JP2002331744A - インクジェット記録用媒体の製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用媒体の製造方法

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JP2002331744A
JP2002331744A JP2001139870A JP2001139870A JP2002331744A JP 2002331744 A JP2002331744 A JP 2002331744A JP 2001139870 A JP2001139870 A JP 2001139870A JP 2001139870 A JP2001139870 A JP 2001139870A JP 2002331744 A JP2002331744 A JP 2002331744A
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Kiyoshi Endo
喜芳 遠藤
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特にひび割れが少なく、インク吸収容量が充
分に得られるインクジェット記録用媒体を、優れた生産
性で製造できるインクジェット記録用媒体の製造方法を
提供する。 【解決手段】 支持体上に塗布液を塗布してインクジェ
ット記録用媒体を製造するにあたり、前記塗布液が顔料
粒子分散物と水溶性ポリマーが混合されて形成され、該
顔料粒子分散物は製造の過程で50℃以下に保たれたイ
ンクジェット記録用媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用媒体(以下、単に記録用媒体ともいう)の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録は、インクの微小液
滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シー
トに付着させ、画像・文字などの記録を行うものである
が、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点
を有しており、近年急速に普及してきている。一方、写
真等の高画質印刷にも用いられており、記録シートとし
てインク吸収量が多く、シート上に異物、クラック(ひ
びわれ)等の故障が無いことが要求されている。
【0003】これらの問題を解決するために、従来から
非常に多くの技術が提案されている。
【0004】例えば、特開昭52−53012号公報に
記載されている低サイズ原紙に表面加工用の塗料を湿潤
させた記録用媒体、特開昭55−5830号に記載され
ている支持体表面にインク吸収性の塗層を設けた記録用
媒体、特開昭56−157号公報に記載されている被履
層中の顔料として非膠質シリカ粉末を含有する記録用媒
体、特開昭57−107878号に記載されている無機
顔料と有機顔料を併用した記録用紙、特開昭58−11
0287号公報に記載されている2つの空孔分布ピーク
を有する記録用媒体、特開昭62−111782号に記
載されている上下2層の多孔質層からなる記録用媒体、
特開昭59−68292号、同59−123696号お
よび同60−18383号公報などに記載されている不
定形亀裂を有する記録用紙、特開昭61−135786
号、同61−148092号および同62−14947
5号公報等に記載されている微粉末層を有する記録用媒
体、特開昭63−252779号、特開平1−1080
83号、同2−136279号、同3−65376号お
よび同3−27976号等に記載されている特定の物性
値を有する顔料や微粒子シリカを含有する記録用媒体、
特開昭57−14091号、同60−219083号、
同60−210984号、同61−20797号、同6
1−188183号、特開平5−278324号、同6
−92011号、同6−183134号、同7−137
431号、同7−276789号等に記載されているコ
ロイド状シリカ等の微粒子シリカを含有する記録用媒
体、および特開平2−276671号公報、同3−67
684号、同3−215082号、同3−251488
号、同4−67986号、同4−263983号および
同5−16517号公報などに記載されているアルミナ
水和物微粒子を含有する記録用媒体等が多数知られてい
るが、満足するものでは無い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の実態に
鑑みてなされたものであって、その目的は、特にひび割
れが少なく、インク吸収容量が充分に得られるインクジ
ェット記録用媒体を、優れた生産性で製造できるインク
ジェット記録用媒体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、 支持体上に塗布液を塗布してインクジェット記録用
媒体を製造するにあたり、前記塗布液が顔料粒子分散物
と水溶性ポリマーが混合されて形成され、該顔料粒子分
散物は製造の過程で50℃以下に保たれたインクジェッ
ト記録用媒体の製造方法、該顔料粒子が、1次粒子径が
100nm以下のシリカであること、 支持体上に塗布液を塗布してインクジェット記録用
媒体を製造するにあたり、前記塗布液が顔料粒子分散物
と水溶性ポリマーが混合されて製造され、該水溶性ポリ
マーは100℃以上150℃以下で溶解されるインクジ
ェット記録用媒体の製造方法、該水溶性ポリマーがポリ
ビニルアルコールであること、によって達成される。
【0007】以下に、本発明を詳細に説明する。本発明
のインクジェット記録用媒体の製造方法は、顔料粒子分
散物を含有する塗布液を支持体に塗布し、空隙層を塗膜
として形成するものである。該塗膜を形成するには、顔
料粒子と水溶性ポリマーを混合し塗布液とし、塗布する
事が必要である。該粒子は、分散液として添加するのが
一般的で、その分散性の良し悪しが、空隙容量を左右す
る。一方、塗布故障低減や生産効率を上げる意味で水溶
性ポリマーの溶解性向上、溶解時間短縮が、重要であ
る。
【0008】顔料粒子としては、例えば、シリカ、炭酸
カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭酸マ
グネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー等の他各
種の天然または合成の無機微粒子を使用することが出来
る。
【0009】中でもシリカは低い屈折率を有するため、
透明性が要求されるインクジェット記録用媒体のインク
受容層(以下、空隙層ともいう)を形成するのに好まし
く用いられる。
【0010】シリカとしては、通常の湿式法で合成され
たシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成された
微粒子シリカ等が好ましく用いられるが、コロイダルシ
リカまたは気相法で合成された微粒子シリカがより好ま
しく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高
い空隙率が得られる。無機微粒子の1次粒子平均粒径は
3〜100nmが好ましく、より好ましくは4〜50n
m、最も好ましくは4〜20nmである。
【0011】最も好ましく用いられる、1次粒子の平均
粒径が4〜20nmである気相法により合成された微粒
子シリカとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロ
ジルが市販されている。
【0012】顔料粒子分散液を作る際、無機顔料を水性
媒体に所望比率で分散するが、無機顔料の質量濃度とし
て5〜40%が好ましい。特に好ましくは10〜35%
である。質量濃度が低いと生産効率が劣り、大量の分散
液を必要とする、更に分散性が劣る方向になる。また、
質量濃度が高すぎると、分散液の粘度が高くなり、後工
程でのハンドリングに負荷がかかる。質量濃度とは無機
顔料質量/(無機顔料質量+水性媒体質量)×100で
求めた値である。
【0013】分散方法としては、連続式、バッチ式どち
らでも良いが、生産効率上、連続式が好ましい。分散機
としては、ローラミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミ
キサータイプ、高圧ホモジナイザー、湿式メディア型粉
砕機(サンドミル、ボールミル)、連続式高速撹拌型分
散機、超音波分散機等があげられる。
【0014】前記水性媒体としては、少なくとも、カチ
オン性ポリマーが含有されていることが好ましい。更に
好ましくは、硬膜剤も含有していることである。
【0015】前記カチオン性ポリマーとして好ましくは
第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に
好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの
単独重合体または他の共重合し得る1または2以上のモ
ノマーとの共重合体である。
【0016】第4級アンモニウム塩基を有するモノマー
の例としては例えば以下の例を挙げることが出来る。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】上記第4級アンモニウム塩基と共重合し得
るモノマーはエチレン性不飽和基を有する化合物であ
り、例えば以下の具体例を挙げることが出来る。
【0020】
【化3】
【0021】特に第4級アンモニウム塩基を有するカチ
オン性ポリマーが共重合体である場合、カチオン性モノ
マーの比率は10モル%以上が好ましく、より好ましく
は20モル%以上、特に好ましくは30モル%以上であ
る。
【0022】第4級アンモニウム塩基を有するモノマー
は単一でも2種類以上であっても良い。
【0023】以下に本発明に用いることができるカチオ
ン性ポリマーの具体例を挙げるが、これらに限定される
ものではない。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】上記第4級アンモニウム塩基を有するカチ
オン性ポリマーは第4級アンモニウム塩基のために水溶
性が一般に高い。共重合する第4級アンモニウム塩基を
含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶
解しないことはあるが、水混和性有機溶媒と水との混合
溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本
発明に使用できる。
【0029】ここで水混和性有機溶媒とは、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール
などのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチ
ル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド等のアミド類など、水に対して通常10%以上溶解し
得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水
の使用量以下であることが好ましい。
【0030】本発明に用いるカチオン性ポリマーは数平
均分子量が10万以下であることが好ましい。ここで数
平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーから求められたポリエチレングリコール値に換算した
値である。
【0031】数平均分子量が10万を越える場合には、
カチオン性ポリマーの溶液を表面がアニオン性である無
機微粒子を含有する分散液に添加した際に凝集物の発生
が激しく、またその後分散処理を施しても均一な分散液
に成りにくく粗大粒子が多数存在して均一な分散液に成
りにくい。このようなカチオン性ポリマーと無機微粒子
を含有する複合微粒子分散液を使用してインクジェット
記録用媒体を作製した場合、高い光沢性が得られにく
い。特に好ましい数平均分子量は5万以下である。また
数平均分子量の下限はインクの耐水性の点から通常20
00以上である。
【0032】上記無機微粒子とカチオン性ポリマーの比
率は、無機微粒子の種類や粒径、あるいはカチオン性ポ
リマーの種類や数平均分子量で変わり得る。
