JP2004284313A - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク吸収性、高印字濃度、高光沢性に優れたインクジェット記録媒体を提供すること。
【解決手段】支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、前記インク受容層の少なくとも一層は、10nm以下の細孔容積が0.2ml/g以上であるシリカ粉体を粉砕分散して得られるシリカ微粒子及び水溶性樹脂を含有する層であって、且つ、該シリカ微粒子はその平均粒径と該シリカ微粒子1g中に含まれる10μm以上のシリカ微粒子の数の関係が特定の関係を満たし、さらに、該インク受容層の細孔半径分布曲線のピークが10nm以上50nm以下にあることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、前記インク受容層の少なくとも一層は、10nm以下の細孔容積が0.2ml/g以上であるシリカ粉体を粉砕分散して得られるシリカ微粒子及び水溶性樹脂を含有する層であって、且つ、該シリカ微粒子はその平均粒径と該シリカ微粒子1g中に含まれる10μm以上のシリカ微粒子の数の関係が特定の関係を満たし、さらに、該インク受容層の細孔半径分布曲線のピークが10nm以上50nm以下にあることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)に関し、特に、インク吸収性、高印字濃度及び高光沢性に優れたインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有しており、近年急速に普及してきている。一方、写真等の高画質印刷、いわゆるフォトライクの記録媒体にも用いられており、記録媒体としてインク吸収量が多く、吸収速度が速く、高い印字濃度、光沢が要求されている。
【0003】
これらの問題を解決するために、従来から多くの技術が提案されている。例えば、特公昭63−22977号公報に開示されたように、インク吸収速度を上げるためにインク受容層の表面に0.2〜10μmにピークがある細孔を設けることを提案している。このために顔料自身を大きくするか、あるいは2次粒子を大きくする(ミクロンオーダー)必要がある。このため表面の平滑性が得られず、光透過性が悪くなり、銀塩写真並みの高光沢は得られない。さらに、インクがインク受容層の下まで行くため濃度も高く得られない。
【0004】
光沢性を得るために、最近、インク受容層を二層以上にし、上層を光沢発現層にすることが種々提案されている(特開平3−215080号公報、特開平3−256785号公報、特開平7−89220号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−117335号公報、特開平9−183267号公報等)。これらの光沢発現層の主成分は、コロイダルシリカあるいはコロイダルシリカの複合体が利用されている。一般に使用される光沢発現層はキャスト処理によって得られる。これら方法はインク吸収速度が劣る。
【0005】
高光沢性、発色性、耐水性、高印字濃度、インク吸収性、高繊細性に優れるインクジェット用記録シートを提供することを目的に、インク受容層の少なくとも1層が粒径3nm〜40nmの1次粒子が凝集してなる平均粒径10〜150nmの2次粒子を含むシリカ微粒子と水溶性樹脂を含有し、且つその層の表面細孔半径分布曲線のピークが実質的に40nm以下にあるインクジェット記録シートが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−71764号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1には、シリカの平均粒径とインク受容層の細孔径を規定し、光沢、濃度、インク吸収性を両立させる方法が提案されているが、この方法において用いるシリカの平均粒径が150nm以下と小さいため、インク吸収速度が不十分である。
【0008】
本発明はこのような実態に鑑みてなされたものであって、その目的は、インク吸収性、高印字濃度、高光沢性に優れた、インクジェット記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の手段により達成できる。
【0010】
(1) 支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、
前記インク受容層の少なくとも一層は、10nm以下の細孔容積が0.2ml/g以上であるシリカ粉体を粉砕分散して得られるシリカ微粒子及び水溶性樹脂を含有する層であって、且つ、該シリカ微粒子はその平均粒径と該シリカ微粒子1g中に含まれる10μm以上のシリカ微粒子の数の関係が式(1)を満たし、さらに、該インク受容層の細孔半径分布曲線のピークが10nm以上50nm以下にあることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0011】
式(1)
150<y+17×ln(x)<500
y:シリカ微粒子の平均粒径(nm)を表す数値
x:シリカ微粒子1g中における10μm以上のシリカ微粒子の数を表す数値
(2) 前記シリカ粉体の比表面積が200m2/g以上であり、且つ、インク受容層の全細孔容積が15ml/m2以上であることを特徴とする(1)記載のインクジェット記録媒体。
【0012】
(3) 前記インク受容層の表面光沢度が75°の測定で45%以上であることを特徴とする(1)又は(2)記載のインクジェット記録媒体。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0014】
本発明のインクジェット記録媒体は、内部細孔を持つシリカ粉体の10nm以下の細孔容積と、このシリカ粉体を粉砕分散して得られるシリカ微粒子の平均粒径とその中での粗大粒子の数、並びにインク受容層の細孔径を制御することで、インク吸収性、高印字濃度、高光沢性に優れた、インクジェット記録媒体提供できるものである。
【0015】
本発明に係るシリカ粉体は、公知の製造方法で得ることができる。代表的な製造方法を例示すれば、Na2SO4を含有する珪酸ソーダ溶液(モル比:2.9〜3.5、SiO2濃度:3.5〜5.5%)に20〜40℃の液温を保ちながら、珪酸ソーダ溶液中に、硫酸を中和率40〜55%になるように添加する。その後、溶液を80〜95℃まで昇温し、5〜60分熟成し、水溶液に攪拌を行いながら硫酸を加え、pHが3〜4になるまで添加する。得られたシリカを濾過、水洗及び乾燥した後に、粉砕、分級を行う。
【0016】
この方法において、シリカ粉体のBET比表面積は、主に、反応温度、SiO2濃度、中和率、硫酸添加時間によって調整できる。細孔半径分布は、Na2SO4濃度、反応温度、SiO2濃度、中和率によって調整できる。
【0017】
また、ファインシール(トクヤマ(株)製)、Nipsil(日本シリカ工業社製)等の市販品も利用することができる。
【0018】
本発明に係るシリカ粉体は、10nm以下の細孔容積が0.2ml/g以上であることが好ましい。上限は限定されないが1.0ml/g以下が好ましい。さらに、比表面積として200m2/g以上が好ましく、上限は限定されないが、400m2/g以下が好ましい。これらの範囲より小さいと印字濃度の低下を招き、逆に大きいと吸収速度の低下を招く。印字濃度を高くするには、インクを受容層の表面に留めておく必要があり、検討の結果、シリカ粉体の持つ細孔で10nm以下の細孔容積が重要であることを見出した。
【0019】
上記方法で製造されたシリカ粉体または市販のシリカ粉体は、直径が数μmの粉体である。これらをインク受容層にそのまま用いると、空隙は形成するが受容層の細孔が大きいのでインク吸収性は高い。しかし、シリカ自身の細孔にインクが吸収される速度より、インクがインク受容層の下の方へ浸透する速度の方が速い。このため適切な高印字濃度が得られない。また、シリカ自身の粒径が大きいので、高光沢を出すのが不可能である。そのために、水性媒体中で粉砕分散し、微粒化してから用いる必要がある。
【0020】
インク吸収性、印字濃度、光沢を満足させるためには、用いるシリカ粉体自身の細孔容積、インク受容層の細孔径、シリカ微粒子の粒径の最適化が重要である。
【0021】
