JP3871260B2 - カチオン樹脂変性シリカ分散液の製造方法 - Google Patents

カチオン樹脂変性シリカ分散液の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカを使用し、インクジェット用記録紙の塗工液(以下、単に塗工液という。)、新聞紙の内填剤、研磨剤、金属表面処理剤等の調製に有用なカチオン性樹脂変性シリカ分散液の新規な製造方法に関する。詳しくは、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を低エネルギーで生産性良く製造することが可能な製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット用記録紙の塗工液には、インク吸収層を形成するためにシリカやアルミナ等の無機微粉体が使用されている。上記微粒子のうち、シリカ微粒子はインク吸収性に優れていることから好適に使用されている。
【0003】
一方、インクジェット用のインクとしては、一般に、アニオン性の化合物が使われることが多く、上記インク吸収層はカチオン性を有している方が、インクジェット用記録紙の画像濃度及び、耐水性の向上の点から有利である。
【0004】
そのためインクジェット用記録紙の塗工液原料として、カチオン性樹脂等のカチオン化試薬を配合したカチオン性樹脂変性シリカ分散液が用いられている。
【0005】
また、近年、市場から写真並みの画質が得られるインクジェット用記録紙が求められていることから、前述のインク吸収性や耐水性の他に光沢性等も重要な因子となっている。インクジェット用記録紙の光沢性は、インク吸収層を形成する無機粉体の平均粒子径に関係しており、無機粉体の平均粒子径が小さいほど、塗工層表面の平滑性及び塗工層の透明性が得られるので、光沢性が向上する。
【0006】
ところが、カチオン性樹脂を配合したカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得るために、平均粒子径の小さなシリカを用いた場合、極性溶媒中において、シリカとカチオン性樹脂とを混合する際に、シリカ粒子が凝集し、粒子径の大きな凝集粒子が得られたり、ゲル状物が生成して分散が困難になるといった問題があった。
【0007】
上記の問題点を解決するために、極性溶媒中において、シリカと第4級アンモニウム塩基等のカチオン性基を含むカチオン性樹脂とを混合した後に、混合液中のシリカを目的の粒子径まで機械的に粉砕分散するカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法が提案されている。
【0008】
例えば、特開平10−181190号公報、特開平11−321079号公報には、極性溶媒中において、シリカとカチオン性樹脂とを混合し、その後、機械的に粉砕分散してシリカを所望の平均粒径にする方法、特開平2000−239536号公報には、予めシリカの凝集粒子径を制御した後にカチオン性樹脂と混合し、さらに粉砕分散する方法、特開2000−94830号公報には、一次粒子まで分散したシリカをカチオン性樹脂水溶液に添加し、発生する凝集物を粉砕分散して安定なカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得る方法が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のいずれの方法においても、極性溶媒中におけるシリカとカチオン性樹脂との混合時に、シリカ粒子の凝集により著しい増粘現象が起こるうえ、更に凝集したシリカ粒子を機械的に粉砕分散する工程を設ける必要があるために、混合工程と粉砕分散工程の両工程時におけるエネルギー消費量が多くなり、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の生産性を低下させるという問題があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行なってきた。その結果、予めシリカを極性溶媒中で目的の粒子径になるまで粉砕分散したシリカ分散液と、平均分子量が5万以下であり、且つ環状アンモニウム塩型であるカチオン性樹脂水溶液とを混合することによって、シリカの凝集が抑制され、混合後に目的の粒子径とするために再び粉砕分散処理を行う必要がなく、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を生産性良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、極性溶媒中に平均粒子径300nm未満のシリカが分散したシリカ分散液と、平均分子量が5万以下の環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂水溶液とを混合することを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明において、シリカ分散液の溶媒として使用される極性溶媒は、シリカが分散し易い極性溶媒であれば特に制限されない。かかる極性溶媒としては、水が最も好ましい。勿論、水以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用でき、また、水と上記極性溶媒との混合溶媒も好適に使用できる。
【0013】
本発明において使用されるシリカは特に限定されないが、特に湿式シリカ、乾式シリカ等の一次粒子が互いに凝集した凝集粒子として存在するものは、極性溶媒中においてカチオン性樹脂水溶液と混合した場合に、混合液の粘度上昇が著しくなる傾向に有るため、本発明の製造方法が特に有効である。
【0014】
上記湿式シリカは、珪酸ソーダと鉱酸とを中和することによって、溶液中でシリカを析出させて得られる沈殿法シリカが代表的であり、「ホワイトカーボン」と称されている。更には、中和反応後に濾過及び洗浄を行っただけの、乾燥工程を施さない、脱水シリカケークも使用することができる。また、珪酸ソーダと鉱酸とを中和することによって、シリカをゲル化させて得られるゲル法シリカも沈殿法シリカと同様に使用することができる。
【0015】
上記乾式シリカは、一般に四塩化珪素類を酸素水素炎中で高温加水分解させて得られるものであり、「フュームドシリカ」とも称されている。
【0016】
本発明において、シリカの一次粒子径は、8nm〜30nmであることが好ましい。一次粒子の大きさは、BET法により求めた原料シリカの比表面積から換算することが出来る。
