JP4952947B2 - 下敷き体及びこれを備えた給紙装置 - Google Patents

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Description

本発明は、堆積された被記録媒体を1枚ずつ分離して画像記録部等に給送するための下敷き体及びそれを備えた給紙装置に関するものである。
従来から、各種プリンタやファクシミリ等の画像記録装置には、上面が開放された給紙トレイ(給紙カセットまたは給紙トレイともいう)に記録用の多数枚の被記録媒体(以下、単に用紙という)を堆積して収容し、給紙ローラの回転により用紙を1枚ずつ分離して画像記録部側へ給送する用紙の給紙装置が備えられている。
インクジェットプリンタにおいて、近年、高品質の印字(記録)を実現するため、用紙の表面を平滑化させ、光沢を持たせる処理や、インクの着色剤を受容する層を用紙の表面に設けたりして、用紙に光沢面を形成するものが普及してきた。近年、年賀はがきにおいても、このような表面処理を通信面に施したものが販売されている。
高品質・高画質を提供する光沢面は、普通紙の表面よりも静摩擦係数(μ)が高くなるため、通常、普通紙が用いられることを前提として開発されたインクジェットプリンタにおいては、給紙を行うと不具合を起こすことがある。そのため、この種の光沢紙では、光沢面の静摩擦係数が高くなっても、給紙時に重送が発生しないように、光沢面と反対面は静摩擦係数が低くなるように処理されている(以下、光沢面を高μ面、反対面を低μ面と称する)。
ところで、特許文献1に開示されているインクジェットプリンタでは、上面開放状の給紙カセットに多数枚の用紙を堆積収容し、その用紙の最上面に対して給紙ローラが押圧されるように、上下動可能なアームの先端部に給紙ローラが設けられており、給紙カセットの給送方向の下流側端に設けられた傾斜分離板と給紙ローラとの協働作業により、堆積収容された用紙の最上層から1枚ずつ分離給送し、Uターン経路を介して、上記給紙カセットの上方に位置する画像記録部に用紙を搬送して記録するという給紙装置を備えている。
この種の給紙装置では給紙カセットの底板には、給紙ローラと対向する位置に、コルクなどの高摩擦係数のベースパッドが固定されている。そして、光沢面(高μ面)に画像記録する場合、高μ面を下向きにして年賀はがきを堆積収容する。給紙ローラは年賀はがきの低μ面をグリップして給送を行う。その場合、最後の1枚の高μ面がベースパッドと対面して接触していると、当該最後の1枚の年賀はがきが円滑に給送されなくなるという問題があった。
この問題を解決し、最後の1枚まで円滑に給送するため、特許文献2では、給紙トレイの上面に固定されたはね板の上面に補助シートを載置し、その上に複数枚の用紙を堆積させる。その場合、給紙ローラとこれに接する用紙の表面との間の静摩擦係数をμa、補助シートとはね板と間の静摩擦係数をμb、補助シートとこれに接する用紙と間の静摩擦係数をμcとするとき、μa>μc且つμb>μcなる関係を満たすことを提案している。
特開2007−62965号公報 特開平09−188429号公報
ところで、年賀はがきの低μ面である宛て名面に住所氏名などを印字するときには、上記と逆に、低μ面を下向きにして年賀はがきを堆積収容し、給紙ローラは年賀はがきの高μ面をグリップして給送を行うので、給紙ローラにて年賀はがきを1枚ずつ確実にグリップして空送りなく給送できる。しかしながら、上記特許文献2の補助シートを使用したとしても、給紙カセット内の年賀はがき枚数が残り少なくなると、補助シートに対面する年賀はがきの面が低μ面であり、紙間の静摩擦係数より低くなるため、複数枚の年賀はがきが重送される現象が発生することがある。
また、プリンタメーカーが関与している専用の光沢紙とは異なり、製造メーカーの異なる片面光沢年賀はがきの低μ面、高μ面の静摩擦係数は年ごとに変化し得るなどの不確定要素のため、問題のない(最後の1枚の用紙まで確実に給送できる)補助シートの静摩擦係数を設定することが事実上不可能であった。
本発明は、給紙カセット(給紙トレイ)内に堆積させた用紙の残り枚数が少なくなった場合に、用紙の重送及び空送の両方の不具合が発生しないようにすることを目的とし、最後の1枚の用紙を積極的に給送阻止できる下敷き体を提供し、またそれを備えた給紙装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、給紙トレイに設けられている被記録媒体の収容部に対して着脱可能で、且つ前記収容部に装着されたときには位置決めがなされ、更に給紙ローラにて給送される被記録媒体を堆積状態にて載置可能な下敷き体であって、被記録媒体が載置される上面と、前記収容部の底面と対向する下面と、を有する本体板部材と、当該本体板部材の上面に設けられ、所定の摩擦係数を有するパッド部と、前記本体板部材の下面に設けられ、前記給紙トレイ内に載置された下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段と、を備え、前記ガイド手段は、前記給紙トレイに前記収容部に向かって延びるガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記収容部に堆積された被記録媒体の縁に当接可能なリヤガイドに嵌まるガイド孔のうち少なくとも一方であり、前記給紙ローラとこれに接する被記録媒体の表面との間の静摩擦係数をμa、前記下敷き体と前記収容部との間の静摩擦係数をμb、前記パッド部とこれに接する前記被記録媒体との間の静摩擦係数をμc、堆積状態で隣接する被記録媒体間の静摩擦係数をμeとするとき、μa<μc且つμa>μe且つμb≧μcなる関係を満たすことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の下敷き体において、前記下敷き体が前記収容部にて位置決めがなされたとき、前記パッド部は前記上面の一部であって、且つ前記給紙ローラと対向する位置に設けられているものである。