【0033】本発明において、上記比率は無機微粒子の
表面がカチオン性に置き換わって安定化させる必要があ
ることから、1:0.01〜1:1であることが好まし
い。
【0034】上記の分散液を調製する際には、各種の添
加剤を添加することが出来る。例えば、ノニオン性また
はカチオン性の各種の界面活性剤(アニオン性界面活性
剤は凝集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、
ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリ
アクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン
等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散
液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセト
ンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適
宜使用することが出来る。
【0035】特に水混和性有機溶媒は、無機微粒子とカ
チオン性ポリマーを混合した際の微小なダマの形成が抑
制されるために好ましい。そのような水混和性有機溶媒
は分散液中に好ましくは0.1〜20質量%、特に好ま
しくは0.5〜10質量%使用される。
【0036】カチオン性分散液を調製する際のpHは無
機微粒子の種類やカチオン性ポリマーの種類、各種の添
加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1
〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0037】高い空隙率を得る為には、顔料粒子の分散
状態が大きく影響する。特にシリカの場合は、シラノー
ル基どうしの結合が強いと、強固な凝集粒子となり、こ
の場合、空隙は減少する。我々は鋭意検討の結果、シリ
カ粒子をはじめ、顔料粒子の分散過程で分散液温度を5
0℃を越えると、空隙が、急速に減少することを見出し
た。分散液温度として好ましくは、20℃以上45℃以
下である。
【0038】本発明に係る水溶性ポリマーとしては、例
えばゼラチン(酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリビニ
ルピロリドン(平均分子量が約20万以上が好まし
い)、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導
体、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリエチレン
グリコール(平均分子量が10万以上が好ましい)、ヒ
ドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリ
ン、水溶性ポリビニルブチラールを挙げることができ、
これらの水溶性ポリマーはインク受容層の親水性バイン
ダーとして機能し、単独で使用しても良く、2種以上を
併用しても良い。
【0039】特に好ましい親水性バインダーは、ポリビ
ニルアルコールまたはカチオン変性ポリビニルアルコー
ルである。
【0040】本発明に好ましく用いられるポリビニルア
ルコールは平均重合度が300〜4000のもので、特
に平均分子量が1000以上のものが得られる皮膜の脆
弱性が良好であることから好ましい。
【0041】また、ポリビニルアルコールのケン化度は
70〜100%のものが好ましく、80〜100%のも
のが特に好ましい。
【0042】また、カチオン変性ポリビニルアルコール
は、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢
酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られ
る。
【0043】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単
量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミ
ド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライ
ド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメ
チルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイ
ミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N
−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、
ヒドロキシルエチルジメチル(3−メタクリルアミド)
アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリ
ルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−
(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)ア
クリルアミド等が挙げられる。
【0044】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチ
オン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して
0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.2
〜5モル%である。またカチオン変性ポリビニルアルコ
ールの重合度は通常500〜4000、好ましくは10
00〜4000が好ましい。更に、カチオン変性ポリビ
ニルアルコールのケン化度は通常60〜100モル%、
好ましくは70〜99モル%である。
【0045】本発明に係るインクジェト記録用媒体にお
いて、高光沢性で高い空隙率を皮膜の脆弱性を劣化させ
