JP3967570B2 - カチオン性樹脂変性シリカ分散液及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式シリカを使用したインクジェット用記録紙の塗工液、新聞紙の内填剤、研磨剤、金属表面処理剤の調製に有用な新規のカチオン性樹脂変性シリカ分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット用記録紙の塗工液には、インク吸収層を形成するために微粒子のシリカやアルミナ等の無機微粉体が使用されている。上記微粒子のうち、特にシリカ、とりわけ乾式シリカは、分散性に優れており、好適に使用されている。
【0003】
一方、インクジェット用のインクとしては、一般に、アニオン性の化合物が使われることが多く、上記インク吸収層はカチオン性を有している方が、インクジェット用記録紙の画像濃度及び耐水性向上のために有利である。
【0004】
ところが、インク吸収層を形成する無機粉体として乾式シリカを用いた場合、粒子がアニオン性を呈するため、画像濃度や耐水性に問題があった。そのため、改善策として乾式シリカに第4級アンモニウム塩基等のカチオン性基を含むカチオン性樹脂を配合したカチオン性樹脂変性シリカ分散液が提案されており、例えば、特開平11−321079号公報には、乾式シリカ分散液を平均分子量10万以下のカチオン性樹脂水溶液に対して添加して混合する工程を含む、混合方法を特定したカチオン性樹脂変性シリカ分散液及びその製造方法が開示されている。
【0005】
また、特開2001−19421号公報には、ポリジアリルアミン誘導体の構成単位を有し、且つ平均分子量が10万以下であるカチオン性樹脂水溶液に乾式シリカ微粒子を20℃以下で添加、混合した工程を含む混合方法を特定したカチオン性樹脂変性シリカ分散液及びその製造方法が開示されている。
【0006】
また、金属表面処理剤としては、金属の耐食性や塗料の密着性を向上させるために、シリカ分散液にカチオン性樹脂を配合した処理剤が提案されており、例えば、特開昭56−24470号公報には、カチオン性樹脂水溶液に水分散性コロイダルシリカを攪拌下に加える方法が開示されている。
【0007】
しかし、従来の技術により得られた上記のカチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ濃度は、いずれも25重量%以下である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
カチオン性樹脂変性シリカ分散液は、前述したようにインクジェット用紙の塗工液等に使用されるが、該カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ濃度が高いほど、当然塗工液中のシリカ濃度も高くできる。
【0009】
塗工液中のシリカ濃度は、高い方が塗工工程において一回の塗工で十分な厚みの塗工層が得られたり、塗工後乾燥する際のエネルギー効率が良くなるので、該カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ濃度は高ければ高いほど好ましい。
【0010】
また、物流コストの面からも該カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカ濃度は高い方が非常に好ましい。
しかしながら、前記したように従来の技術において、カチオン性樹脂水溶液とシリカを混合及び分散処理して得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、該分散液中のシリカ濃度はいずれも25重量%以下であった。しかも、該分散液中のシリカ濃度は18重量%を越えたあたりから、シリカ濃度が1%でも高くなると、該分散液の粘度が急激に上昇し、場合によっては、再分散が不可能なほどゲル化する問題もあった。
【0011】
また、平均分子量が数万から10万程度のカチオン性樹脂水溶液を用いて、シリカ濃度が20〜25重量%以上のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を製造しようとすると、製造中にシリカ粒子が凝集してしまい、カチオン性樹脂変性シリカ分散液全体がゲル化するという問題もあり、シリカ濃度が25重量%以上でありながら、安定なカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることが困難であった。
【0012】
したがって、シリカ濃度が高く、且つ安定性に優れているカチオン性樹脂変性シリカ分散液が望まれる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、比表面積が150m2/g以下の乾式シリカとカチオン性樹脂水溶液とを極性溶媒中で混合及び分散することにより、分散液中のシリカ濃度が25重量%以上であっても、極めて安定なカチオン性樹脂変性シリカ分散液が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、極性溶媒中に乾式シリカ及びカチオン性樹脂を分散せしめた分散液であって、該乾式シリカの比表面積が150m2/g以下、該分散液中のシリカ濃度が25重量%以上であり、且つ該分散液中のシリカ濃度が1.5重量%における光散乱指数(n値)が2.0以上であることを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる乾式シリカ粉末は、四塩化珪素などのシラン系ガスを酸水素炎中で燃焼させて得られる、「ヒュームドシリカ」とも称されているものが何ら制限なく使用される。