請求項3に記載の発明は、給紙トレイに設けられている被記録媒体の収容部に対して着脱可能で、且つ前記収容部に装着されたときには位置決めがなされ、更に給紙ローラにて給送される被記録媒体を堆積状態にて載置可能な下敷き体であって、被記録媒体が載置される上面と、前記収容部の底面と対向する下面と、を有する本体板部材と、前記本体板部材の下面に設けられ、前記給紙トレイ内に載置された下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段と、を備え、前記ガイド手段は、前記給紙トレイに前記収容部に向かって延びるガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記収容部に堆積された被記録媒体の縁に当接可能なリヤガイドに嵌まるガイド孔のうち少なくとも一方であり、前記上面に堆積状態で載置される被記録媒体のうち少なくとも前記上面に接触する1枚の被記録媒体を前記本体板部材に対して滑り不能に固定するクリップ手段を備えたものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の下敷き体において、前記本体板部材の下面には、当該下敷き体を前記収容部の底面に対して位置決め固定するための係止突起が設けられているものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の下敷き体において、前記本体板部材の板厚さに対して、前記パッド部の板厚さが薄いものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の下敷き体において、前記本体板部材の剛性は、前記パッド部の剛性より大きいものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1、2若しくはのいずれかに記載の下敷き体において、前記本体板部材の摩擦係数が前記パッド部の摩擦係数より小さいものである。
請求項8に記載の発明は、複数枚の被記録媒体を堆積状態で収容可能な収容部を有する給紙トレイと、前記収容部に対して着脱可能で、且つ位置決め可能な下敷き体と、前記収容部に収容された被記録媒体のうちの最上面に押圧するように昇降可能な給紙ローラとを有する給紙装置であって、前記下敷き体は、前記被記録媒体が載置される上面であって、且つ当該下敷き体が前記収容部にて位置決めがなされたとき、前記給紙ローラと対向する位置に所定の摩擦係数を有するパッド部を備え、前記給紙トレイの底板には、被記録媒体の給送方向に沿って前記収容部に向かって延びるガイド溝と、このガイド溝にスライド可能に装着されて前記収容部に収容された被記録媒体の給送方向上流側であって給送方向と直交する端縁に当接可能なリヤガイドとが設けられ、前記下敷き体の裏面には、前記収容部の底面に対して位置決めされるための係止突起が設けられており、前記給紙ローラとこれに接する被記録媒体の表面との間の静摩擦係数をμa、前記下敷き体と前記収容部と間の静摩擦係数をμb、前記パッド部とこれに接する前記被記録媒体と間の静摩擦係数をμc、堆積方向に隣接する被記録媒体間の静摩擦係数をμeとするとき、μa<μc且つμa>μe且つμb≧μcなる関係を満たすことを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の給紙装置において、前記下敷き体の裏面には、前記給紙トレイ内に載置した下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段が備えられ、前記ガイド手段は、前記ガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記リヤガイドに嵌まるガイド孔であることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の給紙装置において、前記給紙トレイには、前記収容部の少なくとも一部を覆う排紙トレイが、その給送方向の下流側を中心にして上下回動可能となるように装着されているものである。
請求項11に記載の発明は、請求項8乃至10のいずれかに記載の給紙装置において、前記被記録媒体はその表面と裏面の状態が異なるものである。
請求項1に記載の発明によれば、給紙トレイに設けられている被記録媒体の収容部に対して着脱可能で、且つ前記収容部に装着されたときには位置決めがなされ、更に給紙ローラにて給送される被記録媒体を堆積状態にて載置可能な下敷き体であって、被記録媒体が載置される上面と、前記収容部の底面と対向する下面と、を有する本体板部材と、当該本体板部材の上面に設けられ、所定の摩擦係数を有するパッド部と、前記本体板部材の下面に設けられ、前記給紙トレイ内に載置された下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段と、を備え、前記ガイド手段は、前記給紙トレイに前記収容部に向かって延びるガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記収容部に堆積された被記録媒体の縁に当接可能なリヤガイドに嵌まるガイド孔のうち少なくとも一方であり、前記給紙ローラとこれに接する被記録媒体の表面との間の静摩擦係数をμa、前記下敷き体と前記収容部との間の静摩擦係数をμb、前記パッド部とこれに接する前記被記録媒体との間の静摩擦係数をμc、堆積状態で隣接する被記録媒体間の静摩擦係数をμeとするとき、μa<μc且つμa>μe且つμb≧μcなる関係を満たすことを特徴とするものである。
この構成により、片面が高静摩擦係数の光沢面を有し、他面が低い静摩擦係数である年賀はがき等の被記録媒体の両面に画像記録するとき、下敷き体上に載置した被記録媒体のうちの最後の1枚を給送させないから、この最後の1枚を除く全ての被記録媒体について、重送及び空送を確実に防止できるという効果を奏するのである。
請求項1に記載の発明によれば、前記本体板部材の下面には、前記給紙トレイ内に載置された下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段が設けられているものであるから、収容部から離れた位置に下敷き体を置いて後、その下敷き体を収容部に導くことが簡単にできるという効果を奏する。さらに、請求項1に記載の発明によれば、前記ガイド手段は、前記給紙トレイに前記収容部に向かって延びるガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記収容部に堆積された被記録媒体の縁に当接可能なリヤガイドに嵌まるガイド孔のうち少なくとも一方であることを特徴とするものであるから、給紙トレイに予め設けられたガイド溝やリヤガイドを利用したガイド手段とすることで、構成が極めて簡単且つ製造コストも低減することができる。
