JP2004149373A - 微粒子シリカ分散液の製造方法並びにインクジェット記録媒体の製造方法及びインクジェット記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】微粒子シリカが高濃度で分散されても粘度の低い微粒子シリカ分散液の製造方法を提供すること、並びに、この製造方法で得られた微粒子シリカ分散液を用いた塗布故障がなく生産性の向上がに寄与できるインクジェット用記録媒体の製造方法を提供すること、及び、ひび割れが少なく印字濃度が充分に得られ光沢性に優れたインクジェット用記録媒体を提供すること。
【解決手段】微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として特定構造の単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出する微粒子シリカ分散液の製造方法。
【選択図】 図9
【解決手段】微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として特定構造の単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出する微粒子シリカ分散液の製造方法。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粒子シリカ分散液の製造方法並びに該微粒子シリカ分散液を用いたインクジェット記録媒体の製造方法及びインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
微粒子シリカ分散液は、塗料用の添加剤、シリコンに代表される半導体ウェハーを研磨するときやIC製造工程中で絶縁層などを研磨するときの研磨剤、メガネレンズなどのプラスチック用ハードコート剤、インクジェット用記録媒体やOHP用コート剤、各種フィルムのアンチブロッキング剤、ガラス繊維等の接着助剤、エマルジョンやワックス等の安定剤、化粧品、セメント用混和剤など多くの用途に使用されている。特にインクジェット用記録媒体には分散適性の優れたシリカ分散液が求められているが、未だ満足いくものがないのが現状である。
【0003】
微粒子シリカを水系で使用する場合、微粒子シリカ分散液は比較的低濃度でも高粘度化し易いために、高濃度の微粒子シリカ分散液を得ることは一般的に容易でない。この傾向は表面積の大きい微粒子シリカで顕著であり、比表面積が150m2/g以上の微粒子シリカでは低粘度で高濃度の微粒子シリカ分散液を得ることは極めて困難であった。更に微粒子シリカ分散液に添加剤等が加えられた場合、その添加剤の影響により粘度が高くなる場合もあった。シリカスラリーの低粘度化に関して、特開平8−333144号公報にポリカルボン酸塩を分散剤として用いる方法が開示されている。しかしながら、同方法で使用される微粒子シリカは特定なものに限定されており、同方法は一般的とは言えない。他方、特開平10−310416号公報には、分散剤を使用せずに低粘度なシリカスラリーを得る方法として高圧ホモジナイザーを用いる方法が記載されているが、この方法では生産性が低いという問題があった。
【0004】
一方、インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであり、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。
【0005】
インクジェット記録方式における従来から問題となっていたノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク及び装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等さまざまな分野に急速に普及している。
【0006】
インクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、印字ドットの濃度が高く色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合であってもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、また周辺が滑らかでぼやけないこと、などの特性が要求される。特にインク吸収速度が遅い場合には、2色以上のインク液滴が重なって記録される際に、記録用紙上で液滴がハジキ現象を起こしてムラになったり、又、異なる色の境界領域でお互いの色が滲んだりして画質を大きく低下させやすいために、記録用紙としては高いインク吸収性を持たせるようにすることが必要である。
【0007】
これらの問題を解決するため、従来から非常に多くの技術が提案されている。例えば、特開昭52−53012号公報に記載されている低サイズ原紙に表面加工用の塗料を湿潤させた記録用紙、特開昭55−5830号公報に記載されている支持体表面にインク吸収性の塗層を設けた記録用紙、特開昭56−157号公報に記載されている被覆層中の顔料として非膠質シリカ粉末を含有する記録用紙、特開昭57−107878号公報に記載されている無機顔料と有機顔料を併用した記録用紙、特開昭58−110287号公報に記載されている2つの空孔分布ピークを有する記録用紙、特開昭62−111782号公報に記載されている上下2層の多孔質層からなる記録用紙、特開昭59−68292号、同59−123696号、同60−18383号等の公報などに記載されている不定形亀裂を有する記録用紙、特開昭61−135786号、同61−148092号、同62−149475号等の公報に記載されている微粉末層を有する記録用紙、特開昭63−252779号、特開平1−108083号、同2−136279号、同3−65376号、同3−27976号等の公報に記載されている特定の物性値を有する顔料や微粒子シリカを含有する記録用紙、特開昭57−14091号、同60−219083号、同60−210984号、同61−20797号、同61−188183号等の公報および特開平5−278324号、同6−92011号、同6−183134号、同7−137431号、同7−276789号等の公報に記載されているコロイド状シリカ等の微粒子シリカを含有する記録用紙、また、特開平2−276671号、同3−67684号、同3−215082号、同3−251488号、同4−67986号、同4−263983号、同5−16517号党の公報に記載されているアルミナ水和物微粒子を含有する記録用紙等が多数知られている。
【0008】
インクジェット記録においては、得られる画像の耐水性を改良するため、インク受容層中にカチオン性物質を添加して染料を固定化する方法も種々用いられており、現在の主流となっている。しかしながら、空隙構造を有するインク受容層中において、空隙構造を形成する物質がカチオン性の無機顔料である場合にはカチオン性コロイダルシリカのように高い空隙率が形成しにくかったり、あるいは、アルミナ水和物微粒子を使用すると高い製造コストになる等の問題点がある。
【0009】
製造コストと空隙形成能力の点で微粒子シリカを用いることが有利である。微粒子シリカはアニオン性のため、カチオン物質の添加が必要である。この技術に関する従来例としては、カチオンポリマー含有液中で凝集体顔料(シリカ)を数平均粒径が500nm以下になるまで粉砕分散して得られる顔料を含有する塗工液を支持体上に塗布することで光沢性が良好で印字濃度の高い記録用紙が得られることが記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
また、インクジェット記録媒体に適用するシリカ微粉末の分散方法として、平均分子量が10万以下のカチオンポリマーの存在下で微粒子シリカを分散する方法(例えば、特許文献2参照。)、分散助剤としてカチオン性化合物を用いて一次分散を行うことにより粗分散物を得て、次いで粒径を整える二次分散を行う方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0011】
さらに、従来のシリカ微粉末の分散方式として、あらかじめバッチの中にカチオンポリマー含有液を入れておき、撹拌しながらシリカ微粉末を投入、分散させるというバッチ分散を行い、その後、サンドグラインダーと高圧ホモジナイザーで繰り返し分散する方法を用いているものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0012】
しかし、これらの方法では、生産性の点で劣り、しかも、記録媒体の光沢、ひび割れ発生において、満足できるものではない。又、微粒子シリカを記録媒体に適用する場合、微粒子シリカが凝集して粗大粒子を作りやすく、生産管理上、インクジェット用記録媒体の品質に問題がある。特に、微粒子シリカとカチオンポリマー含有液を最初に分散する工程にバッチ分散工程を用いると、微粒子シリカとカチオン性物質は粗大粒子を非常に作りやすい。このため、一度、粗大粒子を作ると、これを分散するのに、多大な時間を費やすこととなり生産性を悪化させ更に、粗大凝集粒子が残存して、光沢の低下やこれに起因するひび割れが起きやすいことが判った。又、分散液の最終分散度が、塗布故障、光沢等に大きく影響する。インクジェット用記録媒体の高画質化、生産性を更に向上させるには、ひび割れ故障のような塗布故障が大きな障害となり、上述の技術ではいまだ満足できるものがないのが現状である。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−181190号公報
【0014】
【特許文献2】
特開2001−19421号公報
【0015】
【特許文献3】
特開2002−178626号公報
【0016】
【特許文献4】
特開平10−181190号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、微粒子シリカが高濃度で分散されても粘度の低い微粒子シリカ分散液の製造方法を提供すること、並びに、この製造方法で得られた微粒子シリカ分散液を用いた塗布故障がなく生産性の向上に寄与できるインクジェット用記録媒体の製造方法を提供すること、及び、ひび割れが少なく印字濃度が充分に得られ光沢性に優れたインクジェット用記録媒体を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の構成により達成された。
【0019】
(1) 微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として前記一般式(1)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出することを特徴とする微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0020】
(2) 微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として前記一般式(2)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出することを特徴とする微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0021】
(3) 微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として前記一般式(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出することを特徴とする微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0022】
(4) 微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として前記一般式(4)で表される化合物を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出することを特徴とする微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0023】
(5) 前記分散機が、混練分散機または粉砕分散機であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0024】
(6) 分散機がn台(nは2〜5の整数)直列に接続され、第i番目の分散機から吐出された微粒子シリカ分散液を第(i+1)番目(iは1〜4の整数)の分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該(i+1)番目の分散機から吐出することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0025】
(7) (1)乃至(6)のいずれか1項に記載の微粒子シリカ分散液の製造方法により得られた微粒子シリカ分散液を含有する塗工液を支持体上に塗布する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
【0026】
(8) (7)に記載のインクジェット記録媒体の製造方法により得られたことを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0028】
本発明において、前記一般式(1)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を微粒子シリカ用分散剤として使用するが、一般式(1)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体(以下、水溶性重合体(1)という)について詳細に説明する。
【0029】
前記一般式(1)において、R1又はR2で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、等の直鎖又は分岐のアルキル基を挙げることができ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。前記一般式(1)においてXで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、中でも塩素原子が好ましい。前記一般式(1)で表される単量体単位の好ましい割合は、70モル%以上であり、更に好ましくは90〜100モル%である。前記一般式(1)で表される単量体は単独で又は2種以上併用されていても良い。
【0030】
水溶性重合体(1)を構成する単量体として、上記一般式(1)で表される単量体以外の単量体を使用することができる。一般式(1)で表される単量体以外の単量体としては、水溶性重合体(1)を水溶性にすること以外に格別な制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等の不飽和カルボン酸系単量体、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等のスルホン酸系単量体が挙げられる。これら単量体のうち、重合性や経済性、取扱の容易さ等の点で、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が好ましい。
【0031】
水溶性重合体(1)の重量平均分子量(Mw)は、500〜50,000が好ましく、更に好ましくは1,000〜20,000であり、特に好ましくは1,000〜10,000である。本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール値に換算のものである。
【0032】
