JP4958719B2 - 半導体集積回路 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体集積回路に関する。特に、本発明は、半導体集積回路の出力インピーダンス及びスルーレート(slew rate)を調整する技術に関する。
半導体集積回路の分野において、出力インピーダンスの調整やスルーレートの調整に関連する技術として、次のものが知られている。
特許文献1には、インピーダンス整合用の制御信号の生成方法が記載されている。当該従来技術によれば、複数のMOSFETが並列接続された被インピーダンス整合回路のレプリカ回路と外部基準抵抗が直列接続され、それらの接続点での電圧が基準電圧と比較される。インピーダンス制御回路は、その比較結果に基づいて、上記2つの電圧が等しくなるように、レプリカ回路中でONされるMOSFETの数を決定する制御信号を生成する。この制御信号は、レプリカ回路に供給される。また、この制御信号は、被インピーダンス整合回路にも供給され、それによりMOSFETの制御が行われる。
特許文献2には、スルーレートを調整するためのスルーレート調整回路が記載されている。当該従来技術によれば、プロセス条件や環境条件に依存せず、外部基準抵抗により自動的にスルーレートが設定される。具体的には、スルーレート調整回路は、外部基準抵抗によって設定される電流値に応じてプリバッファ部の動作電流を決定する。これによって、メインバッファ部への入力波形の傾きがプロセス条件や環境条件に依存せず一定となり、出力バッファ回路のスルーレートが制御される。
特許文献3には、外部からの制御信号にしたがって出力インピーダンスの切り替えが可能な出力バッファ回路が記載されている。また、この出力バッファ回路は、システムに実装された状態で、周囲環境の変動に対してクロスポイントやスルーレートの変動を十分に補償する。具体的には、その出力バッファ回路は、メインバッファ部とプリバッファ部とを備える。メインバッファ部は、複数のMOSFETを備え、負荷を駆動するMOSFETの数を外部からの制御信号に応じて変更することにより出力インピーダンスを切り替える。プリバッファ部は、外部からの制御信号に応じて駆動能力を変更し、スルーレートの制御を行う。すなわち、この出力バッファ回路は、外部から設定される出力インピーダンスに応じてスルーレートを補償するように構成されている。
特許文献4には、インピーダンス調整とスルーレート調整を互いに独立して行なうための技術が記載されている。当該従来技術に係る半導体集積回路装置は、出力回路と、第1制御手段と、第2制御手段を備えている。出力回路は、並列に接続された複数の出力MOSFETを備えている。第1制御手段は、インピーダンス調整コードに基づいて、複数の出力MOSFETのうちオンされるものを選択する。一方、第2制御手段は、スルーレート調整コードに基づいて、オンされる出力MOSFETの駆動信号を調整する。インピーダンス調整コードとスルーレート調整コードは別々であり、それにより、インピーダンスとスルーレートを互いに影響を及ぼすことなく独立に設定することが可能となる。
特開2004−32721号公報 特開2002−26712号公報 特開2003−188705号公報 特開2004−327602号公報
出力バッファの出力インピーダンスやスルーレートは、製造ばらつきによって、チップ毎にばらつく可能性がある。また、電源電圧や温度等の動作環境の変化によっても、出力インピーダンスやスルーレートは変動してしまう。これらばらつきや変動は、半導体集積回路の誤動作を招く可能性がある。例えば、スルーレートが大き過ぎる場合、オーバーシュートやリンギングといったノイズが顕著になり、そのノイズが半導体集積回路の誤動作を引き起こす。そのようなノイズを低減するために、出力インピーダンスを大きくすることによってスルーレートを小さくすることも考えられる。しかしながらその場合、出力パルスの振幅が十分大きくならず、結果として誤ったデータが出力される可能性がある。
従って、出力インピーダンスを所望の値に保ちつつ、且つ、スルーレートも所望の範囲内に制御することができる技術が望まれる。すなわち、出力インピーダンス及びスルーレートを共に一定値に調整することができる技術が望まれる。ここで、上述の特許文献4に記載された技術によれば、インピーダンス調整とスルーレート調整を互いに独立して行なうために、別々の制御手段及び別々の調整コードが必要である。このことは、回路面積の増大と制御の複雑化を招く。