請求項2に記載の発明によれば、前記下敷き体における高い静摩擦係数のパッド部は、前記給紙ローラと対向する位置にのみ設けられているものであり、本体板部材に対して局部的(部分的)に貼着された部材であるので、パッド部の材料費を低減することができる。また、パッド部の厚さを薄く設定できるから、給紙ローラからの押圧力で、パッド部の厚さが変動する率を少なくできる。従って、給紙ローラの被記録媒体に対する押圧力で、当該被記録媒体に凹みができ難くなり、記録部での被記録媒体に対するインクの付着ムラが発生したり、光沢層が劣化することも少なくできて、画像品質を向上できるという効果を奏するのである。
請求項3に記載の発明によれば、給紙トレイに設けられている被記録媒体の収容部に対して着脱可能で、且つ前記収容部に装着されたときには位置決めがなされ、更に給紙ローラにて給送される被記録媒体を堆積状態にて載置可能な下敷き体であって、被記録媒体が載置される上面と、前記収容部の底面と対向する下面と、を有する本体板部材と、前記本体板部材の下面に設けられ、前記給紙トレイ内に載置された下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段と、を備え、前記ガイド手段は、前記給紙トレイに前記収容部に向かって延びるガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記収容部に堆積された被記録媒体の縁に当接可能なリヤガイドに嵌まるガイド孔のうち少なくとも一方であり、前記上面に堆積状態で載置される被記録媒体のうち少なくとも前記上面に接触する1枚の被記録媒体を前記本体板部材に対して滑り不能に固定するクリップ手段を備えたものであるから、請求項1の各部材間の静摩擦係数の関係を維持することができ、請求項1の発明と同様の作用効果を奏することができる。
請求項4に記載の発明によれば、前記本体板部材の下面には、当該下敷き体を前記収容部の底面に対して位置決め固定するための係止突起が設けられているものであるから、最後の1枚の被記録媒体が滑り不能に設けられた下敷き体に給紙ローラを押し付けて回転させても、この下敷き体はずれ動くことがない。従って、下敷き体が記録部側に搬送されるという不都合が生じない。
請求項5、6に記載の発明のように、パッド部は本体板部材よりも薄い薄板状の部材であり、また、本体板部材はABS樹脂などの合成樹脂材のように剛性が大きく、パッド部の剛性が小さいので、パッド部が給紙ローラからの押圧力で、パッド部の厚さが変動する率を少なくできる。従って、被記録媒体の給紙搬送が安定するとともに、給紙ローラの被記録媒体に対する押圧力で、当該被記録媒体に凹みができ難くなり、記録部での被記録媒体に対するインクの付着ムラが発生したり、光沢層が劣化したりすることも少なくできて、画像品質を向上できる。
請求項7に記載の発明のように、高い摩擦係数を有するパッド部に対して本体板部材の摩擦係数が小さいので、本体板部材を給紙トレイの底板の表面に対して滑りやすくでき、リヤガイドで押し進める等下敷き体を長い距離で移動させるのに軽快に実行できる。
請求項8に記載の発明によれば、複数枚の被記録媒体を堆積状態で収容可能な収容部を有する給紙トレイと、前記収容部に対して着脱可能で、且つ位置決め可能な下敷き体と、前記収容部に収容された被記録媒体のうちの最上面に押圧するように昇降可能な給紙ローラとを有する給紙装置であって、前記下敷き体は、前記被記録媒体が載置される上面であって、且つ当該下敷き体が前記収容部にて位置決めがなされたとき、前記給紙ローラと対向する位置に所定の摩擦係数を有するパッド部を備え、前記給紙トレイの底板には、、被記録媒体の給送方向に沿って前記収容部に向かって延びるガイド溝と、このガイド溝にスライド可能に装着されて前記収容部に収容された被記録媒体の給送方向上流側であって給送方向と直交する端縁に当接可能なリヤガイドとが設けられ、前記下敷き体の裏面には、前記収容部の底面に対して位置決めされるための係止突起が設けられており、前記給紙ローラとこれに接する被記録媒体の表面との間の静摩擦係数をμa、前記下敷き体と前記収容部と間の静摩擦係数をμb、前記パッド部とこれに接する前記被記録媒体と間の静摩擦係数をμc、堆積方向に隣接する被記録媒体間の静摩擦係数をμeとするとき、μa<μc且つμa>μe且つμb≧μcなる関係を満たすことを特徴とするものである。
この構成により、片面が高静摩擦係数の光沢面を有し、他面が低い静摩擦係数である年賀はがき等の被記録媒体の両面に画像記録するとき、下敷き体上に載置した被記録媒体のうちの最後の1枚を昇降可能な給紙ローラにて給送させないから、この最後の1枚を除く全ての被記録媒体について、重送及び空送を確実に防止できるという効果を奏するのである。
そして、請求項8に記載の発明によれば、前記給紙トレイの底板には、被記録媒体の給送方向に沿って前記収容部に向かって延びるガイド溝と、このガイド溝にスライド可能に装着されて前記収容部に収容された被記録媒体の給送方向上流側であって給送方向と直交する端縁に当接可能なリヤガイドとが設けられ、前記下敷き体の裏面には、前記収容部の底面に対して位置決めされるための係止突起が設けられているものである。従って、下敷き体を収容部から離れた位置に載置した状態から、リヤガイドにより、下敷き体をガイド溝に沿って所定の収容部に導く作業が至極容易になる。
請求項9に記載の発明によれば、前記下敷き体の裏面には、前記給紙トレイ内に載置した下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段が備えられ、前記ガイド手段は、前記ガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記リヤガイドに嵌まるガイド孔であるから、給紙トレイに予め設けられたガイド溝やリヤガイドを利用したガイド手段とすることで、給紙トレイ及び下敷き体の構成が極めて簡単になり且つ製造コストも低減することができる。
