JP4158274B2 - シリカ微粒子分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録法に用いられる被記録材料に関し、インク吸収層として好適に用いられるシリカ微粒子分散液の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピューターなどの出力用として、ワイヤードット記録方式、感熱発色記録方式、溶融熱転写記録方式、昇華記録方式、電子写真記録方式、インクジェット記録方式などの種々の方式が開発されている。この中で水性インクを用いるインクジェット記録方式は、ランニングコストが安価なこと、ハードウェアがコンパクトで安価なことなどから、パーソナルユーズに適した記録方式として認知されている。さらに近年、フルカラー化及び高解像度化が達成されたことによりカラー画像の手軽な出力手段としても注目され、広く普及しつつある。一般に、インクジェット記録シートは、多孔性顔料を適用したインク吸収特性を有するインク受容層を設けて、画質を決定する色彩性や鮮鋭性のコントロールを行い、色再現性や画像再現性の向上を図っている。インク吸収性のあるインク受容層はインクを吸収し、保持するためにインク受容層中の空隙を多く有する必要がある。このような用途に使用される顔料として安価に入手できる工業製品の水ガラスから製造されているシリカがある。例えば、特開平9―95042号公報には珪酸アルカリ水溶液に、30℃〜40℃の液温を保ちながら、該珪酸アルカリを中和するのに必要な硫酸の45〜55%となる酸の量を添加して、該溶液を85℃〜95℃まで昇温し、硫酸をpHが3〜4になるまで連続的に添加した後粉末を得たのち粉砕、分級することにより含水珪酸非晶質シリカを得る方法が公示されている。しかし、このような方法で得られる顔料は光の波長に比べて大きいために、インク受容層への入射光が散乱されてしまったり、透過が妨げられるため、不透明になり、空隙に浸透したインクに光が到達しにくくなるため画像が白っぽくなり、色再現性及び色濃度が低下する。また、空隙の多いインク受容層は、多孔質な表面となることから、高い光沢を望むことは難しい。
【0003】
また特開平2―278870号公報には、擬ベーマイトよりなるインク受容層が開示されている。小さい一次粒子間にインク中の比較的分子量の小さい水や溶剤(インク成分中の90%以上を占める)を吸収させ、大きな二次粒子間にインク中の染料を吸収させて定着する構成である。この場合、ある程度の透明性を有しており、擬ベーマイト自身がカチオン性をおびているためにアニオン性である染料の定着に優れ、水溶性高分子よりなるインク受容層に比較して耐水性に優れているが、以下の課題が依然として残る。すなわち、擬ベーマイトはアルミナの結晶体の一種類であり、粒子は六角板状の形を呈しているが、このような形状をもつ一次粒子からなる二次粒子は薄板状結晶が互いに折り重なったスリット型細孔と呼ばれる空隙構造を持つが(コロイド科学、I 基礎及び分散・吸着、日本化学会編、p274)、このような細孔は、球状のシリカ一次粒子からなる二次粒子の形成する細孔に比べて空隙容量が比較的少ない。このためインクジェット記録用顔料として使用した場合、インクの吸収性においてシリカ系顔料に比べて劣るという欠点がある。またアルミナとの発色性の悪いインク(例えばアシットレッド52(食用赤色106号)等の赤色)には向かない。さらに擬ベーマイトはコストも高く、一般用途には向かない欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のインクジェット記録シート用シリカの欠点を改善し、インクジェット記録シートのインク吸収層に好適に用いられる微細シリカの製造方法を提供しようとするものである。即ちインク吸収層に用いることにより、多量のインクを素早く吸収でき、吸収層の表面の光沢が高く、色濃度の濃い鮮やかなフルカラー画像が得られる微細シリカの製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため、シリカ系の顔料について種々検討した。 シリカを得る方法としては前述したように珪酸アルカリを鉱酸で処理した後に粉砕する方法が一般的であり、この方法により得られるシリカは一次粒子が凝集した構造をもっている。しかしこの方法で得られるシリカはインク吸収容量は大きいが、二次粒子径が大きすぎるために色濃度が低く、インクジェット記録シートの光沢が低くくなるという欠点があった。
【0006】
また一次粒子が凝集せずに分散したコロイダルシリカでは、インクジェット記録シートの透明性と光沢は得られるものの、インク吸収容量が小さいことがわかった。