水溶性重合体(1)は、公知の重合法で製造できる。例えば、2級アミンとエピハロヒドリンとを反応させたものと、前記一般式(1)の単量体以外の共重合可能な単量体を通常の重合開始剤系、例えば、アンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、過酸化水素等の重合開始剤、及び必要に応じ亜硫酸塩、アミン化合物等の促進剤を用い、水又はアルコール系等の溶媒中で50〜150℃の温度条件下に、1〜10時間程度重合反応させ、必要に応じて溶媒の一部又は全部を留出させることにより、所定の濃度の重合体溶液や粉末として重合体が得られる。必要に応じて、重合体溶液には水酸化ナトリウム等のようなアルカリ金属含有化合物及び/又はアンモニアの水溶液や塩酸、硫酸等を添加してpHを調整することができる。又、前記水溶性重合体(1)はメーカーから上市されているものもあり、容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
【0033】
以下に、一般式(1)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体の代表的具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
本発明において、一般式(2)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を微粒子シリカ用分散剤として使用するが、本発明の一般式(2)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体(以下、水溶性重合体(2)という)について詳細に説明する。
【0037】
前記一般式(2)において、R3は水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル等の直鎖アルキル基を挙げることができる。好ましくは水素原子、メチル基、エチル基である。前記一般式(2)で表される単量体単位の好ましい割合は70モル%以上であり、更に好ましくは90〜100モル%である。前記一般式(2)で表される単量体は単独で又は2種以上併用されていても良い。
【0038】
水溶性重合体(2)を構成する単量体として、前記一般式(2)で表される単量体以外の単量体を使用することができる。一般式(2)で表される単量体以外の単量体としては、水溶性重合体(2)を水溶性にすること以外に格別な制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等の不飽和カルボン酸系単量体、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等のスルホン酸系単量体が挙げられる。これら単量体のうち、重合性や経済性、取扱の容易さの点で、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が好ましい。
【0039】
水溶性重合体(2)の重量平均分子量(Mw)は、500〜50,000が好ましく、更に好ましくは1,000〜20,000であり、特に好ましくは1,000〜10,000である。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール値に換算のものである。
【0040】
水溶性重合体(2)は、公知の重合法で製造できる。例えば、アリルアミンと、前記一般式(2)の単量体以外の共重合可能な単量体を通常の重合開始剤系、例えば、アンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、過酸化水素等の重合開始剤、及び必要に応じ亜硫酸塩、アミン化合物等の促進剤を用い、水又はアルコール系等の溶媒中で50〜150℃の温度条件下に、1〜10時間程度重合反応させ、必要に応じて溶媒の一部又は全部を留出させることにより、所定の濃度の重合体溶液や粉末として重合体が得られる。必要に応じて、重合体溶液には水酸化ナトリウム等のようなアルカリ金属含有化合物、又はアンモニアの水溶液や塩酸、硫酸等を添加してpHを調整することができる。又、前記水溶性重合体(2)はメーカーから上市されているものもあり、容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
【0041】
以下に、一般式(2)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体の代表的具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
【化6】
【0043】
本発明において、一般式(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を微粒子シリカ用分散剤として使用するが、本発明の一般式(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体(以下、水溶性重合体(3)という)について詳細に説明する。
【0044】
前記一般式(3)において、R4は水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル等の直鎖アルキル基を挙げることができる。好ましくは水素原子、メチル基である。kは1〜6の整数を表すが、好ましくはkが2〜4である。前記一般式(3)で表される単量体単位の好ましい割合は、70モル%以上であり、更に好ましくは90〜100モル%である。前記一般式(3)で表される単量体は単独で又は2種以上併用されていても良い。
【0045】
水溶性重合体(3)を構成する単量体として、上記、一般式(3)で表される単量体以外の単量体を使用することができる。一般式(3)で表される単量体以外の単量体としては、水溶性重合体(3)を水溶性にすること以外に格別な制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等の不飽和カルボン酸系単量体、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等のスルホン酸系単量体が挙げられる。これら単量体のうち、重合性や経済性、取扱の容易さの点で、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が好ましい。
【0046】
水溶性重合体(3)の重量平均分子量(Mw)は、500〜50,000が好ましく、更に好ましくは1,000〜20,000であり、特に好ましくは1,000〜10,000である。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール値に換算のものである。
【0047】
水溶性重合体(3)は、公知の重合法で製造できる。例えば、アクリル酸ヒドロキシアルキルと、前記一般式(3)の単量体以外の共重合可能な単量体を通常の重合開始剤系、例えば、アンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、過酸化水素等の重合開始剤、及び必要に応じ亜硫酸塩、アミン化合物等の促進剤を用い、水又はアルコール系等の溶媒中で50〜150℃の温度条件下に、1〜10時間程度重合反応させ、必要に応じて溶媒の一部又は全部を留出させることにより、所定の濃度の重合体溶液や粉末として重合体が得られる。必要に応じて、重合体溶液には水酸化ナトリウム等のようなアルカリ金属含有化合物及び/又はアンモニアの水溶液や塩酸、硫酸等を添加してpHを調整することができる。又、前記水溶性重合体(3)はメーカーから上市されているものもあり、容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
【0048】
以下に、一般式(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体の代表的具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
【化7】
【0050】
本発明において、一般式(4)で表される化合物を微粒子シリカ用分散剤として使用するが、本発明の一般式(4)で表される化合物について詳細に説明する。
【0051】
前記一般式(4)においてm、nはそれぞれ1以上の数を表すが、好ましくはmが2、nが4以上6未満である。前記一般式(4)で表される化合物は単独で又は2種以上併用されていても良い。
【0052】
前記一般式(4)で表される化合物は、例えば、塩化アルミニウム水溶液に金属アルミニウム又は水酸化アルミニウムの所定量を加熱融解することにより製造することができる。又前記一般式(4)で表される化合物は複数のメーカーから上市されており、各種グレードの物が入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、適宜pHを調節して用いても良い。
以下に、一般式(4)で表される化合物の代表的具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
D4−1 Al2(OH)5Cl
D4−2 Al2(OH)4.5Cl1.5
D4−3 Al2(OH)4Cl2
D4−4 Al2(OH)5.5Cl0.5
上記の一般式(1)、(2)若しくは(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体又は一般式(4)で表される化合物を分散剤として適用する微粒子シリカとしては、特に制限はないが、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成された微粒子状シリカ等が挙げられる。特に比表面積は150m2/g以上の微粒子状シリカに対して効果が大きい。湿式法で合成された微粒子シリカとしては、トクヤマ(株)やGrace社より市販されている。気相法で合成された微粒子シリカとしては、トクヤマ(株)や日本アエロジル(株)より市販されている。
【0054】
本発明の微粒子シリカ分散液には微粒子シリカ以外に、他の顔料や添加物が混合されたものであっても良いし、微粒子シリカ自体が物理的又は化学的に変性されたものであっても良い。微粒子シリカ用分散剤の使用量は、微粒子シリカに対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0055】
本発明における微粒子シリカ用分散剤は、分散媒が水又は水と極性溶媒の混合物のスラリーに適用することが好ましい。水と併用される好ましい極性溶媒としては、例えばエチレングリコールやジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられる。分散媒における極性溶媒の占める比率にも特に制限はないが、スラリーを低粘度化し易い点で、極性溶媒は50質量%以下で使用するのが好ましい。以下において、本発明に係る前記微粒子シリカ用分散剤と分散媒の溶液を水系媒体ともいう。
【0056】
本発明において、「分散機に連続的に供給」とは、一定量秤量された微粒子シリカと一定量秤量された水系媒体を分散機に投入し混合及び分散処理を行い一定時間の後分散処理を停止し分散液を取り出すという方式ではなく、微粒子シリカ及び水系媒体のそれぞれの分散機に供給する量を時間あたりの体積あるいは質量で管理し、常に両者を一定の量比になるように途切れることなく分散機に供給することである。あるいは、実質的に分散処理をしていない両者の混合物を時間あたりの体積あるいは質量で管理し、とぎれることなく分散機に供給することを言う。
【0057】
又、微粒子シリカ及び水系媒体を供給しながら混合し分散処理を行うので、分散機には次々と分散液原料が投入される。いわば、これに押し出される形で一定時間、分散機内で分散処理されたものは分散機から吐出されることになる。従って、分散液原料が連続的に分散機に供給されるため、分散液の吐出も連続的となる。よって、分散液の吐出が始まれば、原料供給を停止するまで同時に供給、混合及び分散、吐出が行われることとなる。
【0058】
本発明では、微粒子シリカの分散液(以後分散液ともいう)の分散方法は微粒子シリカと水系媒体の全量を分散機(バッチタイプ)に存在させ、その後ある時間、分散液を得るために行う方法ではない。本発明の分散方法は、1)連続的に少なくとも微粒子シリカと水系媒体を分散機に供給し、2)微粒子シリカの分散液を得るために、分散機内で微粒子シリカを混合及び分散処理し、3)できあがった微粒子シリカ分散液を分散機から連続的に吐出する工程を有することを特徴とする。
【0059】
本明細書では上記1)〜3)までの工程を連続的な分散方法と呼び、そのような分散方法に使用可能な分散機を連続分散機と呼ぶ。又、本明細書では、連続分散機は、特に事情のない限り単に分散機と呼ぶこともある。更に、本明細書では、微粒子シリカと水系媒体の全量を分散機(通常バッチタイプ分散機で分散する)に存在させ、その後ある時間、分散液を得るために行う方法をバッチタイプ分散方法と呼ぶ。
【0060】
本発明のインクジェット記録媒体は、微粒子シリカ分散液を含む塗工液を支持体に塗布し、空隙層である塗膜を形成するものである。該塗膜の形成に用いられる水系媒体とは、水を主成分とする媒体であり、分散に支障を来さない程度に水以外の溶媒が含まれていても良い。微粒子シリカと水系媒体を混合し塗工液とし、塗布する事が必要である。空隙層の空隙率は、40〜80%であり、特に50〜70%が好ましい。尚、空隙率は以下の式で示される。
【0061】
空隙率=100×(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/全乾燥膜厚
全乾燥膜厚としては、20〜80μmが好ましく、特に30〜70μmが好ましい。
【0062】
微粒子シリカは分散液として添加するのが一般的であり、微粒子シリカの分散性の良し悪しが、塗布故障および品質を左右する。さらに、如何に効率的に分散液を作製するかが生産性向上の最大のポイントである。本発明は、分散液の生産性向上と塗布故障低減および品質向上の両立を図ったものである。
【0063】
微粒子シリカ分散液を作る際、微粒子シリカと水系媒体を所望比率で連続的に分散処理することが生産効率上好ましく、微粒子シリカ分散液における微粒子シリカの質量濃度として5〜40%になるような比率で供給することが好ましい。特に好ましくは10〜35%である。質量濃度が低いと生産効率が劣り、大量の分散液を必要とする、更に分散性が劣る方向になる。又、質量濃度が高すぎると、分散液の粘度が高くなり、後工程でのハンドリングに負荷がかかる。質量濃度とは、微粒子シリカ質量/(微粒子シリカ質量+水系媒体質量)×100で求めた値である。供給量としては、微粒子シリカと水系媒体の合計が、1.0kg/min以上100kg/min以下で、好ましくは1.5kg/min以上70kg/min以下である。供給量が少ないと生産性を劣化させ、多すぎると生産設備が大きくなりすぎる。
【0064】
微粒子シリカと水系媒体を所望比率で連続的に分散する際、粗大粒子を作らないことが重要で、用いることのできる分散機としては連続的に分散できるものであり、連続式混練分散機や粉砕分散機を用いることで粗大粒子を作らず分散できることを見いだした。微粒子シリカと水系媒体を所望比率で連続的に混練分散機や粉砕分散機で分散した後、更に複数回、混練分散機や粉砕分散機で連続的に分散することが、分散度を高め、生産効率上好ましい。
【0065】
ここで言う粗大粒子とは100μm以上の微粒子シリカとする。粗大粒子の評価は、分散液を手で触ることで有り無しは判断できるが、本発明では、分散液を光学顕微鏡を用い、50倍で500視野観察して判断した。
【0066】
混練分散機としては、ローラミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミキサータイプ等が挙げられる。具体的には、KRCニーダー、KEXエクスルローダー(栗本鉄鋼製)、フロージェットミキサー(粉研パウテックス製)、スパイラルピンミキサー(大平洋機工製)等が挙げられる。
【0067】
