JP4083501B2 - カチオン性樹脂変性シリカ分散液及びその製造方法 - Google Patents

カチオン性樹脂変性シリカ分散液及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカを使用したインクジェット用記録紙の塗工液、新聞紙の内填剤、研磨剤、金属表面処理剤の調製に有用な新規のカチオン性樹脂変性シリカ分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット用記録紙の塗工液には、インク吸収層を形成するために微粒子のシリカやアルミナ等の無機微粉体が使用されている。上記微粒子のうち、特にシリカは分散性に優れており、好適に使用されている。
【0003】
一方、インクジェット用のインクとしては、一般に、アニオン性の化合物が使われることが多く、上記インク吸収層はカチオン性を有している方が、インクジェット用記録紙の画像濃度及び耐水性向上のために有利である。
【0004】
ところが、インク吸収層を形成する無機粉体としてシリカを用いた場合、粒子がアニオン性を呈するため、画像濃度や耐水性に問題があった。そのため、改善策としてシリカに第4級アンモニウム塩基等のカチオン性基を含むカチオン性樹脂を配合したカチオン性樹脂変性シリカ分散液が提案されており、例えば、特開平11−321079号公報には、乾式シリカ分散液を数平均分子量100,000以下のカチオン性樹脂水溶液に対して添加して混合する工程を含む、混合方法を特定したカチオン性樹脂変性シリカ分散液及びその製造方法が開示されている。
【0005】
また、特開2001−19421号公報には、ポリジアリルアミン誘導体の構成単位を有し、且つ数平均分子量が100,000以下であるカチオン性樹脂水溶液に乾式シリカ微粒子を20℃以下で添加、混合した工程を含む混合方法を特定したカチオン性樹脂変性シリカ分散液及びその製造方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
カチオン性樹脂変性シリカ分散液は、前述したようにインクジェット用紙の塗工液等に使用されるが、該カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ濃度が高いほど、当然塗工液中のシリカ濃度も高くできる。
【0007】
塗工液中のシリカ濃度は、高い方が塗工工程において一回の塗工で十分な厚みの塗工層が得られるうえ、塗工後乾燥する際のエネルギー効率が良くなるので、該カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ濃度は高ければ高いほど好ましい。また、物流コストの面からも該カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ濃度は高い方が非常に好ましい。
【0008】
しかしながら、前記したような従来の技術において、カチオン性樹脂水溶液とシリカを混合及び分散処理して得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ濃度が高くなると、該分散液の粘度が急激に上昇し、場合によっては、再分散が不可能なほどゲル化する問題があることから、シリカ濃度が高く、且つ安定なカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることは困難であった。
【0009】
したがって、シリカ濃度が高い場合でも、分散液全体がゲル化せずに安定性に優れたカチオン性樹脂変性シリカ分散液が望まれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カチオン性樹脂として、数平均分子量100,000以上のカチオン性樹脂と数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂であるものとの少なくとも2種類のカチオン性樹脂の混合物を用い、極性溶媒中にカチオン性樹脂及びシリカを分散せしめた分散液とすることにより、分散液中のシリカ濃度が15重量%以上であっても、分散液全体がゲル化せずに極めて安定で、インクジェット用記録紙にした際も優れた耐水性、耐光性、インク吸収性(以下、印刷物性とも言う)を示すカチオン性樹脂変性シリカ分散液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、極性溶媒中にシリカ及び、ジアリルアンモニウム塩及びその誘導体を重合して得られるカチオン性樹脂を分散せしめた分散液であって、該分散液中のカチオン性樹脂が数平均分子量100,000以上であるものと、7,000以下であるものとの少なくとも2種類のカチオン性樹脂の混合物からなり、該分散液中のシリカ濃度が15重量%以上で、且つシリカ粒子の平均粒子径が300nm未満であり、該分散液のシリカ濃度が1.5重量%における光散乱指数(n値)が2.0以上であることを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液及びその製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるカチオン性樹脂は、数平均分子量100,000以上のカチオン性樹脂と数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂との少なくとも2種類のカチオン性樹脂の混合物である。
【0013】