インク受容層の細孔半径分布曲線のピークは、10nm以上50nm以下が好ましい。この範囲より小さいとインク吸収速度が劣化し、逆に大きいと印字濃度と光沢が劣化する。インク受容層の細孔径、光沢はシリカ微粒子の粒径で制御する報告もある。しかしこれだけでは不十分で、われわれは鋭意検討の結果、シリカ微粒子の平均粒径のみでは制御は難しく、われわれは、10μm以上のシリカ微粒子の数を考慮した形でより確実に制御できることがわかった。例えば、シリカ微粒子の平均粒径が同じでも10μm以上のシリカ微粒子の数が多いと、インク受容層の細孔径は大きくなり光沢は低下する。また逆に、10μm以上のシリカ微粒子の数が多くても平均粒径が小さければ、インク受容層の細孔径は小さくなり、光沢は高くなる。つまり、シリカ微粒子の平均粒径と10μm以上のシリカ微粒子の数のバランスで、インク受容層の細孔径、光沢は制御できることを見出した。
【0022】
本発明に係るシリカ微粒子はその平均粒径と該シリカ微粒子1g中に含まれる10μm以上のシリカ微粒子の数の関係が前記式(1)を満たすことが重要である。本発明に係るシリカ微粒子の平均粒径は、前記式(1)を満たすように調製すれば特に限定されないが、フォトライクの光沢やひび割れ等を考慮すると150nm以上350nm以下が好ましい。
【0023】
本発明に係るシリカ微粒子の平均粒径と10μm以上のシリカ微粒子の数を制御することにより、インク吸収性、印字濃度及び光沢を満足することができる。これまでシリカ微粒子の平均粒径を小さくすることで光沢を出そうとする技術が多かったが、本発明によると、むやみに小さくする必要がなく、粉砕分散に多大なエネルギーをかける必要がなくなる。10μm以上のシリカ微粒子の制御は、粉砕分散後、又は途中で、フィルターや遠心分離処理をすることで可能である。
【0024】
本発明に係るインク受容層の全細孔容積は、15ml/m2以上が好ましく、上限は限定されないが30ml/m2以下が好ましい。これより大きいと、インク受容層が厚くなり、ひび割れ等の塗布故障が多くなる。又、インク受容層の表面光沢度はフォトライクの光沢として75°の測定で45%以上が好ましい。
【0025】
ここで、本発明に係るシリカ微粒子の平均粒径は、Malvern社製、光子相関法ゼータサイザー1000HSで測定した値である。10μm以上のシリカ微粒子の数は、Pacific Scientific社製、HIAC/ROYCO Model 8000A Particle Counterで測定した値である。10μm以上のシリカ微粒子の数の測定は、シリカ微粒子分散液を希釈してシリカ微粒子の質量濃度で0.25%の液を作り、前記測定器で前記0.25%液10ml中の10μm以上のシリカ微粒子を測定し、シリカ微粒子1g当たりの10μm以上のシリカ微粒子の数に換算した値である。測定レンジは2〜100μmレンジで測定し10μm以上の粒子数を、10μm以上のシリカ微粒子の数とした。
【0026】
本発明に係るシリカ粉体及びインク受容層の細孔径及び細孔容積は、マイクロメトリックスポアサイザー9320(島津製作所製)を用いて測定した。インク受容層の細孔径及び細孔容積は支持体の影響を避けるために、支持体自身の細孔分布と支持体+インク受容層の細孔分布を測定し、支持体の細孔分布を除いた細孔分布をインク受容層の細孔分布とした。
【0027】
本発明に係るシリカ粉体の比表面積は、簡易型N2吸着によるBET式比表面積計で測定した。
【0028】
シリカ粉体の粉砕分散方法としては、特には限定されないが、予備分散工程と本分散工程を有し、予備分散工程で粉砕分散粒径として1000nm以下にすることが好ましい。これより大きいと、本分散工程で多くの時間とエネルギーを要す。予備分散に用いる分散機としては、連続式が生産効率上好ましく、ローラミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミキサータイプ、連続式攪拌型分散機が好ましい。必要に応じて、複数の分散機を用いてもよい。本分散工程では、最終的な平均粒径を決定する工程であり、好ましく用いることのできる分散機として、高圧ホモジナイザー、湿式メディア型粉砕機(サンドミル、ボールミル)、連続式高速撹拌型分散機、超音波分散機等が挙げられる。中でもサンドミルが好ましく、高濃度の予備分散液を短時間で効率よく粉砕分散でき、10μm以上のシリカ微粒子数の制御に有効である。サンドミルに用いるメディアとしてはジルコニア製が好ましく、大きさは0.1〜1.0mmが好ましい。周速としては、5〜15m/secが好ましい。
【0029】
粉砕分散する際のシリカ濃度として、生産効率とハンドリング性を考え20%以上50%以下が好ましく、更に好ましくは、25%以上40%以下である。粉砕分散されたシリカ微粒子は、10μm以上のシリカ微粒子数を制御する工程を有することが好ましい。制御する工程において用いる方法としては、遠心分離による方法、フィルターによる方法等を用いることができる。遠心分離による方法としてクレテック社製、マイクロカット等が利用できる。フィルターとしては、日本ポール(株)製のプロファイル、アドバンテック東洋(株)製のTCPD等が挙げられる。
【0030】
前記処理工程を経た後、シリカ微粒子は水溶性樹脂と混合し、支持体上に塗布し次いで乾燥されインク受容層が形成される。シリカ微粒子を水溶性樹脂と混合した後、フィルターで再度処理するのが好ましい。
【0031】
前記水性媒体としては、少なくとも、カチオン性ポリマーもしくは水溶性多価金属化合物が含有されていることが好ましい。更に好ましくは、硬膜剤も含有していることである。
【0032】
前記カチオン性ポリマーとして好ましくは第4級アンモニウム塩を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体である。第4級アンモニウム塩を有するモノマーの例としては例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0033】
【化1】
【0034】
【化2】
【0035】
上記第4級アンモニウム塩と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0036】
【化3】
【0037】
特に、第4級アンモニウム塩を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。第4級アンモニウム塩を有するモノマーは、単一でも2種類以上であっても良い。
【0038】
以下に本発明に用いることができるカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】
【化7】
【0043】
上記第4級アンモニウム塩を有するカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩のために水溶性が一般に高い。共重合する第4級アンモニウム塩を含まないモノマーの組成や比率によっては、水に充分に溶解しないことはあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより、溶解し得るもので有れば本発明に使用できる。
【0044】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0045】
本発明に用いるカチオン性ポリマーは、数平均分子量が10万以下であることが好ましい。ここで数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
【0046】
数平均分子量が10万を越える場合には、カチオン性ポリマーの溶液を表面がアニオン性であるシリカ微粒子を含有する分散液に添加した際に、凝集物の発生が激しく、またその後、分散処理を施しても均一な分散液になりにくく、10μm以上のシリカ微粒子が多数存在して均一な分散液になりにくい。このようなカチオン性ポリマーとシリカ微粒子を含有する複合微粒子分散液を使用してインクジェット記録用媒体を作製した場合、高い光沢性が得られにくい。特に好ましい数平均分子量は5万以下である。また数平均分子量の下限はインクの耐水性の点から通常2000以上である。
【0047】
本発明に係るシリカ微粒子とカチオン性ポリマーの比率は、シリカ微粒子の種類や粒径、あるいはカチオン性ポリマーの種類や数平均分子量で変わり得る。本発明において、上記比率はシリカ微粒子の表面がカチオン性に置き換わって安定化させる必要があることから、1:0.01〜1:1であることが好ましい。
【0048】