請求項10に記載の発明によれば、前記給紙トレイには、前記収容部の少なくとも一部を覆う排紙トレイが、その給送方向の下流側を中心にして上下回動可能となるように装着されているものである。従って、排紙トレイを給紙トレイから取り外すことなく、給送方向の上流側に載置した下敷き体をリヤガイドを介して給送方向の下流側の収容部にセットする作業が至極簡単となる。
請求項11に記載の発明によれば、前記被記録媒体はその表面と裏面の状態が異なるものであり、片面が光沢面のような高い静摩擦係数で、他面が低い静摩擦係数である被記録媒体の両面に画像記録乃至印字を行う場合に好適である。
本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態に適用された画像記録装置としての多機能装置(複合機)の前方から見た斜視図、図2は給紙装置の側断面図、図3は給紙トレイに対して排紙トレイの後部を上向きに開いた状態の斜視図、図4は給紙トレイにおける一対のサイドガイド手段の間に第1実施形態の下敷き体をセットした状態の斜視図、図5は同じく平面図、図6は下敷き体の第1実施形態を示す表面側から見た斜視図、図7は作用説明図、図8は下敷き体の第2実施形態を示す平面図、図9は下敷き体の第3実施形態を示す裏面側から見た斜視図、図10(A)は給紙トレイの後部側に下敷き体を位置させた状態を示す平面図、図10(B)は給紙トレイの給送位置側に下敷き体を位置させた状態を示す平面図である。
本実施形態の画像記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )に本発明を適用したものであり、図1に示すように、画像記録装置1における合成樹脂製の記録装置本体としての合成樹脂製の射出成形品からなるハウジング2の底部には、その前側の開口部2aから挿抜可能な給紙トレイ3が配置されている。この給紙トレイ3の上面には、排紙トレイ31が載置されている。なお、以下の記述において、開口部2aが存在する側を画像記録装置1における前部または前側若しくは前端と称し、開口部2aから最も遠い側を後部または後側若しくは後端と称する。
ハウジング2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置12が配置されている。この画像読取装置12は図示しない枢軸部を介してハウジング2の一側端に対して上下開閉回動可能に構成され、さらに、画像読取装置12の上面を覆う原稿カバー体13の後端は画像読取装置12の後端に対してを中心に上下回動可能に装着されている。
ハウジング2の上側には、画像読取装置12の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部14が設けられている。そして、画像読取装置12の上面には、原稿カバー体13を上側に開けて原稿を載置することができる載置用ガラス板が設けられ、その下側に原稿読取り用の密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor) が主走査方向(図1におけるY軸方向)に延びるガイドシャフトに沿って往復移動可能に設けられている。
図1において、ハウジング2の前面右側には、図示しないインク貯蔵部にインクカートリッジを出し入れするための扉2bが設けられている。
インク貯蔵部には、フルカラー記録のための4色のインクを各々収容したほぼ矩形箱状のインクカートリッジ(個別の色、即ち、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用インクのカートリッジ)を、Y軸線方向に沿って一列状に収容でき、前方から着脱可能となるように構成されている。
そして、各インクカートリッジからインクジェット式の記録ヘッド4に複数本(実施形態では4本)のインク供給管(インクチューブ)を介してインクを供給するように構成されている。なお、4色よりも多数のインク色を使用する場合(6色〜8色等)には、そのインク色の数に応じたインクカートリッジをインク貯蔵部に収容可能に構成すれば良いし、インク供給管もインクカートリッジの数に合わせて増やせばよい。
記録部7は、図2に示すように、上面が開放された箱型のメインフレーム(図示せず)とその左右一対の側板にて支持され、Y軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状の第1及び第2ガイド部材22、23との間に形成される。記録部7における記録ヘッド4が下面側に搭載されたキャリッジ5は、用紙搬送方向の上流側の第1ガイド部材22及び下流側の第2ガイド部材23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能となっている。
キャリッジ5を往復移動させるために、用紙搬送方向(矢印A方向)の下流側に配置された第2ガイド部材23の上面には、主走査方向(Y軸方向)に延びるように配置されたタイミングベルトがプーリに巻回されており、そのタイミングベルトを駆動するCR(キャジッジ)モータ(共に図示せず)は第2ガイド部材23の下面に固定されている。
キャリッジ5における記録ヘッド4の下面と対峙するようにY軸方向に延びる扁平状のプラテン26は、前記両ガイド部材22、23の間であって、メインフレームの底板の上方に固定されている。
また、プラテン26を挟んで搬送上流側には、用紙Pを記録ヘッド4の下面に送るためのレジストローラ(搬送ローラ)対27が配置されており、プラテン26の下流側には記録済みの用紙Pを、給紙トレイ3の上面に設けられた排紙トレイ31上に搬送するための排紙ローラ対28が配置されている(図2参照)。
次に、給紙装置の構成について詳述する。実施形態では、多数枚の用紙Pを堆積収容可能な収容部3bを備え、この収容部3b内の用紙Pを1枚ずつ、給送手段6により記録部7に給送するための給紙トレイ3と、この給紙トレイ3の収容部3b上にて、給送方向上流側端が大きく上向きに開き可能に設けられた排紙トレイ31とを備えている。
給紙トレイ3は、底板3aと左右両側板3cと、給送方向上流側端の把手溝3e付きの前板3dと、給送方向下流側端の傾斜分離板8とにより構成されている。給紙トレイ3は、例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ等の大きいサイズにカットされた用紙Pをその短辺がY軸方向(主走査方向)に延びるようにして多数枚積載(堆積)させて収容できる形態とする。給紙トレイ3の収容部3bへの用紙Pの最大堆積量は、実施形態では普通紙で100枚程度、堆積高さはほぼ10mm程度とする。