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号を用いて、[課題を解決するための手段]を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明に係る半導体集積回路は、複数の出力トランジスタ(MP1〜MP3,MN1〜MN3)と、インピーダンス制御回路(100)と、スルーレート制御回路(10,20)とを備える。複数の出力トランジスタ(MP1〜MP3,MN1〜MN3)は、出力データ(DATA)が出力される出力端子(OUT)に接続される。インピーダンス制御回路(100)は、複数の出力トランジスタ(MP1〜MP3,MN1〜MN3)のうち出力データ(DATA)の出力時にONされる出力トランジスタを指定する指定信号(PA〜PC,NA〜NC)を生成する。スルーレート制御回路(10,20)は、それらONされる出力トランジスタのそれぞれを駆動する駆動信号(P1〜P3,N1〜N3)を指定信号(PA〜PC,NA〜NC)に基づいて生成し、且つ、それら駆動信号(P1〜P3,N1〜N3)のそれぞれの遅延時間を指定信号(PA〜PC,NA〜NC)に応じて可変に設定する。
出力インピーダンスは、データ出力時にONされる出力トランジスタを指定信号(PA〜PC,NA〜NC)で指定することによって制御される。つまり、ONされる出力トランジスタの数を調整することによって、出力インピーダンスを所望の値に制御することが可能である。一方、スルーレートは、それらONされる出力トランジスタのそれぞれのONタイミングを調整することによって制御可能である。そのために、ONされる出力トランジスタのそれぞれの駆動信号(P1〜P3,N1〜N3)の遅延時間が調整される。
ここで、本発明によれば、スルーレート制御回路(10,20)は、駆動信号(P1〜P3,N1〜N3)のそれぞれの遅延時間を上記指定信号(PA〜PC,NA〜NC)に基づいて設定する。言い換えれば、スルーレート制御回路(10,20)は、出力インピーダンスを所望の値に制御するための指定信号(PA〜PC,NA〜NC)に応じて、スルーレートも制御する。すなわち、ONされる出力トランジスタの数とそれらのONタイミングは互いに連関しており、出力インピーダンスの調整に連動してスルーレートも自動的に調整される。その結果、出力インピーダンスを所望の値に保ちつつ、且つ、スルーレートも所望の範囲内に制御することが可能となる。従って、出力パルスに関して十分な大きさの振幅が得られ、また、ノイズに起因する誤動作も防止される。
更に、本発明によれば、出力インピーダンス制御用のコードとスルーレート制御用のコードを別々に設ける必要はない。出力インピーダンスを所望の値に制御するための指定信号(PA〜PC,NA〜NC)は、同時に、スルーレートの制御にも寄与する。従って、回路面積の増大と制御の複雑化が防止される。
本発明によれば、出力インピーダンスを所望の値に保ちつつ、且つ、スルーレートも所望の範囲内に制御することが可能となる。従って、出力パルスに関して十分な大きさの振幅が得られ、また、ノイズに起因する誤動作も防止される。また、回路面積の増大と制御の複雑化が防止される。
添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る半導体集積回路を説明する。
1.構成
図1は、本実施の形態に係る半導体集積回路の構成を概略的に示す回路図である。図1において、半導体集積回路は、出力端子OUT、出力端子OUTに接続された出力バッファ1、及び出力バッファ1の出力インピーダンスを制御するインピーダンス制御回路100を備えている。
出力バッファ1には、例えばセンスアンプによってメモリセルから読み出されたデータDATAが、出力データとして供給される。そして、出力バッファ1は、その出力データDATAを、出力端子OUTを通して外部に出力する。図1に示されるように、この出力バッファ1は、プリバッファ10、メインバッファ11、プリバッファ20、及びメインバッファ21を備えている。
メインバッファ11は、電源と出力端子OUTとの間に並列に接続された出力トランジスタMP0〜MP3を有している。これら出力トランジスタMP0〜MP3は、PMOSトランジスタである。PMOSトランジスタMP0〜MP3の各々のソースは電源に接続されており、そのドレインは出力端子OUTに接続されている。また、PMOSトランジスタMP0〜MP3のそれぞれのゲートはプリバッファ10の出力に接続されており、それぞれのゲートには駆動信号P0〜P3が入力される。