【0007】
しかし、アルコキシシランを特定の条件のもとで加水分解して得られる微粒子は一次粒子が凝集した二次粒子となり、インク吸収量が多く、なおかつ透明性が高いことを見出し、本発明に至った。
【0008】
アルコキシシランを加水分解するとシリカが生成するのは公知のことであり、アルコキシシランを酸性または塩基性触媒を用いて加水分解し、シリカ微粒子からなるゲルを合成し、ついでこのゲルを乾燥後、焼成して石英ガラスを製造する方法はよく知られている(例えば作花済夫著“ゾルーゲル法の科学”、p28、アグネ承風社出版)。またアルコキシシランを加水分解して単分散シリカを製造できることも公知である(W.Stoberら、JOURNAL OF COLLOID AND INTERFACE SCIENCE,第26巻第62〜69項、1968)。しかしながら、本発明者らの課題はシリカゲルでも単分散シリカでもなく、比表面積が150m2/g〜500m2/gであるシリカ一次粒子が凝集して生じる粒子径10nm〜250nm、かつ細孔容量が0.5ml/g〜1.5ml/gの二次粒子が溶媒に安定に分散した分散液の製造法に関するものである。
【0009】
本発明は、アルコキシシランを加水分解する際に従来のゾルゲル法に使用されるよりはるかに多量の水を使用し、かつ加水分解を行う際に酸や塩基などの加水分解触媒を使用しないことで目的とするシリカ微粒子の分散液が得られ、このシリカ微粒子をインクジェット記録シートのインク受容層に用いた場合、多量のインクを吸収することができ、高い光沢と印字濃度が得られることを見出した。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0010】
本発明の第一は、「アルコキシシランを加水分解してシリカ微粒子分散液を製造する方法において、加水分解を、珪素1モルあたり40〜800モルの水を使用し、かつ、触媒を使用せずに行うことによって、比表面積が150m2/g〜500m2/gであり、レーザー粒度計による二次粒子径が10nm〜250nmであり、細孔容量が0.5ml/g〜1.5ml/gであるシリカ微粒子を得ることを特徴とする、シリカ微粒子分散液の製造方法」である。
【0011】
本発明の第二の発明は、「第一の発明において水及びアルコキシシランの温度を予め25℃以下に調節した後、混合し、次いで該混合物を攪拌しながら加熱することによって加水分解を行うことを特徴とする本発明の第一に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法」である。
ここにおいて、加水分解は、40℃〜100℃の間で行われることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明で製造されるシリカ微粒子とは比表面積が150m2/g〜500m2/gであり、レーザー粒度計による二次粒子径が10nm〜350nmであり且つ細孔容量が0.5ml/g〜1.5ml/gである。
比表面積が小さいことは一次粒子径が大きいことを意味し、比表面積が大きいことは一次粒子径が小さいことを意味する。球状シリカ粒子が単分散コロイド状シリカである場合、粒子の直径は、D(nm)=2.727×103/比表面積(m2/g)で表されるが、本発明のシリカ微粒子は一次粒子が化学結合して二次粒子を形成しているため一次粒子の直径を正確に求めることは困難である。
また本発明で製造されるシリカ微粒子を透過型電子顕微鏡(日立株式会社製、商標:H−300形日立電子顕微鏡)で観察したところ、直径5nm〜20nmの球状一次粒子が緩やかに凝集した構造をしていた。このため本発明では一次粒子の粒子径を比表面積で表した。本発明のシリカ比表面積が上記範囲より小さい場合、インクジェット受容層として適用したとき、光の散乱が大きくなり、インク受容層の透明性が低下し、印字濃度の低下を招くため好ましくない。
逆に上記範囲より大きいと様々な問題が生じる。例えば一次粒子があまりにも小さいため、シリカ微粒子分散液の濃縮が困難となり、無理に濃縮するとシリカ粒子が過剰に凝集し分散液のゲル化を招く。また十分に濃縮せずにシリカ微粒子の希薄溶液を塗工すると十分な塗工量を得ることが困難である。その上シリカ微粒子の比表面積が上記範囲よりも大きいとインク受容層の毛細管収縮が著しく大きくなるため乾燥時にひび割れが生じ表面平滑性が下がり、光沢が落ちるなど様々な問題が生じる。上記範囲に比表面積を制御することで、透明性が高く、作業性に優れたシリカ微粒子分散液を得ることができる。
【0013】
