JP2005041701A - 変性乾式シリカ分散液の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェット記録紙用の塗工液、研磨剤、新聞紙等の内填剤等に有用な変性乾式シリカ分散液に関し、従来のものと比較して低粘度であり、かつ透明性に優れた変性乾式シリカ分散液の製造方法を提供すること。
【解決手段】極性溶媒中に乾式シリカ及びカチオン性樹脂を分散した変性乾式シリカ分散液の製造において、水等の極性溶媒と乾式シリカとの混合物(シリカ濃度10〜50重量%)を20〜100℃の温度範囲で熟成した後に、該混合物をカチオン性樹脂と混合してシリカ濃度が10〜40重量%の変性乾式シリカ分散液を製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】極性溶媒中に乾式シリカ及びカチオン性樹脂を分散した変性乾式シリカ分散液の製造において、水等の極性溶媒と乾式シリカとの混合物(シリカ濃度10〜50重量%)を20〜100℃の温度範囲で熟成した後に、該混合物をカチオン性樹脂と混合してシリカ濃度が10〜40重量%の変性乾式シリカ分散液を製造する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録紙用の塗工液(以下、単に塗工液とも云う。)、新聞紙の内填剤、研磨剤等の調製に有用な変性乾式シリカ分散液の製造方法に関する。詳しくは、従来に比較して低粘度であり、かつ透明性に優れた変性乾式シリカ分散液の製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
乾式シリカは優れた吸収性、及び光沢性を有する塗膜を形成しうるため、インクジェット記録紙のインク吸収層に好適に用いられているが、乾式シリカは本来アニオン性であるため、インクジェット記録用のインクに含まれるアニオン性の色素を定着しがたいという問題があった。
【0003】
そのため、乾式シリカにカチオン性樹脂を配合した変性乾式シリカ分散液を用いて、インク吸収層を形成せしめ、インクジェット記録における画像濃度及び耐水性を向上する方法が数多く提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されているように、乾式シリカとカチオン性樹脂とを極性溶媒中で混合した後、微粉砕することによってインクジェット記録紙に有用な変性乾式シリカ分散液を得る方法が提案されている。
【特許文献1】
特開2000−239536号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる変性乾式シリカ分散液を製造するにあたり、乾式シリカとカチオン性樹脂を混合した際に、シリカ粒子の凝集が起こり、その結果得られる変性乾式シリカ分散液の粘度が上昇したり、透明性が低下したりするという問題があった。
【0005】
また、上記シリカ粒子の凝集が著しい場合には、混合した液がゲル化し、変性乾式シリカ分散液を得ることが不可能となる問題があった。
【0006】
特に、変性乾式シリカ分散液中のシリカ濃度が高い場合には、上記のシリカ粒子の凝集が顕著となる傾向があり、高濃度な変性乾式シリカ分散液を得ることが困難であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、乾式シリカとカチオン性樹脂を混合した際に、シリカ粒子の凝集を抑制することができ、低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を得ることが可能な変性乾式シリカ分散液の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点について鋭意研究を重ねた。その結果、極性溶媒と乾式シリカの混合物を熟成した後にカチオン性樹脂と混合することによって、シリカ粒子の凝集を抑制できることを見出した。
【0009】
さらに、かかる製造方法によれば、低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、極性溶媒中に乾式シリカ及びカチオン性樹脂を分散した変性乾式シリカ分散液の製造において、極性溶媒と乾式シリカの混合物を熟成した後に、カチオン性樹脂と混合することを特徴とする変性乾式シリカ分散液の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の変性乾式シリカ分散液の製造方法は、極性溶媒と乾式シリカとの混合物を熟成した後に、カチオン性樹脂と混合することを最大の特徴とする。極性溶媒と乾式シリカとの混合物を熟成せずにカチオン性樹脂と混合すると、シリカ粒子の凝集により得られる変性乾式シリカ分散液の粘度が上昇したり、透明性が低下したりする場合がある。特に、シリカ濃度の高い変性乾式シリカ分散液を得ようとした場合、シリカ粒子の凝集が著しく、混合した液がゲル化し、変性乾式シリカ分散液を得ることが不可能となる場合もある。
【0012】
本発明において用いられる極性溶媒は、乾式シリカ及びカチオン性樹脂が分散し易い極性溶媒であれば特に制限はない。かかる極性溶媒としては、水が最も好ましい。勿論、水以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用でき、また、水と上記極性溶媒との混合溶媒も好適に使用できる。
【0013】
本発明において用いられる乾式シリカは、四塩化珪素などのシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるものであり、「ヒュームドシリカ」とも称されている。一般に、乾式シリカは、比表面積が30〜500m2/gの範囲のものが入手可能であり、本発明に好適に使用できる。
【0014】
変性乾式シリカ分散液をインクジェット記録紙用の塗工液用とする場合、特に、比表面積が50〜400m2/gの範囲の乾式シリカを用いると、インク吸収能が高い塗工層を形成可能となり、極めて好ましい。
【0015】
上記極性溶媒と乾式シリカとの混合物の態様は、特に制限されず、乾式シリカが極性溶媒中に一様に分散した分散液、或いはこれが固化したゲル、又は湿潤ケーク、湿潤粉末等を採用できる。
【0016】
本発明において、上記極性溶媒と乾式シリカとの混合物中の乾式シリカの濃度は、10〜50重量%であることが好ましい。乾式シリカの濃度を10重量%以上とすることによって、最終的な変性乾式シリカ分散液の濃度を高めることが容易となり、また、製造効率の面でも有利となる。一方、熟成を均一に行うためには、乾式シリカの濃度を50重量%以下とすることが好ましい。特に好ましい乾式シリカの濃度の範囲は、20〜40重量%である。
【0017】