図3に示すように、排紙トレイ31は、給紙トレイ3の左右両側板3cに対して端部材に設けられた上下回動可能な連結部(枢支部)31aを介して排紙トレイ31の手前側(第1給紙トレイ3の前板3dに近い側)を給紙トレイ3の上面に対して大きく上方に回動させることが可能である。この状態で排紙トレイ31を外すことなく、給紙トレイ3における収容部3b内に所定のサイズの用紙Pを補給することが可能となる。
実施形態では、給送手段6における合成樹脂製のアーム体6bは駆動軸39を中心にして上下回動可能であり、アーム体6bは傾斜分離板8に近づくように延び、アーム体6b先端部に給紙ローラ6aが配置され、駆動軸39から図示しない歯車伝動機構を介して給紙ローラ6aは、図2において時計回りに回転するように回転駆動される。
また、給紙トレイ3の先端(給送方向の下流側、図2〜図5参照)には、用紙分離用の傾斜分離板8が配置されている。そして、給送手段6における給紙ローラ6aと、傾斜分離板8の幅方向(Y方向)の中央部の内面(表面)側に設けられた分離手段としての弾性分離板8a(実施形態では金属板バネ製である)との協働作用により、給紙トレイ3に堆積された被記録媒体である用紙Pを一枚ずつ分離給送する。分離された用紙Pは上横向きのUターンパス(給紙搬送路)用の搬送路体9を介して給紙トレイ3より上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。そして、記録部7にて記録された用紙Pがその記録面を上向きにして開口部2aに連通する排紙トレイ31上に排出される。
次に、図3〜図5を参照しながら、給紙トレイ3の収容部3b内の用紙Pの給送方向と平行な側縁を案内し、且つ位置決めするための一対のサイドガイド手段40R,40Lについて説明する。一対のサイドガイド手段40R,40Lは、給紙トレイ3の左右両側板3cの間の底板3a上にて用紙Pの給送方向と直交する方向に広狭移動(広狭スライド)可能に設けられている。各サイドガイド手段40R,40Lは、用紙Pの下面を支持する支持板としてのスライダ41と、このスライダ41から垂直に立設する当接板42と、スライダ41から延び、底板3aに貫通形成された左右一対の平行状のガイド溝43内に沿うラック杆44と図示しないロック部材を係脱方向に変位させるための摘み部47とを備えている。
各スライダ41は、底板3aの上面に沿ってスライド可能で、収容される用紙Pの下面を支持する。各当接板42は、スライダ41から垂直に立設して用紙Pの幅方向の側縁に当接するものである。各ロック部材は、スライダ41の下面に設けられ、底板3aの上面に形成された複数の係合歯45に対して選択的に係脱可能に変位可能である。
また、各スライダ41の下面のラック杆44の片面にはラック歯が形成されている。そして、左右一対のラック杆44は底板3aに貫通形成された左右一対の平行状のガイド溝43内に沿って、互いに他方のサイドガイド手段に向かうように延び、左右一対のラック杆44の各ラック歯が給紙トレイ3の底板3aのうち幅方向の中心線位置に配置された回転自在なピニオン46に噛合うように構成されている。その結果、一対のサイドガイド手段40R,40Lにより、給紙トレイ3の幅方向(用紙Pの給送方向と直交する方向)の中心線と用紙Pの幅方向の中心線とが一致するように、いわゆるセンター位置合わせすることができる。
収容部3bにおける用紙Pの給送方向上流側端縁を規制するためのリヤガイド48は、底板3aの上下面を挟んで、給送方向に沿ってスライド可能(移動可能)なスライダ48aと、収容される用紙Pの後縁(給送方向上流側端縁)に当接する縦板部48bと、スライダ48aの上面側から縦板部48bの前側に適宜隔てて立設するノブ部48dとを備える。このリヤガイド48は弾性を有する合成樹脂製の射出成形品である。
スライダ48aの左右両側端部が底板3aに用紙Pの給送方向に沿って延びるように貫通形成された一対のガイド溝49に摺接することにより、この移動経路に沿ってリヤガイド48が進退移動可能である。一対のガイド溝49の間にて底板3a上面には複数の係合歯50が形成されている。各係合歯50は、ガイド溝49の延びる方向と直交する方向に延びる凹凸形状であり、これにより、リヤガイド48がロックされて位置決めできる。
スライダ48aの下面に形成された係止爪(図示せず)は、係合歯50の凹凸部分に対して選択的に係合可能とされている。平面視コ字状の縦板部48bとノブ部48dとをその前後間隔が縮まるようにユーザーが摘むと、縦板部48bの付け根部と連接されているスライダ48aが、合成樹脂材の弾性により、上向きに変位し、スライダ48a下面の係止爪(図示せず)が係合歯50の凹凸部分から離れるように構成されている。
次に、用紙P1を多数枚堆積させて1枚ずつ給送することができ、且つそのうちの最後の1枚を給送させないようにするための下敷き体について説明する。以下で、下敷き体に適用する用紙P1とは、L判や年賀はがきのような小サイズであって、一般的に堆積収容される用紙P(普通紙)とは種類の異なる用紙P1、即ちインクジェットプリンタ専用紙や写真画質用光沢紙のように、片面に高い静摩擦係数の表面処理が施され、他面が静摩擦係数が低い用紙である。
第1実施形態の下敷き体51は、図4〜図6に示すように、ABS樹脂等の合成樹脂製の矩形状の本体板部材52と、この本体板部材52の表面(片面)のうち、上記給紙ローラ6aと対峙する個所に固定された高い静摩擦係数を有するゴム板(EPDM:エチレン−プロピレン−ジエンゴム)等からなるパッド部53とを備えている。また、本体板部材52の表面(片面)のうち、パッド部53に隣接して給送方向上流側には、この下敷き体51の使用方法を説明図と説明文とで記載した説明印刷書54が貼着されている。さらに、本体板部材52の裏面には、1つのガイド突起55と、左右一対の係止突起56a及び中央凹部56bとが設けられている。これらガイド突起55、係止突起56a及び中央凹部56bは本体板部材52と一体的に形成されていても良い。給紙トレイ3の底板3aのうち、上記一対のガイド溝49の間にて給送方向(X軸方向)と平行に長いガイド溝孔57が穿設され、また、底板3aのうち傾斜分離板8に近い側には、左右一対の係止凹部58a及び中央突起58bが形成されている。