本発明で製造されるシリカ微粒子はレーザー粒度計による二次粒子径が10nm〜250nmの範囲である。本発明の二次粒子径の測定は動的光散乱法の原理を利用したレーザー粒度計を用いた。懸濁溶液や溶液中に分散している微粒子はブラウン運動をしている。その動きは大きな粒子では遅く、小さな粒子では速くなる。この溶液中にレーザー光(He−Neレーザー)を照射するとレーリー散乱により光が散乱し、ドップラーシフトをする。この振動数のシフトを光子検出法を用いて観測し、解析することにより粒子径、粒度径分布を得ることができる。本発明では合成して得られた微粒子を水中で十分に希釈した状態で粒子径を測定した。本発明の一次粒子径は少なくとも5nm程度の大きさを持っているため、二次粒子径が上記範囲よりも小さい値をとることはない。二次粒子径が上記範囲よりも大きい場合はインク受理層に微粒子を塗工した場合、表面にミクロな凸凹が生じ、光沢が低下する。
【0014】
本発明で製造されるシリカ微粒子の細孔容量は0.5ml/g〜1.5ml/gである。上記範囲よりも細孔容量が小さい場合は、インクをバインダーと混ぜて塗工した場合、インク受理層の空隙が少なくなり、インクを十分に吸収することができない。上記範囲よりも大きい空隙容量を得ようとすると、一次粒子を更に小さくする必要があるため好ましくない。
なお、本発明で言う細孔容量は、シリカ微粒子分散液をPETフィルムに塗布、105℃にて乾燥し、そこから塗膜を剥がし、その試料をCoulter社製のSA3100型を用いて窒素吸着法により測定した値を意味し、対応する細孔直径として100nm以下の細孔の積算容積である。
【0015】
以下に製造法につき詳細に説明する。本発明で使用するアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシランなどを原料として用いることができ、これらのアルコキシシランが縮合したオリゴマーでも良く、これらの中でテトラエトキシシランが特に好ましい。
【0016】
本発明は、アルコキシシランに含まれる珪素1モルあたり40〜800モル、より好ましくは50〜800モル、さらに好ましくは100〜400モルの水を加えて加水分解して重縮合することにより一次粒子を形成させた後に二次粒子を生成させるものである。
【0017】
アルコキシシランに含有される珪素1モルあたり水が50モル未満の水で加水分解を行なった場合では粒子の凝集が過剰に促進され、粗大な二次粒子が生成するので不適である。逆に珪素1モルあたりの水が800モルを越えると水溶液中の水和珪酸の一次粒子同士の衝突頻度が相対的に少ないためか、二次粒子が形成されない。
【0018】
また本発明においては触媒を使用しないで加水分解を行うことが重要である。アルコキシシランの加水分解の反応機構が酸性条件下及び塩基性条件下では異なることは知られている(例えば作花済夫著“ゾルーゲル法の科学”、p160、アグネ承風社出版、セラミックス 31、1996、No.6)。酸性条件下で加水分解を行なった場合、鎖状ポリシロキサンが生成しやすいためか、水和珪酸のクラスターが数多く生成する結果、生成する一次粒子が小さくなりすぎる傾向にある。このため生成したシリカ微粒子の表面エネルギーが大きいため、濃縮すると一次粒子同士が凝集し、二次粒子が大きくなりすぎる傾向にある。逆に塩基性条件下で加水分解をおこなった場合、加水分解と縮合反応が3次元的に行われるためか、一次粒子径の大きいシリカ微粒子が得られる。しかしこのようにして得られる微粒子は一次粒子が大きくなりすぎるためか、インクを十分に吸収するだけの二次粒子が生成しないことを見出した。
【0019】
本発明の製造方法では、水及びアルコキシシランの温度を予め25℃以下に調節した後、混合し、次いで該混合物を攪拌しながら加熱することによって加水分解を行なうことが望ましい。混合時の温度が25℃以上では一次粒子径が小さく、かつ二次粒子径が大きくなり過ぎる傾向がある。この現象の理由は不明であるが、温度が高い場合には、水とアルコキシシランを混合した瞬間から加水分解が始まり、水和珪酸のクラスターが数多く生成するためにシリカの核粒子が多量に発生して小さな一次粒子を形成するものと考えられる。本発明においてはシリカ微粒子を製造する際の加水分解温度については40℃〜100℃が好ましく、70℃〜100℃がさらに好ましい。温度が40℃未満では生成する水和珪酸の一次粒子が小さいために出来上がったシリカ微粒子の分散安定性が悪くなり、分散液がゲル化する場合や、あるいは二次粒子径が過大になることもある。また温度が100℃を越えると加水分解により生成するエタノールの突沸現象を引き起こすこともある。加水分解時間は3〜40時間の間が好ましく、6時間から24時間の範囲がより好ましい。3時間未満では加水分解された水和珪酸の縮合が十分に行われず、所望の効果を得ることができない。加水分解時間が40時間を越えると粒子の凝集が進みすぎ、分散液がゲル化する場合があるほか、生産性の点からも好ましくない。