上記極性溶媒と乾式シリカとを混合する際の混合方法は、特に制限されず、上記混合物の態様に応じて以下の方法を適宜選択できる。
【0018】
上記混合物として、乾式シリカが極性溶媒中に一様に分散した分散液、或いはこれが固化したゲルを用いる場合には、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼を有する一般撹拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型撹拌機、コロイドミル、吸引式分散機などの分散機を用いて、シリカ粒子を極性溶媒中に分散せしめる方法が好適である。
【0019】
また、上記混合物として湿潤ケークを用いる場合には、プラネタリーミキサー等の混練機を用いて、乾式シリカと極性溶媒とを混合する方法が好適である。
【0020】
また、上記混合物として湿潤粉末を用いる場合には、乾式シリカを攪拌しながら極性溶媒を噴霧し、乾式シリカと極性溶媒とを混合する方法が好適である。
【0021】
本発明においては、上記極性溶媒と乾式シリカとの混合物を熟成した後、カチオン性樹脂と混合して変性乾式シリカ分散液を製造するが、このことによって、シリカ粒子の凝集を抑制でき、低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を製造することができる。
【0022】
上記の熟成を行う際の熟成温度は、20〜100℃とすることが望ましい。熟成温度を20℃以上とすることによって、熟成を短時間で終了させることができ、製造効率が向上する。一方、熟成温度を100℃以下とすることによって、乾式シリカの部分的な乾燥による粗粒の発生を防止することができ、シリカ粒子が微分散した変性乾式シリカ分散液を得ることが容易となる。
【0023】
なお、高温で熟成を行う場合には、乾式シリカの部分的な乾燥による粗粒の発生を防止するため、極性溶媒の気化による揮散を防止する対策、例えば、密封容器・加圧容器の使用や容器へのコンデンサーの設置等を採用することが好ましい。
【0024】
また、熟成に要する熟成時間は、乾式シリカ及び極性溶媒の種類、極性溶媒と乾式シリカとの混合物中の乾式シリカの濃度、或いは熟成温度によって変化するため、一概には言えないが、より低粘度でかつ透明性により優れた変性乾式シリカ分散液を得るためには、次式(1)で示される最短熟成時間(t(時間))以上とすることが望ましい。
【0025】
t=400000/T3 (1)
(式中、Tは熟成温度(℃)を表す。)
上記熟成時間に上限は無く、熟成時間を長くするほど本発明の効果は増大する。しかしながら、製造効率の観点からは、熟成時間を上記最短熟成時間の10倍以下とすることが好ましい。
【0026】
本発明において、上記極性溶媒と乾式シリカとの混合物をカチオン性樹脂と混合する際の混合方法は、特に限定されないが、該混合物を予め分散液とした後にカチオン性樹脂と混合する方法が好ましい。
【0027】
即ち、上記混合物がゲル、湿潤ケーク、湿潤粉末である場合には、該混合物を分散液とした後に、カチオン性樹脂と混合する方法が、乾式シリカとカチオン性樹脂を均一に混合することができ、好適である。
【0028】
なお、ゲル状、湿潤ケーク状、或いは湿潤粉末状の混合物を分散液状にする際には、該混合物自体を激しく攪拌して流動性のある分散液としても良く、該混合物を新たに少量の極性溶媒と混合して分散液としても良い。
【0029】
また、極性溶媒と乾式シリカとの混合物中のシリカ濃度を、目的とする変性乾式シリカ分散液のシリカ濃度よりも高濃度とし、該高濃度の混合物を熟成した後に、極性溶媒を新たに加え、目的とする変性乾式シリカ分散液のシリカ濃度となるように調整しても良い。
【0030】
本発明において、変性乾式シリカ分散液中のシリカの濃度は10〜40重量%とすることが好ましく、10〜30重量%とすることが特に好ましい。
【0031】
変性乾式シリカ分散液中の乾式シリカの濃度を10重量%以上とすることによって、一回の塗工で充分な厚みの塗工層を得ることができ、また、塗工後の乾燥に要するエネルギーを低減することができる。一方、乾式シリカの濃度を40重量%以下とすることによって、より低粘度な変性乾式シリカ分散液を得ることができる。
【0032】
本発明において、変性乾式シリカ分散液中のカチオン性樹脂の量は乾式シリカ100重量部に対して、1〜50重量部、特に、3〜20重量部が好ましい。
【0033】
変性乾式シリカ分散液中のカチオン性樹脂の量を、乾式シリカ100重量部に対して1重量部以上とすることによって、乾式シリカの表面を充分にカチオン化できるため、該変性乾式シリカ分散液を用いて製造されるインクジェット記録紙の画像濃度及び耐水性を更に高めることができる。一方、乾式シリカ100重量部に対して50重量部以下とすることによって、特に吸収性に優れた塗工層を提供することができる。
【0034】
本発明で用いるカチオン性樹脂は、極性溶媒中で解離してカチオン性を呈する樹脂であれば特に限定なく、公知のカチオン性樹脂が特に制限なく使用できる。
【0035】
その中でも、第1〜3級アミン基又は4級アンモニウム塩基を有する樹脂が好適に使用できる。具体的なものを例示すると、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリアミンスルホン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ジシアンジアミドポリアルキル−ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の化合物及びこれらの塩酸塩;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド及びそのアクリルアミド等との共重合物;ポリジアリルメチルアミン塩酸塩;ポリメタクリル酸エステルメチルクロライド4級塩;カチオン変性ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
【0036】
なお、上記混合物とカチオン性樹脂とを混合する際には、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼を有する一般撹拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型撹拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサーなどの分散機を用いて、強いせん断を加えながら混合することが好ましい。
【0037】