プリバッファ10は、インバータ30、NAND31〜33、及び遅延回路51〜53を有している。インバータ30の入力端子には出力データDATAが入力される。NAND31の入力端子の一方には、遅延回路51を通して出力データDATAが入力され、その他方には、信号PAが入力される。NAND32の入力端子の一方には、遅延回路52を通して出力データDATAが入力され、その他方には、信号PBが入力される。NAND33の入力端子の一方には、遅延回路53を通して出力データDATAが入力され、その他方には、信号PCが入力される。インバータ30、NAND31〜33のそれぞれの出力端子は、出力トランジスタMP0〜MP3のゲートに接続されており、それぞれの出力信号が上述の駆動信号P0〜P3となる。このように、プリバッファ10は、出力データDATAに基づいて、その出力データDATAに応じた駆動信号P0を生成する。更に、プリバッファ10は、出力データDATAと信号PA〜PCに基づいて、出力データDATAに応じた駆動信号P1〜P3を生成する。信号PA〜PCの役割に関しては、後述される。
メインバッファ21は、グランドと出力端子OUTとの間に並列に接続された出力トランジスタMN0〜MN3を有している。これら出力トランジスタMN0〜MN3は、NMOSトランジスタである。NMOSトランジスタMN0〜MN3の各々のソースはグランドに接続されており、そのドレインは出力端子OUTに接続されている。また、NMOSトランジスタMN0〜MN3のそれぞれのゲートはプリバッファ20の出力に接続されており、それぞれのゲートには駆動信号N0〜N3が入力される。
プリバッファ20は、インバータ40、NOR41〜43、及び遅延回路61〜63を有している。インバータ40の入力端子には出力データDATAが入力される。NOR41の入力端子の一方には、遅延回路61を通して出力データDATAが入力され、その他方には、信号NAが入力される。NOR42の入力端子の一方には、遅延回路62を通して出力データDATAが入力され、その他方には、信号NBが入力される。NOR43の入力端子の一方には、遅延回路63を通して出力データDATAが入力され、その他方には、信号NCが入力される。インバータ40、NOR41〜43のそれぞれの出力端子は、出力トランジスタMN0〜MN3のゲートに接続されており、それぞれの出力信号が上述の駆動信号N0〜N3となる。このように、プリバッファ20は、出力データDATAに基づいて、その出力データDATAに応じた駆動信号N0を生成する。更に、プリバッファ20は、出力データDATAと信号NA〜NCに基づいて、出力データDATAに応じた駆動信号N1〜N3を生成する。信号NA〜NCの役割に関しては、後述される。
尚、図1において、出力トランジスタとして4個のPMOSトランジスタMP0〜MP3及び4個のNMOSトランジスタMN0〜MN3が例示されているが、出力トランジスタの総数は任意である。
2.インピーダンス制御
図1において、出力データDATAとして「1(Hレベル)」が出力される場合を考える。この場合、P側のプリバッファ10及びメインバッファ11が機能する。信号PA〜PCが全て「1」であれば、駆動信号P0〜P3は全て「0(Lレベル)」となる。結果として、メインバッファ11の全ての出力トランジスタMP0〜MP3がONする。しかしながら、信号PAが「0」の場合、駆動信号P1は「1」であり、出力トランジスタMP1がOFFする。つまり、ONされる出力トランジスタの数が減る。同様に、信号PBが「0」の場合、駆動信号P2は「1」であり、出力トランジスタMP2がOFFする。また、信号PCが「0」の場合、駆動信号P3は「1」であり、出力トランジスタMP3がOFFする。
このように、信号PA〜PCは、出力データDATAの出力時にONされる出力トランジスタを指定する「指定信号」としての役割を果たしている。言い換えれば、出力データDATAの出力時にONされる出力トランジスタの数は、指定信号PA〜PCによって制御され得る。ONされる出力トランジスタの数が大きくなるほど、出力トランジスタによる出力インピーダンスは小さくなり、その数が小さくなるほど、出力インピーダンスは大きくなる。すなわち、出力バッファ1の出力インピーダンスは、指定信号PA〜PCによって制御され得る。その意味で、指定信号PA〜PCを、「インピーダンス設定コード」と呼ぶことができる。
出力データDATAが「0」の場合も同様である。その場合、N側のプリバッファ20及びメインバッファ21が機能する。信号NA〜NCが全て「0」であれば、駆動信号N0〜N3は全て「1」となる。結果として、メインバッファ21の全ての出力トランジスタMN0〜MN3がONする。しかしながら、信号NAが「1」の場合、駆動信号N1は「0」であり、出力トランジスタMN1がOFFする。このように、信号NA〜NCは、出力データDATAの出力時にONされる出力トランジスタを指定する指定信号であり、出力インピーダンスを制御するための「インピーダンス設定コード」と呼ぶことができる。
