JP2006232592A - シリカ微粒子分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 インク吸収性に優れ、且つ、目視による光沢感が良好な写真印刷用インクジェット記録シートを製造し得るシリカ微粒子分散液を提供する。
【解決手段】 (1)活性ケイ酸水溶液を加熱する方法によってシリカ微粒子分散液を生成させる工程、(2)該シリカ微粒子分散液が沈殿を生じる前もしくはゲル化する前にアルカリを添加してシリカ微粒子を安定化する工程、(3)該シリカ微粒子分散液の安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させる工程、を有するシリカ微粒子分散液の製造方法において、強酸の塩を含むアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から陽イオンを除去することによって製造された活性ケイ酸水溶液を、少なくとも前記(1)の工程で用いることを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 (1)活性ケイ酸水溶液を加熱する方法によってシリカ微粒子分散液を生成させる工程、(2)該シリカ微粒子分散液が沈殿を生じる前もしくはゲル化する前にアルカリを添加してシリカ微粒子を安定化する工程、(3)該シリカ微粒子分散液の安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させる工程、を有するシリカ微粒子分散液の製造方法において、強酸の塩を含むアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から陽イオンを除去することによって製造された活性ケイ酸水溶液を、少なくとも前記(1)の工程で用いることを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、シリカ微粒子分散液の製造方法に関する。さらに詳しくは、粗大粒子を含まず、平滑で光沢感が高い塗膜を形成するために、写真印刷用インクジェット記録シートを製造するのに好適なシリカ微粒子分散液に関する。
近年、インクジェット記録方式は高画質化及び高速印字化が急速に進み、広く普及している。インクジェット記録用シートの製造に際しては、高いインク吸収性を持たせるために、主に無機顔料をバインダーと共にインク受理層として塗工することが公知である。無機顔料の中でもシリカは、好適な顔料として広く使用されている。ここでインク吸収性とはインク吸収量とインク吸収速度を包含する概念であり、多量のインクを吸収できるだけでなく、短時間でインクを吸収できることが有利であることは言うまでもない。
さらに、写真画質を得るためのインクジェット記録シートでは、高いインク吸収性に加えて、高い発色濃度と写真調の風合いを得るためにできるだけ透明なインク受理層が求められる。このような受理層を形成するために、コロイド状のシリカ微粒子が好適に用いられる。
コロイド状のシリカ微粒子としては、コロイダルシリカが広く知られている。その製造方法に関しては、多くの方法が知られている。例えば、特許文献1には、ケイ酸ソーダの希釈水溶液をカチオン交換樹脂で処理して酸性の活性ケイ酸水溶液を調製し、この活性ケイ酸水溶液の一部に対しケイ酸ソーダをアルカリとして添加して安定化させて加熱重合することにより、シリカのシード粒子が単分散した液(シード液)を作り、アルカリ性条件を保持しながら活性ケイ酸水溶液の残部(フィード液)をこれに徐々に添加してケイ酸を重合させ、コロイダルシリカの単分散粒子を成長させる方法が開示されている。
単分散コロイダルシリカを製造する場合、工業的に最も多く使用される製造方法は上記のようなイオン交換樹脂法である。この方法により、安価な工業製品であるケイ酸ソーダを始めとするアルカリ金属ケイ酸塩を原料として、粒径を自由にコントロールしながら、かつ粒径分布がシャープなコロイダルシリカを製造することが可能となっている。これらの方法で得られるコロイダルシリカは、そのほとんどが真球状粒子であり、各粒子が凝集することなく単分散しているため、乾燥状態では粒子が密に充填され、粒子間の空隙が非常に少ない構造をとる。従って、これらコロイダルシリカの細孔容積は一般的には0.3ml/g未満であり、コロイダルシリカを使用して得た塗膜は、インクジェット印刷におけるインク吸収性に劣り、インク受理層としては不適である。
一方、細孔容積の大きい多孔質シリカとしては湿式法で製造される含水非晶質シリカがある。これはケイ酸アルカリ溶液に鉱酸を混合し、ゲル化あるいは沈降させた後、湿式粉砕して得られるものである。例えば、特許文献2には、ケイ酸アルカリ水溶液に対して2段に分けて酸添加を行い、反応後の溶液をろ過して水和ケイ酸の湿潤ケークを得、該湿潤ケークにせん断力又は振動を与えてスラリーとした後、噴霧乾燥することによって細孔容積0.5ml/g以上の含水ケイ酸非晶質シリカを得る方法が開示されている。このような湿式法で得られるシリカは、一次粒子が凝集して二次粒子を形成しており、一次粒子間あるいは二次粒子間の空隙により一般に0.5ml/g以上の高い細孔容積を保持している。しかしその粒子径が1〜20μmであることから、光の散乱度が高く、その分散液は一般に白濁し、バインダーとの混合塗膜を作成した場合にも、その塗膜は不透明となる。また、水分散液は静置により沈殿を生じコロイドとしての性質を示さない。
上記の含水非晶質シリカを機械的手段で湿式粉砕処理する方法は、コロイド状シリカ微粒子の分散液を得る方法として公知である。例えば、特許文献3には、合成無定型シリカに機械的手段で強い力を加えることにより、3nm〜40nmの一次粒子が凝集してなる平均粒子径が10nm〜300nmの二次粒子よりなるコロイド状シリカ微粒子の製造方法が開示されている。しかしながら、この方法では粒度分布が広く、粗大な粒子を含むために塗膜の透明度と光沢が劣る欠点があった。
また、乾式法により得られるシリカを水中で機械的に粉砕する方法もシリカの二次粒子が水中にコロイド状に分散した分散液を得る方法として公知である。乾式法シリカとは、例えば、特許文献4にあるように、揮発性珪素化合物を火焔中で高温分解する方法により、製造される微粒子状シリカである。乾式法シリカの水分散液は湿式法シリカと比べると機械的に粉砕することが比較的容易である。しかしながら、凝集した一次粒子間の結合が比較的弱いために、塗膜を作成する際に水の乾燥によりもたらされる、空隙間に働く強力な毛管力に対しては、凝集状態の破壊が起こり易く、塗膜にクラックが形成され易いなどの問題がある。また,乾式法で一般に使用される揮発性珪素化合物、主に四塩化珪素は、水ガラスを始めとするアルカリ金属ケイ酸塩と比較して原料コストが高いという欠点を有していた。