【0016】
一般に、乾式シリカは、BET法による比表面積が30〜500m2/gの範囲のものが入手可能であるが、本発明に用いられる乾式シリカは、比表面積が150m2/g以下の乾式シリカであり、中でも、比表面積が50〜150m2/gの範囲の乾式シリカが好ましい。
【0017】
比表面積が150m2/gを越えた乾式シリカを用いて、シリカ濃度が25重量%以上のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を製造した場合、該分散液の粘度が上昇し、再分散が不可能なほど強固にゲル化する問題がある。
【0018】
比表面積が150m2/g以下の乾式シリカを用いた場合、該分散液がゲル化しない原因について本発明者等も明確には説明できないが、極性溶媒と乾式シリカ粉の混合物が分散液になるまでのプロセスの推定から、以下のように考えられる。
【0019】
乾式シリカ粒子は、一次粒子が凝集した凝集構造を有している凝集粒子を形成しているため、極性溶媒中にシリカ粒子を添加したとき、添加されたシリカ粒子は極性溶媒をすばやく粒子内に取り込む特徴がある。
【0020】
したがって、極性溶媒に乾式シリカ粉を添加し、混合物を攪拌及び分散することにより、シリカの凝集構造が崩れ、シリカ凝集粒子中に取り込まれていた極性溶媒が粒子外部に放出され、分散液化するものと推定される。
【0021】
比表面積の低い乾式シリカは、シリカ凝集粒子中に取り込む極性溶媒の量が少なく、且つ取り込んだ極性溶媒を放出し易い条件が整っているのではないかと推定される。
【0022】
以上の考察から、比表面積が150m2/g以下の乾式シリカを使用することによって、シリカ濃度が25重量%以上であり、且つ保存安定性に優れているカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることが可能になると推定される。
【0023】
本発明において、カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のシリカの平均凝集粒子径は、10〜1000nmの範囲、好ましくは50nm〜300nmの範囲が好ましい。
【0024】
平均凝集粒子径が10nmよりも小さい場合は、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度が高くなり、例えば、インクジェット記録紙用塗工液とした場合は、扱い難いことがある。平均凝集粒子径が1000nmよりも大きい場合は、カチオン性樹脂変性シリカ分散液中で乾式シリカが沈降して相分離し易くなる可能性がある。
【0025】
本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液において、シリカ濃度が1.5重量%における光散乱指数(以下、単にn値とも云う)が2.0以上に調整されたものは、乾式シリカの分散性が特に優れ、かかるカチオン性樹脂変性シリカ分散液を用いることによって、透明性の高い塗工液が製造することができるため好ましい。
【0026】
上記したn値は、分散液中のシリカの分散状態を表す指標であり、分散性が向上するにつれてこの値は大きくなる。
【0027】
なお、n値は、Journal of Ceramic Society of Japan,101〔6〕,707−712(1993)に記載の方法に準じて測定した値である。
【0028】
即ち、市販の分光光度計を用いて、光の波長(λ)が460nm〜700nmの範囲の分散液のスペクトルを測定することにより、吸光度(τ)を求め、log(λ)に対してlog(τ)をプロットし、下記式(1)を用いて直線の傾き(−n)を最小二乗法で求める。
【0029】
τ=αλ−n (1)
(ここで、τは吸光度、αは定数、λは光の波長、そしてnは光散乱指数を示す。)
本発明に用いられるカチオン性樹脂は、水に溶解したときに解離してカチオン性を呈する樹脂であれば特に制限されず、公知のカチオン性樹脂が特に制限なく使用できる。
【0030】
その中でも、ジアリルアンモニウム塩及びその誘導体を重合して得られる環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂であることが好ましい。具体例としては、下記の式(2)又は式(3)で示される繰り返し単位を有するジアリルアンモニウム塩及びその誘導体の重合体、式(2)又は式(3)で示される繰り返し単位10〜90モル%とジアリルアンモニウム塩及びその誘導体と共重合可能なモノマーに基づく繰り返し単位90〜10モル%とを有する共重合体を挙げることができる。
【0031】
【化1】
【0032】
式(2)、(3)において、R1及びR2は、水素原子又はメチル基を表わす。
【0033】
ジアリルアンモニウム塩及びその誘導体と共重合可能なモノマーに基づく繰り返し単位としては、好ましくは、アクリルアミド、モノアリルアミン塩酸塩に基づく繰り返し単位が挙げられる。
【0034】
環状アンモニウム塩型の構造を有しているカチオン性樹脂を用いて、分散液中のシリカ濃度が25重量%以上のカチオン性樹脂を製造した場合、原因については不明であるが、得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性が向上する。
