JP2002105356A - 無機顔料の固体微粒子分散物、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録用シート - Google Patents

無機顔料の固体微粒子分散物、その製造方法及びそれを用いたインクジェット記録用シート

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JP2002105356A
JP2002105356A JP2000294117A JP2000294117A JP2002105356A JP 2002105356 A JP2002105356 A JP 2002105356A JP 2000294117 A JP2000294117 A JP 2000294117A JP 2000294117 A JP2000294117 A JP 2000294117A JP 2002105356 A JP2002105356 A JP 2002105356A
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media
disperser
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Yusuke Kawahara
雄介 川原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、粗大粒子がなく、メディア
などの磨耗物がなく、塗膜を形成したとき欠陥を生じな
い無機顔料固体微粒子分散物、効率の良い製造方法及び
その分散物を用いたインクジェット記録用シートを提供
することにある。 【解決手段】 メディアが充填された分散機の粉砕室に
無機顔料のスラリーを連続的に導入し、粉砕室内で該無
機顔料をメディアと接触させて連続的に微粒子化したの
ち、遠心力でメディアと該無機顔料とを連続的に分離
し、該無機顔料を粉砕室外に取り出す製造方法であり、
かつメディアの嵩密度が4.0g/cm3以上、ビッカ
ース硬度が10GPa以上、破壊靭性が5MPa・m
1/2以上、平均粒子径が0.3mm以下であることを特
徴とする無機顔料の固体微粒子分散物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機顔料の固体微
粒子分散物とその製造方法及びそれを用いたインクジェ
ット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】シリカ、アルミナ、酸化チタン等に代表
される無機顔料は、様々なシート状材料、スラリー状材
料または種々の機能を有する機能性膜の塗工用材料とし
て広く使用されている。これら無機顔料は、固体微粒子
分散物の形態で用いられる場合が多く、これらが様々な
分野でその機能を最大に発揮するためには、粗大粒子が
少なく、かつ粒径分布の揃った分散物であることが必要
とされており、更にはそれらを効率よく製造できること
が求められている。
【0003】これら種々の目的で用いられる無機顔料の
固体微粒子分散物は、通常の方法で調製することがで
き、その中でもメディア分散は、一般的な方法の一つで
ある。このメディア分散法は、粉末の状態またはそのウ
エットケーキと呼ばれる水や有機溶媒で湿った状態の無
機顔料と分散媒とを混合したスラリー、または予備的に
分散処理を施した粗分散物を、公知の粉砕機(例えば、
ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、攪拌ボ
ールミル、アニューラ型ボールミル、縦型サンドミル、
ローラーミル、ピンミル、スパイクミル、コボールミ
ル、キャディーミル、横型サンドミル、アトライター
等)を用いて、メディアと称される、例えば、スチール
ボール、セラミックボール、ガラスビーズ、アルミナビ
ーズ、ジルコニアシリケートビーズ、ジルコニアビー
ズ、オタワサンドなどの存在下で、機械力によって粉砕
する。このような分散機としては、例えば、化工便覧
(丸善)改訂第5版に記載されている装置を挙げること
ができる。これらの内、無機顔料のスラリーを、連続的
にメディアを充填した分散装置の粉砕室に導入し、粉砕
室内で該無機顔料をメディアと接触させて微粒子化し、
その後、メディアをスクリーン、ギャップ、スリット、
メッシュなどを用いて分離して、該無機顔料の微細粒子
を得る方法が、生産性、汎用性、分散粒子の到達粒径の
小ささ、工程の単純性の点で優れ、最も一般的に用いら
れている。
【0004】しかしながら、上記方法は、分散するため
の動力として機械的エネルギーを用いるので、粉砕に要
するエネルギーが大きいこと、加えたエネルギーの一部
が粉砕に用いられるのみで、多くが熱エネルギーとして
放出されること、機材やメディアが衝突し、磨耗を生じ
るので、その結果、完成分散物中に磨耗物が混入して、
性能を悪化させること、分散物の粒径分布が広く粗大粒
子が残存しやすいこと、あるいは、粉砕を速く進行させ
るためや微細化するために投入エネルギーを増加させる
と、上記発熱や磨耗の増加、磨耗物の混入が大きくなる
といった課題を有している。特に、無機顔料の分散物を
用いた機能性膜は、極めて薄いコロイド層として支持体
上に塗設されるが、近年、多くの記録材料において、構
成するコロイド層の薄層化、均一化、高速塗布化が進ん
でおり、この場合、上記のような問題点により、混入す
る磨耗物によるピンホールやムラ等の欠陥が顕在化し、
更には、目的機能である性能劣化を招く結果となる。
【0005】また、メディアとしては、上述のように、
スチールボール、オタワサンド、ガラスビーズ、脱アル
カリガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコンビーズ、
ジルコニアビーズ等が用いられいるが、その粒子径は
0.4mm以上が一般的であった。これらのうち、スチ
ールボールを用いた場合には、金属摩耗物が生じ易く、
その結果、分散物を支持体に塗布したときの欠陥の発
生、着色や好ましくない化学反応を起こすことが知られ
ている。また、オタワサンド、ガラスビーズや脱アルカ
リビーズを用いた場合には、分散摩耗物による欠陥のほ
か、摩耗により生じるアルカリ成分や金属塩が、分散物
の分解または凝集を誘発する可能性がある。一方、アル
ミナビーズ、ジルコンビーズ、ジルコニアビーズは、硬
質、高嵩密度であり、分散の際に大きなエネルギーを掛
けることができ、分散効率が高い。しかし、他のメディ
アと同様に、用いた分散機の部材の摩耗を起こすので、
これらの素材は耐摩耗性のセラミックやポリマー素材が
用いられるようになってきた。
【0006】しかしながら、近年では、益々、分散効率
の向上や分散粒径の低下等のニーズが大きく、そのため
エネルギーアップ(周速や充填率の増加)をすると、硬
質ビーズを用いても、摩耗の増加や発熱の増加を生じ、
品質や工程での問題を起こす可能性があった。
【0007】上記課題に対して、生産性を高め、より微
粒子化して粗大粒子の減少を達成すると共に、磨耗物を
減らす方法として、メディアの平均粒径を小さくする試
みがなされてきた。通常、分散後、メディアと分散物
は、スクリーン、ギャップ、スリット、メッシュなどを
用いて分離される。これらの方法において、分離部の部
材が摩耗したり、あるいはメディアサイズが小さくなる
と、詰まりやすいなどの欠点があった。また、特にギャ
ップを用いる場合、メディア径よりも小さい隙間を維持
しなければならないので、高い加工精度や調節精度が要
求され、大型の分散機をつくることが困難であるという
問題点があった。
【0008】また、メディアにポリマー素材やその微細
粒子を用いて分散し、分散後分離する方法も提案されて
いる。例えば、米国特許第5,500,331号、同第
5,679,138号、同第5,662,279号、欧
州特許第684,508A号、同第684,519A号
等に記載されている方法が挙げられる。しかし、これら
の方法は、メディアの硬度や密度が低く、かつ分散速度
が低いことにより、ポリマーの磨耗が生じることなどの
欠点を有している。また、ビーズの目詰まりを防止する
方法として、例えば、実用新案登録第3006047
号、特開昭63−65959号、特開平8−25247
2号、同10−118512号に記載のような、スクリ
ーンを回転させたり、振動を与える方法が開示されてい
る。これらの方法では、メディア自身がスクリーンに達
するのを防ぐことはなく、スクリーンに達しても、詰ま
る確率を機械的に低減しようという試みであり、得られ
る効果は十分とは言えない。また、これらの欠点を解決
するための固体微粒子分散物の製造方法として、特開2
000−171931号には、写真用水不溶性有機化合