粉砕分散機としては、高圧ホモジナイザー、湿式メディア型粉砕機(サンドミル、ボールミル)、連続式高速撹拌型分散機、超音波分散機等が挙げられる。具体的にはマントンゴーリンホモジナイザー、ソノレータ(同栄商事)、マイクロフルイタイザー(みずほ工業)、ナノマイザー(月島機械)、アルティマイザー(伊藤忠産機)、パールミル、アジテーターミル(アシザワ)、グレンミル、トルネード(浅田鉄鋼)、ビスコミル(アイメックス)、マイティーミル、RSミル、SGミル(井上製作所)、荏原マイルダー(荏原製作所)、ファインフローミル、キャビトロン(大平洋機工)等が挙げられる。
【0068】
微粒子シリカと水系媒体を所望比率で連続的に粗大粒子無く分散した後は、得られた分散液をバッチに投入して、バッチ式の混練分散機や粉砕分散機で分散しても良い。この場合、用いることのできるバッチ式混練、粉砕分散機としては具体的には、万能混合攪拌機(ダルトン製)、プラネタリーニーダーミキサー(アシザワ製)、TKハイビスディスパーミックス(特殊機化製)、プラネタリーディスパー、ADミル、バスケットミル(浅田鉄鋼製)、EGミル(井上製作所製)、クリアミックス(エムテクニック製)等が挙げられる。
【0069】
微粒子シリカの分散度を高めるために、前記記載の混練分散機や粉砕分散機を2〜5台用いても良く、生産性向上の点で、直列に接続して用いるのが好ましい。直列に接続しているとは、分散機と分散機との間に、分散機への分散液供給精度を上げるために、ポンプを用いても良く、最初の分散機から吐出された分散液を一度、バッチに受けポンプで次の分散機に供給しても良い。又、必要に応じて分散機と分散機の間、若しくは最終分散機の出側に、分散液の温度を制御するために、熱交換機や、脱泡の目的で脱泡機等を用いても良い。
【0070】
分散時の微粒子シリカ分散液の温度は、20〜70℃の範囲が好ましい。水系媒体は、最初の分散機には必ず供給する必要が有るが、必要に応じて、次以降の分散機にも加えても良い。水系媒体は、最初の分散機に供給するものと同じでも、異なっても良い。
【0071】
生産性と分散性を両立するための好ましい形態の1つとして、2〜5台の分散機、好ましくは3つの分散機を直列に接続することが好ましい。更に好ましくは3つの分散機が、連続式分散機であることである(ここでは、完全連続型分散方式と称す)。第1、2分散機では、混練と液状化を目的とした分散を行い、第3の分散機で最終的に目的の粒径に分散する。第1分散機、第2分散機では予備分散、第3分散機で本分散という機能をもつ。第1分散機、第2分散機のどちらか一方は、混練分散機を用いることが好ましく、更に好ましくは、第1分散機が混練分散機である。第3分散機は好ましくは粉砕分散機である。
【0072】
その他、次の形態も用いることができる。前記第1分散機、第2分散機を直列に接続し、第2分散機の出側に第3分散機を複数並列に並べることもできる。いわゆるバッチ連続型分散方式である。この場合、第3分散機は、バッチ式粉砕分散機である。
【0073】
前記混練分散機は、連続式が好ましく、周速10〜40m/secで回転する、回転体で分散する方式であることが好ましい。周速が10m/sec未満であると、粗大粒子が発生しやすく、40m/secを超えると、機械的負荷が大きく、摩耗が激しくなる。更に発熱が大きく、分散液の品質を損なうことになる。回転体の周速は、摩耗と発熱を考慮して3〜15m/secが好ましい。
【0074】
前記第1分散機、第2分散機内で各々の滞留時間が0.1〜600秒が好ましく、0.1秒未満であると分散性が劣り、600秒を超えると発熱が激しく、微粒子シリカ分散液の品質を損なう。ここでいう滞留時間とは、分散処理している時間であり、最初に分散機に微粒子シリカと水系媒体を供給してから初めて分散液が吐出されるまでの時間である。
【0075】
前記第3分散機は、ビーズを媒体とする粉砕分散機が好ましく、ビーズ径としては0.2〜2mmが好ましい。0.2mm未満であると、扱いが難しく、分散機の点検の際、ビーズを回収したりするのが困難で、ねじ目等の細いところに混入すると回収が不可能となり、ねじ目に入った状態でねじを締めたりすると破損する危険が多大にある。2mmを超えると、扱いは容易になるが、分散時間が多大にかかることになり生産性の低下を引き起こす。第3分散機内での滞留時間は1〜30分が好ましい。1分未満であると分散性が劣り、30分を超えると発熱が大きくなり分散液の品質を損なう。ビーズ型粉砕分散機に用いる、ベッセル及び回転ローター、ビーズの材質は、摩耗性やコストの観点から選択することができるが、例えば、シリカ粉を用いる場合は、ベッセル、回転ローターは樹脂性が好ましく、特にウレタンが好ましい。ビーズは、ジルコニア性が好ましい。
【0076】
次に、本発明の微粒子シリカ分散液の製造方法について図面を参照して説明する。なお、図面では微粒子シリカを単にシリカと表現している。
【0077】
図1及び図2は、従来の分散方法を示す模式図である。図1では、微粒子シリカと水系媒体を全量添加し、分散機1で分散処理した後、分散機2へ送って、分散機2で分散する方法を示している。この方法において、分散機2で分散処理完了後、更に全量を分散機1に戻して分散処理工程を繰り返すこともある。図2は、微粒子シリカと水系媒体を全量添加し、分散機1で分散処理を完了する方法を示す。
【0078】
図3〜図13は、本発明の微粒子シリカ分散液の製造方法を示す模式図である。図3、図4〜図6、図9、及び図10は、複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式である。図4、図6及び図9は、分散機と分散機の間にポンプを設置した方法である。図4では、微粒子シリカと水系媒体を連続的に供給し、分散機1で分散処理した後、ため釜に連続的に吐出し、該ため釜に吐出した分散液をポンプで分散機2に送り分散機2で分散処理する方法を示す。図10は、微粒子シリカと水系媒体を連続的に供給し、分散機1で分散処理すると同時に分散機1から分散機2へ分散液を連続的に送り、分散機2で分散処理後、ため釜に連続的に吐出し、該ため釜に吐出した分散液をポンプで分散機3に送る過程で更に水系媒体を添加し分散機3で分散処理する方法を示す。
【0079】
図7、図12及び図13は、連続分散の後、バッチ式分散機を用いる方法でバッチ連続方式である。図12、図13は連続分散機を2台直列に接続し、その後、バッチ式分散機を並列に複数用いる方法である。図12は、分散機2で分散処理を終えた微粒子シリカ分散液を単数又は複数の分散機3に送り、分散処理する方法を示す。図13は、分散機2で分散処理を終えた微粒子シリカ分散液を単数又は複数の分散機3に送り、連続的に水系媒体を該分散機3に添加して分散処理する方法を示す。
【0080】
図11は、単一分散処理の後、一度バッチに微粒子シリカ分散液を受け、その後、連続分散機で複数回循環分散処理する方法である。即ち、微粒子シリカと水系媒体を連続的に供給し、分散機1で分散処理した後、ため釜に連続的に吐出し、一定量の分散処理が終えた後、分散機2へその微粒子シリカ分散液を供給して分散処理を行い、分散機2で分散処理を終えた微粒子シリカ分散液を再度ため釜に戻し、再び分散機2で分散処理する方法を示す。
【0081】
インクジェット記録媒体に好適な微粒子シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成された微粒子シリカ等が挙げられる。微粒子シリカの比表面積が150m2/g以上で、1次粒子の平均粒径が3〜100nmであるものが好ましい。湿式法で合成された微粒子シリカとしては、トクヤマ(株)やGrace社より市販されている。気相法で合成された微粒子シリカとしては、トクヤマ(株)や日本アエロジル(株)より市販されている。
【0082】
塗工液には、耐水性、インク吸収性等の観点からカチオンポリマーやバインダー、膜強度の観点から硬膜剤が含まれていることが好ましい。又、他の添加剤を目的に応じ加えることもできる。もちろん、上記添加剤は、微粒子シリカ分散液中に含有されていても良く、カチオンポリマー、硬膜剤は微粒子シリカ分散液中に含有されていることが好ましい。複数の分散機を用いる場合は、分割して添加することができる。又微粒子シリカの濃度を調整するために、途中の分散機に水系媒体として水を添加することもできる。
【0083】
前記カチオンポリマーとしては、好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体又は他の共重合し得る1又は2以上のモノマーとの共重合体である。カチオンポリマーとしては特開2000−47454号公報等に記載されたカチオンポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーは重量平均分子量が10万以下であることが好ましい。
【0084】
上記第4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーは第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明に使用できる。ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水の質量に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0085】
上記のカチオンポリマーを含有する分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加して調製することが出来る。例えば、ノニオン性又はカチオン性の各種の界面活性剤、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性又はカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適宜使用することが出来る。
【0086】
上記の分散液を調製する際のpHは微粒子シリカの種類やカチオンポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0087】
前記バインダーとしては、親水性ポリマーが好ましい。本発明に用いられる親水性ポリマーとしては、例えばゼラチン(酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコール又はその誘導体、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が10万以上が好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、親水性ポリビニルブチラールを挙げることができ、これらの親水性バインダーは単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。特に好ましい親水性ポリマーは、ポリビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0088】
本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールは平均重合度が300〜4000のものが好ましく用いられ、特に重量平均分子量が1000以上のものが得られる皮膜の脆弱性が良好であることから好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
【0089】
カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルジメチル(3−メタクリルアミド)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0090】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.2〜5モル%である。カチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は通常500〜4000、好ましくは1000〜4000が好ましい。又、カチオン変性ポリビニルアルコールのケン化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0091】
本発明でバインダーとしてポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを用いる場合、微粒子シリカ表面のシラノール基とビニルアルコールの水酸基が弱い水素結合を行い、軟凝集体が形成されて空隙率が高く成りやすい。
【0092】
上記バインダーと微粒子シリカの質量比率は、通常1:10〜1:3であり、特に好ましくは1:8〜1:5である。
【0093】
バインダーである親水性ポリマーを前記微粒子シリカ分散液に添加混合する方法は、親水性ポリマーの水溶液を微粒子シリカ分散液に攪拌しながらバッチ内で添加する方法や、前記微粒子シリカ分散液と親水性ポリマーを連続的にスタチックミキサー等の混合機で混合する方法が挙げられる。連続式で混合した方が装置スペースや生産効率上好ましい。
【0094】
親水性ポリマーを添加する場合には、あらかじめ、低分子量の親水性ポリマーを少量添加しておき、次にこの液に高分子量の親水性ポリマーを添加すると凝集や増粘がおきにくく安定な塗布と膜面が得られ、ひび割れ等が生じにくい。
【0095】
上記低分子量の親水性ポリマーの重量平均分子量は通常2000〜5万のものであり、特に3000〜4万のものが好ましい。又、上記低分子量の親水性ポリマーと本発明の親水性ポリマーに対する質量比率は通常0.001〜0.2の範囲であり、特に0.002〜0.1が好ましい。本発明においては、上記低分子量の親水性ポリマーとしては特に重合度が300〜600のポリビニルアルコールが好ましい。
【0096】
前記硬膜剤としては、一般的には前記親水性ポリマーと反応し得る基を有する化合物あるいは親水性ポリマーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物が好ましく、親水性ポリマーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0097】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸、その塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。
親水性ポリマーとしてポリビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸、その塩又はエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0098】
最も好ましいのはほう酸又はその塩から選ばれる硬膜剤である。ほう酸又はその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸又はそれらの塩が挙げられる。
【0099】
上記硬膜剤の使用量は親水性ポリマーの種類、硬膜剤の種類、微粒子シリカの種類、親水性ポリマーに対する比率等により変化するが、通常親水性ポリマー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0100】
上記硬膜剤は、空隙層を形成する塗工液を塗布する際に、空隙層を形成する塗工液中及び/又は空隙層に隣接するその他の層を形成する塗工液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗工液を塗布してある支持体上に、該空隙層を形成する塗工液を塗布する。さらには空隙層を形成する硬膜剤非含有の塗工液を塗布乾燥後に硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして空隙層に硬膜剤を供給することもできる。好ましくは製造上の効率の観点から、空隙層を形成する塗工液又はこれに隣接する層を形成する塗工液中に硬膜剤を添加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を供給するのが好ましい。又、上記硬膜剤は予め本発明の微粒子シリカ分散液を製造する場合に添加剤として添加しておくこともできる。