【0035】
また、カチオン性樹脂の分子量は、得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性などの点から平均分子量が500〜20万の範囲であることが好ましい。
【0036】
本発明において特に好適なカチオン性樹脂は、平均分子量500〜20万である、上記(2)又は式(3)で示される繰り返し単位を有するジアリルアンモニウム塩及びその誘導体の重合体、式(2)又は式(3)で示される繰り返し単位10〜90モル%とアクリルアミド、モノアリルアミン塩酸塩に基づく繰り返し90〜10モル%とを有する共重合体から選ばれるカチオン性樹脂である。
【0037】
本発明において、カチオン性樹脂の使用量は、シリカ100重量部に対して、1〜50重量部、特に1〜15重量部が好ましい。カチオン性樹脂変性シリカ分散液中のカチオン性樹脂の量が、乾式シリカ100重量部に対して1重量部より少なくなるように調整した場合、乾式シリカ粒子の表面電荷のバランスが不均一となり、該シリカ粒子が強固な凝集を起こし易くなる傾向がある。また、カチオン性樹脂の量がシリカ100重量部に対して50重量部より多くなるように調整した場合、粘度が高くなり、分散処理が困難になる場合がある。
【0038】
また、カチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度が高くなると、以降に続く製造工程においてハンドリング性が低下するので好ましくない。カチオン性樹脂の添加量に対するカチオン性樹脂変性シリカ分散液の安定性は、添加するカチオン性樹脂の種類により異なるため、予め実験により、該分散液の粘度が一番低くなる最適な添加量を前記添加量より選択することが好ましい。
【0039】
本発明において用いられる極性溶媒は、乾式シリカ及びカチオン性樹脂が分散し易い極性溶媒であれば特に制限はない。かかる極性溶媒としては、水が最も好ましい。勿論、水以外にもメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エーテル類、ケトン類などの極性溶媒が使用でき、また、水と上記極性との混合溶媒も好適に使用できる。
【0040】
尚、シリカ粒子の保存安定性や分散性を向上させるために、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤や防黴剤等を少量添加しても良い。
【0041】
本発明において、極性溶媒中に乾式シリカとカチオン性樹脂を混合・分散してカチオン性樹脂変性シリカ分散液を製造する方法は特に制限されないが、極性溶媒、乾式シリカ粒子及びカチオン性樹脂を予め混合して、極性溶媒中に乾式シリカとカチオン性樹脂を含有している予備混合液を調製した後に、必要に応じて予備混合液中のシリカ粒子を好適な範囲の平均凝集粒子径まで微分散するための高度な分散手段を施す方法が好適に採用される。
【0042】
上記の極性溶媒、乾式シリカ粒子及びカチオン性樹脂を予め混合する方法は、特に制限されないが、極性溶媒中にカチオン性樹脂を混合した溶液に、乾式シリカ粒子を直接混合する方法、極性溶媒中に乾式シリカ粒子を分散した後に、カチオン性樹脂を混合する方法、乾式シリカ粒子及びカチオン性樹脂をそれぞれ極性溶媒に混合した液を混合する方法などが挙げられる。
【0043】
上記の混合に用いる混合機は特に制限されないが、プロペラ羽根、タービン羽根、パドル翼等を有する一般攪拌機、ディスパーミキサー等の高速回転遠心放射型攪拌機、ホモジナイザー、ホモミキサー、ウルトラミキサー等の高速回転せん断型攪拌機、コロイドミル、プラネタリーミキサーなどの乳化機が挙げられる。
【0044】
上記の混合機の中でも強力なせん断力を有する混合機が好適である。具体的には、高速回転せん断型攪拌機や、プロペラ羽根及びパドル翼に更に高速せん断型攪拌機を組み合せた複合型分散機、プラネタリーミキサーと高速回転遠心放射型攪拌機又は高速回転せん断型攪拌機を組み合わせた複合型分散機が挙げられる。
【0045】
極性溶媒、乾式シリカ粒子及びカチオン性樹脂を予め混合するときの温度(以下、単に予備混合温度と云う。)は、20℃から40℃の温度範囲で制御することが好ましい。
【0046】
予備混合温度は、高くなるほど予備混合液の粘度は低くなるが、40℃を超えると予備混合液内のシリカ粒子が凝集し易くなり、予備混合液の粘度が急上昇して予備混合液がゲル化する傾向にある。また、予備混合温度が20℃未満の場合も、予備混合液の粘度が上昇する傾向にある。
【0047】
更に本発明においては、該予備混合液に更に高度な分散処理を施してカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることが好ましいが、予備混合液の粘度が高いほど、高度な分散処理をして得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度も高くなる傾向にある。カチオン性樹脂変性シリカ分散液粘度が高くなると、以降に続く製造工程においてハンドリング性が低下するので好ましくない。
【0048】
予備混合温度を20℃から40℃の温度範囲に制御する方式は特に制限されないが、20℃から40℃の温度範囲において任意の一定温度となるように制御することが好ましい。
【0049】