物を適用した方法が開示されているが、最終製品として
ハロゲン化銀写真感光材料を目的としたものであり、ま
た主に分散される材料がハロゲン化銀写真用の添加物を
対象としており、本発明の極めて特殊な塗膜特性が要求
されるインクジェット記録材料とは異とするものであ
る。
【0009】一方、インクジェット記録は、インクの微
小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録
用シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うもの
であり、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の
利点を有している。従来の記録方法で問題となっていた
ノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク及
び装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンタ
ー、ファクシミリ、コンピューター端末等、様々な分野
に急速に普及している。
【0010】このインクジェット記録方式で使用される
記録用シートに対しては、印字ドットの濃度が高く、色
調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字
ドットが重なった場合に於いてもインクが流れ出したり
滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必
要以上に大きくなく、かつ周辺が滑らかでぼやけないこ
と等が要求され、これらの諸性能を向上するため、これ
までに多くの技術が開示されている。
【0011】また、インクジェット記録においては、得
られる画像の耐水性を改良するために、インク受容層中
にカチオン性物質を添加し、インク受容層中に形成した
空隙構造にインク中の色材を固定化する方法が広く用い
られており、現在の主流となっている。
【0012】しかしながら、上記の空隙構造を有するイ
ンク受容層中において、空隙構造を形成する物質が、カ
チオン性の無機顔料である場合には、カチオン性コロイ
ダルシリカのように高い空隙率を達成しにくかったり、
あるいは、アルミナ水和物微粒子を使用すると、高い製
造コストになる等の問題点がある。製造コストと空隙形
成能力の点で、無機顔料としてはシリカ微粒子を用いる
ことが有利である。ここで、シリカ微粒子はアニオン性
であるためカチオン物質の添加が必要となり、カチオン
性ポリマー含有液中で凝集体無機顔料(シリカ)をメデ
ィアが充填された分散機で粉砕分散し、得られた無機顔
料の固体微粒子分散物を含有する塗布液を支持体上に塗
布することで、光沢性を向上させ、印字濃度を高めたイ
ンクジェット記録用シートを得る各方法が多く開示され
ている。しかし、これら従来から公知の方法では、無機
顔料の粗大粒子が多く残存し、更には記録用シートの光
沢性、ひび割れ発生、更には最大濃度において満足でき
るものではなく、より一層の改良が求められていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
鑑みなされたものであり、その目的は、粗大粒子がな
く、メディアなどの磨耗物混入量が少なく、塗膜を形成
したとき欠陥を生じない無機顔料固体微粒子分散物と、
効率の良い製造方法及びその分散物を用いたインクジェ
ット記録用シートを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、本発明の上記課題は、以下の構成により達成さ
れることを見出した。
【0015】1.メディアが充填された分散機の粉砕室
に無機顔料のスラリーを連続的に導入し、粉砕室内で該
無機顔料をメディアと接触させて連続的に微粒子化した
のち、遠心力でメディアと該無機顔料とを連続的に分離
し、該無機顔料を粉砕室外に取り出す製造方法であり、
かつメディアが嵩密度4.0g/cm3以上、ビッカー
ス硬度が10GPa以上、破壊靭性が5MPa・m1/2
以上、平均粒子径が0.3mm以下であることを特徴と
する無機顔料の固体微粒子分散物の製造方法。
【0016】2.前記分散機が、スラリーの入口と出口
を有する円筒容器、該出口を覆う分散容器内に突出した
スクリーン及び複数の攪拌子が取り付けられた回転軸を
有し、円筒容器の入口側はメディアが充填された粉砕
室、出口側は実質的にメディアが存在しないメディア分
離室であり、最も出口側に位置する回転子には攪拌部材
が取り付けられており、その先端は前記スクリーンの出
口側側面部に位置し、該攪拌部材の回転で分離室に入り
込んだメディアに遠心力を与え、粉砕室に戻す機構を有
することを特徴とする前記1項記載の無機顔料の固体微
粒子分散物の製造方法。
【0017】3.前記分散機が、スラリーの入口と出口
を有するメディアが充填された粉砕室、攪拌子が取り付
けられた回転軸、粉砕室と壁で隔てられた実質的にメデ
ィアが存在しないメディア分離室とを有し、該メディア
分離室内にはインペラーを有し、該インペラーの回転で
分離室に入り込んだメディアに遠心力を与えて粉砕室に
戻し、スラリーを回転軸内の排出路を通して取り出すこ
とを特徴とする前記1項記載の無機顔料の固体微粒子分
散物の製造方法。
【0018】4.前記分散機のメディアと接触する部材
が、実質的にジルコニア又はアルミナを主成分とするセ
ラミック、ポリウレタン、テフロン、ポリエチレンから
選ばれる素材からなることを特徴とする前記1〜3項の
いずれか1項記載の無機顔料の固体微粒子分散物の製造
方法。
【0019】5.前記1〜4項のいずれか1項記載の製
造方法により製造されたことを特徴とする無機顔料の固
体微粒子分散物。
【0020】6.分散物中のメディアまたは分散機から
の磨耗物混入量が、質量比で100ppm以下であるこ
とを特徴とする前記5項記載の無機顔料の固体微粒子分
散物。
【0021】7.前記無機顔料が、シリカであることを
特徴とする前記5または6項記載の無機顔料の固体微粒
子分散物。
【0022】8.支持体上にインク受容層を有するイン
クジェット記録用シートにおいて、少なくとも1層のイ
ンク受容層が、前記5〜7項のいずれか1項記載の無機
顔料の固体微粒子分散物を含有することを特徴とするイ
ンクジェット記録用シート。
【0023】以下、本発明の詳細について説明する。本
発明においては、メディアが充填された分散機の粉砕室
に無機顔料のスラリーを連続的に導入し、粉砕室内で該
無機顔料をメディアと接触させて連続的に微粒子化した
のち、遠心力でメディアと該無機顔料とを連続的に分離
し、該無機顔料を粉砕室外に取り出す製造方法を用いる
ことが一つの特徴である。
【0024】本発明でいう無機顔料とは、例えば、シリ
カ、アルミナ、酸化チタン等公知の様々な水不溶性無機
化合物のことであり、シート状材料、スラリー状材料、
または種々の機能を有する機能性膜の塗工用材料として
用いられる無機材料を指す。
【0025】上記目的で用いることのできる分散機とし
ては、例えば、特公平2−10699号、特開平6−3
1189号や実公平6−41638号に開示されてい
る、分散機内に突出させたスクリーンの周りに、ロータ
ーやキャップをつけて回転させ、メディアに遠心力を与
え、スクリーン部に到達させる量を減らすものを挙げる
ことができ、これらは目つまりに対し効果がある。本発
明に係る分散機は、粉砕を行う粉砕室と、メディアを分
離し、実質的にメディアが存在しないメディア分離室が
分かれているものが好ましい。この2部分は、同じ分散
容器内にあり、障壁があってもなくてもよい。分散機の
メディア分離室に輸送されたメディアは、分離室内に設
置された撹拌部材やインペラーの遠心力によって、粉砕
室に戻され、メディア分離室にはメディアが実質存在し
ないことが特徴である。このような分散機は、実公平6
−41638号、実公平7−46353号、WO96/
39251等に記載されているものを挙げることができ
る。
【0026】以下に、本発明に係る分散方法一例を示
す。本発明の無機顔料の固体微粒子分散物の製造方法
は、例えば、図1で示す構造を有する分散機を用いて好
適に実施することができる。図1は、分散機の断面図で
あり、図1中、1は粉砕機本体、2は冷却水ジャケッ
ト、3は回転主軸4に取り付けた分散用撹拌子である。
撹拌子は、ディスク、ピン付きディスク、偏心ディス
ク、ピンなどであってよい。7はスラリー(無機顔料ス
ラリー)の取り入れ口であり、スラリーはメディアを充
填した粉砕室9に導入されて、分散用撹拌子3とメディ
アにより微細に粉砕される。8は微粉砕スラリーの取り
出し口であり、スクリーン5は8を覆っており分散容器
内に突出している。6は主軸4に取り付けられた最も出