本発明において、特に低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を得る目的で、上記混合後に更にビーズミル等の湿式メディア型分散機、超音波乳化機、高圧ホモジナイザー等の強力な分散機で処理することが好ましい。
【0038】
かかる強力な分散機による処理は、製造工程のどの時点で行っても良く、上記したように乾式シリカと極性溶媒との混合物とカチオン性樹脂とを混合した後に行う以外にも、例えば乾式シリカと極性溶媒との混合物として分散液もしくはこれが固化したゲルを用いる場合には、乾式シリカと極性溶媒とを混合した直後もしくは乾式シリカと極性溶媒との混合物を熟成した後に、又乾式シリカと極性溶媒との混合物として湿潤ケークもしくは湿潤粉末を用いる場合には、乾式シリカと極性溶媒との混合物を熟成した後に行うこともできる。
【0039】
勿論、強力な分散機による処理を製造工程中で複数回行うことにより、さらに低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を得ることもできる。
【0040】
なお、上記強力な分散機中でも、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましく、該高圧ホモジナイザーの代表例を具体的に例示すると、ナノマイザー製の商品名;ナノマイザー、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びスギノマシン製のアルティマイザーなどが挙げられる。
【0041】
上記高圧ホモジナイザーによる処理方法としては、被処理液を処理圧力30MPa以上で対向衝突させる方法、或いはオリフィスの入口側と出口側の差圧が30MPa以上の条件で被処理液を通過させる方法が、シリカ粒子が特に微分散した変性乾式シリカ分散液を効率よく得ることができ、好適である。
【0042】
本発明においては、得られる変性乾式シリカ分散液中の乾式シリカが、一次粒子が数個〜数千個凝集した凝集粒子の形態を有していることが、インク吸収能に優れ、インクジェット記録紙等の分野において好適に使用できるので好ましい。
【0043】
上記一次粒子の平均径は、6〜60nmの範囲であることが好ましい。一次粒子の平均径を6nm以上とすることによって、より低粘度な分散液を得ることができ、60nm以下とすることによって、特に透明性の高いインク吸収層を得ることができる。
【0044】
また、上記凝集粒子の平均径は10〜1000nmの範囲であることが好ましく、50〜300nmの範囲であることが特に好ましい。凝集粒子の平均径を10nm以上とすることによって、より低粘度な分散液を得ることができ、1000nm以下とすることによって、乾式シリカの沈降を抑制することが容易となる。
【0045】
尚、本発明の変性乾式シリカ分散液には、シリカ粒子の安定性や分散性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤等を少量添加してもよい。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0047】
なお、以下の方法によって、変性乾式シリカ分散液の調製とその物性測定を行った。
【0048】
(1)変性乾式シリカ分散液の粘度の測定
変性乾式シリカ分散液の粘度は、トキメック製、B型粘度計を用いて30℃で測定した。
【0049】
(2)変性乾式シリカ分散液の光線透過率の測定
変性乾式シリカ分散液をシリカ濃度が1.5重量%になるようにイオン交換水で希釈し、該希釈された変性乾式シリカ分散液を光路長10mmの石英セルに入れ、分光光度計(日本分光製、Ubest−35型)を用いて光の波長(λ)が589nmにおける光線透過率を測定した。
【0050】
(3)変性乾式シリカ分散液中のシリカの平均粒子径の測定
光散乱回折式の粒度分布測定装置(コールター製、コールターLS−230)を用いて、変性乾式シリカ分散液中のシリカ粒子の粒度分布を測定し、得られた粒度分布から平均粒子径(体積基準平均径)を求めた。なお、測定に際しては、分散媒(水)の屈折率を1.332、シリカの屈折率を1.458とした。
【0051】
実施例1〜9
比表面積が300m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)を用い、上記シリカが15重量%になるようにイオン交換水と混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)で分散処理して、極性溶媒(水)と乾式シリカからなる分散液状の未熟成混合物を得た。。
【0052】
未熟成混合物を表1に示す熟成条件で熟成し、熟成混合物を得た。熟成の途中でゲル化した場合には、熟成後にホモジナイザーで攪拌し、分散液状にしてから次の工程に供した。
【0053】
次に、熟成混合物と28重量%のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド溶液(平均分子量200000)とを、シリカ100重量部に対してカチオン性樹脂が5重量部となるように混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)で予備分散した。該予備分散した液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力80MPaでオリフィスを1回通過させることにより、変性乾式シリカ分散液を得た。
【0054】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0055】
比較例1
実施例1で得た未熟成混合物をカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例1と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。すなわち、本比較例では熟成操作を行わずに変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0056】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例10
未熟成混合物としてシリカ濃度が20重量%のものを用い、カチオン性樹脂の添加量をシリカ100重量部に対して10重量部とした以外は実施例1と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。なお、本実施例においては熟成温度を25℃、熟成時間を170時間とした。
【0059】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0060】
比較例2