本発明において、数平均分子量100,000以上のカチオン性樹脂としては、好ましくは数平均分子量100,000〜200,000のものがよく、更に好ましくは数平均分子量180,000〜200,000のものがよい。一方、数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂としては、好ましくは数平均分子量500〜7,000のものがよく、更に好ましくは数平均分子量3,000〜7,000のものがよい。
【0014】
数平均分子量100,000以上のカチオン性樹脂として用いるカチオン性樹脂の数平均分子量が100,000より小さい場合には、インクジェット記録用紙にした際の耐水性が低下する。一方、数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂として用いるカチオン性樹脂の数平均分子量が7,000より大きい場合には、該分散液の粘度が高くなり、分散処理が困難になる。
【0015】
ここで、カチオン性樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーから求めたポリエチレンオキサイド換算値である。
【0016】
本発明に用いられるカチオン性樹脂の構造は、ジアリルアンモニウム塩及びその誘導体を重合して得られるカチオン性樹脂であり、特に高い安定性のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることができる。具体例としては、式(1)又は式(2)で示される繰り返し単位10〜90モル%と、該繰り返し単位と共重合可能なモノマーに基づく繰り返し単位90〜10モル%とを有する共重合体を挙げることができる。
【0017】
【化1】
Figure 0004083501
【0018】
式(1)、(2)において、R及びRは、水素原子又はメチル基を表わす。
【0019】
式(1)又は式(2)で示される繰り返し単位と共重合可能なモノマーに基づく繰り返し単位としては、好ましくは、アクリルアミド、モノアリルアミン塩酸塩に基づく繰り返し単位が挙げられる。
【0020】
本発明において、カチオン性樹脂の使用量は、シリカ100重量部に対して、3〜50重量部であることが、安定性が特に高いカチオン性樹脂変性シリカ分散液が得られるので好ましい。その中でも、更に好ましくは3〜20重量部である。
【0021】
カチオン性樹脂の混合比としては、数平均分子量100,000以上のカチオン性樹脂と数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂とを合わせた量がカチオン性樹脂の総量の70重量%〜100重量%であって、かつ数平均分子量100,000以上のカチオン性樹脂100重量部に対して、数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂が100重量部〜400重量部であることが、得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性が高く、且つインクジェット記録用紙にした際の印刷物性が優れたものが得られることから好ましい。更にはその中でも、数平均分子量100,000万以上のカチオン性樹脂100重量部に対して、数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂が150重量部〜400重量部であることが好ましい。
【0022】
カチオン性樹脂の添加量に対するカチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性は、添加するカチオン性樹脂の種類により異なるため、予め実験により、該分散液の粘度が製造工程におけるハンドリング性が適度に保たれるように、各カチオン性樹脂の添加量及び混合比を前記添加量及び混合比より選択することが好ましい。
【0023】
本発明に用いられるシリカは特には限定されない。従って、本発明には、湿式シリカ、乾式シリカ、ゾル−ゲル法シリカ等のような公知のシリカをいずれも原料として用いることができる。
【0024】
上記湿式シリカは、珪酸ソーダを鉱酸で中和して溶液中でシリカを析出させることにより形成される沈殿法シリカが代表的であり、ホワイトカーボンとも称されている。また、同様に珪酸ソーダを酸で中和することによって作られるゲル法シリカも使用することができる。更には、中和反応後に濾過及び洗浄を行っただけの、乾燥工程を施さない、脱水シリカケークも使用することができる。
【0025】
上記乾式シリカは、四塩化珪素などのシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られる、「ヒュームドシリカ」とも称されているものが何ら制限なく使用される。
【0026】
上記ゾル−ゲル法シリカは、一般にテトラメトキシシランやテトラエトキシシランなどのような珪素のアルコキシドを酸性或いはアルカリ性の含水有機溶媒中で加水分解することによって得られるものである。
【0027】
本発明において、上記したシリカのうち、溶媒中への分散が容易であることから乾式シリカが好適である。
【0028】
一般に、乾式シリカは、BET法による比表面積が30〜500m/gの範囲のものが入手可能であり、これらの乾式シリカは好適に使用できる。特に、比表面積が200〜500m/gの乾式シリカを用いたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、分散液の透明性が高くなるので好ましい。例えば、インクジェット用記録紙の塗工液の原料として用いた場合、分散液の透明性が高くなり、塗工層を光がよく透過するので、塗工層が透明となり、高い光沢性が発現する。