口側のディスクに取り付けられた棒状の撹拌部材(オー
バーキャップ)であり、メディア分離室10の中に位置
し、スクリーン5の出口側側面付近まで伸びており、ス
クリーン5の全面を覆っている。6の撹拌部材は回転に
よりメディア分離室に入ったメディアに遠心力を与え、
メディアを粉砕室に戻す機能があり、分散中はメディア
分離室には実質的にメディアが存在しない。したがっ
て、スクリーンの目つまりを防止できる。撹拌部材は、
上記機能を有していればどのような形でもよく、例え
ば、羽根型、籠型でもよい。このような分散機の具体的
な例としては、アシザワ株式会社製アジテータミルLM
Kを挙げることができる。
【0027】図2は、本発明の無機顔料の固体微粒子分
散物の製造に用いることのできる分散機の他の例を示す
断面図であり、図2中、11は冷却水ジャケット、12
は分散機本体、14は回転主軸15に取り付けたピンで
ある。撹拌子はディスク、ピン付きディスク、偏心ディ
スク、ピンなどであってよい。13はスラリーの取り入
れ口であり、スラリーはメディアを充填した粉砕室18
に導入されて、分散用撹拌子14とメディアにより微細
に粉砕される。16はセントリーセパレーターと呼ばれ
るメディア分離室であり、この例では主軸に固定された
ディスク2枚とこれらに挟まれたブレード20からなっ
ている。この回転によりメディア分離室がインペラーと
して働き、入ってきたメディアに遠心力を与え、メディ
アを粉砕室に戻す機能があり、分散中はメディア分離室
には実質的にメディアが存在しない。微粒子化スラリー
は、円盤の間の取り込み口からはいり、セントリーセパ
レータを通って主軸の中心のスラリーの導路17を通っ
て取り出される。メディア分離室の構造は、入ってきた
メディアがインペラーにより排出されるような機構であ
ればどのようなものでもよい。たとえば上下2枚のディ
スクは回転せず、中のインペラーが別途あって、これが
回転してもよい。このような分散機の例としては、コト
ブキ技研工業株式会社製SAMを挙げることができる。
【0028】請求項4に係る発明では、分散機のメディ
アと接触する部材が、実質的にジルコニア又はアルミナ
を主成分とするセラミック、ポリウレタン、テフロン、
ポリエチレンから選ばれる素材からなることが特徴であ
り、より好ましくは、ジルコニア強化アルミナである。
本発明に用いられる分散機の撹拌部(ディスク、ピンな
ど)は、ジルコニア、ポリウレタン、テフロン、ナイロ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン又はABSの樹脂か
ら選ばれる素材よりなることが好ましい。
【0029】本発明の無機顔料の固体微粒子分散物の製
造方法で用いることのできるメディアとしては、公知の
分散用メディアを用いることができるが、平均粒径が
0.02mm以上0.3mm以下が好ましく、0.05
mm以上0.2mm以下がより好ましい。粒子サイズを
下げることで、メディア同士又はメディアと部材の衝突
時の過剰な衝突エネルギーを減らし、かつ衝突回数を増
やすことができ、分散効率も上げられる効果が期待でき
る。メディアの密度は、高いほど衝撃力が大きく、せん
断力も大きいと推測され、分散速度の向上が期待され
る。メディアの硬度は、硬い方が衝撃力が大きいと思わ
れるが、破壊に対しては破壊靭性も重要であり、いずれ
もある程度高い方が好ましい。種々検討の結果、メディ
アの嵩密度を4.0g/cm3以上、ビッカース硬度を
10GPa以上、かつ破壊靭性を5MPa・m1/2以上
とすることが本発明の特徴の1つであり、より好ましく
は、メディアの嵩密度が4.0〜20g/cm3、ビッ
カース硬度が10〜50GPa、かつ破壊靭性が5〜2
5MPa・m1/2である。本発明におけるビッカース硬
度はJIS R1610に、破壊靭性はJIS R16
07にそれぞれ規定されている。主要なメディアに関す
る上記物性値について表1に示す。嵩密度はジルコニア
が高い。アルミナは硬度は高いが破壊靭性が低く、硬い
がもろい。ジルコンビーズは硬度、破壊靭性とも劣る。
ジルコニアビーズは硬度、破壊靭性とも優れている。
【0030】
【表1】
【0031】メディアの材質は、ジルコニア、特にはテ
トラゴナル多結晶ジルコニアが好ましい。さらに、これ
にイットリア、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ア
ルミナ、セリアがドープされているものが好ましく、特
に好ましくは、イットリア又はアルミナがドープされた
ものが、強度や破壊靭性が高く好ましい。また、粉砕室
におけるメディアの充填率は、好ましくは70〜90
%、より好ましくは75〜87%である。ここでいう充
填率とは、分散機の粉砕室内部の空間体積に対する最密
に充填されたメディアのメディア間の空隙を含めた体積
の比率をいう。
【0032】本発明において、分散物中のメディアまた
は分散機に由来する磨耗物は、100ppm以下、好ま
しくは50ppm以下、更に好ましくは10ppm以下
である。
【0033】本発明で適用される無機顔料の固体微粒子
分散物は、固体微粒子の含有率が3〜60質量%である
ことが好ましく、10〜45質量%であることがより好
ましく、15〜30質量%であることが更に好ましい。
固体微粒子分散物の残りの部分は、その用途によって適
宜好ましい分散媒を用いることができる。
【0034】これらの固体微粒子分散物を調製するとき
は、必要に応じて分散助剤を存在させることが可能であ
る。使用される分散助剤としては、これまでに公知のあ
らゆるものを使用でき、例えば、アルキルフェノキシエ
トキシエタンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテルスルホン酸塩、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキ
ル硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナトリ
ウムオレイルメチルタウライド、ナフタレンスルホン酸
のホルムアルデヒド縮重物、ポリアクリル酸、ポリメタ
クリル酸、マレイン酸アクリル酸共重合物、カルボキシ
メチルセルロース、硫酸セルロース等のアニオン系分散
剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン
脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸
エステル、ポリアルキレンオキサイドのブロックポリマ
ーなどのノニオン系分散剤、カチオン系分散剤やベタイ
ン系分散剤が挙げられる。また、固体微粒子分散物を調
製するときに、必要に応じて親水性ポリマーを添加する
こともできる。
【0035】次に、本発明の無機顔料固体微粒子分散物
を用いるインクジェット記録用シートについて説明す
る。
【0036】本発明のインクジェット記録用シートは、
支持体上にインク受容層を有し、少なくとも1層のイン
ク受容層中に本発明に係る無機顔料固体微粒子分散物の
製造方法によって得られた分散物を含有することが特徴
であり、それによりインク受容層に空隙構造を形成する
ものである。インク受容層に空隙構造を形成するには、
無機顔料固体微粒子分散物を調製する際の分散媒として
は水系媒体であり、主たる媒体は水ではあるが、分散性
に支障が無い範囲で他の溶媒が含まれていても良い。
【0037】水系媒体中に調製した無機顔料固体微粒子
分散物を含む塗布液を、塗布してインクジェット記録用
シートを作製する。無機顔料は、固体微粒子分散物とし
て添加するのが一般的で、その際、無機顔料の分散性の
良し悪しが、最終的な塗設物の塗布故障および得られる
品質を大きく左右する。更に、如何に効率的に固体微粒
子分散物を調製するかが最大のポイントである。インク
ジェット記録用シートに無機顔料固体微粒子分散物を用
いる場合、前記分散物の最終分散度が、塗布故障、光沢
等に大きく影響し、従来のように、電子顕微鏡や粒径測
定機で求めた平均粒径のみでは、最終的な品質を保証で
きないのが現状であり、塗布故障や光沢等の品質を向上
させるには、分散物中に含まれる粗大粒子を事前に把握
することが重要となる。その確認手段として、分散液の
濁度評価を行うことにより、解決できることが分かっ
た。もちろん、平均粒径と濁度を併用して分散度の評価
を行うことがより好ましい。平均粒径は、一般的に、良
好な光沢性を得るためには300nm以下であることが
好ましい。インクジェット記録用シートに用いる無機顔
料固体微粒子分散物の場合、濁度値として50ppm以
下であることが好ましい。本発明でいう濁度測定は、市
販の濁度計を用いて測定することができ、例えば、三菱
化学工業社製モデルSEP−PT−501D、東京電色