本発明に用いることのできる水溶性多価金属化合物としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酪酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、シュウ酸バリウム、ナフトレゾルシンカルボン酸バリウム、酪酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、酪酸銅(II)、シュウ酸銅、フタル酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、ナフテン銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、スルファミン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性チオグリコール酸アルミニウム、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、クエン酸鉄(III)、乳酸鉄(III)三水和物、三シュウ酸三アンモニウム鉄(III)三水和物、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、酢酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの水溶性多価金属化合物は2種以上を併用してもよい。本発明において、水溶性多価金属化合物における水溶性とは、20℃の水に1質量%以上溶解することを意味する。
【0049】
上記の水溶性多価金属化合物の中でも、アルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは、水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば、無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
【0050】
上記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式(1)、(2)又は(3)で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0051】
一般式(1) [Al2(OH)nCl6−n]m
一般式(2) [Al(OH)3]nAlCl3
一般式(3) Aln(OH)mCl(3n−m)
0<m<3nであり、且つm及びnは正の整数を表す。
【0052】
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
【0053】
上記した水溶性多価金属化合物は、シリカ微粒子に対して0.03〜10質量%の割合で添加するのが好ましく、0.05〜8質量%がより好ましい。
【0054】
また、上記の分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加することが出来る。例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(但し、アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適宜使用することが出来る。特に、水混和性有機溶媒は、湿式法シリカ微粒子とカチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物を混合した際の微小なダマの形成が抑制されるために好ましい。そのような水混和性有機溶媒は、分散液中に好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%使用される。カチオン性分散液を調製する際のpHは、シリカ微粒子の種類やカチオン性ポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0055】
本発明に係る水溶性樹脂としては、例えば、ゼラチン(酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリビニルピロリドン(平均分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、水溶性ポリビニルブチラール等の水溶性ポリマーを挙げることができ、これらの水溶性ポリマーはインク受容層の親水性バインダーとして機能し、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。特に好ましい水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0056】
本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールは平均重合度が300〜4000のものが好ましく、特に平均重合度が1000以上のものから得られる皮膜は、脆弱性が良好であることからより好ましい。また、ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
【0057】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルジメチル(3−メタクリルアミド)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0058】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.2〜5モル%である。またカチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は、通常500〜4000、好ましくは1000〜4000である。更に、カチオン変性ポリビニルアルコールのケン化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0059】
本発明に係るインクジェット記録媒体において、高光沢性で高い空隙率を皮膜の脆弱性を劣化させずに得るために、本発明に係る水溶性樹脂は、硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。硬膜剤は、一般的には前記水溶性樹脂と反応し得る基を有する化合物、あるいは水溶性樹脂が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0060】
用いることのできる硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸、その塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。
【0061】
水溶性樹脂としてポリビニルアルコールまたはカチオン変成ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸、その塩またはエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。最も好ましいものは、ほう酸またはその塩から選ばれる硬膜剤である。ほう酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩であり、具体的には、オルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸またはそれらの塩が挙げられる。
【0062】
硬膜剤の使用量は水溶性樹脂の種類、硬膜剤の種類、シリカ微粒子の種類、水溶性樹脂に対する比率等により変化するが、通常水溶性樹脂1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0063】
硬膜剤は、空隙層を形成する塗布液を塗布する際に、空隙層を形成する塗布液中及び/または空隙層に隣接するその他の層を形成する塗布液中に添加してもよく、あるいは、予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、該空隙層を形成する塗布液を塗布してもよい。さらには、空隙層を形成する硬膜剤非含有の塗布液を塗布乾燥後に、硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして空隙層に硬膜剤を供給することもできる。製造上の効率の観点から、空隙層を形成する塗布液またはこれに隣接する層を形成する塗布液中に硬膜剤を添加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を供給するのが好ましい。
【0064】
本発明に係る水溶性樹脂とシリカ微粒子の含有比率は、質量で1:10〜1:3が好ましく、特に好ましくは1:8〜1:5である。これらの比率によって細孔径は変化するため、適宜調整することが必要である。
【0065】
水溶性樹脂を分散液に添加混合する方法は、水溶性樹脂の水溶液を分散液に攪拌しながらバッチ内で添加する方法や、分散液と水溶性樹脂を連続的にスタチックミキサー等の混合機で混合する方法があげられる。
【0066】