【0029】
本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液において、該分散液中のシリカ濃度は15重量%以上である。該分散液中のシリカ濃度が15重量%未満である場合には、塗工工程において一回の塗工で十分な厚みの塗工層が得られない、または塗工後乾燥する際のエネルギー効率が低下する。
【0030】
本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液において、シリカ濃度が1.5重量%における光散乱指数(以下、単にn値とも云う)は2.0以上である。n値が2.0未満である場合には、乾式シリカの分散性が不十分であるため、かかるカチオン性樹脂変性シリカ分散液を用いた場合、塗工液の透明性が不十分なものとなる。
【0031】
上記したn値は、分散液中のシリカの分散状態を表す指標であり、分散性が向上するにつれてこの値は大きくなる。
【0032】
なお、n値は、Journal of Ceramic Society of Japan,101〔6〕,707−712(1993)に記載の方法に準じて測定した値である。
【0033】
即ち、市販の分光光度計を用いて、光の波長(λ)が460nm〜700nmの範囲の分散液のスペクトルを測定することにより、吸光度(τ)を求め、log(λ)に対してlog(τ)をプロットし、下記式(3)を用いて直線の傾き(−n)を最小二乗法で求める。
【0034】
τ=αλ−n (3)
(ここで、τは吸光度、αは定数、λは光の波長、そしてnは光散乱指数を示す。)
【0035】
本発明において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカの平均凝集粒子径は300nm未満である。平均凝集粒子径が300nm以上である場合は、カチオン性樹脂変性シリカ分散液中でシリカが沈降して相分離する場合がある。好ましくは、平均凝集粒子径が50nm〜300nm未満の範囲である。
【0036】
本発明において用いられる極性溶媒は、シリカ及びカチオン性樹脂が分散し易い極性溶媒であれば特に制限はない。かかる極性溶媒としては、水が最も好ましい。勿論、水以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用でき、また、水と上記極性との混合溶媒も好適に使用できる。
【0037】
尚、シリカ粒子の保存安定性や分散性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤や防黴剤等を少量添加しても良い。
【0038】
本発明において、極性溶媒中にシリカとカチオン性樹脂とが混合又は分散したカチオン性樹脂変性シリカ分散液を製造する方法は特に制限されないが、極性溶媒中にシリカとカチオン性樹脂とを含有している予備混合液を調製した後に、該予備混合液中のシリカ粒子を好適な範囲の平均凝集粒子径まで微分散するための高度な分散手段を施す方法が好適に採用される。
【0039】
上記の、極性溶媒中にシリカ粒子及びカチオン性樹脂を含有している予備混合液を調製する方法は、特に制限されないが、極性溶媒中にカチオン性樹脂を混合した溶液に、シリカ粒子を直接混合する方法、極性溶媒中にシリカ粒子を分散した後に、カチオン性樹脂を混合する方法、シリカ粒子及びカチオン性樹脂をそれぞれ極性溶媒に混合した液を混合する方法などが挙げられる。
【0040】
上記の混合に用いる混合機は特に制限されないが、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼等を有する一般攪拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型攪拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型攪拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサーなどの乳化機が挙げられる。
【0041】
上記の混合機の中でも強力なせん断力を有する混合機が好適である。具体的には、高速回転せん断型攪拌機や、プロペラ羽根及びパドル翼に更に高速せん断型攪拌機を組み合せた複合型分散機、プラネタリーミキサーと高速回転遠心放射型攪拌機又は高速回転せん断型攪拌機を組み合わせた複合型分散機が挙げられる。
本発明において、カチオン性樹脂は数平均分子量100,000以上であるものと、7,000以下であるものと少なくとも2種のカチオン性樹脂の混合物であるが、該カチオン性樹脂の混合方法については、該2種以上のカチオン性樹脂をプロペラ羽根、タービン羽根等を有する一般攪拌器で混合し、極性溶媒中で、該混合したカチオン性樹脂とシリカを混合する方法を好ましい方法として挙げることができる。また、極性溶媒中でシリカと数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂とを先に混合した後に、それ以外のカチオン性樹脂を加えて混合する方法を混合時の増粘が起こりにくい場合があることから好ましい方法として挙げることができる。
【0042】
極性溶媒中にシリカ粒子及びカチオン性樹脂を含有している予備混合液を調製するときの温度(以下、単に予備混合温度という。)は、20℃から40℃の温度範囲で制御することが好ましい。
【0043】
予備混合を20℃から40℃の温度範囲で行うことにより、予備混合時に予備混合液内のシリカ粒子間の凝集が起こりにくく、得られる予備混合液の粘度も低くなる。
【0044】