ずに得るために、前記水溶性ポリマーが硬膜剤により硬
膜されていることが好ましい。
【0046】硬膜剤は、一般的には前記水溶性ポリマー
と反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性ポリマー
が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物で
あり、水溶性ポリマーの種類に応じて適宜選択して用い
られる。
【0047】硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキ
シ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレング
リコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオー
ルジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロ
ヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキ
シアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グ
リセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系
硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性
ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ
−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合
物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−
s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル
等)、ほう酸、その塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げら
れる。
【0048】水溶性ポリマーとしてポリビニルアルコー
ルまたはカチオン変成ポリビニルアルコールを使用する
場合には、ほう酸、その塩またはエポキシ系硬膜剤から
選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0049】最も好ましいのはほう酸またはその塩から
選ばれる硬膜剤である。ほう酸またはその塩としては、
硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを
示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう
酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸またはそれらの塩が
挙げられる。
【0050】上記硬膜剤の使用量は水溶性ポリマーの種
類、硬膜剤の種類、顔料粒子の種類、水溶性ポリマーに
対する比率等により変化するが、通常水溶性ポリマー1
g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mg
である。
【0051】上記硬膜剤は、空隙層を形成する塗布液を
塗布する際に、空隙層を形成する塗布液中及び/または
空隙層に隣接するその他の層を形成する塗布液中に添加
してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗
布してある支持体上に、該空隙層を形成する塗布液を塗
布する。さらには空隙層を形成する硬膜剤非含有の塗布
液を塗布乾燥後に硬膜剤溶液をオーバーコートするなど
して空隙層に硬膜剤を供給することもできる。好ましく
は製造上の効率の観点から、空隙層を形成する塗布液ま
たはこれに隣接する層を形成する塗布液中に硬膜剤を添
加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を供給する
のが好ましい。
【0052】本発明で特に好ましいのは微粒子シリカを
1次粒子として使用し、親水性バインダーとしてポリビ
ニルアルコールまたは変性ポリビニルアルコールを用い
る場合である。この場合、微粒子シリカ表面のシラノー
ル基とビニルアルコールの水酸基が弱い水素結合を行
い、軟凝集体が形成されて空隙率が高く成りやすい。
【0053】上記水溶性ポリマーと顔料粒子の比率は、
通常1:10〜1:3であり、特に好ましくは1:8〜
1:5である。
【0054】水溶性ポリマーを前記分散液に添加混合す
る方法は、水溶性ポリマーの水溶液を分散液に攪拌しな
がらバッチ内で添加する方法や、前記分散液と水溶性ポ
リマーを連続的にスタチックミキサー等の混合機で混合
する方法があげられる。連続式で混合した方が装置スペ
ースや生産効率上好ましい。
【0055】本発明に好ましく用いられる水溶性ポリマ
ー、特にポリビニールアルコールは、重合度が高い為、
溶解性が悪く、ダマが出来やすい、更に溶解時間がかか
るため、生産効率上、品質上問題がある。
【0056】検討の結果、溶解温度を100℃以上にす
ることで、溶解時間が短縮できてダマがなくなることを
見出した。溶解温度は、100℃以上150℃以下が好
ましく、更に好ましくは110℃以上130℃以下であ
る。あまり温度を上げると、構造が破壊され、強いて
は、空隙率をダウンさせる。100℃以上での溶解は、
熱源として、電気、オイル、加圧蒸気等を用いることが
出来る。生産効率上、連続的に溶解するのが好ましく、
例えばノリタケ製溶解システムを用いることが出来る。
溶解温度が低いと、ダマが完全に溶解しきれず、ひび割
れの原因になる。
【0057】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるもので
はない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り
絶乾(水分無しの状態)質量%を示す。