本発明において、上記方法で得られた予備混合液は、用途によっては予備混合液をそのままカチオン性樹脂変性シリカ分散液として用いることもできるが、予備混合に次いで、高度な分散処理を施すことにより、極めて安定性に優れ、これを使用して塗工液を調製するときにも安定性に優れたカチオン性樹脂変性シリカ分散液が得られる。
【0050】
本発明において、上記の高度な分散処理方法は特に制限されないが、ビーズミル、サンドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等を用いた分散処理が挙げられる。中でも高圧ホモジナイザーを用いた分散処理が好ましい。
【0051】
高圧ホモジナイザーの代表例を具体的に例示すると、ナノマイザー製の商品名;ナノマイザー、マイクロフルイディクス製の商品名;マイクロフルイダイザー、及びスギノマシン製のアルティマイザーなどを挙げることができる。上記の高圧ホモジナイザーを用いて、極性溶媒とシリカとカチオン性樹脂とを混合した混合溶液を、処理圧力300kgf/cm2以上で対向衝突させるか、或いはオリフィスの入口側と出口側の差圧が300kgf/cm2以上の条件でオリフィスを通過させることによって好適な範囲の平均凝集粒子径を持ったカチオン性樹枝変性シリカ分散液を得ることができる。
【0052】
上記高圧ホモジナイザーによる分散の程度は、前述したように得られるカチオン性樹脂変性シリカ分散液中の平均凝集粒子径が、10〜1000nmの範囲、好ましくは50〜300nmの範囲となるように行うことが好ましい。
【0053】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0054】
なお、以下の方法によってカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性測定を行った。
(粘度測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液300gを500cc容器に採取し、ホモジナイザー(イカ製、ウルトラタラックスT−25)を用いて、20,000rpmで5分間攪拌した。次に30℃の恒温槽に10分間つけた後、B型粘度計(トキメック製、BL)を用いて60rpmの条件でカチオン性樹脂変性シリカ分散液の粘度を測定した。
(n値の測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液の可視光吸収スペクトルを、分光光度計(日本分光製、Ubest−35型)を用いて測定した。まず、光路長10mmのセルを用い、参照セル及び試料セルにそれぞれイオン交換水を満たし、全波長範囲にわたってゼロ点校正を行った。次に、カチオン性樹脂変性シリカ分散液のシリカ濃度が1.5重量%となるようにイオン交換水で希釈し、試料セルに入れて、波長(λ)460〜760nmの吸光度(τ)を測定した。log(λ)及びlog(τ)をプロットし、前述した式(5)を用いて直線の傾き(−n)を最小二乗法で求めた。このようにして求められたnを光散乱指数として採用した。
(平均粒子径の測定)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液のシリカ濃度が10重量%となるように、該分散液をイオン交換水に希釈した後、光散乱回折式の粒度分布測定装置(コールター製、コールターLS−230)を用いて、体積基準算術平均径D50を測定し、この値を平均径として採用した。
【0055】
なお、測定に際しては、水(分散媒)の屈折率1.332及びシリカの屈折率1.458をパラメーターとして入力した。
(保存安定性)
カチオン性樹脂変性シリカ分散液の保存安定性は、該分散液がゲル化して流動性がなくなるまでの日数を調べた。
【0056】
実施例1
比表面積が140m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−10)720gを純水1,570gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。この乾式シリカ分散液を分子量20,000のジアリルメチルアミン塩酸塩重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)110gに添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cm2で、オリフィスを1回通過させて分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
【0057】
実施例2
乾式シリカとして、比表面積が90m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−09)720gを用いた以外は、実施例1と全く同様にしてカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
【0058】
実施例3
比表面積が90m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−09)625gを純水1,680gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。この乾式シリカ分散液を分子量40,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)95gに添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cm2で、オリフィスを1回通過させて分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