更に本発明においては、該予備混合液に更に高度な分散処理を施してカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得るが、予備混合液の粘度が高いほど、高度な分散処理をして得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度も高くなる傾向にある。カチオン性樹脂変性シリカ分散液粘度が高くなると、以降に続く製造工程においてハンドリング性が低下するので好ましくない。
【0045】
予備混合温度を20℃から40℃の温度範囲に制御する方式は特に制限されないが、20℃から40℃の温度範囲において任意の一定温度となるように制御することが好ましい。
【0046】
本発明において、上記方法で得られた予備混合液は、求められる物性等によっては予備混合液をそのままインクジェット用記録紙の塗工液、新聞紙の内填剤、研磨剤、金属表面処理剤などの原料として用いることもできるが、予備混合に次いで、高度な分散処理を施すことにより、極めて安定性に優れた本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液が得られる。
【0047】
本発明において、上記の高度な分散処理方法は特に制限されないが、ビーズミル、サンドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いた分散処理が挙げられる。中でも高圧ホモジナイザーを用いた分散処理が好ましい。
【0048】
高圧ホモジナイザーの代表例を具体的に例示すると、ナノマイザー製の商品名;ナノマイザー、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びスギノマシン製のアルティマイザーなどを挙げることができる。上記の高圧ホモジナイザーを用いて、極性溶媒とシリカとカチオン性樹脂とを混合した混合溶液を、処理圧力300kgf/cm以上で対向衝突させるか、或いはオリフィスの入口側と出口側の差圧が300kgf/cm以上の条件でオリフィスを通過させることによって好適な範囲の平均凝集粒子径を持ったカチオン性樹枝変性シリカ分散液を得ることができる。
【0049】
上記の高度な分散処理による分散の程度は、前述したように得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカの平均凝集粒子径が、300nm未満の範囲、好ましくは50〜300nm未満の範囲となるように行う。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0051】
なお、以下の方法によってカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性測定を行った。
【0052】
(粘度の測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液300gを500cc容器に採取し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタックスT−25)を用いて、9,000rpmで5分間攪拌した。次に、30度の恒温槽に10分間つけた後、B型粘度計(トキメック製、BL)を用いて、60rpmの条件で測定し、安定性の評価を行った。
◎:粘度が300mPa・s未満 かなり安定で使用しやすい
○:粘度が300〜1000mPa・s未満 安定で使用できる
△:粘度が1000〜2000mPa・s未満 一応使用できる
×:粘度が2000mPa・s以上 不安定で使用しにくい
【0053】
(n値の測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液の可視光吸収スペクトルを、分光光度計(日本分光製、Ubest−35型)を用いて測定した。まず、光路長10mmのセルを用い、参照セル及び試料セルにそれぞれイオン交換水を満たし、全波長範囲にわたってゼロ点校正を行った。次に、カチオン性樹脂変性シリカ分散液のシリカ濃度が1.5重量%となるようにイオン交換水で希釈した後、試料セルに入れて、波長(λ)460〜760nmの吸光度(τ)を測定した。log(λ)及びlog(τ)をプロットし、前述した式(3)を用いて直線の傾き(−n)を最小二乗法で求めた。このようにして求められたnを光散乱指数として採用した。
【0054】
(平均粒子径の測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液のシリカ濃度が10重量%となるように、イオン交換水に希釈した後、光散乱回折式の粒度分布測定装置(コールター製、コールターLS−230)を用いて、体積基準算術平均径を測定し、この値を平均粒子径として採用した。
【0055】
なお、測定に際しては、水(分散媒)の屈折率1.332及びシリカの屈折率1.458をパラメーターとして入力した。
【0056】
(塗工試験)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液中に含まれるシリカ100重量部に対して、重合度1,700の10%PVA水溶液(クラレ社製、PVA117)に含まれるPVAを50重量部として、総量が約100gになるようにしたものをプロペラミキサーで攪拌・混合したものを塗工液とした。得られた塗工液をバーコーダー(バー;#50)でPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製、535−100ミクロン、A4版)の表面に塗布乾燥し、インクジェット記録シートを作成した。インクジェット記録シートにインクジェットプリンター(セイコーエプソン社製、PM700C)でベタ印刷、及びドット印刷を行った。得られたインクジェット記録シートについて、以下の項目の評価を行った。