社製TURBIDITY METER T−2600D
A、日本電色社製COH−300A等を用いることがで
き、本発明でいう濁度値は、5mm幅の石英セルを用い
た際の分散物の濁度値として表す。
【0038】本発明のインクジェット記録用シートに用
いることのできる無機顔料としては、例えば、シリカ、
炭酸カルシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、炭
酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー等の
他各種の天然または合成の無機顔料を挙げることができ
る。請求項7に係る発明では、上記組顔料の中でも、シ
リカを用いることが特徴であり、シリカは低い屈折率を
有しており、透明性が要求されるインクジェット記録用
シートのインク受容層(以下、空隙層ともいう)を形成
するのに好ましく用いられる。シリカとしては、通常の
湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気
相法で合成された微粒子シリカ等が好ましく用いられる
が、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子
シリカがより好ましく、中でも気相法により合成された
微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけでなく、カ
チオン性ポリマーと混合したときに粗大凝集体が形成さ
れにくいので特に好ましい。
【0039】無機顔料の1次粒子平均粒径は3〜100
nmが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好
ましくは4〜20nmである。最も好ましく用いられ
る、1次粒子の平均粒径が4〜20nmで、気相法によ
り合成された微粒子シリカとしては、例えば、日本アエ
ロジル社のアエロジルが市販されている。
【0040】本発明のインクジェット記録用シートで用
いる無機顔料固体微粒子分散物を製造するに当たって
は、該分散物の生産性向上と塗布故障低減および品質向
上の両立を図るという観点で、少なくとも無機顔料粒子
及び水系媒体を分散機に連続的に供給しながら分散処理
すると同時に、前記分散機内で製造された分散物を連続
的に分散機より吐出する工程を経て製造されることが一
つの特徴であり、少なくとも、無機顔料粒子及び水系媒
体を、分散機に連続的に供給しながら分散処理すると同
時に、前記分散機内で製造された分散物を連続的に分散
機より吐出し、更に吐出された分散物を連続的に別の分
散機に供給しながら、同時に別の分散機内で分散処理さ
れた分散物を連続的に分散機より吐出する工程を経て製
造されることがより好ましい。分散機が複数ある場合
は、それらは直列に配置されていることが好ましく、そ
の中で少なくとも1つの分散機が、本発明の無機顔料固
体微粒子分散物の製造方法に準じたメディア分散機であ
れば良い。
【0041】上述の連続的に供給するとは、一定量秤量
された無機顔料粒子と一定量秤量された水系媒体を分散
機に投入し、分散処理を行い、一定時間の後に分散処理
を停止し、分散物を取り出すという方式ではなく、無機
顔料粒子と水系媒体のそれぞれの分散機に供給する量
を、時間あたりの体積あるいは質量で管理し、常に両者
が一定の量比率となるように途切れることなく供給する
ことである。あるいは、実質的に分散処理をしていない
両者の混合物を、時間あたりの体積あるいは質量で管理
し、途切れることなく供給することを言う。
【0042】また、上述した連続的に吐出とは、無機顔
料粒子と水系媒体を供給しながら分散を行うので、分散
機には次々と分散物原料が入ってくる。この分散物原料
に押し出される形で、一定時間分散機内で処理された分
散物は、分散機から吐出されることになる。従って、分
散物原料が連続的に供給される以上、分散物の吐出も連
続的となる。よって、分散物の吐出が始まれば、原料供
給を停止するまで同時に供給、分散、吐出は行われるこ
ととなる。
【0043】本発明のインクジェット記録用シートに用
いる無機顔料固体微粒子分散物を製造する際、無機顔料
粒子と水系媒体を所望比率で連続的に分散することが生
産効率上好ましく、無機顔料粒子の濃度としては、5〜
40質量%であることが好ましく、10〜30%である
ことが更に好ましい。濃度が低いと生産効率が劣り、大
量の分散物を必要とする、更に分散性が劣る方向にな
る。また、濃度が高すぎると、分散物の粘度が高くな
り、後工程でのハンドリングに負荷がかかる。ここでい
う濃度とは、無機顔料質量/(無機顔料質量+水系媒体
質量)×100で求めた値である。
【0044】無機顔料粒子と水系媒体を所望比率で連続
的に分散する際、ダマを作らないことが重要で、用いる
ことのできる分散機としては、連続的に分散できるもの
であり、連続式混練分散機と連続式粉砕分散機を併用す
ることが、特に好ましい態様である。無機顔料粒子と水
系媒体を、所望比率で連続的に混練分散機や粉砕分散機
で分散した後、更に複数回、混練分散機や粉砕分散機で
連続的に分散することが、分散度を高め、生産効率上好
ましい。ここでいうダマとは、100μm以上の粗大粒
子と指す。ダマの評価は、分散物を手で触ることで、容
易に有り無しの判断できるが、本発明では、分散物を光
学顕微鏡を用い、50倍で500視野観察して判断す
る。
【0045】前記混練分散機としては、例えば、ローラ
ミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミキサータイプ等が
挙げられ、具体的には、KRCニーダー、KEXエクス
ルローダー(栗本鉄鋼社製)、フロージェットミキサー
(粉研パウテックス社製)、スパイラルピンミキサー
(大平洋機工社製)等を挙げることができる。
【0046】また、本発明で用いることのできる粉砕分
散機としては、上述したように、その少なくとも1つの
分散機が、本発明の無機顔料固体微粒子分散物の製造方
法に準じたメディア分散機である必要があり、粉砕分散
機を複数配置する場合は、その他の分散機としては、公
知の様々な分散機を使用することが可能で、例えば、高
圧ホモジナイザー、湿式メディア型粉砕機(サンドミ
ル、ボールミル)、連続式高速撹拌型分散機、超音波分
散機等があげられる。具体的にはマントンゴーリンホモ
ジナイザー、ソノレータ(同栄商事社製)、マイクロフ
ルイタイザー(みずほ工業社製)、ナノマイザー(月島
機械社製)、アルティマイザー(伊藤忠産機社製)、パ
ールミル、グレンミル、トルネード(浅田鉄鋼社製)、
ビスコミル(アイメックス社製)、マイティーミル、R
Sミル、SGミル(井上製作所製)、荏原マイルダー
(荏原製作所製)、ファインフローミル、キャビトロン
(大平洋機工社製)等が挙げられる。
【0047】無機顔料粒子と水系媒体を、所望の比率で
連続的にダマ無く分散した後は、得られた分散物を容器
に投入して、バッチ式の混練分散機や粉砕分散機で分散
しても良い。また、バッチ式の混練分散機や粉砕分散機
と、連続式の混練分散機や粉砕分散機を組み合わせても
良い。この場合、用いることのできるバッチ式混練分散
機、粉砕分散機としては、具体的には、万能混合攪拌機
(ダルトン社製)、プラネタリーニーダーミキサー(ア
シザワ社製)、TKハイビスディスパーミックス(特殊
機化社製)、プラネタリーディスパー、ADミル、バス
ケットミル(浅田鉄鋼社製)、EGミル(井上製作所社
製)、クリアミックス(エムテクニック社製)等が挙げ
られる。
【0048】無機顔料固体微粒子分散物の濁度を50p
pm以下にするためには、前記の混練分散機や粉砕分散
機を複数用いても良く、生産性向上の点で、直列に接続
して用いるのが好ましい。直列に接続しているとは、分
散機と分散機との間に、分散機への分散物供給精度を上
げるために、ポンプを用いても良く、最初の分散機から
吐出された分散物を一度容器に受け、ポンプで次の分散
機に供給しても良い。また、必要に応じて分散機と分散
機の間、もしくは最終分散機の出口側に、分散物の温度
を制御するために、熱交換機や、脱泡の目的で脱泡機等
を用いても良い。分散時の分散物の温度は、20〜70
℃の範囲が好ましい。
【0049】水系媒体は、最初の分散機には必ず供給す
る必要が有るが、必要に応じて、2台目以降の分散機に
添加しても良い。また水系媒体の種類は、最初の分散機
に供給するものと同じでも、異なっても良い。
【0050】生産性と分散性を両立するための好ましい
形態の1つとして、3台の分散機を用い、更には3台の
分散機を直列に接続することが好ましい。特に好ましく
は、3台の分散機が、連続式分散機であることである。
本発明では、この方法を完全連続型分散方式と称す。第