上記のコロイド状シリカ微粒子が抱えている問題点を解決するために、本発明者等は活性ケイ酸を縮合させる方法によりコロイド状シリカ微粒子を製造する方法を特許文献5で開示した。
特許文献5には、「 窒素吸着法による比表面積が300m2/g〜1000m2/gで、細孔容積が0.4ml/g〜2.0ml/gであるシリカ微粒子がコロイド状に分散した液をシード液とし、該シード液にアルカリを添加したのち、該シード液に対し活性ケイ酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種類からなるフィード液を少量ずつ添加してシリカ微粒子を成長させることを特徴とする、窒素吸着法による比表面積が100m2/g〜400m2/g、平均二次粒子径が20nm〜300nm、かつ細孔容積が0.5ml/g〜2.0ml/gのシリカ微粒子がコロイド状に分散したシリカ微粒子分散液の製造方法。」が記載されている。
また、「窒素吸着法による比表面積が300m2/g〜1000m2/gで、細孔容積が0.4ml/g〜2.0ml/gであるシリカ微粒子がコロイド状に分散した液をシード液とし、該シード液に対し活性ケイ酸水溶液及びアルコキシシランから選ばれる少なくとも一種類からなるフィード液とアルカリの混合物を少量ずつ添加するか、もしくは該フィード液とアルカリを少量ずつ同時に添加してシリカ微粒子を成長させることを特徴とする、窒素吸着法による比表面積が100m2/g〜400m2/g、平均二次粒子径が20nm〜300nm、かつ細孔容積が0.5ml/g〜2.0ml/gのシリカ微粒子がコロイド状に分散したシリカ微粒子分散液の製造方法。」も記載されている。
特許文献5によるシリカは、沈降法シリカやゲル法シリカの長所とコロイダルシリカの長所を併せ持っている。このシリカはシリカの一次粒子が結合した二次粒子であり、しかも二次粒子径を光の波長以下に調節することが容易であるので、インク吸収量と光沢度に優れるインク受容層を容易に製造できる。しかしながら、この方法ではシリカの粗大粒子が発生する場合があり、このような粗大粒子を含むものをインクジェット記録シートのインク受理層に用いると表面に斑点として視認され、斑点が多い場合には目視による光沢感が悪化することがある。
米国特許第2577484号明細書
特開昭55―116613号公報
特開平9−286165号公報
特公昭59−169922号公報
特開2001−354408号公報
本発明は、インク吸収性に優れているだけでなく、目視による光沢感が良好な写真印刷用インクジェット記録シートを製造し得るシリカ微粒子分散液を提供しようとするものである。
本発明は以下の各発明を包含する。
1.(1)活性ケイ酸水溶液を加熱する方法によってシリカ微粒子分散液を生成させる工程、(2)該シリカ微粒子分散液が沈殿を生じる前もしくはゲル化する前にアルカリを添加してシリカ微粒子を安定化する工程、(3)該シリカ微粒子分散液の安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させる工程、を有するシリカ微粒子分散液の製造方法において、強酸の塩を含むアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から陽イオンを除去することによって製造された活性ケイ酸水溶液を、少なくとも前記(1)の工程で用いることを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
1.(1)活性ケイ酸水溶液を加熱する方法によってシリカ微粒子分散液を生成させる工程、(2)該シリカ微粒子分散液が沈殿を生じる前もしくはゲル化する前にアルカリを添加してシリカ微粒子を安定化する工程、(3)該シリカ微粒子分散液の安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させる工程、を有するシリカ微粒子分散液の製造方法において、強酸の塩を含むアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から陽イオンを除去することによって製造された活性ケイ酸水溶液を、少なくとも前記(1)の工程で用いることを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
2.前記強酸の塩が、塩酸、硫酸及び硝酸から選ばれる少なくとも一種の鉱酸の塩、好ましくは鉱酸のアルカリ金属塩であることを特徴とする1項記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
3.前記強酸の塩を含むアルカリ金属ケイ酸塩水溶液は、該強酸の塩を10ppm〜500ppm含むことを特徴とする1項又は2項に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
4.前記アルカリ金属ケイ酸塩水溶液が、ケイ酸ソーダ水溶液であることを特徴とする1項〜3項のいずれかに記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
5.前記活性ケイ酸水溶液を加熱する方法によってシリカ微粒子分散液を生成させる工程において、アルキルアンモニウム塩が添加されていることを特徴とする1項〜4項のいずれかに記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
6.前記アルキルアンモニウム塩は、活性ケイ酸水溶液を加熱する方法によってシリカ微粒子分散液を生成させる工程における活性ケイ酸水溶液中に含まれるSiO2換算質量に対して0.05〜1質量%であることを特徴とする5項記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
7.前記活性ケイ酸水溶液を加熱する方法によってシリカ微粒子分散液を生成させる工程が、熱水に活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加して加熱する方法、及び活性ケイ酸水溶液をそのまま加熱する方法から選ばれるいずれかの方法からなる工程である1項〜6項のいずれかに記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
8.前記シリカ微粒子分散液の安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させる工程から得られるシリカ微粒子分散液中の成長後のシリカ微粒子が、動的光散乱法による平均2次粒子径で1μm以下であって、5μm以上のシリカ微粒子を含まないことを特徴とする1項〜7項のいずれかに記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