【0017】
一次粒子が30nmより大きい場合には、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液の透明性が低下し、これを用いてインクジェット用記録紙を作成した場合には、印刷画像の濃度が低くなる恐れがある。一方、シリカの一次粒子径が8nmよりも小さい場合には、得られる混合液の粘度が高くなるなる恐れがあり、本発明の効果を十分得ることが出来ない恐れがある。
【0018】
本発明において、カチオン性樹脂と混合する前の、極性溶媒中にシリカを分散せしめたシリカ分散液(以下、シリカ分散液という)は、平均粒子径が300nm未満のシリカが分散しているシリカ分散液である。シリカ分散液中のシリカの平均粒子径が300nm以上であると、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液をインクジェット用記録紙の塗工液の原料とした場合、塗工層の表面の平滑性が得られないだけでなく、光の透過が妨げられ、塗工層が不透明となり、光沢が不足するといった問題が生じる。
【0019】
尚、ここでいう平均粒子径とは光散乱回折式の粒度分布計で測定した体積基準算術平均径D50であり、シリカの一次粒子が互いに凝集している場合には凝集粒子の平均凝集粒子径を表わすことになる。
【0020】
シリカ分散液中のシリカ粒子は、そのほとんどがシリカの一次粒子が互いに凝集した凝集粒子であると、得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液をインクジェット用記録紙の塗工液の原料とした場合、インクの吸収性に優れた特徴を示すインクジェット用記録紙を得ることができるので非常に好ましい。
【0021】
本発明において、シリカ分散液を調製する方法は、特に制限されないが、極性溶媒中に予めシリカを予備分散させて予備分散液を調製した後に、予備分散液中のシリカ粒子を平均粒子径300nm未満まで粉砕するための高度な粉砕分散処理を施す方法が好適に採用される。
【0022】
なお、ここでいう予備分散とは、極性溶媒中に均一にシリカを分散することや、緩やかな凝集粒子を解砕して分散することなどを意味している。また、粉砕分散とは、強固な凝集粒子よりなるシリカ粒子を砕いて微粒子化することを意味するが、同時に起こる緩やかな凝集粒子よりなるシリカ粒子の凝集をほぐす解砕や分散も含まれる。
【0023】
極性溶媒中において予めシリカを予備分散し、予備分散液を調製するために用いる分散機は特に制限されないが、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼を有する一般攪拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型攪拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型攪拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサーなどの乳化機が挙げられる。
【0024】
また、予備分散液中のシリカ粒子を平均粒子径300nm未満まで粉砕するための上記の高度な粉砕分散処理方法は特に制限されないが、ビーズミル、サンドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いた粉砕分散処理が挙げられる。中でも高圧ホモジナイザーを用いた粉砕分散処理が好ましい。
【0025】
高圧ホモジナイザーの代表例を具体的に例示すると、ナノマイザー製の商品名;ナノマイザー、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びスギノマシン製のアルティマイザーなどを挙げることができる。上記の高圧ホモジナイザーを用いて、極性溶媒中にシリカが分散した予備分散液を、処理圧力300kgf/cm以上で対向衝突させるか、或いはオリフィスの入口側と出口側の差圧が300kgf/cm以上の条件でオリフィスを通過させることによって平均粒子径300nm未満のシリカ分散液を得ることができる。
【0026】
本発明において、シリカ分散液中のシリカ濃度は、10重量%以上であることが好ましい。シリカ分散液中のシリカ濃度が10重量%より少ないと、塗工液の原料などに用いる場合、塗工工程において一回の塗工で十分な厚みの塗工層が得られなかったり、塗工後乾燥する際のエネルギー効率が悪くなるので好ましくない。また、物流コストの面からもシリカ濃度は高い方が非常に好ましい。
【0027】
本発明に用いられるカチオン性樹脂水溶液は、極性溶媒中にカチオン性樹脂を混合した溶液であり、カチオン性樹脂は、平均分子量が5万以下の環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂であることが必要である。
【0028】
本発明に用いられる環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂は、ジアリルアンモニウム塩及びその誘導体を重合して得られる環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂であり、具体例としては、下記の式(1)又は式(2)で示される繰り返し単位を有するジアリルアンモニウム塩及びその誘導体の重合体、式(1)又は式(2)で示される繰り返し単位10〜90モル%とジアリルアンモニウム塩及びその誘導体と共重合可能なモノマーに基づく繰り返し単位90〜10モル%とを有する共重合体を挙げることができる。
【0029】
【化1】
Figure 0003871260
【0030】
式(1)、(2)においてR及びRは、水素原子又はメチル基を表す。ジアリルアンモニウム塩及びその誘導体と共重合可能なモノマーに基づく繰り返し単位としては、具体的には、アクリルアミド、モノアリルアミン塩酸塩等に基づく繰り返し単位が挙げられる。
【0031】
平均分子量5万以下の環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂を用いた場合、シリカ分散液とカチオン性樹脂水溶液との混合時に、シリカ粒子同士が再凝集する現象がほとんど発生しないので、混合液粘度の急激な上昇を防止することができる。したがって、シリカ分散液とカチオン性樹脂水溶液との混合時に、凝集物が発生し、混合液の粘度が急上昇する従来の方法と比較して、シリカ分散液とカチオン性樹脂との混合時のエネルギー消費量を低減でき、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造に要するエネルギー原単位を削減することが可能となる。