1、2分散機では、混練と液状化を目的とした分散を行
い、第3の分散機で最終的な目的粒径、あるいは濁度の
到達するための分散を行う。すなわち、第1、2分散機
では予備分散を、第3分散機では本分散を行うという機
能を持つ。第1、2分散機のいずれか一方は、混練分散
機を用いることが好ましく、更に好ましくは、第1分散
機が混練分散機である。更にその際、第3分散機が、本
発明の無機顔料固体微粒子分散物の製造方法に準じたメ
ディア分散機である態様が最も好ましい。
【0051】前記混練分散機は、連続式であることが好
ましく、また周速10〜40m/secで回転する回転
体を用いて分散する方式であることが好ましい。周速が
10m/sec未満であると、ダマが発生しやすく、逆
に40m/secを超えると、機械的負荷が大きく、摩
耗が激しくなり、更に発熱が大きく、分散物の品質を損
なうことになる。回転体の周速は、摩耗と発熱を考慮
し、3〜15m/secとすることがより好ましい。
【0052】前記第1、2分散機内での各々の滞留時間
は、0.1〜600秒が好ましく、0.1秒未満である
と分散性が劣り、600秒を超えると発熱が激しく、分
散物の品質を損なう。ここでいう滞留時間とは、分散処
理している時間であり、最初に分散機に顔料と水系媒体
を供給してから初めて分散物が吐出されるまでの時間で
ある。
【0053】前記第3分散機は、本発明の無機顔料固体
微粒子分散物の製造方法に準じたメディア分散機である
ことが好ましく、分散機の粉砕室の材質、使用するメデ
ィアの粒径、硬度、材質等は前述した通りである。第3
分散機内での滞留時間は、1〜30分が好ましい。1分
未満であると分散性が劣り、30分を超えると発熱が大
きくなり分散物の品質を損なう。
【0054】前述したように第3分散機で分散された分
散物の濁度が、50ppm以下であることが塗布故障、
光沢等の点で好ましく、そのためには第2分散機で分散
された分散物の濁度を、300ppm以下にすることが
好ましい。300ppmを超えるとダマが完全に解消せ
ず、この状態の分散物を第3分散機で分散し、50pp
m未満にするのは、多大な時間とエネルギーがかかり、
生産効率が悪くなる。
【0055】図3,4,5に、本発明のインクジェット
記録用シートに用いる無機顔料固体微粒子分散物を製造
する際の好ましい分散システムのフロー図の例を示す
が、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0056】本発明の無機顔料固体微粒子分散物をイン
ク受容層に含有するインクジェット記録用シートでは、
上述したように無機顔料としては、気相法により合成さ
れた微粒子シリカを用いることが特に好ましく、その
際、無機顔料分散物中にカチオン性ポリマーが含有され
ていることが好ましい。
【0057】カチオン性ポリマー溶液は、従来は分散さ
れた無機顔料水分散物とバッチ式撹拌分散機で混合、分
散して用いられてきたが、例えば、上記シリカなどのア
ニオン性無機顔料とカチオン性ポリマーが出会うと必ず
凝集が生じ、ダマが発生問題点を有している。バッチ式
で行った場合には、強力な撹拌を施しても完全にダマを
解消するには、多大なエネルギーと時間を要する。本発
明では、上記課題に対しても、連続的に所望の比率で、
無機顔料とカチオン性ポリマーを連続的に混練、粉砕分
散機を用いて分散することにより、解決することができ
る。
【0058】本発明で用いることのできるカチオン性ポ
リマーとしては、特に制限はないが、好ましくは第4級
アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好まし
くは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重
合体または他の共重合し得る1または2以上のモノマー
との共重合体である。
【0059】第4級アンモニウム塩基を有するモノマー
の例としては、以下の化合物を挙げることができる。
【0060】
【化1】
【0061】
【化2】
【0062】本発明において、上記の第4級アンモニウ
ム塩基と共重合し得るモノマーとしては、エチレン性不
飽和基を有する化合物が好ましく、以下の具体例を挙げ
ることができる。
【0063】
【化3】
【0064】本発明においては、特に第4級アンモニウ
ム塩基を有するカチオン性ポリマーが共重合体である場
合、カチオン性モノマーの比率は10モル%以上が好ま
しく、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは
30モル%以上である。第4級アンモニウム塩基を有す
るモノマーは、単一でも2種類以上であっても良い。
【0065】以下に、本発明で用いることのできるカチ
オン性ポリマーの具体例を挙げる。
【0066】
【化4】
【0067】
【化5】
【0068】
【化6】
【0069】
【化7】
【0070】上記第4級アンモニウム塩基を有するカチ
オン性ポリマーは、第4級アンモニウム塩基であるた
め、水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニ
ウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては、
水に充分溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と
水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもの
で有れば本発明に用いることができる。ここでいう水混
和性有機溶媒とは、例えば、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール
類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリ
セリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル
等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類な
ど、水に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言
う。この場合、有機溶媒の使用量は、水の使用量以下で
あることが好ましい。
【0071】本発明で用いることのできるカチオン性ポ
リマーは、数平均分子量が10万以下であることが好ま
しい。ここで数平均分子量とは、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィーから求められたポリエチレングリコ
ール値に換算した値である。数平均分子量が10万を越
える場合には、カチオン性ポリマーの溶液を表面がアニ
オン性である無機顔料を含む分散物に添加した際、凝集
物の発生が激しく、またその後分散処理を施しても均一
な分散物に成りにくく、粗大粒子が多数存在して均一な
分散物に成りにくい。このようなカチオン性ポリマーと
無機顔料を含む複合微粒子分散物を使用してインクジェ
ット記録用シートを作製した場合、高い光沢性が得られ
にくい。特に、好ましい数平均分子量は5万以下であ
る。数平均分子量の下限は、用いるインク用染料の耐水
性の観点からは、通常2000以上である。
【0072】本発明に係る無機顔料とカチオン性ポリマ
ーの比率は、無機顔料の種類や粒径、あるいはカチオン
性ポリマーの種類や数平均分子量で変わり得るが、本発
明においては、無機顔料の表面がカチオン性に置き換わ
って安定化させる必要があることから、1:0.01〜
1:1であることが好ましい。上記の分散物を調製する
際には、各種の添加剤を適宜選択、添加して調製するこ
とができる。例えば、ノニオン性またはカチオン性の各
種の界面活性剤(ただし、アニオン性界面活性剤は、凝
集物を形成するために好ましくない)、消泡剤、ノニオ
ン性の親水性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、
ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン
等)、ノニオン性またはカチオン性のラテックス分散
物、水混和性有機溶媒(例えば、酢酸エチル、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノー
ル、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要
に応じて適宜使用することが出来る。特に、水混和性有
機溶媒は、無機顔料とカチオン性ポリマーを混合した際
の微小なダマの形成が抑制されるために好ましい。その
ような水混和性有機溶媒は、分散物中に好ましくは0.