9.前記成長後のシリカ微粒子分散液中のシリカ微粒子の窒素吸着法による比表面積が50m2/g〜400m2/g、細孔径100nm以下の範囲の細孔容積が0.4〜2.0ml/g、及び平均2次粒子径が20nm〜800nmである1項〜8項のいずれかに記載のシリカ微粒子分散液製造方法。
10.前記1項〜9項のいずれか1項に記載の方法によって製造されたシリカ微粒子分散液。
11.前記10項記載のシリカ微粒子分散液を含有する塗工液を支持体に塗工して形成したインク受容層を有するインクジット記録シート。
上記発明で得られるシリカ微粒子はシリカの粗大粒子を含まないので、このシリカ微粒子を含有する塗工液を用いることにより、インク吸収性に優れているだけでなく、目視による光沢感が良好な写真印刷用インクジェット記録シートを容易に製造することができる。
本発明のシリカ微粒子分散液の製造方法は、特定の活性ケイ酸水溶液を原料とする。一般に、活性ケイ酸水溶液とは、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液を水素型陽イオン交換樹脂でイオン交換処理して得られるpH4以下の酸性のケイ酸水溶液を指すが、本発明においては、酸解離指数が3以下の強酸の塩を含むアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から陽イオンを除去することによって製造された活性ケイ酸水溶液を、少なくとも、活性ケイ酸水溶液を加熱してシリカ微粒子分散液を生成させる工程(シード液製造工程)に使用する。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、市販工業製品として入手できるもので良く、SiO2/M2O(但し、Mはアルカリ金属原子を表す。)モル比として2〜4程度のものが使用できるが、特にケイ酸ソーダを用いるのが好ましい。
強酸とは、一般に酸解離指数が3以下の酸を指し、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、スルフォン酸などが良く知られており、いずれも単独若しくは混合して使用することが出来る。有機酸、例えば、カルボン酸やフェノール類は弱酸である。強酸の中で、特に塩酸、硫酸、硝酸の塩は安価で比較的少ない添加量で効果があるので好ましい。塩としては特に限定されるものではないが、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩、クロム塩、マンガン塩、鉄塩、コバルト塩、ニッケル塩、銅塩、亜鉛塩、アンモニウム塩、及び有機塩基の塩などが使用できる。これらの塩の中でアルカリ金属塩は、イオン交換樹脂からの脱着が容易であり、イオン交換樹脂の再生を妨げることが少ないので好ましい。特にナトリウム塩を用いるのが価格、安全性、入手の容易さの点で好ましい。
上記のアルカリ金属ケイ酸塩と上記強酸の塩の混合水溶液を、例えば、水素型陽イオン交換樹脂でイオン交換処理して陽イオンを除去し、活性ケイ酸を製造する場合の、アルカリ金属ケイ酸塩の濃度はSiO2濃度として1〜7質量%が好ましく、より好ましくは2〜5質量%である。SiO2濃度が7質量%を超える場合、イオン交換樹脂塔内での溶液の増粘が著しくなり処理し難くなる恐れがある。一方、SiO2濃度が1質量%未満の場合、反応液中の水分量が増大し、シリカ微粒子の生産効率が低下する。
上記の塩は、アルカリ金属ケイ酸塩中に10ppm〜500ppm含むことが好ましい。10ppm未満では、シリカの粗大粒子の発生抑制効果が減少する。また、500ppmを超える量を添加しても、効果はあまり増大しない。陽イオン除去によって得られた活性ケイ酸中のSiO2濃度は1〜7質量%が好ましく、より好ましくは2〜5質量%、かつpH2〜4である活性ケイ酸水溶液が望ましい。
この活性ケイ酸を加熱することにより、シリカ微粒子分散液を形成し、これを次工程のシード液(種液)として使用する。このシード液調製工程において得られるシリカ微粒子は、活性ケイ酸の縮合反応によって生じる非常に微細なシリカの一次粒子(シード粒子)が二次凝集したものであり、内部空隙を有する。その物性としては、窒素吸着法による比表面積が300m2/g〜1000m2/g、かつ細孔径100nm以下の範囲の細孔容積が0.4ml/g〜2.0ml/gであることが好ましい。この範囲にあると、インク吸収量、光沢、ひび割れ、及びインク吸収速度に優れたシリカ微粒子分散液を製造することができる。より好ましい細孔容積は0.5ml/g〜1.8ml/gである。
また、シード液中のシリカ微粒子の濃度は、SiO2換算濃度で0.05質量%以上であることが望ましい。シード液中のSiO2換算濃度が0.05質量%未満であると、後のシリカ微粒子を成長させる過程で、新たな単分散状の粒子が発生することがあり、最終的に得られるシリカ微粒子分散液の細孔容積が減少することがある。
活性ケイ酸を加熱してシード液を製造する第一の方法は、熱水中に活性ケイ酸を少量ずつ添加する方法である。活性ケイ酸水溶液が添加される水の加熱温度は、一般的には60℃以上、好ましくは80℃以上である。温度が低いとケイ酸の縮合速度が遅く、シード液の製造効率を低下させる。また、水のpHは8以下、より好ましくは7以下である。pHが8を超える場合、ケイ酸の縮合によって生じるシード粒子の凝集が十分には進行せず、シード液として使用した場合に十分な細孔容積をもったシリカ凝集物が得られない恐れがある。また、添加される活性ケイ酸が新たなシード粒子を生成することなく既存のシード粒子の成長に供される頻度が高まり、シード液を製造する効率が低下する。
活性ケイ酸水溶液の熱水への添加方法に特に制限はないが、一定速度で連続添加を行うことが好ましい。添加速度は特に制限はないが、熱水1kg当り、SiO2換算で0.001モル/分〜0.1モル/分が適当である。0.001モル/分未満ではシード液の製造に時間がかかりすぎるし、0.1モル/分を超えるとシード粒子の細孔容積が低下する傾向にある。ケイ酸が熱水中で縮合することによって、まず、微細なシリカの一次粒子が生成し、次に、それらが二次凝集することによってシリカ微粒子が生成するが、一次粒子の凝集の進行は溶液中のSiO2濃度及び加熱時間に大きく依存する。すなわち、熱水中に添加される活性ケイ酸量が増加し、シリカの等電点(約pH2.2)に向けて溶液のpHが減少していくに従って、また、活性ケイ酸水溶液の添加開始時間からの加熱時間が長くなるに従い、シード粒子の凝集が進行する。従って、活性ケイ酸水溶液と水の仕込比や活性ケイ酸水溶液の熱水への添加速度は、これらの傾向を踏まえた上で最適値に設定される。