【0020】
加水分解が終了した後、余分な水や加水分解の結果生成したアルコールを除去してシリカ微粒子の濃縮を行なうことが好ましく、濃縮装置としてはエバポレーターや限外ろ過膜などが使用できる。
【0021】
また得られた微粒子の表面をシランカップリング剤を用いて修飾しても良いし、アルミニウムや、カチオン化剤などの各種化合物を用いてシリカ表面を修飾し、耐光性など様々な機能性を与えることも可能である。
【0022】
【実施例】
尚、以下に本発明の更に詳しい説明を実施例により行うが、実施例および比較例に記載した試験項目の測定方法は次の通りである。
【0023】
<表面積、細孔径、細孔容量測定法>
シリカ微粒子分散液をPETフィルムに塗布、105℃にて乾燥し、そこから塗膜を剥がし、その試料をCoulter社製のSA3100型を用いて窒素吸着法により測定した。
【0024】
<微粒子の二次粒子径測定方法>
レーザー粒度分布計(大塚電子株式会社製、商標LPA3000/3100)にて測定した。測定原理はレーザー法によるものである。この測定は、ブラウン運動している液体中の粒子に、He−Neレーザー光を照射して、レーリー散乱により光が散乱され、粒子の運動によりドップラーシフトするという原理に基づく光散乱法によるものである。
【0025】
<実施例1>
容量5リットルのガラス製反応容器(セパラブルフラスコ、撹拌羽根、温度計付き)に蒸留水1440gを仕込み18℃で保持しておく。次いで攪拌しつつ20℃に保持しておいたテトラエトキシシラン92.3g(0.421モル、和光純薬工業製、純度95%)を添加した後(H2O(モル)/Si(モル)=190)、95℃にて24時間反応させ、得られた反応液を濃縮して、固形分濃度12%のシリカ微粒子分散液を得た。
【0026】
得られたシリカ微粒子の比表面積は311m2/gであり、二次粒子径は56nmであった。細孔径は16nm、細孔容量は0.978ml/gであった。
【0027】
<実施例2>
実施例1において、蒸留水の温度を25℃とし、テトラエトキシシランの温度を10℃、添加量を331g(1.51モル)とし(H2O(モル)/Si(モル)=53)、添加後の温度を75℃とした以外は実施例1と同様にしてシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子の比表面積は455m2/g、二次粒子径は220nmであった。平均細孔径は22nmであり、細孔容量は1.40ml/gであった。
【0028】
<実施例3>
実施例1において、蒸留水の温度を5℃とし、テトラエトキシシランの温度を20℃、添加量を22.3g(0.102モル)とし(H2O(モル)/Si(モル)=785)、添加後、65℃にて8時間反応させたこと以外は実施例1と同様にしてシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子分散液中の微粒子の比表面積は430m2/gであり、二次粒子径は52nmであった。細孔径は10.1nmであり、細孔容量は1.03ml/gであった。
【0029】
<実施例4>
実施例1において、蒸留水の温度を5℃とし、テトラエトキシシランの温度も5℃とし、添加後95℃にて48時間反応させた以外は実施例1と同様にしてシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子分散液中の微粒子の比表面積は208m2/gであり、二次粒子径は82.2nmであった。細孔径は25nmであり、細孔容量は0.901ml/gであった。
【0030】
<実施例5>
実施例1において、蒸留水の温度を30℃とし、テトラエトキシシランの温度を28℃とした以外は実施例1と同様にしてシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子分散液中の微粒子の比表面積は383m2/gであり、二次粒子径は250nmであった。細孔径は10nmであり、細孔容量は1.03ml/gであった。
【0031】
<比較例1>
実施例1において、蒸留水の温度を18℃とし、テトラエトキシシランの温度を20℃、テトラエトキシシランの添加量を501g(0.102モル)とし(H2O(モル)/Si(モル)=35)、添加後の反応温度を95℃にて24時間反応させた以外は実施例1と同様にしてシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子分散液中の微粒子の比表面積は583m2/gであり、二次粒子径は365nmであった。細孔径は24nmであり、細孔容量は1.63ml/gであった。