1〜20質量%、特に好ましくは0.5〜10質量%使
用される。
【0073】カチオン性分散物を調製する際のpHは、
無機顔料の種類やカチオン性ポリマーの種類、各種の添
加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1
〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0074】上記のようにして得られた分散物に、次に
バインダーとして、親水性ポリマーが添加混合される。
本発明に用いられる親水性ポリマーとしては、例えば、
ゼラチン(特には、酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリ
ビニルピロリドン(特には、平均分子量が約20万以上
が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコールまたは
その誘導体、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリ
エチレングリコール(特には、平均分子量が10万以上
が好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、デキスト
ラン、デキストリン、親水性ポリビニルブチラールを挙
げることができ、これらの親水性バインダーは単独で使
用しても良く、2種以上を併用しても良い。特に好まし
い親水性バインダーは、ポリビニルアルコールまたはカ
チオン変性ポリビニルアルコールである。本発明に好ま
しく用いられるポリビニルアルコールは、平均重合度が
300〜4000のものが好ましく用いられ、特に平均
分子量が1000以上のものが、得られる塗膜の脆弱性
が良好であることから好ましい。また、ポリビニルアル
コールのケン化度は、70〜100%のものが好まし
く、80〜100%のものが特に好ましい。
【0075】また、カチオン変性ポリビニルアルコール
は、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢
酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られ
る。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体とし
ては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−
2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、ト
リメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプ
ロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾ
ール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3
−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロ
キシルエチルジメチル(3−メタクリルアミド)アンモ
ニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミ
ドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−
ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミ
ド等が挙げられる。
【0076】カチオン変性ポリビニルアルコールにおけ
るカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対
して0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは
0.2〜5モル%である。カチオン変性ポリビニルアル
コールの重合度は、通常500〜4000、好ましくは
1000〜4000が好ましい。また、カチオン変性ポ
リビニルアルコールのケン化度は、通常60〜100モ
ル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0077】本発明の分散物の特に好ましい構成として
は、無機顔料として微粒子シリカを1次粒子として使用
し、親水性バインダーとしてポリビニルアルコールまた
は変性ポリビニルアルコールを用いる場合である。この
場合、微粒子シリカ表面のシラノール基とビニルアルコ
ールの水酸基が弱い水素結合を行い、軟凝集体が形成さ
れて空隙率が高く成りやすく、好ましい。バインダーと
無機顔料の比率は、通常1:10〜1:3であり、特に
好ましくは1:8〜1:5である。
【0078】バインダーである親水性ポリマーを本発明
の分散物に添加混合する方法は、親水性ポリマーの水溶
液を分散物に攪拌しながら容器内で添加する方法や、前
記分散物と親水性ポリマーを連続的にスタチックミキサ
ー等の混合機で混合する方法があげられる。連続式で混
合した方が、装置スペースや生産効率上好ましい。
【0079】親水性ポリマーを添加する場合には、あら
かじめ、低分子量の親水性ポリマーを少量添加してお
き、次いで、この液に親水性ポリマーを添加すると、凝
集や粘度上昇が起きにくく、安定な塗布条件と均質な塗
膜が得られ、かつひび割れ等の発生が抑制される点で好
ましい。
【0080】低分子量の親水性ポリマーの重量平均分子
量は、通常2000〜5万のものであり、特に3000
〜4万のものが好ましい。また、低分子量の親水性ポリ
マーと親水性ポリマーに対する比率は、通常0.001
〜0.2の範囲であり、特に0.002〜0.1が好ま
しい。本発明においては、低分子量の親水性ポリマーと
しては、特に重合度が300〜600のポリビニルアル
コールが好ましい。
【0081】本発明のインクジェット記録シートにおい
ては、硬膜剤を用いることができる。硬膜剤は、一般的
には親水性ポリマーと反応し得る基を有する化合物ある
いは親水性ポリマーが有する異なる基同士の反応を促進
するような化合物であり、親水性ポリマーの種類に応じ
て適宜選択して用いられる。硬膜剤としては、例えば、
エポキシ系硬膜剤(例えば、ジグリシジルエチルエーテ
ル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4
−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグ
リシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−
グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジ
ルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル
等)、アルデヒド系硬膜剤(例えば、ホルムアルデヒ
ド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(例え
ば、2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−
s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(例えば、
1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−
トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル
等)、ほう酸、その塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げ
ら、親水性ポリマーとして、ポリビニルアルコールまた
はカチオン変性ポリビニルアルコールを使用する場合に
は、ほう酸、その塩またはエポキシ系硬膜剤から選ばれ
る硬膜剤を使用するのが好ましい。最も好ましいのは、
ほう酸またはその塩から選ばれる硬膜剤である。ほう酸
またはその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素
酸およびその塩のことを示し、具体的には、オルトほう
酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほ
う酸またはそれらの塩が挙げられる。
【0082】上記硬膜剤の使用量は、親水性ポリマーの
種類、硬膜剤の種類、無機顔料の種類、親水性ポリマー
に対する比率等により変化するが、通常、親水性ポリマ
ー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300
mgである。
【0083】上記硬膜剤は、空隙層を形成する塗布液を
塗布する際に、空隙層を形成する塗布液中または空隙層
に隣接するその他の層を形成する塗布液中に添加しても
よく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布して
ある支持体上に、空隙層を形成する塗布液を塗布しても
よい。さらには、空隙層を形成する硬膜剤を含まない塗
布液を塗布、乾燥後に、硬膜剤溶液をオーバーコートす
るなどして空隙層に硬膜剤を供給することもできる。好
ましくは、製造上の効率の観点から、空隙層を形成する
塗布液またはこれに隣接する層を形成する塗布液中に硬
膜剤を添加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を
供給するのが好ましい。
【0084】空隙層の構成が、気相法により合成された
超微粒子シリカとポリビニルアルコールである場合に
は、空隙層を形成する塗布液中に予め硬膜剤を添加して