【0057】
▲1▼耐水性
ベタ印刷を行ったインクジェット記録シートを止水中に2分浸漬させ、浸漬前後の色濃度を、マクベス色濃度計(マクベス社製、RD918)を用いて測定し、評価を行った。色落ちはない方が耐水性は高く優れていることを表す。
【0058】
◎:色落ちがほとんどなく、十分使用できるレベル
○:やや色落ちがみられるものの、使用できるレベル
△:かなり色落ちが多いものの、一応使用できるレベル
×:色落ちが激しく、使用できないレベル
【0059】
▲2▼耐光性
ベタ印刷を行ったインクジェット記録シートをキセノンフェードメーター(サンプラス社製、CPS+)で15時間照射を行い、照射前後の色濃度を、マクベス色濃度計(マクベス社製、RD918)を用いて測定し、評価を行った。色落ちはない方が耐光性は高く優れていることを表す。
【0060】
◎:色落ちがほとんどなく、十分使用できるレベル
○:やや色落ちがみられるものの、使用できるレベル
△:かなり色落ちが多いものの、一応使用できるレベル
×:色落ちが激しく、使用できないレベル
【0061】
▲3▼インク吸収性
ドット印刷を行ったインクジェット記録シートのドット部分を光学顕微鏡(オリンパス社製、SZH)で観察を行い、ドットの面積の大小で評価を行った。ドットは小さい方がインク吸収性は高く優れている。
【0062】
◎:ドットが小さく、十分使用できるレベル
○:ドットが比較的小さく、使用できるレベル
△:ドットがやや大きいものの、一応使用できるレベル
×:ドットが大きく、使用できないレベル
【0063】
実施例1
比表面積が300m/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)270gを純水1,230gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。次に、数平均分子量200,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度25重量%)37.8gと、数平均分子量5,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度25重量%)70.2gをプロペラミキサーで混合することにより、カチオン性樹脂混合溶液を得た。このカチオン性樹脂混合溶液に乾式シリカ分散液を徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cmで、オリフィスを1回通過させて分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
【0064】
実施例2
比表面積が300m/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)270gを純水1,230gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。次に、数平均分子量200,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度25重量%)21.6gと、数平均分子量5,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度25重量%)86.4gをプロペラミキサーで混合することにより、カチオン性樹脂溶液を得た。このカチオン性樹脂溶液に乾式シリカ分散液を徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cmで、オリフィスを1回通過させて分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
【0065】
実施例3
比表面積が300m/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)270gを純水1,230gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。次に、数平均分子量200,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度25重量%)54gと、数平均分子量5,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度25重量%)54gをプロペラミキサーで混合することにより、カチオン性樹脂溶液を得た。このカチオン性樹脂溶液に乾式シリカ分散液を徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cmで、オリフィスを1回通過させて分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
【0066】
比較例1
比表面積が300m/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)270gを純水1,230gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。次に、数平均分子量200,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度25重量%)37.8gと、数平均分子量20,000のジアリルメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度60重量%)29.3gをプロペラミキサーで混合することにより、カチオン性樹脂溶液を得た。このカチオン性樹脂溶液に乾式シリカ分散液を徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合したところ、乾式シリカ添加直後に分散液全体がゲル化し、分散不可能となった。