シード粒子の凝集の様子は、反応溶液の濁度の変化、又は粘度の変化として容易に視認できる。ケイ酸の熱水への添加量が増加するに従い、すなわち、シード粒子の凝集が進行するに従い、二次粒子径と細孔容積が増大する。最初透明な反応溶液は次第に青みを帯び、粘度が上昇する。さらに凝集が進行するに従って溶液の濁度が上昇し、ある時点を過ぎると沈殿を生じるかゲル化するに至る。
シード液を製造する第二の方法は、活性ケイ酸水溶液自体を加熱する方法である。活性ケイ酸水溶液としてはSiO2換算濃度として1〜7質量%が好ましく、より好ましくは2〜5質量%かつpH2〜4である活性ケイ酸水溶液が望ましい。
活性ケイ酸水溶液の加熱温度は60℃以上、好ましくは80℃以上である。温度が低いとケイ酸の縮合速度が遅く、シード液の製造効率を低下させる。
活性ケイ酸水溶液の加熱温度は60℃以上、好ましくは80℃以上である。温度が低いとケイ酸の縮合速度が遅く、シード液の製造効率を低下させる。
また、シード粒子の凝集の進行は活性ケイ酸水溶液中のSiO2換算濃度、及び加熱時間に大きく依存する。すなわち、活性ケイ酸水溶液の濃度が高く、加熱時間が長くなるほど、シード粒子の凝集が速く進行する。
シード粒子の凝集の様子は、前述したシード液の第一の製造法と同様に、反応溶液の濁度の変化、又は粘度の変化として容易に視認できる。ケイ酸の加熱時間が長くなるほど、透明な反応溶液は青みを帯び、粘度が上昇する。さらに凝集が進行するに従って溶液の濁度が上昇し、ある時点を過ぎると沈殿を生じるかゲル化するに至る。
上記の第一及び第二のシード液製造工程においては、アルキルアンモニウム塩を添加しておくと、シード粒子の凝集が促進され、シード液の製造時間が短縮される。また、成長操作後のシリカ微粒子の細孔容積が増大し、最終的に得られるシリカ微粒子分散液をインクジェット記録用シートのインク受容層に用いると、インク吸収量が大幅に増加する効果が得られる。さらに、アルキルアンモニウム塩の添加によってシリカ微粒子分散液の安定性が高くなる効果も得ることができる。アルキルアンモニウム塩を添加しない場合には、最終的に得られるシリカ微粒子分散液の濃度が高くなるに従い、粘度が急激に上昇し、場合によっては短時間のうちにゲル化することがある。しかし、アルキルアンモニウム塩を添加してシリカ微粒子分散液を作成すると、そのような現象を大幅に軽減することができる。
添加するアルキルアンモニウム塩としては特に限定されないが、メチルアンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、プロピルアンモニウム塩、ブチルアンモニウム塩、ラウリルアンモニウム塩、ステアリルアミン塩などのモノアルキルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩などのジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩などのトリアルキルアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩などのテトラアルキルアンモニウム塩などが例示される。これらのアルキルアンモニウム塩の中で、テトラアルキルアンモニウム塩は効果が高いので好ましく、特にテトラメチルアンモニウム塩が好ましい。
テトラメチルアンモニウム塩を使用した場合には、微量の添加でシード粒子の凝集促進効果が得られる他、最終的なシリカ微粒子分散液の安定性が高くなる効果も得られる。
テトラメチルアンモニウム塩を使用した場合には、微量の添加でシード粒子の凝集促進効果が得られる他、最終的なシリカ微粒子分散液の安定性が高くなる効果も得られる。
アルキルアンモニウム塩の添加量としては、シード液製造時に使用する活性ケイ酸水溶液中に含まれるSiO2換算質量に対して、0.05〜1質量%を添加することが望ましい。また、アルキルアンモニウム塩の添加方法としては、第一のシード液製造方法においては熱水中にあらかじめ添加しておく方法、第二のシード液製造方法においては活性ケイ酸水溶液中にあらかじめ添加しておく方法が望ましい。
上記の方法により得られるシード液は沈殿を生じるかゲル化する前にアルカリを添加して凝集の進行を停止する。このアルカリは、成長工程でシード液に添加していく活性ケイ酸の縮合触媒としても作用する。使用するアルカリとしては特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属元素の水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、アンモニア、第4級アンモニウムハイドロオキサイド、アミン類などの窒素化合物を挙げることができ、これらのアルカリを単独でまたは混合して用いる。この中でも溶液のpHのコントロールが容易であり、乾燥塗膜を作成する際に容易に揮散させることが可能なアンモニアがより好ましい。さらに、アンモニアを使用すると、シリカとバインダーの乾燥塗膜を作成した場合に塗膜の透明度が良好である。
アルカリの添加量については特に限定されないが、シリカ微粒子を含む懸濁液のpHを6.5以上、より好ましくはpH7以上11以下にするために必要なアルカリ量が望ましい。より詳しくはシード粒子凝集物におけるシリカ成分(SiO2)1モルに対して1×10-3〜1.0モル、より好ましくは、0.01〜0.1モルのアルカリ量とすることが望ましい。懸濁液のpHが6.5未満であるとケイ酸の縮合反応が遅く、成長操作時の所用時間が長くなる。また、溶液のpHが11を超えると、シリカが溶液中に溶出するため、シリカ分の収率が低下する。
アルカリの添加方法は、各シード粒子の成長工程前のシード液に一時に添加する方法、あるいは成長工程時においてシード液に添加していく活性ケイ酸水溶液と共に添加する方法、又は活性ケイ酸水溶液に混合して添加する方法をとることができる。活性ケイ酸水溶液にアルカリを混合してシード液に添加する場合には、活性ケイ酸水溶液のpHが7以上となるアルカリ量を混合することが望ましい。活性ケイ酸水溶液のpHが7以下となる場合、活性ケイ酸水溶液が短時間のうちにゲル化することがある。
シード液のシード粒子の成長工程では、シード液を60℃以上に加温することが好ましく、さらに、80℃以上に加温することが望ましい。温度が低いとケイ酸の縮合速度が遅く、製造効率を低下させる。
加温されたシード液に対して、シード粒子を成長させるために活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加する。この工程で使用する活性ケイ酸は、シード粒子製造に用いた活性ケイ酸と同じものでも良いが、強酸の塩を含まないアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から陽イオンを除去することによって製造された活性ケイ酸水溶液でも良い。活性ケイ酸水溶液の添加方法に特に制限はないが、一定速度で連続添加を行うことが好ましい。また、活性ケイ酸水溶液の添加中は、溶液のpH低下を防止するために、必要量のアルカリを随時添加しても良い。