これら上記の構成により、給紙トレイ3に片面に高い静摩擦係数の表面処理が施され、他面が静摩擦係数が低い用紙P1を多数枚堆積させて、各用紙P1に画像記録を行うに際して、上記下敷き体51をセットする。その手順は、図3に示すように、まず給紙トレイ3上の排紙トレイ31の手前側(給紙トレイ3の前板3dに近い側)を上向きに開放する。この状態で、リヤガイド48を給紙トレイ3の前板3dに近い側に位置させる。
次いで、用紙P1を多数枚堆積させた下敷き体51は、そのパッド部53が給送方向下流側に位置するようにして、給紙トレイ3の底板3aにおける左右中央部の一対のガイド溝49を跨いで配置される。その場合、ガイド手段としての1つのガイド突起55がガイド溝孔57に嵌まる。この状態で、リヤガイド48を傾斜分離板8に近づくように直線的に且つ左右に振れないようにして移動させることができる。リヤガイド48で下敷き体51を押し進めて、その先端が傾斜分離板8に当接する位置(請求項にいう収容部)で停止させる。このようにして、給紙トレイ3の上側に排紙トレイ31が取り外せないように装着されている場合でも、下敷き体51を所定位置に円滑にセットできる。
この状態では、図7に示すように、下敷き体51の下面の係止突起56a及び中央凹部56bが給紙トレイ3の底板3aの係止凹部58a及び中央突起58bに嵌まり込んで、移動不能に固定できるから、下敷き体51と底板3aとの間の静摩擦係数は実質上無限大となる。
本発明は、片面が静摩擦係数の高い光沢面を有し、他面が静摩擦係数の低い面である年賀はがき等の用紙P1の両面に画像記録するとき、下敷き体51上に載置した用紙P1のうち最後の1枚を給送させないことを目的とする。
特に、年賀はがきにおける低い静摩擦係数を持つ宛て名面に印字する場合に、堆積された用紙P1(年賀はがき)が重送されたり、空送されたりすることがないようにするものである。そのため、本発明では、給紙ローラ6aとこれに接する用紙P1の表面との間の静摩擦係数をμa、下敷き体51と収容部である底板3aと間の静摩擦係数をμb、下敷き体51におけるパッド部53とこれに接する用紙P1と間の静摩擦係数をμc、堆積方向に隣接する用紙P1間の静摩擦係数をμeとするとき、μa<μc且つμa>μe且つμb≧μcなる関係に設定されている。
その作用を図7を参照しながら説明すると、用紙P1の光沢面に画像記録する場合、本発明の給紙装置では、下敷き体51のパッド部53に光沢面が対面するように、換言すると、光沢面(高μ面)を下向きにして、下敷き体51上に多数枚の用紙P1を堆積させる。この状態で給紙ローラ6aを堆積された用紙P1の最上面に押圧しながら所定方向に回転させる。堆積された用紙P1が多数枚であるときには、給紙ローラ6aとこれに接する用紙P1の宛て名面(低μ面)との間の静摩擦係数μaが、堆積方向に隣接する用紙P1間の静摩擦係数μeより大きいので、最上層の用紙P1から順に1枚ずつ確実に給送できる。そして、最後の1枚の高μ面がパッド部53と対面して接触していると、μa<μcであるので、当該最後の1枚の用紙P1(年賀はがき)が給送されなくなる。従って、空送現象が発生しない。また、下敷き体51は底板3aに対して実質的に固定されているので、μb>μcなる関係が保持されるから、給紙ローラ6aの回転によっても、下敷き体51は収容部からずれ動くことはない。
宛て名面に印字する場合には、高μ面を上向きにして用紙P1(年賀はがき)を下敷き体51上に堆積収容する。給紙ローラは用紙P1(年賀はがき)の光沢面(高μ面)をグリップして給送を行う。その場合にも、下敷き体51上に多数枚の用紙P1が堆積しているときには、μa>μeであるので、下敷き体51上に堆積された複数枚の用紙P1がまず、傾斜分離板8に当接し、分離板8aとの協働作用にてそのうちの最上層のものから1枚ずつ給紙ローラ6aにより分離されて給送できる。
そして、下敷き体51上に残り1枚(最後の1枚)の用紙P1のみが載置されている状態では、給紙ローラ6aとこれに接する用紙P1の表面(高μ面)との間の静摩擦係数μaよりも、下敷き体51におけるパッド部53とこれに接する用紙P1の宛て名面(低μ面)と間の静摩擦係数μcが大きいので、この残り1枚の用紙P1は給送されない。また、下敷き体51は底板3aに対して実質的に固定されているので、給紙ローラ6aの回転によっても、下敷き体51はずれ動くことはない。このようにして、下敷き体51上の残り1枚(最後の1枚)の用紙P1のみ給送できない構成により、堆積の残り少ない用紙P1の重送及び空送を確実に防止できるのである。
本発明の下敷き体51では、ABS樹脂などの合成樹脂等から構成され、ある程度の厚みを持つ本体板部材52に対して、高い摩擦係数を有するパッド部53は、局部的(部分的)に貼着された、本体板部材52よりも薄い薄板状の部材である。また、本体板部材52はある程度の剛性を備えているが、パッド部53は本体板部材52の剛性よりも低い。更に、材料費も安価な合成樹脂からなる本体板部材52に比して高い摩擦係数を有するパッド部53は高価である。従って、パッド部53を小さく薄くすることで材料費を低減することができ、結果として下敷き体51のコストを下げることができる。また、パッド部53の厚さを薄く設定できるから、パッド部53が給紙ローラ6aからの押圧力で、パッド部53の厚さが変動する率を少なくできる。従って、用紙P1の給紙搬送が安定するとともに、給紙ローラ6aの用紙P1に対する押圧力で、当該用紙P1に凹みができ難くなり、記録部での用紙P1に対するインクの付着ムラが発生したり、光沢層が劣化したりすることも少なくできて、画像品質を向上できる。さらに、本体板部材52を底板3aの表面に対して滑りやすい材質を選択することができるから、リヤガイド48で押し進める等下敷き体51を長い距離で移動させるのに軽快に実行できる。
更に、本体板部材52は合成樹脂などから構成されているので、その裏面に上記ガイド突起55、係止突起56a等を簡単に設けることができ、下敷き体51を給紙トレイ3の所定のセット個所(収容部)に移動させることと、セットした位置で下敷き体51を固定させることが簡単にできる。