本発明に好ましく用いられる水溶性樹脂、特にポリビニールアルコールは一般に重合度が高いので、溶解性が悪く、いわゆるダマが出来やすい。更に、溶解時間がかかるため、生産効率上及び品質上問題があり注意を要する。これは、溶解温度を100℃以上にすることで解決でき、溶解時間が短縮でき、しかもダマができなくなる。溶解温度は、100℃以上150℃以下が好ましく、更に好ましくは110℃以上130℃以下である。あまり温度を上げると、構造が破壊され、空隙率を低下させる要因となる。100℃以上での溶解は、熱源として、電気、オイル、加圧蒸気等を用いることが出来る。生産効率上、連続的に溶解するのが好ましく、例えばノリタケ製溶解システムを用いることが出来る。溶解温度が低いと、ダマが完全に溶解しきれず、ひび割れの原因になる。
【0067】
本発明のインクジェット記録媒体の支持体としては、従来公知の紙支持体、プラスチック支持体(透明支持体)、複合支持体など適宜使用できる。より高い濃度で鮮明な画像を得るためには支持体中にインク液が浸透しない疎水性支持体を用いるのが好ましい。
【0068】
透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、10〜200μmが好ましい。透明支持体のインク受容層側およびバッキング層側には公知の下引き層を設けることが、インク受容層やバック層と支持体の接着性の観点から好ましい。また、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0069】
支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全て層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布法あるいは米国特許第2,681,294号公報記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。塗布速度としては、生産効率上150m/min以上が好ましく、更に好ましくは200m/min以上である。
【0070】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾(水分無しの状態)質量%を示す。
【0071】
(実施例)
〈シリカ粉体No.1〜No.4の作製〉
Na2SO4を含有する珪酸ソーダ溶液を20〜40℃の液温に保ちながら、この珪酸ソーダ溶液中に、硫酸を中和率40〜55%になるように添加した。その後、この溶液を80〜95℃まで昇温し、5〜60分熟成し、この水溶液に攪拌を行いながら硫酸を加えpHが3〜4になるまで添加した。得られたシリカを濾過、水洗及び乾燥した後に、粉砕した。Na2SO4濃度、反応温度、SiO2濃度、中和率、硫酸添加時間を調整し、比表面積、10nm以下の細孔容積の異なるシリカ粉体No.1〜No.4を作製した。各シリカ粉体の比表面積及び10nm以下の細孔容積については表1に記載した。
【0072】
【表1】
【0073】
〈シリカ微粒子分散液No.1〜No.10の作製〉
上記のように作製した各シリカ粉体No.1〜No.4を、水性媒体と一緒に連続式ピンミキサー(粉研パウテック社製、フロージェットミキサー300型)と高速回転式連続分散機(太平洋機工社製、フローファインミルFM25)を用いて、連続的に分散して予備分散液を連続的に得た。上記水性媒体とは、水にホウ酸とカチオン性ポリマーであるP−9を含有させたものをいう。ホウ酸はシリカの質量に対して2.7%、P−9は7%になるようにした。なお、予備分散液中のシリカ濃度は30%にした。
【0074】
次に、予備分散液をサンドミル分散機((アシザワ社製、RL−125)以下SMと称す)で分散し、その後、フィルター処理を行った。SMのビーズ径、周速、滞留時間、pass回数及びフィルターの処理回数、口径を変化させ、y+17×ln(x)の値の異なるシリカ微粒子分散液No.1〜No.10を得た。使用したシリカ粉体とy+17×ln(x)の値については表2に記載した。なお、表2及び表3では、便宜上、y+17×ln(x)の値をzとした。
【0075】
【表2】
【0076】
〈シリカ微粒子分散液No.11〜No.12の作製〉
シリカ粉体をNipsil HD−2(日本シリカ工業社製、比表面積280m2/g、10nm以下の細孔容積0.65ml/g)に変え(シリカ粉体No.5という)、上記と同様にシリカ微粒子分散液(シリカ微粒子分散液No.11という)を作製した。シリカ微粒子分散液No.11のy+17×ln(x)の値は230であった。
【0077】
次いで、シリカ粉体をX−37(トクヤマ社製、比表面積275m2/g、10nm以下の細孔容積0.7ml/g)(シリカ粉体No.6という)に変えた以外は、上記と同様にシリカ微粒子分散液(シリカ微粒子分散液No.12という)を作製した。シリカ微粒子分散液No.12のy+17×ln(x)の値は210であった。
【0078】
《インクジェット記録媒体No.1〜No.12の作製》
上記のように作製した各シリカ微粒子分散液No.1〜No.12に、ポリビニールアルコール溶液(10%、クラレ社製:PVA235)を混合し、塗布液を調整した。シリカとポリビニールアルコールの質量比は6.5:1で行った。塗布液中のシリカ濃度は16質量%にした。
【0079】
前記各塗布液を、両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク受容層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、シリカ付量が13g/m2になるように塗布した。塗布方法は、カーテンコーターを用いて重層塗布した。塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、25℃の風(相対湿度が15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60%の雰囲気下で、2分間調湿した。塗布速度は300m/minで行った。
【0080】
[インクジェット記録媒体の評価]
上記のように作製したインクジェット記録媒体No.1〜No.12について、以下の項目を評価した。
【0081】
〔インク受容層の細孔半径〕
マイクロメトリックスポアサイザー9320(島津製作所製)を用いて測定した。
【0082】
〔インク受容層の細孔容積〕
インクジェット記録媒体をA4サイズに切り、質量を測定する(当該質量をAとする)、その後、25℃のイオン交換水に1分間浸漬し、表面の水分をふき取り、質量を測定する(当該質量をBとする)。B−Aの値を求め、単位面積(インクジェット記録媒体1m2)当たりに換算した値を細孔容積(ml/m2)とした。なお、厳密には、当初に細孔に含まれる空気の質量、25℃におけるイオン交換水の比重を考慮する必要がある。しかし、これらによる影響は実用上無視できる程小さな値なので、質量を容積に換算する際はこれらを無視し、B−Aの値をA4サイズのインクジェット記録媒体のインク受容層の細孔容積とみなした。
【0083】
〔光沢度〕
日本電色工業製変角光度計(VGS−1001DP)を用いて、75°光沢度を測定した。
【0084】
〔インク吸収性〕
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行い、画像部分のマダラ発生を目視評価した。インク吸収速度が遅い場合、マダラ発生が多くなる。評価ランクは以下のように行った。
【0085】
○ マダラが全く無し
△ 若干認められるが実用上問題なし
× 実用上問題有り
で評価した。
【0086】
〔最大濃度〕
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行い、その最大反射濃度を測定した。
【0087】
各試料の特性値を表3に又各試料の光沢度、最大濃度、インク吸収性の結果を表4に示す。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
表4から、本発明のインクジェット記録媒体は、インク吸収性、高印字濃度、高光沢性に優れた、インクジェット記録媒体であることが分かる。
【0091】
【発明の効果】
本発明により、インク吸収性、高印字濃度、高光沢性に優れたインクジェット記録媒体を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録媒体(以下、単に記録媒体ともいう)に関し、特に、インク吸収性、高印字濃度及び高光沢性に優れたインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有しており、近年急速に普及してきている。一方、写真等の高画質印刷、いわゆるフォトライクの記録媒体にも用いられており、記録媒体としてインク吸収量が多く、吸収速度が速く、高い印字濃度、光沢が要求されている。