【0032】
環状アンモニウム塩型以外の構造のカチオン性樹脂、又は平均分子量が5万を越えた環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂を用いたカチオン性樹脂水溶液を、シリカ分散液と混合すると、原因は不明ではあるが、分散液中において、シリカ粒子の凝集が起こり、混合液の粘度が上昇し、混合時のエネルギー消費量が増加する。また、混合後に凝集したシリカ粒子を再び粉砕分散する必要があり、カチオン性樹脂シリカ分散液の製造に必要なエネルギー消費量が更に増加する。
【0033】
本発明においては、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を得るためには、シリカ分散液とカチオン性樹脂水溶液とを混合すれば良い。上記したように、カチオン性樹脂水溶液として平均分子量が5万以下の環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂水溶液を用いることにより、平均粒子径が300nm未満のシリカが分散したシリカ分散液とカチオン性樹脂水溶液とを混合すると、混合後にビーズミル、サンドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いて粉砕分散することなく平均粒子径が300nm未満のシリカが分散したカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることができる。
【0034】
本発明において、カチオン性樹脂水溶液とシリカ分散液とを混合する方法は特に制限されないが、カチオン性樹脂水溶液に、シリカ分散液を混合する方法がシリカ粒子の凝集がより生じにくいので好ましい。シリカ分散液にカチオン性樹脂水溶液を混合する方法でも可能ではあるが、混合時にシリカ粒子が軟凝集し、粘度が上昇する傾向がある。これは、混合時間を長くすれば、シリカの軟凝集が解砕され、粘度を低減できるが、混合時間の長期化により、混合に要するエネルギー消費量が増加するので好ましくない。
【0035】
なお、ここでいう混合とは、シリカ分散液とカチオン性樹脂水溶液とを均一に混合するという意味だけではなく、同時に起こる緩やかな凝集粒子によるシリカ粒子の凝集をほぐす解砕や分散をも含む。
【0036】
上記の混合に用いる混合機は特に制限されないが、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼を有する一般攪拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型攪拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型攪拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサーなどの乳化機が挙げられる。
【0037】
本発明のより好ましい方法としては、極性溶媒中に平均粒子径300nm未満のシリカが分散したシリカ分散液をカチオン性樹脂水溶液に徐々に添加しながら上記した混合機により混合する方法を示すことができる。シリカ分散液とカチオン性樹脂水溶液との混合時間は、混合量や混合機の種類にもよるが、3分〜3時間程度であることが好ましい。
【0038】
混合時間を3分〜3時間程度とすることにより、混合時のエネルギー消費量を抑制しつつ十分に混合されたカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることができる。
【0039】
本発明において、カチオン性樹脂の使用量は、シリカ100重量部に対して、1〜30重量部、特に1〜15重量部が好ましい。カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のカチオン性樹脂の量が、シリカ100重量部に対して1重量部より少なくなるように調整した場合、シリカ粒子の表面電荷のバランスが不均一となり、平均分子量が5万以下の環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂を使用しても、シリカ粒子が強固な凝集を起こし易くなる傾向がある。また、カチオン性樹脂の量がシリカ100重量部に対して30重量部よりも多くなるように調整した場合、シリカ粒子の細孔やシリカ粒子間の細孔がカチオン性樹脂により埋められ、インクジェット用記録紙の塗工液の原料として使用すると、インクを保持する能力を低下させる傾向がある。
【0040】
本発明において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液中における、粒子の表面電荷の指標となるゼータ電位は、高いほど得られるインクジェット用記録紙の耐水性を高めることができ、一般に、+10mV以上、好ましくは+20mV以上、さらに好ましくは+30mV以上であることが好ましい。
【0041】
上記ゼータ電位は、カチオン性樹脂の混合量を多く調整することにより高くすることができるが、混合するカチオン性樹脂の種類によりゼータ電位の上昇幅は異なるため、予め実験により、最適な添加量を前記添加量より選択することが好ましい。
【0042】
尚、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の保存安定性や分散性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤や防黴剤等を少量添加しても良い。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0044】
なお、以下の方法によって、シリカ分散液の調製及びカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性測定を行った。
【0045】
(粘度測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液300gを500ml容器に採取し、プロペラ羽根(羽根形状櫂十字型、羽根外径600mmφ)を用いて、300rpmで10分間攪拌した。次に30℃の恒温槽に10分間つけた後、B型粘度計(トキメック製、BL)を用いて60rpmの条件でカチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度を測定した。