図8は、第2実施形態の下敷き体60を示し、ABS樹脂等の合成樹脂製の本体板部材61に用紙P1を直接的に固定するため、上記第1実施形態のパッド部53に代えて、クリップ手段62で本体板部材61と用紙P1とを挟むものである。このようにクリップ手段62にて本体板部材61に対して用紙P1を移動不能(滑り不能)に固定すると、μcが実質上無限大となり、下敷き体51上の残り1枚(最後の1枚)の用紙P1を確実に給送しないように留め置くことができる。また、本体板部材61の裏面にガイド突起55、係止突起56aを設けると、μbも実質上無限大となり第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。このクリップ手段62は本体板部材61と別体であってもよいし、一体に構成されていてもよい。
図9(裏面図)、図10(A)及び図10(B)は第3実施形態の下敷き体65を示す。この実施形態では、下敷き体65における合成樹脂製の本体板部材66の表面に、第1実施形態と同様の高い静摩擦係数のパッド部53と説明印刷書54とが貼着されている。そして、本体板部材66の裏面には、1つのガイド突起55と、左右一対の係止突起56aが設けられている。さらに、本体板部材66のうち、パッド部53から離間した位置に平面視矩形状などの置決め用のガイド孔67が穿設されている。このガイド孔67は、給紙トレイ3内に載置した下敷き体65を傾斜分離板8に近い位置の収容部に導くためのガイド手段である。
第3実施形態によれば、図3と同様に排紙トレイ31の手前側を大きく上向きに開放する。次いで、リヤガイド48を給紙トレイ3における前板3dに近い側まで引き寄せた状態で、このリヤガイド48をガイド孔67に嵌め入れる。その場合、パッド部53を上向きにし、且つ傾斜分離板8に近い側となるように配置し(図10(A)参照)、本体板部材66の裏面のガイド突起55をガイド溝孔57に嵌め込む。次いで、リヤガイド48を押し進めて、下敷き体65を傾斜分離板8に接近する方向に移動させる。ガイド突起55が直線のガイド溝孔57に沿うので、下敷き体65は左右にずれることなく移動できる。本体板部材66の下面の係止突起56aが係止凹部58aに嵌まると、下敷き体65は収容部の所定位置にセットされ(図10(B)参照)、下敷き体65は位置固定される。
パッド部53の構成や、給紙ローラ6aとこれに接する用紙P1の表面との間の静摩擦係数μa、下敷き体51と収容部である底板3aと間の静摩擦係数μb、下敷き体51におけるパッド部53とこれに接する用紙P1と間の静摩擦係数μc、堆積方向に隣接する用紙P1間の静摩擦係数μeとするとき、μa<μc且つμa>μe且つμb≧μcなる関係に設定されていることは、第1実施形態と同じである。従って、作用効果も同じである。
第3実施形態においては、排紙トレイ31を取り外すことなく、リヤガイド48をガイド孔67に嵌め入れた状態で、このリヤガイド48を給紙トレイ3における前板3dに近い側まで引き寄せることも簡単にできる。また、第3実施形態においては、リヤガイド48をガイド孔67に嵌め入れると、下敷き体65の姿勢(ガイド溝孔57と平行状に沿う姿勢)が決定できるから、ガイド突起55を省略しても良い。
また、下敷き体51(60、65)を傾斜分離板8とリヤガイド48とにより挟んだ状態では、当該下敷き体51(60、65)は移動不能に固定できるから、係止突起56aなどの給紙トレイ3の底板3aに対する位置決め固定手段を省略することができる。
なお、下敷き体51(60、65)を所定の収容部にセットする前に、一対のサイドガイド手段40R、40Lを用紙P1乃至下敷き体51(60、65)の横幅寸法にほぼ一致するまで縮めおいても良いし、逆に下敷き体51(60、65)を所定の収容部にセットした後に、一対のサイドガイド手段40R、40Lを用紙P1乃至下敷き体51(60、65)の横幅寸法に縮めるようにしても良い。
上記各実施形態において、本体板部材52、66の板厚さに対してパッド部53の厚さが薄く、上下揺動する給紙ローラ6aのアーム体6bが安定給紙可能な角度になるように、本体板部材52、66の板厚さが設定されているので、給紙時の給紙ローラ6aによる用紙に対する食いつき力が不足したり、過大になることがなく、用紙の重送及び空送現象を確実になくすることができ、画像記録作業が安定する。
また、上記各実施形態においては、下敷き体51の下面の係止突起56a及び中央凹部56bが給紙トレイ3の底板3aの係止凹部58a及び中央突起58bに嵌まり込むことにより、あるいは下敷き体51(60、65)を傾斜分離板8とリヤガイド48とにより挟むことにより、下敷き体51と底板3aとの間の静摩擦係数は実質上無限大としていたが、これに限定されるものではない。すなわち、各突起と各凹部とが嵌り込まなくとも、下敷き体51と底板3aとの間の静摩擦係数が、パッド部53とこれに接する用紙P1との間の静摩擦係数以上となるように材質や構造が形成されていればよい。従って、本願請求項において「下敷き体と収容部との間の静摩擦係数をμb」とし、「前記パッド部とこれに接する前記被記録媒体との間の静摩擦係数をμc」としたときに「μb≧μc」なる関係を満たすとは、下敷き体51と底板3aとの間に突起や凹部等の嵌合関係が何ら無く、単純に静摩擦係数が「μb≧μc」なる関係を満たす場合を意味するのみならず、下敷き体51と底板3aとの間に突起や凹部等の嵌合関係があって両者間の静摩擦係数が実質上無限大である場合も含む趣旨である。
以上、本発明の構成を有する給紙トレイを備えた給紙装置では、被記録媒体(用紙)のサイズに合わせた下敷き体51(60、65)を給紙トレイ3の収容部に固定し、この下敷き体上に、一方の面と他面との表面処理が異なり、一方の表面が高い静摩擦係数で、他面が低い静摩擦係数である用紙を多数枚堆積させて画像記録するとき、下敷き体上の最後の1枚を給送できない構成としたので、用紙の重送及び空送現象を確実になくすることができ、画像記録作業が安定する。
画像記録装置の全体斜視図である。 給紙装置の側断面図である。 給紙トレイとしての給紙トレイに対して排紙トレイの後部を上向きに開いた状態の斜視図である。 給紙トレイにおける一対のサイドガイド手段の間に第1実施形態の下敷き体をセットした状態の斜視図である。 同じく平面図である。 下敷き体の第1実施形態を示す表面側から見た斜視図である。 作用説明図である。 下敷き体の第2実施形態を示す平面図である。 下敷き体の第3実施形態を示す裏面側から見た斜視図である。 (A)は給紙トレイの後部側に下敷き体を位置させた状態を示す平面図、(B)は給紙トレイの給送位置側に下敷き体を位置させた状態を示す平面図である。