実施例10の未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例10と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0061】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0062】
実施例11
乾式シリカとして比表面積が140m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−10)を用い、シリカ濃度25重量%の未熟成混合物とし、カチオン性樹脂としてポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(平均分子量40000)の28重量%溶液を用い、カチオン性樹脂の添加量をシリカ100重量部に対して10重量部とした以外は実施例1と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。なお、本実施例においては熟成温度を25℃、熟成時間を170時間とした。
【0063】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0064】
比較例3
実施例11の未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例11と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0065】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0066】
実施例12
カチオン性樹脂としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(平均分子量200000)の25重量%溶液を用い、カチオン性樹脂の添加量をシリカ100重量部に対して10重量部とした以外は実施例1と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。なお、本実施例においては熟成温度を25℃、熟成時間を170時間とした。
【0067】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0068】
比較例4
実施例12において未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例12と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0069】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0070】
実施例13
乾式シリカとして比表面積が90m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−09)を用い、シリカ濃度20重量%の未熟成混合物とした以外は実施例12と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0071】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0072】
比較例5
実施例13の未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例13と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0073】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0074】
実施例14
未熟成混合物としてシリカ濃度25重量%の未熟成混合物を用いた以外は実施例13と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0075】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0076】
比較例6
実施例14の未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例14と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0077】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0078】
実施例15
比表面積が300m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)を用い、上記シリカが25重量%になるようにイオン交換水と混合し、充分に混錬して湿潤ケーク状の未熟成混合物を得た。
【0079】
未熟成混合物を25℃で170時間熟成した後、シリカが15重量%になるようにイオン交換水と混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)で分散処理して、熟成された分散液状の熟成混合物を得た。
【0080】
該分散液状の熟成混合物を用いて、実施例1と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0081】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0082】
実施例16
比表面積が300m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)を用い、上記シリカが15重量%になるようにイオン交換水と混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)で分散処理した。該分散処理した液を、高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力80MPaでオリフィスを1回通過させ、乾式シリカが極性溶媒(水)中に微分散した分散液状の未熟成混合物を得た。
【0083】
該分散液状の未熟成混合物を用いて、実施例1と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。なお、本実施例においては熟成温度を25℃、熟成時間を170時間とした。
【0084】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明の製造方法によれば、従来に比較して低粘度であり、かつ透明性に優れた変性乾式シリカ分散液を調製することが可能である。
【0087】