【0101】
前記添加剤としては、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオン、ノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988、同62−261476号等の公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号等の公報、および特開平1−95091号、同3−13376号等の公報に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号等の公報、及び特開平4−219266号公報に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤が挙げられ、前記微粒子シリカ分散液又は塗工液に含有させることもできる。
【0102】
本発明のインクジェット記録媒体の支持体としては、従来インクジェット用記録用紙として公知の紙支持体、プラスチック支持体(透明支持体)、複合支持体など適宜使用できるが、より高い濃度で鮮明な画像を得るためには支持体中にインク液が浸透しない疎水性支持体を用いるのが好ましい。
【0103】
透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、10〜200μmが好ましい。透明支持体のインク受容層側およびバッキング層側には公知の下引き層を設けることが、インク受容層やバック層と支持体の接着性の観点から好ましい。
【0104】
又、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0105】
支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、塗工液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0106】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0107】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾質量%を示す。又、平均粒径とは数平均粒径を表す。
【0108】
実施例1
水系媒体(以後A液と称す)として、
水 80L
微粒子シリカ用分散剤D1−1(40質量%水溶液) 1.6L
を混合、溶解した。微粒子シリカとして気相法シリカ(日本アエロジル製:A300 以後A300と称す)32kgを用意した。
【0109】
図9の方法で以下のように分散処理し、微粒子シリカ分散液(分散液1)を得た。A液を1.56kg/min、A300を0.44kg/minの割合で分散機1としてフロージェットミキサー300型(ピンミキサータイプ、粉研パウテックス製、以下FJMと称す)に供給した。その後、分散機2としてファインフローミルFM−25(連続式高速撹拌型分散機、大平洋機工製、以下FMと称す)に供給した。その後、分散機3としてLMK−4(連続式湿式メディア型粉砕機、アシザワ製、以後LMKと称す)を用い、分散機2からでてきた微粒子シリカ分散液を、モノーポンプを用いLMKに2.0kg/minで供給した。FJMの条件は周速25m/sec、滞留時間20sec、FMの条件は周速25m/sec、滞留時間0.15sec、LMKの条件は、ビーズ径0.5mmジルコニア、滞留時間2分、ローター回転周速8m/sec、材質ウレタン、ベッセル材質ウレタンである。
【0110】
分散液1の粘度は19mPa・s、平均粒径は48nmであった。粘度は落下式粘度計による測定値を示す。平均粒径は、電子顕微鏡を用い、20000倍で1000個の粒子を観察した平均値を示す。
【0111】
実施例2
水系媒体(以後B液と称す)として、
水 80L
ホウ酸 0.27kg
硼砂 0.23kg
5%硝酸 0.4L
エタノール 1.8L
微粒子シリカ用分散剤 D1−4(40質量%水溶液) 1.6L
カチオンポリマー (P−1)(25質量%水溶液) 17L
を混合、溶解した。微粒子シリカとしてA300 32kgを用意した。
【0112】
図9の方法で実施例1と同様な分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液2)を得た。分散液2の粘度は25mPa・s、平均粒径は51nmであった。
【0113】
カチオンポリマー (P−1)
【0114】
【化8】
【0115】
実施例3
微粒子シリカを湿式法シリカ(トクヤマ製:T−32 以後T−32と称す)に変更、微粒子シリカ用分散剤をD2−1(40質量%水溶液)に変更、更にLMKの処理条件として、滞留時間5分、ローター回転周速11m/secに変更した以外は、実施例1と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液3)を得た。分散液3の粘度は13mPa・s、平均粒径は150nmであった。
【0116】
実施例4
微粒子シリカをT−32に変更、微粒子シリカ用分散剤をD2−4(40質量%水溶液)に変更、更にLMKの処理条件として、滞留時間5分、ローター回転周速11m/secに変更した以外は、実施例2と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液4)を得た。分散液4の粘度は15mPa・s、平均粒径は163nmであった。
【0117】
実施例5
微粒子シリカ用分散剤をD3−1(40質量%水溶液)に変更した以外は、実施例1と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液5)を得た。分散液5の粘度は21mPa・s、平均粒径は49nmであった。
【0118】
実施例6
微粒子シリカ用分散剤をD3−8(40質量%水溶液)に変更した以外は、実施例2と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液6)を得た。分散液6の粘度は26mPa・s、平均粒径は52nmであった。
【0119】
実施例7
微粒子シリカ用分散剤をD4−1(40質量%水溶液)に変更した以外は、実施例1と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液7)を得た。分散液7の粘度は23mPa・s、平均粒径は51nmであった。
【0120】
実施例8
微粒子シリカ用分散剤をD4−2(40質量%水溶液)に変更した以外は、実施例2と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液8)を得た。分散液8の粘度は27mPa・s、平均粒径は55nmであった。
【0121】
比較例1
微粒子シリカ用分散剤を添加しない以外は、実施例1と同様の処方、及び分散条件で分散処理し分散液Aを得た。分散液Aの粘度は40mPa・s、平均粒径は58nmであった。
【0122】
比較例2
微粒子シリカ用分散剤を添加しない以外は、実施例2と同様の処方、及び分散条件で分散処理し分散液Bを得た。分散液Bの粘度は42mPa・s、平均粒径は60nmであった。
【0123】
比較例3
図1の方法で、ディゾルバー型撹拌機を具備したバッチに実施例1と同様のA液を全量投入し、ディゾルバーを周速10m/secで回転しながら、A300(32kg)を0.29kg/minの速度で投入、分散処理した。A300が投入し終わった時点で、分散液中には粗大粒子が多数存在した。その後、60分間分散処理を追加したが、粗大粒子は存在していた。次に、高圧ホモジナイザーで250kg/cm2の圧力で3回分散し、分散液Cを得た。分散液Cの粘度は58mPa・s、平均粒径は81nmであった
比較例4
図2の方法で、分散機1としてクリアミックス(高速撹拌分散機)を用いた。クリアミックスに実施例4と同様のB液を全量投入し、周速20m/secで回転しながら、T−32(32kg)を0.44kg/minの速度で投入、分散処理した。T−32が投入し終わった時点で、分散液中には粗大粒子が多数存在した。その後、60分間分散処理を追加して分散液Dを得た。このときの分散液Dの粘度は42mPa・s、平均粒径は285nmであった。
【0124】
比較例5
図2の方法で、分散機1としてクリアミックス(高速撹拌分散機)を用いた。クリアミックスに微粒子シリカ用分散剤を添加しない以外は、実施例2と同様のB液を全量投入し、周速20m/secで回転しながら、A300(32kg)を0.44kg/minの速度で投入、分散処理した。A300が投入し終わった時点で、分散液中には粗大粒子が多数存在した。その後、60分間分散処理を追加して分散液Eを得た。このときの分散液Eの粘度は81mPa・s、平均粒径は89nmであった。
【0125】
表1に分散方法及び分散液の結果について示す。
【0126】
【表1】
【0127】
表1中の分散機の略号の意味は下記である。
FJM:フロージェットミキサー(ピンミキサー型連続混練分散機)
FM:ファインフローミル(連続式高速撹拌型粉砕分散機)
LMK:LMK(連続式湿式メディア型粉砕分散機)
D:ディゾルバー型撹拌機
MG:マントンゴーリンホモジナイザー(高圧ホモジナイザー)
CM:クリアミックス(バッチ式高速撹拌粉砕機)
実施例1〜8、比較例1〜5、及び表1から明らかなように、本発明の微粒子シリカ分散液の製造方法によれば、低粘度で粗大粒子もできず、生産効率上優れていることがわかる。
【0128】
実施例9
〈酸化チタン分散液−1の調製〉
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)をpH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製:PVA235)500g、カチオンポリマー(P−1)の150gおよびサンノブコ株式会社消泡剤・SN381を10gを含有する水溶液90Lに添加し高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散したあと全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液−1を得た。
【0129】
〈蛍光増白剤分散液−1の調製〉
チバガイギー株式会社製の油溶性蛍光増白剤UVITEX−OB・400gをジイソデシルフタレート9000gおよび酢酸エチル12Lに加熱溶解し、これを酸処理ゼラチン3500g、カチオンポリマー(P−1)0.8kg、サポニン50%溶液・6,000mlを含有する水溶液65Lに添加混合して三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで250kg/cm2の圧力で3回乳化分散し、減圧で酢酸エチルを除去した後全量を100Lに仕上げて蛍光増白剤分散液−1を得た。
【0130】
〈塗工液の調製〉
実施例及び比較例で作製した分散液の微粒子シリカ質量濃度が10%になるように、水で希釈し、調製分散液を得た。前記調製分散液600mlに40℃で撹拌しながら以下の添加剤を順次混合して塗工液を調製した。
【0131】
純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0132】
〈インクジェット記録媒体の作製〉
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、ウェット膜厚200μmの厚さで塗布した。
【0133】
塗布はそれぞれの塗工液を40℃でスライドホッパーで行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、25℃の風(相対湿度が15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60%の雰囲気下で、2分間調湿してインクジェット記録媒体1〜4及びインクジェット記録媒体A〜Cを得た。
【0134】
インクジェット記録媒体1〜4及びインクジェット記録媒体A〜Cについて、以下の項目を評価した。
【0135】
(1)光沢度:日本電色工業株式会社製変角光度計(VGS−1001DP)を用いて75度光沢度を測定した。この値は高いほど光沢が良好であることを示す。
【0136】
(2)ひび割れ:塗布面の0.3m2当たりを目視でカウントしたひび割れ点数で評価、通常10点以下であれば実用上問題ないと考えられる。
【0137】
(3)最大濃度:セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンター・PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行いその最大反射濃度を測定した。
【0138】
得られた結果を表2に示す。なお、表2にはインクジェット記録媒体を記録媒体と記した。
【0139】
【表2】
【0140】
表2から、本発明のインクジェット記録媒体はひび割れが少なく生産性を向上させることができ、光沢性及び印字濃度に優れた効果を有することがわかる。
【0141】
【発明の効果】
本発明により、微粒子シリカが高濃度で分散されても、粗大粒子がなく、粘度の低い微粒子シリカ分散液の製造方法、並びに塗布故障がなく、生産性を向上させることができるインクジェット用記録媒体の製造方法、及び、ひび割れが少なく、印字濃度が充分に得られ、光沢性に優れたインクジェット用記録媒体を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の分散方法を示す模式図である。
【図2】従来の分散方法を示す模式図である。
【図3】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図4】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図5】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図6】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図7】連続分散後、バッチ式分散機を用いるバッチ連続方式を示す模式図である。
【図8】分散機1を使用した連続分散方式を示す模式図である。
【図9】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図10】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図11】単一分散後、バッチ式分散機を用いるバッチ連続方式を示す模式図である。
【図12】連続分散後、バッチ式分散機を用いるバッチ連続方式を示す模式図である。
【図13】連続分散後、バッチ式分散機を用いるバッチ連続方式を示す模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、微粒子シリカ分散液の製造方法並びに該微粒子シリカ分散液を用いたインクジェット記録媒体の製造方法及びインクジェット記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
微粒子シリカ分散液は、塗料用の添加剤、シリコンに代表される半導体ウェハーを研磨するときやIC製造工程中で絶縁層などを研磨するときの研磨剤、メガネレンズなどのプラスチック用ハードコート剤、インクジェット用記録媒体やOHP用コート剤、各種フィルムのアンチブロッキング剤、ガラス繊維等の接着助剤、エマルジョンやワックス等の安定剤、化粧品、セメント用混和剤など多くの用途に使用されている。特にインクジェット用記録媒体には分散適性の優れたシリカ分散液が求められているが、未だ満足いくものがないのが現状である。
【0003】