活性ケイ酸水溶液の加温されたシード液への添加速度は、新たなシード粒子を生成させる余剰の活性ケイ酸がシード液中に存在しないように、シード液中のシリカ微粒子のSiO21モルあたりSiO2に換算して0.001〜0.1モル/分の速度で滴下することが望ましい。0.1モル/分以上の速度で滴下すると、新たに単分散のシード粒子が生成し、細孔容積を低下させる恐れがある。
また、活性ケイ酸水溶液の添加量は、使用するシード液中のシリカ微粒子の比表面積(一次粒子径)に依存し、所望の比表面積まで一次粒径を成長させるために必要なSiO2固形分量に相当する活性ケイ酸水溶液を添加する。添加する活性ケイ酸水溶液は、シード液への添加前に縮合が進行しないように、60℃以下、好ましくは40℃以下の温度で添加することが望ましい。
活性ケイ酸水溶液の添加終了後は、そのまま冷却しても十分安定であるが、ケイ酸の縮合を完結させるためにも好ましくは1〜12時間、70℃以上の温度で更に加熱処理することが好ましい。
活性ケイ酸水溶液の添加終了後は、そのまま冷却しても十分安定であるが、ケイ酸の縮合を完結させるためにも好ましくは1〜12時間、70℃以上の温度で更に加熱処理することが好ましい。
成長工程終了後のシリカ微粒子は動的光散乱法による平均二次粒子径が1μm以下であって、かつ5μm以上のシリカ微粒子を含まないことが好ましい。平均二次粒子径が1μmを超えると、光の散乱能力が高くなり、インクジェット記録シートに用いた場合に印字濃度の低下が起こる。また平均二次粒子径が1μm以下であっても5μm以上の粗大粒子を含む場合には、光沢、特に目視の光沢感が低下する。特に好ましくは比表面積が50m2/g〜400m2/g、平均2次粒子径は20nm〜800nm、かつ細孔径が100nm以下の範囲の細孔容積が0.4ml/g〜2.0ml/gであることが好ましい。
比表面積が50m2/g未満ではインク受容層に用いた用いた場合に透明度が低いので、高い印字濃度が得られないし、400m2/gを超えると、インク受容層の塗工時にひび割れが発生し易いので好ましくない。細孔容積が0.4ml/gよりも小さい場合には、これを利用したインク受容層のインク吸収性が低下し、インクジェット用のシリカ微粒子分散液としては不適となる。逆に細孔容積が2.0ml/gを超える場合、塗膜の密度が小さ過ぎて機械的強度に劣り、塗工時のひび割れが大きかったり、塗膜に傷がつき易いなどの問題が生じる恐れがある。
ここで、比表面積が小さいことは一次粒子径が大きいことを意味し、比表面積が大きいことは一次粒子径が小さいことを意味する。本発明で製造されるシリカ微粒子を透過型電子顕微鏡(日立株式会社製、型式:H−300)で観察したところ、直径5nm〜30nmの球状一次粒子が複雑に凝集した構造をしていた。そのため一次粒子の直径を正確に求めることは困難である。そこで、本発明では一次粒子の平均粒子径の尺度として比表面積を採用した。
本発明のシリカ微粒子分散液を用いてインクジェット記録シートを製造するにあたって特に制限はないが、以下に説明する。シリカ微粒子分散液以外の主要材料はバインダーであり、その他の副次的な材料を添加する事もできる。
バインダーとしては水溶性樹脂を用いる事ができ、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリロイルモルホリン、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリ−N−ビニルホルムアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、でんぷんなどを例示することができ、単独で、或いは混合して配合することができる。特にポリビニルアルコールが好ましい。
また、水性樹脂エマルジョンをバインダーとして用いても良い。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス、ポリウレタン系ラテックス、ポリエステル系ラテックスなど、一般に用いられている水性エマルジョンを使用する事ができる。
バインダーの配合量はシリカ微粒子固形分に対し5〜100質量%程度であり、10%〜50質量%が好ましい。
バインダーの配合量はシリカ微粒子固形分に対し5〜100質量%程度であり、10%〜50質量%が好ましい。
インクジェットインク中の染料の定着剤として、カチオン性樹脂、多価金属塩などのカチオン性化合物を添加することは特に好ましい。カチオン性樹脂は限定されるものではないが、例としては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート塩酸塩、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩酸塩、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩酸塩、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド四級化物、ビニルイミダゾリウムメトクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、モノアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン塩酸塩等の重合物又は共重合物が挙げられる。その他、ポリエチレンイミン塩酸塩、ジシアンジアミド・ポリアルキレンポリアミン縮合物、2級アミン・エピクロロヒドリン付加重合物、ポリエポキシアミンなどのカチオン性を有する構造を含む重合物も例示されるが、これらに限定されるものではない。多価金属塩の例としては、アルミニウム、ジルコニウム、ランタノイドなどの水溶性化合物が挙げられる。
その他の材料として、消泡剤を混合して塗工時の作業性を向上させたり、基材の濡れ性を良くして均一な塗工層を得るために界面活性剤を配合することもできるし、インクジェット記録シートの白色度や色調調整のため、蛍光増白剤や染料、着色顔料を添加しても良い。塗工シートの貼りつき防止や通紙性向上のため、デンプン粒子や合成樹脂粒子を混合しても良い。また、透明性や表面光沢の調整のために、各種白色顔料を添加することもできるし、また、印字画像の保存性向上のため、紫外線吸収剤や光安定化剤などの耐光性向上剤を添加することもできる。また、無機塩や有機塩などの電解質、例えば塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硝酸カリウムを添加して、塗工層のひび割れやインク吸収速度を調節することもできる。