【0003】
これらの問題を解決するために、従来から多くの技術が提案されている。例えば、特公昭63−22977号公報に開示されたように、インク吸収速度を上げるためにインク受容層の表面に0.2〜10μmにピークがある細孔を設けることを提案している。このために顔料自身を大きくするか、あるいは2次粒子を大きくする(ミクロンオーダー)必要がある。このため表面の平滑性が得られず、光透過性が悪くなり、銀塩写真並みの高光沢は得られない。さらに、インクがインク受容層の下まで行くため濃度も高く得られない。
【0004】
光沢性を得るために、最近、インク受容層を二層以上にし、上層を光沢発現層にすることが種々提案されている(特開平3−215080号公報、特開平3−256785号公報、特開平7−89220号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−117335号公報、特開平9−183267号公報等)。これらの光沢発現層の主成分は、コロイダルシリカあるいはコロイダルシリカの複合体が利用されている。一般に使用される光沢発現層はキャスト処理によって得られる。これら方法はインク吸収速度が劣る。
【0005】
高光沢性、発色性、耐水性、高印字濃度、インク吸収性、高繊細性に優れるインクジェット用記録シートを提供することを目的に、インク受容層の少なくとも1層が粒径3nm〜40nmの1次粒子が凝集してなる平均粒径10〜150nmの2次粒子を含むシリカ微粒子と水溶性樹脂を含有し、且つその層の表面細孔半径分布曲線のピークが実質的に40nm以下にあるインクジェット記録シートが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−71764号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1には、シリカの平均粒径とインク受容層の細孔径を規定し、光沢、濃度、インク吸収性を両立させる方法が提案されているが、この方法において用いるシリカの平均粒径が150nm以下と小さいため、インク吸収速度が不十分である。
【0008】
本発明はこのような実態に鑑みてなされたものであって、その目的は、インク吸収性、高印字濃度、高光沢性に優れた、インクジェット記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の手段により達成できる。
【0010】
(1) 支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、
前記インク受容層の少なくとも一層は、10nm以下の細孔容積が0.2ml/g以上であるシリカ粉体を粉砕分散して得られるシリカ微粒子及び水溶性樹脂を含有する層であって、且つ、該シリカ微粒子はその平均粒径と該シリカ微粒子1g中に含まれる10μm以上のシリカ微粒子の数の関係が式(1)を満たし、さらに、該インク受容層の細孔半径分布曲線のピークが10nm以上50nm以下にあることを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0011】
式(1)
150<y+17×ln(x)<500
y:シリカ微粒子の平均粒径(nm)を表す数値
x:シリカ微粒子1g中における10μm以上のシリカ微粒子の数を表す数値
(2) 前記シリカ粉体の比表面積が200m2/g以上であり、且つ、インク受容層の全細孔容積が15ml/m2以上であることを特徴とする(1)記載のインクジェット記録媒体。
【0012】
(3) 前記インク受容層の表面光沢度が75°の測定で45%以上であることを特徴とする(1)又は(2)記載のインクジェット記録媒体。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
【0014】
本発明のインクジェット記録媒体は、内部細孔を持つシリカ粉体の10nm以下の細孔容積と、このシリカ粉体を粉砕分散して得られるシリカ微粒子の平均粒径とその中での粗大粒子の数、並びにインク受容層の細孔径を制御することで、インク吸収性、高印字濃度、高光沢性に優れた、インクジェット記録媒体提供できるものである。
【0015】
本発明に係るシリカ粉体は、公知の製造方法で得ることができる。代表的な製造方法を例示すれば、Na2SO4を含有する珪酸ソーダ溶液(モル比:2.9〜3.5、SiO2濃度:3.5〜5.5%)に20〜40℃の液温を保ちながら、珪酸ソーダ溶液中に、硫酸を中和率40〜55%になるように添加する。その後、溶液を80〜95℃まで昇温し、5〜60分熟成し、水溶液に攪拌を行いながら硫酸を加え、pHが3〜4になるまで添加する。得られたシリカを濾過、水洗及び乾燥した後に、粉砕、分級を行う。
【0016】
この方法において、シリカ粉体のBET比表面積は、主に、反応温度、SiO2濃度、中和率、硫酸添加時間によって調整できる。細孔半径分布は、Na2SO4濃度、反応温度、SiO2濃度、中和率によって調整できる。
【0017】
また、ファインシール(トクヤマ(株)製)、Nipsil(日本シリカ工業社製)等の市販品も利用することができる。
【0018】
本発明に係るシリカ粉体は、10nm以下の細孔容積が0.2ml/g以上であることが好ましい。上限は限定されないが1.0ml/g以下が好ましい。さらに、比表面積として200m2/g以上が好ましく、上限は限定されないが、400m2/g以下が好ましい。これらの範囲より小さいと印字濃度の低下を招き、逆に大きいと吸収速度の低下を招く。印字濃度を高くするには、インクを受容層の表面に留めておく必要があり、検討の結果、シリカ粉体の持つ細孔で10nm以下の細孔容積が重要であることを見出した。
【0019】
上記方法で製造されたシリカ粉体または市販のシリカ粉体は、直径が数μmの粉体である。これらをインク受容層にそのまま用いると、空隙は形成するが受容層の細孔が大きいのでインク吸収性は高い。しかし、シリカ自身の細孔にインクが吸収される速度より、インクがインク受容層の下の方へ浸透する速度の方が速い。このため適切な高印字濃度が得られない。また、シリカ自身の粒径が大きいので、高光沢を出すのが不可能である。そのために、水性媒体中で粉砕分散し、微粒化してから用いる必要がある。
【0020】
インク吸収性、印字濃度、光沢を満足させるためには、用いるシリカ粉体自身の細孔容積、インク受容層の細孔径、シリカ微粒子の粒径の最適化が重要である。
【0021】
インク受容層の細孔半径分布曲線のピークは、10nm以上50nm以下が好ましい。この範囲より小さいとインク吸収速度が劣化し、逆に大きいと印字濃度と光沢が劣化する。インク受容層の細孔径、光沢はシリカ微粒子の粒径で制御する報告もある。しかしこれだけでは不十分で、われわれは鋭意検討の結果、シリカ微粒子の平均粒径のみでは制御は難しく、われわれは、10μm以上のシリカ微粒子の数を考慮した形でより確実に制御できることがわかった。例えば、シリカ微粒子の平均粒径が同じでも10μm以上のシリカ微粒子の数が多いと、インク受容層の細孔径は大きくなり光沢は低下する。また逆に、10μm以上のシリカ微粒子の数が多くても平均粒径が小さければ、インク受容層の細孔径は小さくなり、光沢は高くなる。つまり、シリカ微粒子の平均粒径と10μm以上のシリカ微粒子の数のバランスで、インク受容層の細孔径、光沢は制御できることを見出した。
【0022】
本発明に係るシリカ微粒子はその平均粒径と該シリカ微粒子1g中に含まれる10μm以上のシリカ微粒子の数の関係が前記式(1)を満たすことが重要である。本発明に係るシリカ微粒子の平均粒径は、前記式(1)を満たすように調製すれば特に限定されないが、フォトライクの光沢やひび割れ等を考慮すると150nm以上350nm以下が好ましい。
【0023】
本発明に係るシリカ微粒子の平均粒径と10μm以上のシリカ微粒子の数を制御することにより、インク吸収性、印字濃度及び光沢を満足することができる。これまでシリカ微粒子の平均粒径を小さくすることで光沢を出そうとする技術が多かったが、本発明によると、むやみに小さくする必要がなく、粉砕分散に多大なエネルギーをかける必要がなくなる。10μm以上のシリカ微粒子の制御は、粉砕分散後、又は途中で、フィルターや遠心分離処理をすることで可能である。
【0024】
本発明に係るインク受容層の全細孔容積は、15ml/m2以上が好ましく、上限は限定されないが30ml/m2以下が好ましい。これより大きいと、インク受容層が厚くなり、ひび割れ等の塗布故障が多くなる。又、インク受容層の表面光沢度はフォトライクの光沢として75°の測定で45%以上が好ましい。