微粒子シリカを水系で使用する場合、微粒子シリカ分散液は比較的低濃度でも高粘度化し易いために、高濃度の微粒子シリカ分散液を得ることは一般的に容易でない。この傾向は表面積の大きい微粒子シリカで顕著であり、比表面積が150m2/g以上の微粒子シリカでは低粘度で高濃度の微粒子シリカ分散液を得ることは極めて困難であった。更に微粒子シリカ分散液に添加剤等が加えられた場合、その添加剤の影響により粘度が高くなる場合もあった。シリカスラリーの低粘度化に関して、特開平8−333144号公報にポリカルボン酸塩を分散剤として用いる方法が開示されている。しかしながら、同方法で使用される微粒子シリカは特定なものに限定されており、同方法は一般的とは言えない。他方、特開平10−310416号公報には、分散剤を使用せずに低粘度なシリカスラリーを得る方法として高圧ホモジナイザーを用いる方法が記載されているが、この方法では生産性が低いという問題があった。
【0004】
一方、インクジェット記録方式は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであり、比較的高速、低騒音、多色化が容易である等の利点を有している。
【0005】
インクジェット記録方式における従来から問題となっていたノズルの目詰まりとメンテナンスについては、インク及び装置の両面から改良が進み、現在では各種プリンター、ファクシミリ、コンピューター端末等さまざまな分野に急速に普及している。
【0006】
インクジェット記録方式で使用される記録用紙としては、印字ドットの濃度が高く色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早く印字ドットが重なった場合であってもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が必要以上に大きくなく、また周辺が滑らかでぼやけないこと、などの特性が要求される。特にインク吸収速度が遅い場合には、2色以上のインク液滴が重なって記録される際に、記録用紙上で液滴がハジキ現象を起こしてムラになったり、又、異なる色の境界領域でお互いの色が滲んだりして画質を大きく低下させやすいために、記録用紙としては高いインク吸収性を持たせるようにすることが必要である。
【0007】
これらの問題を解決するため、従来から非常に多くの技術が提案されている。例えば、特開昭52−53012号公報に記載されている低サイズ原紙に表面加工用の塗料を湿潤させた記録用紙、特開昭55−5830号公報に記載されている支持体表面にインク吸収性の塗層を設けた記録用紙、特開昭56−157号公報に記載されている被覆層中の顔料として非膠質シリカ粉末を含有する記録用紙、特開昭57−107878号公報に記載されている無機顔料と有機顔料を併用した記録用紙、特開昭58−110287号公報に記載されている2つの空孔分布ピークを有する記録用紙、特開昭62−111782号公報に記載されている上下2層の多孔質層からなる記録用紙、特開昭59−68292号、同59−123696号、同60−18383号等の公報などに記載されている不定形亀裂を有する記録用紙、特開昭61−135786号、同61−148092号、同62−149475号等の公報に記載されている微粉末層を有する記録用紙、特開昭63−252779号、特開平1−108083号、同2−136279号、同3−65376号、同3−27976号等の公報に記載されている特定の物性値を有する顔料や微粒子シリカを含有する記録用紙、特開昭57−14091号、同60−219083号、同60−210984号、同61−20797号、同61−188183号等の公報および特開平5−278324号、同6−92011号、同6−183134号、同7−137431号、同7−276789号等の公報に記載されているコロイド状シリカ等の微粒子シリカを含有する記録用紙、また、特開平2−276671号、同3−67684号、同3−215082号、同3−251488号、同4−67986号、同4−263983号、同5−16517号党の公報に記載されているアルミナ水和物微粒子を含有する記録用紙等が多数知られている。
【0008】
インクジェット記録においては、得られる画像の耐水性を改良するため、インク受容層中にカチオン性物質を添加して染料を固定化する方法も種々用いられており、現在の主流となっている。しかしながら、空隙構造を有するインク受容層中において、空隙構造を形成する物質がカチオン性の無機顔料である場合にはカチオン性コロイダルシリカのように高い空隙率が形成しにくかったり、あるいは、アルミナ水和物微粒子を使用すると高い製造コストになる等の問題点がある。
【0009】
製造コストと空隙形成能力の点で微粒子シリカを用いることが有利である。微粒子シリカはアニオン性のため、カチオン物質の添加が必要である。この技術に関する従来例としては、カチオンポリマー含有液中で凝集体顔料(シリカ)を数平均粒径が500nm以下になるまで粉砕分散して得られる顔料を含有する塗工液を支持体上に塗布することで光沢性が良好で印字濃度の高い記録用紙が得られることが記載されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
また、インクジェット記録媒体に適用するシリカ微粉末の分散方法として、平均分子量が10万以下のカチオンポリマーの存在下で微粒子シリカを分散する方法(例えば、特許文献2参照。)、分散助剤としてカチオン性化合物を用いて一次分散を行うことにより粗分散物を得て、次いで粒径を整える二次分散を行う方法が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
【0011】
さらに、従来のシリカ微粉末の分散方式として、あらかじめバッチの中にカチオンポリマー含有液を入れておき、撹拌しながらシリカ微粉末を投入、分散させるというバッチ分散を行い、その後、サンドグラインダーと高圧ホモジナイザーで繰り返し分散する方法を用いているものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0012】
しかし、これらの方法では、生産性の点で劣り、しかも、記録媒体の光沢、ひび割れ発生において、満足できるものではない。又、微粒子シリカを記録媒体に適用する場合、微粒子シリカが凝集して粗大粒子を作りやすく、生産管理上、インクジェット用記録媒体の品質に問題がある。特に、微粒子シリカとカチオンポリマー含有液を最初に分散する工程にバッチ分散工程を用いると、微粒子シリカとカチオン性物質は粗大粒子を非常に作りやすい。このため、一度、粗大粒子を作ると、これを分散するのに、多大な時間を費やすこととなり生産性を悪化させ更に、粗大凝集粒子が残存して、光沢の低下やこれに起因するひび割れが起きやすいことが判った。又、分散液の最終分散度が、塗布故障、光沢等に大きく影響する。インクジェット用記録媒体の高画質化、生産性を更に向上させるには、ひび割れ故障のような塗布故障が大きな障害となり、上述の技術ではいまだ満足できるものがないのが現状である。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−181190号公報
【0014】
【特許文献2】
特開2001−19421号公報
【0015】
【特許文献3】
特開2002−178626号公報
【0016】
【特許文献4】
特開平10−181190号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の実態に鑑みてなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、微粒子シリカが高濃度で分散されても粘度の低い微粒子シリカ分散液の製造方法を提供すること、並びに、この製造方法で得られた微粒子シリカ分散液を用いた塗布故障がなく生産性の向上に寄与できるインクジェット用記録媒体の製造方法を提供すること、及び、ひび割れが少なく印字濃度が充分に得られ光沢性に優れたインクジェット用記録媒体を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の構成により達成された。
【0019】
(1) 微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として前記一般式(1)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出することを特徴とする微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0020】
(2) 微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として前記一般式(2)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出することを特徴とする微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0021】
(3) 微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として前記一般式(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出することを特徴とする微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0022】
(4) 微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として前記一般式(4)で表される化合物を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出することを特徴とする微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0023】
(5) 前記分散機が、混練分散機または粉砕分散機であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1項に記載の微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0024】
(6) 分散機がn台(nは2〜5の整数)直列に接続され、第i番目の分散機から吐出された微粒子シリカ分散液を第(i+1)番目(iは1〜4の整数)の分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該(i+1)番目の分散機から吐出することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の微粒子シリカ分散液の製造方法。
【0025】
(7) (1)乃至(6)のいずれか1項に記載の微粒子シリカ分散液の製造方法により得られた微粒子シリカ分散液を含有する塗工液を支持体上に塗布する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
【0026】
(8) (7)に記載のインクジェット記録媒体の製造方法により得られたことを特徴とするインクジェット記録媒体。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0028】
本発明において、前記一般式(1)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を微粒子シリカ用分散剤として使用するが、一般式(1)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体(以下、水溶性重合体(1)という)について詳細に説明する。
【0029】
前記一般式(1)において、R1又はR2で表されるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、等の直鎖又は分岐のアルキル基を挙げることができ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。前記一般式(1)においてXで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、中でも塩素原子が好ましい。前記一般式(1)で表される単量体単位の好ましい割合は、70モル%以上であり、更に好ましくは90〜100モル%である。前記一般式(1)で表される単量体は単独で又は2種以上併用されていても良い。
【0030】
水溶性重合体(1)を構成する単量体として、上記一般式(1)で表される単量体以外の単量体を使用することができる。一般式(1)で表される単量体以外の単量体としては、水溶性重合体(1)を水溶性にすること以外に格別な制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等の不飽和カルボン酸系単量体、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等のスルホン酸系単量体が挙げられる。これら単量体のうち、重合性や経済性、取扱の容易さ等の点で、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が好ましい。
【0031】
水溶性重合体(1)の重量平均分子量(Mw)は、500〜50,000が好ましく、更に好ましくは1,000〜20,000であり、特に好ましくは1,000〜10,000である。本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール値に換算のものである。
【0032】
水溶性重合体(1)は、公知の重合法で製造できる。例えば、2級アミンとエピハロヒドリンとを反応させたものと、前記一般式(1)の単量体以外の共重合可能な単量体を通常の重合開始剤系、例えば、アンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、過酸化水素等の重合開始剤、及び必要に応じ亜硫酸塩、アミン化合物等の促進剤を用い、水又はアルコール系等の溶媒中で50〜150℃の温度条件下に、1〜10時間程度重合反応させ、必要に応じて溶媒の一部又は全部を留出させることにより、所定の濃度の重合体溶液や粉末として重合体が得られる。必要に応じて、重合体溶液には水酸化ナトリウム等のようなアルカリ金属含有化合物及び/又はアンモニアの水溶液や塩酸、硫酸等を添加してpHを調整することができる。又、前記水溶性重合体(1)はメーカーから上市されているものもあり、容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
【0033】
以下に、一般式(1)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体の代表的具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
【化4】
【0035】
【化5】
【0036】
本発明において、一般式(2)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を微粒子シリカ用分散剤として使用するが、本発明の一般式(2)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体(以下、水溶性重合体(2)という)について詳細に説明する。
【0037】
前記一般式(2)において、R3は水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル等の直鎖アルキル基を挙げることができる。好ましくは水素原子、メチル基、エチル基である。前記一般式(2)で表される単量体単位の好ましい割合は70モル%以上であり、更に好ましくは90〜100モル%である。前記一般式(2)で表される単量体は単独で又は2種以上併用されていても良い。
【0038】