支持体としては、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、板紙、合成樹脂ラミネート紙、金属蒸着紙、合成紙、白色フィルム等、塗工基材として一般的に用いられるシートを利用することが出来るが、これらに限定されるものではない。中でも、合成樹脂ラミネート紙、金属蒸着紙、合成紙、白色フィルム等、表面が平滑で比較的吸液性の低い基材シートを用いた場合は、高光沢の塗工層が得られるため好適である。これらの支持体はその表面に形成する塗工層との接着力が不十分な場合には下塗り層を設けたり、コロナ放電処理やプラズマ処理や熱炎処理などの各種の易接着処理を施すことができる。支持体の厚さは用途によって大きく異なるが、インクジェット記録シートを作製する場合は、プリンターの通紙性を考慮し、50〜500μmが好ましい。
これらの支持体に下塗りをして塗工層を設けてから使用しても構わない。本発明のシリカを用いた塗工層を複数設けても良く、その上にさらに一層以上の塗工層を設けたり、キャスト法やフィルム転写法などの手段を用い、更に高光沢の塗工層を設けることもできる。
塗工装置としては、公知の塗布装置、例えばバーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いることができるが、これらに限らない。
塗工装置としては、公知の塗布装置、例えばバーコーター、ロールコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーターなどを用いることができるが、これらに限らない。
塗工量は、塗工シートの用途によっても大きく異なるため特に限定するものではないが、乾燥後の全層の総塗工量は重量として1〜80g/m2程度が好ましく、さらに好ましくは3〜60g/m2程度である。塗工量が1g/m2より少ないとインクの吸収が不十分となるおそれがあり、80g/m2より多いとカールが発生しやすくなるし、コストもかさむ。
尚、以下に本発明の更に詳しい説明を実施例により行うが、実施例及び比較例に記載した試験項目の測定方法は以下の通りである。
(比表面積、細孔容積測定方法)
試料を105℃にて乾燥し、得られた粉体試料の比表面積、細孔容積を、ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置〔Coulter社製、SA3100plus型〕を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。吸着ガスとしては窒素を用いた。比表面積はBET法により求めた値を使用し、細孔容積は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容積の値を使用した
試料を105℃にて乾燥し、得られた粉体試料の比表面積、細孔容積を、ガス吸着法比表面積・細孔分布測定装置〔Coulter社製、SA3100plus型〕を用い、前処理として200℃で2時間真空脱気した後に測定した。吸着ガスとしては窒素を用いた。比表面積はBET法により求めた値を使用し、細孔容積は細孔径100nm以下の細孔の全細孔容積の値を使用した
(粒子径測定方法)
動的光散乱法によるレーザー粒度分布計(大塚電子株式会社製、FPAR1000)を用いて、サンプルを十分に蒸留水で希釈した状態で測定した。平均二次粒子径はキュムラント法を用いた解析から算出される値を用いた。
動的光散乱法によるレーザー粒度分布計(大塚電子株式会社製、FPAR1000)を用いて、サンプルを十分に蒸留水で希釈した状態で測定した。平均二次粒子径はキュムラント法を用いた解析から算出される値を用いた。
(シリカ微粒子分散液中の粗大粒子の測定方法)
シリカ微粒子分散液1リットルを4000回転/分で10分間遠心分離し、沈殿物の量を目視で3段階に判定した。さらに、沈殿物はレーザー散乱式粒度分布計〔島津製作所(株)、商標SALD7000〕を用いて粒度分布を測定し、粒径の上限値を求めた。
○:粗大粒子がない
△:粗大粒子が少量ある
×:粗大粒子が多量にある
シリカ微粒子分散液1リットルを4000回転/分で10分間遠心分離し、沈殿物の量を目視で3段階に判定した。さらに、沈殿物はレーザー散乱式粒度分布計〔島津製作所(株)、商標SALD7000〕を用いて粒度分布を測定し、粒径の上限値を求めた。
○:粗大粒子がない
△:粗大粒子が少量ある
×:粗大粒子が多量にある
(インクジェット記録シートの作成方法)
シリカ微粒子分散液を濃度10質量%に調節し、このシリカ微粒子分散液に対し、完全けん化ポリビニルアルコール〔(株)クラレ製、商品名:PVA−140H〕の10質量%水溶液をシリカ微粒子分散液に含まれる固形分100質量部に対して20固形分質量部混合した塗料を作成した。この塗料を厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタラートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラー100−Q80D〕上に乾燥質量で塗工量が23g/m2になるようにバー塗工した。シートは120℃で乾燥を行った。
シリカ微粒子分散液を濃度10質量%に調節し、このシリカ微粒子分散液に対し、完全けん化ポリビニルアルコール〔(株)クラレ製、商品名:PVA−140H〕の10質量%水溶液をシリカ微粒子分散液に含まれる固形分100質量部に対して20固形分質量部混合した塗料を作成した。この塗料を厚さ100μmの透明ポリエチレンテレフタラートフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミラー100−Q80D〕上に乾燥質量で塗工量が23g/m2になるようにバー塗工した。シートは120℃で乾燥を行った。
(インクジェット記録シートのインク吸収量評価方法)
インクジェット記録シートにインクジェットプリンター(EPSON製、PM−980C)のPM写真用紙印刷モードで、ISO−400の2種類の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご、p14、画像名称:キャンドル、財団法人 日本規格協会発行)を印字し、目視にて3段階に評価した。
○:インクのあふれがなく、色の境界部もはっきりしており、ベタ部も均一である。
△:インクのあふれがベタ印字部で多少目立つ。
×:インクのあふれが全体的に目立ち、画像が部分的に破綻している。