図2は、インピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCのパターンと、ONされる出力トランジスタの数(以下、「ON数」と参照される)との対応を要約的に示している。本実施の形態において、インピーダンス設定コード{PA,PB,PC}は、{0,0,0}、{1,0,0}、{1,1,0}、及び{1,1,1}の4パターンのうちいずれかに設定される。また、インピーダンス設定コード{NA,NB,NC}は、{1,1,1}、{0,1,1}、{0,0,1}、及び{0,0,0}の4パターンのうちいずれかに設定される。これにより、ON数を1個〜4個の範囲で調整することが可能となる。
図1に示されたインピーダンス制御回路100は、このようなインピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCを生成し、出力バッファ1に対して出力するための回路である。出力データDATAの出力時のON数は、出力バッファ1に供給されるインピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCによって決定される。それにより、出力バッファ1の出力インピーダンスが、ある値に制御される。
出力インピーダンスは、製造ばらつきによって、チップ毎にばらつく可能性がある。また、電源電圧や温度等の動作環境の変化によっても、出力インピーダンスが変動する可能性がある。出力インピーダンスが所望の値から逸脱すると、所望の回路特性が得られなくなる。従って、インピーダンス制御回路100は、出力バッファ1の出力インピーダンスが所望の値(一定値)となるように、インピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCを適切な値に設定する。つまり、インピーダンス制御回路100は、インピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCのトリミングを行う機能も有する。
図3は、インピーダンス制御回路100の構成の一例を示している。図3において、インピーダンス設定コードPA〜PCのトリミングを行なうために、レプリカバッファ111、抵抗112、コンパレータ113、分割抵抗114、アップダウンカウンタ115、デコーダ116、及びラッチ回路117が設けられている。
レプリカバッファ111は、図1で示されたメインバッファ11と同一の構成を有しており、同一の駆動能力を有している。つまり、レプリカバッファ111は、並列に接続されたPMOSトランジスタMP0〜MP3を有している。PMOSトランジスタMP0は常時ONされる。PMOSトランジスタMP1〜MP3は、インピーダンス設定コードPA〜PCの反転信号PAB〜PCBによってそれぞれ駆動される。このレプリカバッファ111は、それら反転信号PAB〜PCBに応じて抵抗値が変わる可変抵抗であると言える。
その可変抵抗111と抵抗112による抵抗分割で得られる電位VPは、コンパレータ113の反転入力端子に入力される。コンパレータ113の非反転入力端子には、分割抵抗114によって生成される基準電位VREFが入力される。コンパレータ113は、電位VPと基準電位VREFとの比較を行い、その比較結果を示す結果信号SCをアップダウンカウンタ115に出力する。
結果信号SCがHレベルの間、アップダウンカウンタ115は、クロック信号CLKに基づいてカウントアップ動作を行なう。一方、結果信号SCがLレベルの間、アップダウンカウンタ115は、クロック信号CLKに基づいてカウントダウン動作を行なう。カウント値を示すカウントデータCNTは、デコーダ116に出力される。
デコーダ116は、カウントデータCNTをデコードし、インピーダンス設定コードPA〜PCと、それらの反転信号PAB〜PCBを生成する。例えば、2ビットのカウントデータCNTが“00”の場合、インピーダンス設定コード{PA,PB,PC}は{0,0,0}である。カウントデータCNTが“01”の場合、インピーダンス設定コード{PA,PB,PC}は{1,0,0}である。カウントデータCNTが“10”の場合、インピーダンス設定コード{PA,PB,PC}は{1,1,0}である。カウントデータCNTが“11”の場合、インピーダンス設定コード{PA,PB,PC}は{1,1,1}である。生成されたインピーダンス設定コードPA〜PCの反転信号PAB〜PCBは、レプリカバッファ111のトランジスタMP1〜MP3のそれぞれのゲートに供給される。