水溶性重合体(2)を構成する単量体として、前記一般式(2)で表される単量体以外の単量体を使用することができる。一般式(2)で表される単量体以外の単量体としては、水溶性重合体(2)を水溶性にすること以外に格別な制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等の不飽和カルボン酸系単量体、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等のスルホン酸系単量体が挙げられる。これら単量体のうち、重合性や経済性、取扱の容易さの点で、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が好ましい。
【0039】
水溶性重合体(2)の重量平均分子量(Mw)は、500〜50,000が好ましく、更に好ましくは1,000〜20,000であり、特に好ましくは1,000〜10,000である。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール値に換算のものである。
【0040】
水溶性重合体(2)は、公知の重合法で製造できる。例えば、アリルアミンと、前記一般式(2)の単量体以外の共重合可能な単量体を通常の重合開始剤系、例えば、アンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、過酸化水素等の重合開始剤、及び必要に応じ亜硫酸塩、アミン化合物等の促進剤を用い、水又はアルコール系等の溶媒中で50〜150℃の温度条件下に、1〜10時間程度重合反応させ、必要に応じて溶媒の一部又は全部を留出させることにより、所定の濃度の重合体溶液や粉末として重合体が得られる。必要に応じて、重合体溶液には水酸化ナトリウム等のようなアルカリ金属含有化合物、又はアンモニアの水溶液や塩酸、硫酸等を添加してpHを調整することができる。又、前記水溶性重合体(2)はメーカーから上市されているものもあり、容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
【0041】
以下に、一般式(2)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体の代表的具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
【化6】
【0043】
本発明において、一般式(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体を微粒子シリカ用分散剤として使用するが、本発明の一般式(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体(以下、水溶性重合体(3)という)について詳細に説明する。
【0044】
前記一般式(3)において、R4は水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル等の直鎖アルキル基を挙げることができる。好ましくは水素原子、メチル基である。kは1〜6の整数を表すが、好ましくはkが2〜4である。前記一般式(3)で表される単量体単位の好ましい割合は、70モル%以上であり、更に好ましくは90〜100モル%である。前記一般式(3)で表される単量体は単独で又は2種以上併用されていても良い。
【0045】
水溶性重合体(3)を構成する単量体として、上記、一般式(3)で表される単量体以外の単量体を使用することができる。一般式(3)で表される単量体以外の単量体としては、水溶性重合体(3)を水溶性にすること以外に格別な制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等の不飽和カルボン酸系単量体、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸及びそれらの誘導体又はそれらの塩等のスルホン酸系単量体が挙げられる。これら単量体のうち、重合性や経済性、取扱の容易さの点で、アクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類が好ましい。
【0046】
水溶性重合体(3)の重量平均分子量(Mw)は、500〜50,000が好ましく、更に好ましくは1,000〜20,000であり、特に好ましくは1,000〜10,000である。なお、本発明における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリエチレングリコール値に換算のものである。
【0047】
水溶性重合体(3)は、公知の重合法で製造できる。例えば、アクリル酸ヒドロキシアルキルと、前記一般式(3)の単量体以外の共重合可能な単量体を通常の重合開始剤系、例えば、アンモニウム又はアルカリ金属の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物、過酸化水素等の重合開始剤、及び必要に応じ亜硫酸塩、アミン化合物等の促進剤を用い、水又はアルコール系等の溶媒中で50〜150℃の温度条件下に、1〜10時間程度重合反応させ、必要に応じて溶媒の一部又は全部を留出させることにより、所定の濃度の重合体溶液や粉末として重合体が得られる。必要に応じて、重合体溶液には水酸化ナトリウム等のようなアルカリ金属含有化合物及び/又はアンモニアの水溶液や塩酸、硫酸等を添加してpHを調整することができる。又、前記水溶性重合体(3)はメーカーから上市されているものもあり、容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
【0048】
以下に、一般式(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体の代表的具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0049】
【化7】
【0050】
本発明において、一般式(4)で表される化合物を微粒子シリカ用分散剤として使用するが、本発明の一般式(4)で表される化合物について詳細に説明する。
【0051】
前記一般式(4)においてm、nはそれぞれ1以上の数を表すが、好ましくはmが2、nが4以上6未満である。前記一般式(4)で表される化合物は単独で又は2種以上併用されていても良い。
【0052】
前記一般式(4)で表される化合物は、例えば、塩化アルミニウム水溶液に金属アルミニウム又は水酸化アルミニウムの所定量を加熱融解することにより製造することができる。又前記一般式(4)で表される化合物は複数のメーカーから上市されており、各種グレードの物が入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できるが、適宜pHを調節して用いても良い。
以下に、一般式(4)で表される化合物の代表的具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
D4−1 Al2(OH)5Cl
D4−2 Al2(OH)4.5Cl1.5
D4−3 Al2(OH)4Cl2
D4−4 Al2(OH)5.5Cl0.5
上記の一般式(1)、(2)若しくは(3)で表される単量体単位を50モル%以上有する水溶性重合体又は一般式(4)で表される化合物を分散剤として適用する微粒子シリカとしては、特に制限はないが、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成された微粒子状シリカ等が挙げられる。特に比表面積は150m2/g以上の微粒子状シリカに対して効果が大きい。湿式法で合成された微粒子シリカとしては、トクヤマ(株)やGrace社より市販されている。気相法で合成された微粒子シリカとしては、トクヤマ(株)や日本アエロジル(株)より市販されている。
【0054】
本発明の微粒子シリカ分散液には微粒子シリカ以外に、他の顔料や添加物が混合されたものであっても良いし、微粒子シリカ自体が物理的又は化学的に変性されたものであっても良い。微粒子シリカ用分散剤の使用量は、微粒子シリカに対し0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0055】
本発明における微粒子シリカ用分散剤は、分散媒が水又は水と極性溶媒の混合物のスラリーに適用することが好ましい。水と併用される好ましい極性溶媒としては、例えばエチレングリコールやジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール等が挙げられる。分散媒における極性溶媒の占める比率にも特に制限はないが、スラリーを低粘度化し易い点で、極性溶媒は50質量%以下で使用するのが好ましい。以下において、本発明に係る前記微粒子シリカ用分散剤と分散媒の溶液を水系媒体ともいう。
【0056】
本発明において、「分散機に連続的に供給」とは、一定量秤量された微粒子シリカと一定量秤量された水系媒体を分散機に投入し混合及び分散処理を行い一定時間の後分散処理を停止し分散液を取り出すという方式ではなく、微粒子シリカ及び水系媒体のそれぞれの分散機に供給する量を時間あたりの体積あるいは質量で管理し、常に両者を一定の量比になるように途切れることなく分散機に供給することである。あるいは、実質的に分散処理をしていない両者の混合物を時間あたりの体積あるいは質量で管理し、とぎれることなく分散機に供給することを言う。
【0057】
又、微粒子シリカ及び水系媒体を供給しながら混合し分散処理を行うので、分散機には次々と分散液原料が投入される。いわば、これに押し出される形で一定時間、分散機内で分散処理されたものは分散機から吐出されることになる。従って、分散液原料が連続的に分散機に供給されるため、分散液の吐出も連続的となる。よって、分散液の吐出が始まれば、原料供給を停止するまで同時に供給、混合及び分散、吐出が行われることとなる。
【0058】
本発明では、微粒子シリカの分散液(以後分散液ともいう)の分散方法は微粒子シリカと水系媒体の全量を分散機(バッチタイプ)に存在させ、その後ある時間、分散液を得るために行う方法ではない。本発明の分散方法は、1)連続的に少なくとも微粒子シリカと水系媒体を分散機に供給し、2)微粒子シリカの分散液を得るために、分散機内で微粒子シリカを混合及び分散処理し、3)できあがった微粒子シリカ分散液を分散機から連続的に吐出する工程を有することを特徴とする。
【0059】
本明細書では上記1)〜3)までの工程を連続的な分散方法と呼び、そのような分散方法に使用可能な分散機を連続分散機と呼ぶ。又、本明細書では、連続分散機は、特に事情のない限り単に分散機と呼ぶこともある。更に、本明細書では、微粒子シリカと水系媒体の全量を分散機(通常バッチタイプ分散機で分散する)に存在させ、その後ある時間、分散液を得るために行う方法をバッチタイプ分散方法と呼ぶ。
【0060】
本発明のインクジェット記録媒体は、微粒子シリカ分散液を含む塗工液を支持体に塗布し、空隙層である塗膜を形成するものである。該塗膜の形成に用いられる水系媒体とは、水を主成分とする媒体であり、分散に支障を来さない程度に水以外の溶媒が含まれていても良い。微粒子シリカと水系媒体を混合し塗工液とし、塗布する事が必要である。空隙層の空隙率は、40〜80%であり、特に50〜70%が好ましい。尚、空隙率は以下の式で示される。
【0061】
空隙率=100×(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/全乾燥膜厚
全乾燥膜厚としては、20〜80μmが好ましく、特に30〜70μmが好ましい。
【0062】
微粒子シリカは分散液として添加するのが一般的であり、微粒子シリカの分散性の良し悪しが、塗布故障および品質を左右する。さらに、如何に効率的に分散液を作製するかが生産性向上の最大のポイントである。本発明は、分散液の生産性向上と塗布故障低減および品質向上の両立を図ったものである。
【0063】
微粒子シリカ分散液を作る際、微粒子シリカと水系媒体を所望比率で連続的に分散処理することが生産効率上好ましく、微粒子シリカ分散液における微粒子シリカの質量濃度として5〜40%になるような比率で供給することが好ましい。特に好ましくは10〜35%である。質量濃度が低いと生産効率が劣り、大量の分散液を必要とする、更に分散性が劣る方向になる。又、質量濃度が高すぎると、分散液の粘度が高くなり、後工程でのハンドリングに負荷がかかる。質量濃度とは、微粒子シリカ質量/(微粒子シリカ質量+水系媒体質量)×100で求めた値である。供給量としては、微粒子シリカと水系媒体の合計が、1.0kg/min以上100kg/min以下で、好ましくは1.5kg/min以上70kg/min以下である。供給量が少ないと生産性を劣化させ、多すぎると生産設備が大きくなりすぎる。
【0064】
微粒子シリカと水系媒体を所望比率で連続的に分散する際、粗大粒子を作らないことが重要で、用いることのできる分散機としては連続的に分散できるものであり、連続式混練分散機や粉砕分散機を用いることで粗大粒子を作らず分散できることを見いだした。微粒子シリカと水系媒体を所望比率で連続的に混練分散機や粉砕分散機で分散した後、更に複数回、混練分散機や粉砕分散機で連続的に分散することが、分散度を高め、生産効率上好ましい。
【0065】
ここで言う粗大粒子とは100μm以上の微粒子シリカとする。粗大粒子の評価は、分散液を手で触ることで有り無しは判断できるが、本発明では、分散液を光学顕微鏡を用い、50倍で500視野観察して判断した。
【0066】
混練分散機としては、ローラミルタイプ、ニーダータイプ、ピンミキサータイプ等が挙げられる。具体的には、KRCニーダー、KEXエクスルローダー(栗本鉄鋼製)、フロージェットミキサー(粉研パウテックス製)、スパイラルピンミキサー(大平洋機工製)等が挙げられる。
【0067】
粉砕分散機としては、高圧ホモジナイザー、湿式メディア型粉砕機(サンドミル、ボールミル)、連続式高速撹拌型分散機、超音波分散機等が挙げられる。具体的にはマントンゴーリンホモジナイザー、ソノレータ(同栄商事)、マイクロフルイタイザー(みずほ工業)、ナノマイザー(月島機械)、アルティマイザー(伊藤忠産機)、パールミル、アジテーターミル(アシザワ)、グレンミル、トルネード(浅田鉄鋼)、ビスコミル(アイメックス)、マイティーミル、RSミル、SGミル(井上製作所)、荏原マイルダー(荏原製作所)、ファインフローミル、キャビトロン(大平洋機工)等が挙げられる。
【0068】
微粒子シリカと水系媒体を所望比率で連続的に粗大粒子無く分散した後は、得られた分散液をバッチに投入して、バッチ式の混練分散機や粉砕分散機で分散しても良い。この場合、用いることのできるバッチ式混練、粉砕分散機としては具体的には、万能混合攪拌機(ダルトン製)、プラネタリーニーダーミキサー(アシザワ製)、TKハイビスディスパーミックス(特殊機化製)、プラネタリーディスパー、ADミル、バスケットミル(浅田鉄鋼製)、EGミル(井上製作所製)、クリアミックス(エムテクニック製)等が挙げられる。
【0069】
微粒子シリカの分散度を高めるために、前記記載の混練分散機や粉砕分散機を2〜5台用いても良く、生産性向上の点で、直列に接続して用いるのが好ましい。直列に接続しているとは、分散機と分散機との間に、分散機への分散液供給精度を上げるために、ポンプを用いても良く、最初の分散機から吐出された分散液を一度、バッチに受けポンプで次の分散機に供給しても良い。又、必要に応じて分散機と分散機の間、若しくは最終分散機の出側に、分散液の温度を制御するために、熱交換機や、脱泡の目的で脱泡機等を用いても良い。
【0070】
分散時の微粒子シリカ分散液の温度は、20〜70℃の範囲が好ましい。水系媒体は、最初の分散機には必ず供給する必要が有るが、必要に応じて、次以降の分散機にも加えても良い。水系媒体は、最初の分散機に供給するものと同じでも、異なっても良い。
【0071】
生産性と分散性を両立するための好ましい形態の1つとして、2〜5台の分散機、好ましくは3つの分散機を直列に接続することが好ましい。更に好ましくは3つの分散機が、連続式分散機であることである(ここでは、完全連続型分散方式と称す)。第1、2分散機では、混練と液状化を目的とした分散を行い、第3の分散機で最終的に目的の粒径に分散する。第1分散機、第2分散機では予備分散、第3分散機で本分散という機能をもつ。第1分散機、第2分散機のどちらか一方は、混練分散機を用いることが好ましく、更に好ましくは、第1分散機が混練分散機である。第3分散機は好ましくは粉砕分散機である。