おき、一定時間(好ましくは10分以上、特に好ましく
は30分以上)経過してから支持体上に塗布、乾燥する
と、より高い空隙率を塗膜の脆弱性を悪化させることな
く形成することができ好ましい。また、上記硬膜剤は、
予めカチオン性の複合微粒子分散物を調製する場合に添
加剤として添加しておくこともできる。
【0085】本発明のインクジェット記録用シートにお
いては、上記説明した添加剤の他に、ポリスチレン、ポ
リアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル
類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこ
れらの共重合体、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機ラテ
ックス微粒子、流動パラフィン、ジオクチルフタレー
ト、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油
滴微粒子、カチオン、ノニオンの各種界面活性剤、特開
昭57−74193号、同57−87988号及び同6
2−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭
57−74192号、同57−87989号、同60−
72785号、同61−146591号、特開平1−9
5091号及び同3−13376号公報等に記載されて
いる退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−
52689号、同62−280069号、同61−24
2871号及び特開平4−219266号公報等に記載
されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH
調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット
剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
【0086】本発明のインクジェット記録用シートで用
いることのできる支持体としては、従来から公知の支持
体、例えば、紙支持体、プラスチック支持体(透明支持
体)、複合支持体など適宜使用できるが、より高い濃度
で鮮明な画像を得るためには支持体中にインク液が浸透
しない疎水性支持体を用いるのが好ましい。
【0087】透明支持体としては、例えば、ポリエステ
ル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩
化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロ
イド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、中でもO
HPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のもの
が好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好まし
い。このような透明な支持体の厚さとしては、10〜2
00μmが好ましい。透明支持体のインク受容層側およ
びバッキング層側には公知の下引き層を設けることが、
インク受容層やバック層と支持体の接着性の観点から好
ましい。
【0088】また、透明である必要のない場合に用いる
支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色
顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹
脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレ
フタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイト
ペットが好ましい。
【0089】支持体上に塗布する方法は、公知の方法か
ら適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、塗
布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場
合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての
親水性バインダー層を1回の塗布で行う、いわゆる同時
塗布方式であることが好ましい。
【0090】塗布方式としては、例えば、ロールコーテ
ィング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコー
ティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方
法あるいは米国特許第2,681,294号公報記載の
ホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ま
しく用いられる。
【0091】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるもので
はない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り
質量%を示す。
【0092】実施例1 《各分散物の調製》 (分散物S−1の調製) 〈水系媒体の調製〉以下に示す各添加物を混合、溶解し
て水系媒体(A液と称す)を調製した。
【0093】 水 80L ホウ酸 0.27kg 硼砂 0.23kg 5%硝酸 0.4L エタノール 1.8L 例示化合物P−9 17L 〈分散物S−1の調製〉無機顔料として、1次粒子の平
均粒径が約7nmの気相法シリカ(A300:日本アエ
ロジル社製 以下A300と称す)を32kgを用意
し、図5で示す分散フローで、下記に示す手順に則り分
散を行い、分散物S−1を調製した。
【0094】まず、上記A液を1.56kg/min、
A300を0.44kg/minの割合で、分散機1で
あるフロージェットミキサー300型分散機(ピンミキ
サータイプ:粉研パウテックス社製 以下FJMと称
す)に供給し、その後、分散機2であるファインフロー
ミルFM−25型分散機(連続式高速撹拌型分散機:大
平洋機工社製 以下FMと称す)に供給した。この時、
FJM及びFMともに、周速は25m/secで行っ
た。
【0095】次いで、分散機3として表2に示すUVX
−2型のメディア分散機(アイメックス社製)及びメデ
ィアとしてジルコニア(平均粒径:0.5mm、充填率
87%)を使用し、メディア分離方法としてギャップセ
パレータ方式を用いて、分散機2から出てきた分散液を
モノーポンプにて、2.0kg/minで分散機3に供
給し、分散機3にて粉砕分散を行い、無機顔料の固体微
粒子分散物S−1を得た。尚、メディア分散機は、粉砕
室内壁の全てをジルコニア強化アルミナとし、分離機構
の材質はジルコニア製である。また、使用したジルコニ
アの嵩密度は6.0g/cm3、ビッカース硬度は14
GPa、破断靭性は7.0MPa・m1/2であった。
【0096】(分散物S−2〜S−6の調製)次いで、
上記分散物S−1の調製において、分散機の種類、メデ
ィア分離方法及びメディアの種類を表2に記載の内容に
変更した以外は同様にして、分散物S−2〜S−6を調
製した。なお、表中のアジテーターミルLMK−4は、
アジザワ社製のメディア分散機であり、またメディアで
あるアルミナは、嵩密度が3.8g/cm3、ビッカー
ス硬度が15GPa、破断靭性は3.7MPa・m1/2
であった。
【0097】以上作製した分散物S−1〜S−6におい
て、無機顔料と水系媒体を最初に連続的に分散する分散
機1の出口側及び最終分散物では、ダマの発生は全く無
かった。
【0098】
【表2】
【0099】《分散物の各特性値の測定》 (分散物の濁度測定)各分散物を光路長が5mmの石英
セルに入れ、東京電色社製のデジタル濁度計(積分球光
電散乱光度計)MODEL T−2600DAを用い
て、濁度(ppm)の測定を行った。
【0100】(磨耗物混入量の定量)各分散物中のメデ
ィアないし分散機に起因するZr,Alを、ICP発光
分光法で定量して、磨耗物混入量(ppm)を測定し
た。
【0101】(平均粒径測定)電子顕微鏡を用い、20
000倍で1000個の粒子を観察し、平均粒径値を算
出した。なお、粒径は粒子投影像を同面積の円像に換算
したときの直径で表す。
【0102】以上により得られた無機顔料固体微粒子分
散物S−1〜S−6の評価結果を表3に示す。
【0103】
【表3】
【0104】表3より明らかなように、本発明に係る製
造方法により得られた無機顔料固体微粒子分散物は、濁
度が低く、平均粒径も小さく、かつ分散物中の磨耗物混
入量も極めて少ないことが判る。また、本発明に係る製
造方法は、小サイズのメディアを使えるので、更に微細
化及び粗大粒子の減少が可能であると推察できる。
【0105】実施例2以下に示す方法に従って、インク
ジェット記録用シートの作製及び評価を行った。
【0106】(酸化チタン分散液−1の調製)平均粒径
が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:
W−10)を、pHが7.5のトリポリリン酸ナトリウ
ム150g、ポリビニルアルコール(クラレ株式会社
製:PVA235)500g、カチオン性ポリマー(例
示化合物P−9)150gおよび消泡剤SN381(サ
ンノブコ株式会社製)10gとを含有する水溶液90L
に添加し、高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)