このような構成により、出力インピーダンスが所望の値になるように、インピーダンス設定コードPA〜PCがトリミングされる。すなわち、電位VPが基準電位VREFよりも低い場合、コンパレータ113から出力される結果信号SCはHレベルとなり、アップダウンカウンタ115はカウントアップ動作を行い、レプリカバッファ111の抵抗値は低下する。逆に、電位VPが基準電位VREFよりも高い場合、コンパレータ113から出力される結果信号SCはLレベルとなり、アップダウンカウンタ115はカウントダウン動作を行い、レプリカバッファ111の抵抗値は上昇する。トリミング開始から所定の時間後、ラッチ信号LSがラッチ回路117に入力される。ラッチ信号LSに応答して、ラッチ回路117は、その時点でのインピーダンス設定コードPA〜PCをラッチする。インピーダンス制御回路100は、ラッチされたインピーダンス設定コードPA〜PCを、出力バッファ1に出力する。
N側も同様である。インピーダンス設定コードNA〜NCのトリミングを行なうために、レプリカバッファ121、抵抗122、コンパレータ123、分割抵抗124、アップダウンカウンタ125、デコーダ126、及びラッチ回路127が設けられている。レプリカバッファ121は、図1で示されたメインバッファ21と同一の構成を有しており、並列に接続されたNMOSトランジスタMN0〜MN3を有している。NMOSトランジスタMN0は常時ONされる。NMOSトランジスタMN1〜MN3は、インピーダンス設定コードNA〜NCの反転信号NAB〜NCBによってそれぞれ駆動される。そのレプリカバッファ121と抵抗122による抵抗分割で得られる電位VNが、コンパレータ123の非反転入力端子に入力される。このように構成されたN側の動作もP側と同様であり、その説明は省略される。
尚、インピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCのトリミングは、リアルタイムで行なわれてもよい。その場合は、ラッチ回路117、127が省略される。その代わり、アップダウンカウンタ115、125とデコーダ116、126との間に平均化回路が挿入されることが望ましい。
以上に説明されたように、インピーダンス制御回路100は、出力バッファ1の出力インピーダンスが一定値になるように、インピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCを決定する。決定されたインピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCは、出力バッファ1に供給される。出力データDATAの出力時にONされる出力トランジスタの数は、そのインピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCによって制御される。結果として、出力インピーダンスが所望の値に制御される。
3.スルーレート制御
出力インピーダンスを所望の値に設定するために出力トランジスタのON数を単に変化させた場合、スルーレートが変化してしまう。特に、トランジスタの製造ばらつきの影響が大きく、ON抵抗の低いトランジスタになるほど、スルーレートが大きくなってしまう。スルーレートが所望の値から逸脱すると、半導体集積回路が誤動作する可能性がある。例えば、スルーレートが大き過ぎる場合、オーバーシュートやリンギングといったノイズが顕著になり、そのノイズが半導体集積回路の誤動作を引き起こす。一方、スルーレートが小さ過ぎる場合、高速動作時の出力パルスの振幅が十分大きくならず、正しい論理判定ができなくなる。出力インピーダンスだけでなくスルーレートも所望の値に制御するために、本実施の形態において、次のような工夫がなされている。
上述の通り、図1に示されたプリバッファ10は、出力データDATA及びインピーダンス設定コードPA〜PCに基づいて、駆動信号P1〜P3を生成する。本実施の形態によれば、それら駆動信号P1〜P3のそれぞれの遅延時間は、インピーダンス設定コードPA〜PCに応じて可変に設定される。そのために、本実施の形態に係るプリバッファ10には、図1で示されたように、特有な遅延回路群51〜53が設けられている。同様に、本実施の形態に係るプリバッファ20には、図1で示されたように、特有な遅延回路群61〜63が設けられている。