1画像記録装置
3給紙トレイ
3a底板
3c側板
6給送手段
31排紙トレイ
40R,40Lサイドガイド手段
41スライダ
42当接板
48リヤガイド
51、60、65下敷き体
52、61、66本体板部材
53パッド部
55ガイド突起
67ガイド溝孔

Claims (11)

  1. 給紙トレイに設けられている被記録媒体の収容部に対して着脱可能で、且つ前記収容部に装着されたときには位置決めがなされ、更に給紙ローラにて給送される被記録媒体を堆積状態にて載置可能な下敷き体であって、
    被記録媒体が載置される上面と、前記収容部の底面と対向する下面と、を有する本体板部材と、
    当該本体板部材の上面に設けられ、所定の摩擦係数を有するパッド部と、
    前記本体板部材の下面に設けられ、前記給紙トレイ内に載置された下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段と、を備え、
    前記ガイド手段は、前記給紙トレイに前記収容部に向かって延びるガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記収容部に堆積された被記録媒体の縁に当接可能なリヤガイドに嵌まるガイド孔のうち少なくとも一方であり、
    前記給紙ローラとこれに接する被記録媒体の表面との間の静摩擦係数をμa、
    前記下敷き体と前記収容部との間の静摩擦係数をμb、
    前記パッド部とこれに接する前記被記録媒体との間の静摩擦係数をμc、
    堆積状態で隣接する被記録媒体間の静摩擦係数をμeとするとき、
    μa<μc且つμa>μe且つμb≧μcなる関係を満たすことを特徴とする下敷き体。
  2. 前記下敷き体が前記収容部にて位置決めがなされたとき、前記パッド部は前記上面の一部であって、且つ前記給紙ローラと対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の下敷き体。
  3. 給紙トレイに設けられている被記録媒体の収容部に対して着脱可能で、且つ前記収容部に装着されたときには位置決めがなされ、更に給紙ローラにて給送される被記録媒体を堆積状態にて載置可能な下敷き体であって、
    被記録媒体が載置される上面と、前記収容部の底面と対向する下面と、を有する本体板部材と、
    前記本体板部材の下面に設けられ、前記給紙トレイ内に載置された下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段と、を備え、
    前記ガイド手段は、前記給紙トレイに前記収容部に向かって延びるガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記収容部に堆積された被記録媒体の縁に当接可能なリヤガイドに嵌まるガイド孔のうち少なくとも一方であり、
    前記上面に堆積状態で載置される被記録媒体のうち少なくとも前記上面に接触する1枚の被記録媒体を前記本体板部材に対して滑り不能に固定するクリップ手段を備えたことを特徴とする下敷き体。
  4. 前記本体板部材の下面には、当該下敷き体を前記収容部の底面に対して位置決めするための係止突起が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の下敷き体。
  5. 前記本体板部材の板厚さに対して、前記パッド部の板厚さが薄いことを特徴とする請求項1または2に記載の下敷き体。
  6. 前記本体板部材の剛性は、前記パッド部の剛性より大きいことを特徴とする請求項5に記載の下敷き体。
  7. 前記本体板部材の摩擦係数が前記パッド部の摩擦係数より小さいことを特徴とする請求項1、2若しくは6のいずれかに記載の下敷き体。
  8. 複数枚の被記録媒体を堆積状態で収容可能な収容部を有する給紙トレイと、
    前記収容部に対して着脱可能で、且つ位置決め可能な下敷き体と、
    前記収容部に収容された被記録媒体のうちの最上面に押圧するように昇降可能な給紙ローラとを有する給紙装置であって、
    前記下敷き体は、前記被記録媒体が載置される上面であって、且つ当該下敷き体が前記収容部にて位置決めがなされたとき、前記給紙ローラと対向する位置に所定の摩擦係数を有するパッド部を備え、
    前記給紙トレイの底板には、被記録媒体の給送方向に沿って前記収容部に向かって延びるガイド溝と、このガイド溝にスライド可能に装着されて前記収容部に収容された被記録媒体の給送方向上流側であって給送方向と直交する端縁に当接可能なリヤガイドとが設けられ、前記下敷き体の裏面には、前記収容部の底面に対して位置決めされるための係止突起が設けられており、
    前記給紙ローラとこれに接する被記録媒体の表面との間の静摩擦係数をμa、
    前記下敷き体と前記収容部と間の静摩擦係数をμb、
    前記パッド部とこれに接する前記被記録媒体と間の静摩擦係数をμc、
    堆積方向に隣接する被記録媒体間の静摩擦係数をμeとするとき、
    μa<μc且つμa>μe且つμb≧μcなる関係を満たすことを特徴とする給紙装置。
  9. 前記下敷き体の裏面には、前記給紙トレイ内に載置した下敷き体を前記収容部に導くためのガイド手段が備えられ、
    前記ガイド手段は、前記ガイド溝に係脱するガイド突起、または前記給紙トレイに設けられて前記ガイド溝に沿ってスライド可能であって前記リヤガイドに嵌まるガイド孔であることを特徴とする請求項8に記載の給紙装置。
  10. 前記給紙トレイには、前記収容部の少なくとも一部を覆う排紙トレイが、その給送方向の下流側を中心にして上下回動可能となるように装着されていることを特徴とする請求項8または9に記載の給紙装置。
  11. 前記被記録媒体はその表面と裏面の状態が異なるものであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の給紙装置。
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