【0058】実施例1 (分散液1の調製) 水性媒体(以後A液と称す)として、 水 80L ホウ酸 0.27kg 硼砂 0.23kg 5%硝酸 0.4L エタノール 1.8L P−9 17L を混合、溶解した。また無機顔料として1次粒子の平均
粒径が約7nmの気相法シリカ(日本アエロジル製:A
300、以後A300と称す)32kgを用意した。A
液を1.56kg/min、A300を0.44kg/
minの割合でスパイラルピンミキサーSPM25W
(大平洋機工製、以後SPMと称す)に供給した。その
後、LMK−4(連続式湿式メディア型粉砕機、アシザ
ワ製、以後LMKと称す)を用い、SPMからでてきた
分散液を、モノーポンプを用いLMKに2.0kg/m
inで供給した。SPMの条件は周速20m/sec、
滞留時間30sec、LMK条件は、ビーズ径0.3m
mジルコニア、滞留時間2分、ロータ回転周速8m/s
ecで行った。A液の温度は5℃、LMKから出てきた
分散液の温度は20℃であった。
【0059】(分散液2〜5の調製)分散液2〜5を分
散液1と同様の分散条件で分散時温度を変化させて作製
した。
【0060】LMKから出てきた分散液の温度は、分散
液2が30℃、分散液3が45℃、分散液4が50℃、
分散液5(比較)が55℃であった。
【0061】 (ポリビニルアルコール溶解液−1(以下PVA−1の如く称す)の調製) ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) 7kg 水 93L を、ジャケット付釜で攪拌機を用い混ぜ、10分間静置
後、ジャケット温度を100℃にし溶解した。目視で溶
解性を確認した所、30分でダマ(未溶解物)が無くな
り溶解した。
【0062】(PVA−2の調製)ジャケット温度を1
10℃にし、PVA−1と同様に溶解した。25分で溶
解した。
【0063】(PVA−3の調製)ジャケット温度を1
30℃にし、PVA−1と同様に溶解した。25分で溶
解した。
【0064】(PVA−4の調製)ジャケット温度を1
50℃にし、PVA−1と同様に溶解した。24分で溶
解した。
【0065】(PVA−5の調製)(比較) ジャケット温度を80℃にし、PVA−1と同様に溶解
した。120分で溶解したが、細かい浮遊物が若干観察
された。この浮遊物は、10時間経過しても皆無にはな
らなかった。
【0066】〔塗布液の調製〕作製した分散物のシリカ
質量濃度が10%になるように、水で希釈し、調整分散
物を得た。前記調整分散物600mlを40℃で撹拌し
ながら、前記作製したPVA溶液を50℃で260ml
を添加し、塗布液を得た。
【0067】〔記録用媒体の作製〕両面をポリエチレン
で被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層
面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量
%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、200μmの
厚さで塗布した。
【0068】なお塗布はそれぞれの塗布液を40℃でス
ライドホッパーを用いて行い、塗布直後に0℃に保たれ
た冷却ゾーンで20秒間冷却した後、25℃の風(相対
湿度が15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が2
5%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で
60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜
60%の雰囲気下で、2分間調湿して記録用媒体1〜1
0を得た。
【0069】得られた記録用媒体1〜10について、以
下の項目を評価した。 (1)ひび割れ:塗布面の0.3m2当たりのひび割れ
点数を目視でカウントした。ひび割れ点数は、通常10
点以下であれば実用上問題ないと考えられる。
【0070】(2)インク溢れ:セイコーエプソン社製
のインクジェットプリンター、PM750Cを使用し
て、マゼンタのベタ印字を行い、目視にてインク溢れの
状態を観察し、 ○ 溢れ無し △ 溢れ多い × 実用上問題有り で評価した。
【0071】以上の結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、インク吸収性に優れ、
クラック等の故障のないインク受容層を有するインクジ
ェット記録用媒体を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B05D 7/24 303 B05D 7/24 303C B41J 2/01 B41J 3/04 101Y

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に塗布液を塗布してインクジェ
    ット記録用媒体を製造するにあたり、前記塗布液が顔料
    粒子分散物と水溶性ポリマーが混合されて形成され、該
    顔料粒子分散物は製造の過程で50℃以下に保たれたこ
    とを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記顔料粒子が、1次粒子径が100n
    m以下のシリカであることを特徴とする請求項1に記載
    のインクジェット記録用媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 支持体上に塗布液を塗布してインクジェ
    ット記録用媒体を製造するにあたり、前記塗布液が顔料
    粒子分散物と水溶性ポリマーが混合されて製造され、該
    水溶性ポリマーは100℃以上150℃以下で溶解され
    ることを特徴とするインクジェット記録用媒体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記水溶性ポリマーがポリビニルアルコ
    ールであることを特徴とする請求項3に記載のインクジ
    ェット記録用媒体の製造方法。
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