は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容積の値を使用した。
(インクジェット記録シートの作成法)
濃度10質量%のシリカ微粒子分散液に、完全けん化ポリビニルアルコール(株)クラレ製、商品名:PVA−140H〕の10質量%水溶液を混合し、シリカ固形分:PVA固形分=100質量部:20質量部に調整した塗料を作成した。この塗料を厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタラートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラー100−Q80D〕上に乾燥質量で塗工量が20g/m2になるようにバー塗工した。シートは120℃で乾燥を行った。
(インクジェット記録シートのインク吸収性測定法)
インクジェット記録シートにインクジェットプリンター[セイコーエプソン(株)社製、PM−950C]を用い、PM写真用紙推奨設定印刷モードで、100%ブラックのベタ印字を(30mm×30mm)行い、以下の基準にしたがって評価した。
◎ :インク吸収が極めて良好なもの
○ :インクあふれがなく吸収できたもの
△ :インクがわずかにあふれたもの
× :インクがあふれ、実用に耐えないもの
(インクジェット記録シートの印字濃度測定法)
インクジェット記録シートにインクジェットプリンター〔セイコーエプソン(株)製、PM−950C〕を用い、PM写真用紙推奨設定印刷モードで、100%ブラックのベタ印字(30mm×30mm)を行った。
印字濃度は、上記ブラックベタ印字部分の印字濃度をマクベス反射濃度計(Macbeth、RD−920)を用いて測定した。
(インクジェット記録シートの75°光沢度測定法)
インクジェット記録シート(塗工量20g/m2)の75°光沢度を村上色彩技術研究所の光沢度計(GM−26 PRO/AUTO)を用い、ISO 8254−1に基づいて測定した。
実施例1
(活性ケイ酸水溶液の調製)
SiO2濃度30%、SiO2/Na2Oモル比3.1のケイ酸ソーダ溶液〔(株)トクヤマ製、三号珪酸ソーダ〕に蒸留水を混合し、SiO2濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製した。この水溶液を、強酸性水素型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH)が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。
(シード液の調製)
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、400gの蒸留水を95℃に加温した。このときの熱水のイオン導電率を測定したところ5μS/cmであった。この熱水に塩酸を10ppmとなるように添加し、95℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を熱水1モルに対して0.2ミリモル/分の速度で合計1000g添加したのち、水酸化カリウムを0.012モル添加して安定化させ、100℃に加温してシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を、上記安定状態に保たれたシード液に対して、該シード液に含まれるSiO21モル当たりSiO2に換算して0.15モル/分の速度で合計584g添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を95℃に保って1時間加熱放置し、pH8.6のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。またシリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いて、インクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
実施例2
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水に塩酸を90ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.4のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
実施例3
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水に塩酸を1ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.62のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
実施例4
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水に塩酸を10ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.61のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
実施例5
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水に硝酸を10ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.6のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
実施例6
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水に酢酸を10ppmとなるように添加した以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.62のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
実施例7
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水としてイオン導電率0.01μS/cmの熱水を使用した以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.6のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
実施例8
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水としてイオン導電率200μS/cmの熱水を使用した以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.3のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
比較例1
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水としてイオン導電率0.01μS/cmの熱水を使用し、かつ塩酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.62のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
比較例2
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水としてイオン導電率200μS/cmの熱水を使用し、かつ塩酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.3のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
比較例3
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、熱水としてイオン導電率0.1μS/cmの熱水を使用し、かつ塩酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.62のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
比較例4
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において、塩酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.62のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
比較例5
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において熱水としてイオン導電率30μS/cmの熱水を使用し、かつ塩酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.61のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
比較例6
(シード液の調製)
前記実施例1におけるシード液の調製工程において熱水としてイオン導電率60μS/cmの熱水を使用し、かつ塩酸を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして安定状態に保たれたシード液を得た。
(成長工程)
上記シード液の調製において使用したものと同様の活性ケイ酸水溶液を使用し、実施例1と同様の方法でpH8.61のシリカ微粒子分散液を得た。このときの二次粒子径の測定値を表1に示した。また、シリカ分散液の比表面積、細孔容積の測定値、シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の有無も合わせて表1に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いてインクジェット記録シートを作成し、光沢度(75°)を測定し、プリンターで印字をし、ブラックの印字濃度、インク吸収性を評価し、評価結果を表1に示した。
Figure 2005255457
表1に示されている結果から明らかなように、実施例1〜6のインクジェット記録シートは、75°光沢、Bk印字濃度及びインク吸収性のいずれも項目の評価が高い。これに対して、シード液調製時に熱水に酸を添加することなく調製したシード液を成長させたシリカ微粒子分散液を使用している比較例1〜6のインクジェット記録シートは、75°光沢が実施例のものより低く、またBk印字濃度も低いかせいぜい同等であるし、さらにインク吸収性の評価も同等もしくは低いものとなっている。特に、実施例1〜3と比較例4の結果の比較から、酸の添加がシリカ微粒子分散液における粗大粒子生成の抑制に寄与し、その結果としてインクジェット記録シートの75°光沢を向上させており、この75°光沢に有意差があることからも確認することができる。
また、シード液調製時に熱水に酸を添加していない比較例1及び2と比較例3〜6の結果をみると、熱水のイオン導電率の違いによっても、インクジェット記録シートの75°光沢度、Bk印字濃度、インク吸収性についての評価に有意差が生じていることが分かる。特に実施例1と実施例7及び実施例8とを比較すると、シード液調製時に酸添加してシード液を調製する場合であっても、熱水のイオン導電率を所定範囲に設定することによってインクジェット記録シートの75°光沢度、Bk印字濃度、インク吸収性についての評価がさらに高まることが確認できる。この熱水のイオン導電率は0.05μS/cm〜100μS/cmであることが好ましい。

Claims (10)

  1. 熱水中に酸を添加した後、活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加してシリカ微粒子分散液を生成させ、分散液が沈殿を生じる前もしくはゲル化する前にアルカリを添加してシリカ微粒子を安定化し、該安定化状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させることを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
  2. 前記酸を熱水中0.1〜100ppmとなる量で添加することを特徴とする請求項1記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
  3. 前記熱水は、イオン導電率が0.05μS/cm〜100μS/cmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
  4. 熱水中に添加される酸が、塩酸、硫酸及び硝酸から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
  5. 前記アルカリを添加してシリカ微粒子を安定化した状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加する速度が、シリカ微粒子分散液に含まれるSiO21モル当たりSiO2に換算して0.001〜0.1モル/分で活性ケイ酸を添加する速度であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
  6. 前記熱水中に酸を添加した後、活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加してシリカ微粒子分散液を生成させた分散液中のシリカ微粒子の窒素吸着法による比表面積が300m2/g〜1000m2/gで、かつ細孔径が100nm以下の範囲の細孔容積が0.2ml/g〜2.0ml/gであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
  7. 前記成長後のシリカ微粒子の動的光散乱法による平均2次粒子径が1μm以下であって、5μm以上のシリカ微粒子を含まないことを特徴とする請求項1〜請求項6に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
  8. 前記成長後のシリカ微粒子の窒素吸着法による比表面積が50m2/g〜400m2/g、平均二次粒子径が20nm〜800nm、かつ細孔径が100nm以下の範囲の細孔容積が、0.4〜2.0ml/gであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
  9. 前記請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載された方法によって製造されたシリカ微粒子分散液。
  10. 前記請求項9記載のシリカ微粒子分散液を含有する塗工液を、支持体上に塗工して形成されたインク受容層を有するインクジェット記録用シート。
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