図4Aは、駆動信号P1に寄与する遅延回路51の構成の一例を示す回路図である。この遅延回路51は、PMOSトランジスタ71、72、NMOSトランジスタ73〜78を有している。PMOSトランジスタ71とNMOSトランジスタ73、75〜78は、第1インバータを構成している。PMOSトランジスタ72とNMOSトランジスタ74は、第2インバータを構成している。第1インバータと第2インバータは直列に接続されている。第1インバータにおいて、PMOSトランジスタ71とNMOSトランジスタ73のゲートには、出力データDATAが印加される。NMOSトランジスタ75〜78は、NMOSトランジスタ73とグランドとの間に並列に接続されている。NMOSトランジスタ75のゲートは、電源に接続されている。NMOSトランジスタ76〜78のゲートには、インピーダンス設定コードPA〜PCがそれぞれ印加される。このような構成により、遅延回路51による出力データDATAの遅延時間は、インピーダンス設定コードPA〜PCに応じて変化する。
図4Bは、駆動信号P2に寄与する遅延回路52の構成の一例を示す回路図である。図4Aで示された遅延回路51と比較して、遅延回路52は、インピーダンス設定コードPAが印加されるNMOSトランジスタ76を有していない。従って、遅延回路52による出力データDATAの遅延時間は、インピーダンス設定コードPB、PCに応じて変化する。
図4Cは、駆動信号P3に寄与する遅延回路53の構成の一例を示す回路図である。図4Bで示された遅延回路52と比較して、遅延回路53は、インピーダンス設定コードPBが印加されるNMOSトランジスタ77を有していない。従って、遅延回路53による出力データDATAの遅延時間は、インピーダンス設定コードPCに応じて変化する。
図5Aは、駆動信号N1に寄与する遅延回路61の構成の一例を示す回路図である。この遅延回路61は、NMOSトランジスタ81、82、PMOSトランジスタ83〜88を有している。NMOSトランジスタ81とPMOSトランジスタ83、85〜88は、第1インバータを構成している。NMOSトランジスタ82とPMOSトランジスタ84は、第2インバータを構成している。第1インバータと第2インバータは直列に接続されている。第1インバータにおいて、NMOSトランジスタ81とPMOSトランジスタ83のゲートには、出力データDATAが印加される。PMOSトランジスタ85〜88は、PMOSトランジスタ83と電源との間に並列に接続されている。PMOSトランジスタ85のゲートは、グランドに接続されている。PMOSトランジスタ86〜88のゲートには、インピーダンス設定コードNA〜NCがそれぞれ印加される。このような構成により、遅延回路61による出力データDATAの遅延時間は、インピーダンス設定コードNA〜NCに応じて変化する。
図5Bは、駆動信号N2に寄与する遅延回路62の構成の一例を示す回路図である。図5Aで示された遅延回路61と比較して、遅延回路62は、インピーダンス設定コードNAが印加されるPMOSトランジスタ86を有していない。従って、遅延回路62による出力データDATAの遅延時間は、インピーダンス設定コードNB、NCに応じて変化する。
図5Cは、駆動信号N3に寄与する遅延回路63の構成の一例を示す回路図である。図5Bで示された遅延回路62と比較して、遅延回路63は、インピーダンス設定コードNBが印加されるPMOSトランジスタ87を有していない。従って、遅延回路63による出力データDATAの遅延時間は、インピーダンス設定コードNCに応じて変化する。
このような構成を有する遅延回路群51〜53、61〜63によって実現される遅延は、次の通りである。例として、図4A〜図4Cで示されたP側の遅延回路51〜53を考える。図4A〜図4Cにおいて、初段の第1インバータの出力はそれぞれ信号D1〜D3で表されている。また、遅延回路51〜53のそれぞれを通して出力される出力データDATAは、それぞれDATA1、DATA2、DATA3で示されている。図6には、遅延回路51〜53に入力される出力データDATAに対する信号D1〜D3の反転信号のそれぞれの波形の一例が示されている。
まず、インピーダンス設定コード{PA,PB,PC}が{1,1,1}の場合を考える。この場合、図4A〜図4Cで示されたNMOSトランジスタ76〜78の全てがONする。NMOSトランジスタ全体の駆動能力が異なるため、遅延回路51〜53における信号D1〜D3の波形鈍りはそれぞれ異なる。より詳細には、図6に示されるように、信号D1の波形鈍りが最も小さく、信号D3の波形鈍りが最も大きくなる。その結果、遅延回路51による遅延時間が最も小さく、遅延回路53による遅延時間が最も大きくなる(DATA1<DATA2<DATA3)。つまり、駆動信号P1の遅延時間が最も小さく、駆動信号P3の遅延時間が最も大きくなる。