【0046】
(平均粒子径の測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液の濃度が10重量%となるように、該分散液をイオン交換水で希釈した後、光散乱回折式の粒度分布測定装置(コールター製、コールターLS−230)を用いて、体積基準算術平均径D50を測定し、この値を平均粒子径として採用した。
【0047】
(ゼータ電位の測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ粒子のゼータ電位をレーザーゼータ電位計(大塚電子製、LEZA−600)を用いて測定した。まず、シリカ分散液中のシリカ濃度を300ppmになるように10ppmのNaCl水溶液で希釈し、超音波バスで5分間分散した。次に、測定セルに該希釈液を入れて印加電圧80V、測定角度20°、測定温度25℃の条件で測定した。
【0048】
(製造エネルギー量の算出)
下記製造エネルギー量によりカチオン性樹脂変性シリカ分散液製造時のエネルギー消費量の増加を示した。シリカを極性溶媒中に分散する分散工程、シリカ分散液を粉砕分散する粉砕分散工程、カチオン性樹脂水溶液とシリカ分散液を混合する混合工程等の各工程において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造に要した電力原単位を計測し、下記式(3)により、製造エネルギー量(ΔE)を算出した。
【0049】
ΔE=Eu−Ewu (3)
ΔE:製造エネルギー量(Wh/kg)
Eu:カチオン性樹脂変性シリカ分散液製造に要した電力原単位
(Wh/kg)
Ewu:水を用いて、本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液製造と同じ
条件で装置を稼動させたときの電力原単位(Wh/kg)
【0050】
(脱水シリカケークの調製)
市販の珪酸ソーダと純水を反応槽中に珪酸ソーダの濃度が5%となるように投入した。反応槽の温度を40℃として、22wt%硫酸を用いて中和反応(中和率50%まで)を行った後、反応液の温度を95℃とした。この反応液に中和率が100%となるまで上記の硫酸を加えた。生成したシリカに濾過、洗浄操作を繰り返し、脱水シリカケーク(シリカ含有量15重量%)を得た。この脱水シリカケークを乾燥させたシリカの一次粒子径は10nmである。
【0051】
(シリカ分散液Aの調製)
純水500gに上記の脱水シリカケーク2,000gを徐々に添加し、液温度を30℃に維持しながら、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散して、予備分散液を得た。なお、予備分散液中のシリカの平均粒子径は50μmであった。この予備分散液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cmで、オリフィスを3回通過させて粉砕分散処理することにより、シリカ濃度12重量%のシリカ分散液を得た。以下、シリカ分散液Aと表現する。シリカ分散液Aの物性を表1に示した。
【0052】
(シリカ分散液Bの調製)
一次粒子径が10nmの乾式シリカ480gを純水1,920gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、予備分散液を得た。なお、予備分散液中のシリカの平均粒子径は10μmであった。この予備分散液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cmで、オリフィスを1回通過させて粉砕分散処理することにより、シリカ濃度20重量%のシリカ分散液を得た。以下、シリカ分散液Bと表現する。シリカ分散液Bの物性を表1に示した。
【0053】
実施例1
平均分子量40,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)120gにシリカ分散液A2,000gを徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みずほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)を用いて、4000rpmで5分間混合することにより、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0054】
比較例1
純水500gに上記の脱水シリカケーク2,000gを徐々に添加し、液温度を30℃に維持しながら、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散して、予備分散液を得た。なお、予備分散液中のシリカの平均粒子径は40μmであった。この予備分散液2,000gを平均分子量40,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)120gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みずほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合した後、高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザーLA−31)を用いて処理圧力800kgf/cmで、オリフィスを3回通過させて粉砕分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0055】
比較例2
カチオン性樹脂を平均分子量200,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)とする以外は実施例1と同様にして、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0056】
比較例3
カチオン性樹脂を平均分子量28,000のメタクリル酸エステルメチルクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)とする以外は実施例1と同様にして、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0057】
実施例2