また、従来の方法では製造が困難な高濃度の変性乾式シリカ分散液を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録紙用の塗工液(以下、単に塗工液とも云う。)、新聞紙の内填剤、研磨剤等の調製に有用な変性乾式シリカ分散液の製造方法に関する。詳しくは、従来に比較して低粘度であり、かつ透明性に優れた変性乾式シリカ分散液の製造方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
乾式シリカは優れた吸収性、及び光沢性を有する塗膜を形成しうるため、インクジェット記録紙のインク吸収層に好適に用いられているが、乾式シリカは本来アニオン性であるため、インクジェット記録用のインクに含まれるアニオン性の色素を定着しがたいという問題があった。
【0003】
そのため、乾式シリカにカチオン性樹脂を配合した変性乾式シリカ分散液を用いて、インク吸収層を形成せしめ、インクジェット記録における画像濃度及び耐水性を向上する方法が数多く提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に記載されているように、乾式シリカとカチオン性樹脂とを極性溶媒中で混合した後、微粉砕することによってインクジェット記録紙に有用な変性乾式シリカ分散液を得る方法が提案されている。
【特許文献1】
特開2000−239536号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる変性乾式シリカ分散液を製造するにあたり、乾式シリカとカチオン性樹脂を混合した際に、シリカ粒子の凝集が起こり、その結果得られる変性乾式シリカ分散液の粘度が上昇したり、透明性が低下したりするという問題があった。
【0005】
また、上記シリカ粒子の凝集が著しい場合には、混合した液がゲル化し、変性乾式シリカ分散液を得ることが不可能となる問題があった。
【0006】
特に、変性乾式シリカ分散液中のシリカ濃度が高い場合には、上記のシリカ粒子の凝集が顕著となる傾向があり、高濃度な変性乾式シリカ分散液を得ることが困難であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、乾式シリカとカチオン性樹脂を混合した際に、シリカ粒子の凝集を抑制することができ、低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を得ることが可能な変性乾式シリカ分散液の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点について鋭意研究を重ねた。その結果、極性溶媒と乾式シリカの混合物を熟成した後にカチオン性樹脂と混合することによって、シリカ粒子の凝集を抑制できることを見出した。
【0009】
さらに、かかる製造方法によれば、低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、極性溶媒中に乾式シリカ及びカチオン性樹脂を分散した変性乾式シリカ分散液の製造において、極性溶媒と乾式シリカの混合物を熟成した後に、カチオン性樹脂と混合することを特徴とする変性乾式シリカ分散液の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の変性乾式シリカ分散液の製造方法は、極性溶媒と乾式シリカとの混合物を熟成した後に、カチオン性樹脂と混合することを最大の特徴とする。極性溶媒と乾式シリカとの混合物を熟成せずにカチオン性樹脂と混合すると、シリカ粒子の凝集により得られる変性乾式シリカ分散液の粘度が上昇したり、透明性が低下したりする場合がある。特に、シリカ濃度の高い変性乾式シリカ分散液を得ようとした場合、シリカ粒子の凝集が著しく、混合した液がゲル化し、変性乾式シリカ分散液を得ることが不可能となる場合もある。
【0012】
本発明において用いられる極性溶媒は、乾式シリカ及びカチオン性樹脂が分散し易い極性溶媒であれば特に制限はない。かかる極性溶媒としては、水が最も好ましい。勿論、水以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用でき、また、水と上記極性溶媒との混合溶媒も好適に使用できる。
【0013】
本発明において用いられる乾式シリカは、四塩化珪素などのシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られるものであり、「ヒュームドシリカ」とも称されている。一般に、乾式シリカは、比表面積が30〜500m2/gの範囲のものが入手可能であり、本発明に好適に使用できる。
【0014】
変性乾式シリカ分散液をインクジェット記録紙用の塗工液用とする場合、特に、比表面積が50〜400m2/gの範囲の乾式シリカを用いると、インク吸収能が高い塗工層を形成可能となり、極めて好ましい。
【0015】
上記極性溶媒と乾式シリカとの混合物の態様は、特に制限されず、乾式シリカが極性溶媒中に一様に分散した分散液、或いはこれが固化したゲル、又は湿潤ケーク、湿潤粉末等を採用できる。
【0016】
本発明において、上記極性溶媒と乾式シリカとの混合物中の乾式シリカの濃度は、10〜50重量%であることが好ましい。乾式シリカの濃度を10重量%以上とすることによって、最終的な変性乾式シリカ分散液の濃度を高めることが容易となり、また、製造効率の面でも有利となる。一方、熟成を均一に行うためには、乾式シリカの濃度を50重量%以下とすることが好ましい。特に好ましい乾式シリカの濃度の範囲は、20〜40重量%である。
【0017】
上記極性溶媒と乾式シリカとを混合する際の混合方法は、特に制限されず、上記混合物の態様に応じて以下の方法を適宜選択できる。
【0018】
上記混合物として、乾式シリカが極性溶媒中に一様に分散した分散液、或いはこれが固化したゲルを用いる場合には、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼を有する一般撹拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型撹拌機、コロイドミル、吸引式分散機などの分散機を用いて、シリカ粒子を極性溶媒中に分散せしめる方法が好適である。
【0019】
また、上記混合物として湿潤ケークを用いる場合には、プラネタリーミキサー等の混練機を用いて、乾式シリカと極性溶媒とを混合する方法が好適である。
【0020】
また、上記混合物として湿潤粉末を用いる場合には、乾式シリカを攪拌しながら極性溶媒を噴霧し、乾式シリカと極性溶媒とを混合する方法が好適である。
【0021】
本発明においては、上記極性溶媒と乾式シリカとの混合物を熟成した後、カチオン性樹脂と混合して変性乾式シリカ分散液を製造するが、このことによって、シリカ粒子の凝集を抑制でき、低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を製造することができる。