次に、インピーダンス設定コード{PA,PB,PC}が{1,1,0}の場合を考える。インピーダンス設定コードPCが「0」のとき、駆動信号P3は必ず「1」となるため、遅延回路53に関してはここでは考慮しない。{PA,PB,PC}={1,1,0}の場合、NMOSトランジスタ78がOFFする。この場合も、遅延回路51、52における信号D1、D2の波形鈍りはそれぞれ異なる。ここで着目すべき点は、上記{PA,PB,PC}={1,1,1}の場合と比較して、信号D1、D2の波形鈍りがそれぞれ大きくなっていることである。これは、NMOSトランジスタ78がOFFし、NMOSトランジスタ全体の駆動能力が減少したためである。結果として、駆動信号P1の遅延時間は、{PA,PB,PC}={1,1,1}の場合よりも、{PA,PB,PC}={1,1,0}の場合の方が大きくなる。駆動信号P2の遅延時間も、{PA,PB,PC}={1,1,1}の場合よりも、{PA,PB,PC}={1,1,0}の場合の方が大きくなる。
このように、駆動信号P1〜P3のそれぞれの遅延時間は、インピーダンス設定コードPA〜PCに応じて変化する。このことは、出力データDATAの出力時にONされる出力トランジスタの数に応じて、それらONされる出力トランジスタを駆動する駆動信号のそれぞれの遅延時間が変化することを意味する。具体的には、ONされる出力トランジスタの数が少なくなるにつれて、それぞれの駆動信号P1〜P3の遅延時間はより長くなる。
図7は、本実施の形態に係る出力バッファ1の動作の一例を示すグラフ図である。横軸は時間を表し、縦軸は出力能力を表している。
まず、インピーダンス設定コード{PA,PB,PC}が{1,1,1}の場合を考える。この場合、4個の出力トランジスタMP0〜MP3が全てONする(ON数=4)。但し、それら出力トランジスタMP0〜MP3は、それぞれ異なるタイミングt0〜t3で順番にONする。具体的には、図7に示されるように、タイミングt0で出力トランジスタMP0がONする。タイミングt0から遅延時間ΔT1後のタイミングt1で、出力トランジスタMP1がONする。タイミングt0から遅延時間ΔT2(>ΔT1)後のタイミングt2で、出力トランジスタMP2がONする。タイミングt0から遅延時間ΔT3(>ΔT2)後のタイミングt3で、出力トランジスタMP3がONする。このようにして、4個の出力トランジスタMP0〜MP3が順番にONし、あるスルーレートの出力波形が得られる。
次に、インピーダンス設定コード{PA,PB,PC}が{1,1,0}の場合を考える。この場合、3個の出力トランジスタMP0〜MP2がONし、出力トランジスタMP3はONしない。つまり、ON数は3である。出力トランジスタMP0〜MP2は、それぞれ異なるタイミングt0〜t2’で順番にONする。具体的には、図7に示されるように、タイミングt0で出力トランジスタMP0がONする。タイミングt0から遅延時間ΔT1’後のタイミングt1’で、出力トランジスタMP1がONする。タイミングt0から遅延時間ΔT2’(>ΔT1’)後のタイミングt2’で、出力トランジスタMP2がONする。ここで、遅延時間ΔT1’は上述の遅延時間ΔT1よりも大きく、遅延時間ΔT2’は上述の遅延時間ΔT2よりも大きくなっている。すなわち、ONされる出力トランジスタの数が少なくなると、それらのONタイミング間の間隔はより長くなるように自動的に調整されている。その結果、出力波形のスルーレートが、一定値に保たれる。
このように、本実施の形態に係るプリバッファ10は、ONされる出力トランジスタのそれぞれのONタイミングを、インピーダンス設定コードPA〜PCに応じて可変に設定している。言い換えれば、プリバッファ10は、駆動信号P1〜P3のそれぞれの遅延時間を、インピーダンス設定コードPA〜PCに応じて可変に設定する。具体的には、プリバッファ10は、ON数が少なくなるにつれて、駆動信号P1〜P3のそれぞれの遅延時間をより長く設定する。その結果、出力インピーダンスを所望の値に設定するためにON数を変化させても、スルーレートは所望の範囲に制御される。その意味で、本実施の形態に係るプリバッファ10は、「スルーレート制御回路」としての役割も果たしていると言える。
N側のプリバッファ20に関しても同様である。プリバッファ20は、出力データDATA及びインピーダンス設定コードNA〜NCに基づいて、駆動信号N1〜N3を生成する。この時、プリバッファ20は、それら駆動信号N1〜N3のそれぞれの遅延時間を、インピーダンス設定コードNA〜NCに応じて可変に設定する。このプリバッファ20は、「スルーレート制御回路」としての役割も果たしていると言える。