【0032】
<比較例2>
実施例1において蒸留水中に塩酸を0.0001Nとなるように配合したこと以外は実施例1と同様にしてシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子分散液中の微粒子の比表面積は865m2/gであり、二次粒子径は3.90μmであった。細孔径は4nmであり、細孔容量は0.877ml/gであった。
【0033】
<比較例3>
実施例1において蒸留水中にアンモニア水を0.0001Nとなるように配合した以外は実施例1と同様にしてシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子分散液中の微粒子の比表面積は186m2/gであり二次粒子径は29.2nmであった。細孔径は16nmであり、細孔容量は0.475ml/gであった。
【0034】
[評価]
上記各実施例および比較例で得られたシリカ微粒子分散液について、下記方法によりインクジェット記録シートを作製、評価し、その結果を表1、表2に示した。
【0035】
<インクジェット記録シートの作製>
シリカ微粒子分散液のシリカ固形分に対して珪素含有ポリビニルアルコール(クラレ製、商標:R2105)30重量%加えてインク受容層用塗工液を調整し、PETフィルム(東レ製、商標:ルミラー)にメイヤーバーで乾燥後の塗工量が25g/m2となるように塗工、乾燥してインクジェット記録シートを作製した。
【0036】
<インクジェット記録シートの評価>
上記作製法により得られたインクジェット記録シートについて、下記方法により評価した。
【0037】
<インク吸収性>
インクジェット記録シートにインクジェットプリンター(キャノン株式会社製、商標:BJC700J)でシアン、マゼンダ、イエロー、及びブラックの各色でベタ印字(スーパーフォトモード)し、評価した。インク吸収性はインクのにじみ具合を見て評価した。インクを完全に吸収していものを◯、少し滲んでいるものを△、あふれているものを×とした。
【0038】
<透明感>
各実施例、比較例で作成したインクジェット記録シートを平らに置き、斜め上面から光をあて透明感を目視で評価した。透明感が良いものを◯、少し曇っているものを×とした。
【0039】
<印字濃度>
各インクジェット記録用シートの下に市販コート紙を敷き、黒ベタ部の印字濃度をマクベス反射濃度計(Macbeth,RD−920)を測定した。
【0040】
<印字部の光沢性>
印字部の光沢性は印字部に対して20度の角度から観察して目視評価した。◎はカラー印画紙並みの高い光沢をもち、以降◯、△の順で光沢を評価し、光沢のないものを×とした。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
表1、表2から明らかなように実施例1〜5で得られたシリカ微粒子は粒子径も小さく、細孔容量も大きいために、それらを塗工して得られるインクジェット記録シートはインク吸収性も良く、印字濃度も高く、光沢もあり、透明感が優れるものであった。
【0044】
【発明の効果】
本発明で製造されたシリカ微粒子分散液は基材上に塗布したときにインクの吸収性に優れ、透明でなおかつ光沢を兼ね備えた多孔質層を形成することができる。
Claims (3)
- アルコキシシランを加水分解してシリカ微粒子分散液を製造する方法において、加水分解を、珪素1モルあたり40〜800モルの水を使用し、かつ、触媒を使用せずに行うことによって、比表面積が150m2/g〜500m2/gであり、レーザー粒度計による二次粒子径が10nm〜250nmであり、細孔容量が0.5ml/g〜1.5ml/gであるシリカ微粒子を得ることを特徴とする、シリカ微粒子分散液の製造方法。
- 水及びアルコキシシランの温度を予め25℃以下に調節した後、混合し、次いで該混合物を攪拌しながら加熱することによって加水分解を行うことを特徴とする請求項1記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
- 加水分解は40℃〜100℃の間で行われる請求項2に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
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