【0059】
実施例4
比表面積が90m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−09)625gを純水1,620gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。この乾式シリカ分散液を分子量200,000のジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)155gに添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cm2で、オリフィスを1回通過させて分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
【0060】
実施例5
平均分子量20,000のジアリルメチルアミン塩酸塩重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度1.3重量%)1,680gに、比表面積が140m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−10)720gを徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合することにより予備混合液を得た。この予備混合液を高圧ホモジナイザー(ナノマイザー製、ナノマイザー、LA−31)を用いて処理圧力800kgf/cm2で、オリフィスを1回通過させて分散処理することによりカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得た。得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液の物性を表1に示した。
【0061】
比較例1
比表面積が300m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−30)600gを純水1,650gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。この乾式シリカ分散液を分子量20,000のジアリルメチルアミン塩酸塩重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)150gに添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合したところ、混合液全体が強固にゲル化し、再分散不可能となった。
【0062】
比較例2
比表面積が200m2/gの乾式シリカ(トクヤマ製、レオロシールQS−102)600gを純水1,710gに徐々に添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で分散することにより、乾式シリカ分散液を得た。この乾式シリカ分散液を分子量20,000のジアリルメチルアミン塩酸塩重合物水溶液(カチオン性樹脂濃度20重量%)90gに添加しながら、液温度を30℃に維持して、ウルトラミキサー(みづほ工業製、ウルトラミキサーLR−2)で混合したところ、混合液全体が強固にゲル化し、再分散不可能となった。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例1〜5で得られたカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、分散液中のシリカ濃度が25重量%以上であっても、製造後30日経過しても、凝集すること無く、極めて安定であることが確認された。
【0065】
一方、比較例1〜2では、製造途中に分散液全体が強固にゲル化してしまい、シリカ濃度が25重量%以上のカチオン性樹脂変性シリカ分散液を得ることができなかった。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明で理解されるように、本発明のカチオン性樹脂変性シリカ分散液は、乾式シリカを比表面積が150m2/g以下の乾式シリカとすることにより、該分散液中のシリカ濃度が25重量%以上であるにも関わらず、製造時においてゲル化せず、更に安定性に優れているため、インクジェット用記録紙の塗工液、新聞紙の内填剤、研磨剤、金属表面処理剤等にも好適に使用することができる。
Claims (3)
- 極性溶媒中に乾式シリカ及びカチオン性樹脂を分散せしめた分散液であって、該乾式シリカの比表面積が150m2/g以下、該分散液中のシリカ濃度が25重量%以上であり、且つ該分散液中のシリカ濃度が1.5重量%における光散乱指数(n値)が2.0以上であることを特徴とするカチオン性樹脂変性シリカ分散液。
- カチオン性樹脂が環状アンモニウム塩型のカチオン性樹脂である請求項1記載のカチオン性樹脂変性シリカ分散液。
- 極性溶媒、比表面積が150m2/g以下の乾式シリカ及びカチオン性樹脂を混合するときの温度を20℃から40℃の温度範囲で制御して混合した後に、処理圧力300kgf/cm 2 以上で高圧ホモジナイザーによる分散処理を行うことを特徴とする請求項1記載のカチオン性樹脂変性シリカ分散液の製造方法。
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