【0022】
上記の熟成を行う際の熟成温度は、20〜100℃とすることが望ましい。熟成温度を20℃以上とすることによって、熟成を短時間で終了させることができ、製造効率が向上する。一方、熟成温度を100℃以下とすることによって、乾式シリカの部分的な乾燥による粗粒の発生を防止することができ、シリカ粒子が微分散した変性乾式シリカ分散液を得ることが容易となる。
【0023】
なお、高温で熟成を行う場合には、乾式シリカの部分的な乾燥による粗粒の発生を防止するため、極性溶媒の気化による揮散を防止する対策、例えば、密封容器・加圧容器の使用や容器へのコンデンサーの設置等を採用することが好ましい。
【0024】
また、熟成に要する熟成時間は、乾式シリカ及び極性溶媒の種類、極性溶媒と乾式シリカとの混合物中の乾式シリカの濃度、或いは熟成温度によって変化するため、一概には言えないが、より低粘度でかつ透明性により優れた変性乾式シリカ分散液を得るためには、次式(1)で示される最短熟成時間(t(時間))以上とすることが望ましい。
【0025】
t=400000/T3 (1)
(式中、Tは熟成温度(℃)を表す。)
上記熟成時間に上限は無く、熟成時間を長くするほど本発明の効果は増大する。しかしながら、製造効率の観点からは、熟成時間を上記最短熟成時間の10倍以下とすることが好ましい。
【0026】
本発明において、上記極性溶媒と乾式シリカとの混合物をカチオン性樹脂と混合する際の混合方法は、特に限定されないが、該混合物を予め分散液とした後にカチオン性樹脂と混合する方法が好ましい。
【0027】
即ち、上記混合物がゲル、湿潤ケーク、湿潤粉末である場合には、該混合物を分散液とした後に、カチオン性樹脂と混合する方法が、乾式シリカとカチオン性樹脂を均一に混合することができ、好適である。
【0028】
なお、ゲル状、湿潤ケーク状、或いは湿潤粉末状の混合物を分散液状にする際には、該混合物自体を激しく攪拌して流動性のある分散液としても良く、該混合物を新たに少量の極性溶媒と混合して分散液としても良い。
【0029】
また、極性溶媒と乾式シリカとの混合物中のシリカ濃度を、目的とする変性乾式シリカ分散液のシリカ濃度よりも高濃度とし、該高濃度の混合物を熟成した後に、極性溶媒を新たに加え、目的とする変性乾式シリカ分散液のシリカ濃度となるように調整しても良い。
【0030】
本発明において、変性乾式シリカ分散液中のシリカの濃度は10〜40重量%とすることが好ましく、10〜30重量%とすることが特に好ましい。
【0031】
変性乾式シリカ分散液中の乾式シリカの濃度を10重量%以上とすることによって、一回の塗工で充分な厚みの塗工層を得ることができ、また、塗工後の乾燥に要するエネルギーを低減することができる。一方、乾式シリカの濃度を40重量%以下とすることによって、より低粘度な変性乾式シリカ分散液を得ることができる。
【0032】
本発明において、変性乾式シリカ分散液中のカチオン性樹脂の量は乾式シリカ100重量部に対して、1〜50重量部、特に、3〜20重量部が好ましい。
【0033】
変性乾式シリカ分散液中のカチオン性樹脂の量を、乾式シリカ100重量部に対して1重量部以上とすることによって、乾式シリカの表面を充分にカチオン化できるため、該変性乾式シリカ分散液を用いて製造されるインクジェット記録紙の画像濃度及び耐水性を更に高めることができる。一方、乾式シリカ100重量部に対して50重量部以下とすることによって、特に吸収性に優れた塗工層を提供することができる。
【0034】
本発明で用いるカチオン性樹脂は、極性溶媒中で解離してカチオン性を呈する樹脂であれば特に限定なく、公知のカチオン性樹脂が特に制限なく使用できる。
【0035】
その中でも、第1〜3級アミン基又は4級アンモニウム塩基を有する樹脂が好適に使用できる。具体的なものを例示すると、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリアミンスルホン、ポリジアルキルアミノエチルメタクリレート、ポリジアルキルアミノエチルアクリレート、ポリジアルキルアミノエチルメタクリルアミド、ポリジアルキルアミノエチルアクリルアミド、ポリエポキシアミン、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ジシアンジアミドポリアルキル−ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の化合物及びこれらの塩酸塩;ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド及びそのアクリルアミド等との共重合物;ポリジアリルメチルアミン塩酸塩;ポリメタクリル酸エステルメチルクロライド4級塩;カチオン変性ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
【0036】
なお、上記混合物とカチオン性樹脂とを混合する際には、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼を有する一般撹拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型撹拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型撹拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサーなどの分散機を用いて、強いせん断を加えながら混合することが好ましい。
【0037】
本発明において、特に低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を得る目的で、上記混合後に更にビーズミル等の湿式メディア型分散機、超音波乳化機、高圧ホモジナイザー等の強力な分散機で処理することが好ましい。
【0038】
かかる強力な分散機による処理は、製造工程のどの時点で行っても良く、上記したように乾式シリカと極性溶媒との混合物とカチオン性樹脂とを混合した後に行う以外にも、例えば乾式シリカと極性溶媒との混合物として分散液もしくはこれが固化したゲルを用いる場合には、乾式シリカと極性溶媒とを混合した直後もしくは乾式シリカと極性溶媒との混合物を熟成した後に、又乾式シリカと極性溶媒との混合物として湿潤ケークもしくは湿潤粉末を用いる場合には、乾式シリカと極性溶媒との混合物を熟成した後に行うこともできる。
【0039】
勿論、強力な分散機による処理を製造工程中で複数回行うことにより、さらに低粘度で透明性の高い変性乾式シリカ分散液を得ることもできる。