【0072】
その他、次の形態も用いることができる。前記第1分散機、第2分散機を直列に接続し、第2分散機の出側に第3分散機を複数並列に並べることもできる。いわゆるバッチ連続型分散方式である。この場合、第3分散機は、バッチ式粉砕分散機である。
【0073】
前記混練分散機は、連続式が好ましく、周速10〜40m/secで回転する、回転体で分散する方式であることが好ましい。周速が10m/sec未満であると、粗大粒子が発生しやすく、40m/secを超えると、機械的負荷が大きく、摩耗が激しくなる。更に発熱が大きく、分散液の品質を損なうことになる。回転体の周速は、摩耗と発熱を考慮して3〜15m/secが好ましい。
【0074】
前記第1分散機、第2分散機内で各々の滞留時間が0.1〜600秒が好ましく、0.1秒未満であると分散性が劣り、600秒を超えると発熱が激しく、微粒子シリカ分散液の品質を損なう。ここでいう滞留時間とは、分散処理している時間であり、最初に分散機に微粒子シリカと水系媒体を供給してから初めて分散液が吐出されるまでの時間である。
【0075】
前記第3分散機は、ビーズを媒体とする粉砕分散機が好ましく、ビーズ径としては0.2〜2mmが好ましい。0.2mm未満であると、扱いが難しく、分散機の点検の際、ビーズを回収したりするのが困難で、ねじ目等の細いところに混入すると回収が不可能となり、ねじ目に入った状態でねじを締めたりすると破損する危険が多大にある。2mmを超えると、扱いは容易になるが、分散時間が多大にかかることになり生産性の低下を引き起こす。第3分散機内での滞留時間は1〜30分が好ましい。1分未満であると分散性が劣り、30分を超えると発熱が大きくなり分散液の品質を損なう。ビーズ型粉砕分散機に用いる、ベッセル及び回転ローター、ビーズの材質は、摩耗性やコストの観点から選択することができるが、例えば、シリカ粉を用いる場合は、ベッセル、回転ローターは樹脂性が好ましく、特にウレタンが好ましい。ビーズは、ジルコニア性が好ましい。
【0076】
次に、本発明の微粒子シリカ分散液の製造方法について図面を参照して説明する。なお、図面では微粒子シリカを単にシリカと表現している。
【0077】
図1及び図2は、従来の分散方法を示す模式図である。図1では、微粒子シリカと水系媒体を全量添加し、分散機1で分散処理した後、分散機2へ送って、分散機2で分散する方法を示している。この方法において、分散機2で分散処理完了後、更に全量を分散機1に戻して分散処理工程を繰り返すこともある。図2は、微粒子シリカと水系媒体を全量添加し、分散機1で分散処理を完了する方法を示す。
【0078】
図3〜図13は、本発明の微粒子シリカ分散液の製造方法を示す模式図である。図3、図4〜図6、図9、及び図10は、複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式である。図4、図6及び図9は、分散機と分散機の間にポンプを設置した方法である。図4では、微粒子シリカと水系媒体を連続的に供給し、分散機1で分散処理した後、ため釜に連続的に吐出し、該ため釜に吐出した分散液をポンプで分散機2に送り分散機2で分散処理する方法を示す。図10は、微粒子シリカと水系媒体を連続的に供給し、分散機1で分散処理すると同時に分散機1から分散機2へ分散液を連続的に送り、分散機2で分散処理後、ため釜に連続的に吐出し、該ため釜に吐出した分散液をポンプで分散機3に送る過程で更に水系媒体を添加し分散機3で分散処理する方法を示す。
【0079】
図7、図12及び図13は、連続分散の後、バッチ式分散機を用いる方法でバッチ連続方式である。図12、図13は連続分散機を2台直列に接続し、その後、バッチ式分散機を並列に複数用いる方法である。図12は、分散機2で分散処理を終えた微粒子シリカ分散液を単数又は複数の分散機3に送り、分散処理する方法を示す。図13は、分散機2で分散処理を終えた微粒子シリカ分散液を単数又は複数の分散機3に送り、連続的に水系媒体を該分散機3に添加して分散処理する方法を示す。
【0080】
図11は、単一分散処理の後、一度バッチに微粒子シリカ分散液を受け、その後、連続分散機で複数回循環分散処理する方法である。即ち、微粒子シリカと水系媒体を連続的に供給し、分散機1で分散処理した後、ため釜に連続的に吐出し、一定量の分散処理が終えた後、分散機2へその微粒子シリカ分散液を供給して分散処理を行い、分散機2で分散処理を終えた微粒子シリカ分散液を再度ため釜に戻し、再び分散機2で分散処理する方法を示す。
【0081】
インクジェット記録媒体に好適な微粒子シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成された微粒子シリカ等が挙げられる。微粒子シリカの比表面積が150m2/g以上で、1次粒子の平均粒径が3〜100nmであるものが好ましい。湿式法で合成された微粒子シリカとしては、トクヤマ(株)やGrace社より市販されている。気相法で合成された微粒子シリカとしては、トクヤマ(株)や日本アエロジル(株)より市販されている。
【0082】
塗工液には、耐水性、インク吸収性等の観点からカチオンポリマーやバインダー、膜強度の観点から硬膜剤が含まれていることが好ましい。又、他の添加剤を目的に応じ加えることもできる。もちろん、上記添加剤は、微粒子シリカ分散液中に含有されていても良く、カチオンポリマー、硬膜剤は微粒子シリカ分散液中に含有されていることが好ましい。複数の分散機を用いる場合は、分割して添加することができる。又微粒子シリカの濃度を調整するために、途中の分散機に水系媒体として水を添加することもできる。
【0083】
前記カチオンポリマーとしては、好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するポリマーであり、特に好ましくは第4級アンモニウム塩基を有するモノマーの単独重合体又は他の共重合し得る1又は2以上のモノマーとの共重合体である。カチオンポリマーとしては特開2000−47454号公報等に記載されたカチオンポリマーが好ましく用いられる。これらのカチオンポリマーは重量平均分子量が10万以下であることが好ましい。
【0084】
上記第4級アンモニウム塩基を有するカチオンポリマーは第4級アンモニウム塩基のために水溶性が一般に高いが、共重合する第4級アンモニウム塩基を含まないモノマーの組成や比率によっては水に充分に溶解しないことがあるが、水混和性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解させることにより溶解し得るもので有れば本発明に使用できる。ここで水混和性有機溶媒とは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどのグリコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類など、水の質量に対して通常10%以上溶解し得る有機溶媒を言う。この場合、有機溶媒の使用量は水の使用量以下であることが好ましい。
【0085】
上記のカチオンポリマーを含有する分散液を調製する際には、各種の添加剤を添加して調製することが出来る。例えば、ノニオン性又はカチオン性の各種の界面活性剤、消泡剤、ノニオン性の親水性ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、各種の糖類、ゼラチン、プルラン等)、ノニオン性又はカチオン性のラテックス分散液、水混和性有機溶媒(酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトンなど)、無機塩類、pH調整剤など、必要に応じて適宜使用することが出来る。
【0086】
上記の分散液を調製する際のpHは微粒子シリカの種類やカチオンポリマーの種類、各種の添加剤等により広範に変化し得るが、一般的にはpHが1〜8であり、特に2〜7が好ましい。
【0087】
前記バインダーとしては、親水性ポリマーが好ましい。本発明に用いられる親水性ポリマーとしては、例えばゼラチン(酸処理ゼラチンが好ましい)、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量が約20万以上が好ましい)、プルラン、ポリビニルアルコール又はその誘導体、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が10万以上が好ましい)、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、親水性ポリビニルブチラールを挙げることができ、これらの親水性バインダーは単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。特に好ましい親水性ポリマーは、ポリビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニルアルコールである。
【0088】
本発明に好ましく用いられるポリビニルアルコールは平均重合度が300〜4000のものが好ましく用いられ、特に重量平均分子量が1000以上のものが得られる皮膜の脆弱性が良好であることから好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
【0089】
カチオン変性ポリビニルアルコールは、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えばトリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルジメチル(3−メタクリルアミド)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
【0090】
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%が好ましく、より好ましくは0.2〜5モル%である。カチオン変性ポリビニルアルコールの重合度は通常500〜4000、好ましくは1000〜4000が好ましい。又、カチオン変性ポリビニルアルコールのケン化度は通常60〜100モル%、好ましくは70〜99モル%である。
【0091】
本発明でバインダーとしてポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールを用いる場合、微粒子シリカ表面のシラノール基とビニルアルコールの水酸基が弱い水素結合を行い、軟凝集体が形成されて空隙率が高く成りやすい。
【0092】
上記バインダーと微粒子シリカの質量比率は、通常1:10〜1:3であり、特に好ましくは1:8〜1:5である。
【0093】
バインダーである親水性ポリマーを前記微粒子シリカ分散液に添加混合する方法は、親水性ポリマーの水溶液を微粒子シリカ分散液に攪拌しながらバッチ内で添加する方法や、前記微粒子シリカ分散液と親水性ポリマーを連続的にスタチックミキサー等の混合機で混合する方法が挙げられる。連続式で混合した方が装置スペースや生産効率上好ましい。
【0094】
親水性ポリマーを添加する場合には、あらかじめ、低分子量の親水性ポリマーを少量添加しておき、次にこの液に高分子量の親水性ポリマーを添加すると凝集や増粘がおきにくく安定な塗布と膜面が得られ、ひび割れ等が生じにくい。
【0095】
上記低分子量の親水性ポリマーの重量平均分子量は通常2000〜5万のものであり、特に3000〜4万のものが好ましい。又、上記低分子量の親水性ポリマーと本発明の親水性ポリマーに対する質量比率は通常0.001〜0.2の範囲であり、特に0.002〜0.1が好ましい。本発明においては、上記低分子量の親水性ポリマーとしては特に重合度が300〜600のポリビニルアルコールが好ましい。
【0096】
前記硬膜剤としては、一般的には前記親水性ポリマーと反応し得る基を有する化合物あるいは親水性ポリマーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物が好ましく、親水性ポリマーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
【0097】
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸、その塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。
親水性ポリマーとしてポリビニルアルコール又はカチオン変性ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸、その塩又はエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。
【0098】
最も好ましいのはほう酸又はその塩から選ばれる硬膜剤である。ほう酸又はその塩としては、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸又はそれらの塩が挙げられる。
【0099】
上記硬膜剤の使用量は親水性ポリマーの種類、硬膜剤の種類、微粒子シリカの種類、親水性ポリマーに対する比率等により変化するが、通常親水性ポリマー1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。
【0100】
上記硬膜剤は、空隙層を形成する塗工液を塗布する際に、空隙層を形成する塗工液中及び/又は空隙層に隣接するその他の層を形成する塗工液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗工液を塗布してある支持体上に、該空隙層を形成する塗工液を塗布する。さらには空隙層を形成する硬膜剤非含有の塗工液を塗布乾燥後に硬膜剤溶液をオーバーコートするなどして空隙層に硬膜剤を供給することもできる。好ましくは製造上の効率の観点から、空隙層を形成する塗工液又はこれに隣接する層を形成する塗工液中に硬膜剤を添加して、空隙層を形成するのと同時に硬膜剤を供給するのが好ましい。又、上記硬膜剤は予め本発明の微粒子シリカ分散液を製造する場合に添加剤として添加しておくこともできる。
【0101】
前記添加剤としては、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオン、ノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988、同62−261476号等の公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号等の公報、および特開平1−95091号、同3−13376号等の公報に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号等の公報、及び特開平4−219266号公報に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤が挙げられ、前記微粒子シリカ分散液又は塗工液に含有させることもできる。
【0102】
本発明のインクジェット記録媒体の支持体としては、従来インクジェット用記録用紙として公知の紙支持体、プラスチック支持体(透明支持体)、複合支持体など適宜使用できるが、より高い濃度で鮮明な画像を得るためには支持体中にインク液が浸透しない疎水性支持体を用いるのが好ましい。
【0103】
透明支持体としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロイド等の材料からなるフィルム等が挙げられ、中でもOHPとして使用されたときの輻射熱に耐える性質のものが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。このような透明な支持体の厚さとしては、10〜200μmが好ましい。透明支持体のインク受容層側およびバッキング層側には公知の下引き層を設けることが、インク受容層やバック層と支持体の接着性の観点から好ましい。