4.効果
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、出力インピーダンスが所望の値になるように、出力トランジスタのON数が、インピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCによって制御される。更に、スルーレートが所望の範囲に収まるように、ONされる出力トランジスタのそれぞれのONタイミングが、同じインピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCによって制御される。
すなわち、出力インピーダンスの制御とスルーレートの制御は、同じインピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCを通じて、互いに連動している。ONされる出力トランジスタの数とそれらのONタイミングは互いに連関しており、出力インピーダンスの調整に連動してスルーレートも自動的に調整される。その結果、出力インピーダンスを所望の値に保ちつつ、且つ、スルーレートも所望の範囲内に制御することが可能となる。従って、出力パルスに関して十分な大きさの振幅が得られ、また、ノイズに起因する誤動作も防止される。
また、本実施の形態によれば、出力インピーダンスとスルーレートを独立して制御する必要はなく、出力インピーダンス制御用のコードとスルーレート制御用のコードを別々に設ける必要はない。出力インピーダンスを所望の値に制御するためのインピーダンス設定コードPA〜PC、NA〜NCは、同時に、スルーレートの制御にも寄与する。従って、制御信号の数が削減され、制御の複雑化が防止される。また、回路構成が単純になり、回路面積の増大と製造コストの増大が抑制される。
図1は、本発明の実施の形態に係る半導体集積回路の構成を示す回路図である。 図2は、インピーダンス設定コードのパターンと、ONされる出力トランジスタとの対応関係を示すテーブルである。 図3は、本実施の形態に係るインピーダンス制御回路の構成の一例を示すブロック図である。 図4Aは、駆動信号P1に寄与する遅延回路の構成の一例を示す回路図である。 図4Bは、駆動信号P2に寄与する遅延回路の構成の一例を示す回路図である。 図4Cは、駆動信号P3に寄与する遅延回路の構成の一例を示す回路図である。 図5Aは、駆動信号N1に寄与する遅延回路の構成の一例を示す回路図である。 図5Bは、駆動信号N2に寄与する遅延回路の構成の一例を示す回路図である。 図5Cは、駆動信号N3に寄与する遅延回路の構成の一例を示す回路図である。 図6は、本実施の形態に係る遅延回路の動作を説明するための図である。 図7は、本実施の形態に係る出力バッファの動作例を説明するためのグラフ図である。
符号の説明
1 出力バッファ
10 プリバッファ
11 メインバッファ
20 プリバッファ
21 メインバッファ
51、52、53 遅延回路
61、62、63 遅延回路
100 インピーダンス制御回路
DATA 出力データ
MP0〜MP3 出力トランジスタ
MN0〜MN3 出力トランジスタ
PA〜PC インピーダンス設定コード
NA〜NC インピーダンス設定コード
P0〜P3 駆動信号
N0〜N3 駆動信号

Claims (3)

  1. 出力データが出力される出力端子に接続された複数の出力トランジスタと、
    前記複数の出力トランジスタのうち前記出力データの出力時にONされる出力トランジスタを指定する指定信号を生成するインピーダンス制御回路と、
    前記ONされる出力トランジスタのそれぞれを駆動する駆動信号を前記指定信号に基づいて生成し、且つ、前記駆動信号のそれぞれの遅延時間を前記指定信号に応じて可変に設定するスルーレート制御回路と
    を備え
    前記スルーレート制御回路は、前記ONされる出力トランジスタの数が少なくなるにつれて、前記それぞれの遅延時間をより長く設定する
    半導体集積回路。
  2. 請求項1記載の半導体集積回路であって、
    前記スルーレート制御回路は、前記それぞれの遅延時間を異なる値に設定する
    半導体集積回路。
  3. 請求項1又は2に記載の半導体集積回路であって、
    前記インピーダンス制御回路は、前記ONされる出力トランジスタによる出力インピーダンスが一定値となるように前記指定信号を設定する
    半導体集積回路。
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