【0067】
比較例2
比表面積が300m/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)270gを純水1,230gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。次に、数平均分子量20,000のジアリルメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度60重量%)15.5gと、数平均分子量5,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度25重量%)70.2gをプロペラミキサーで混合することにより、カチオン性樹脂溶液を得た。このカチオン性樹脂溶液に乾式シリカ分散液を徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cmで、オリフィスを1回通過させて分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
【0068】
比較例3
比表面積が300m/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)270gを純水1,230gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。この乾式シリカ分散液を数平均分子量200,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度25重量%)108gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合したところ、乾式シリカ添加直後に分散液全体がゲル化し、分散不可能となった。
【0069】
【表1】
Figure 0004083501
【0070】
実施例1〜3で得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、分散液中のシリカ濃度が15重量%以上であっても、凝集すること無く、極めて安定であり、インクジェット用記録紙にした際の印刷物性も優れていることが確認された。
【0071】
一方、比較例1、及び3では、得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液が安定なものを得ることができなかった。また、比較例2ではシリカ濃度が15重量%以上のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることができたが、インクジェット用記録紙にした際の印刷物性が劣っていた。
【0072】
【発明の効果】
以上の説明で理解されるように、本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、カチオン性樹脂をチオン性樹脂が数平均分子量100,000以上であるものと、7,000以下であるものとの少なくとも2種類のカチオン性樹脂の混合物とすることにより、該分散液中のシリカ濃度が15重量%以上であるにも関わらず、製造時においてゲル化せず、安定性に優れ、インクジェット用記録紙の塗工液、新聞紙の内填剤、研磨剤、金属表面処理剤等にも好適に使用することができる。
【0073】
特に、インクジェット用記録紙の塗工液として用いた場合には、印刷物性にも優れている。

Claims (3)

  1. 極性溶媒中にシリカ及び、ジアリルアンモニウム塩及びその誘導体を重合して得られるカチオン性樹脂を分散せしめた分散液であって、該分散液中のカチオン性樹脂の数平均分子量100,000以上であるものと、7,000以下であるものとの少なくとも2種類のカチオン性樹脂の混合物からなり、該分散液中のシリカ濃度が15重量%以上で、且つシリカ粒子の平均粒子径が300nm未満であり、該分散液のシリカ濃度が1.5重量%における光散乱指数(n値)が2.0以上であることを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液。
  2. カチオン性樹脂の量がシリカ100重量部に対して3〜50重量部であって、数平均分子量100,000以上のカチオン性樹脂と数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂とを合わせた量がカチオン性樹脂の総量の70重量%〜100重量%、かつ数平均分子量100,000以上のカチオン性樹脂100重量部に対して、数平均分子量7,000以下のカチオン性樹脂が100重量部〜400重量部であることを特徴とする請求項1記載のカチオン性樹脂変性シリカ分散液。
  3. 極性溶媒、シリカ及びカチオン性樹脂を混合した後に、高圧ホモジナイザーによる分散処理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載のカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法。
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