カチオン性樹脂を平均分子量20,000のジアリルメチルアミン塩酸塩重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)とする以外は実施例1と同様にして、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0058】
実施例3
平均分子量40,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)100gにシリカ分散液B2,000gを徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みずほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)を用いて、4000rpmで5分間混合することにより、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0059】
比較例4
一次粒子径が10nmの乾式シリカ480gを純水1,920gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、予備分散液を得た。なお、予備分散液中のシリカの平均粒子径は10μmであった。この予備分散液2,000gを平均分子量40,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)100gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザーLA−31)を用いて処理圧力800kgf/cmで、オリフィスを1回通過させて粉砕分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0060】
実施例4
平均分子量9,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)100gにシリカ分散液B2,000gを徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みずほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)を用いて、4000rpmで5分間混合することにより、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0061】
比較例5
一次粒子径が10nmの乾式シリカ480gを純水1,920gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、予備分散液を得た。なお、予備分散液中のシリカの平均粒子径は10μmであった。この予備分散液2,000gを平均分子量9,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)100gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザーLA−31)を用いて処理圧力800kgf/cmで、オリフィスを1回通過させて分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0062】
比較例6
シリカ分散液Bをシリカ濃度が15重量%となるように純水で希釈した。この希釈したシリカ分散液B2,000gを平均分子量200,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)75gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みずほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)を用いて、4000rpmで5分間混合することにより、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0063】
比較例7
カチオン性樹脂を平均分子量10,000のポリアリルアミン塩酸塩重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)とする以外は比較例6と同様にして、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性及び製造エネルギー量を表1に示した。
【0064】
【表1】
Figure 0003871260
【0065】
実施例で得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、何れも該分散液中におけるシリカの平均粒子径が300nm未満であり、且つ、使用するカチオン性樹脂が同じ場合、平均粒子径が300nm以上のシリカが分散したシリカ分散液とカチオン性樹脂水溶液とを混合する従来の方法で製造したカチオン性樹脂変性シリカ分散液と比較して製造エネルギー量が約10〜20%低かった。また、環状アンモニウム塩型以外の構造のカチオン性樹脂水溶液、及び平均分子量が5万を越える環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂水溶液とシリカ分散液とを混合した場合は、粉砕分散していない混合後には何れも、平均粒子径が300nm以上であった。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明で理解されるように、本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法は、シリカ分散液とカチオン性樹脂水溶液とを混合した後に更に粉砕分散をしなくても、シリカ分散液中のシリカの平均粒子径とほぼ同じ平均粒子径のシリカを有する、ほとんどシリカの凝集のないカチオン性樹脂変性シリカを得ることができ、カチオン性樹脂変性シリカ分散液を低エネルギーで生産性良く製造することが可能となる。

Claims (1)

  1. 極性溶媒中に平均粒子径300nm未満のシリカが分散したシリカ分散液と、平均分子量が5万以下の環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂水溶液とを混合することを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法。
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