【0104】
又、透明である必要のない場合に用いる支持体としては、例えば、基紙の少なくとも一方に白色顔料等を添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(いわゆるRCペーパー)、ポリエチレンテレフタレートに白色顔料を添加してなるいわゆるホワイトペットが好ましい。
【0105】
支持体上に塗布する方法は公知の方法から適宜選択して行うことが出来る。好ましい方法は、塗工液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ます同時塗布が好ましい。
【0106】
塗布方式としては、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法あるいは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。
【0107】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は特に断りのない限り絶乾質量%を示す。又、平均粒径とは数平均粒径を表す。
【0108】
実施例1
水系媒体(以後A液と称す)として、
水 80L
微粒子シリカ用分散剤D1−1(40質量%水溶液) 1.6L
を混合、溶解した。微粒子シリカとして気相法シリカ(日本アエロジル製:A300 以後A300と称す)32kgを用意した。
【0109】
図9の方法で以下のように分散処理し、微粒子シリカ分散液(分散液1)を得た。A液を1.56kg/min、A300を0.44kg/minの割合で分散機1としてフロージェットミキサー300型(ピンミキサータイプ、粉研パウテックス製、以下FJMと称す)に供給した。その後、分散機2としてファインフローミルFM−25(連続式高速撹拌型分散機、大平洋機工製、以下FMと称す)に供給した。その後、分散機3としてLMK−4(連続式湿式メディア型粉砕機、アシザワ製、以後LMKと称す)を用い、分散機2からでてきた微粒子シリカ分散液を、モノーポンプを用いLMKに2.0kg/minで供給した。FJMの条件は周速25m/sec、滞留時間20sec、FMの条件は周速25m/sec、滞留時間0.15sec、LMKの条件は、ビーズ径0.5mmジルコニア、滞留時間2分、ローター回転周速8m/sec、材質ウレタン、ベッセル材質ウレタンである。
【0110】
分散液1の粘度は19mPa・s、平均粒径は48nmであった。粘度は落下式粘度計による測定値を示す。平均粒径は、電子顕微鏡を用い、20000倍で1000個の粒子を観察した平均値を示す。
【0111】
実施例2
水系媒体(以後B液と称す)として、
水 80L
ホウ酸 0.27kg
硼砂 0.23kg
5%硝酸 0.4L
エタノール 1.8L
微粒子シリカ用分散剤 D1−4(40質量%水溶液) 1.6L
カチオンポリマー (P−1)(25質量%水溶液) 17L
を混合、溶解した。微粒子シリカとしてA300 32kgを用意した。
【0112】
図9の方法で実施例1と同様な分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液2)を得た。分散液2の粘度は25mPa・s、平均粒径は51nmであった。
【0113】
カチオンポリマー (P−1)
【0114】
【化8】
【0115】
実施例3
微粒子シリカを湿式法シリカ(トクヤマ製:T−32 以後T−32と称す)に変更、微粒子シリカ用分散剤をD2−1(40質量%水溶液)に変更、更にLMKの処理条件として、滞留時間5分、ローター回転周速11m/secに変更した以外は、実施例1と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液3)を得た。分散液3の粘度は13mPa・s、平均粒径は150nmであった。
【0116】
実施例4
微粒子シリカをT−32に変更、微粒子シリカ用分散剤をD2−4(40質量%水溶液)に変更、更にLMKの処理条件として、滞留時間5分、ローター回転周速11m/secに変更した以外は、実施例2と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液4)を得た。分散液4の粘度は15mPa・s、平均粒径は163nmであった。
【0117】
実施例5
微粒子シリカ用分散剤をD3−1(40質量%水溶液)に変更した以外は、実施例1と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液5)を得た。分散液5の粘度は21mPa・s、平均粒径は49nmであった。
【0118】
実施例6
微粒子シリカ用分散剤をD3−8(40質量%水溶液)に変更した以外は、実施例2と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液6)を得た。分散液6の粘度は26mPa・s、平均粒径は52nmであった。
【0119】
実施例7
微粒子シリカ用分散剤をD4−1(40質量%水溶液)に変更した以外は、実施例1と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液7)を得た。分散液7の粘度は23mPa・s、平均粒径は51nmであった。
【0120】
実施例8
微粒子シリカ用分散剤をD4−2(40質量%水溶液)に変更した以外は、実施例2と同様の処方、及び分散条件で分散処理し微粒子シリカ分散液(分散液8)を得た。分散液8の粘度は27mPa・s、平均粒径は55nmであった。
【0121】
比較例1
微粒子シリカ用分散剤を添加しない以外は、実施例1と同様の処方、及び分散条件で分散処理し分散液Aを得た。分散液Aの粘度は40mPa・s、平均粒径は58nmであった。
【0122】
比較例2
微粒子シリカ用分散剤を添加しない以外は、実施例2と同様の処方、及び分散条件で分散処理し分散液Bを得た。分散液Bの粘度は42mPa・s、平均粒径は60nmであった。
【0123】
比較例3
図1の方法で、ディゾルバー型撹拌機を具備したバッチに実施例1と同様のA液を全量投入し、ディゾルバーを周速10m/secで回転しながら、A300(32kg)を0.29kg/minの速度で投入、分散処理した。A300が投入し終わった時点で、分散液中には粗大粒子が多数存在した。その後、60分間分散処理を追加したが、粗大粒子は存在していた。次に、高圧ホモジナイザーで250kg/cm2の圧力で3回分散し、分散液Cを得た。分散液Cの粘度は58mPa・s、平均粒径は81nmであった
比較例4
図2の方法で、分散機1としてクリアミックス(高速撹拌分散機)を用いた。クリアミックスに実施例4と同様のB液を全量投入し、周速20m/secで回転しながら、T−32(32kg)を0.44kg/minの速度で投入、分散処理した。T−32が投入し終わった時点で、分散液中には粗大粒子が多数存在した。その後、60分間分散処理を追加して分散液Dを得た。このときの分散液Dの粘度は42mPa・s、平均粒径は285nmであった。
【0124】
比較例5
図2の方法で、分散機1としてクリアミックス(高速撹拌分散機)を用いた。クリアミックスに微粒子シリカ用分散剤を添加しない以外は、実施例2と同様のB液を全量投入し、周速20m/secで回転しながら、A300(32kg)を0.44kg/minの速度で投入、分散処理した。A300が投入し終わった時点で、分散液中には粗大粒子が多数存在した。その後、60分間分散処理を追加して分散液Eを得た。このときの分散液Eの粘度は81mPa・s、平均粒径は89nmであった。
【0125】
表1に分散方法及び分散液の結果について示す。
【0126】
【表1】
【0127】
表1中の分散機の略号の意味は下記である。
FJM:フロージェットミキサー(ピンミキサー型連続混練分散機)
FM:ファインフローミル(連続式高速撹拌型粉砕分散機)
LMK:LMK(連続式湿式メディア型粉砕分散機)
D:ディゾルバー型撹拌機
MG:マントンゴーリンホモジナイザー(高圧ホモジナイザー)
CM:クリアミックス(バッチ式高速撹拌粉砕機)
実施例1〜8、比較例1〜5、及び表1から明らかなように、本発明の微粒子シリカ分散液の製造方法によれば、低粘度で粗大粒子もできず、生産効率上優れていることがわかる。
【0128】
実施例9
〈酸化チタン分散液−1の調製〉
平均粒径が約0.25μmの酸化チタン20kg(石原産業製:W−10)をpH=7.5のトリポリリン酸ナトリウムを150g、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製:PVA235)500g、カチオンポリマー(P−1)の150gおよびサンノブコ株式会社消泡剤・SN381を10gを含有する水溶液90Lに添加し高圧ホモジナイザー(三和工業株式会社製)で分散したあと全量を100Lに仕上げて均一な酸化チタン分散液−1を得た。
【0129】
〈蛍光増白剤分散液−1の調製〉
チバガイギー株式会社製の油溶性蛍光増白剤UVITEX−OB・400gをジイソデシルフタレート9000gおよび酢酸エチル12Lに加熱溶解し、これを酸処理ゼラチン3500g、カチオンポリマー(P−1)0.8kg、サポニン50%溶液・6,000mlを含有する水溶液65Lに添加混合して三和工業株式会社製の高圧ホモジナイザーで250kg/cm2の圧力で3回乳化分散し、減圧で酢酸エチルを除去した後全量を100Lに仕上げて蛍光増白剤分散液−1を得た。
【0130】
〈塗工液の調製〉
実施例及び比較例で作製した分散液の微粒子シリカ質量濃度が10%になるように、水で希釈し、調製分散液を得た。前記調製分散液600mlに40℃で撹拌しながら以下の添加剤を順次混合して塗工液を調製した。
【0131】
純水で全量を1000mlに仕上げる。
【0132】
〈インクジェット記録媒体の作製〉
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタンを含有)に、ウェット膜厚200μmの厚さで塗布した。
【0133】
塗布はそれぞれの塗工液を40℃でスライドホッパーで行い、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒間冷却した後、25℃の風(相対湿度が15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60%の雰囲気下で、2分間調湿してインクジェット記録媒体1〜4及びインクジェット記録媒体A〜Cを得た。
【0134】
インクジェット記録媒体1〜4及びインクジェット記録媒体A〜Cについて、以下の項目を評価した。
【0135】
(1)光沢度:日本電色工業株式会社製変角光度計(VGS−1001DP)を用いて75度光沢度を測定した。この値は高いほど光沢が良好であることを示す。
【0136】
(2)ひび割れ:塗布面の0.3m2当たりを目視でカウントしたひび割れ点数で評価、通常10点以下であれば実用上問題ないと考えられる。
【0137】
(3)最大濃度:セイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンター・PM750Cを使用して、マゼンタのベタ印字を行いその最大反射濃度を測定した。
【0138】
得られた結果を表2に示す。なお、表2にはインクジェット記録媒体を記録媒体と記した。
【0139】
【表2】
【0140】
表2から、本発明のインクジェット記録媒体はひび割れが少なく生産性を向上させることができ、光沢性及び印字濃度に優れた効果を有することがわかる。
【0141】
【発明の効果】
本発明により、微粒子シリカが高濃度で分散されても、粗大粒子がなく、粘度の低い微粒子シリカ分散液の製造方法、並びに塗布故障がなく、生産性を向上させることができるインクジェット用記録媒体の製造方法、及び、ひび割れが少なく、印字濃度が充分に得られ、光沢性に優れたインクジェット用記録媒体を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の分散方法を示す模式図である。
【図2】従来の分散方法を示す模式図である。
【図3】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図4】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図5】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図6】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図7】連続分散後、バッチ式分散機を用いるバッチ連続方式を示す模式図である。
【図8】分散機1を使用した連続分散方式を示す模式図である。
【図9】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図10】複数の分散機を直列に接続した完全連続型分散方式を示す模式図である。
【図11】単一分散後、バッチ式分散機を用いるバッチ連続方式を示す模式図である。
【図12】連続分散後、バッチ式分散機を用いるバッチ連続方式を示す模式図である。
【図13】連続分散後、バッチ式分散機を用いるバッチ連続方式を示す模式図である。
Claims (8)
- 微粒子シリカ及び微粒子シリカ用分散剤として下記一般式(4)で表される化合物を含有する分散媒を分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該分散機から吐出することを特徴とする微粒子シリカ分散液の製造方法。
一般式(4)
Alm(OH)nCl(3m−n)
(m及びnはそれぞれ1以上の数を表す。但し、3m>n) - 前記分散機が、混練分散機または粉砕分散機であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の微粒子シリカ分散液の製造方法。
- 分散機がn台(nは2〜5の整数)直列に接続され、第i番目の分散機から吐出された微粒子シリカ分散液を第(i+1)番目(iは1〜4の整数)の分散機に連続的に供給しながら混合し分散処理すると共に、分散処理された微粒子シリカ分散液を連続的に該(i+1)番目の分散機から吐出することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の微粒子シリカ分散液の製造方法。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の微粒子シリカ分散液の製造方法により得られた微粒子シリカ分散液を含有する塗工液を支持体上に塗布する工程を含むことを特徴とするインクジェット記録媒体の製造方法。
- 請求項7に記載のインクジェット記録媒体の製造方法により得られたことを特徴とするインクジェット記録媒体。
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JP2002317879A JP2004149373A (ja) | 2002-10-31 | 2002-10-31 | 微粒子シリカ分散液の製造方法並びにインクジェット記録媒体の製造方法及びインクジェット記録媒体 |
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JP2010506987A (ja) * | 2006-10-20 | 2010-03-04 | エボニック デグサ ゲーエムベーハー | セメント系調製物の早強性を増加させるための二酸化珪素の水性分散液 |
-
2002
- 2002-10-31 JP JP2002317879A patent/JP2004149373A/ja active Pending
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