【0040】
なお、上記強力な分散機中でも、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましく、該高圧ホモジナイザーの代表例を具体的に例示すると、ナノマイザー製の商品名;ナノマイザー、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びスギノマシン製のアルティマイザーなどが挙げられる。
【0041】
上記高圧ホモジナイザーによる処理方法としては、被処理液を処理圧力30MPa以上で対向衝突させる方法、或いはオリフィスの入口側と出口側の差圧が30MPa以上の条件で被処理液を通過させる方法が、シリカ粒子が特に微分散した変性乾式シリカ分散液を効率よく得ることができ、好適である。
【0042】
本発明においては、得られる変性乾式シリカ分散液中の乾式シリカが、一次粒子が数個〜数千個凝集した凝集粒子の形態を有していることが、インク吸収能に優れ、インクジェット記録紙等の分野において好適に使用できるので好ましい。
【0043】
上記一次粒子の平均径は、6〜60nmの範囲であることが好ましい。一次粒子の平均径を6nm以上とすることによって、より低粘度な分散液を得ることができ、60nm以下とすることによって、特に透明性の高いインク吸収層を得ることができる。
【0044】
また、上記凝集粒子の平均径は10〜1000nmの範囲であることが好ましく、50〜300nmの範囲であることが特に好ましい。凝集粒子の平均径を10nm以上とすることによって、より低粘度な分散液を得ることができ、1000nm以下とすることによって、乾式シリカの沈降を抑制することが容易となる。
【0045】
尚、本発明の変性乾式シリカ分散液には、シリカ粒子の安定性や分散性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤等を少量添加してもよい。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0047】
なお、以下の方法によって、変性乾式シリカ分散液の調製とその物性測定を行った。
【0048】
(1)変性乾式シリカ分散液の粘度の測定
変性乾式シリカ分散液の粘度は、トキメック製、B型粘度計を用いて30℃で測定した。
【0049】
(2)変性乾式シリカ分散液の光線透過率の測定
変性乾式シリカ分散液をシリカ濃度が1.5重量%になるようにイオン交換水で希釈し、該希釈された変性乾式シリカ分散液を光路長10mmの石英セルに入れ、分光光度計(日本分光製、Ubest−35型)を用いて光の波長(λ)が589nmにおける光線透過率を測定した。
【0050】
(3)変性乾式シリカ分散液中のシリカの平均粒子径の測定
光散乱回折式の粒度分布測定装置(コールター製、コールターLS−230)を用いて、変性乾式シリカ分散液中のシリカ粒子の粒度分布を測定し、得られた粒度分布から平均粒子径(体積基準平均径)を求めた。なお、測定に際しては、分散媒(水)の屈折率を1.332、シリカの屈折率を1.458とした。
【0051】
実施例1〜9
比表面積が300m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)を用い、上記シリカが15重量%になるようにイオン交換水と混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)で分散処理して、極性溶媒(水)と乾式シリカからなる分散液状の未熟成混合物を得た。。
【0052】
未熟成混合物を表1に示す熟成条件で熟成し、熟成混合物を得た。熟成の途中でゲル化した場合には、熟成後にホモジナイザーで攪拌し、分散液状にしてから次の工程に供した。
【0053】
次に、熟成混合物と28重量%のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド溶液(平均分子量200000)とを、シリカ100重量部に対してカチオン性樹脂が5重量部となるように混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)で予備分散した。該予備分散した液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力80MPaでオリフィスを1回通過させることにより、変性乾式シリカ分散液を得た。
【0054】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0055】
比較例1
実施例1で得た未熟成混合物をカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例1と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。すなわち、本比較例では熟成操作を行わずに変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0056】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
実施例10
未熟成混合物としてシリカ濃度が20重量%のものを用い、カチオン性樹脂の添加量をシリカ100重量部に対して10重量部とした以外は実施例1と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。なお、本実施例においては熟成温度を25℃、熟成時間を170時間とした。
【0059】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0060】
比較例2
実施例10の未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例10と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0061】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0062】
実施例11
乾式シリカとして比表面積が140m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−10)を用い、シリカ濃度25重量%の未熟成混合物とし、カチオン性樹脂としてポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(平均分子量40000)の28重量%溶液を用い、カチオン性樹脂の添加量をシリカ100重量部に対して10重量部とした以外は実施例1と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。なお、本実施例においては熟成温度を25℃、熟成時間を170時間とした。