で分散した後、全量を100Lに仕上げて、均一な酸化
チタン分散液−1を得た。
【0107】(蛍光増白剤分散液−1の調製)油溶性蛍
光増白剤UVITEX−OB(チバガイギー株式会社
製)400gを、ジイソデシルフタレート9000gお
よび酢酸エチル12Lに添加して、加熱溶解した後、こ
れを酸処理ゼラチン3500g、カチオン性ポリマー
(例示化合物P−1)、サポニン50%溶液6000m
lを含有する水溶液65Lに添加して混合した後、三和
工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで24.5MPa
の圧力で3回乳化分散し、その後減圧して酢酸エチルを
除去し、全量を100Lに仕上げて蛍光増白剤分散液−
1を得た。
【0108】(塗布液の調製)実施例1で調製した無機
顔料の固体微粒子分散物S−1〜S−6の各々を、シリ
カ濃度が10%になるように水で希釈して、各分散物を
得た。次いで各分散物600mlを40℃で撹拌しなが
ら、以下の添加剤を順次添加、混合して塗布液1〜6を
調製した。
【0109】 ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203) の10%水溶液 0.6ml ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235) の5%水溶液 260ml 蛍光増白剤分散液−1 25ml 酸化チタン分散液−1 33ml ラテックスイマルジョン(第一工業株式会社製:AE−803)18ml 純水で全量を1000mlに仕上げる (インクジェット記録用シートの作製)両面をポリエチ
レンで被覆した紙支持体(厚みが220μmで、インク
吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して1
3質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、200
μmの厚さで上記各塗布液を塗設した。
【0110】塗布は、スライドホッパー型コーターを用
いて、各塗布液を40℃で塗布し、塗布直後に0℃に保
たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、25℃の風
(相対湿度が15%)で60秒間、45℃の風(相対湿
度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25
%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度4
0〜60%の雰囲気下で、2分間調湿して、インクジェ
ット記録用シート1〜6を得た。
【0111】(インクジェット記録用シートの評価)上
記作製したインクジェット記録用シート1〜6につい
て、以下の項目を評価し、得られた結果を表4に示す。
【0112】〈ひび割れ〉上記作製した各インクジェッ
ト記録用シートの塗布面0.3m2を目視でひび割れ発
生数を計測した。通常、ひび割れ数が10個以下であれ
ば、実用上問題ないと判断した。
【0113】〈光沢度〉各試料を日本電色社製の変角光
度計(VGS−1001DP)を用いて、75度光沢度
を測定した。なお、光沢度値は、高いほど光沢が良好で
あることを表す。
【0114】
【表4】
【0115】表4から明らかなように、本発明に係るイ
ンクジェット記録用シートは、ひび割れ発生数が少な
く、かつ光沢性に優れていることが判る。
【0116】
【発明の効果】本発明により得られた無機顔料固体微粒
子分散物は、粗大粒子がなく、メディアなどの磨耗物混
入量が少なく、またインクジェット記録用シートのイン
ク受容層に適用したところ塗布故障(ひび割れ)が少な
く、光沢性に優れた特性を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分散物の製造に用いることのできる分
散機の一例を示す断面図。
【図2】本発明の分散物の製造に用いることのできる分
散機の他の一例を示す断面図。
【図3】本発明の分散物の調製に用いる分散システムの
一例を示すフロー図である。
【図4】本発明の分散物の調製に用いる分散システムの
他の一例を示すフロー図である。
【図5】本発明の分散物の調製に用いる分散システムの
他の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】 1 粉砕機本体 2 冷却水ジャケット 3 分散用撹拌子 4 主軸 5 メディアを分離するスクリーン 6 棒状のオーバーキャップ 7 スラリーの取り入れ口 8 スラリーの取り出し口 9 粉砕室 10 メディア分離室 11 冷却水ジャケット 12 粉砕機本体 13 スラリーの取り入れ口 14 ピン 15 主軸 16 セントリーセパレータ 17 主軸の中心のスラリーの導路 18 粉砕室 19 取り込み口 20 ブレード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09C 1/28 C09D 17/00 C09D 17/00 B41J 3/04 101Y Fターム(参考) 2C056 FC06 2H086 BA15 BA33 BA41 BA45 4G065 AA01 AA02 AA06 AA08 AA09 AB01Y AB02Y AB03X AB03Y AB11Y AB17Y AB25X AB38Y BA07 BA11 BB06 CA11 CA12 DA06 DA09 EA03 EA10 FA01 GA01 4G075 AA15 BB05 BB08 BD08 BD16 CA03 DA01 DA13 DA18 EA02 EA06 EC11 ED09 EE31 FB01 FB04 FB12 FC02 4J037 AA18 CA09 CA12 CA23 CA27 DD05 DD15 DD24 DD30 EE28 EE29 EE33 EE43 EE48 EE50 FF15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メディアが充填された分散機の粉砕室に
    無機顔料のスラリーを連続的に導入し、粉砕室内で該無
    機顔料をメディアと接触させて連続的に微粒子化したの
    ち、遠心力でメディアと該無機顔料とを連続的に分離
    し、該無機顔料を粉砕室外に取り出す製造方法であり、
    かつメディアが、嵩密度4.0g/cm 3以上、ビッカ
    ース硬度が10GPa以上、破壊靭性が5MPa・m
    1/2以上、平均粒子径が0.3mm以下であることを特
    徴とする無機顔料の固体微粒子分散物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記分散機が、スラリーの入口と出口を
    有する円筒容器、該出口を覆う分散容器内に突出したス
    クリーン及び複数の攪拌子が取り付けられた回転軸を有
    し、円筒容器の入口側はメディアが充填された粉砕室、
    出口側は実質的にメディアが存在しないメディア分離室
    であり、最も出口側に位置する回転子には攪拌部材が取
    り付けられており、その先端は前記スクリーンの出口側
    側面部に位置し、該攪拌部材の回転で分離室に入り込ん
    だメディアに遠心力を与え、粉砕室に戻す機構を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の無機顔料の固体微粒子
    分散物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記分散機が、スラリーの入口と出口を
    有するメディアが充填された粉砕室、攪拌子が取り付け
    られた回転軸、粉砕室と壁で隔てられた実質的にメディ
    アが存在しないメディア分離室とを有し、該メディア分
    離室内にはインペラーを有し、該インペラーの回転で分
    離室に入り込んだメディアに遠心力を与えて粉砕室に戻
    し、スラリーを回転軸内の排出路を通して取り出すこと
    を特徴とする請求項1記載の無機顔料の固体微粒子分散
    物の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記分散機のメディアと接触する部材
    が、実質的にジルコニア又はアルミナを主成分とするセ
    ラミック、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、ポリ
    エチレンから選ばれる素材からなることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項記載の無機顔料の固体微粒子
    分散物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の製造
    方法により製造されたことを特徴とする無機顔料の固体
    微粒子分散物。
  6. 【請求項6】 分散物中のメディアまたは分散機からの
    磨耗物混入量が、質量比で100ppm以下であること
    を特徴とする請求項5記載の無機顔料の固体微粒子分散
    物。
  7. 【請求項7】 前記無機顔料が、シリカであることを特
    徴とする請求項5または6記載の無機顔料の固体微粒子
    分散物。
  8. 【請求項8】 支持体上にインク受容層を有するインク
    ジェット記録用シートにおいて、少なくとも1層のイン
    ク受容層が、請求項5〜7のいずれか1項記載の無機顔
    料の固体微粒子分散物を含有することを特徴とするイン
    クジェット記録用シート。
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