【0025】
ここで、本発明に係るシリカ微粒子の平均粒径は、Malvern社製、光子相関法ゼータサイザー1000HSで測定した値である。10μm以上のシリカ微粒子の数は、Pacific Scientific社製、HIAC/ROYCO Model 8000A Particle Counterで測定した値である。10μm以上のシリカ微粒子の数の測定は、シリカ微粒子分散液を希釈してシリカ微粒子の質量濃度で0.25%の液を作り、前記測定器で前記0.25%液10ml中の10μm以上のシリカ微粒子を測定し、シリカ微粒子1g当たりの10μm以上のシリカ微粒子の数に換算した値である。測定レンジは2〜100μmレンジで測定し10μm以上の粒子数を、10μm以上のシリカ微粒子の数とした。
【0026】
本発明に係るシリカ粉体及びインク受容層の細孔径及び細孔容積は、マイクロメトリックスポアサイザー9320(島津製作所製)を用いて測定した。インク受容層の細孔径及び細孔容積は支持体の影響を避けるために、支持体自身の細孔分布と支持体+インク受容層の細孔分布を測定し、支持体の細孔分布を除いた細孔分布をインク受容層の細孔分布とした。
【0027】
本発明に係るシリカ粉体の比表面積は、簡易型N2吸着によるBET式比表面積計で測定した。
【0028】
シリカ粉体の粉砕分散方法としては、特には限定されないが、予備分散工程と本分散工程を有し、予備分散工程で粉砕分散粒径として1000nm以下にすることが好ましい。これより大きいと、本分散工程で多くの時間とエネルギーを要す。予備分散に用いる分散機としては、連続式が生産効率上好ましく、ローラミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミキサータイプ、連続式攪拌型分散機が好ましい。必要に応じて、複数の分散機を用いてもよい。本分散工程では、最終的な平均粒径を決定する工程であり、好ましく用いることのできる分散機として、高圧ホモジナイザー、湿式メディア型粉砕機(サンドミル、ボールミル)、連続式高速撹拌型分散機、超音波分散機等が挙げられる。中でもサンドミルが好ましく、高濃度の予備分散液を短時間で効率よく粉砕分散でき、10μm以上のシリカ微粒子数の制御に有効である。サンドミルに用いるメディアとしてはジルコニア製が好ましく、大きさは0.1〜1.0mmが好ましい。周速としては、5〜15m/secが好ましい。
【0029】
粉砕分散する際のシリカ濃度として、生産効率とハンドリング性を考え20%以上50%以下が好ましく、更に好ましくは、25%以上40%以下である。粉砕分散されたシリカ微粒子は、10μm以上のシリカ微粒子数を制御する工程を有することが好ましい。制御する工程において用いる方法としては、遠心分離による方法、フィルターによる方法等を用いることができる。遠心分離による方法としてクレテック社製、マイクロカット等が利用できる。フィルターとしては、日本ポール(株)製のプロファイル、アドバンテック東洋(株)製のTCPD等が挙げられる。
【0030】
前記処理工程を経た後、シリカ微粒子は水溶性樹脂と混合し、支持体上に塗布し次いで乾燥されインク受容層が形成される。シリカ微粒子を水溶性樹脂と混合した後、フィルターで再度処理するのが好ましい。
【0031】
前記水性媒体としては、少なくとも、カチオン性ポリマーもしくは水溶性多価金属化合物が含有されていることが好ましい。更に好ましくは、硬膜剤も含有していることである。
【0032】
前記カチオン性ポリマーとして好ましくは第4級アンモニウム塩を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩を有するモノマーの単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマーとの共重合体である。第4級アンモニウム塩を有するモノマーの例としては例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0033】
【化1】
【0034】
【化2】
【0035】
上記第4級アンモニウム塩と共重合し得るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0036】
【化3】
【0037】
特に、第4級アンモニウム塩を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノマーの比率は10モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上である。第4級アンモニウム塩を有するモノマーは、単一でも2種類以上であっても良い。
【0038】
以下に本発明に用いることができるカチオン性ポリマーの具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】
【化7】
【0043】
上記第4級アンモニウム塩を有するカチオン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩のために水溶性が一般に高い。共重合する第4級アンモニウム塩を含まないモノマーの組成や比率によっては、水に充分に溶解しないことはあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより、溶解し得るもので有れば本発明に使用できる。
【0044】
ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0045】
本発明に用いるカチオン性ポリマーは、数平均分子量が10万以下であることが好ましい。ここで数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーから求められたポリエチレングリコール値に換算した値である。
【0046】
数平均分子量が10万を越える場合には、カチオン性ポリマーの溶液を表面がアニオン性であるシリカ微粒子を含有する分散液に添加した際に、凝集物の発生が激しく、またその後、分散処理を施しても均一な分散液になりにくく、10μm以上のシリカ微粒子が多数存在して均一な分散液になりにくい。このようなカチオン性ポリマーとシリカ微粒子を含有する複合微粒子分散液を使用してインクジェット記録用媒体を作製した場合、高い光沢性が得られにくい。特に好ましい数平均分子量は5万以下である。また数平均分子量の下限はインクの耐水性の点から通常2000以上である。
【0047】
本発明に係るシリカ微粒子とカチオン性ポリマーの比率は、シリカ微粒子の種類や粒径、あるいはカチオン性ポリマーの種類や数平均分子量で変わり得る。本発明において、上記比率はシリカ微粒子の表面がカチオン性に置き換わって安定化させる必要があることから、1:0.01〜1:1であることが好ましい。
【0048】
本発明に用いることのできる水溶性多価金属化合物としては、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酪酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、シュウ酸バリウム、ナフトレゾルシンカルボン酸バリウム、酪酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、酪酸銅(II)、シュウ酸銅、フタル酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、ナフテン銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、スルファミン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性チオグリコール酸アルミニウム、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、クエン酸鉄(III)、乳酸鉄(III)三水和物、三シュウ酸三アンモニウム鉄(III)三水和物、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、酢酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの水溶性多価金属化合物は2種以上を併用してもよい。本発明において、水溶性多価金属化合物における水溶性とは、20℃の水に1質量%以上溶解することを意味する。
【0049】