【0063】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0064】
比較例3
実施例11の未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例11と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0065】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0066】
実施例12
カチオン性樹脂としてジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(平均分子量200000)の25重量%溶液を用い、カチオン性樹脂の添加量をシリカ100重量部に対して10重量部とした以外は実施例1と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。なお、本実施例においては熟成温度を25℃、熟成時間を170時間とした。
【0067】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0068】
比較例4
実施例12において未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例12と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0069】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0070】
実施例13
乾式シリカとして比表面積が90m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−09)を用い、シリカ濃度20重量%の未熟成混合物とした以外は実施例12と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0071】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0072】
比較例5
実施例13の未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例13と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0073】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0074】
実施例14
未熟成混合物としてシリカ濃度25重量%の未熟成混合物を用いた以外は実施例13と同様にして、変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0075】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0076】
比較例6
実施例14の未熟成混合物を熟成せずにカチオン性樹脂溶液と混合する以外は、実施例14と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0077】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0078】
実施例15
比表面積が300m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)を用い、上記シリカが25重量%になるようにイオン交換水と混合し、充分に混錬して湿潤ケーク状の未熟成混合物を得た。
【0079】
未熟成混合物を25℃で170時間熟成した後、シリカが15重量%になるようにイオン交換水と混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)で分散処理して、熟成された分散液状の熟成混合物を得た。
【0080】
該分散液状の熟成混合物を用いて、実施例1と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。
【0081】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0082】
実施例16
比表面積が300m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)を用い、上記シリカが15重量%になるようにイオン交換水と混合し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−50)で分散処理した。該分散処理した液を、高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力80MPaでオリフィスを1回通過させ、乾式シリカが極性溶媒(水)中に微分散した分散液状の未熟成混合物を得た。
【0083】
該分散液状の未熟成混合物を用いて、実施例1と同様にして変性乾式シリカ分散液を調製した。なお、本実施例においては熟成温度を25℃、熟成時間を170時間とした。
【0084】
得られた変性乾式シリカ分散液の物性を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】
【発明の効果】
以上の説明より理解されるように、本発明の製造方法によれば、従来に比較して低粘度であり、かつ透明性に優れた変性乾式シリカ分散液を調製することが可能である。
【0087】
また、従来の方法では製造が困難な高濃度の変性乾式シリカ分散液を得ることができる。
Claims (3)
- 極性溶媒中に乾式シリカ及びカチオン性樹脂を分散した変性乾式シリカ分散液の製造において、極性溶媒と乾式シリカとの混合物を熟成した後に、該混合物とカチオン性樹脂とを混合することを特徴とする変性乾式シリカ分散液の製造方法。
- 前記極性溶媒と乾式シリカとの混合物において、該混合物中の乾式シリカの濃度が10〜50重量%である請求項1記載の変性乾式シリカ分散液の製造方法。
- 前記極性溶媒と乾式シリカとの混合物を、20〜100℃で熟成する請求項1又は2記載の変性乾式シリカ分散液の製造方法。
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- 2003-07-22 JP JP2003199657A patent/JP2005041701A/ja active Pending
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