インクジェット記録シートにインクジェットプリンター(EPSON製、PM−980C)のPM写真用紙印刷モードで、ISO−400の2種類の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご、p14、画像名称:キャンドル、財団法人 日本規格協会発行)を印字し、目視にて3段階に評価した。
○:インクのあふれがなく、色の境界部もはっきりしており、ベタ部も均一である。
△:インクのあふれがベタ印字部で多少目立つ。
×:インクのあふれが全体的に目立ち、画像が部分的に破綻している。
(インクジェット記録シートの目視光沢感測定法)
インクジェット記録シート(塗工量20g/m2)の光沢感を目視で次の3段階に評価した。
○:粗大粒子による斑点が無い
△:粗大粒子による斑点が少量ある
×:粗大粒子による斑点が目立つ
インクジェット記録シート(塗工量20g/m2)の光沢感を目視で次の3段階に評価した。
○:粗大粒子による斑点が無い
△:粗大粒子による斑点が少量ある
×:粗大粒子による斑点が目立つ
実施例1
(活性ケイ酸水溶液の調製)
SiO2濃度30%、SiO2/Na2Oのモル比が3.1のケイ酸ソーダ溶液〔(株)トクヤマ製、三号珪酸ソーダ〕に蒸留水を混合し、SiO2濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製し、塩化ナトリウムを濃度が8ppmになるように添加した。この混合水溶液を、強酸性水素型陽イオン交換樹脂〔三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH〕が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。
(活性ケイ酸水溶液の調製)
SiO2濃度30%、SiO2/Na2Oのモル比が3.1のケイ酸ソーダ溶液〔(株)トクヤマ製、三号珪酸ソーダ〕に蒸留水を混合し、SiO2濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液を調製し、塩化ナトリウムを濃度が8ppmになるように添加した。この混合水溶液を、強酸性水素型陽イオン交換樹脂〔三菱化学(株)製、ダイヤイオンSK−1BH〕が充填されたカラムに通じて活性ケイ酸水溶液を調製した。
(シード液の調製)
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を90℃に加温した。この熱水を90℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を熱水1モルに対してSiO2として0.2ミリモル/分の速度で合計600g添加したのち、アンモニアを0.02モル添加し安定化させた。
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を90℃に加温した。この熱水を90℃に保ちながら、上記の活性ケイ酸水溶液を熱水1モルに対してSiO2として0.2ミリモル/分の速度で合計600g添加したのち、アンモニアを0.02モル添加し安定化させた。
(成長工程)
上記の活性ケイ酸水溶液を、安定状態に保たれた上記シード液に含まれるSiO21モル当たりSiO2に換算して0.15モル/分の速度で合計1935g添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を90℃に保って1時間加熱し、pH9.0のシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子の二次粒子径、比表面積、細孔容積、及び粗大粒子の評価結果を表に示した。
上記の活性ケイ酸水溶液を、安定状態に保たれた上記シード液に含まれるSiO21モル当たりSiO2に換算して0.15モル/分の速度で合計1935g添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を90℃に保って1時間加熱し、pH9.0のシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子の二次粒子径、比表面積、細孔容積、及び粗大粒子の評価結果を表に示した。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いて、インクジェット記録シートを作成し、インク吸収量と光沢感の評価を行った結果を表1に示す。
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いて、インクジェット記録シートを作成し、インク吸収量と光沢感の評価を行った結果を表1に示す。
実施例2
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に塩化ナトリウムを濃度が50ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に塩化ナトリウムを濃度が50ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
実施例3
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に塩化ナトリウムを濃度が100ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に塩化ナトリウムを濃度が100ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
実施例4
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に塩化ナトリウムを濃度が600ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に塩化ナトリウムを濃度が600ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
実施例5
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に硫酸ナトリウムを濃度が100ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に硫酸ナトリウムを濃度が100ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
実施例6
(シード液の調製)
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を100℃に加温した。この熱水を100℃に保ちながら、実施例3で用いた活性ケイ酸水溶液を熱水1モルに対して0.2ミリモル/分の速度で合計540g添加したのち、アンモニアを0.017モル添加し安定化させた。