上記の水溶性多価金属化合物の中でも、アルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは、水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば、無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
【0050】
上記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式(1)、(2)又は(3)で示され、例えば[Al6(OH)15]3+、[Al8(OH)20]4+、[Al13(OH)34]5+、[Al21(OH)60]3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0051】
一般式(1) [Al2(OH)nCl6−n]m
一般式(2) [Al(OH)3]nAlCl3
一般式(3) Aln(OH)mCl(3n−m)
0<m<3nであり、且つm及びnは正の整数を表す。
【0052】
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
【0053】
上記した水溶性多価金属化合物は、シリカ微粒子に対して0.03〜10質量%の割合で添加するのが好ましく、0.05〜8質量%がより好ましい。
【0054】
また、上記の分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加することが出来る。例えば、ノニオン性またはカチオン性の各種の界面活性剤(但し、アニオン性界面活性剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適宜使用することが出来る。特に、水混和性有機溶媒は、湿式法シリカ微粒子とカチオン性ポリマー、水溶性多価金属化合物を混合した際の微小なダマの形成が抑制されるために好ましい。そのような水混和性有機溶媒は、分散液中に好ましくは0.1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%使用される。カチオン性分散液を調製する際のpHは、シリカ微粒子の種類やカチオン性ポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0055】
本発明に係る水溶性樹脂としては、例えば、ゼラチン(酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリビニルピロリドン(平均分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、水溶性ポリビニルブチラール等の水溶性ポリマーを挙げることができ、これらの水溶性ポリマーはインク受容層の親水性バインダーとして機能し、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。特に好ましい水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0056】
本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールは平均重合度が300〜4000のものが好ましく、特に平均重合度が1000以上のものから得られる皮膜は、脆弱性が良好であることからより好ましい。また、ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
【0057】
また、カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルジメチル(3−メタクリルアミド)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0058】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.2〜5モル%である。またカチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は、通常500〜4000、好ましくは1000〜4000である。更に、カチオン変性ポリビニルアルコールのケン化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0059】
本発明に係るインクジェット記録媒体において、高光沢性で高い空隙率を皮膜の脆弱性を劣化させずに得るために、本発明に係る水溶性樹脂は、硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。硬膜剤は、一般的には前記水溶性樹脂と反応し得る基を有する化合物、あるいは水溶性樹脂が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性樹脂の種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0060】
用いることのできる硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸、その塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。
【0061】
水溶性樹脂としてポリビニルアルコールまたはカチオン変成ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸、その塩またはエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。最も好ましいものは、ほう酸またはその塩から選ばれる硬膜剤である。ほう酸またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩であり、具体的には、オルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸またはそれらの塩が挙げられる。
【0062】
硬膜剤の使用量は水溶性樹脂の種類、硬膜剤の種類、シリカ微粒子の種類、水溶性樹脂に対する比率等により変化するが、通常水溶性樹脂1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0063】
硬膜剤は、空隙層を形成する塗布液を塗布する際に、空隙層を形成する塗布液中及び/または空隙層に隣接するその他の層を形成する塗布液中に添加してもよく、あるいは、予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、該空隙層を形成する塗布液を塗布してもよい。さらには、空隙層を形成する硬膜剤非含有の塗布液を塗布乾燥後に、硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして空隙層に硬膜剤を供給することもできる。製造上の効率の観点から、空隙層を形成する塗布液またはこれに隣接する層を形成する塗布液中に硬膜剤を添加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を供給するのが好ましい。
【0064】
本発明に係る水溶性樹脂とシリカ微粒子の含有比率は、質量で1:10〜1:3が好ましく、特に好ましくは1:8〜1:5である。これらの比率によって細孔径は変化するため、適宜調整することが必要である。
【0065】
水溶性樹脂を分散液に添加混合する方法は、水溶性樹脂の水溶液を分散液に攪拌しながらバッチ内で添加する方法や、分散液と水溶性樹脂を連続的にスタチックミキサー等の混合機で混合する方法があげられる。
【0066】
本発明に好ましく用いられる水溶性樹脂、特にポリビニールアルコールは一般に重合度が高いので、溶解性が悪く、いわゆるダマが出来やすい。更に、溶解時間がかかるため、生産効率上及び品質上問題があり注意を要する。これは、溶解温度を100℃以上にすることで解決でき、溶解時間が短縮でき、しかもダマができなくなる。溶解温度は、100℃以上150℃以下が好ましく、更に好ましくは110℃以上130℃以下である。あまり温度を上げると、構造が破壊され、空隙率を低下させる要因となる。100℃以上での溶解は、熱源として、電気、オイル、加圧蒸気等を用いることが出来る。生産効率上、連続的に溶解するのが好ましく、例えばノリタケ製溶解システムを用いることが出来る。溶解温度が低いと、ダマが完全に溶解しきれず、ひび割れの原因になる。
【0067】
本発明のインクジェット記録媒体の支持体としては、従来公知の紙支持体、プラスチック支持体(透明支持体)、複合支持体など適宜使用できる。より高い濃度で鮮明な画像を得るためには支持体中にインク液が浸透しない疎水性支持体を用いるのが好ましい。