(シード液の調製)
還流器、攪拌機、温度計を備えた5リットルのガラス製反応容器中で、500gの蒸留水を100℃に加温した。この熱水を100℃に保ちながら、実施例3で用いた活性ケイ酸水溶液を熱水1モルに対して0.2ミリモル/分の速度で合計540g添加したのち、アンモニアを0.017モル添加し安定化させた。
(成長工程)
上記の活性ケイ酸水溶液を、安定状態に保たれた上記シード液に含まれるSiO21モル当たりSiO2に換算して0.15モル/分の速度で合計660g添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を100℃に保って9時間加熱し、pH7.2のシリカ微粒子分散液を得た。
上記の活性ケイ酸水溶液を、安定状態に保たれた上記シード液に含まれるSiO21モル当たりSiO2に換算して0.15モル/分の速度で合計660g添加した。活性ケイ酸の添加終了後、そのまま溶液を100℃に保って9時間加熱し、pH7.2のシリカ微粒子分散液を得た。
(インクジェット記録シートの作成と評価)
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いて、インクジェット記録シートを作成し、インク吸収量と光沢感の評価を行った結果を表1に示す。
上記のシリカ微粒子分散液をエバポレーターにて濃縮し、濃度10質量%のシリカ微粒子分散液を得た。これを用いて、インクジェット記録シートを作成し、インク吸収量と光沢感の評価を行った結果を表1に示す。
比較例1
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液をそのまま用いて活性ケイ酸を製造したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液をそのまま用いて活性ケイ酸を製造したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
比較例2
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に酢酸ナトリウムを濃度が100ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
濃度4.0%の希ケイ酸ソーダ水溶液に酢酸ナトリウムを濃度が100ppmになるように添加したこと以外は実施例1と同様の方法でシリカ微粒子を製造し、インクジェット記録シートを作成し、評価した。その結果を表1に示す。
表1に示されているように、強酸の塩(NaCl及びNa2SO4)を含むケイ酸ソーダ水溶液から製造された活性ケイ酸水溶液を用いるシリカの粗大粒子の無いシリカ微粒子分散液が得られ、銀塩写真のような光沢感の良いインクジェット記録シートが製造できた(実施例1〜6)。一方、強酸の塩を添加しない場合(比較例1)や、弱酸の塩(CH3COONa)を添加した場合には、粒子径が20μmの粗大粒子を含み、それを用いたインクジェット記録シートは表面に斑点が目立ち、光沢感が不良であった。強酸の塩と弱酸の塩で違いが生じる理由は明確ではないが、強酸の塩から陽イオンを除去するとフリーの強酸を生じ、活性ケイ酸のpHが若干下がるとともに、導電率が上昇するので、このことが粗大粒子の発生抑制に寄与していると考えられる。弱酸の塩の場合、陽イオン除去により弱酸が生じても、解離度が小さい上、活性ケイ酸自体が弱酸(比較例1)なのでpHや導電率に与える影響が小さいためと考えられる。
本発明はインクジェット記録シート、特に光沢を有するインクジェット記録シートのインク受容層に利用できる。
Claims (8)
- (1)活性ケイ酸水溶液を加熱する方法によってシリカ微粒子分散液を生成させる工程、(2)該シリカ微粒子分散液が沈殿を生じる前もしくはゲル化する前にアルカリを添加してシリカ微粒子を安定化する工程、(3)該シリカ微粒子分散液の安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させる工程、を有するシリカ微粒子分散液の製造方法において、強酸の塩を含むアルカリ金属ケイ酸塩水溶液から陽イオンを除去することによって製造された活性ケイ酸水溶液を、少なくとも前記(1)の工程で用いることを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
- 前記強酸の塩が、塩酸、硫酸及び硝酸から選ばれる少なくとも一種の鉱酸の塩であることを特徴とする請求項1記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
- 前記強酸の塩を含むケイ酸ソーダ水溶液は、該強酸の塩を10ppm〜500ppm含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
- 前記活性ケイ酸水溶液を加熱する方法によってシリカ微粒子分散液を生成させる工程が、熱水に活性ケイ酸水溶液を少量ずつ添加して加熱する方法、及び活性ケイ酸水溶液をそのまま加熱する方法から選ばれるいずれかの方法からなる工程である請求項1〜3のいずれかに記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
- 前記シリカ微粒子分散液の安定状態を保ちながら活性ケイ酸水溶液を添加してシリカ微粒子を成長させる工程から得られるシリカ微粒子分散液中の成長後のシリカ微粒子が、動的光散乱法による平均2次粒子径が1μm以下であって、5μm以上のシリカ微粒子を含まないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
- 前記成長後のシリカ微粒子分散液中のシリカ微粒子の窒素吸着法による比表面積が50m2/g〜400m2/g、細孔径100nm以下の範囲の細孔容積が0.4〜2.0ml/g、及び平均2次粒子径が20nm〜800nmである請求項1〜5のいずれかに記載のシリカ微粒子分散液製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法によって製造されたシリカ微粒子分散液。
- 請求項7記載のシリカ微粒子分散液を含有する塗工液を、支持体に塗工して形成したインク受容層を有するインクジット記録シート。
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-
2005
- 2005-02-23 JP JP2005047340A patent/JP2006232592A/ja active Pending
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