【0068】
透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、10〜200μmが好ましい。透明支持体のインク受容層側およびバッキング層側には公知の下引き層を設けることが、インク受容層やバック層と支持体の接着性の観点から好ましい。また、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0069】
支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全て層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布法あるいは米国特許第2,681,294号公報記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。塗布速度としては、生産効率上150m/min以上が好ましく、更に好ましくは200m/min以上である。
【0070】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾(水分無しの状態)質量%を示す。
【0071】
(実施例)
〈シリカ粉体No.1〜No.4の作製〉
Na2SO4を含有する珪酸ソーダ溶液を20〜40℃の液温に保ちながら、この珪酸ソーダ溶液中に、硫酸を中和率40〜55%になるように添加した。その後、この溶液を80〜95℃まで昇温し、5〜60分熟成し、この水溶液に攪拌を行いながら硫酸を加えpHが3〜4になるまで添加した。得られたシリカを濾過、水洗及び乾燥した後に、粉砕した。Na2SO4濃度、反応温度、SiO2濃度、中和率、硫酸添加時間を調整し、比表面積、10nm以下の細孔容積の異なるシリカ粉体No.1〜No.4を作製した。各シリカ粉体の比表面積及び10nm以下の細孔容積については表1に記載した。
【0072】
【表1】
【0073】
〈シリカ微粒子分散液No.1〜No.10の作製〉
上記のように作製した各シリカ粉体No.1〜No.4を、水性媒体と一緒に連続式ピンミキサー(粉研パウテック社製、フロージェットミキサー300型)と高速回転式連続分散機(太平洋機工社製、フローファインミルFM25)を用いて、連続的に分散して予備分散液を連続的に得た。上記水性媒体とは、水にホウ酸とカチオン性ポリマーであるP−9を含有させたものをいう。ホウ酸はシリカの質量に対して2.7%、P−9は7%になるようにした。なお、予備分散液中のシリカ濃度は30%にした。
【0074】
次に、予備分散液をサンドミル分散機((アシザワ社製、RL−125)以下SMと称す)で分散し、その後、フィルター処理を行った。SMのビーズ径、周速、滞留時間、pass回数及びフィルターの処理回数、口径を変化させ、y+17×ln(x)の値の異なるシリカ微粒子分散液No.1〜No.10を得た。使用したシリカ粉体とy+17×ln(x)の値については表2に記載した。なお、表2及び表3では、便宜上、y+17×ln(x)の値をzとした。
【0075】
【表2】
【0076】
〈シリカ微粒子分散液No.11〜No.12の作製〉
シリカ粉体をNipsil HD−2(日本シリカ工業社製、比表面積280m2/g、10nm以下の細孔容積0.65ml/g)に変え(シリカ粉体No.5という)、上記と同様にシリカ微粒子分散液(シリカ微粒子分散液No.11という)を作製した。シリカ微粒子分散液No.11のy+17×ln(x)の値は230であった。
【0077】
次いで、シリカ粉体をX−37(トクヤマ社製、比表面積275m2/g、10nm以下の細孔容積0.7ml/g)(シリカ粉体No.6という)に変えた以外は、上記と同様にシリカ微粒子分散液(シリカ微粒子分散液No.12という)を作製した。シリカ微粒子分散液No.12のy+17×ln(x)の値は210であった。
【0078】
《インクジェット記録媒体No.1〜No.12の作製》
上記のように作製した各シリカ微粒子分散液No.1〜No.12に、ポリビニールアルコール溶液(10%、クラレ社製:PVA235)を混合し、塗布液を調整した。シリカとポリビニールアルコールの質量比は6.5:1で行った。塗布液中のシリカ濃度は16質量%にした。
【0079】
前記各塗布液を、両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク受容層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、シリカ付量が13g/m2になるように塗布した。塗布方法は、カーテンコーターを用いて重層塗布した。塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、25℃の風(相対湿度が15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60%の雰囲気下で、2分間調湿した。塗布速度は300m/minで行った。
【0080】
[インクジェット記録媒体の評価]
上記のように作製したインクジェット記録媒体No.1〜No.12について、以下の項目を評価した。
【0081】
〔インク受容層の細孔半径〕
マイクロメトリックスポアサイザー9320(島津製作所製)を用いて測定した。
【0082】
〔インク受容層の細孔容積〕
インクジェット記録媒体をA4サイズに切り、質量を測定する(当該質量をAとする)、その後、25℃のイオン交換水に1分間浸漬し、表面の水分をふき取り、質量を測定する(当該質量をBとする)。B−Aの値を求め、単位面積(インクジェット記録媒体1m2)当たりに換算した値を細孔容積(ml/m2)とした。なお、厳密には、当初に細孔に含まれる空気の質量、25℃におけるイオン交換水の比重を考慮する必要がある。しかし、これらによる影響は実用上無視できる程小さな値なので、質量を容積に換算する際はこれらを無視し、B−Aの値をA4サイズのインクジェット記録媒体のインク受容層の細孔容積とみなした。
【0083】
〔光沢度〕
日本電色工業製変角光度計(VGS−1001DP)を用いて、75°光沢度を測定した。
【0084】
〔インク吸収性〕
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行い、画像部分のマダラ発生を目視評価した。インク吸収速度が遅い場合、マダラ発生が多くなる。評価ランクは以下のように行った。
【0085】
○ マダラが全く無し
△ 若干認められるが実用上問題なし
× 実用上問題有り
で評価した。
【0086】
〔最大濃度〕
セイコーエプソン社製のインクジェットプリンター、PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行い、その最大反射濃度を測定した。
【0087】
各試料の特性値を表3に又各試料の光沢度、最大濃度、インク吸収性の結果を表4に示す。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
表4から、本発明のインクジェット記録媒体は、インク吸収性、高印字濃度、高光沢性に優れた、インクジェット記録媒体であることが分かる。
【0091】
【発明の効果】
本発明により、インク吸収性、高印字濃度、高光沢性に優れたインクジェット記録媒体を提供することができた。
Claims (3)
- 支持体上に少なくとも一層のインク受容層を設けたインクジェット記録媒体において、
前記インク受容層の少なくとも一層は、10nm以下の細孔容積が0.2ml/g以上であるシリカ粉体を粉砕分散して得られるシリカ微粒子及び水溶性樹脂を含有する層であって、且つ、該シリカ微粒子はその平均粒径と該シリカ微粒子1g中に含まれる10μm以上のシリカ微粒子の数の関係が式(1)を満たし、さらに、該インク受容層の細孔半径分布曲線のピークが10nm以上50nm以下にあることを特徴とするインクジェット記録媒体。
式(1)
150<y+17×ln(x)<500
y:シリカ微粒子の平均粒径(nm)を表す数値
x:シリカ微粒子1g中における10μm以上のシリカ微粒子の数を表す数値 - 前記シリカ粉体の比表面積が200m2/g以上であり、且つ、インク受容層の全細孔容積が15ml/m2以上であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層の表面光沢度が75°の測定で45%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録媒体。
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